説明

レバーポジション検出装置

【課題】必要とされる検出点数の増大を抑制しつつ、シフトレバーの位置を誤検知してしまうことを防止する。
【解決手段】レバーポジション検出装置10は、シフトレバー12の動作と同期して移動する被検出部材21の移動経路TRb上の角部Cの内縁角Ca側の第6検出素子(N1)46のみがオン信号を出力する場合は、ニュートラルポジション(N)とホームポジション(H)との間若しくはニュートラルポジション(N)とリバースポジション(R)との間に被検出部材21が位置する状態と判定する位置検出部51を備える。位置検出部51は、角部Cの外縁角Cb側の第7検出素子(N2)47がオン信号を出力する場合は、第6検出素子(N1)46が出力するオン信号およびオフ信号にかかわらず、ニュートラルポジション(N)に被検出部材21が位置する状態と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーポジション検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばシフトレバーの移動接点が移動する直線状の移動経路上に複数のシフトポジション接点を設け、シフトレバーの変位に伴い複数のシフトポジション接点のうち移動接点と接触したシフトポジション接点を検知することによって、シフトレバーの位置を検出するシフトポジション検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このシフトポジション検出装置では、移動経路上で隣り合うシフトポジション接点同子間には、所定間隔が設けられてオフポジション接点が配置されており、このオフポジション接点とシフトレバーの移動接点とが接触することを検知した場合には、機械的なずれなどに起因してシフトレバーの移動接点がシフトポジション接点同子の間(つまり、シフトポジション接点からずれた位置)に位置すると判定することで、シフトレバーの移動接点の位置ずれと、例えば断線などの異常とを区別して検知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−109110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係るシフトポジション検出装置においては、シフトレバーの移動接点の移動経路上で隣り合うシフトポジション接点同子間にオフポジション接点を設ける必要があり、接点の総数が増大してしまうという問題が生じる。
また、単に、シフトレバーの移動接点と、シフトポジション接点あるいはオフポジション接点との接触の有無を検知するだけでは、複数のシフトポジション接点において異常が発生した場合に運転者が意図しないシフトレバーの位置が誤って検知されてしまう虞がある。例えばニュートラルに対応するシフトポジション接点が常にOFF状態であると検知されるOFF故障とともに、リバースあるいはドライブに対応するシフトポジション接点が常にON状態である検知されるON故障が発生すると、実際にはシフトレバーの移動接点とニュートラルに対応するシフトポジション接点とが接触している場合であっても、シフトレバーの位置がリバースあるいはドライブであると誤って検知されてしまうという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、必要とされる検出点数の増大を抑制しつつ、シフトレバーの位置を誤検知してしまうことを防止することが可能なレバーポジション検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1の発明に係るレバーポジション検出装置は、シフトレバー(例えば、実施の形態でのシフトレバー12)が所定位置にあることを検出するレバーポジション検出装置であって、角部(例えば、実施の形態での角部C)を有する屈曲形状であり、前記シフトレバーの動作と同期して移動する被検出部(例えば、実施の形態での被検出部材21)の移動経路(例えば、実施の形態での移動経路TRb)と、前記移動経路の前記角部に位置する第1の変速ポジション(例えば、実施の形態でのニュートラルポジション(N))と、前記移動経路上で前記第1の変速ポジションを挟んで設けられる第2の変速ポジション(例えば、実施の形態でのホームポジション(H))および第3の変速ポジション(例えば、実施の形態でのリバースポジション(R))と、前記移動経路上、且つ前記角部の外縁角(例えば、実施の形態での外縁角Cb)側に設けられ、前記被検出部が前記第1の変速ポジションに位置している