説明

レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器及びその容器の製造方法

【課題】レトルト処理した飲食品収納熱可塑性樹脂容器において、高価な部材や設備を必要とせずに簡易な手段によりレトルト処理済みを確認し管理することができ、レトルト処理温度を履歴したのみではなくレトルト処理を所定どおりに受けたことを確認でき、消費者も商品がレトルト処理済みかを容易に確実に確認できる、レトルト処理済みの確認手法を開発する。
【解決手段】熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを延伸ブロー成形して容器を製造する際に、2段ブロー成形を行い、急冷手段により容器の一部に未延伸又は低延伸部分が生じるように延伸ブローして容器を成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器及びその容器の製造方法に関し、詳しくは、レトルト処理すべき容器がレトルト処理済みか否かを容易に確認できる熱可塑性樹脂容器、及び熱可塑性樹脂プリフォームを延伸ブロー成形して容器を製造し、その後にレトルト加熱処理する際に、レトルト済みが確認可能な部分を形成する、その容器の製造方法に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
最近の日常生活における利便化志向や消費者の生活スタイルの多様化傾向などにより、特に消費者による小型の携帯用ペットボトル飲料の格別な重用に見られるように、飲料や食品などにおいても缶詰やプラスチック容器製品の需要や嗜好が益々増大しており、また、飲食品の衛生安全管理の厳格化指向から、缶やプラスチック容器に飲食品を収納密封後にレトルト処理(高温加熱処理)をして加熱殺菌をすることも重要となっている。
【0003】
収納すべき飲食品などを収納密封後にレトルト装置によりレトルト処理をする製造工程は、高温にて飲食品を加熱処理をして腐敗菌を殺菌し製品として保存中の飲食品の腐敗を防ぎ、またバクテリア菌を滅菌して飲食品の変質を抑え風味も変化させずに長期に保存するための重要な工程であるので、製造工程において生産品がレトルト処理を受けたことを、製造作業者が、製品集積箱にレトルト処理済みを示すラベルを貼り、或いは加熱履歴により変色する感熱紙を利用するなどして、確認をし厳密に管理する必要がある。
しかし、そのような確認と管理の作業は、製造作業者にとってかなりの負担となり、また、完全な確認と管理は必ずしも保証はされず、レトルト未処理の製品が誤って出荷されて、製品の飲食品の風味が変質し、万一にも飲食品などが腐敗を生じれば生産者や消費者にとって重大な問題となる。
【0004】
そのような問題の発生を防止し、また、生産品におけるレトルト処理済みの確認と管理による製造作業者の負担をなくし、さらに生産効率を高めるためには、基本的には、レトルト処理工程を自動化し生産ラインに組み込めばよいが、通常のレトルト処理は温度が100℃又はそれ以上で時間が数分又はそれ以上を必要とし、その条件管理が微妙で難しく、また、飲食品などの種類によりレトルト条件が異なるので、レトルト処理自動化工程によりレトルト処理を確実かつ厳密に行うのは容易ではなく、さらに、レトルト処理自動化工程やその他の工程において自動化生産ラインのトラブルが発生すれば、製造作業者によりそのトラブルが処理され生産ラインが再起動される際に、誤ってレトルト処理が不充分又は未処理の生産品が製造され出荷される惧れもある。
【0005】
そのために、前記のような問題の発生を防止し、また、生産品におけるレトルト処理済みの確認と管理による製造作業者の負担をなくし、生産品のレトルト処理の確認と管理を厳密かつ確実に行うための、各種の手法が従来から開発されている。
基本的でかつ比較的に簡易な手法として、レトルト処理の高温で変色乃至は消色する示温性インク材料が利用され、具体的には例えば、積層包材シートの積層フィルム間に殺菌温度での水蒸気変色性インジケーターインキ層を形成して、レトルト処理の充分な加熱と完全な殺菌を正確かつ簡便に確認できるとする安価なレトルト包材シート(特許文献1を参照)、所定の加熱殺菌条件下で変色ないし消色する蛍光示温インクにより生産者のデータ(缶内圧など)を缶詰に印刷し、殺菌工程前後の示温インクの色を比較判定してレトルト処理済を確認し、励起光を照射して生産者のデータを読み取る不良缶詰検出方法(特許文献2を参照)などが提示されている。
また、温度変化をバイメタルを利用して検知しレトルト処理を確認する手法として、温度変化に応じて変動する二種類のバイメタルにより変位させられる感温部材を利用する温度履歴センサーを使用して、温度履歴の検知によりレトルト処理済みを確認する手法(特許文献3を参照)、温度変化によるバイメタルの変動により作動するサーモチェッカーの位置変化を自動的に読み取り、飲料を封入した容器の滅菌状況を検査し確認する滅菌検査装置(特許文献4を参照)なども提示されている。
さらに、熱処理済み確認システムを設置する手法として、レトルト処理すべき生産品を搬送する工程ラインにおけるレトルト処理装置付近の架台に、処理温度の履歴を留め得る検出センサーを設け、検出センサーに記憶表示体を被せて熱履歴を確認する、熱処理工程における熱処理済み確認システム(特許文献5を参照)も提示されている。
【0006】
このような種々の手法において、レトルト処理の高温で変色ないしは消色する示温性インク材料を利用する手法では、特殊で比較的高価な示温性のインクを必要とし、印刷装置と印刷工程も要し、印刷したインクが剥がれてしまうこともあり、さらにレトルト処理温度に達したことを確認できてもレトルト処理を充分に受けたかまでは必ずしも確認できない。
