レゾルバ
【課題】レゾルバにおいて、回転角度の検出精度の低下を抑制しつつ、製造作業の容易化とコストの低減とを図ることである。
【解決手段】レゾルバは、ステータ14とロータとを含む。ステータ14は、周方向に配置された複数の磁性材製の胴体部32と、周方向に隣り合う胴体部32の間に設けたスロット24と、複数の胴体部32に巻かれた励磁巻線26及び出力巻線28,30とを含む。ロータの外側検出面は、胴体部32の先端との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して円弧を含む連続波状に変化する。励磁巻線26は、2スロットピッチ毎に2つの胴体部32にまたがって巻く。出力巻線28,30の各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線28,30を2スロットピッチ毎に、2つの胴体部32にまたがって分布巻きで巻く。
【解決手段】レゾルバは、ステータ14とロータとを含む。ステータ14は、周方向に配置された複数の磁性材製の胴体部32と、周方向に隣り合う胴体部32の間に設けたスロット24と、複数の胴体部32に巻かれた励磁巻線26及び出力巻線28,30とを含む。ロータの外側検出面は、胴体部32の先端との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して円弧を含む連続波状に変化する。励磁巻線26は、2スロットピッチ毎に2つの胴体部32にまたがって巻く。出力巻線28,30の各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線28,30を2スロットピッチ毎に、2つの胴体部32にまたがって分布巻きで巻く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のティース及び隣り合うティースの間に設けられたスロットと、複数の励磁巻線及び複数相の出力巻線とを含むステータと、外周面に回転角度検出用の検出面を有し、ステータに対し回転可能に配置されたロータとを備えるレゾルバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばハイブリッド車両や電気自動車等の電動車両に搭載され、車輪を駆動するための電動モータや発電機として使用される回転電機の回転角度を検出するためにレゾルバを使用することが考えられている。例えば、従来からレゾルバとして、ステータと、ステータに対向配置され、ステータに対し回転可能であるロータとを含み、ロータの回転角度に応じた出力信号を出力するステータとを備える構造が考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、周方向複数個所に設けられたスロットを有し、スロットに励磁巻線とn相の出力巻線とが設けられたステータと、ステータに対し回転可能に設けられたロータとを備え、ロータは、ステータとの間にギャップパーミアンスが角度θに対して正弦波状に変化する形状を有する鉄心のみで構成されるレゾルバが記載されている。このレゾルバでは、励磁巻線の極数はスロットの数と同一であり、n相の出力巻線の1相分の出力巻線に発生する誘起電圧分布が正弦波分布となるように出力巻線が巻かれている。また、励磁巻線及び出力巻線は、スロットに対して1スロットピッチ毎、すなわちスロット飛びを伴うことなく、各スロットに巻線を入れる状態に分布巻きされている。
【0004】
また、特許文献2には、周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータを備え、励磁巻線とSIN出力巻線及びCOS出力巻線とが1スロットピッチ毎に巻線され、SIN出力巻線及びCOS出力巻線は、誘起電圧分布が正弦波分布となるように分布巻きで構成されるレゾルバが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3182493号公報
【特許文献2】特開2001−352734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載されたレゾルバでは、巻線機による機械巻きを行える可能性はあるが、複数のティースの多くの巻線個所に多くの励磁巻線及び出力巻線が巻かれており、巻き工程に多くの時間を必要とし、製造作業の容易化を図るとともに、コスト低減を図る面から改良の余地がある。また、高周波の電気周波数を使用するレゾルバでは、回転角度検出の精度向上の面から、磁束経路を形成するティースの数が重要である。このため、コスト低減のために単純にティースの数を減らして、そのティースに巻く巻線を減らす構成では、回転角度の検出精度が低下する可能性がある。
【0007】
本発明は、レゾルバにおいて、回転角度の検出精度の低下を抑制しつつ、製造作業の容易化とコストの低減とを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレゾルバは、周方向に離れて配置された複数の磁性材製のティースと、周方向に隣り合うティースの間に設けられたスロットと、複数のティースに巻かれた複数の励磁巻線及び複数相の出力巻線とを含むステータと、外周面に設けられた回転角度検出用の検出面であって、ティースの先端との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して円弧を含む連続波状に変化する回転角度検出用の検出面を有し、ステータに対し回転可能に配置されたロータとを備え、励磁巻線は、2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって巻かれることにより、励磁巻線の極数がスロットの総数の1/2となっており、出力巻線の各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線が2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって分布巻きで巻かれていることを特徴とするレゾルバである。
【0009】
また、本発明に係るレゾルバにおいて、好ましくは、ステータは、隣り合う励磁巻線及び隣り合う出力巻線を磁気的に接続する複数の磁性体部材を備え、各磁性体部材は、周方向に離れて配置され、隣り合う励磁巻線及び隣り合う出力巻線がそれぞれ巻かれる一対の胴体部と、一対の胴体部を連結する連結部とを含むU字形状に形成されている。
【0010】
また、本発明に係るレゾルバにおいて、好ましくは、周方向に隣り合う磁性体部材の間に非磁性材部材が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るレゾルバによれば、励磁巻線は、2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって巻かれることにより、励磁巻線の極数がスロットの総数の1/2となっており、さらに、各相の出力巻線が2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって分布巻きで巻かれているので、巻線個所を少なくできて、巻き工程に要する時間を少なくでき、製造作業の容易化とコストの低減とを図れる。しかも、ティースの数は大きく減少しないので、回転角度の検出精度の低下を抑制できる。さらに、ロータは、外周面に設けられ、ステータとの間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して円弧を含む連続波状に変化する回転角度検出用の検出面を有し、出力巻線の各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線が2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって分布巻きで巻かれているので、出力電圧に含まれる高周波成分を低減させることができ、出力精度をより向上できる。また、巻線機による機械巻きを容易に行え、コストをより低減できる。この結果、回転角度の検出精度の低下を抑制しつつ、製造作業の容易化とコストの低減とを図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のレゾルバを構成するステータの周方向一部を示す模式図である。
