レバー治具及びコネクタ装置
【課題】一対のコネクタの半嵌合状態における取り外しを確実に防止するレバー治具等を提供する。
【解決手段】雌コネクタ20に装着され、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への操作によって雌コネクタ20及び雄コネクタ30間に嵌合力を作用させ、雌コネクタ20及び雄コネクタ30間を嵌合開始位置から嵌合完了位置まで変位させるレバー治具2であって、雌コネクタ20の装着を許容する開位置と、雌コネクタ20の取り外しを阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドア7と、開閉ドア7を閉位置に保持する磁石9と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置の操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の開閉ドア7を磁石9の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段DAとを備えた。ドア自動開放手段DAは、ドアトリガー部15とバネ8から構成した。
【解決手段】雌コネクタ20に装着され、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への操作によって雌コネクタ20及び雄コネクタ30間に嵌合力を作用させ、雌コネクタ20及び雄コネクタ30間を嵌合開始位置から嵌合完了位置まで変位させるレバー治具2であって、雌コネクタ20の装着を許容する開位置と、雌コネクタ20の取り外しを阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドア7と、開閉ドア7を閉位置に保持する磁石9と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置の操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の開閉ドア7を磁石9の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段DAとを備えた。ドア自動開放手段DAは、ドアトリガー部15とバネ8から構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のコネクタ間を低い操作力で嵌合できるレバー治具、及び、これを用いるコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レバーの操作で一対のコネクタを低い操作力で嵌合できるようにしたコネクタ装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなコネクタ装置の中には、コネクタにレバーを着脱自在、つまり、レバー治具として設けたものも提案されている。レバー治具とすることにより複数のコネクタ装置の嵌合作業を行い、部品費の削減等を図ることができる。かかるレバー治具及びこれを用いたコネクタ装置の一従来例が図11〜図14に示されている。以下、説明する。
【0003】
コネクタ装置100は、図11に示すように、レバー治具101と一対のコネクタである雌コネクタ120及び雄コネクタ130とを備えている。
【0004】
レバー治具101は、図12に詳しく示すように、コネクタ装着部102と、このコネクタ装着部102に回転自在に支持されたレバー本体110とを備えている。コネクタ装着部102は、一対の側壁103とこれらを連結する連結壁部104とを有する。一対の側壁103の上端には、互いに内側に突出する上方ストッパ片103aが設けられている。一対の側壁103内には、底面側から雌コネクタ120が挿入できるようになっている。一対の側壁103には、内側に突出するコネクタ係止爪105が複数箇所にそれぞれ設けられている。一対の側壁103の外面には、一対の支持ピン106が突設されている。一対の側壁103には、一対の仮係止孔107が設けられていると共に各仮係止孔107に連通するガイドスリット108が設けられている。一対の側壁103で、且つ、仮係止孔107の下方には、レバーストッパ部109が突設されている。
【0005】
レバー本体110は、一対のアーム部111と、この一対のアーム部111間を先端で連結する操作部112とを備えている。一対のアーム部111の内面側には、一対のピン受け孔113が設けられている。この一対のピン受け孔113にコネクタ装着部102の各支持ピン106が挿入されている。これにより、レバー本体110は、一対の支持ピン106を支点として嵌合操作開始位置と嵌合操作完了位置の間で回転操作できる。一対のアーム部111の内側には、一対のボス引き込み溝114が設けられている。一対のアーム部111には、内側に突出する仮係止爪115がそれぞれ設けられている。レバー本体110は、レバーストッパ部109に突き当たる位置では、仮係止爪115が仮係止孔107に係止される。この位置がレバー本体110の嵌合操作開始位置である(図11参照)。
【0006】
図11に示すように、雌コネクタ120と雄コネクタ130は、互いに嵌合、離脱可能に設けられている。雌コネクタ120と雄コネクタ130には、共に多数の端子(図示せず)を有し、嵌合状態では双方の多数の端子(図示せず)間が接触される。雌コネクタ120の上部には、両側面より突出するフランジ部121が設けられている。雄コネクタ130は、上方が開口されたコネクタ嵌合室131を有する。雄コネクタ130の両側面には、一対のボス部132と、一対の仮係止解除・ガイドリブ133が突設されている。
【0007】
次に、雌コネクタ120と雄コネクタ130の嵌合作業を説明する。レバー治具101のレバー本体110は、嵌合操作開始位置にセットされているものとする。先ず、レバー治具101のコネクタ装着部102の底面側より雌コネクタ120を挿入する。完全挿入位置まで挿入されると、雌コネクタ120のフランジ部121にコネクタ装着部102の各コネクタ係止爪105が係止する。これでレバー治具101と雌コネクタ120が連結される。
【0008】
次に、雄コネクタ130のコネクタ嵌合室131に雌コネクタ120を挿入する。すると、雄コネクタ130の仮係止解除・ガイドリブ133が仮係止爪115を解除位置に変位させ、レバー本体110が回転操作可能となる。又、雄コネクタ130の一対のボス部132がレバー本体110の一対のボス引き込み溝114に入り込む。これで、雌コネクタ120と雄コネクタ130が嵌合開始位置にセットされる。
