説明

レバー装置

【課題】2つの操作対象物を独立で操作可能であり、どちらの方向へレバーが操作されても接続部材の端部とレバー装置の連結部との当接による音が発生しないレバー装置を提供する。
【解決手段】レバー装置1は、レバー10と、第1操作部材11と、第2操作部材12とを有している。第1操作部材11と第2操作部材12とは回動軸RAを中心に同軸上で回動可能である。第1操作部材11は、レバー10の一方向D1への回動時にはレバー10と一体で回動し、レバー10の他方向D2への回動時にはレバー10と一体で回動するのを回避する第1連動機構21を介してレバー10と連結されている。第2操作部材12は、レバー10の一方向D1への回動時にはレバー10と一体で回動するのを回避し、レバー10の他方向D2への回動時にはレバー10と一体で回動する第2連動機構21を介してレバー10と連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー装置に関し、特に、2つの接続部材を介して、2つの操作対象物を独立で操作可能なレバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1つのレバーを異なる方向に操作することによって、接続部材を介して2つの操作対象物を独立で操作可能なレバー装置として、たとえば特開2010−174519号公報(特許文献1)に記載されたオープナー構造が知られている。このオープナー構造では、一方の接続部材(ケーブル)の端部がレバー(操作ハンドル部材)に直接連結されている。そして、他方の接続部材(ケーブル)を操作するようにレバーが回動されたときに一方の接続部材も操作されるのを防ぐために、一方の接続部材の端部とレバーとの連結部分に遊嵌部(屈曲部)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−174519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、遊嵌部が設けられると、他方の接続部材が操作された後、レバーが中立位置に戻ったときに、一方の接続部材の端部とレバーとが当接して音が発生する問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つの操作対象物を独立で操作可能であり、どちらの方向へレバーが操作されても接続部材の端部とレバー装置の連結部との当接による音が発生しないレバー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレバー装置は、2つの接続部材を介して、2つの操作対象物を独立で操作可能なレバー装置である。レバー装置は、回動軸を中心に両方向へ回動可能なレバーと、一方の接続部材の端部を連結して保持可能な第1操作部材と、第1操作部材と別個に回動可能であり、他方の接続部材の端部を連結して保持可能な第2操作部材とを有している。第1操作部材と第2操作部材とは回動軸を中心に同軸上で回動可能である。第1操作部材は、レバーの一方向への回動時にはレバーと一体で回動し、レバーの他方向への回動時にはレバーと一体で回動するのを回避する第1連動機構を介してレバーと連結されている。第2操作部材は、レバーの一方向への回動時にはレバーと一体で回動するのを回避し、レバーの他方向への回動時にはレバーと一体で回動する第2連動機構を介してレバーと連結されている。
【0007】
本発明のレバー装置では、第1および第2操作部材はそれぞれ上記のような第1および第2連動機構を介してレバーと連結されているので、レバーの一方向への回動時には第1操作部材がレバーと一体で回動することができ、第2操作部材がレバーと一体で回動するのを回避することができる。そして、レバーの他方向への回動時には第2操作部がレバーと一体で回動することができ、第1操作部材がレバーと一体で回動するのを回避することができる。このようにして、レバーの一方向および他方向の両方向への回動によって第1操作部材と第2操作部材とを別個に回動させることができる。これにより、レバーの操作によって、第1および第2操作部材に保持された一方および他方の接続部材を介して一方および他方の操作対象物を独立で操作することができる。
【0008】
また、第1および第2操作部材は一方および他方の接続部材の端部を連結して保持可能であるため、一方向および他方向の両方向へレバーが回動しても第1および第2操作部材に対して一方および他方の接続部材の端部は移動しない。これにより、一方向および他方向のどちらの方向へレバーが操作されても一方および他方の接続部材の端部とレバー装置の連結部である第1および第2操作部材との当接による音が発生しないようにすることができる。
【0009】