【図2】図1において、ロータ及びステータを通過する磁束を説明するためにレゾルバを、巻線個所を少なくして示す模式図である。
【図3】図2の構成で、巻線個所が45度毎に設けられている場合の、巻線構成と出力電圧とを説明するための図である。
【図4】図1のステータの具体的構造の1例の周方向一部を示す図である。
【図5】比較例のレゾルバを構成するステータの周方向一部を示す模式図である。
【図6】本発明に係る第2の実施の形態のレゾルバを示す斜視図である。
【図7】図6の構成において、取付板と樹脂部とを除いて示す斜視図である。
【図8】図6のレゾルバを構成する磁性体部材を示す斜視図である。
【図9】図6のレゾルバを分解して示す斜視図である。
【図10】本発明に係る第3の実施の形態のレゾルバにおいて、磁性体部材と巻線とを示す図である。
【図11】図10から磁性体部材を取り出して示す斜視図である。
【図12】図10の構成において、磁性体部材とロータとの間に磁束が流れる様子を示す図である。
【図13】本発明に係る第4の実施の形態のレゾルバを構成する磁性体部材と巻線とを示す図である。
【図14】図13から磁性体部材を取り出して示す斜視図である。
【図15】図13の斜視図である。
【図16】本発明に係る第5の実施の形態のレゾルバを構成する磁性体部材と巻線とを示す図である。
【図17】図16から磁性体部材を取り出して示す斜視図である。
【図18】本発明に係る第6の実施の形態のレゾルバを構成する磁性体部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下において、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1から図4は、本発明に係る第1の実施形態を示している。本実施形態のレゾルバは、例えば、ハイブリッド車両のモータジェネレータとして使用される回転電機を構成する回転軸の回転角度を検出する等のために使用される。モータジェネレータは、モータや発電機としての機能を有する。
【0014】
図1は、本実施形態のレゾルバを構成するステータの周方向一部を示す模式図である。図2は、図1において、ロータ及びステータを通過する磁束を説明するためにレゾルバを、巻線個所を少なくして示す模式図である。図1に示すように、レゾルバは、回転軸10(図2)の径方向外側に同軸上に嵌合固定されるロータ12(図2)と、ロータ12の径方向外側に対向するように、図示しないケースの内側に固定されたステータ14とを含む。
【0015】
図2に示すように、ロータ12は、例えば複数枚の鋼板を軸方向に積層することにより形成される積層鋼板等の磁性材料により構成され、中央部に回転軸10に嵌合するための中心孔が形成されている。また、ロータ12の外周面は、直径方向反対側2個所位置に設けた山部16を有する断面が非円形の曲線形状であり、山部16に対応する位置での外径が最大となり、山部16と90度位相が異なる周方向2個所位置に対応する位置での外径が最小となるようにしている。このようなロータ12の外周面は、ステータ14(図1)に対向し、回転角度検出用の外側検出面18を形成する。すなわち、ロータ12は、外周面に外側検出面18を有する。また、ロータ12は、ステータ14に対し回転可能に配置されている。
【0016】
なお、ロータ12の外周面形状は図示の例に限定するものではなく、例えば円筒面の周方向複数個所に径方向に突出する突部を形成して凹凸形状とする等、種々の形状を採用できる。
【0017】
また、図1に示すように、ステータ14は、環状のコア20と、コア20の内周側に設けられ、周方向に離れて配置された複数の磁性材製のティース22と、周方向に隣り合うティース22の間に設けられたスロット24と、複数のティース22にそれぞれ巻かれた複数の励磁巻線26及び複数相の出力巻線であるSIN出力巻線28及びCOS出力巻線30とを含む。
【0018】
また、図2に示すように、ロータ12に設けられた外側検出面18と、ステータ14のティース22の先端との間のギャップパーミアンスは、ロータ12の回転角度θに対して円弧を含む連続波状、例えば正弦波状に変化する。なお、ロータ12の外側検出面18を単なる円形とするとともに、ロータ12の回転中心軸とステータ14の中心軸とをずらせる、すなわち偏心させることで、ギャップパーミアンスを、回転角度θに対して円弧を含む連続波状、例えば正弦波状に変化可能とすることもできる。
【0019】
一方、複数の励磁巻線26及び出力巻線28,30のうち、複数の励磁巻線26は、1相分であり、2スロットピッチ毎に2つのティース22にまたがってそれぞれ巻かれている。各励磁巻線26は、周方向に隣り合うもの同士で互いに直列接続されている。このため、励磁巻線26の極数は、スロット24の総数の1/2となっている。さらに、複数の励磁巻線26は、ステータ14の周方向に関して正巻きと逆巻きとが交互に変化している。したがって、図2に破線矢印で示すように、ロータ12とステータ14とに磁束が通過する。
【0020】
また、それぞれ複数ずつの2相の出力巻線であるSIN出力巻線28及びCOS出力巻線30は、各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状、例えば正弦波状での分布となるように、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に、各励磁巻線26が巻かれたティース22と同じ2つのティース22にまたがって分布巻きで巻かれている。すなわち、各相の出力巻線28,30の巻き数が円弧を含む連続波状分布となるように、例えば巻き数が正弦波状分布となるようにステータ14の周方向複数個所に、徐々にずれるように分布して巻かれている。
【0021】
また、各相の出力巻線28,30は、周方向に隣り合うもの同士で直列接続されている。なお、図1、図2では、励磁巻線26、SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30が同じであるような図示をしているが、実際には、ステータ14の周方向複数個所で、互いに別の巻線26,28,30が同じ2つのティース22にまたがって巻かれている。
【0022】
SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30は、互いに電気角で90°ずれている。図3は、図2の構成で、巻線個所が45度毎に設けられている場合の、巻線構成と出力電圧とを説明するための図である。以下の説明では、図1、図2に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。図3に示すように、各相の出力巻線28,30の巻き数は、回転角度θに対するSINθまたはCOSθに比例した巻き数であり、かつその巻き方向に対応する極性が、励磁巻線26の極性とSIN出力電圧またはCOS出力電圧とから決定されている。すなわち、励磁巻線26が正巻きで出力巻線28,30が正巻きの場合は同相出力が出力され、励磁巻線26が正巻きで出力巻線28,30が逆巻きの場合は逆相出力が出力されるようにする。また、励磁巻線26が逆巻きで出力巻線28,30が正巻きの場合は逆相出力が出力され、励磁巻線26が逆巻きで出力巻線28,30が逆巻きの場合は同相出力が出力されるようにする。このようにして、各相の出力巻線28,30の極性、すなわち正巻きか逆巻きかが決定されている。また、SIN出力巻線28のSIN出力電圧及びCOS出力巻線30のCOS出力電圧が、それぞれSIN状及びCOS状となっている。
【0023】
図4は、本実施形態の具体的構成を示している。図4において、図1、図2に示した要素に対応する要素は、ティース22及び胴体部32を除いて同一の符号で示している。図4は、図1のステータの具体的構造の1例の周方向一部を示す図である。図4に示すように、ステータ14は、樹脂等の非磁性材料により形成される環状の取付板34と、複数の磁性体部材36と、モールド用樹脂38とを含む。
【0024】
