説明

リードバルブ

【課題】 バルブストッパの形状を最適化し、バルブ本体のセッティング時及びリードバルブの作動時に発生する応力集中をそれぞれ分散して、バルブ本体の耐久性を向上する。
【解決手段】 バルブシート13のポート13aをバルブ本体14にて開放可能に閉止し、バルブ本体の最大リフト量を規制するバルブストッパ16の中央に、バルブシートから離れる方向に湾曲する湾曲部16cを形成する。バルブストッパの湾曲部は、中央湾曲部16dと、中央湾曲部の両端と第1及び第2平面取付部16a,16bをそれぞれなだらかに接続する第1及び第2サイド湾曲部16e,16fとを有し、バルブストッパの一端に第1締結具11を挿通する通孔16gを形成する。通孔の半径をrmmとし、平曲面接続部と通孔の中心との距離をLmmとするとき、1.5×r≦L≦4.0×rであり、第1サイド湾曲部の曲率半径をRmmとするとき、75mm≦R≦175mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エアコンプレッサの吐出弁やカークーラ用コンプレッサの吐出弁等として用いられるリードバルブに関する。更に詳しくはバルブストッパによりバルブ本体の最大リフト量が規制されるリードバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のリードバルブとして、ポートを開閉するように当接されたバルブ本体の一方の端部が固定され、開弁作動時にバルブ本体を位置規制するバルブストッパがバルブ本体の両面のうちポートとは反対側の面に配されて固定されたリード弁装置(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。このリード弁装置では、バルブストッパのバルブ本体と接する側の主面に傾斜面が、その幅方向についてポートの流れ方向に対して傾斜するように形成される。また傾斜面の範囲及び位置規制のアーチ範囲はボルト挿通用の一対の通孔の範囲を含まない、即ちバルブストッパの両端の一対の通孔の範囲は、バルブシートの吐出路側主面と平行に形成される。
このように構成されたリード弁装置では、開弁時にバルブ本体の幅方向に排出する流れを形成させることができるため、流路抵抗を低減できるとともに、異物の付着堆積を防止できるようになっている。
【特許文献1】特開平8−14426号公報(請求項1、明細書[0010]、明細書[0021])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の特許文献1に記載されたリード弁装置では、バルブストッパの両端の一対の通孔の範囲が、バルブシートの吐出路側主面と平行に形成されているけれども、図9に示すように、一方の通孔6gの範囲である第1平面取付部6aとアーチ範囲である第1サイド湾曲部6eとの接続部6j(平曲面接続部)が第1ナット8の接触する部位にあり、即ち、1.0×r≦L≦2.0×rであり(r:一方の通孔6gの半径(mm)、L:平曲面接続部6jと通孔6gの中心との距離(mm))、かつ上記第1サイド湾曲部6eの曲率半径Rを50〜70mmと比較的小さく設定すると、バルブ本体4をバルブシート3及びバルブストッパ6で挟んだ状態で第1ボルト1及び第1ナット8にて締付けたセッティング時に、バルブ本体4の平曲面接続部6jに接触する部位に第1の応力集中9aが発生する(図10(a))。またリード弁装置の作動時に、バルブ本体3に曲げ応力が作用して、バルブ本体3の上記第1の応力集中9aが発生した部位と同じ部位に更に大きな第2の応力集中9bが発生する(図10(b))。このためリード弁装置が作動及び不作動を繰返すと、上記応力集中9a,9bが発生した部位に大きな繰返し応力が作用する場合があり、バルブ本体4の耐久性が低下するおそれがあった。
【0004】