また、温度変化をバイメタルを利用して検知しレトルト処理を確認する手法では、特殊な感温部材を利用する温度履歴センサーや、バイメタルの変動により作動するサーモチェッカーの位置変化を読み取る滅菌検査装置を必要とし、生産工程の設備費がかなり高価となる。
さらに、熱処理工程における熱処理済み確認システムを設置する手法では、レトルト処理を充分に受けことを確認できるとしても、処理温度の履歴を留め得る検出センサーや記憶表示体などを付設した格別に高価となる特殊な熱処理済み確認システムの設置が必要となってしまう。
なお、以上の従来のいずれの手法も、生産者がレトルト処理済みを確認する視点からの方法乃至は装置であり、特許文献2においてのみ、消費者がレトルト処理済みを確認することに僅かに言及されているが(要約及び段落0007)、蛍光示温インクの色を比較判定してレトルト処理済を確認するので、消費者にとって必ずしも容易で簡便な確認手法であるとはいえず、レトルト処理を充分に受けたかまでは確認できない。
【0007】
最近においては、生産者及び消費者が製品のレトルト処理済みを容易に簡便に確認することができる容器として、内容液充填後のレトルト処理のような熱処理による結晶化により底面中心部の未延伸部分を白化させた、二軸延伸ブロー成形によるポリエチレンテレフタレート系樹脂製の食品用壜体が提示されており、熱処理工程に伴う結晶化による壜体の底面中心部の白化を、製品が熱処理済みであることを確認するためのインジケーターとして利用する製品製造工程管理方法とされているが(特許文献6を参照)、ポリエチレンテレフタレート系樹脂製の食品用壜体自体が高温長時間のレトルト処理には耐え難いと考えられ、実用化されるのは必ずしも容易ではない。
【0008】
【特許文献1】特開2003−334897号公報(要約)
【特許文献2】特開2004−203464号公報(要約及び段落0007)
【特許文献3】特開2003−344174号公報(要約)
【特許文献4】特開2002−104336号公報(要約及び段落0016,0020)
【特許文献5】特開2002−142736号公報(要約)
【特許文献6】特開2005−313932号公報(要約及び特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
背景技術の段落0002〜0006において前述したように、飲食品などを充填した缶詰やプラスチック容器をレトルト処理することは生産過程における重要な工程であるが、製造作業者によるレトルト処理の確認と管理は作業負担が大きく完全な確認と管理は困難であるので、レトルト処理の確認と管理を確実に完全に行うことをなすべく各種の方法や装置が開示されているところ、そのような従来の対応手法では、(i)レトルト処理温度に達したことを確認できてもレトルト処理を充分に受けたかまでは必ずしも確認できず、(ii)特殊な感温部材を利用する温度履歴センサーを必要としたり、サーモチェッカー読取装置や温度履歴検出センサーなどを付設した熱処理済み確認システムの設置が必要となり生産工程の設備費が高価となる、(iii)消費者においてレトルト処理済を確認できない、などの問題をなお内在している現状となっている。
本発明はかかる問題の解決を図り、特殊な検出センサーや確認システムなどの高価な部材や設備を必要とせずに簡易な手段によりレトルト処理済を確認し管理することができ、特に、レトルト処理温度を履歴したのみではなくレトルト処理を所定どおりに受けたことを確認でき、消費者も商品がレトルト処理済みか否かを容易に確実に確認できる、レトルト処理の確認手法を実現することを発明が解決すべき課題とするものである。
【0010】
本発明者らは、このような発明の課題を解決して、上記したレトルト処理確認手法を実現するために、特に、最近において需要量の非常に高い、いわゆるペットボトルなどのポリエステル樹脂容器に代表されるプラスチック容器において、かかるレトルト処理確認手法を開発することを目指し、前記した従来の各種のレトルト確認手法を踏まえて、新規な確認手法を探索すべく、一般的な各種の温度履歴検知法や加熱処理検知システムからレトルト処理されるポリエステル樹脂材料や容器製造の延伸ブロー成形工程などにわたり、種々の考察と検索を行った。
そして、その過程において、プラスチック容器本体に直接にレトルト処理済みの確認表示を付与できれば、高価な設備を必要とせずに簡易な手段によりレトルト処理済を確認し管理することができると考え、このためには、先の特許文献6に提示された手法であるところの、ポリエステル樹脂容器の延伸ブロー成形の際に未延伸乃至低延伸の部分が後加熱により白化する現象を加熱履歴を表示するために利用するのが好便であると認識して、収納飲食品充填後のレトルト処理による結晶化により底面中心部の未延伸部分を白化させた、二軸延伸ブロー成形によるポリエステル樹脂容器の実用化と商品化を検討した。
【0011】
ところが、先の特許文献6に提示されている、レトルト処理による結晶化により底面中心部の未延伸部分を白化させた、二軸延伸ブロー成形によるポリエステル樹脂製の飲食品用容器では、ポリエステル樹脂製の容器自体が高温長時間のレトルト処理には耐え難く、実用化されるのは容易ではないことが判明した。
【0012】
特許文献6においては、1段ブロー成形によりポリエチレンテレフタレート製プリフォームを延伸ロッド(ストレッチロッド)及び支持ピン(プレスロッド)で挟み込みながら延伸ロッドを前進させ支持ピンを後退させて延伸し、底面中心部に厚肉透明の未延伸部を形成しつつ、ブロー成形によって壜体を形成する方法が提示され、この容器に内容物を充填・密封しておき、レトルトを処理を行うと、壜体底面中心部の厚肉透明部が白化することで、レトルトを行ったかどうかを確認できる旨が記載されている(特許文献6の段落0006〜0007、0032及び図3を参照 )。
ところが、提示された1段ブロー成形法では、レトルト処理に耐え得る耐熱性を有する容器を成形することができず、容器そのもののレトルト耐性が得られないため製品としての実用化に適さない。