また、各磁性体部材36は、後述する第2の実施形態を示す図8のように形成されている。すなわち各磁性体部材36は、図8を参照するように、ケイ素鋼板等の電磁鋼板等の磁性材製の薄板を曲げ形成することにより造られている。また、各磁性体部材36は、周方向(単に「周方向」という場合はステータの周方向をいう。)に離れて配置され、周方向に隣り合う励磁巻線26(図4)及び周方向に隣り合う各出力巻線28,30(図4)がそれぞれ巻かれる一対の胴体部32と、一対の胴体部32を連結する連結部40とを含むU字形状に形成されている。また、一対の胴体部32によりティースが構成されている。図4に示すように、各磁性体部材36は、周方向に隣り合う励磁巻線26同士、周方向に隣り合うSIN出力巻線28同士、及び周方向に隣り合うCOS出力巻線30同士をそれぞれ磁気的に接続する。励磁巻線26及び各出力巻線28,30は、外部の図示しない演算回路に接続されている。
【0025】
また、モールド用樹脂38は、取付板34に固定されて、励磁巻線26及び各出力巻線28,30と磁性体部材36の一部とをモールドしている。すなわち、モールド用樹脂38は、取付板34の内周部に固定される環状部42と、環状部42の周方向複数個所で径方向内側に突出するボビン形状部である突部44と、各突部44の先端部に設けられ、周方向両側に突出する鍔部46とを含む。環状部42に各磁性体部材36の連結部40がモールドされ、突部44及び鍔部46に各磁性体部材36の胴体部32の先端部を除く部分がモールドされている。各胴体部32の先端部は、鍔部46の先端面から突出している。各突部44において、周方向両端部に、隣り合う磁性体部材36の胴体部32が配置されている。このため、周方向に隣り合う磁性体部材36の間に非磁性体部材であるモールド用樹脂38の一部が設けられている。また、各突部44の周囲に励磁巻線26及びSIN出力巻線28及びCOS出力巻線30が巻かれている。各鍔部46は、各巻線26,28,30の突部44に対する脱落を阻止する。
【0026】
このような図4の構成の基本的機能は、図1に模式図を示した構成の場合と同様である。すなわち、図4の構成では、磁性体部材36の各胴体部32が、図1の構成のティース22に対応する。また、ステータ14の内周部で周方向に隣り合う突部44の間にスロット24が形成されている。また、各突部44にモールドされている、周方向に隣り合う磁性体部材36の胴体部32の先端部の間と鍔部46の先端面とにより形成される溝状部分にも、スロット24が形成されている。このため、図1の構成と同様に、励磁巻線26は、2スロットピッチ毎に2つのティースである胴体部32にまたがって巻かれている。このため、励磁巻線26の極数は、胴体部32の総数の1/2となっている。
【0027】
また、出力巻線28,30の各相分で発生する誘起電圧分布が正弦波等の、円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に、すなわち各突部44に2つの胴体部32にまたがって分布巻きで巻かれている。また、ロータ12(図2)の回転角度検出用の外側検出面18と、胴体部32の先端との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して正弦波等の、円弧を含む連続波状に変化するようにしている。
【0028】
このようなレゾルバによれば、励磁巻線26は、2スロットピッチ毎に2つのティースである胴体部32にまたがって巻かれることにより、励磁巻線26の極数がスロット24の総数の1/2となっており、さらに、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に2つの胴体部32にまたがって分布巻きで巻かれている。このため、巻線個所を少なくできて、巻き工程に要する時間を少なくでき、製造作業の容易化と、コストの低減とを図れる。しかも、磁性材製の胴体部32の数は大きく減少しないので、回転角度の検出精度の低下を抑制できる。すなわち、高周波の電気周波数を使用するレゾルバでは、磁束経路を形成するティースである胴体部32の数が多いほど、回転角度検出の精度を向上できる。すなわち、励磁巻線26の極数が少なくなり、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に2つの胴体部32にまたがって巻かれるのにもかかわらず回転角度検出の精度を十分に確保できる。
【0029】
また、各胴体部32の周方向の厚さを小さくでき、各突部44の周方向長さを小さくできるので、励磁巻線26及び各相の出力巻線28,30の巻線長を短くしやすくなる。すなわち、高周波の電気周波数を使用するレゾルバでは、ステータ14において、表皮効果により各巻線26,28,30が巻かれる磁性材製の部分のうち、各巻線26,28,30と対向する表面部分にしか磁束が流れない。このため、磁性材製部分である各胴体部32の周方向の厚さを十分に小さくできる。また、胴体部32間に磁性材料部分を設ける必要がないので、軽量化を図れる。
【0030】
また、周方向に隣り合う磁性体部材36の間に非磁性材部材であるモールド用樹脂38の一部が設けられているので、巻線26,28,30の締め付けによる胴体部32の変形を防止でき、巻線26,28,30を巻く部分の強度向上を図れる。
【0031】
さらに、ロータ12は、外周面に設けられ、ステータ14との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して円弧を含む連続波状に変化する外側検出面18を有し、出力巻線28,30の各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に2つの胴体部32にまたがって分布巻きで巻かれている。このため、出力電圧に含まれる高周波成分を低減させることができ、出力精度をより向上できる。また、巻線機による機械巻きを容易に行え、コストをより低減できる。この結果、回転角度の検出精度の低下を抑制しつつ、製造作業の容易化とコストの低減とを図れる。
【0032】
なお、上記の実施形態では、複数相の出力巻線28,30として、誘起電圧が正弦波状に分布するSIN出力巻線28及びCOS出力巻線30を使用した場合を説明した。ただし、複数相の出力巻線28,30は、このような構成に限定するものではなく、出力巻線28,30の各相分で発生する誘起電圧分布が正弦波以外の、円弧を含む連続波状での分布となっているものでもよい。また、ロータ12の外周面に設けられた外側検出面18と、胴体部32の先端との間のギャップパーミアンスは、回転角度θに対して正弦波状に変化する構成に限定するものではなく、回転角度θに対して正弦波以外の円弧を含む連続波状に変化する構成としてもよい。このため、ロータ12の外形形状の形状精度を過度に高くせずに済み、製造作業の容易化を図れ、さらに形状の管理に要する時間の短縮を図れる。したがって、レゾルバの製造コストの低減を図りやすくなる。
【0033】
さらに、図4に示す構成では、ステータ14の取付板34及びモールド用樹脂38を樹脂により形成できるため、ステータ14の巻線以外の部分の多くを積層鋼板等の磁性材により形成する場合に比べて、軽量化を図れる。
【0034】
これに対して、図5は、比較例のレゾルバを構成するステータ14の周方向一部を示す模式図である。この比較例のレゾルバでは、ステータ14の内周部に設けられた各ティース22に1スロットピッチで、励磁巻線26及びSIN出力巻線28及びCOS出力巻線30が巻かれている。また、各ティース22に1スロットピッチで、SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30は、それぞれで発生する誘起電圧分布が正弦波状での分布となるように、複数のティース22に分布巻きで巻かれている。
【0035】
このような比較例では、励磁巻線26の極数と、各相の出力巻線28,30の数とが、それぞれスロット24の総数と同じとなる。このため、巻線個所が多くなり、巻き工程に要する時間が長くなるため、製造作業の容易化を図るとともに、コストの低減を図る面から改良の余地がある。これに対して、上記の図1〜4に示した実施形態によれば、このような不都合を解消できる。
【0036】
[第2の実施形態]
図6〜9は、本発明の第2の実施形態を示している。図6は、本実施の形態のレゾルバを示す斜視図である。図7は、図6の構成において、取付板と樹脂部とを除いて示す斜視図である。図8は、図6のレゾルバを構成する磁性体部材を示す斜視図である。図9は、図6のレゾルバを分解して示す斜視図である。
【0037】