場合にオン信号を出力する外縁角側変速ポジション検出部(例えば、実施の形態での第7検出素子(N2)47)と、前記移動経路上、且つ前記角部の内縁角(例えば、実施の形態での内縁角Ca)側に設けられ、前記被検出部が前記第1の変速ポジションに位置している場合と、前記第1の変速ポジションと前記第2の変速ポジションとの間若しくは前記第1の変速ポジションと前記第3の変速ポジションとの間で前記外縁角側変速ポジション検出部が前記オン信号を出力しない位置に前記被検出部が位置する場合とで、オン信号を出力する内縁角側変速ポジション検出部(例えば、実施の形態での第6検出素子(N1)46)と、前記内縁角側変速ポジション検出部のみが前記オン信号を出力する場合は、前記第1の変速ポジションと前記第2の変速ポジションとの間若しくは前記第1の変速ポジションと前記第3の変速ポジションとの間である中間ポジション(例えば、実施の形態での第4,5中間ポジション若しくは第6,7中間ポジション)に前記被検出部が位置する状態と判定する位置検出手段(例えば、実施の形態での位置検出部51)とを備える。
【0006】
さらに、本発明の第2の発明に係るレバーポジション検出装置では、前記位置検出手段は、前記外縁角側変速ポジション検出部が前記オン信号を出力する場合、前記内縁角側変速ポジション検出部が出力する前記オン信号およびオフ信号にかかわらず、前記第1の変速ポジションに前記被検出部が位置すると判定する。
【0007】
さらに、本発明の第3の発明に係るレバーポジション検出装置は、前記位置検出手段からの検出結果に応じて異常状態を判定する異常判定手段(例えば、実施の形態での異常判定部53)を備え、前記位置検出手段は、前記異常判定手段によって前記内縁角側変速ポジション検出部が常に前記オン信号を出力しないオフ故障であると判定されても、正常な前記外縁角側変速ポジション検出部が前記オン信号を出力した場合に、前記第1の変速ポジションに前記被検出部が位置すると判定する。
【0008】
さらに、本発明の第4の発明に係るレバーポジション検出装置は、前記位置検出手段からの検出結果に応じて異常状態を判定する異常判定手段(例えば、実施の形態での異常判定部53)を備え、前記位置検出手段は、前記異常判定手段によって前記外縁角側変速ポジション検出部が常に前記オン信号を出力しないオフ故障であると判定されても、正常な前記内縁角側変速ポジション検出部が前記オン信号を出力した場合に、前記第1の変速ポジション、あるいは、前記第1の変速ポジションと前記第2の変速ポジションとの間、若しくは、前記第1の変速ポジションと前記第3の変速ポジションとの間に前記被検出部が位置すると判定する。
【0009】
さらに、本発明の第5の発明に係るレバーポジション検出装置では、前記第1の変速ポジションはニュートラルポジション(例えば、実施の形態でのニュートラルポジション(N)65)であり、前記第2の変速ポジションはホームポジション(例えば、実施の形態でのホームポジション(H)61)であり、前記第3の変速ポジションはリバースポジション(例えば、実施の形態でのリバースポジション(R)66)であり、前記位置検出手段は、前記外縁角側変速ポジション検出部及び前記内縁角側変速ポジション検出部からの検出結果により、前記ニュートラルポジション、あるいは、前記ニュートラルポジションと前記ホームポジションとの間、若しくは、前記ニュートラルポジションと前記リバースポジションとの間のいずれかに前記被検出部が位置するかを区別して判定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の発明に係るレバーポジション検出装置によれば、1つの変速ポジションと2つの中間ポジション(つまり、第1の変速ポジションと、第1の変速ポジションと第2の変速ポジションとの間と、第1の変速ポジションと第3の変速ポジションとの間)を区別して認識するために、2つの変速ポジション検出部(つまり、外縁角側変速ポジション検出部および内縁角側変速ポジション検出部)を備えるだけで済み、3つのポジションに対応する3つの検出部を備える場合に比べて、必要とされる検出部の総数を低減することができる。
【0011】
さらに、本発明の第2の発明に係るレバーポジション検出装置によれば、内縁角側変速ポジション検出部が出力するオン信号およびオフ信号にかかわらず、外縁角側変速ポジション検出部がオン信号を出力した場合に被検出部が第1の変速ポジションに位置していることを検知することができる。
【0012】