上記のレバー装置において好ましくは、第1連動機構は、第1操作部材の第1当接部と当接可能な第1端部を含んでいる。第2連動機構は、第2操作部材の第2当接部と当接可能な第2端部を含んでいる。第1連動機構は、レバーの一方向への回動時には第1当接部を第1端部で押動し、レバーの他方向への回動時には第1当接部と第1端部との当接を解除するように構成されている。第2連動機構は、レバーの一方向への回動時には第2当接部と第2端部との当接を解除し、レバーの他方向への回動時には第2当接部を第2端部で押動するように構成されている。
【0010】
レバーの一方向への回動時には第1当接部が第1端部で押動されることによって第1操作部が回動することができ、第2当接部と第2端部との当接が解除されることによって第2操作部が回動するのを回避することができる。そして、レバーの他方向への回動時には、第2当接部が第2端部で押動されることによって第2操作部が回動することができ、第1当接部と第1端部との当接が解除されることによって第1操作部が回動するのを回避することができる。これにより、レバーの一方向および他方向の両方向への回動によって第1操作部材と第2操作部材とを別個に回動させることができる。
【0011】
上記のレバー装置において好ましくは、レバーと第1端部および第2端部とは一体に構成されている。これにより、レバー装置を簡易な構成とすることができる。またレバー装置を小型化することができる。
【0012】
上記のレバー装置において好ましくは、第1操作部材と第2操作部材とを、それぞれ第1当接部が第1端部へ当接し、第2当接部が第2端部に当接する方向に付勢するばね部材をさらに備えている。これにより、レバーの回動が終了した際に、第1操作部材および第2操作部材を元の位置に確実に戻すことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、2つの操作対象物を独立で操作可能であり、どちらの方向へレバーが操作されても接続部材の端部とレバー装置の連結部との当接による音が発生しないレバー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態におけるレバー装置が配置された自動車の概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるレバー装置の概略平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態におけるレバー装置の概略分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態におけるレバー装置の中立位置での第1および第2操作部材とレバーの配置を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態におけるレバー装置の一方向への回動時の第1および第2操作部材とレバーの配置を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態におけるレバー装置の他方向への回動時の第1および第2操作部材とレバーの配置を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
最初に、本発明の一実施の形態のレバー装置の構成について説明する。本発明の一実施の形態では、本発明が適用される一例として、レバー装置が自動車に適用される場合について説明する。
【0016】
図1を参照して、本発明の一実施の形態のレバー装置1は、自動車100に取り付けされている。自動車100の前後方両側には4つの車輪101が配置されている。自動車100の中央にはステアリング102と、運転席シート103と、ダッシュボード104とが配置されている。ステアリング102近傍のダッシュボード104にレバー装置1が取り付けられている。レバー装置1には2つの接続部材2がそれぞれ連結されている。2つの接続部材2は一方の接続部材2aと他方の接続部材2bとを有している。一方の接続部材2aおよび他方の接続部材2bはそれぞれケーブルである。
【0017】
2つの接続部材2は2つの操作対象物3に接続されている。2つの操作対象物3は一方の操作対象物3aと他方の操作対象物3bとを有している。一方の接続部材2aは一方の操作対象物3aに接続されており、他方の接続部材2bは他方の操作対象物3bに接続されている。本発明の一実施の形態では、一方の操作対象物3aがフード(ボンネット)ラッチであり、他方の操作対象物3bが充電(フューエル)リッドである場合について説明する。フード(ボンネット)ラッチは自動車100の前端中央に設けられている。充電(フューエル)リッドは自動車100の後端左側に設けられている。
【0018】