図6に示すように、本実施形態のレゾルバを構成するステータ14は、外周部に設けられた環状の取付板34と、取付板34に嵌り合って固定されたモールド用樹脂48と、周方向複数個所にそれぞれ配置された励磁巻線26、SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30とを含む。
【0038】
また、図7に示すように、励磁巻線26、SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30が、ステータ14の内周部の周方向複数個所に離れて配置された磁性体部材36のうち、隣り合う磁性体部材36の周方向に対向する一対の胴体部32を1組とした、各組の胴体部32の周囲に巻かれている。なお、以下の説明では、励磁巻線26、SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30は、まとめてステータ巻線Rとして説明する場合がある。
【0039】
各胴体部32の一部は、図6に示すモールド用樹脂48の一部によりモールドされている。各励磁巻線26、各SIN出力巻線28及び各COS出力巻線30は、取付板34の外周部に設けられた端子ユニット52を構成する導体部54に接続され、導体部54に接続された端子56に、図示しない導線を接続可能としている。
【0040】
図8に示す磁性体部材36の形状は、上記の第1の実施形態で説明したものと同様であるので、重複する説明を省略する。ステータ14を形成する場合、図9に示すように、取付板34の内周側にステータ巻線R及び磁性体部材36を配置した状態で、取付板34にモールド用樹脂38を取り付け、磁性体部材36を樹脂モールドしている。
【0041】
また、上記の第1の実施形態と同様に、出力巻線28,30の各相分で発生する誘起電圧分布が正弦波等の、円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に、すなわち各突部44(図9)に2つの胴体部32にまたがって分布巻きで巻かれている。
【0042】
このようなレゾルバの場合も、回転角度の検出精度の低下を抑制しつつ、製造作業の容易化とコストの低減とを図れる。その他の構成及び作用は、上記の第1の実施形態と同様である。
【0043】
[第3の実施形態]
図10〜12は、本発明の第3の実施形態を示している。図10は、本実施の形態のレゾルバにおいて、磁性体部材36と巻線26,28,30とを示す図である。図11は、図10から磁性体部材36を取り出して示す斜視図である。図12は、図10の構成において、磁性体部材36とロータ12との間に磁束が流れる様子を示す図である。
【0044】
本実施形態のレゾルバを構成するステータ14では、磁性体部材36に設けられた胴体部32の先端部のうち、ステータ巻線Rから径方向(単に「径方向」という場合、ステータの径方向をいう。以下同じである。)内側に突出する部分を周方向に関してステータ巻線Rの外側に向くように曲げ形成して周方向部58が設けられている。このため、図11に示すように、各磁性体部材36の一対の胴体部32の先端部は、互いに近づくように曲げられている。このため、各磁性体部材36の先端部とロータ12との対向面積を大きくできる。すなわち、図12に矢印αで示すようにステータ14の周方向片側(図12の右側)の周方向部58からロータ12に流れる磁束は、ロータ12内を図12に矢印βで示すように流れ、かつ、矢印γで示すようにステータ14の周方向他側(図12の左側)の周方向部58に流れる。このように胴体部32の先端部とロータ12との対向面積を大きくできるので、ステータ14は、より広範囲で磁束を受けることができ、磁束漏れを抑制できる。その他の構成及び作用は、上記の図6〜9に示した第2の実施形態と同様である。
【0045】
[第4の実施形態]
図13〜15は、本発明の第4の実施形態を示している。図13は、本実施形態のレゾルバを構成する磁性体部材60と巻線26,28,30とを示す図である。図14は、図13から磁性体部材60を取り出して示す斜視図である。図15は、図13の斜視図である。
【0046】
本実施形態のレゾルバを構成するステータでは、図14に示すように、磁性体部材60は、鉄や鋼等の磁性材を線材形状に形成することにより造られており、一対の胴体部62と、一対の胴体部62を連結する連結部64とを有する略U字形に形成されている。なお、磁性体部材60の線材形状の断面は、丸形でも矩形でも他の形状でもよい。また、磁性体部材60に設けられた各胴体部62の先端部のうち、ステータ巻線R(図13)から径方向内側に突出する部分を軸方向(単に「軸方向」という場合、ステータ14の軸方向をいう。)の同方向に向くように曲げ形成している。このため、図14に示すように、各磁性体部材60の一対の胴体部62の先端部は、互いに平行な同方向に向くように略直角に曲げられ、軸方向部66が設けられている。このため、各磁性体部材60の先端部とロータ12との径方向の対向面積を大きくできる。また、磁性体部材60の先端部が軸方向に伸びる線形状であるため、図15に示す、軸方向であるスラスト方向の精度誤差を抑制できる。すなわち、ステータ巻線Rがスラスト方向に移動する場合でも、ロータ12と磁性体部材60とを十分に広い面積で対向させることができる。その他の構成及び作用は、上記の図6〜9に示した第2の実施形態と同様である。
【0047】
[第5の実施形態]
図16〜17は、本発明の第5の実施形態である。図16は、本実施の形態のレゾルバを構成する磁性体部材68と巻線26,28,30とを示す図である。図17は、図16から磁性体部材68を取り出して示す斜視図である。
【0048】
本実施形態のレゾルバでは、磁性体部材68は、複数のU字形の線材70を積層することにより、全体がU字形状に形成されている。各線材70は、鉄、鋼等の磁性材料により形成されるもので、角線、丸線、他の断面形状を有する線材とすることもできる。このような構成によれば、磁性体部材68での渦電流損を低減できる。その他の構成及び作用は、上記の図6〜9に示した第2の実施形態と同様である。
【0049】
[第6の実施形態]
図18は、本発明の第6の実施の形態のレゾルバを構成する磁性体部材72を示す図である。本実施形態のレゾルバでは、磁性体部材72は、複数の断面U字形の薄板の板材74を厚み方向に積層することにより構成されている。各板材74は、鉄、鋼等の磁性材料製である。このような構成によれば、磁性体部材72での渦電流損を低減できる。その他の構成及び作用は、上記の図6〜9に示した第2の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0050】
10 回転軸、12 ロータ、14 ステータ、16 山部、18 外側検出面、20 コア、22 ティース、24 スロット、26 励磁巻線、28 SIN出力巻線、30 COS出力巻線、32 胴体部、34 取付板、36 磁性体部材、38 モールド用樹脂、40 連結部、42 環状部、44 突部、46 鍔部、48 モールド用樹脂、52 端子ユニット、54 導体部、56 端子、58 周方向部、60 磁性体部材、62 胴体部、64 連結部、66 軸方向部、68 磁性体部材、70 線材、72 磁性体部材、74 板材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のティース及び隣り合うティースの間に設けられたスロットと、複数の励磁巻線及び複数相の出力巻線とを含むステータと、外周面に回転角度検出用の検出面を有し、ステータに対し回転可能に配置されたロータとを備えるレゾルバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばハイブリッド車両や電気自動車等の電動車両に搭載され、車輪を駆動するための電動モータや発電機として使用される回転電機の回転角度を検出するためにレゾルバを使用することが考えられている。例えば、従来からレゾルバとして、ステータと、ステータに対向配置され、ステータに対し回転可能であるロータとを含み、ロータの回転角度に応じた出力信号を出力するステータとを備える構造が考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、周方向複数個所に設けられたスロットを有し、スロットに励磁巻線とn相の出力巻線とが設けられたステータと、ステータに対し回転可能に設けられたロータとを備え、ロータは、ステータとの間にギャップパーミアンスが角度θに対して正弦波状に変化する形状を有する鉄心のみで構成されるレゾルバが記載されている。このレゾルバでは、励磁巻線の極数はスロットの数と同一であり、n相の出力巻線の1相分の出力巻線に発生する誘起電圧分布が正弦波分布となるように出力巻線が巻かれている。また、励磁巻線及び出力巻線は、スロットに対して1スロットピッチ毎、すなわちスロット飛びを伴うことなく、各スロットに巻線を入れる状態に分布巻きされている。