さらに、本発明の第3の発明に係るレバーポジション検出装置によれば、例えば内縁角側変速ポジション検出部が常にオン信号を出力しないOFF故障となった場合であっても、正常な外縁角側変速ポジション検出部がオン信号を出力した場合に被検出部が第1の変速ポジションに位置していることを検知することができ、被検出部が第1の変速ポジションに位置するにも関わらずに第2の変速ポジション若しくは第3の変速ポジションに位置すると誤検知してしまうことを防止することができる。
【0013】
さらに、本発明の第4の発明に係るレバーポジション検出装置によれば、例えば外縁角側変速ポジション検出部が常にオン信号を出力しないOFF故障となった場合であっても、正常な内縁角側変速ポジション検出部がオン信号を出力した場合に被検出部が第1の変速ポジション、或いは第1の変速ポジションと第2の変速ポジションとの間、若しくは第3の変速ポジションとの間に位置していることを検知することができ、被検出部が第1の変速ポジションに位置するにも関わらずに第2の変速ポジション若しくは第3の変速ポジションに位置すると誤検知してしまうことを防止することができる。
【0014】
さらに、本発明の第5の発明に係るレバーポジション検出装置によれば、外縁角側変速ポジション検出部および内縁角側変速ポジション検出部を備えるだけで、ニュートラルポジション、あるいは、ニュートラルポジションとホームポジションとの間、若しくは、ニュートラルポジションとリバースポジションとの間、のいずれであるかを区別して検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るレバーポジション検出装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るレバーポジション検出装置のシフトレバーのシフトパターンを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るレバーポジション検出装置のシフトレバーの位置毎、つまり6つの変速ポジション毎および7つの第1〜第7中間ポジション毎に対して、被検出部材の磁極面に対向してオン信号を出力する検出素子を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るレバーポジション検出装置のシフトレバーの位置がホームポジション(H)での被検出部材の磁極面に対向してオン信号を出力する検出素子を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るレバーポジション検出装置のシフトレバーの位置が第4中間ポジションでの被検出部材の磁極面に対向してオン信号を出力する検出素子を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るレバーポジション検出装置のシフトレバーの位置が第5中間ポジションでの被検出部材の磁極面に対向してオン信号を出力する検出素子を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るレバーポジション検出装置のシフトレバーの位置がニュートラルポジション(N)での被検出部材の磁極面に対向してオン信号を出力する検出素子を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るレバーポジション検出装置のシフトレバーの位置が第6中間ポジションでの被検出部材の磁極面に対向してオン信号を出力する検出素子を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るレバーポジション検出装置のシフトレバーの位置が第7中間ポジションでの被検出部材の磁極面に対向してオン信号を出力する検出素子を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るレバーポジション検出装置のシフトレバーの位置がリバースポジション(R)での被検出部材の磁極面に対向してオン信号を出力する検出素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のレバーポジション検出装置の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
この実施形態によるレバーポジション検出装置10は、例えば図1に示すように、車両などに搭載された変速機11を操作者により操作されるシフトレバー12の動作に応じて制御する変速制御装置1に具備され、シフトレバー12の動作に同期してスライド移動する被検出部材21と、センサ部22と、処理装置23とを備えて構成されている。