また、レトルト耐性を得ようとして、従来の2段ブロー成形法を利用して耐熱性の容器を成形し、かつ、底部に厚肉透明部を設けようとすると、1次ブロー後の中間体を熱収縮させる時に、厚肉透明部が熱収縮のための再加熱時の高温によって充分白化する温度に到達し、2段ブロー後に徐冷されると先に白化してしまい、レトルト処理確認の目的を達成できないものになってしまうことが判明した。(1段ブローのプリフォーム加熱温度は100℃前後で比較的低温なのに対し、2段ブロー前の熱収縮時の温度は200℃前後と高温のため、徐冷すると厚肉透明部が白化する。)
【0013】
先行技術におけるかかる重要な問題点の認識を踏まえて、本発明者らは更にポリエステル樹脂材料や容器製造の延伸ブロー成形工程などについての検討を続けて、容器自体が高温長時間のレトルト処理には耐え得る耐熱性ポリエステル樹脂容器において、レトルト処理による結晶化により底面中心部の未延伸部分を白化させた、二軸延伸ブロー成形によるポリエステル樹脂製の飲食品用容器の実現を図り、実験による実証を重ねた。
そして、2段ブロー成形法における2段ブロー後の徐冷時に、容器底面中心部の未延伸部が先に白化してしまうことを避けて、レトルト処理時に白化させてレトルト処理確認の目的を達成するために、ポリエステル樹脂などのプラスチック容器の2段延伸ブロー成形の際に容器の一部に未延伸乃至低延伸の部分を残しつつその部分を急冷すれば、その部分が後加熱により白化するので、その部分をレトルト処理の加熱により白化させ、レトルト処理済み確認部分を形成させ得る、新規で重要な手法を見い出すに至った。
【0014】
しかして、本発明は、かかる新規な手法によって、熱可塑性樹脂により成形した容器の一部に、延伸処理後のレトルト処理加熱により生じる白化部からなるレトルト処理済み確認部分を形成した、レトルト処理済みが確認可能な、2段ブロー成形による耐熱性の高い熱可塑性樹脂容器、を基本的な構成とする。
レトルト処理済み確認部分は、白化部が製品において目立たなくするなどの理由により、好ましくは、容器の底面部に形成され、特に、容器の底面の中心部に円形形状として形成される。或いは、延伸成形されないために耐熱性を熱結晶化により付与される白化ノズル部分(容器の首部)に沿って、ノズル下部分に略筒状に形成される。また、白化部をこれらの底面部とノズル下部分の双方の箇所に形成してもよいし、他の任意の箇所でもよい。
【0015】
その白化部を形成する手段としては、熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを延伸ブロー成形する際に、2段ブロー成形法を使用して、プリフォームの一部に未延伸又は低延伸部分が生じるように延伸ブローして耐熱性の高い容器を成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により、未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成する。
より具体的には例えば、熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを、先ず、好ましくは未延伸又は低延伸部分が生じるように、二軸延伸ブロー成形して中間体を形成し、この中間体を加熱熱収縮後、2次ブロー成形する際に、ロッド先端部の底面を冷却した延伸ロッドにより中間体を垂直方向に延伸して、容器底面の中心部に急冷された未延伸又は低延伸部分が生じるように延伸ブローして容器を成形し、或いは底面部を、延伸ロッドと上面を冷却した支持ピンとで挟み込んで、容器底面の中心部に急冷された未延伸又は低延伸部分が生じるようにブローして容器を成形し、更に或いは、ノズル下の未延伸又は低延伸部分の厚肉部をブロー金型の冷却された部分で挟み込んで急冷しつつブロー成形して容器を形成し、容器に透明乃至半透明の厚肉部分を設けておき、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により透明乃至半透明の未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成する。
なお、上記した、容器底面の中心部に急冷された未延伸又は低延伸部分を生じさせる手法と、容器ノズル下に急冷された未延伸又は低延伸部分を生じさせる手法を併用してもよい。
【0016】
以上のように構成される本発明は従来の手法とは全く異なる観点からの、未延伸部の白化によるレトルト処理確認手段を、実用化して商品になし得る新規な発明であって、レトルト耐性に優れる2段ブロー成形容器に用いることを主要な構成の要件とする手法であり、本発明においては、飲食品などの内容物収納プラスチック容器製品の底面部及び/又はノズル下などに形成された、レトルト加熱により生成される白化部の存否によって、レトルト処理を受けたか否かの確認を簡便に確実にすることができる。
かくして本発明は、特にレトルト耐性に優れる2段ブロー成形容器において、(i)加熱履歴検知のための高価な部材や設備を必要とせずに簡易な手段によりレトルト処理済みを確認し管理することができ、(ii)製造作業者が飲食品収納プラスチック容器製品の生産工程におけるレトルト処理を、作業負担や確認ミスなく、確実に確認し完全に管理することができ、(iii)白化部は、レトルト処理温度を単に履歴したのみでは生じず、レトルト処理を所定どおりの温度と時間において受けることにより生成されるので、レトルト処理温度に達したことを確認するのではなく、レトルト処理を充分に受けたかを確認し保証することができ、(iv)プラスチック延伸ブロー成形の工程中において、白化部形成のための予備的処理を施すことができるので、付加的な工程を必要とせず、(v)生産者がレトルト処理済みを確認する視点からのみではなく、消費者の視点からも、消費者がレトルト処理済みを確認することができ、(vi)白化部の存否の確認による、消費者にとって容易で簡便な確認手法であって、その確認により消費者は収納飲食品が良好に保存され風味の変質もないことを確認できて、消費者は、特に乳幼児などの飲食品において、衛生保存面から安心して飲食品を消費することができる、という従来の技術では見られない総合的な特徴を備えるものである。
