説明

レバー形スイッチ

【課題】レバーと接点との間に複雑な機構を設けることなく異物による接点動作の不具合発生を低減することができるレバー形スイッチの提供。
【解決手段】レバー形スイッチ1は、揺動可能に設けられたレバー3と、固定接点端子5と、固定接点端子と向き合って配置された可動接点端子7とを備える。レバーには、絶縁体である接点操作部21が設けられている。レバーの揺動に伴い接点操作部が固定接点端子と可動接点端子との間に差し込まれることで、接点開離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー形スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レバー形スイッチが用いられている対象として、例えば、エレベータがある。エレベータでは、周知のように上下に延びる昇降路内をかごが昇降しており、そのかごの昇降や位置を検出する手段として、レバー形スイッチが採用されている。レバー形スイッチは、文字通りレバーを含んでおり、かごが昇降する際、かごと一体に昇降するカムがレバーに当接してレバーが揺動されることで、接点が開閉されるように構成されている。また、エレベータでは、点検扉の開閉検出用の手段として、レバー形スイッチが使用されているものもある。
【0003】
従来のレバー形スイッチとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この構成では、レバーをアクチュエータとして、ケース内に組み込んだ内蔵スイッチが開閉操作されるようになっており、レバーに連結した回転軸のカム部と内蔵スイッチとの間にプランジャを介在させてレバーの動きをスイッチに伝達させていた。
【0004】
また、特許文献2には、揺動するプッシュレバーがシーソー接点片を姿勢変化させることで、シーソー接点片に設けられている可動接点と、筐体ケース側に固定されている固定接点との間を開閉するように構成されたレバー形スイッチが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1のレバー形スイッチでは、レバーと、スイッチとの間に、プランジャ等の機構が介在されており、構造が複雑であり部品点数も多く高価であるという問題があった。また、特許文献2のレバー形スイッチでは、接点の可動側と固定側との間に異物が付着した場合、付着物が非導電性物質の場合は接点が閉じるべきときに導通不良が発生したり、付着物が導電性物質の場合は接点が開くべきときに短絡したりするといった接点動作の不具合が生じる恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−120961号公報
【特許文献2】特開2002−042611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、レバーと接点との間に複雑な機構を設けることなく異物による接点動作の不具合発生を低減することができるレバー形スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するため、本発明のレバー形スイッチは、揺動可能に設けられたレバーと、第1接点端子と、前記第1接点端子と向き合って配置された第2接点端子とを備え、前記レバーには、絶縁体である接点操作部が設けられており、前記レバーの揺動に伴い前記接点操作部が前記第1接点端子と前記第2接点端子との間に差し込まれることで、接点開離される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレバー形スイッチによれば、レバーと接点との間に複雑な機構を設けることなく異物による接点動作の不具合発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係るレバー形スイッチの正面を示す図である。
【図2】図1のレバー形スイッチの側面を示す図である。
【図3】図1において、レバーが揺動され接点が開離した状態を示す図である。
【図4】二組の接点の接続態様を例示する図である。
【図5】実施の形態2に関する図3と同態様の図である。
【図6】実施の形態3に関する図3と同態様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るレバー形スイッチを、エレベータのかごに関する情報の検出のために実施した場合の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
【0012】
実施の形態1.