レバー装置1は、一方の接続部材2aを介して一方の操作対象物3aを操作可能であり、かつ他方の接続部材2bを介して他方の操作対象物3bを一方の操作対象物3aから独立して操作可能に構成されている。このため、レバー装置1が操作されることによって、一方の接続部材2aを介して一方の操作対象物3aであるフード(ボンネット)ラッチと、他方の接続部材2bを介して他方の操作対象物3bである充電(フューエル)リッドとが互いに独立して操作される。
【0019】
続いて、図2および図3を参照して、レバー装置1の構成についてさらに詳しく説明する。
【0020】
レバー装置1は、2つの接続部材2を介して、2つの操作対象物3を独立で操作可能に構成されている。2つの接続部材2のうち一方の接続部材2aは、端部2a1と、インナーケーブル2a2と、アウターケーシング2a3とを主に有している。端部2a1はインナーケーブル2a2の先端に設けられている。端部2a1はたとえば円柱形状を有している。アウターケーシング2a3はインナーケーブル2a2を移動可能に収容するように筒状に形成されている。端部2a1はアウターケーシング2a3から突出した状態で移動可能に構成されている。
【0021】
また、2つの接続部材2のうち他方の接続部材2bは、端部2b1と、インナーケーブル2b2と、アウターケーシング2b3とを主に有している。端部2b1はインナーケーブル2b2の先端に設けられている。端部2b1はたとえば円柱形状を有している。アウターケーシング2b3はインナーケーブル2b2を移動可能に収容するように筒状に形成されている。端部2b1はアウターケーシング2b3から突出した状態で移動可能に構成されている。
【0022】
レバー装置1は、レバー10と、第1操作部材11と、第2操作部材12と、ベース13と、ばね部材14と、アウター用キャップ15と、第1連動機構21と、第2連動機構22とを主に有している。
【0023】
レバー10は、回動軸RAを中心に、一方向D1および他方向D2の両方向へ回動可能に構成されている。レバー10は、ハンドル部10aと、軸部10bと、第1開口部10cと、第2開口部10dとを主に有している。レバー10は、ハンドル部10aが操作されることによって軸部10bに回動軸RAが挿通された状態で回動可能に構成されている。第1開口部10cは第1操作部材11の回動範囲を規制するように構成されており、第2開口部10dは第2操作部材12の回動範囲を規制するように構成されている。第1開口部10cから突出するように第1操作部材11は設けられており、第2開口部10dから突出するように第2操作部材12は設けられている。
【0024】
第1操作部材11は、一方の接続部材2aの端部2a1を連結して保持可能に構成されている。第1操作部材11は、連結部11aと、溝部11bと、孔部11cとを主に有している。連結部11aは一方の接続部材2aの端部2a1を挿入可能に設けられている。連結部11aは一方の接続部材2aの端部2a1を隙間なく係止可能に設けられている。溝部11bはインナーケーブル2a2を挿入した状態で係止可能に設けられている。孔部11cはレバー10の軸部10bを挿通可能に設けられている。
【0025】
第2操作部材12は、第1操作部材11と別個に回動可能に構成されている。第2操作部材12は他方の接続部材2bの端部2b1を連結して保持可能に構成されている。第2操作部材12は、連結部12aと、溝部12bと、孔部12cとを主に有している。連結部12aは他方の接続部材2bの端部2b1を挿入可能に設けられている。連結部12aは他方の接続部材2bの端部2b1を隙間なく係止可能に設けられている。溝部12bはインナーケーブル2b2を挿入した状態で係止可能に設けられている。孔部12cはレバー10の軸部10bを挿通可能に設けられている。
【0026】
なお、溝部11bと溝部12bとは、第1操作部材11および第2操作部材12が軸部10bに組み付けられた状態で同じ高さ位置に設けられていてもよい。この場合には、第1操作部材11および第2操作部材12が軸部10bに組み付けられた状態でインナーケーブル2b1とインナーケーブル2b2とは同じ高さ位置に配置される。これにより、レバー10と一方の接続部材2aおよび他方の接続部材2bとが同一直線上に配置されるので、レバー10の操作力を一方の接続部材2aおよび他方の接続部材2bへ確実に伝達できる。
【0027】
第1操作部材11と第2操作部材12とは回動軸RAを中心に同軸上で回動可能に設けられている。回動軸RAはベース13に設けられている。ベース13は、互いに重ねられた第1操作部材11および第2操作部材12をレバー10との間に挟むように構成されている。ベース13およびレバー10によって第1操作部材11および第2操作部材12は回動可能に保持されている。
【0028】