【0009】
次に、レバー本体110を嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置側に回転操作する。すると、雄コネクタ130の一対のボス部132がレバー本体110の一対のボス引き込み溝114を移動し、雄コネクタ130が雌コネクタ120に引き込まれる。つまり、雄コネクタ130が嵌合位置側に移動する。図13及び図14に示すように、レバー本体110の回転操作が進み、嵌合操作完了位置の近くまで来ると、雄コネクタ130の左右上端がコネクタ装着部102の各コネクタ係止爪105に突き当たる。この状態より更にレバー本体110を嵌合操作完了位置まで回転すると、雄コネクタ130が嵌合完了位置まで引き込まれると共に各コネクタ係止爪105が解除位置に変位される。これで、雌コネクタ120と雄コネクタ130の嵌合作業が完了する。レバー治具101は、各コネクタ係止爪105が解除位置とされるため、雌コネクタ120より離脱させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−187863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来のレバー治具101及びこれを用いたコネクタ装置100では、嵌合作業中に雌コネクタ120と雄コネクタ130の相対的位置が傾くと、嵌合操作完了位置よりも手前位置で深く引き込まれた側のコネクタ係止爪105が解除位置に変位する。一部のコネクタ係止爪105が解除位置に変位すると、レバー治具101を雌コネクタ120より取り外し可能となる。従って、雌コネクタ120及び雄コネクタ130間が半嵌合の状態でレバー治具101を雌コネクタ120より取り外してしまう恐れがある。
【0012】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、一対のコネクタの半嵌合状態における取り外しを確実に防止できるレバー治具及びこれに用いたコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一対のコネクタの一方に装着され、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への操作によって一対の前記コネクタ間に嵌合力を作用させ、一対の前記コネクタ間を嵌合開始位置から嵌合完了位置まで変位させるレバー治具であって、一方の前記コネクタの装着を許容する開位置と、装着位置に位置する一方の前記コネクタの取り外し方向への移動を阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドアと、前記開閉ドアを閉位置に保持するドア保持手段と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置の操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の前記開閉ドアを前記ドア保持手段の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段とを備えたことを特徴とするレバー治具である。
【0014】
前記ドア自動開放手段は、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への移動過程で閉位置の前記開閉ドアを押圧して開位置側に移動させるドアトリガー部と、前記ドアトリガー部によって開位置側に移動された前記開閉ドアに、前記ドア保持手段の保持力より強い付勢力を開位置側に作用させる付勢手段とを備えることが好ましい。
【0015】
前記ドア保持手段は、前記開閉ドアを閉位置に磁力によって保持する磁石であることが好ましい。
【0016】
他の本発明は、互いに嵌合可能である一対のコネクタと、一対の前記コネクタの一方に装着され、操作開始位置から操作完了位置への操作によって一対の前記コネクタ間に嵌合力を作用させて、一対の前記コネクタ間を嵌合開始位置から嵌合完了位置まで変位させるレバー治具とを備えたコネクタ装置であって、一方の前記コネクタは、前記レバー治具に装着でき、且つ、装着位置から取り外しできるよう設けられ、前記レバー治具は、一方の前記コネクタの装着を許容する開位置と、装着位置に位置する一方の前記コネクタの取り外し方向への移動を阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドアと、前記開閉ドアを閉位置に保持するドア保持手段と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の前記開閉ドアを前記ドア保持手段の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段とを備えたことを特徴とするコネクタ装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レバー治具を嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置に操作し、嵌合操作完了位置まで操作が完了しなければ開閉ドアがドア保持手段によって閉位置に保持され、嵌合操作完了位置まで操作が完了して初めて閉位置の開閉ドアがドア自動開放手段によって自動的に開位置に移動し、レバー治具を一方のコネクタより取り外し可能となる。従って、一対のコネクタ間が半嵌合の状態では取り外しできないため、一対のコネクタの半嵌合状態における取り外しを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示し、コネクタ装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、レバー治具のコネクタ装着部の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、レバー治具のレバー本体の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、ドアトリガー部が開閉ドアを開位置側に変位させる過程を説明する要部側面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図11】従来例を示し、コネクタ装置の分解斜視図である。
【図12】従来例を示し、レバー治具の分解斜視図である。