本発明の目的は、バルブストッパの形状を最適化して、セッティング時にバルブ本体に発生する第1の応力集中と作動時にバルブ本体に発生する第2の応力集中とを分散することにより、バルブ本体に過大な応力集中が発生するのを阻止し、バルブ本体の耐久性を向上できる、リードバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、図1及び図4に示すように、ポート13aが形成されたバルブシート13と、一端がバルブシート13に第1締結具11にて固定されポート13aを開放可能に閉止するバルブ本体14と、一端の第1平面取付部16aが第1締結具11にてバルブ本体14を挟むようにバルブシート13に固定され他端の第2平面取付部16bが第2締結具12にてバルブシート13に固定され中央がバルブシート13から離れる方向に湾曲する湾曲部16cが形成されたバルブストッパ16とを備えたリードバルブの改良である。
その特徴ある構成は、バルブストッパ16の湾曲部16cが、中央湾曲部16dと、この中央湾曲部16dの両端と第1及び第2平面取付部16a,16bをそれぞれ接続する部位であって少なくともバルブ本体14の接触する部位をそれぞれなだらかに接続する第1及び第2サイド湾曲部16e,16fとを有し、バルブストッパ16の一端に第1締結具11を挿通する通孔16gが形成され、通孔16gの半径をrmmとし、第1平面取付部16a及び第1サイド湾曲部16eの接続部16jと通孔16gの中心との距離をLmmとするとき、1.5×r≦L≦4.0×rであり、第1サイド湾曲部16eの曲率半径をRmmとするとき、75mm≦R≦175mmであるところにある。
【0006】
この請求項1に記載されたリードバルブでは、第1平面取付部16aと第1サイド湾曲部16eとの接続部16j(平曲面接続部)が1.5×r≦L≦4.0×rであり、即ち、平曲面接続部16jを第1締結具11の接触する部位から離れた位置に設定し、かつ上記第1サイド湾曲部16eの曲率半径Rを75〜175mmと比較的大きく設定すると、バルブ本体14をバルブシート13及びバルブストッパ16で挟んだ状態で第1締結具11にて締付けたセッティング時に、バルブ本体14のうち通孔16gの周囲近傍であって通孔16gを中心とする半径方向に均等に小さな第1の応力集中31が発生する(図4(a))。またリードバルブ10の作動時に、バルブ本体14に曲げ応力が作用して、バルブ本体14の上記第1の応力集中31が発生した部位と異なる部位に比較的広い範囲で小さな第2の応力集中32が発生する(図4(b))。
また第1サイド湾曲部16eの曲率半径を、第1平面取付部16a及び第1サイド湾曲部16eの接続部16jから第1サイド湾曲部16e及び中央湾曲部16dの接続部16iまで一定にすることができる。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に第1サイド湾曲部の曲率半径が、第1平面取付部及び第1サイド湾曲部の接続部から第1サイド湾曲部及び中央湾曲部の接続部に向うに従って次第に大きくなるように形成されたことを特徴とする。
この請求項3に記載されたリードバルブでは、このリードバルブ10の作動時に、バルブ本体14がバルブストッパ16に滑らかに接触するため、バルブ本体14のバルブストッパ16への衝撃的な接触を防止できる。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、本発明によれば、バルブストッパの一端に第1締結具を挿通する通孔を形成し、通孔の半径をrmmとし、第1平面取付部及び第1サイド湾曲部の接続部と通孔の中心との距離をLmmとするとき、1.5×r≦L≦4.0×rであり、第1サイド湾曲部の曲率半径をRmmとするとき、75mm≦R≦175mmであるので、バルブ本体をバルブシート及びバルブストッパで挟んだ状態で第1締結具にて締付けたセッティング時に、バルブ本体のうち通孔の周囲近傍であって通孔を中心とする半径方向に均等に小さな第1の応力集中が発生するとともに、リードバルブの作動時に、バルブ本体に曲げ応力が作用して、バルブ本体の上記第1の応力集中が発生した部位と異なる部位に比較的広い範囲で小さな第2の応力集中が発生する。この結果、セッティング時にバルブ本体に発生する第1の応力集中と作動時にバルブ本体に発生する第2の応力集中とを分散することができるので、リードバルブが作動及び不作動を繰返しても、上記第2の応力集中が発生した部位に比較的小さな繰返し応力が作用するのみであり、バルブ本体に過大な応力集中が発生するのを阻止でき、バルブ本体の耐久性を向上できる。
