説明

レンズシートならびにそれを用いたエレクトロルミネッセンス素子および表示装置

【課題】 従来よりも光の利用効率が向上したEL素子、および、EL素子等の光源に用いて光の利用効率を向上させるレンズシート、ならびに、これら光源を用いた輝度の高い表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明のレンズシート(11)は、表示装置において表示素子とバックライトユニットとの間に配されてバックライトユニットから入射した光(31、32)を透過させて表示素子に出射するレンズシート(11)であって、レンズシート(11)に対して略平行方向に入射光を散乱させる効果を有する散乱レンズ(11a)と、レンズシートに対して略垂直方向に入射光を指向させる効果を有する指向レンズ(11b)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示素子等のバックライトユニットに使用されるレンズシート、そのレンズシートを有するエレクトロルミネッセンス素子、および、そのエレクトロルミネッセンス素子を用いたバックライトユニット、ならびに、そのバックライトユニットを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯情報機器やフラットパネルディスプレイにおいて液晶表示装置が多用され、多くの液晶表示装置では、映像表示のためにバックライトユニットが使用されている。このバックライトユニットには高画質化、省電力化のために高輝度化が求められている。
【0003】
バックライトユニットは、その光源として例えば冷陰極管やLEDといった光源を有しており、これら光源からの光を面状にするために導光板を用いている。
【0004】
例えば特許文献1においては、バックライトユニットの高輝度化を実現するために、正面輝度を向上させるためのレンズシートが用いられている。このレンズシートは、三角柱のプリズムを配置した構造を有し、冷陰極管やLEDといった線光源、もしくは点光源から発せられ、導光板に通されて面状光源として拡散される光のうち、導光板に対して斜め方向に出る光を液晶表示素子正面方向に向けるものである。
【0005】
他方、バックライトユニットに用いることができる面光源として、エレクトロルミネッセンス素子(以下、「EL素子」という。)を適用する試みがなされている。このEL素子は軽量・薄型の面発光型素子である。EL素子は大別すると、有機材料に直流電圧を印加することにより、電子とホールを再結合させて発光する有機EL素子と、無機材料に交流電圧を印加して発光物質の電子を衝突励起させて発光する無機EL素子に分けられる。さらに、後者の無機EL素子は、1μm程度の膜圧を有する薄膜発光層の両側あるいは片側に絶縁層を備える薄膜型無機EL素子と、蛍光体粒子を有機バインダ中に分散させて発光層とする分散型無機EL素子に区別される。
【0006】
このようなEL素子をバックライトユニットへ適用する利点は、EL素子は面光源として用いることが可能であるので、前述の冷陰極管やLEDといった線光源、もしくは点光源からの光を用いて面光源を実現するために必要とした導光板が不要であることが挙げられる。
【0007】
しかしながら、例えば分散型無機EL素子は輝度が十分ではない。そのため、現状では一部の携帯電話に用いられているのみである。また、例えば有機EL素子は近年急速に開発が進んでいるが、輝度と寿命の両立ができていない。面光源としてのEL素子のさらなる輝度向上が求められている。
【0008】
EL素子の輝度向上の手段として前述の輝度向上用のレンズシートを用いることは可能であるが、このレンズシートは線光源、もしくは点光源から、面光源とするための導光板を通って拡散される斜め方向の光を正面方向に向けるものであり、面光源であるEL素子に用いた場合、斜め方向の光成分が相対的に少ないためにその効果は薄い。そのため、特許文献2に示されるような凸状もしくは凹状の錐状のレンズを配置したレンズシートが考案されている。
【特許文献1】特開2004−004970号公報
【特許文献2】特開2003−059641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のEL素子自体の輝度向上は重要な課題であるが、同時に、光の利用効率の向上を図ることも重要な課題である。液晶表示装置においては通常、バックライトユニットからの光を液晶表示素子に透過し、画像を表示する。だが、液晶表示素子上の各表示画素にはそれぞれ配線やトランジスタが形成されており全ての光が液晶表示素子を透過するわけではない。液晶表示素子に入射する光のうちで透過する光の割合は開口率で示される。透過型の液晶表示素子の場合、開口率は通常10%〜50%程度である。すなわちバックライトユニットから発せられた光のうち半分以上は非透過部に照射され、非透過部に照射された光の多くは吸収される。