【図13】従来例を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図14】従来例を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜図10は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、コネクタ装置1は、レバー治具2と一対のコネクタである雌コネクタ20及び雄コネクタ30とを備えている。
【0021】
レバー治具2は、コネクタ装着部3と、このコネクタ装着部3に回転自在に支持されたレバー本体10とを備えている。コネクタ装着部3は、図2に詳しく示すように、一対の側壁4A,4Bとこれらを連結する連結壁部5とを有する。一対の側壁4A,4Bの上端には、互いに内側に突出する上方壁片4aが設けられている。コネクタ装着部3は、その前面側が開口されている。一対の側壁4A,4B内には、開口された前面側から雌コネクタ20が挿入できるようになっている。一対の側壁4A,4Bの内面側には、各上方壁片4aに沿って平行に一対のスライドレール部4bが突設されている。一対のスライドレール部4bは、各側壁4A,4Bの全長に亘って設けられている。一対の側壁4A,4Bの外面には、一対の支持ピン6が突設されている。
【0022】
一方の側壁4Aの前面端部には、開閉ドア7が回転自在に支持されている。開閉ドア7は、そのドア先端が他方の側壁4Bの前面端に当接し、前面側の開口を一部塞ぐ閉位置(図1の仮想線位置)と、一方の側壁4Aと面一になり、前面側の開口を開放する開位置(図1の実線位置)との間で回転する。開閉ドア7は、鉄などの磁性体より形成されている。開閉ドア7には、付勢手段であるバネ8のバネ力が作用するよう構成されている。バネ8は、開閉ドア7を開位置側に付勢する。
【0023】
他方の側壁4Bの前面端部には、ドア保持手段である磁石9が設けられている。磁石9は、その着磁面が他方の側壁4Bの前面端に露出する状態で埋設されている。磁石9は、保持力である吸磁力によって開閉ドア7を閉位置側に付勢する。
【0024】
つまり、開閉ドア7には、開位置方向にバネ8のバネ力が、閉位置方向に磁石9の吸磁力力がそれぞれ作用する。開閉ドア7は、閉位置では磁石9の吸磁力が強く、磁石9の吸磁力によって閉位置に保持される。開閉ドア7は、開位置ではバネ8のバネ力が強く、バネ8のバネ力によって開位置に保持される。磁石9の吸磁力とバネ8のバネ力の均衡位置は、下記するドアトリガー部での最終変位位置よりほんの少しだけ閉位置側に設定されている。
【0025】
他方の側壁4Bの前面端部で、且つ、その上面端部には、切欠部4cが形成されている。
【0026】
レバー本体10は、図3に詳しく示すように、一対のアーム部11と、この一対のアーム部11間を先端で連結する操作部12とを備えている。一対のアーム部11の内面側には、一対のピン受け孔13が設けられている。この一対のピン受け孔13にコネクタ装着部3の各支持ピン6が挿入されている。これにより、レバー本体10は、一対の支持ピン6を支点として嵌合操作開始位置と嵌合操作完了位置の間で回転操作できる。一対のアーム部11の内側には、一対のボス引き込み溝14が設けられている。各ボス引き込み溝14は、レバー本体10の嵌合操作開始位置と嵌合操作完了位置では、それぞれ真下位置に開口する。つまり、レバー本体10の嵌合操作開始位置と嵌合操作完了位置では、各ボス引き込み溝14に下記する雄コネクタ30のボス部32が挿入・離脱できるようになっている。
【0027】
アーム部11の一方側には、ドアトリガー部15が下方に向かって突設されている。ドアトリガー部15は、図4に示すように、レバー本体10のコネクタ嵌合操作開始位置からコネクタ嵌合操作完了位置への移動過程にあって、切欠部4cに進入して閉位置の開閉ドア7を押圧し、開閉ドア7を開位置側に移動させる。ドアトリガー部15の開閉ドア7の干渉面は、テーパ面15aに形成されている。これにより、ドアトリガー部15は、レバー本体10の嵌合操作完了位置への移動が進むに従って開閉ドア7を徐々に移動させる。レバー本体10の嵌合操作完了位置が開閉ドア7の最終的に変位される位置である。このドアトリガー部15による開閉ドア7の最終的な変位位置では、上記した磁石9の吸磁力とバネ8のバネ力の設定より、磁石9の吸磁力よりもバネ8のバネ力が強くなる。そのため、開閉ドア7はバネ力によって開位置側に自動回転される。
【0028】
つまり、ドアトリガー部15とバネ8は、レバー本体10の嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置の操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の開閉ドア7を磁石9の吸磁力(保持力)に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段DAを構成している。
【0029】
図1及び図2に示すように、雌コネクタ20と雄コネクタ30は、互いに嵌合、離脱可能に設けられている。雌コネクタ20と雄コネクタ30には、共に多数の端子(図示せず)を有し、嵌合状態では双方の多数の端子(図示せず)間が接触される。
【0030】
雌コネクタ20の両側面の上部には、一対の二条のガイドリブ21が突設されている。二条のガイドリブ21は、雌コネクタ20の側面の全長さに亘って設けられている。二条のガイドリブ21の間にコネクタ装着部3のスライドレール部4bが入り込むように位置合わせし、雌コネクタ20をコネクタ装着部3にスライド挿入する。このスライド挿入によって、雌コネクタ20をコネクタ装着部3に装着できる。
【0031】
雄コネクタ30は、上方が開口されたコネクタ嵌合室31を有する。雄コネクタ30の両側面には、一対のボス部32が突設されている。
【0032】
次に、雌コネクタ20と雄コネクタ30の嵌合作業を説明する。レバー治具2のレバー本体10は、嵌合操作開始位置にセットされているものとする。先ず、図5に示すように、開閉ドア7を開位置とし、レバー治具2のコネクタ装着部3の前面側より雌コネクタ20をスライド挿入する。図6に示すように、雌コネクタ20の先端がコネクタ装着部3の後壁に突き当たる装着位置まで挿入すると、図7に示すように、バネ8のバネ力に抗して開閉ドア7を開位置から閉位置に回転する。開閉ドア7は、磁石9の吸磁力によって閉位置に保持される。雌コネクタ20は、コネクタ装着部3の装着位置に位置決めされ、コネクタ装着部3より取り外すことができない。これで、レバー治具2への雌コネクタ20のセットが完了する。
【0033】