【0009】
また第1サイド湾曲部の曲率半径を、第1平面取付部及び第1サイド湾曲部の接続部から第1サイド湾曲部及び中央湾曲部の接続部に向うに従って次第に大きくなるように形成すれば、リードバルブの作動時に、バルブ本体がバルブストッパに滑らかに接触するため、バルブ本体のバルブストッパへの衝撃的な接触を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1〜図3に示すように、エアコンプレッサの吐出弁であるリードバルブ10は、複数のポート13aが形成されたバルブシート13と、一端がバルブシート13に第1締結具11にて固定されたバルブ本体14と、一端の第1平面取付部16aが第1締結具11にてバルブ本体14を挟むようにバルブシート13に固定され他端の第2平面取付部16bが第2締結具12にてバルブシート13に固定されたバルブストッパ16とを備える。この実施の形態では、第1締結具11は第1ボルト11a及び第1ナット11bにより構成され、第2締結具12は第2ボルト12a及び第2ナット12bにより構成される。またバルブシート13はADC12(アルミニウム合金ダイカスト:12種)やAC4C−T6(アルミニウム合金鋳物:4種C焼入れ焼戻し)等の剛性を有する平らな厚板により形成され、バルブシート13にはポート13aを挟みかつポート13aから所定の間隔をあけて一対の取付孔13b,13cがそれぞれ形成される。
【0011】
バルブ本体14は燐青銅やGIN6(マルテンサイト系ステンレス鋼)等の弾性を有する平らな薄板(厚さ0.3〜0.6mm)により長方形状に形成され、バルブ本体14の長さは上記一対の取付孔13b,13cの間隔より短く形成される。またバルブ本体14の一端には、上記一対の取付孔13b,13cのうち一方の取付孔13bに対向して透孔14aが形成され、上記ポート13aを開放可能に閉止するように構成される。バルブストッパ16は冷間圧延鋼板(SPCC)などの剛性を有する厚板(厚さ2〜4mm)を長方形状に切断した後に、プレス加工にて湾曲させることにより形成される。即ち、バルブストッパ16の長さは上記バルブ本体14より長く形成され、バルブストッパ16の中央には、バルブシート13から離れる方向に湾曲する湾曲部16cが形成される。またバルブストッパ16の一端には一方の取付孔13b及び透孔14aに対向して一方の通孔16gが形成され、バルブストッパ16の他端には他方の取付孔13cに対向して他方の通孔16hが形成される。なお、一方の取付孔13b、透孔14a及び一方の通孔16gには第1ボルト11が挿通され、上記他方の取付孔13c及び他方の通孔16hには第2ボルト12が挿通される。
【0012】
バルブストッパ16の湾曲部16cは、中央湾曲部16dと、この中央湾曲部16dの両端と第1及び第2平面取付部16a,16bをそれぞれ接続する部位であって少なくともバルブ本体14の接触する部位をそれぞれなだらかに接続する第1及び第2サイド湾曲部16e,16fとを有する。この実施の形態では、第1及び第2サイド湾曲部16e,16fは、作動時にバルブ本体14の接触する接続部位だけでなく、中央湾曲部16dの両端と第1及び第2平面取付部16a,16bとの各接続部位を全てなだらかに接続する。即ち、中央湾曲部16dの両端は第1及び第2サイド湾曲部16e,16fのみで第1及び第2平面取付部16a,16bにそれぞれ接続される。中央湾曲部16dの曲率半径は100〜300mm、好ましくは100〜150mmに設定され、第1サイド湾曲部16eの曲率半径は75〜175mm、好ましくは130〜150mmに設定される。ここで、中央湾曲部16dの曲率半径を100〜300mmに限定したのは、100mm未満ではバルブ本体14がバルブストッパ16に沿わなくなり、300mmを越えるとバルブ本体14先端のリフトが過大になるからである。また第1サイド湾曲部16eの曲率半径を75〜175mmに限定したのは、75mm未満ではバルブ本体14作動時の応力分散が不十分であり、175mmを越えるとバルブ本体14のリフト量を確保できないからである。