【0017】
なお、先に先行技術として踏まえ勘案した特許文献6以外においては、背景技術の段落0008において記載した従来の特許文献やその他の関連特許文献を精査しても、段落0013〜0016に記載した、本発明の構成の要件と特徴を些かも見い出すことはできず、本発明は、特許文献6を含めて先の先行技術とは明瞭に別異の発明であり、当先行技術からは示唆されない優れた発明であるといえる。
【0018】
以上においては、本発明が創作される経緯、及び本発明の基本的な構成要素と特徴について、本発明を概観的に記述したので、ここで、本発明全体を俯瞰して総括すると、本発明は、次の発明単位群から構成されるものであって、[1]及び[7]の発明を基本的な発明とし、それ以外の発明は、基本的な発明を具体化乃至は実施態様化するものである。(なお、発明群全体をまとめて「本発明」という。)
【0019】
[1]熱可塑性樹脂により2段ブロー成形した耐熱性容器の一部に、延伸処理後のレトルト処理加熱により生じる白化部からなるレトルト処理済み確認部分を形成したことを特徴とする、レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
[2]白化部からなるレトルト処理済み確認部分を容器の底面部に形成したことを特徴とする、[1]におけるレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
[3]白化部からなるレトルト処理済み確認部分を容器の底面の中心部に円形形状として形成したことを特徴とする、[2]におけるレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
[4]白化部からなるレトルト処理済み確認部分を容器のノズル下に形成したことを特徴とする、[1]におけるレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
[5]熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
[6]熱可塑性樹脂容器が、105℃以上で1〜50分のレトルト殺菌が可能であるレトルト対応ポリエステル樹脂容器であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかにおけるレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
[7]熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを延伸ブロー成形して中間体を形成し、この中間体を加熱熱収縮後、2次ブロー成形する際に、中間体の一部に急冷された透明乃至半透明の未延伸又は低延伸部分が生じるように延伸ブローして容器を成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成することを特徴とする、レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造方法。
[8]熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを底部に未延伸又は低延伸部分が生じるように二軸延伸ブロー成形して中間体を形成し、この中間体を加熱熱収縮後、2次ブロー成形する際に、ロッド先端部の底面を冷却した延伸ロッドにより中間体を垂直方向に延伸して、容器底面の中心部に急冷された未延伸又は低延伸部分が生じるように延伸ブローして容器を成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成することを特徴とする、[7]におけるレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造方法。
[9]熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを底部に未延伸又は低延伸部分が生じるように二軸延伸ブロー成形して中間体を形成し、この中間体を加熱熱収縮後、2次ブロー成形する際に、ロッド先端部の底面を冷却した延伸ロッドと、上面を冷却した支持ピンにより挟み込んで、容器底面の中心部に急冷された未延伸又は低延伸部分が生じるように中間体をブローして容器を成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成することを特徴とする、[8]におけるレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造方法。
[10]熱可塑性樹脂により形成したプリフォームをノズル下部に未延伸又は低延伸部分が生じるように二軸延伸ブロー成形して中間体を形成し、この中間体を加熱熱収縮後、2次ブロー成形する際に、ノズル下の未延伸又は低延伸部分の厚肉部をブロー金型の冷却された部分で挟み込んで急冷しつつブロー成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成することを特徴とする、[7]におけるレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造方法。