次に、図8に示すように、雄コネクタ30のコネクタ嵌合室31に雌コネクタ20を挿入する。この挿入によって、雄コネクタ30の一対のボス部32がレバー本体10の一対のボス引き込み溝14に入り込む。これで、雌コネクタ20と雄コネクタ30が嵌合開始位置にセットされる。
【0034】
次に、レバー本体10を嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置側(図8の矢印方向)に回転操作する。すると、雄コネクタ30の一対のボス部32がレバー本体10の一対のボス引き込み溝14を移動し、雄コネクタ30が雌コネクタ20に引き込まれる。つまり、雄コネクタ30が嵌合位置側に移動する。レバー本体10の回転操作が進み、嵌合操作完了位置の近くまで来ると、レバー本体10のドアトリガー部15が開閉ドア7に当接する。この状態より更にレバー本体10の回転操作が進むと、開閉ドア7がドアトリガー部15の押圧力によって磁石9の吸磁力に抗して開位置側に移動する。そして、レバー本体10が嵌合操作完了位置まで回転すると、開閉ドア7がドアトリガー部15による最終変位位置まで移動する。この最終変位位置で開閉ドア7に作用するバネ8のバネ力が磁石9の吸着力より初めて大きくなる。すると、図9に示すように、開閉ドア7がバネ力によって自動的に開位置に移動する。又、レバー本体10が嵌合操作完了位置まで回転すると、雄コネクタ30が嵌合完了位置まで引き込まれる。これで、レバー治具2は雌コネクタ20より取り外し可能となる。レバー治具2を雌コネクタ20より取り外し、コネクタ嵌合作業が完了する。
【0035】
以上説明したように、レバー治具2は、雌コネクタ20の装着を許容する開位置と、装着位置に位置する雌コネクタ20の取り外し方向への移動を阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドア7と、開閉ドア7を閉位置に保持する磁石9と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置の操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の開閉ドア7を磁石9の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段DAとを備えている。従って、レバー治具2を嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置に操作し、嵌合操作完了位置まで操作が完了しなければ開閉ドア7が磁石9によって閉位置に保持され、嵌合操作完了位置まで操作が完了して初めて閉位置の開閉ドア7がドア自動開放手段DAによって自動的に開位置に移動し、レバー治具2を雌コネクタ20より取り外し可能となる。以上より、雌コネクタ20と雄コネクタ30間が半嵌合の状態では取り外しできないため、雌コネクタ20と雄コネクタ30間の半嵌合状態における取り外しを確実に防止できる。
【0036】
ドア自動開放手段DAは、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への移動過程で閉位置の開閉ドア7を押圧して開位置側に移動させるドアトリガー部15と、ドアトリガー部15によって開位置側に移動された開閉ドア7に、磁石9の吸磁力より強い付勢力を開位置側に作用させる付勢手段より構成されている。この実施形態のように、ドアトリガー部15は突起状のもので構成でき、付勢手段はバネ8にて構成できるため、ドア自動開放手段DAを簡単に構成できる。
【0037】
ドア保持手段は、開閉ドア7を閉位置に磁力によって保持する磁石9である。従って、ドア保持手段を簡単に構成できる。
【0038】
この実施形態では、開閉ドア7の全体を磁性体で形成したが、磁石9に対向配置する一部のみを磁性体で形成しても良く、又、開閉ドア7に磁性体部品を付設しても良い。又、この実施形態では、開閉ドア7を磁性体で形成し、コネクタ装着部3に磁石9を設けたが、開閉ドア7に磁石9を設け、コネクタ装着部3を磁性体で形成しても良い。コネクタ装着部3は、磁石9に対向配置する一部のみを磁性体で形成しても良く、コネクタ装着部3に磁性体部品を付設しても良い。更に、開閉ドア7とコネクタ装着部3の双方に互いに逆極性の磁石を設けても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 コネクタ装置
2 レバー治具
7 開閉ドア
8 バネ(付勢手段)
9 磁石(ドア保持手段)
15 ドアトリガー部
20 雌コネクタ(コネクタ)
30 雄コネクタ(コネクタ)
DA ドア自動開放手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のコネクタ間を低い操作力で嵌合できるレバー治具、及び、これを用いるコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レバーの操作で一対のコネクタを低い操作力で嵌合できるようにしたコネクタ装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなコネクタ装置の中には、コネクタにレバーを着脱自在、つまり、レバー治具として設けたものも提案されている。レバー治具とすることにより複数のコネクタ装置の嵌合作業を行い、部品費の削減等を図ることができる。かかるレバー治具及びこれを用いたコネクタ装置の一従来例が図11〜図14に示されている。以下、説明する。
【0003】
コネクタ装置100は、図11に示すように、レバー治具101と一対のコネクタである雌コネクタ120及び雄コネクタ130とを備えている。
【0004】
レバー治具101は、図12に詳しく示すように、コネクタ装着部102と、このコネクタ装着部102に回転自在に支持されたレバー本体110とを備えている。コネクタ装着部102は、一対の側壁103とこれらを連結する連結壁部104とを有する。一対の側壁103の上端には、互いに内側に突出する上方ストッパ片103aが設けられている。一対の側壁103内には、底面側から雌コネクタ120が挿入できるようになっている。一対の側壁103には、内側に突出するコネクタ係止爪105が複数箇所にそれぞれ設けられている。一対の側壁103の外面には、一対の支持ピン106が突設されている。一対の側壁103には、一対の仮係止孔107が設けられていると共に各仮係止孔107に連通するガイドスリット108が設けられている。一対の側壁103で、且つ、仮係止孔107の下方には、レバーストッパ部109が突設されている。
【0005】