よって、光の利用効率は低下し、液晶表示素子の輝度向上を妨げる要因の1つとなっている。特許文献2のようなEL素子の輝度向上用のレンズシートは、上記の低利用効率の問題に対する解決とはなっておらず、未だなお、低い利用効率の状態に留まったままである。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも光の利用効率が向上したEL素子、および、EL素子等の光源に用いて光の利用効率を向上させるレンズシート、ならびに、これら光源を用いた輝度の高い表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るレンズシートは、表示装置において表示素子とバックライトユニットとの間に配されてバックライトユニットから入射した光を透過させて表示素子に出射するレンズシートであって、レンズシートに対して略平行方向に入射光を散乱させる効果を有する散乱レンズ部と、レンズシートに対して略垂直方向に入射光を指向させる効果を有する指向レンズ部とを有する。
【0012】
上記のレンズシートのレンズ部のそれぞれは実質的に錐体または半球体形状を有し、また、複数の散乱レンズ部および複数の指向レンズ部が所定の周期性をもって規則的に配列された構造を有してもよい。
【0013】
本発明に係るエレクトロルミネッセンス素子は、電圧の印加により光を発する発光層、および、発光層から入射した光を出射するレンズシートを有し、レンズシートが、レンズシートに対して略平行方向に入射光を散乱させる効果を有する散乱レンズ部と、レンズシートに対して略垂直方向に入射光を指向させる効果を有する指向レンズ部とを有する。
【0014】
上記のエレクトロルミネッセンス素子のレンズ部のそれぞれは実質的に錐体または半球体形状を有し、また、複数の散乱レンズ部および複数の指向レンズ部が所定の周期性をもって規則的に配列された構造を有してもよい。
【0015】
本発明に係るバックライトユニットは、上記のエレクトロルミネッセンス素子を有する光源、もしくは、その他の光源、ならびに、光源から入射した光を出射するレンズシートを有し、レンズシートが、レンズシートに対して略平行方向に入射光を散乱させる効果を有する散乱レンズ部と、レンズシートに対して略垂直方向に入射光を指向させる効果を有する指向レンズ部とを有する。
【0016】
上記のバックライトユニットのレンズ部のそれぞれは実質的に錐体または半球体形状を有し、また、複数の散乱レンズ部および複数の指向レンズ部が所定の周期性をもって規則的に配列された構造を有してもよい。
【0017】
本発明に係る第1の表示装置は、上記のレンズシートと、レンズシート上に配置された表示素子とを有する表示装置であって、表示素子は、表示画素に対応して設けられた開口部、および、光を透過しない非開口部を有し、レンズシートの有する指向レンズ部は、前記表示素子の開口部と平行であり、かつ、平面視で実質的に重なり合う位置に設けられている。
【0018】
または、本発明に係る第2の表示装置は、上記のバックライトユニットと、バックライト上に配置された表示素子とを有する表示装置であって、表示素子は、表示画素に対応して設けられた開口部、および、光を透過しない非開口部を有し、バックライトユニットの有する指向レンズ部は、表示素子の開口部と平行であり、かつ、平面視で実質的に重なり合う位置に設けられている。
【0019】
上記第1および第2の表示装置においては、表示素子の開口部が四辺形形状を有し、かつ、開口部の直下に配された指向レンズ部に含まれるレンズ構造の頂点のうち最も外側に位置する頂点を繋いで得られる多角形が実質的に四辺形であり、指向レンズ部の最外頂点による第1四辺形が、平面視で開口部の四辺形形状の周囲を規定する第2四辺形内に全て含まれる位置にあって、第1四辺形の第一辺、第二辺、第三辺、および、第四辺と第2四辺形の第一辺、第二辺、第三辺、および、第四辺とがそれぞれ平行であってよい。
【0020】
または、上記の表示装置においては、表示素子の開口部が四辺形形状を有し、指向レンズ部が四角錐形状を有し、かつ、開口部の直下に配された指向レンズ部の周縁部が実質的に四辺形を構成し、この四辺形と、開口部の周囲を規定する四辺形とが、平面視で実質的に重なり合ってよい。
【0021】
また、上記の表示装置の表示素子は液晶表示素子であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のレンズシートまたはエレクトロルミネッセンス素子は、光の出射面側に凸状または凹状のレンズを多数配列したレンズ状の構造を備え、このレンズ状の構造は光散乱効果を有するレンズと、光指向効果を有するレンズとの、少なくとも2種類のレンズを含んでいる。これら2種類のレンズを有することで光源からの光を光指向効果を有するレンズに集光することが可能である。これを表示装置に用いることにより、光の利用効率が従来よりも向上された表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係るエレクトロルミネッセンス素子(EL素子)1の断面概略図である。EL素子1はレンズシート11、透明基板12、透明電極13、発光層14、背面電極15を有する。