そして、センサ部22は、センサ基板31と、センサ基板31上の所定位置に配置された複数(例えば、8個)の検出素子(例えば、各検出素子41,…,48)とを備えて構成されている。
そして、処理装置23は、位置検出部51と、推移検出部52と、異常判定部53とを備えて構成されている。
【0017】
被検出部材21は、例えば略正方形板状の永久磁石からなり、磁極面をセンサ基板31の表面に対向させた状態で、センサ基板31の表面に平行な平面内の所定の移動経路TRに沿ってスライド移動する。
この被検出部材21のスライド移動はシフトレバー12の動作に同期している。
シフトレバー12は、例えば図2に示すように、変速機11の動作を指示する所定の変速ポジションとして、ホームポジション(H)61と、シフトアップポジション(+)62と、シフトダウンポジション(−)63と、自動変速/手動変速切替ポジション(A/M)64と、ニュートラルポジション(N)65と、リバースポジション(R)66とに移動可能である。
【0018】
そして、このシフトレバー12のシフトパターンでは、例えば直交するX軸およびY軸による2次元のXY平面において、原点位置に配置されたホームポジション(H)61に対して、Y軸正方向に離間した位置にシフトアップポジション(+)62が設定され、Y軸負方向に離間した位置にシフトダウンポジション(−)63が設定され、X軸負方向に離間した位置に自動変速/手動変速切替ポジション(A/M)64が設定され、X軸正方向に離間した位置にニュートラルポジション(N)65が設定され、さらに、ニュートラルポジション(N)65からY軸負方向に離間した位置にリバースポジション(R)66が設定されている。つまり、このシフトパターンは、ホームポジション(H)61を中心とする十字形状のパターンPaと、ニュートラルポジション(N)65を角部の位置とする屈曲形状のパターンPbとを備え、屈曲形状のパターンPbにおいてはニュートラルポジション(N)65を挟んでホームポジション(H)61およびリバースポジション(R)66が配置されている。
【0019】
さらに、ホームポジション(H)61と、各シフトアップポジション(+)62およびシフトダウンポジション(−)63および自動変速/手動変速切替ポジション(A/M)64との間には、各1つの第1〜第3中間ポジション71,72,73が設けられ、ホームポジション(H)61とニュートラルポジション(N)65との間には、ホームポジション(H)61からニュートラルポジション(N)65に向かい、順次、2つの第4,5中間ポジション74,75と、ニュートラルポジション(N)65とリバースポジション(R)66との間には、ニュートラルポジション(N)65からリバースポジション(R)66に向かい、順次、2つの第6,7中間ポジション76,77が設けられている。
【0020】
そして、シフトレバー12のシフトパターンに対応して、被検出部材21の移動経路TRは、例えばシフトレバー12がホームポジション(H)61を中心として各シフトアップポジション(+)62およびシフトダウンポジション(−)63および自動変速/手動変速切替ポジション(A/M)64およびニュートラルポジション(N)65に移動する場合での十字形状の移動経路TRaと、例えばシフトレバー12がニュートラルポジション(N)65を角部の位置として各ホームポジション(H)61およびリバースポジション(R)66に移動する場合での屈曲形状の移動経路TRbとを備えて構成される。
そして、被検出部材21の移動経路TR上には、シフトレバー12の6つの変速ポジション(各ポジション61,…,66)および7つの第1〜第7中間ポジション71,…,77に対応して、6つの変速ポジション(つまり、ホームポジション(H)と、シフトアップポジション(+)と、シフトダウンポジション(−)と、自動変速/手動変速切替ポジション(A/M)と、ニュートラルポジション(N)と、リバースポジション(R))と、7つの中間ポジション(つまり、第1〜第7中間ポジション)とが設定されている。
【0021】
センサ基板31上の検出素子(例えば、各検出素子41,…,48)は、例えばホール素子などの磁気センサであって、被検出部材21の磁極面が対向配置された場合にオン信号を出力し、他の状態でオフ信号を出力する。
センサ基板31上の各検出素子41,…,48の位置は、上述した6つの変速ポジション(各ポジション61,…,66)毎および7つの第1〜第7中間ポジション71,…,77毎に対応して位置が変化する被検出部材21の磁極面に対向してオン信号を出力する検出素子あるいは複数の検出素子の組み合わせが、例えば図3および下記表1に示すように、互いに異なるようにして、設定されている。