第1操作部材11は第1連動機構21を介してレバー10と連結されている。第1連動機構21は、レバー10の回動に連動して第1操作部材11を操作するための機構である。第1連動機構21は、レバー10の一方向D1への回動時にはレバー10と一体で回動し、レバー10の他方向D2への回動時にはレバー10と一体で回動するのを回避するように構成されている。
【0029】
第2操作部材12は第2連動機構22を介してレバー10と連結されている。第2連動機構22は、レバー10の回動に連動して第2操作部材12を操作するための機構である。第2連動機構22は、レバー10の一方向D1への回動時にはレバー10と一体で回動するのを回避し、レバー10の他方向D2への回動時にはレバー10と一体で回動するように構成されている。
【0030】
図4を参照して、第1連動機構21は、第1操作部材11の第1当接部11dと当接可能な第1端部21aを有している。なお、図4では見やすくするためレバー10、第1操作部材11、第2操作部材12、第1連動機構21および第2連動機構22が図示されている。第1連動機構21は、レバー10の一方向D1への回動時には第1当接部11dを第1端部21aで押動し、レバー10の他方向D2への回動時には第1当接部11dと第1端部21aとの当接を解除するように構成されている。
【0031】
第2連動機構22は、第2操作部材12の第2当接部12dと当接可能な第2端部22aを有している。第2連動機構22は、レバー10の一方向D1への回動時には第2当接部12dと第2端部22aとの当接を解除し、レバー10の他方向D2への回動時には第2当接部12dを第2端部22aで押動するように構成されている。
【0032】
第1連動機構21および第2連動機構22は、一方向D1および他方向D2に沿って第1操作部材11および第2操作部材12の間に配置されている。第1操作部材11の第1当接部11dと第2操作部材12の第2当接部12dとによって第1連動機構21の第1端部21aおよび第2連動機構22の第2端部22aが挟まれている。第1連動機構21と第2連動機構22とは一体に形成されていてもよい。レバー10に第1端部21aを形成し、またレバー10に第2端部22aを形成することにより、レバー10と第1端部21aおよびレバー10と第2端部22aとは一体に構成されていてもよい。
【0033】
再び図2および図3を参照して、レバー装置1は、第1操作部材11と第2操作部材12とを、それぞれ第1当接部11dが第1端部21aへ当接し、第2当接部12dが第2端部22aに当接する方向に付勢するばね部材14を有していてもよい。ばね部材14は、一端141が第1操作部材11の穴部111に挿入され、他端142が第2操作部材12の穴部121に挿入されるように構成されている。ばね部材14は、第2操作部材12とベース13とによって挟まれて保持されている。
【0034】
アウター用キャップ15は、一方の接続部材2aおよび他方の接続部材2bを保持可能に設けられている。アウター用キャップ15は、一方の接続部材2aおよび他方の接続部材2bを一端15aから挿入可能に構成されている。アウター用キャップ15は、一方の接続部材2aの端部2a1およびインナーケーブル2a2並びに他方の接続部材2bの端部2b1およびインナーケーブル2b2がそれぞれ他端15bから突出可能に構成されている。
【0035】
また、アウター用キャップ15の凹部15cはベース13の凸部13aに嵌合可能に構成されている。アウター用キャップ15によって一方の接続部材2aおよび他方の接続部材2bは安定して第1操作部材11および第2操作部材12に取り付けられている。なお、アウター用キャップ15には一方の接続部材2aおよび他方の接続部材2bの他にスペーサとしての鋼線が保持されていてもよい。
【0036】
次に、図4〜図6を参照して、本発明の一実施の形態のレバー装置の動作について説明する。なお、図4と同様に、図5および図6では見やすくするためレバー10、第1操作部材11、第2操作部材12、第1連動機構21および第2連動機構22が図示されている。
【0037】
再び図4を参照して、レバー10が一方向D1および他方向D2のいずれにも回動していない中立位置においては、第1操作部材11および第2操作部材12とも回動しない。なお、中立位置においては、図示しないばね部材14によって、第1操作部材11は第1当接部11dを第1連動機構21の第1端部21aへ当接するように付勢されていてもよく、第2操作部材12は第2当接部12dを第2連動機構22の第2端部22aへ当接するように付勢されていてもよい。
【0038】
図5を参照して、レバー10の一方向D1への回動時には、第1連動機構21はレバー10と一体で回動する。これにより、第1連動機構21を介してレバー10と連結されている第1操作部材11は一方向D1に沿って回動する。また、レバー10の一方向D1への回動時には、第2連動機構22はレバー10と一体で回動するのを回避する。これにより、第2連動機構22を介してレバー10と連結されている第2操作部材12は回動しない。