[11]容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を容器に形成したことを特徴とする、飲食品を収納したレトルト処理済みが確認可能な、2段ブロー成形した耐熱性熱可塑性樹脂容器。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、レトルト耐性に優れる2段ブロー成形容器において、加熱履歴検知のための高価な部材や設備を必要とせずに簡易な手段によりレトルト処理済を確認し管理することができ、製造作業者が飲食品収納プラスチック容器製品の生産工程におけるレトルト処理を、作業負担や確認ミス無く、確実に確認し完全に管理することができ、レトルト処理温度に達したことを確認するのではなく、レトルト処理を充分に受けたかを確認することができ、生産者がレトルト処理済みを確認する視点からのみではなく、消費者の視点からも、消費者もレトルト処理済みを容易で簡便な確認手法により確認することができる、という格別に顕著な効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明については、課題を解決するための手段として、本発明の基本的な構成に沿って前述したが、以下においては、前述した本発明群における発明の実施の形態を、図面を参照しながら、具体的に詳しく説明する。
【0022】
1.レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器
(1)基本的な構成
本発明における、レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器は、レトルト耐性に優れる2段ブロー成形容器において、熱可塑性樹脂により成形した容器の一部に、延伸処理後のレトルト処理加熱により生じる白化部からなるレトルト処理済み確認部分が形成される。
【0023】
(2)白化部の形成
熱可塑性樹脂容器の延伸ブロー成形の際に未延伸乃至低延伸の透明な部分が後加熱により白化するので、この現象を加熱履歴を表示するために利用し、プラスチック容器本体に直接にレトルト処理済みの確認表示を付与できる。即ち、ポリエステル樹脂などのプラスチック容器の2段ブロー成形の際に、容器の一部を急冷しつつ未延伸乃至低延伸の透明乃至半透明な肉厚部分を残せば、その部分が後加熱により白化するので、その部分をレトルト処理の加熱により白化させ、レトルト処理済み確認部分を形成させる。
【0024】
(3)白化部の形成箇所
白化部の形成箇所は容器のいずれの箇所でもよいが、白化部を製品において目立たなくする、冷却延伸ロッドにて形成が容易などの理由により、好ましくは、容器の底面部に形成され、特に、図1(f)に例示されるように、容器の底面の中心部に円形形状として形成される。
容器の首部(ネック部;ノズル下部)も、延伸ブロー成形では一般に延伸を受けないので、そこを白化確認部分とすることもできる。
未延伸乃至は低延伸の部分は機械的な強度が低くなるが、その部分を肉厚にしたり、延伸ロッドで樹脂を押し込んだり、レトルトの後加熱による熱固定により、機械的な強度は補充される。
【0025】
2.レトルト処理
レトルト処理は、一般に、加圧下の100℃付近乃至は100℃以上で125℃程度の加熱殺菌処理として、数分程度から数十分まで行われる。加熱処理は、加熱加圧釜中にてなされ、加熱媒体は通常では、加熱水蒸気や沸騰水が使用される。
生産ラインにて飲食品などの収納容器を連続的に処理或いは収納容器をバスケットに集積してバッチ処理される。
レトルト条件の具体例としては、熱水シャワーによる等圧制御にて、液温20℃からレトルト開始、20分間で液温125℃及びレトルト釜内圧245KPaになるように制御(時間比例制御)、30分間レトルト後、20分間で液温20℃及びレトルト釜内圧が大気圧になるように制御する。
なお、本発明においては、105℃以上の温度で5分間以上の加熱処理を行えば、一般にレトルト処理要件を満たすことができる。
【0026】
3.耐レトルト容器
本発明における、レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器においては、高温長時間の厳しいレトルト処理の処理条件下でも、容器の変形や収縮を可及的に生じない、耐レトルト容器を使用することが不可欠であり、この点において先の特許文献6における先行技術と本質的に異なるものである。
かかる耐熱性の高い耐レトルト容器は、基本的には2段ブロー成形法により製造することが可能である。
【0027】
ところで、本出願の出願人は、最近において、耐レトルト熱可塑性樹脂容器の発明について先に出願を行っており、二軸延伸二段ブロー成形を主要部とする発明を基本にして、二軸延伸二段ブロー成形における成形条件や金型の構造或いは成形品の熱処理法やプリフォームの材料、更には一次成形品の熱収縮処理や二次ブロー後のヒートセット処理などに関して多角的な改良を行った、耐レトルト容器の発明を出願している(特願2004−378384〔特開2006−181884〕及び特願2005−131624など)。
したがって、例えば、先願発明としての、「ポリエステル樹脂により形成したプリフォームを一次金型で二軸延伸ブロー成形して一次成形品となし、一次成形品を加熱収縮させて二次成形品となし、二次成形品を表面処理された二次金型で二軸延伸ブロー成形し、そのまま二次金型内でブロー成形品の表面温度を、210℃を超え250℃以下の温度にてヒートセットすることにより製造されて、二次金型での二軸延伸ブロー成形において、容器の胴部の厚み減少率が5〜30%となるように成形され、オートクレーブで125℃30分間処理した容器の収縮容量が1%以下であり、熱機械分析(TMA)測定において容器周方向に関して収縮開始温度が120℃以上であり、125℃で1〜50分のレトルト殺菌が可能であるような、レトルト対応ポリエステル容器。」を、本発明のレトルト容器として好適に使用することができる。
【0028】
4.レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造
レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造は、耐熱性プラスチック容器の延伸ブロー成形の際に容器の一部に未延伸乃至低延伸の透明な部分を残し、その部分をレトルト処理の加熱により白化させ、レトルト処理済み確認部分を形成させることにより、行うことができる。
即ち、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを延伸ブロー成形する際に、プリフォームの一部に未延伸又は低延伸部分が生じるように延伸ブローして耐熱性容器を成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成する。
【0029】
具体的には、熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを、底部又はノズル下などに、透明乃至半透明の厚肉部の未延伸又は低延伸部分が生じるように二軸延伸1次ブロー成形して中間体を形成する。なお、底部の延伸又は低延伸部分は、延伸ロッドと支持ピンにて底面を挟みブローすることにより形成され、ノズル下はブロー時に延伸されないので、未延伸部が形成される。
この中間体を加熱熱収縮後、二軸延伸2次ブロー成形する際に、中間体を垂直方向に延伸して、容器底面の中心部又はノズル下などに急冷された未延伸又は低延伸部分が生じるように延伸ブローして容器を成形し、容器内に収納物を収納密封した後のレトルト処理加熱により、未延伸又は低延伸部分を白化部となす。
【0030】
かかる製造工程が、図1の(a)〜(f)に概略図として例示されている。(a)は、予めノズル部(a−1)のみ結晶化させ白化させたプリフォーム(1次中間体)である。(b)は、プリフォームを1次ブローさせた後の2次中間体であり、ノズル下(b−1)が透明乃至半透明の厚肉部に形成され、底面中心部(b−2)も透明乃至半透明の厚肉部に形成されている。(c)は、2次中間体を熱収縮させた3次中間体である。(d)は、3次中間体を2次ブローした成形容器であり、ノズル下は金型冷却ブロックにて急冷され、底面中心部は延伸ロッド及び/又は支持ピンにて急冷されるため、急冷各部は透明乃至半透明となる。(e)は、成形された容器に飲食品が収納されキャッピングされた充填品である。(f)は、充填品をレトルト処理した飲食品収納製品であり、ノズル下(f−1)と底面中心部(f−2)がレトルト処理の高温加熱により白化部となりレトルト処理確認部分となる。
【0031】
好ましい具体例としては、熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを二軸延伸ブロー成形する際に、1次ブロー後に加熱収縮させた後の2次ブローにおいて、ロッド先端部の底面を冷却した延伸ロッドによりプリフォームを垂直方向に延伸して、容器底面の中心部に未延伸又は低延伸部分が生じるように延伸ブローして容器を成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成することができる。
その場合には、2次ブロー成形する際に、3次中間体の底面を、ロッド底面を冷却した延伸ロッドと、上面を冷却した支持ピンにより挟み込んで、容器底面の中心部に急冷された未延伸又は低延伸部分が生じるように中間体をブローして容器を成形する。急冷された部分は急冷によって透明乃至半透明の状態を保持できる。
【0032】
また、熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを、ノズル下部に未延伸又は低延伸部分が生じるように二軸延伸ブロー成形して中間体を形成し、この中間体を加熱熱収縮後、2次ブロー成形する際に、ノズル下の未延伸又は低延伸部分の厚肉部をブロー金型の冷却された部分で挟み込んで急冷しつつ2次ブロー成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により、未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成することもできる。
なお、段落0031に上記した、容器底面の中心部に急冷された未延伸又は低延伸部分を生じさせる手法と、容器ノズル下に急冷された未延伸又は低延伸部分を生じさせる手法を併用してもよい。
【0033】
かかる2次ブロー成形と金型装置などが、図2及び図3に例示されている。図2においては、金型(2−1)内での3次中間体のブロー成形状態が例示され、延伸ロッド(2−2)と支持ピン(2−3)が各々の冷却ブロック(2−4)と(2−5)にて予め冷却され、3次中間体のノズル下も冷却ブロック(2−6)により冷却され、各々の冷却ブロックの内部には冷却水が循環される。支持ピンは下部が冷却されているが、熱伝導によりその先端部も冷却され、断熱材(2−8)と(2−9)によって金型(2−1)と底型(2−10)からの熱の影響を軽減されている。2次ブロー成形は、ブローノズル(2−7)から3次中間体内に高圧エアが吹き込まれて行われる。
【0034】
図3の(a)〜(e)においては、熱収縮した中間体を2次ブローする成形状態が、連続図として例示されている。(a)において、3次中間体が金型に挿入され、ノズル下が冷却ブロックにて急冷される。(b)において、ブローノズルが下降し支持ピンが上昇し、(c)において延伸ロッドが下降し、両ロッドにより3次中間体の底面中心部が急冷される。(d)において、延伸ロッドが更に下降し支持ピンを押し下げ、下死点まで下降する。(e)において、ブローノズルから高圧エアが3次中間体内部に吹き込まれて、2次ブロー成形が行われる。
【0035】
延伸ロッドの底面部の冷却は、0033に前述したとおりに、また、図2に例示されるように、二軸延伸ブロー成形装置において金型内に保持された状態にある延伸ロッドの下部と支持ピンの上部を、冷却水を内部循環させている冷却ブロックにて、冷却することにより行うことができる。