なお、図3においては、6つの変速ポジション(各ポジション61,…,66)毎および7つの第1〜第7中間ポジション71,…,77毎に対して、被検出部材21の磁極面に対向してオン信号を出力する検出素子が網掛け表示されている。
【0022】
【表1】

【0023】
例えば図4〜図10に示すように、第1検出素子(X1)41および第2検出素子(X2)42は、十字形状の移動経路TRaの中心(つまり、ホームポジション(H)61に対応する位置)付近においてニュートラルポジション(N)65側にずれた位置に配置され、各第3検出素子(+)43および第4検出素子(−)44および第5検出素子(A/M)45は、各シフトアップポジション(+)62に対応する位置付近およびシフトダウンポジション(−)63に対応する位置付近および自動変速/手動変速切替ポジション(A/M)64に対応する位置付近に配置されている。
【0024】
さらに、第6検出素子(N1)46は屈曲形状の移動経路TRbの角部Cの内縁角Ca側に設けられ、第7検出素子(N2)47は屈曲形状の移動経路TRbの角部Cの外縁角Cb側に設けられている。そして、シフトレバー12が、ホームポジション(H)61とニュートラルポジション(N)65との間を移動する際、および、ニュートラルポジション(N)65とリバースポジション(R)66との間を移動する際において、第6検出素子(N1)46のみに被検出部材21の磁極面が対向配置する状態が生じるように、かつ、ニュートラルポジション(N)65において第6検出素子(N1)46および第7検出素子(N2)47の両方に被検出部材21の磁極面が対向配置するように設定されている。
また、第8検出素子(R)48は、リバースポジション(R)66に対応する位置付近に配置されている。
【0025】
そして、例えば図4に示すように、シフトレバー12がホームポジション(H)61では、第1検出素子(X1)41および第2検出素子(X2)42のみが被検出部材21の磁極面に対向してオン信号を出力するように設定されている。
そして、例えば図5に示すように、シフトレバー12が第4中間ポジション74では、第1検出素子(X1)41および第2検出素子(X2)42および第6検出素子(N1)46のみが被検出部材21の磁極面に対向してオン信号を出力するように設定されている。
そして、例えば図6に示すように、シフトレバー12が第5中間ポジション75では、第6検出素子(N1)46のみが被検出部材21の磁極面に対向してオン信号を出力するように設定されている。
【0026】
そして、例えば図7に示すように、シフトレバー12がニュートラルポジション(N)65では、第6検出素子(N1)46および第7検出素子(N2)47のみが被検出部材21の磁極面に対向してオン信号を出力するように設定されている。
そして、例えば図8に示すように、シフトレバー12が第6中間ポジション74では、第6検出素子(N1)46のみが被検出部材21の磁極面に対向してオン信号を出力するように設定されている。
そして、例えば図9に示すように、シフトレバー12が第7中間ポジション75では、第6検出素子(N1)46および第8検出素子(R)48のみが被検出部材21の磁極面に対向してオン信号を出力するように設定されている。
そして、例えば図10に示すように、シフトレバー12がリバースポジション(R)66では、第8検出素子(R)48のみが被検出部材21の磁極面に対向してオン信号を出力するように設定されている。
【0027】
処理装置23の位置検出部51は、各検出素子41,…,48から出力されるオン信号およびオフ信号に基づき、例えば上記表1を参照して、シフトレバー12の位置が、上述した6つの変速ポジション(各ポジション61,…,66)および7つの第1〜第7中間ポジション71,…,77のうちの何れのポジションに位置するかを検出し、この検出結果を推移検出部52に出力する。
【0028】
処理装置23の推移検出部52は、位置検出部51から出力されるシフトレバー12の位置の検出結果を時系列データとして記憶し、この時系列データが所定の推移となるか否かを判定し、この判定結果を異常判定部53に出力する。
例えば、正常状態においてシフトレバー12の位置がホームポジション(H)61からニュートラルポジション(N)65へと変化する場合には、ホームポジション(H)61とニュートラルポジション(N)65との間で2つの第4,5中間ポジション74,75が順次検出されたか否かを判定する。