【0025】
本実施形態のEL素子1においては、駆動電源(図示せず)によって透明電極13と背面電極15との間に所定の駆動電圧を印加するにより発光層14が発光し、発光層14からの光は透明電極13、透明基板12、レンズシート11を介してEL素子の上方へ出射する。
【0026】
本実施形態のレンズシート11は透明基板12と一体に形成されており、光散乱効果を有するレンズ(以下、「散乱レンズ」という。)11aと、光指向効果を有するレンズ(以下、「指向レンズ」という。)11bの2種類のレンズがその表面に形成されている。
【0027】
散乱レンズ11aと指向レンズ11bは、図2に示すように特定の周期d、例えば1つのレンズ11aまたは11bにつき100μm間隔で配列される。EL素子1において、両レンズ11a、11bは縦横ともに交互に配列されている。本実施形態では両レンズ11a、11bに四角錐体形状のレンズを用い、幅方向にはそれぞれ2個ずつ、長さ方向には2個ないし3個の周期で交互に散乱レンズ11a、指向レンズ11bを配列している。また、散乱レンズ11aの高さは指向レンズ11bよりも低く形成される。散乱レンズ11aの高さは、好ましくは指向レンズ11bの高さの1/2以下である。また、レンズの頂角は散乱レンズ11aでは好ましくは120度以上であり、指向レンズ11bでは好ましくは120度以下である。
【0028】
レンズシート11の材質は、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィンン、ポリカーボネート、ポリエステル等の高分子材やガラス、などが挙げられる。
【0029】
透明基板12は少なくとも所望の帯域の光を透過する材質と厚さであれば特にその材質や厚さはともに限定されず、例えば、材質としてはポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミド等の高分子材料やガラス、石英等を用いることができる。
【0030】
透明電極13は導電性を有し、かつ所望の帯域の光を透過する材質と厚さであれば、特にその材質や厚さはともに限定されず、例えば材質としては、ITOやZnO等の金属酸化物、Au、Ag、Al等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、PEDOT/PSS、ポリチオフェン等の高分子材料等を用いることができる。
【0031】
発光層14は、例えば硫化亜鉛等の無機化合物やAlq3などの有機化合物の単層、もしくは複層で構成される。なお、複層で構成される場合、発光に寄与しない層、例えば無機強誘電体からなる絶縁層や、NPDなどの有機化合物からなる正孔輸送層などを含んでもよい。
【0032】
背面電極15は導電性であれば特に限定されず、例えば材質としては、ITOやZnO等の金属酸化物、Au、Ag、Al、Cu等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、PEDOT/PSS等の高分子材や、カーボン等を用いることができる。また、背面電極15側から光を取り出す場合には、発光波長に対して透明な電極材料、例えば透明電極12と同様の材料で構成してもよい。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0034】
図3は図1と同様の横断面模式図であり、さらに本発明の効果を示すため、内部の発光層14から上向きに発せられる光の光路のうち、2つの光路を実線および破線の矢印を用いて表している。発光層14は全方位的に発光するため、層14から出射された光はあらゆる方向性を備えてプリズムシート11に入射するが、図示した以外の光路を有する光についても同様に、本発明の効果は発揮される。本図に示した光路では、素子1内部の層の境界面における屈折を省略して図示しているが、当然のことながら、素子1内部において屈折が生じてもよい。その場合でも、本発明の効果は同様に発揮される。
【0035】
発光層14から透明基板12へ入射した光31および32は、透明基板12を透過し、透明基板12上方のレンズシート11へ入射する。それら光のうち、レンズシート11の散乱レンズ11aに入射された光31は、散乱レンズ11aの上方の外部との境界面で屈折(以下、散乱レンズ11aとEL素子1の外部との界面における出射光の屈折作用を特に「散乱効果」と称す。)し、光31は、レンズシート11の外側より指向レンズ11bに照射される。このとき光31は、その一部の光31bがレンズ内部に入射し、残りの光31aは指向レンズ11bで反射され、レンズシート11の上方へ反射する。他方、レンズシート11の指向レンズ11bに入射した光32は、指向レンズ11bの上方の外部との境界面で屈折(以下、指向レンズ11bとEL素子1の外部との界面における出射光の屈折作用および界面における光の反射作用を特に「指向効果」と称す。)し、光32はレンズシート上方へ出射される。
