説明

レジスト膜形成用インクジェット塗布装置

【課題】高価なレジストコーター装置に代わるレジスト膜形成用の装置を安価に提供する。
【解決手段】基板上に薄膜のレジストを形成するためのインクジェット塗布装置であって、インクとしてレジスト液を使用する。その装置は、基板を搭載するステージを駆動するステージ駆動系と、インクジェット塗布用のインクジェット塗布制御系とを分離して制御する制御装置を有する。例えばユーザー側で使用しているCADシステムで所望の塗布形状を作成し、例えばdxfファイルフォーマットとし(1)、これをコンバータ2内のDXFデータ変換モジュール2−1へ受け渡し、塗布形状をビットマップファイルへ変換する。それによって作成したIJ用ビットマップファイルデータ3をIJ装置4へデータ転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機器や家電製品等に用いられるプリント基板等にレジスト膜を形成するためのインクジェット塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット(以下、IJと略す場合がある)技術の応用分野としては、例えば、エレクトロニクス分野においては、
・有機ELディスプレイ関連
・液晶ディスプレイ関連
・太陽電池関連
・プラズマディスプレイ関連
・カラーフィルタ関連
・プリント基板関連
・半導体製造「フォトリソグラフィ工程」があり、
また産業機器分野においては、
・建材加飾装置関連
・半導体マーカー関連
・ダンボール印字関連
・広告関連があり、
さらにはバイオテクノロジ分野においては、
・DNAチップ製造関連
・免疫分析関連
等が挙げられる。
【0003】
例えばプリント基板の製造工程においては、基板を覆うように薄膜のレジスト層を塗布、形成するが、最近では感光性の組成物(フォトレジスト)を塗布して、パターン露光、現像により、必要な部分のみを残す方法が主流となっている。このようなインクジェット塗布によるレジスト薄膜形成の利点としては、
・非常に薄い膜(膜厚10nm〜1μm)の形成が可能
・マスク無しで任意のパターン形成が可能
・他の薄膜形成法に比べて材料消費量が些少で済む
・バンクや溝、あるいは凸部等、基板の表面形状に依存しない成膜が可能
・非接触塗布のため液滴の着弾精度が高く、細かい塗布に適する
等々が挙げられるが、逆に欠点としては、
・適用できる溶液材料に物性面で大きな制約が有る(材料粘度、表面張力、材料溶解性等)
・非常に厚い膜(膜厚10μm〜)の形成は不得手
・膜形成プロセスの前後および形成中のメンテナンスが面倒
等々がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、上述した諸点にかんがみ、高価なレジストコーター装置に代わるレジスト膜形成用の装置を安価に提供し、例えばディスプレイ関係の技術においては、フォトリソグラフィで用いるステッパを、そして当然レチクルを不要とし、微細な回路パターンの形成を安価に行い得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のレジスト膜形成用インクジェット塗布装置のうち請求項1に係るものは、基板上にレジスト薄膜を形成するためのインクジェット塗布装置であって、インクとしてレジスト液を使用することを特徴とする。
【0006】
本発明のレジスト膜形成用インクジェット塗布装置のうち請求項2に係るものは、請求項1のレジスト膜形成用インクジェット塗布装置において、前記基板を搭載するステージを駆動するステージ駆動系と、インクジェット塗布用のインクジェット塗布制御系とを分離して制御する制御装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、レジストの薄膜形成を安価に行え、従来必要であった高価なレジストコーター装置、フォトリソグラフィで用いるステッパやレチクル等を不要とするという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は上述したIJ材料設計例におけるIJビットマップファイル作成例を示すシステム図である。
まずユーザー側で使用しているCADシステムで所望の塗布形状(形状自体はユーザー側の任意のもの)を作成してもらい、例えばdxfファイルフォーマットとし(1)、これをコンバータ2内のDXFデータ変換モジュール2−1へ受け渡し、塗布形状をビットマップファイルへ変換する。できるだけ多種のdxfファイルフォーマットに対応できるようにすることが望ましい。
【0010】
ここでの設定項目は、
・縮小・拡大:原図の縮小・拡大