或いは、延伸ロッドの内部において底部形状に対応した底部内面所定位置に冷却水或いは冷却空気を循環させて、延伸ロッドの底面部分を集中的に冷却することによっても行うことができる。かかる冷却ロッドとしては、特開2000−343590号公報の要約図に概略的に示されている装置を利用してもよい。
【0036】
5.熱可塑性樹脂容器の原材料
(1)熱可塑性樹脂
本発明のプラスチック容器を構成する材料としては、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂或いはポリオレフィン樹脂やポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂一般が使用可能であるが、容器としての諸性能や価格などの観点から、ポリエステル樹脂が好ましく使用され、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましく使用される。
ポリエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステル樹脂としては、エステル反復単位の大部分、一般に70モル%以上、特に80モル%以上をエチレンテレフタレート単位で占める熱可塑性ポリエステル樹脂が好適である。他にも、二軸延伸ブロー成形及び結晶化可能なポリエステル樹脂であれば任意のものを使用でき、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート及びポリ乳酸などのポリエステル樹脂、或いはこれらのポリエステル樹脂類とポリカーボネートやアクリレート樹脂などとの混合物も使用することができる。
【0037】
(2)積層材
ポリエチレンテレフタレートなどと他の樹脂を積層化して用いることもできる。また、本発明のポリエステル樹脂容器は、内外層を構成するポリエステル樹脂層の中間層に酸素遮蔽層や酸素吸収層を設けた多層構成としてもよい。酸素遮蔽性や酸素吸収性は、収納飲食品の微生物腐敗や化学的変質への抵抗性を高める。
酸素遮蔽層を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアミドなどが挙げられる。
酸素吸収層としては、例えば、樹脂中に酸素吸収剤を配合した層が使用され、酸素吸収剤としては、還元性を有する金属粉が例示される。
【0038】
(3)プリフォーム
プリフォームは、射出成形機や押出成形機及び圧縮成形機などによる通常の手段により形成され、材料としては上述のごとく、好ましくは、熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(通称PET)を素材とし、また、適宜に積層プリフォームを使用することもできる。
【0039】
6.レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器としての製品
(1)飲食品収納製品
本発明は、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により、未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を容器底面の中心部などに形成したことを特徴とする、飲食品を収納したレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器をも、実施の態様としての発明とする。
【0040】
(2)収納飲食品
収納飲食品としては、何ら制限無く通常の飲食品を収納可能である。例えば、ミルクコーヒ、ココア、ミルクティ、緑茶などの飲料や、スープ、調理済み各種食品、乳幼児食などが好ましく収納される。
【実施例】
【0041】
次に、実施例により、本発明をより具体的に実例として説明するが、これらは、本発明の好ましい具体例を示し、本発明をより鮮明にして、その範囲の適応性をより広く顕すものである。
【0042】
[図面による実施例の説明]
図1〜図3を用いた図面による実施例の具体的な説明が、段落0030及び0033〜0034において、詳細になされている。
【0043】
[二軸2段ブロー成形による実施例の説明]
ポリエチレンテレフタレート樹脂から成るプリフォーム(1次中間体)の口部(ノズル部)を予め加熱手段により結晶化(白化)させた後、プリフォームをガラス転移点以上の温度の110℃に加熱し、金型温度が160℃のブロー金型によって、延伸倍率が縦3倍・横3倍の二軸延伸ブロー成形を行い、ノズル下と底面中心部に未延伸又は低延伸の透明乃至半透明の厚肉部が形成された2次中間体とした。
2次中間体を表面温度が210℃になるよう再加熱して熱収縮させ3次中間体とし、3次中間体をそのまま、型温230℃で、容器を形成する面がPFAフッ素樹脂コーティングされた2次ブロー成形金型に挿入してブロー成形し、その際に、3次中間体のノズル下に相当する部分を15℃に冷却した上記2次ブロー金型で3次中間体を挟み込み、更に、ロッド先端部の底面を15℃に冷却した延伸ロッド及び上面を15℃に冷却した支持ピンで挟み込んだ状態で3次中間体を垂直方向に延伸して、容器ノズル下、及び、底面の中心部に未延伸又は低延伸の透明乃至半透明部分が生じるように延伸ブローして容器を成形した。
【0044】
[レトルト処理]
上記の成形容器内に飲食品収納物を収納し密封後に、条件として105℃・5分間のレトルト処理加熱を行い、未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成した。
なお、本実施例に限らず、透明乃至半透明の厚肉部の形成は容器のノズル下又は、底面の中心部のいずれか一方でもよく、また、透明乃至半透明の厚肉部を容器の底面の中心部に形成する際は、延伸ロッド又は支持ピンの少なくとも一方を冷却しておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造工程を説明する、概略図である。