【0013】
なお、この明細書において「なだらかに接続する」とは、次の(1)〜(4)に記載した意味である。
(1) 中央湾曲部16dの一端と第1サイド湾曲部16eの他端との接続部16i(第1変曲部)をなだらかに接続するとは、中央湾曲部16dの一端下面に接する面と第1サイド湾曲部16eの他端下面に接する面が同一面になるように接続されることをいう。
(2) 第1サイド湾曲部16eの一端と第1平面取付部16aの他端との接続部16j(第1平曲面接続部)をなだらかに接続するとは、第1サイド湾曲部16eの一端下面に接する面が第1平面取付部16aの下面と同一面になるように接続されることをいう。
(3) 中央湾曲部16dの他端と第2サイド湾曲部16fの他端との接続部16k(第2変曲部)をなだらかに接続するとは、中央湾曲部16dの他端下面に接する面と第2サイド湾曲部16fの他端下面に接する面が同一面になるように接続されることをいう。
(4) 第2サイド湾曲部16fの一端と第2平面取付部16bの他端との接続部16m(第2平曲面接続部)をなだらかに接続するとは、第2サイド湾曲部16fの一端下面に接する面が第2平面取付部16bの下面と同一面になるように接続されることをいう。
【0014】
バルブストッパ16の一方の通孔16gの半径をrmmとし、第1平曲面接続部16jと一方の通孔16gの中心との距離をLmmとするとき、1.5×r≦L≦4.0×r、好ましくは1.8×r≦L≦2.4×rに設定され、バルブストッパ16の第1サイド湾曲部16eの曲率半径をRmmとするとき、75mm≦R≦175mm、好ましくは130mm≦R≦150mmに設定される。第1平曲面接続部16jと一方の通孔16gの中心との距離Lを1.5×r≦L≦4.0×rの範囲に限定したのは、1.5×rmm未満ではリードバルブ11のセッティング時及び作動時にバルブ本体14に発生する応力集中を分離できず、4.0×rmmを越えるとバルブ本体14の所定のリフト量を確保できないからである。またバルブストッパ16の第1サイド湾曲部16eの曲率半径Rを75mm≦R≦175mmの範囲に限定したのは、75mm未満ではリードバルブ11の作動時にバルブ本体14の第1サイド湾曲部16eに対向する部位に比較的大きな応力集中が発生するおそれがあり、175mmを越えるとバルブ本体14の所定のリフト量を確保できないからである。
【0015】
このように構成されたリードバルブ11の組立手順を説明する。
先ずバルブシート13の一方の取付孔13bに下方から第1及び第2ボルト11a,12aをそれぞれ挿通して、これらのボルト11a,12aの頭部を片手で抑える。この状態で、バルブ本体14の透孔14aを第1ボルト11aに嵌入してバルブ本体14をバルブシート13に載せた後に、バルブストッパ16の一方の通孔16aを第1ボルト11aに嵌入し、バルブストッパ16の他方の通孔16bを第2ボルト12aに嵌入して、バルブストッパ16をバルブ本体14に載せる。更に第1ボルト11aの先端に第1ナット11bを螺合し、第2ボルト12aの先端に第2ナット12bを螺合する。このような簡単な作業でリードバルブ10の組立は完了する。
【0016】
このように組立てられたリードバルブ10の動作を説明する。