また、例えば、正常状態においてシフトレバー12の位置がニュートラルポジション(N)65からリバースポジション(R)66へと変化する場合には、ニュートラルポジション(N)65とリバースポジション(R)66との間で2つの第6,7中間ポジション76,77が順次検出されたか否かを判定する。
【0029】
処理装置23の異常判定部53は、推移検出部52から出力される判定結果に応じて、異常の有無および発生した異常の内容を判定する。
例えば、シフトレバー12の位置が6つの変速ポジション(各ポジション61,…,66)間で変化する際に、各中間ポジション71,…,77が検出されない場合には、レバーポジション検出装置10に異常が発生したと判定する。
【0030】
上述したように、本実施形態によるレバーポジション検出装置10によれば、ニュートラルポジション(N)65と、ニュートラルポジション(N)65とホームポジション(H)61との間と、ニュートラルポジション(N)65とリバースポジション(R)66との間の、3つの位置を区別して認識するために、2つの第6検出素子(N1)46および第7検出素子(N2)47を備えるだけで済み、例えば、これら3つの位置に対応する3つの検出素子を備える場合に比べて、必要とされる検出素子の総数を低減することができる。
【0031】
しかも、2つの第6検出素子(N1)46および第7検出素子(N2)47によって、ニュートラルポジション(N)65とホームポジション(H)61との間に2つの第4,5中間ポジション74,75を設けることができ、かつ、ニュートラルポジション(N)65とリバースポジション(R)66との間に2つの第6,7中間ポジション76,77を設けることができ、シフトレバー12がニュートラルポジション(N)65とホームポジション(H)61との間に存在することを判定する場合、および、シフトレバー12がニュートラルポジション(N)65とリバースポジション(R)66との間に存在することを判定する場合に対して、冗長性を向上させることができる。
【0032】
また、ニュートラルポジション(N)65を、2つの第6検出素子(N1)46および第7検出素子(N2)47が被検出部材21の磁極面に対向する状態であると設定していることから、2つの第6検出素子(N1)46および第7検出素子(N2)47のうち、例えば第6検出素子(N1)46が常にオン信号を出力しないOFF故障となった場合であっても、正常な第7検出素子(N2)47がオン信号を出力した場合にシフトレバー12がニュートラルポジション(N)65に位置していることを検知することができ、シフトレバー12がニュートラルポジション(N)65に位置するにも関わらずにホームポジション(H)61若しくはリバースポジション(R)66に位置すると誤検知してしまうことを防止することができる。
また、例えば第7検出素子(N2)47が常にオン信号を出力しないOFF故障となった場合であっても、正常な第6検出素子(N1)46がオン信号を出力した場合にシフトレバー12が、ニュートラルポジション(N)65、あるいは、ニュートラルポジション(N)65とホームポジション(H)61との間、若しくは、ニュートラルポジション(N)65とリバースポジション(R)66との間に位置していることを検知することができ、シフトレバー12がニュートラルポジション(N)65に位置するにも関わらずにホームポジション(H)61若しくはリバースポジション(R)66に位置すると誤検知してしまうことを防止することができる。
【0033】
さらに、シフトレバー12の位置が6つの変速ポジション(各ポジション61,…,66)間で変化する際には、各中間ポジション71,…,77を経由することから、シフトレバー12の位置の時系列データにおいて、各中間ポジション71,…,77を経ることなくシフトレバー12が位置する変速ポジションが変更された場合には、対応する検出素子に異常が発生したと容易に検知することができる。
【0034】
なお、上述した実施の形態においては、各検出素子41,…,48を磁気センサとしたが、これに限定されず、例えば光センサなどの他のセンサであってもよい。この場合、被検出部材21は、永久磁石により構成される必要はなく、各検出素子41,…,48に採用されるセンサの種類に応じた構成を備えていればよい。
【符号の説明】
【0035】
10 レバーポジション検出装置
12 シフトレバー
21 被検出部材(被検出部)
46 第6検出素子(N1)(内縁角側変速ポジション検出部)
47 第7検出素子(N2)(外縁角側変速ポジション検出部)