【0036】
レンズシート11がこのような形状を有することによりEL素子1をその上方より見た場合、EL素子1には輝度の高い部位と低い部位が特定の周期で繰り返される。図4は発光状態にあるEL素子1を上方より、つまりレンズシート11を上方より見た部分平面図である。レンズシート11を上方より見た場合、表面に指向レンズ11bが形成されている領域R1においては高い輝度で発光が認められ、表面に散乱レンズ11aが形成されている他の領域R2においては、その輝度は領域R1における輝度と比べて相対的に低い輝度での発光が認められる。図4においては、その輝度の差をハッチングで示している。
【0037】
散乱レンズ11aが配置されている領域R2では、光がレンズシート11と略平行な方向に出射光は散乱され、よって上方より見た場合には輝度の低い領域となり、指向レンズ11bが配されている領域R1では光がレンズシート11と略垂直な方向に指向され、かつ光散乱効果を有するレンズ11aからの横斜め方向に拡散された光も上方向に指向されることで、集光され、上方より見た場合に相対的に輝度の高い領域となる。
【0038】
このように、散乱レンズ11aおよび指向レンズ11bを用いてレンズシート11表面に散乱効果および指向効果を与えることにより、EL素子1に、所望の光強度の強弱の分布を与えることができる。よって、強い輝度が必要とされる領域に光のエネルギを集中させて光を利用することにより、EL素子1全体の光の利用効率が向上する。
【0039】
上述した第1の実施形態においては、レンズシートとして上方に凸状のレンズを用いた例を用いて説明したが、凹状であっても良い。また、レンズ形状に四角錐形状を用いた例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、多角錐や円錐、または半球状といった曲面形状を有するレンズであってもよい。さらにレンズの配列は縦横共に交互に配列された場合を示したが、一方向のみに交互な配列を与えてもよく、この場合レンズ形状は上記形状以外にも、図5に示すように、その長手方向がレンズシート11の面に平行に配列された少なくとも2種類の三角柱形状レンズ11c、11dを用いることができる。また、本実施形態においては、1種類の散乱レンズ11bと1種類の指向レンズ11aの2種類のレンズのみで説明したが、例えば散乱レンズが複数種類あってもよく、指向レンズが複数種類あってもよく、さらには、それぞれが複数種類あってもよい。また、レンズシート11は透明基板12と一体に成形された構成をしているが、別体に形成され重ね合わされてもよく、さらに接着剤等で張り合わされてもよい。
【0040】
なお、本実施形態のレンズシートは、エレクトロルミネッセンス素子で構成される面状光源の他、導光板等を用いた従来型の光源に使用することもできる。
【0041】
(第2の実施形態)
図6(a)および図6(b)は本発明に係る表示装置の構成を示しており、図6(a)は、図6(b)の斜視図のA−Aにおける横断面概略図である。表示装置4はEL素子41、レンズシート411、液晶表示素子42を有する。
【0042】
EL素子41は第1の実施形態で説明したEL素子1のうち、レンズシート11を除いた部分と実質的に同等であり、少なくとも図面上方に向かって発光可能に配置されている。第1の実施形態とは異なり、レンズシート411はEL素子41とは別体で構成される。このレンズシート411は、第1の実施形態のレンズシート11と実質的に同等であって、散乱効果を有する散乱レンズ411aおよび指向効果を有する指向レンズ411bを備えている。
【0043】
レンズシート411はEL素子41と表示素子42との間に配置される。EL素子41及びレンズシート411は、表示素子42のバックライトユニットとして機能する。
【0044】
表示素子42は透過型もしくは半透過型の、マトリックス駆動される液晶表示素子であり、例えばTN型液晶表示素子、STN型液晶表示素子、DSTN型液晶表示素子、TFT型液晶表示素子、MIM型液晶表示素子などを用いることができ、特にTFT型液晶表示素子が好ましい。
【0045】
前述のように、このような透過型もしくは半透過型のマトリックス駆動の液晶表示素子42は配線やトランジスタ、さらに表示画素間のブラックマトリックスなどを有するため、表示素子42の全ての部分においてバックライトからの光が透過されるわけではない。つまり、液晶表示素子42において光を透過可能な部分である開口部(透光部)421は限定されている。