上記のように組立てられて未だ作動させていないセッティング時のリードバルブ10では、バルブ本体14のうち一方の通孔16gの周囲近傍であって一方の通孔16gを中心とする半径方向に均等に小さな第1の応力集中31が発生する(図4(a))。リードバルブ10が作動すると、即ちポート13aから圧縮空気が流入してバルブ本体14がポート13aから離れると、バルブ本体14に曲げ応力が作用する。このときバルブ本体14には、上記第1の応力集中31が発生した部位とは異なる部位に比較的広い範囲で小さな第2の応力集中32が発生する(図4(b))。この結果、リードバルブ10のセッティング時にバルブ本体14に発生する第1の応力集中31と、リードバルブ10の作動時にバルブ本体14に発生する第2の応力集中32とを分散することができるので、リードバルブ10が作動及び不作動を繰返しても、上記第2の応力集中32が発生した部位に比較的小さな繰返し応力しか作用しない。従って、バルブ本体14に過大な応力集中が発生するのを阻止できるので、バルブ本体14の耐久性を向上できる。
【0017】
なお、上記第1の実施の形態では、バルブ本体を長方形状に形成したが、図5(第2の実施の形態)に示すように、バルブ本体44の長手方向中央の幅を両端の幅より大きくした形状にしてもよく、また図6(第3の実施の形態)に示すように、バルブ本体54の透孔14aが形成された一端側の外形を放物線状に形成し、他端側を長方形状に形成してもよい。
また、上記第1の実施の形態では、第1締結具として第1ボルト及び第1ナットを挙げ、第2締結具として第2ボルト及び第2ナットを挙げたが、図7(第4の実施の形態)に示すように、バルブシート13に形成された第1雌ねじ61bと第1ボルト61aにより第1締結具61を構成し、バルブシート13に形成された第2雌ねじ62bと第2ボルト62aにより第2締結具62を構成してもよい。
また、上記第1の実施の形態では、中央湾曲部の両端を第1及び第2サイド湾曲部のみで第1及び第2平面取付部にそれぞれ接続したが、図8(第5の実施の形態)に示すように、中央湾曲部16dの他端と第2平面取付部16bを接続する部位であって、作動時にバルブ本体14の接触する接続部位のみをなだらかに接続する第2サイド湾曲部76fとし、第2サイド湾曲部76fと第2平面取付部16bを接続する部位であって第2平面取付部16bと同一平面上に形成された部位を接続部76nとしてもよい。この場合、第2サイド湾曲部76fと接続部76nとの間に段部が形成され、 中央湾曲部16dの一端は第1サイド湾曲部16eのみで第1平面取付部16aに接続される。
【0018】
更に、上記第1の実施の形態では、第1サイド湾曲部の曲率半径を、第1平面取付部及び第1サイド湾曲部の接続部から第1サイド湾曲部及び中央湾曲部の接続部まで一定にしたが、第1サイド湾曲部の曲率半径を、第1平面取付部及び第1サイド湾曲部の接続部から第1サイド湾曲部及び中央湾曲部の接続部に向うに従って次第に大きくなるように形成してもよい。この場合、「当たり抜け」が発生しない。この「当たり抜け」とは、図11に示すように、作動時にバルブ本体4がバルブストッパ6に部分的に接触し、バルブ本体4の大部分がバルブストッパ6から離れてしまう現象をいい、上記部分的な接触部で応力集中が発生する。この現象は、第1サイド湾曲部6eの曲率半径を、第1平面取付部6a及び第1サイド湾曲部6eの接続部から第1サイド湾曲部6e及び中央湾曲部の接続部に向うに従って次第に小さくなるように形成した場合に発生し易く、第1サイド湾曲部6eの曲率半径を、第1平面取付部6a及び第1サイド湾曲部6eの接続部から第1サイド湾曲部6e及び中央湾曲部の接続部に向うに従って次第に大きくなるように形成した場合には発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は本発明第1実施形態のリードバルブの不作動状態を示す図2(a)のA−A線断面図であり、(b)はそのリードバルブの作動状態を示す図2(b)のB−B線断面図である。
【図2】(a)は図1(a)のC−C線断面図であり、(b)は図1(b)のD−D線断面図である。
【図3】そのリードバルブの分解斜視図である。