51 位置検出部(位置検出手段)
52 推移検出部(推移検出手段)
53 異常判定部(異常判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフトレバーが所定位置にあることを検出するレバーポジション検出装置であって、
角部を有する屈曲形状であり、前記シフトレバーの動作と同期して移動する被検出部の移動経路と、
前記移動経路の前記角部に位置する第1の変速ポジションと、
前記移動経路上で前記第1の変速ポジションを挟んで設けられる第2の変速ポジションおよび第3の変速ポジションと、
前記移動経路上、且つ前記角部の外縁角側に設けられ、前記被検出部が前記第1の変速ポジションに位置している場合にオン信号を出力する外縁角側変速ポジション検出部と、
前記移動経路上、且つ前記角部の内縁角側に設けられ、前記被検出部が前記第1の変速ポジションに位置している場合と、前記第1の変速ポジションと前記第2の変速ポジションとの間若しくは前記第1の変速ポジションと前記第3の変速ポジションとの間で前記外縁角側変速ポジション検出部が前記オン信号を出力しない位置に前記被検出部が位置する場合とで、オン信号を出力する内縁角側変速ポジション検出部と、
前記内縁角側変速ポジション検出部のみが前記オン信号を出力する場合は、前記第1の変速ポジションと前記第2の変速ポジションとの間若しくは前記第1の変速ポジションと前記第3の変速ポジションとの間である中間ポジションに前記被検出部が位置する状態と判定する位置検出手段と
を備えることを特徴とするレバーポジション検出装置。
【請求項2】
前記位置検出手段は、前記外縁角側変速ポジション検出部が前記オン信号を出力する場合、前記内縁角側変速ポジション検出部が出力する前記オン信号およびオフ信号にかかわらず、前記第1の変速ポジションに前記被検出部が位置すると判定することを特徴とする請求項1に記載のレバーポジション検出装置。
【請求項3】
前記位置検出手段からの検出結果に応じて異常状態を判定する異常判定手段を備え、
前記位置検出手段は、前記異常判定手段によって前記内縁角側変速ポジション検出部が常に前記オン信号を出力しないオフ故障であると判定されても、正常な前記外縁角側変速ポジション検出部が前記オン信号を出力した場合に、前記第1の変速ポジションに前記被検出部が位置すると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレバーポジション検出装置。
【請求項4】
前記位置検出手段からの検出結果に応じて異常状態を判定する異常判定手段を備え、
前記位置検出手段は、前記異常判定手段によって前記外縁角側変速ポジション検出部が常に前記オン信号を出力しないオフ故障であると判定されても、正常な前記内縁角側変速ポジション検出部が前記オン信号を出力した場合に、前記第1の変速ポジション、あるいは、前記第1の変速ポジションと前記第2の変速ポジションとの間、若しくは、前記第1の変速ポジションと前記第3の変速ポジションとの間に前記被検出部が位置すると判定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載のレバーポジション検出装置。
【請求項5】
前記第1の変速ポジションはニュートラルポジションであり、
前記第2の変速ポジションはホームポジションであり、
前記第3の変速ポジションはリバースポジションであり、
前記位置検出手段は、前記外縁角側変速ポジション検出部及び前記内縁角側変速ポジション検出部からの検出結果により、前記ニュートラルポジション、あるいは、前記ニュートラルポジションと前記ホームポジションとの間、若しくは、前記ニュートラルポジションと前記リバースポジションとの間のいずれかに前記被検出部が位置するかを区別して判定することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載のレバーポジション検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−127511(P2012−127511A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84826(P2012−84826)
【出願日】平成24年4月3日(2012.4.3)
【分割の表示】特願2008−262656(P2008−262656)の分割
【原出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】