図1及び図2はそれぞれ、本実施の形態に係るレバー形スイッチの正面及び側面を示す。レバー形スイッチ1は、レバー3と、第1接点端子である固定接点端子5と、第2接点端子である可動接点端子7とを備えている。
【0013】
レバー3は、レバー形スイッチ1のケース9の上部に揺動可能に設けられている。レバー3は、外部レバー部分11と、内部レバー部分13とを含んでいる。外部レバー部分11は、文字通り、ケース9の外側において上下に延びており、内部レバー部分13は、ケース9の内側を上下に延びている。外部レバー部分11の下端及び内部レバー部分13の上端の間には、回転軸部分15が設けられている。外部レバー部分11及び内部レバー部分13は、回転軸部分15を中心に反対方向に延びており、且つ、回転軸部分15を中心に同じ角度だけ揺動するように設けられている。なお、外部レバー部分11及び内部レバー部分13は、回転軸部分15を含め当初から一体的に形成されていてもよいし、あるいは、当初、別体であるものを一体的に組み立てて結合されていてもよい。
【0014】
回転軸部分15には、レバー復帰用ばね17が作用している。レバー3は、その上部から揺動のための外力を受けていない場合には、このレバー復帰用ばね17の弾性力によって、後述する二組の接点の何れも開離させていない中立位置(例えば図1の状態)に復帰するようになっている。
【0015】
外部レバー部分11の上端には、外部ローラ19が回動可能に設けられている。レバー形スイッチ1においては、例えば、かごの昇降や位置を検出する手段として用いられている場合、かごと一体に昇降する図示しないカムがこの外部ローラ19に当接されることで、レバー3が揺動される。一方、内部レバー部分13の下端には、接点操作部21が設けられている。接点操作部21は、軸状の部分であって、絶縁体で構成されている。
【0016】
固定接点端子5及び可動接点端子7は、ケース9内において、二組設けられている。これら固定接点端子5及び可動接点端子7の各組は、図1に示されるように、中立位置にあるレバー3の左右両側に振り分けられるように配置されており、中立位置にあるレバー3を中心に左右対称的な形態・位置を有している。すなわち、一組目の固定接点端子5及び可動接点端子7は、レバー3の一方向周りの揺動に応じて接点開離され、二組目の固定接点端子5及び可動接点端子7は、レバー3の反対方向周りの揺動に応じて接点開離される。
【0017】
各組の固定接点端子5及び可動接点端子7は、接点が閉じている状態で、相互に向き合うように配置されている。第1接点端子である固定接点端子5は、第1接点である固定接点5aと、第1端子板である固定端子板5bとを含んでいる。同様に、第2接点端子である可動接点端子7は、第2接点である可動接点7aと、第2端子板である可動端子板7bとを含んでいる。
【0018】
固定接点5a及び可動接点7aは、固定接点端子5及び可動接点端子7のうち、接点が閉じている際、相互に接触して導通が確保される部分である。固定端子板5bは、その一端が、ケース9に固定されている端子台23の対応する部位に接続されており、固定端子板5bの他端は、固定接点5aをケース9に対してほぼ固定された態様で支持している。また、可動端子板7bは、その一端が、同様に、端子台23の対応する部位に接続されており、可動端子板7bの他端は、可動接点7aをケース9に対して可動な態様で支持している。すなわち、可動端子板7bは、その一端側で片持ち態様で支持されており、他端側が湾曲できるように設けられている。
【0019】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係るレバー形スイッチの作用について説明する。まず、レバー形スイッチ1は、常閉タイプであって、外部ローラ19に外力が作用していない状態では、レバー3は図1に示すように中立位置にあって、二組の固定接点5a及び可動接点7aは相互接触し、すなわち、二組の接点は閉じている。そして、外部ローラ19が上記カム等の図示省略する検出体によって押されると、外部レバー部分11は回転軸部分15を中心にして回転し、それと連動して内部レバー部分13も回転する。