・解像度設定:
・横方向:IJヘッドのノズルピッチに対応
・縦(送り方向):塗布ピッチに対応
・ピクセルサイズ設定:
・ビットマップファイルのサイズに対応
である。ついで、Bitmap後処理モジュール2−2へデータを渡し、
・塗りつぶしパターンの変更
・接続点等のビットマップ補正
・スムージング
等を行う。それによって作成したIJ用ビットマップファイルデータ3をIJ装置4へデータ転送する。
【0011】
図2はIJ塗布装置と、その制御を説明するための概念的な斜視図である。本実施例の製造装置としての基本的な考え方としては、高速な塗布を実現するため、IJ塗布制御系を分離したことである。図中10が機械系、11が塗布制御系、12がステージ駆動系であり、機械系10にはIJヘッド13、アクチュエータ14、リニアエンコーダ15等を有し、塗布制御系11はメモリ基板16とヘッド駆動基板17を備え、ステージ駆動系12はパーソナルコンピュータ(PC)18とシーケンサ(MD)19を備えている。IJヘッド13は図示しない保持機構により保持され、垂直方向で可動となっている。なお、シングルヘッド型のIJ塗布装置の場合にはシーケンサ19を備えなくても装置を構成できる。なお、各部の構成は図示のように公知のものを用いればよいので詳細な説明は省略する。
【0012】
なお、装置設計の設計要因としては、
・主要駆動体であるヘッド、テーブルのどちらを動かすのか
・何回の動作で塗布を完了するのか
・装置のフットプリントの制約はあるのか
・主要駆動体であるアクチュエータの軸数はいくつか
・IJヘッドの使用本数は何本か
・制御方式及び射出データ作成の許容複雑さはどの程度か
・予算はいくらか
等が挙げられる。もちろん、使用する材料、プロセスについて
・IJ塗布する材料の種類、組成、溶解度、
・使用する材料の粘度及び表面張力値、これらを調整する溶剤
・使用する基板の種類及び大きさ(縦、横、厚さ、重量)
・成膜は大気中あるいは特殊雰囲気中で行うのか
・形成される薄膜の目標膜厚及び許容膜厚ばらつき
・形成される薄膜の形状許容限度(周辺境界領域、直線性等)
を知る必要がある。
また製造装置については、
・装置サイズ(例えばフットプリントサイズや高さ制限等)
・重量の制約の有無
・装置設置環境及びクリーン化レベル(発塵量等)
・制御機器がネット接続あるいはスタンドアローンか
を知る必要がある。
【0013】
なお、塗布するレジストとしては、東京応化工業株式会社製の製品名TARF−P6111 ME、住友化学工業株式会社製の製品名スミレジスト PAR−811シリーズ(例えば商品名:スミレジスト PFM-300A/ 300A9/ 300B2〔化学名又は一般名:ノボラック樹脂及び感光成分の2-ヘプタノン溶液〕等が挙げられる)、信越化学工業株式会社製の製品名信越エキシマレジスト SAIL−G24C等が挙げられるが、本発明では特にこれらに限定されず、上述の要因等と考慮して種々の材料を採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】IJ材料設計例におけるIJビットマップファイル作成例を示すシステム図
【図2】IJ塗布装置と、その制御を説明するための概念的な斜視図
【符号の説明】
【0015】
10:IJ塗布装置の機械系
11:同塗布制御系
12:同ステージ駆動系
13:IJヘッド
14:アクチュエータ
15:リニアエンコーダ
16:メモリ基板
17:ヘッド駆動基板
18:パーソナルコンピュータ(PC)
19:シーケンサ(MD)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にレジスト薄膜を形成するためのインクジェット塗布装置であって、
インクとしてレジスト液を使用することを特徴とするレジスト膜形成用インクジェット塗布装置。
【請求項2】
請求項1のレジスト膜形成用インクジェット塗布装置において、前記基板を搭載するステージを駆動するステージ駆動系と、インクジェット塗布用のインクジェット塗布制御系とを分離して制御する制御装置を有することを特徴とするレジスト膜形成用インクジェット塗布装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−152327(P2009−152327A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328077(P2007−328077)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(392032443)株式会社アドテックス (10)
【Fターム(参考)】