【図2】本発明における、金型内での3次中間体のブロー成形状態を説明する実例の断面図である。
【図3】本発明における、熱収縮した中間体を2次ブローする成形状態を、連続図として例示する断面連続図である。
【符号の説明】
【0046】
(a−1):ノズル部 (b−1):ノズル下
(b−2):底面中心部 (f−1):白化したノズル下
(f−2):白化した底面中心部 (2−1):金型
(2−2):延伸ロッド (2−3):支持ピン
(2−4):冷却ブロック (2−5):冷却ブロック
(2−6):冷却ブロック (2−7):ブローノズル
(2−8):断熱材 (2−9):断熱材
(2−10):底型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂により2段ブロー成形した耐熱性容器の一部に、延伸処理後のレトルト処理加熱により生じる白化部からなるレトルト処理済み確認部分を形成したことを特徴とする、レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
【請求項2】
白化部からなるレトルト処理済み確認部分を容器の底面部に形成したことを特徴とする、請求項1に記載されたレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
【請求項3】
白化部からなるレトルト処理済み確認部分を容器の底面の中心部に円形形状として形成したことを特徴とする、請求項2に記載されたレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
【請求項4】
白化部からなるレトルト処理済み確認部分を容器のノズル下に形成したことを特徴とする、請求項1に記載されたレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
【請求項5】
熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
【請求項6】
熱可塑性樹脂容器が、105℃以上で1〜50分のレトルト殺菌が可能であるレトルト対応ポリエステル樹脂容器であることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器。
【請求項7】
熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを延伸ブロー成形して中間体を形成し、この中間体を加熱熱収縮後、2次ブロー成形する際に、中間体の一部に急冷された透明乃至半透明の未延伸又は低延伸部分が生じるように延伸ブローして容器を成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成することを特徴とする、レトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造方法。
【請求項8】
熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを底部に未延伸又は低延伸部分が生じるように二軸延伸ブロー成形して中間体を形成し、この中間体を加熱熱収縮後、2次ブロー成形する際に、ロッド先端部の底面を冷却した延伸ロッドにより中間体を垂直方向に延伸して、容器底面の中心部に急冷された未延伸又は低延伸部分が生じるように延伸ブローして容器を成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成することを特徴とする、請求項7に記載されたレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造方法。
【請求項9】
熱可塑性樹脂により形成したプリフォームを底部に未延伸又は低延伸部分が生じるように二軸延伸ブロー成形して中間体を形成し、この中間体を加熱熱収縮後、2次ブロー成形する際に、ロッド先端部の底面を冷却した延伸ロッドと、上面を冷却した支持ピンにより挟み込んで、容器底面の中心部に急冷された未延伸又は低延伸部分が生じるように中間体をブローして容器を成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成することを特徴とする、請求項8に記載されたレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造方法。
【請求項10】
熱可塑性樹脂により形成したプリフォームをノズル下部に未延伸又は低延伸部分が生じるように二軸延伸ブロー成形して中間体を形成し、この中間体を加熱熱収縮後、2次ブロー成形する際に、ノズル下の未延伸又は低延伸部分の厚肉部をブロー金型の冷却された部分で挟み込んで急冷しつつブロー成形し、容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を形成することを特徴とする、請求項7に記載されたレトルト処理済みが確認可能な熱可塑性樹脂容器の製造方法。
【請求項11】
容器内に収納物を収納密封後のレトルト処理加熱により未延伸又は低延伸部分を白化部となすことによって、レトルト処理済み確認部分を容器に形成したことを特徴とする、飲食品を収納したレトルト処理済みが確認可能な、2段ブロー成形した耐熱性熱可塑性樹脂容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−110768(P2008−110768A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293362(P2006−293362)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】