【図4】(a)はそのリードバルブの不作動時におけるバルブ本体に作用する応力状態をモワレ縞で示す要部平面図であり、(b)はそのリードバルブの作動時におけるバルブ本体に作用する応力状態をモワレ縞で示す要部平面図である。
【図5】本発明第2実施形態のバルブ本体の斜視図である。
【図6】本発明第3実施形態のバルブ本体の斜視図である。
【図7】本発明第4実施形態を示す図1(a)に対応する断面図である。
【図8】本発明第5実施形態を示す図1(a)に対応する断面図である。
【図9】(a)は従来例のリードバルブの不作動状態を示す図1(a)に対応する断面図であり、(b)はそのリードバルブの作動状態を示す図1(b)に対応する断面図である。
【図10】(a)は従来例のリードバルブの不作動時におけるバルブ本体に作用する応力状態をモワレ縞で示す要部平面図であり、(b)はそのリードバルブの作動時におけるバルブ本体に作用する応力状態をモワレ縞で示す要部平面図である。
【図11】「当たり抜け」という現象を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0020】
10 リードバルブ
11,61 第1締結具
12,62 第2締結具
13 バルブシート
13a ポート
14,44,54 バルブ本体
16,76 バルブストッパ
16a 第1平面取付部
16b 第2平面取付部
16c,76c 湾曲部
16d 中央湾曲部
16e 第1サイド湾曲部
16f,76f 第2サイド湾曲部
16g 一方の通孔
16i 第1変曲部
16j 第1平曲面接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポート(13a)が形成されたバルブシート(13)と、一端が前記バルブシート(13)に第1締結具(11)にて固定され前記ポート(13a)を開放可能に閉止するバルブ本体(14)と、一端の第1平面取付部(16a)が前記第1締結具(11)にて前記バルブ本体(14)を挟むように前記バルブシート(13)に固定され他端の第2平面取付部(16b)が第2締結具(12)にて前記バルブシート(13)に固定され中央が前記バルブシート(13)から離れる方向に湾曲する湾曲部(16c)が形成されたバルブストッパ(16)とを備えたリードバルブにおいて、
前記バルブストッパ(16)の湾曲部(16c)が、中央湾曲部(16d)と、この中央湾曲部(16d)の両端と第1及び第2平面取付部(16a,16b)をそれぞれ接続する部位であって少なくとも前記バルブ本体(14)の接触する部位をそれぞれなだらかに接続する第1及び第2サイド湾曲部(16e,16f)とを有し、
前記バルブストッパ(16)の一端に前記第1締結具(11)を挿通する通孔(16g)が形成され、
前記通孔(16g)の半径をrmmとし、第1平面取付部(16a)及び第1サイド湾曲部(16e)の接続部(16j)と前記通孔(16g)の中心との距離をLmmとするとき、1.5×r≦L≦4.0×rであり、
前記第1サイド湾曲部(16e)の曲率半径をRmmとするとき、75mm≦R≦175mmである
ことを特徴とするリードバルブ。
【請求項2】
第1サイド湾曲部(16e)の曲率半径が、第1平面取付部(16a)及び第1サイド湾曲部(16e)の接続部(16j)から前記第1サイド湾曲部(16e)及び中央湾曲部(16d)の接続部(16i)まで一定である請求項1記載のリードバルブ。
【請求項3】
第1サイド湾曲部の曲率半径が、第1平面取付部及び第1サイド湾曲部の接続部から前記第1サイド湾曲部及び中央湾曲部の接続部に向うに従って次第に大きくなるように形成された請求項1記載のリードバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−17236(P2006−17236A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196316(P2004−196316)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】