これにより、図3に示されるように、レバー3の揺動に伴い接点操作部21が固定接点端子5と可動接点端子7との間に差し込まれることで、接点開離される。より具体的には、図3に示されるように、接点操作部21を、接点開離時、固定接点端子5と可動接点端子7との間に位置させるようにし、接点操作部21が可動端子板7bを押し上げ、接触していた可動接点7aが固定接点5aから離れ、接点開離が行われる。なお、このとき、ケース9における外部レバー部分11の両側の部分に、ストッパ9aが形成されていれば、あらかじめ決められた角度以上にレバー3が倒れることを防止することができる。これにより、接点操作部21が固定端子板5bと可動端子板7bとの間から外れたり、内部レバー部分13がケース側面に接触し、レバー3またはケース9が損傷したりすることを防止することができる。
【0020】
このように本実施の形態に係るレバー形スイッチによれば、レバー自体の動作で直接に接点開離させるので、レバーと接点との間に複雑な機構を不要とすることができる。加えて、接点開離の間、第1接点端子と第2接点端子との間に接点操作部を残存させておくことで、第1接点端子と第2接点端子との間に異物が入り込むことを接点操作部で阻止することができ、接点開離のための接点操作部を利用して、異物による接点動作の不具合発生を低減することができる。特に本実施の形態では、接点操作部が、接点開離時、第1端子板と第2端子板との間に位置するので、第1端子板と第2端子板との間の沿面距離を拡大し、接点開離時に、導電性の異物による短絡を防止することができる。
【0021】
また、エレベータ分野では、各国のエレベータに関する規格により、レバー形スイッチに対しては、レバーにかかった力が直接接点の開離に作用する機構(直接開路動作機構)を有していることが要求される場合が多いところ、本実施の形態ならば、直接開路動作機構を実現しつつ、レバーと接点との間に複雑な機構を設けることなく異物による接点動作の不具合発生を低減することができる。
【0022】
また、使用態様に関する第1の機能として、図4の(a)の点線で示されるように、二組の接点端子を「出力1」・「出力2」の如く個別に出力することで、レバー操作の有無と操作方向との二つの情報を検出することがきる。エレベータ昇降路内において、本スイッチをかご位置検出用して使用すれば、どちらの接点が動作したかを監視することによって、一つのスイッチでかごの昇降状態(上昇/下降、昇降路頂部にいるか/下部にいるか)を判別可能となる。これは、スイッチの必要数量削減によるコスト低減や、昇降路内の省スペース化が可能となる。また、使用態様に関する第2の機能として、図4の(b)の点線で示されるように、符号25で示す内部接続を介して二組の接点端子を直列に接続することで、二つの方向からレバーが操作されうる状況に対し、レバー操作の有無だけを検出するようにすることもできる。このように、一種類のレバー形スイッチを用意しておくだけで、二種類の使用態様に対応することできる。
【0023】
実施の形態2.
次に、図5に基づいて、本発明の実施の形態2について説明する。以下に説明する点を除いては、本実施の形態2は、前述の実施の形態1と同様であるものとする。図5は、本実施の形態2に関する図3と同態様の図である。本実施の形態では、レバー3の下端に設けられた接点操作部121が、可動接点端子7を操作する軸状の部分のほかに、仕切り板127をも含んでいる。仕切り板127は、接点開離時、固定端子板5bと可動端子板7bとの間から固定接点5aと可動接点7aとの間にわたって延びている。仕切り板127、上記の軸状の部分ともに、絶縁体で構成されている。
【0024】
このような本実施の形態2においても、実施の形態1と同様、直接開路動作機構を実現しつつ、レバーと接点との間に複雑な機構を設けることなく異物による接点動作の不具合発生を低減することができる。さらに、本実施の形態2では、接点操作部は、接点開離時、第1端子板と第2端子板との間から第1接点と第2接点との間にわたって延びる仕切り板を含むことから、接点開離時に第1接点と第2接点との間に導電性の異物が介在しその異物が原因となって接点開離時における短絡が生じる事態を防止することができる。
【0025】
実施の形態3.