【0004】
また、特許文献2には、周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータを備え、励磁巻線とSIN出力巻線及びCOS出力巻線とが1スロットピッチ毎に巻線され、SIN出力巻線及びCOS出力巻線は、誘起電圧分布が正弦波分布となるように分布巻きで構成されるレゾルバが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3182493号公報
【特許文献2】特開2001−352734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載されたレゾルバでは、巻線機による機械巻きを行える可能性はあるが、複数のティースの多くの巻線個所に多くの励磁巻線及び出力巻線が巻かれており、巻き工程に多くの時間を必要とし、製造作業の容易化を図るとともに、コスト低減を図る面から改良の余地がある。また、高周波の電気周波数を使用するレゾルバでは、回転角度検出の精度向上の面から、磁束経路を形成するティースの数が重要である。このため、コスト低減のために単純にティースの数を減らして、そのティースに巻く巻線を減らす構成では、回転角度の検出精度が低下する可能性がある。
【0007】
本発明は、レゾルバにおいて、回転角度の検出精度の低下を抑制しつつ、製造作業の容易化とコストの低減とを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレゾルバは、周方向に離れて配置された複数の磁性材製のティースと、周方向に隣り合うティースの間に設けられたスロットと、複数のティースに巻かれた複数の励磁巻線及び複数相の出力巻線とを含むステータと、外周面に設けられた回転角度検出用の検出面であって、ティースの先端との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して円弧を含む連続波状に変化する回転角度検出用の検出面を有し、ステータに対し回転可能に配置されたロータとを備え、励磁巻線は、2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって巻かれることにより、励磁巻線の極数がスロットの総数の1/2となっており、出力巻線の各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線が2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって分布巻きで巻かれていることを特徴とするレゾルバである。
【0009】
また、本発明に係るレゾルバにおいて、好ましくは、ステータは、隣り合う励磁巻線及び隣り合う出力巻線を磁気的に接続する複数の磁性体部材を備え、各磁性体部材は、周方向に離れて配置され、隣り合う励磁巻線及び隣り合う出力巻線がそれぞれ巻かれる一対の胴体部と、一対の胴体部を連結する連結部とを含むU字形状に形成されている。
【0010】
また、本発明に係るレゾルバにおいて、好ましくは、周方向に隣り合う磁性体部材の間に非磁性材部材が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るレゾルバによれば、励磁巻線は、2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって巻かれることにより、励磁巻線の極数がスロットの総数の1/2となっており、さらに、各相の出力巻線が2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって分布巻きで巻かれているので、巻線個所を少なくできて、巻き工程に要する時間を少なくでき、製造作業の容易化とコストの低減とを図れる。しかも、ティースの数は大きく減少しないので、回転角度の検出精度の低下を抑制できる。さらに、ロータは、外周面に設けられ、ステータとの間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して円弧を含む連続波状に変化する回転角度検出用の検出面を有し、出力巻線の各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線が2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって分布巻きで巻かれているので、出力電圧に含まれる高周波成分を低減させることができ、出力精度をより向上できる。また、巻線機による機械巻きを容易に行え、コストをより低減できる。この結果、回転角度の検出精度の低下を抑制しつつ、製造作業の容易化とコストの低減とを図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のレゾルバを構成するステータの周方向一部を示す模式図である。
【図2】図1において、ロータ及びステータを通過する磁束を説明するためにレゾルバを、巻線個所を少なくして示す模式図である。
【図3】図2の構成で、巻線個所が45度毎に設けられている場合の、巻線構成と出力電圧とを説明するための図である。
【図4】図1のステータの具体的構造の1例の周方向一部を示す図である。
【図5】比較例のレゾルバを構成するステータの周方向一部を示す模式図である。
【図6】本発明に係る第2の実施の形態のレゾルバを示す斜視図である。
【図7】図6の構成において、取付板と樹脂部とを除いて示す斜視図である。
【図8】図6のレゾルバを構成する磁性体部材を示す斜視図である。
【図9】図6のレゾルバを分解して示す斜視図である。
【図10】本発明に係る第3の実施の形態のレゾルバにおいて、磁性体部材と巻線とを示す図である。
【図11】図10から磁性体部材を取り出して示す斜視図である。
【図12】図10の構成において、磁性体部材とロータとの間に磁束が流れる様子を示す図である。
【図13】本発明に係る第4の実施の形態のレゾルバを構成する磁性体部材と巻線とを示す図である。
【図14】図13から磁性体部材を取り出して示す斜視図である。
【図15】図13の斜視図である。
【図16】本発明に係る第5の実施の形態のレゾルバを構成する磁性体部材と巻線とを示す図である。
【図17】図16から磁性体部材を取り出して示す斜視図である。
【図18】本発明に係る第6の実施の形態のレゾルバを構成する磁性体部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下において、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1から図4は、本発明に係る第1の実施形態を示している。本実施形態のレゾルバは、例えば、ハイブリッド車両のモータジェネレータとして使用される回転電機を構成する回転軸の回転角度を検出する等のために使用される。モータジェネレータは、モータや発電機としての機能を有する。
【0014】
図1は、本実施形態のレゾルバを構成するステータの周方向一部を示す模式図である。図2は、図1において、ロータ及びステータを通過する磁束を説明するためにレゾルバを、巻線個所を少なくして示す模式図である。図1に示すように、レゾルバは、回転軸10(図2)の径方向外側に同軸上に嵌合固定されるロータ12(図2)と、ロータ12の径方向外側に対向するように、図示しないケースの内側に固定されたステータ14とを含む。
【0015】
図2に示すように、ロータ12は、例えば複数枚の鋼板を軸方向に積層することにより形成される積層鋼板等の磁性材料により構成され、中央部に回転軸10に嵌合するための中心孔が形成されている。また、ロータ12の外周面は、直径方向反対側2個所位置に設けた山部16を有する断面が非円形の曲線形状であり、山部16に対応する位置での外径が最大となり、山部16と90度位相が異なる周方向2個所位置に対応する位置での外径が最小となるようにしている。このようなロータ12の外周面は、ステータ14(図1)に対向し、回転角度検出用の外側検出面18を形成する。すなわち、ロータ12は、外周面に外側検出面18を有する。また、ロータ12は、ステータ14に対し回転可能に配置されている。