レバー本体110は、一対のアーム部111と、この一対のアーム部111間を先端で連結する操作部112とを備えている。一対のアーム部111の内面側には、一対のピン受け孔113が設けられている。この一対のピン受け孔113にコネクタ装着部102の各支持ピン106が挿入されている。これにより、レバー本体110は、一対の支持ピン106を支点として嵌合操作開始位置と嵌合操作完了位置の間で回転操作できる。一対のアーム部111の内側には、一対のボス引き込み溝114が設けられている。一対のアーム部111には、内側に突出する仮係止爪115がそれぞれ設けられている。レバー本体110は、レバーストッパ部109に突き当たる位置では、仮係止爪115が仮係止孔107に係止される。この位置がレバー本体110の嵌合操作開始位置である(図11参照)。
【0006】
図11に示すように、雌コネクタ120と雄コネクタ130は、互いに嵌合、離脱可能に設けられている。雌コネクタ120と雄コネクタ130には、共に多数の端子(図示せず)を有し、嵌合状態では双方の多数の端子(図示せず)間が接触される。雌コネクタ120の上部には、両側面より突出するフランジ部121が設けられている。雄コネクタ130は、上方が開口されたコネクタ嵌合室131を有する。雄コネクタ130の両側面には、一対のボス部132と、一対の仮係止解除・ガイドリブ133が突設されている。
【0007】
次に、雌コネクタ120と雄コネクタ130の嵌合作業を説明する。レバー治具101のレバー本体110は、嵌合操作開始位置にセットされているものとする。先ず、レバー治具101のコネクタ装着部102の底面側より雌コネクタ120を挿入する。完全挿入位置まで挿入されると、雌コネクタ120のフランジ部121にコネクタ装着部102の各コネクタ係止爪105が係止する。これでレバー治具101と雌コネクタ120が連結される。
【0008】
次に、雄コネクタ130のコネクタ嵌合室131に雌コネクタ120を挿入する。すると、雄コネクタ130の仮係止解除・ガイドリブ133が仮係止爪115を解除位置に変位させ、レバー本体110が回転操作可能となる。又、雄コネクタ130の一対のボス部132がレバー本体110の一対のボス引き込み溝114に入り込む。これで、雌コネクタ120と雄コネクタ130が嵌合開始位置にセットされる。
【0009】
次に、レバー本体110を嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置側に回転操作する。すると、雄コネクタ130の一対のボス部132がレバー本体110の一対のボス引き込み溝114を移動し、雄コネクタ130が雌コネクタ120に引き込まれる。つまり、雄コネクタ130が嵌合位置側に移動する。図13及び図14に示すように、レバー本体110の回転操作が進み、嵌合操作完了位置の近くまで来ると、雄コネクタ130の左右上端がコネクタ装着部102の各コネクタ係止爪105に突き当たる。この状態より更にレバー本体110を嵌合操作完了位置まで回転すると、雄コネクタ130が嵌合完了位置まで引き込まれると共に各コネクタ係止爪105が解除位置に変位される。これで、雌コネクタ120と雄コネクタ130の嵌合作業が完了する。レバー治具101は、各コネクタ係止爪105が解除位置とされるため、雌コネクタ120より離脱させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−187863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来のレバー治具101及びこれを用いたコネクタ装置100では、嵌合作業中に雌コネクタ120と雄コネクタ130の相対的位置が傾くと、嵌合操作完了位置よりも手前位置で深く引き込まれた側のコネクタ係止爪105が解除位置に変位する。一部のコネクタ係止爪105が解除位置に変位すると、レバー治具101を雌コネクタ120より取り外し可能となる。従って、雌コネクタ120及び雄コネクタ130間が半嵌合の状態でレバー治具101を雌コネクタ120より取り外してしまう恐れがある。
【0012】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、一対のコネクタの半嵌合状態における取り外しを確実に防止できるレバー治具及びこれに用いたコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一対のコネクタの一方に装着され、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への操作によって一対の前記コネクタ間に嵌合力を作用させ、一対の前記コネクタ間を嵌合開始位置から嵌合完了位置まで変位させるレバー治具であって、一方の前記コネクタの装着を許容する開位置と、装着位置に位置する一方の前記コネクタの取り外し方向への移動を阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドアと、前記開閉ドアを閉位置に保持するドア保持手段と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置の操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の前記開閉ドアを前記ドア保持手段の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段とを備えたことを特徴とするレバー治具である。
【0014】
前記ドア自動開放手段は、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への移動過程で閉位置の前記開閉ドアを押圧して開位置側に移動させるドアトリガー部と、前記ドアトリガー部によって開位置側に移動された前記開閉ドアに、前記ドア保持手段の保持力より強い付勢力を開位置側に作用させる付勢手段とを備えることが好ましい。
【0015】
前記ドア保持手段は、前記開閉ドアを閉位置に磁力によって保持する磁石であることが好ましい。
【0016】