次に、図6に基づいて、本発明の実施の形態3について説明する。以下に説明する点を除いては、本実施の形態3は、前述の実施の形態1と同様であるものとする。図6は、本実施の形態3に関する図3と同態様の図である。本実施の形態では、レバー3の下端に設けられた接点操作部121が、可動接点端子7を操作する軸状の部分のほかに、仕切り板127をも含んでいる。
【0026】
仕切り板127は、接点開離時、固定端子板5bと可動端子板7bとの間から固定接点5aと可動接点7aとの間にわたって延びている。仕切り板127、上記の軸状の部分ともに、絶縁体で構成されている。さらに、図6に示されるように、固定接点5a及び可動接点7aの相互接触表面は、レバー3の揺動に伴う接点操作部121の実質的に弧状の移動軌跡に沿うように延びている。それによって、接点操作部121は、接点開離時、固定接点5a及び可動接点7aの双方の相互接触表面と接触するようになっている。
【0027】
このような本実施の形態3においても、実施の形態1と同様、直接開路動作機構を実現しつつ、レバーと接点との間に複雑な機構を設けることなく異物による接点動作の不具合発生を低減することができる。さらに、本実施の形態3では、第1接点及び第2接点の双方の表面が露出しないように接点操作部で覆われることで、第1接点及び第2接点の間に導電性の異物や非導電性の異物が付着すること自体を防止することできる。よって、接点開離時に第1接点と第2接点との間に導電性の異物が介在しその異物が原因となって接点開離時における短絡が生じる事態を防止することができることは勿論、さらには、接点開離時に非導電性の異物が付着し、その異物が原因となって接点が閉じた際に導通不良が生じるといった事態をも防止することができる。
【0028】
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
【0029】
図3の構成は、接点操作部21が、可動接点7aと当接した状態で、接点開離状態を維持するように改変することもできる。また、図6の構成は、仕切り板を有しない接点操作部が、接点開離時、第1接点及び第2接点の双方の相互接触表面と接触するように改変することもできる。
【0030】
前述の実施の形態では、第1接点端子と第2接点端子の一方が固定接点端子であり他方が可動接点端子である構成を開示したが、これに代えて、第1接点端子と第2接点端子の双方が可動する構成でもよい。さらに、前述した実施の形態は何れも常閉接点の態様を例示してきたが、本発明は、常開接点として、実施することもできる。
【符号の説明】
【0031】
1 レバー形スイッチ、3 レバー、5 固定接点端子、5a 固定接点、5b 固定端子板、7 可動接点端子、7a 可動接点、7b 可動端子板、21,121 接点操作部、127 仕切り板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動可能に設けられたレバーと、
第1接点端子と、
前記第1接点端子と向き合って配置された第2接点端子とを備え、
前記レバーには、絶縁体である接点操作部が設けられており、
前記レバーの揺動に伴い前記接点操作部が前記第1接点端子と前記第2接点端子との間に差し込まれることで、接点開離される
レバー形スイッチ。
【請求項2】
前記第1接点端子は、第1接点と、その第1接点を支持する第1端子板とを含み、
前記第2接点端子は、第2接点と、その第2接点を支持する第2端子板とを含み、
前記接点操作部は、接点開離時、前記第1端子板と前記第2端子板との間に位置する
請求項1のレバー形スイッチ。
【請求項3】
前記第1接点端子は、第1接点と、その第1接点を支持する第1端子板とを含み、
前記第2接点端子は、第2接点と、その第2接点を支持する第2端子板とを含み、
前記接点操作部は、接点開離時、前記第1端子板と前記第2端子板との間から前記第1接点と前記第2接点との間にわたって延びる仕切り板を含む
請求項1又は2のレバー形スイッチ。
【請求項4】
前記接点操作部は、接点開離時、前記第1接点及び前記第2接点の双方の相互接触表面と接触する
請求項1乃至3の何れか一項のレバー形スイッチ。
【請求項5】
前記第1接点端子及び前記第2接点端子は、二組設けられており、
一組目の前記第1接点端子及び前記第2接点端子は、前記レバーの一方向周りの揺動に応じて接点開離され、
二組目の前記第1接点端子及び前記第2接点端子は、前記レバーの反対方向周りの揺動に応じて接点開離される
請求項1乃至4の何れか一項のレバー形スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156037(P2012−156037A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14884(P2011−14884)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】