【0016】
なお、ロータ12の外周面形状は図示の例に限定するものではなく、例えば円筒面の周方向複数個所に径方向に突出する突部を形成して凹凸形状とする等、種々の形状を採用できる。
【0017】
また、図1に示すように、ステータ14は、環状のコア20と、コア20の内周側に設けられ、周方向に離れて配置された複数の磁性材製のティース22と、周方向に隣り合うティース22の間に設けられたスロット24と、複数のティース22にそれぞれ巻かれた複数の励磁巻線26及び複数相の出力巻線であるSIN出力巻線28及びCOS出力巻線30とを含む。
【0018】
また、図2に示すように、ロータ12に設けられた外側検出面18と、ステータ14のティース22の先端との間のギャップパーミアンスは、ロータ12の回転角度θに対して円弧を含む連続波状、例えば正弦波状に変化する。なお、ロータ12の外側検出面18を単なる円形とするとともに、ロータ12の回転中心軸とステータ14の中心軸とをずらせる、すなわち偏心させることで、ギャップパーミアンスを、回転角度θに対して円弧を含む連続波状、例えば正弦波状に変化可能とすることもできる。
【0019】
一方、複数の励磁巻線26及び出力巻線28,30のうち、複数の励磁巻線26は、1相分であり、2スロットピッチ毎に2つのティース22にまたがってそれぞれ巻かれている。各励磁巻線26は、周方向に隣り合うもの同士で互いに直列接続されている。このため、励磁巻線26の極数は、スロット24の総数の1/2となっている。さらに、複数の励磁巻線26は、ステータ14の周方向に関して正巻きと逆巻きとが交互に変化している。したがって、図2に破線矢印で示すように、ロータ12とステータ14とに磁束が通過する。
【0020】
また、それぞれ複数ずつの2相の出力巻線であるSIN出力巻線28及びCOS出力巻線30は、各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状、例えば正弦波状での分布となるように、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に、各励磁巻線26が巻かれたティース22と同じ2つのティース22にまたがって分布巻きで巻かれている。すなわち、各相の出力巻線28,30の巻き数が円弧を含む連続波状分布となるように、例えば巻き数が正弦波状分布となるようにステータ14の周方向複数個所に、徐々にずれるように分布して巻かれている。
【0021】
また、各相の出力巻線28,30は、周方向に隣り合うもの同士で直列接続されている。なお、図1、図2では、励磁巻線26、SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30が同じであるような図示をしているが、実際には、ステータ14の周方向複数個所で、互いに別の巻線26,28,30が同じ2つのティース22にまたがって巻かれている。
【0022】
SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30は、互いに電気角で90°ずれている。図3は、図2の構成で、巻線個所が45度毎に設けられている場合の、巻線構成と出力電圧とを説明するための図である。以下の説明では、図1、図2に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。図3に示すように、各相の出力巻線28,30の巻き数は、回転角度θに対するSINθまたはCOSθに比例した巻き数であり、かつその巻き方向に対応する極性が、励磁巻線26の極性とSIN出力電圧またはCOS出力電圧とから決定されている。すなわち、励磁巻線26が正巻きで出力巻線28,30が正巻きの場合は同相出力が出力され、励磁巻線26が正巻きで出力巻線28,30が逆巻きの場合は逆相出力が出力されるようにする。また、励磁巻線26が逆巻きで出力巻線28,30が正巻きの場合は逆相出力が出力され、励磁巻線26が逆巻きで出力巻線28,30が逆巻きの場合は同相出力が出力されるようにする。このようにして、各相の出力巻線28,30の極性、すなわち正巻きか逆巻きかが決定されている。また、SIN出力巻線28のSIN出力電圧及びCOS出力巻線30のCOS出力電圧が、それぞれSIN状及びCOS状となっている。
【0023】
図4は、本実施形態の具体的構成を示している。図4において、図1、図2に示した要素に対応する要素は、ティース22及び胴体部32を除いて同一の符号で示している。図4は、図1のステータの具体的構造の1例の周方向一部を示す図である。図4に示すように、ステータ14は、樹脂等の非磁性材料により形成される環状の取付板34と、複数の磁性体部材36と、モールド用樹脂38とを含む。
【0024】
また、各磁性体部材36は、後述する第2の実施形態を示す図8のように形成されている。すなわち各磁性体部材36は、図8を参照するように、ケイ素鋼板等の電磁鋼板等の磁性材製の薄板を曲げ形成することにより造られている。また、各磁性体部材36は、周方向(単に「周方向」という場合はステータの周方向をいう。)に離れて配置され、周方向に隣り合う励磁巻線26(図4)及び周方向に隣り合う各出力巻線28,30(図4)がそれぞれ巻かれる一対の胴体部32と、一対の胴体部32を連結する連結部40とを含むU字形状に形成されている。また、一対の胴体部32によりティースが構成されている。図4に示すように、各磁性体部材36は、周方向に隣り合う励磁巻線26同士、周方向に隣り合うSIN出力巻線28同士、及び周方向に隣り合うCOS出力巻線30同士をそれぞれ磁気的に接続する。励磁巻線26及び各出力巻線28,30は、外部の図示しない演算回路に接続されている。
【0025】
また、モールド用樹脂38は、取付板34に固定されて、励磁巻線26及び各出力巻線28,30と磁性体部材36の一部とをモールドしている。すなわち、モールド用樹脂38は、取付板34の内周部に固定される環状部42と、環状部42の周方向複数個所で径方向内側に突出するボビン形状部である突部44と、各突部44の先端部に設けられ、周方向両側に突出する鍔部46とを含む。環状部42に各磁性体部材36の連結部40がモールドされ、突部44及び鍔部46に各磁性体部材36の胴体部32の先端部を除く部分がモールドされている。各胴体部32の先端部は、鍔部46の先端面から突出している。各突部44において、周方向両端部に、隣り合う磁性体部材36の胴体部32が配置されている。このため、周方向に隣り合う磁性体部材36の間に非磁性体部材であるモールド用樹脂38の一部が設けられている。また、各突部44の周囲に励磁巻線26及びSIN出力巻線28及びCOS出力巻線30が巻かれている。各鍔部46は、各巻線26,28,30の突部44に対する脱落を阻止する。
【0026】
このような図4の構成の基本的機能は、図1に模式図を示した構成の場合と同様である。すなわち、図4の構成では、磁性体部材36の各胴体部32が、図1の構成のティース22に対応する。また、ステータ14の内周部で周方向に隣り合う突部44の間にスロット24が形成されている。また、各突部44にモールドされている、周方向に隣り合う磁性体部材36の胴体部32の先端部の間と鍔部46の先端面とにより形成される溝状部分にも、スロット24が形成されている。このため、図1の構成と同様に、励磁巻線26は、2スロットピッチ毎に2つのティースである胴体部32にまたがって巻かれている。このため、励磁巻線26の極数は、胴体部32の総数の1/2となっている。
【0027】
また、出力巻線28,30の各相分で発生する誘起電圧分布が正弦波等の、円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に、すなわち各突部44に2つの胴体部32にまたがって分布巻きで巻かれている。また、ロータ12(図2)の回転角度検出用の外側検出面18と、胴体部32の先端との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して正弦波等の、円弧を含む連続波状に変化するようにしている。
【0028】