他の本発明は、互いに嵌合可能である一対のコネクタと、一対の前記コネクタの一方に装着され、操作開始位置から操作完了位置への操作によって一対の前記コネクタ間に嵌合力を作用させて、一対の前記コネクタ間を嵌合開始位置から嵌合完了位置まで変位させるレバー治具とを備えたコネクタ装置であって、一方の前記コネクタは、前記レバー治具に装着でき、且つ、装着位置から取り外しできるよう設けられ、前記レバー治具は、一方の前記コネクタの装着を許容する開位置と、装着位置に位置する一方の前記コネクタの取り外し方向への移動を阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドアと、前記開閉ドアを閉位置に保持するドア保持手段と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の前記開閉ドアを前記ドア保持手段の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段とを備えたことを特徴とするコネクタ装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レバー治具を嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置に操作し、嵌合操作完了位置まで操作が完了しなければ開閉ドアがドア保持手段によって閉位置に保持され、嵌合操作完了位置まで操作が完了して初めて閉位置の開閉ドアがドア自動開放手段によって自動的に開位置に移動し、レバー治具を一方のコネクタより取り外し可能となる。従って、一対のコネクタ間が半嵌合の状態では取り外しできないため、一対のコネクタの半嵌合状態における取り外しを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示し、コネクタ装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、レバー治具のコネクタ装着部の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、レバー治具のレバー本体の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、ドアトリガー部が開閉ドアを開位置側に変位させる過程を説明する要部側面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図11】従来例を示し、コネクタ装置の分解斜視図である。
【図12】従来例を示し、レバー治具の分解斜視図である。
【図13】従来例を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す斜視図である。
【図14】従来例を示し、コネクタ嵌合作業の一過程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜図10は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、コネクタ装置1は、レバー治具2と一対のコネクタである雌コネクタ20及び雄コネクタ30とを備えている。
【0021】
レバー治具2は、コネクタ装着部3と、このコネクタ装着部3に回転自在に支持されたレバー本体10とを備えている。コネクタ装着部3は、図2に詳しく示すように、一対の側壁4A,4Bとこれらを連結する連結壁部5とを有する。一対の側壁4A,4Bの上端には、互いに内側に突出する上方壁片4aが設けられている。コネクタ装着部3は、その前面側が開口されている。一対の側壁4A,4B内には、開口された前面側から雌コネクタ20が挿入できるようになっている。一対の側壁4A,4Bの内面側には、各上方壁片4aに沿って平行に一対のスライドレール部4bが突設されている。一対のスライドレール部4bは、各側壁4A,4Bの全長に亘って設けられている。一対の側壁4A,4Bの外面には、一対の支持ピン6が突設されている。
【0022】
一方の側壁4Aの前面端部には、開閉ドア7が回転自在に支持されている。開閉ドア7は、そのドア先端が他方の側壁4Bの前面端に当接し、前面側の開口を一部塞ぐ閉位置(図1の仮想線位置)と、一方の側壁4Aと面一になり、前面側の開口を開放する開位置(図1の実線位置)との間で回転する。開閉ドア7は、鉄などの磁性体より形成されている。開閉ドア7には、付勢手段であるバネ8のバネ力が作用するよう構成されている。バネ8は、開閉ドア7を開位置側に付勢する。
【0023】
他方の側壁4Bの前面端部には、ドア保持手段である磁石9が設けられている。磁石9は、その着磁面が他方の側壁4Bの前面端に露出する状態で埋設されている。磁石9は、保持力である吸磁力によって開閉ドア7を閉位置側に付勢する。
【0024】
つまり、開閉ドア7には、開位置方向にバネ8のバネ力が、閉位置方向に磁石9の吸磁力力がそれぞれ作用する。開閉ドア7は、閉位置では磁石9の吸磁力が強く、磁石9の吸磁力によって閉位置に保持される。開閉ドア7は、開位置ではバネ8のバネ力が強く、バネ8のバネ力によって開位置に保持される。磁石9の吸磁力とバネ8のバネ力の均衡位置は、下記するドアトリガー部での最終変位位置よりほんの少しだけ閉位置側に設定されている。
【0025】
他方の側壁4Bの前面端部で、且つ、その上面端部には、切欠部4cが形成されている。
【0026】
レバー本体10は、図3に詳しく示すように、一対のアーム部11と、この一対のアーム部11間を先端で連結する操作部12とを備えている。一対のアーム部11の内面側には、一対のピン受け孔13が設けられている。この一対のピン受け孔13にコネクタ装着部3の各支持ピン6が挿入されている。これにより、レバー本体10は、一対の支持ピン6を支点として嵌合操作開始位置と嵌合操作完了位置の間で回転操作できる。一対のアーム部11の内側には、一対のボス引き込み溝14が設けられている。各ボス引き込み溝14は、レバー本体10の嵌合操作開始位置と嵌合操作完了位置では、それぞれ真下位置に開口する。つまり、レバー本体10の嵌合操作開始位置と嵌合操作完了位置では、各ボス引き込み溝14に下記する雄コネクタ30のボス部32が挿入・離脱できるようになっている。
【0027】
アーム部11の一方側には、ドアトリガー部15が下方に向かって突設されている。ドアトリガー部15は、図4に示すように、レバー本体10のコネクタ嵌合操作開始位置からコネクタ嵌合操作完了位置への移動過程にあって、切欠部4cに進入して閉位置の開閉ドア7を押圧し、開閉ドア7を開位置側に移動させる。ドアトリガー部15の開閉ドア7の干渉面は、テーパ面15aに形成されている。これにより、ドアトリガー部15は、レバー本体10の嵌合操作完了位置への移動が進むに従って開閉ドア7を徐々に移動させる。レバー本体10の嵌合操作完了位置が開閉ドア7の最終的に変位される位置である。このドアトリガー部15による開閉ドア7の最終的な変位位置では、上記した磁石9の吸磁力とバネ8のバネ力の設定より、磁石9の吸磁力よりもバネ8のバネ力が強くなる。そのため、開閉ドア7はバネ力によって開位置側に自動回転される。