【0039】
さらに詳しく説明すると、レバー10の一方向D1への回動時には、第1操作部材11の第1当接部11dが第1連動機構21の第1端部21aによって押動される。これにより、第1操作部材11が一方向D1に沿って回動する。また、レバー10の一方向D1への回動時には、第2操作部材12の第2当接部12dと第2連動機構22の第2端部22aとの当接が解除される。これにより、第2操作部材12は回動しない。
【0040】
図6を参照して、レバー10の他方向D2への回動時には、第2連動機構22はレバー10と一体で回動する。これにより、第2連動機構22を介してレバー10と連結されている第2操作部材12は他方向D2に沿って回動する。また、レバー10の他方向D2への回動時には、第1連動機構21はレバー10と一体で回動するのを回避する。これにより、第1連動機構21を介してレバー10と連結されている第1操作部材11は回動しない。
【0041】
さらに詳しく説明すると、レバー10の他方向D2への回動時には、第2操作部材12の第2当接部12dが第2連動機構22の第2端部22aによって押動される。これにより、第2操作部材12が他方向D2に沿って回動する。また、レバー10の他方向D2への回動時には、第1操作部材11の第1当接部11dと第1連動機構21の第1端部21aとの当接が解除される。これにより、第1操作部材11は回動しない。
【0042】
上述のように、レバー10の一方向D1および他方向D2への回動によって、第1操作部材11および第2操作部材12が互いに独立して回動する。これにより、第1操作部材11に一方の接続部材2aを介して接続された一方の操作対象物3aと、第2操作部材12に他方の接続部材2bを介して接続された他方の操作対象物3bとが互いに独立して操作される。
【0043】
次に本発明の一実施の形態のレバー装置の作用効果について説明する。
本発明の一実施の形態のレバー装置1では、第1操作部材11および第2操作部材12はそれぞれ第1連動機構21および第2連動機構22を介してレバー10と連結されているので、レバー10の一方向D1への回動時には第1操作部材11がレバー10と一体で回動することができ、第2操作部材12がレバー10と一体で回動するのを回避することができる。そして、レバー10の他方向D2への回動時には第2操作部材12がレバー10と一体で回動することができ、第1操作部材11がレバー10と一体で回動するのを回避することができる。このようにして、レバー10の一方向D1および他方向D2の両方向への回動によって第1操作部材11と第2操作部材12とを別個に回動させることができる。これにより、レバー10の操作によって、第1操作部材11および第2操作部材12に保持された一方の接続部材2aおよび他方の接続部材2bを介して一方の操作対象物3aおよび他方の操作対象物3bを独立で操作することができる。
【0044】
また、第1操作部材11および第2操作部材12は一方の接続部材2aの端部2a1および他方の接続部材2bの端部2b1を連結して保持可能であるため、一方向D1および他方向D2の両方向へレバー10が回動しても第1操作部材11および第2操作部材12に対して一方の接続部材2aの端部2a1および他方の接続部材2bの端部2b1は移動しない。これにより、一方向D1および他方向D2のどちらの方向へレバー10が操作されても一方の接続部材2aの端部2a1および他方の接続部材2bの端部2b1とレバー装置1の連結部である第1操作部材11および第2操作部材12との当接による音が発生しないようにすることができる。
【0045】
また、第1操作部材11と第2操作部材12とは回動軸RAを中心に同軸上で回動可能であるため、第1操作部材11および第2操作部材12が同軸上に配置されない場合と比較してレバー装置1を小型化することができる。
【0046】
また、本発明の一実施の形態のレバー装置1では、レバー10の一方向D1への回動時には第1当接部11dが第1端部21aで押動されることによって第1操作部材11が回動することができ、第2当接部12dと第2端部22aとの当接が解除されることによって第2操作部材12が回動するのを回避することができる。そして、レバー10の他方向D2への回動時には、第2当接部12dが第2端部22aで押動されることによって第2操作部材12が回動することができ、第1当接部11dと第1端部21aとの当接が解除されることによって第1操作部材11が回動するのを回避することができる。これにより、レバー10の一方向D1および他方向D2の両方向への回動によって第1操作部材11と第2操作部材12とを別個に回動させることができる。
【0047】