このようなレゾルバによれば、励磁巻線26は、2スロットピッチ毎に2つのティースである胴体部32にまたがって巻かれることにより、励磁巻線26の極数がスロット24の総数の1/2となっており、さらに、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に2つの胴体部32にまたがって分布巻きで巻かれている。このため、巻線個所を少なくできて、巻き工程に要する時間を少なくでき、製造作業の容易化と、コストの低減とを図れる。しかも、磁性材製の胴体部32の数は大きく減少しないので、回転角度の検出精度の低下を抑制できる。すなわち、高周波の電気周波数を使用するレゾルバでは、磁束経路を形成するティースである胴体部32の数が多いほど、回転角度検出の精度を向上できる。すなわち、励磁巻線26の極数が少なくなり、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に2つの胴体部32にまたがって巻かれるのにもかかわらず回転角度検出の精度を十分に確保できる。
【0029】
また、各胴体部32の周方向の厚さを小さくでき、各突部44の周方向長さを小さくできるので、励磁巻線26及び各相の出力巻線28,30の巻線長を短くしやすくなる。すなわち、高周波の電気周波数を使用するレゾルバでは、ステータ14において、表皮効果により各巻線26,28,30が巻かれる磁性材製の部分のうち、各巻線26,28,30と対向する表面部分にしか磁束が流れない。このため、磁性材製部分である各胴体部32の周方向の厚さを十分に小さくできる。また、胴体部32間に磁性材料部分を設ける必要がないので、軽量化を図れる。
【0030】
また、周方向に隣り合う磁性体部材36の間に非磁性材部材であるモールド用樹脂38の一部が設けられているので、巻線26,28,30の締め付けによる胴体部32の変形を防止でき、巻線26,28,30を巻く部分の強度向上を図れる。
【0031】
さらに、ロータ12は、外周面に設けられ、ステータ14との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して円弧を含む連続波状に変化する外側検出面18を有し、出力巻線28,30の各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に2つの胴体部32にまたがって分布巻きで巻かれている。このため、出力電圧に含まれる高周波成分を低減させることができ、出力精度をより向上できる。また、巻線機による機械巻きを容易に行え、コストをより低減できる。この結果、回転角度の検出精度の低下を抑制しつつ、製造作業の容易化とコストの低減とを図れる。
【0032】
なお、上記の実施形態では、複数相の出力巻線28,30として、誘起電圧が正弦波状に分布するSIN出力巻線28及びCOS出力巻線30を使用した場合を説明した。ただし、複数相の出力巻線28,30は、このような構成に限定するものではなく、出力巻線28,30の各相分で発生する誘起電圧分布が正弦波以外の、円弧を含む連続波状での分布となっているものでもよい。また、ロータ12の外周面に設けられた外側検出面18と、胴体部32の先端との間のギャップパーミアンスは、回転角度θに対して正弦波状に変化する構成に限定するものではなく、回転角度θに対して正弦波以外の円弧を含む連続波状に変化する構成としてもよい。このため、ロータ12の外形形状の形状精度を過度に高くせずに済み、製造作業の容易化を図れ、さらに形状の管理に要する時間の短縮を図れる。したがって、レゾルバの製造コストの低減を図りやすくなる。
【0033】
さらに、図4に示す構成では、ステータ14の取付板34及びモールド用樹脂38を樹脂により形成できるため、ステータ14の巻線以外の部分の多くを積層鋼板等の磁性材により形成する場合に比べて、軽量化を図れる。
【0034】
これに対して、図5は、比較例のレゾルバを構成するステータ14の周方向一部を示す模式図である。この比較例のレゾルバでは、ステータ14の内周部に設けられた各ティース22に1スロットピッチで、励磁巻線26及びSIN出力巻線28及びCOS出力巻線30が巻かれている。また、各ティース22に1スロットピッチで、SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30は、それぞれで発生する誘起電圧分布が正弦波状での分布となるように、複数のティース22に分布巻きで巻かれている。
【0035】
このような比較例では、励磁巻線26の極数と、各相の出力巻線28,30の数とが、それぞれスロット24の総数と同じとなる。このため、巻線個所が多くなり、巻き工程に要する時間が長くなるため、製造作業の容易化を図るとともに、コストの低減を図る面から改良の余地がある。これに対して、上記の図1〜4に示した実施形態によれば、このような不都合を解消できる。
【0036】
[第2の実施形態]
図6〜9は、本発明の第2の実施形態を示している。図6は、本実施の形態のレゾルバを示す斜視図である。図7は、図6の構成において、取付板と樹脂部とを除いて示す斜視図である。図8は、図6のレゾルバを構成する磁性体部材を示す斜視図である。図9は、図6のレゾルバを分解して示す斜視図である。
【0037】
図6に示すように、本実施形態のレゾルバを構成するステータ14は、外周部に設けられた環状の取付板34と、取付板34に嵌り合って固定されたモールド用樹脂48と、周方向複数個所にそれぞれ配置された励磁巻線26、SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30とを含む。
【0038】
また、図7に示すように、励磁巻線26、SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30が、ステータ14の内周部の周方向複数個所に離れて配置された磁性体部材36のうち、隣り合う磁性体部材36の周方向に対向する一対の胴体部32を1組とした、各組の胴体部32の周囲に巻かれている。なお、以下の説明では、励磁巻線26、SIN出力巻線28及びCOS出力巻線30は、まとめてステータ巻線Rとして説明する場合がある。
【0039】
各胴体部32の一部は、図6に示すモールド用樹脂48の一部によりモールドされている。各励磁巻線26、各SIN出力巻線28及び各COS出力巻線30は、取付板34の外周部に設けられた端子ユニット52を構成する導体部54に接続され、導体部54に接続された端子56に、図示しない導線を接続可能としている。
【0040】
図8に示す磁性体部材36の形状は、上記の第1の実施形態で説明したものと同様であるので、重複する説明を省略する。ステータ14を形成する場合、図9に示すように、取付板34の内周側にステータ巻線R及び磁性体部材36を配置した状態で、取付板34にモールド用樹脂38を取り付け、磁性体部材36を樹脂モールドしている。
【0041】
また、上記の第1の実施形態と同様に、出力巻線28,30の各相分で発生する誘起電圧分布が正弦波等の、円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線28,30が2スロットピッチ毎に、すなわち各突部44(図9)に2つの胴体部32にまたがって分布巻きで巻かれている。
【0042】
このようなレゾルバの場合も、回転角度の検出精度の低下を抑制しつつ、製造作業の容易化とコストの低減とを図れる。その他の構成及び作用は、上記の第1の実施形態と同様である。
【0043】
[第3の実施形態]
図10〜12は、本発明の第3の実施形態を示している。図10は、本実施の形態のレゾルバにおいて、磁性体部材36と巻線26,28,30とを示す図である。図11は、図10から磁性体部材36を取り出して示す斜視図である。図12は、図10の構成において、磁性体部材36とロータ12との間に磁束が流れる様子を示す図である。
【0044】