【0028】
つまり、ドアトリガー部15とバネ8は、レバー本体10の嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置の操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の開閉ドア7を磁石9の吸磁力(保持力)に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段DAを構成している。
【0029】
図1及び図2に示すように、雌コネクタ20と雄コネクタ30は、互いに嵌合、離脱可能に設けられている。雌コネクタ20と雄コネクタ30には、共に多数の端子(図示せず)を有し、嵌合状態では双方の多数の端子(図示せず)間が接触される。
【0030】
雌コネクタ20の両側面の上部には、一対の二条のガイドリブ21が突設されている。二条のガイドリブ21は、雌コネクタ20の側面の全長さに亘って設けられている。二条のガイドリブ21の間にコネクタ装着部3のスライドレール部4bが入り込むように位置合わせし、雌コネクタ20をコネクタ装着部3にスライド挿入する。このスライド挿入によって、雌コネクタ20をコネクタ装着部3に装着できる。
【0031】
雄コネクタ30は、上方が開口されたコネクタ嵌合室31を有する。雄コネクタ30の両側面には、一対のボス部32が突設されている。
【0032】
次に、雌コネクタ20と雄コネクタ30の嵌合作業を説明する。レバー治具2のレバー本体10は、嵌合操作開始位置にセットされているものとする。先ず、図5に示すように、開閉ドア7を開位置とし、レバー治具2のコネクタ装着部3の前面側より雌コネクタ20をスライド挿入する。図6に示すように、雌コネクタ20の先端がコネクタ装着部3の後壁に突き当たる装着位置まで挿入すると、図7に示すように、バネ8のバネ力に抗して開閉ドア7を開位置から閉位置に回転する。開閉ドア7は、磁石9の吸磁力によって閉位置に保持される。雌コネクタ20は、コネクタ装着部3の装着位置に位置決めされ、コネクタ装着部3より取り外すことができない。これで、レバー治具2への雌コネクタ20のセットが完了する。
【0033】
次に、図8に示すように、雄コネクタ30のコネクタ嵌合室31に雌コネクタ20を挿入する。この挿入によって、雄コネクタ30の一対のボス部32がレバー本体10の一対のボス引き込み溝14に入り込む。これで、雌コネクタ20と雄コネクタ30が嵌合開始位置にセットされる。
【0034】
次に、レバー本体10を嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置側(図8の矢印方向)に回転操作する。すると、雄コネクタ30の一対のボス部32がレバー本体10の一対のボス引き込み溝14を移動し、雄コネクタ30が雌コネクタ20に引き込まれる。つまり、雄コネクタ30が嵌合位置側に移動する。レバー本体10の回転操作が進み、嵌合操作完了位置の近くまで来ると、レバー本体10のドアトリガー部15が開閉ドア7に当接する。この状態より更にレバー本体10の回転操作が進むと、開閉ドア7がドアトリガー部15の押圧力によって磁石9の吸磁力に抗して開位置側に移動する。そして、レバー本体10が嵌合操作完了位置まで回転すると、開閉ドア7がドアトリガー部15による最終変位位置まで移動する。この最終変位位置で開閉ドア7に作用するバネ8のバネ力が磁石9の吸着力より初めて大きくなる。すると、図9に示すように、開閉ドア7がバネ力によって自動的に開位置に移動する。又、レバー本体10が嵌合操作完了位置まで回転すると、雄コネクタ30が嵌合完了位置まで引き込まれる。これで、レバー治具2は雌コネクタ20より取り外し可能となる。レバー治具2を雌コネクタ20より取り外し、コネクタ嵌合作業が完了する。
【0035】
以上説明したように、レバー治具2は、雌コネクタ20の装着を許容する開位置と、装着位置に位置する雌コネクタ20の取り外し方向への移動を阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドア7と、開閉ドア7を閉位置に保持する磁石9と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置の操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の開閉ドア7を磁石9の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段DAとを備えている。従って、レバー治具2を嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置に操作し、嵌合操作完了位置まで操作が完了しなければ開閉ドア7が磁石9によって閉位置に保持され、嵌合操作完了位置まで操作が完了して初めて閉位置の開閉ドア7がドア自動開放手段DAによって自動的に開位置に移動し、レバー治具2を雌コネクタ20より取り外し可能となる。以上より、雌コネクタ20と雄コネクタ30間が半嵌合の状態では取り外しできないため、雌コネクタ20と雄コネクタ30間の半嵌合状態における取り外しを確実に防止できる。
【0036】
ドア自動開放手段DAは、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への移動過程で閉位置の開閉ドア7を押圧して開位置側に移動させるドアトリガー部15と、ドアトリガー部15によって開位置側に移動された開閉ドア7に、磁石9の吸磁力より強い付勢力を開位置側に作用させる付勢手段より構成されている。この実施形態のように、ドアトリガー部15は突起状のもので構成でき、付勢手段はバネ8にて構成できるため、ドア自動開放手段DAを簡単に構成できる。
【0037】
ドア保持手段は、開閉ドア7を閉位置に磁力によって保持する磁石9である。従って、ドア保持手段を簡単に構成できる。
【0038】
この実施形態では、開閉ドア7の全体を磁性体で形成したが、磁石9に対向配置する一部のみを磁性体で形成しても良く、又、開閉ドア7に磁性体部品を付設しても良い。又、この実施形態では、開閉ドア7を磁性体で形成し、コネクタ装着部3に磁石9を設けたが、開閉ドア7に磁石9を設け、コネクタ装着部3を磁性体で形成しても良い。コネクタ装着部3は、磁石9に対向配置する一部のみを磁性体で形成しても良く、コネクタ装着部3に磁性体部品を付設しても良い。更に、開閉ドア7とコネクタ装着部3の双方に互いに逆極性の磁石を設けても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 コネクタ装置