また、本発明の一実施の形態のレバー装置1では、レバー10と第1端部21aおよび第2端部22aとは一体に構成されている。これにより、レバー装置1を簡易な構成とすることができる。またレバー装置1を小型化することができる。また、レバー10の操作に対して第1端部21aおよび第2端部22aを正確に追従させることができる。
【0048】
また、本発明の一実施の形態のレバー装置1では、第1操作部材11と第2操作部材12とを、それぞれ第1当接部11dが第1端部21aへ当接し、第2当接部12dが第2端部22aに当接する方向に付勢するばね部材14をさらに備えている。これにより、レバー10の回動が終了した際に、第1操作部材11および第2操作部材12を元の位置に確実に戻すことができる。また、レバー10の回動の際に摩擦力によって第1操作部材11と第2操作部材12とが同時に回動することを防止することができる。
【0049】
なお、上記では、一方の操作対象物3aがフード(ボンネット)ラッチであり、他方の操作対象物3bが充電(フューエル)リッドである場合を一例として説明したが、一方の操作対象物3aおよび他方の操作対象物3bはこれらに限定されない。
【0050】
また、たとえば第1操作部材11および第2操作部材12の長さを互いに異ならせることなどによって一方の接続部材2aのインナーケーブル2a2および他方の接続部材2bのインナーケーブル2b2のストロークを互いに異ならせることもできる。これにより、2つの操作対象物3の多様な操作を実現できる。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、2つの接続部材を介して、2つの操作対象物を独立で操作可能なレバー装置に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0053】
1 レバー装置、2 接続部材、2a 一方の接続部材、2b 他方の接続部材、2a1 一方の接続部材の端部、2b1 他方の接続部材の端部、3 操作対象物、3a 一方の操作対象物、3b 他方の操作対象物、10 レバー、11 第1操作部材、11d 第1当接部、12 第2操作部材、12d 第2当接部、13 ベース、14 ばね部材、15 アウター用キャップ、21 第1連動機構、21a 第1端部、22 第2連動機構、22a 第2端部、100 自動車、D1 一方向、D2 他方向、RA 回動軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの接続部材を介して、2つの操作対象物を独立で操作可能なレバー装置において、
前記レバー装置は、回動軸を中心に両方向へ回動可能なレバーと、
一方の接続部材の端部を連結して保持可能な第1操作部材と、
前記第1操作部材と別個に回動可能であり、他方の接続部材の端部を連結して保持可能な第2操作部材とを有し、
前記第1操作部材と前記第2操作部材とは前記回動軸を中心に同軸上で回動可能であり、
前記第1操作部材は、前記レバーの一方向への回動時には前記レバーと一体で回動し、前記レバーの他方向への回動時には前記レバーと一体で回動するのを回避する第1連動機構を介して前記レバーと連結され、
前記第2操作部材は、前記レバーの一方向への回動時には前記レバーと一体で回動するのを回避し、前記レバーの他方向への回動時には前記レバーと一体で回動する第2連動機構を介して前記レバーと連結されていることを特徴とするレバー装置。
【請求項2】
前記第1連動機構は、前記第1操作部材の第1当接部と当接可能な第1端部を含み、
前記第2連動機構は、前記第2操作部材の第2当接部と当接可能な第2端部を含み、
前記第1連動機構は、前記レバーの前記一方向への回動時には前記第1当接部を前記第1端部で押動し、前記レバーの前記他方向への回動時には前記第1当接部と前記第1端部との当接を解除するように構成されており、
前記第2連動機構は、前記レバーの前記一方向への回動時には前記第2当接部と前記第2端部との当接を解除し、前記レバーの前記他方向への回動時には前記第2当接部を前記第2端部で押動するように構成されている、請求項1に記載のレバー装置。
【請求項3】
前記レバーと前記第1端部および前記第2端部とは一体に構成されている、請求項2に記載のレバー装置。
【請求項4】
前記第1操作部材と前記第2操作部材とを、それぞれ前記第1当接部が前記第1端部へ当接し、前記第2当接部が前記第2端部に当接する方向に付勢するばね部材をさらに備えた、請求項3に記載のレバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96082(P2013−96082A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237332(P2011−237332)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】