本実施形態のレゾルバを構成するステータ14では、磁性体部材36に設けられた胴体部32の先端部のうち、ステータ巻線Rから径方向(単に「径方向」という場合、ステータの径方向をいう。以下同じである。)内側に突出する部分を周方向に関してステータ巻線Rの外側に向くように曲げ形成して周方向部58が設けられている。このため、図11に示すように、各磁性体部材36の一対の胴体部32の先端部は、互いに近づくように曲げられている。このため、各磁性体部材36の先端部とロータ12との対向面積を大きくできる。すなわち、図12に矢印αで示すようにステータ14の周方向片側(図12の右側)の周方向部58からロータ12に流れる磁束は、ロータ12内を図12に矢印βで示すように流れ、かつ、矢印γで示すようにステータ14の周方向他側(図12の左側)の周方向部58に流れる。このように胴体部32の先端部とロータ12との対向面積を大きくできるので、ステータ14は、より広範囲で磁束を受けることができ、磁束漏れを抑制できる。その他の構成及び作用は、上記の図6〜9に示した第2の実施形態と同様である。
【0045】
[第4の実施形態]
図13〜15は、本発明の第4の実施形態を示している。図13は、本実施形態のレゾルバを構成する磁性体部材60と巻線26,28,30とを示す図である。図14は、図13から磁性体部材60を取り出して示す斜視図である。図15は、図13の斜視図である。
【0046】
本実施形態のレゾルバを構成するステータでは、図14に示すように、磁性体部材60は、鉄や鋼等の磁性材を線材形状に形成することにより造られており、一対の胴体部62と、一対の胴体部62を連結する連結部64とを有する略U字形に形成されている。なお、磁性体部材60の線材形状の断面は、丸形でも矩形でも他の形状でもよい。また、磁性体部材60に設けられた各胴体部62の先端部のうち、ステータ巻線R(図13)から径方向内側に突出する部分を軸方向(単に「軸方向」という場合、ステータ14の軸方向をいう。)の同方向に向くように曲げ形成している。このため、図14に示すように、各磁性体部材60の一対の胴体部62の先端部は、互いに平行な同方向に向くように略直角に曲げられ、軸方向部66が設けられている。このため、各磁性体部材60の先端部とロータ12との径方向の対向面積を大きくできる。また、磁性体部材60の先端部が軸方向に伸びる線形状であるため、図15に示す、軸方向であるスラスト方向の精度誤差を抑制できる。すなわち、ステータ巻線Rがスラスト方向に移動する場合でも、ロータ12と磁性体部材60とを十分に広い面積で対向させることができる。その他の構成及び作用は、上記の図6〜9に示した第2の実施形態と同様である。
【0047】
[第5の実施形態]
図16〜17は、本発明の第5の実施形態である。図16は、本実施の形態のレゾルバを構成する磁性体部材68と巻線26,28,30とを示す図である。図17は、図16から磁性体部材68を取り出して示す斜視図である。
【0048】
本実施形態のレゾルバでは、磁性体部材68は、複数のU字形の線材70を積層することにより、全体がU字形状に形成されている。各線材70は、鉄、鋼等の磁性材料により形成されるもので、角線、丸線、他の断面形状を有する線材とすることもできる。このような構成によれば、磁性体部材68での渦電流損を低減できる。その他の構成及び作用は、上記の図6〜9に示した第2の実施形態と同様である。
【0049】
[第6の実施形態]
図18は、本発明の第6の実施の形態のレゾルバを構成する磁性体部材72を示す図である。本実施形態のレゾルバでは、磁性体部材72は、複数の断面U字形の薄板の板材74を厚み方向に積層することにより構成されている。各板材74は、鉄、鋼等の磁性材料製である。このような構成によれば、磁性体部材72での渦電流損を低減できる。その他の構成及び作用は、上記の図6〜9に示した第2の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0050】
10 回転軸、12 ロータ、14 ステータ、16 山部、18 外側検出面、20 コア、22 ティース、24 スロット、26 励磁巻線、28 SIN出力巻線、30 COS出力巻線、32 胴体部、34 取付板、36 磁性体部材、38 モールド用樹脂、40 連結部、42 環状部、44 突部、46 鍔部、48 モールド用樹脂、52 端子ユニット、54 導体部、56 端子、58 周方向部、60 磁性体部材、62 胴体部、64 連結部、66 軸方向部、68 磁性体部材、70 線材、72 磁性体部材、74 板材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に離れて配置された複数の磁性材製のティースと、周方向に隣り合うティースの間に設けられたスロットと、複数のティースに巻かれた複数の励磁巻線及び複数相の出力巻線とを含むステータと、
外周面に設けられた回転角度検出用の検出面であって、ティースの先端との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して円弧を含む連続波状に変化する回転角度検出用の検出面を有し、ステータに対し回転可能に配置されたロータとを備え、
励磁巻線は、2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって巻かれることにより、励磁巻線の極数がスロットの総数の1/2となっており、
出力巻線の各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線が2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって分布巻きで巻かれていることを特徴とするレゾルバ。
【請求項2】
請求項1に記載のレゾルバにおいて、
ステータは、隣り合う励磁巻線及び隣り合う出力巻線を磁気的に接続する複数の磁性体部材を備え、
各磁性体部材は、周方向に離れて配置され、隣り合う励磁巻線及び隣り合う出力巻線がそれぞれ巻かれる一対の胴体部と、一対の胴体部を連結する連結部とを含むU字形状に形成されていることを特徴とするレゾルバ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレゾルバにおいて、
周方向に隣り合う磁性体部材の間に非磁性材部材が設けられていることを特徴とするレゾルバ。
【請求項1】
周方向に離れて配置された複数の磁性材製のティースと、周方向に隣り合うティースの間に設けられたスロットと、複数のティースに巻かれた複数の励磁巻線及び複数相の出力巻線とを含むステータと、
外周面に設けられた回転角度検出用の検出面であって、ティースの先端との間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して円弧を含む連続波状に変化する回転角度検出用の検出面を有し、ステータに対し回転可能に配置されたロータとを備え、
励磁巻線は、2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって巻かれることにより、励磁巻線の極数がスロットの総数の1/2となっており、
出力巻線の各相分で発生する誘起電圧分布が円弧を含む連続波状での分布となるように、各相の出力巻線が2スロットピッチ毎に2つのティースにまたがって分布巻きで巻かれていることを特徴とするレゾルバ。
【請求項2】
請求項1に記載のレゾルバにおいて、
ステータは、隣り合う励磁巻線及び隣り合う出力巻線を磁気的に接続する複数の磁性体部材を備え、
各磁性体部材は、周方向に離れて配置され、隣り合う励磁巻線及び隣り合う出力巻線がそれぞれ巻かれる一対の胴体部と、一対の胴体部を連結する連結部とを含むU字形状に形成されていることを特徴とするレゾルバ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレゾルバにおいて、
周方向に隣り合う磁性体部材の間に非磁性材部材が設けられていることを特徴とするレゾルバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−27130(P2013−27130A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159104(P2011−159104)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(594183299)株式会社松尾製作所 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(594183299)株式会社松尾製作所 (35)
【Fターム(参考)】
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