2 レバー治具
7 開閉ドア
8 バネ(付勢手段)
9 磁石(ドア保持手段)
15 ドアトリガー部
20 雌コネクタ(コネクタ)
30 雄コネクタ(コネクタ)
DA ドア自動開放手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のコネクタの一方に装着され、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への操作によって一対の前記コネクタ間に嵌合力を作用させ、一対の前記コネクタ間を嵌合開始位置から嵌合完了位置まで変位させるレバー治具であって、
一方の前記コネクタの装着を許容する開位置と、装着位置に位置する一方の前記コネクタの取り外しを阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドアと、前記開閉ドアを閉位置に保持するドア保持手段と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置の操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の前記開閉ドアを前記ドア保持手段の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段とを備えたことを特徴とするレバー治具。
【請求項2】
請求項1記載のレバー治具であって、
前記ドア自動開放手段は、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への移動過程で閉位置の前記開閉ドアを押圧して開位置側に移動させるドアトリガー部と、前記ドアトリガー部によって開位置側に移動された前記開閉ドアに、前記ドア保持手段の保持力より強い付勢力を開位置側に作用させる付勢手段とを備えたことを特徴とするレバー治具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のレバー治具であって、
前記ドア保持手段は、前記開閉ドアを閉位置に磁力によって保持する磁石であることを特徴とするレバー治具。
【請求項4】
互いに嵌合可能である一対のコネクタと、
一対の前記コネクタの一方に装着され、操作開始位置から操作完了位置への操作によって一対の前記コネクタ間に嵌合力を作用させて、一対の前記コネクタ間を嵌合開始位置から嵌合完了位置まで変位させるレバー治具とを備えたコネクタ装置であって、
一方の前記コネクタは、前記レバー治具に装着でき、且つ、装着位置から取り外しできるよう設けられ、
前記レバー治具は、一方の前記コネクタの装着を許容する開位置と、装着位置に位置する一方の前記コネクタの取り外しを阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドアと、前記開閉ドアを閉位置に保持するドア保持手段と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の前記開閉ドアを前記ドア保持手段の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段とを備えたことを特徴とするコネクタ装置。
【請求項1】
一対のコネクタの一方に装着され、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への操作によって一対の前記コネクタ間に嵌合力を作用させ、一対の前記コネクタ間を嵌合開始位置から嵌合完了位置まで変位させるレバー治具であって、
一方の前記コネクタの装着を許容する開位置と、装着位置に位置する一方の前記コネクタの取り外しを阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドアと、前記開閉ドアを閉位置に保持するドア保持手段と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置の操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の前記開閉ドアを前記ドア保持手段の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段とを備えたことを特徴とするレバー治具。
【請求項2】
請求項1記載のレバー治具であって、
前記ドア自動開放手段は、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への移動過程で閉位置の前記開閉ドアを押圧して開位置側に移動させるドアトリガー部と、前記ドアトリガー部によって開位置側に移動された前記開閉ドアに、前記ドア保持手段の保持力より強い付勢力を開位置側に作用させる付勢手段とを備えたことを特徴とするレバー治具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のレバー治具であって、
前記ドア保持手段は、前記開閉ドアを閉位置に磁力によって保持する磁石であることを特徴とするレバー治具。
【請求項4】
互いに嵌合可能である一対のコネクタと、
一対の前記コネクタの一方に装着され、操作開始位置から操作完了位置への操作によって一対の前記コネクタ間に嵌合力を作用させて、一対の前記コネクタ間を嵌合開始位置から嵌合完了位置まで変位させるレバー治具とを備えたコネクタ装置であって、
一方の前記コネクタは、前記レバー治具に装着でき、且つ、装着位置から取り外しできるよう設けられ、
前記レバー治具は、一方の前記コネクタの装着を許容する開位置と、装着位置に位置する一方の前記コネクタの取り外しを阻止する閉位置との間で変位できる開閉ドアと、前記開閉ドアを閉位置に保持するドア保持手段と、嵌合操作開始位置から嵌合操作完了位置への操作で、嵌合操作完了位置への操作が完了した時点で閉位置の前記開閉ドアを前記ドア保持手段の保持力に抗して開位置まで移動させるドア自動開放手段とを備えたことを特徴とするコネクタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−195153(P2012−195153A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58085(P2011−58085)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]