【0046】
図6(b)において、開口部421はそれぞれ、表示装置4を構成する画素の1つ1つである。また、液晶表示素子42に含まれる画素の配列と、レンズシート411に含まれる指向レンズ411bの配列とは実質的に一致するように配列されている。よって、開口部421と指向レンズ411bの位置は平面視で実質的に一致している。同時に、液晶表示素子42の光を透過しない部分つまり非開口部(非透光部)422と、レンズシート411に含まれる散乱レンズ411aとは平面視で実質的に一致する。
【0047】
レンズ411a、411bを四角錐形状に構成する本実施形態では、四辺形である開口部421の周囲を規定する四辺と、直下に位置する指向レンズ411b群の周縁部を規定する四辺形の四辺とが平面視で実質的に重なり合うことが望ましい。なお、レンズ411a、411bが四角錐形状以外の形状を有する場合においては、開口部421の直下に位置する指向レンズ411b群の最も外側に位置する指向レンズ411bの頂点を繋いで仮想的に形成される多角形が四辺形を構成し、平面視で直上の開口部421を規定する四辺形の内部に完全に含まれる位置にあって、上記の仮想的に形成される四辺形の第1辺、第2辺、第3辺、および、第4辺と、開口部の周囲を規定する四辺形の第1辺、第2辺、第3辺、および、第4辺とがそれぞれ平行であることが望ましい。
【0048】
また、個々の開口部421の開口領域の面積と、その直下に位置する指向レンズ411b群の配されているレンズシート411上の領域の面積とは同一であることが望ましい。なぜなら、面積が同一でないとき、特に、指向レンズ411b群の領域の面積がその直上にある開口部421の開口領域よりも大きい場合、光の利用効率が低下するおそれがあり、逆に、指向レンズ411b群の領域の面積がその直上にある開口部421の開口領域よりも小さい場合、液晶表示装置の輝度の低下を招くおそれがあるからである。
【0049】
以上のように構成される表示装置の動作を説明する。EL素子41は図示しない駆動電源から電圧を印加されることで発光し、発せられた光はレンズシート411を介して液晶表示素子42に照射される。レンズシート411では入射された光が散乱レンズ411aで散乱されることで指向レンズ411bに集光され、指向レンズ411bにより上方向へ指向されて照射される。指向レンズ411b上には液晶表示素子42の開口部421が配置されているため、指向レンズ411bで集光された光は、開口部421に入射し、そして透過して表示装置4の表示面4aより出射される。よって、EL素子41の発する光の利用効率が向上される。
【0050】
本実施形態において、レンズシート411は第1の実施形態と同様に様々な形状と配列をとることができる。またレンズシート411はEL素子41と別体に構成されているが、EL素子41と一体の構成でも良い。また逆に、液晶表示素子42と一体に形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、光を部分的に集光し指向することで、特定のパターンで高輝度化が可能となる。そのため、液晶表示素子を用いた表示装置のバックライトユニット用光源として特に有用である。更に本発明の表示装置は、このエレクトロルミネッセンス素子を用いることで高輝度画像表示が可能となり、携帯情報端末やフラットパネルディスプレイ用の表示装置として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態のエレクトロルミネッセンス素子の横断面概略図
【図2】図1に示したエレクトロルミネッセンス素子の斜視図
【図3】図1に示したレンズシート内を透過する光の光路及び出射方向を示す模式図
【図4】図1に示したレンズシートの部分平面図
【図5】本発明の第1の実施形態の変形例を示す斜視図
【図6】(a):本発明の第2の実施形態の表示装置の横断面概略図、(b):本発明の第2の実施形態の表示装置の斜視図
【符号の説明】
【0053】
1 エレクトロルミネッセンス素子
11 レンズシート
11a 散乱レンズ
11b 指向レンズ
12 透明基板
13 透明電極
14 発光層
15 背面電極
31 散乱レンズを通過する光の光路
32 指向レンズを通過する光の光路
4 表示装置
41 エレクトロルミネッセンス素子
411 レンズシート
411a 散乱レンズ
411b 指向レンズ
42 液晶表示素子
421 液晶表示素子の開口部(透光部)
422 液晶表示素子の非開口部(非透光部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置において表示素子とバックライトユニットとの間に配されて前記バックライトユニットから入射した光を透過させて前記表示素子に出射するレンズシートであって、
前記レンズシートに対して略平行方向に入射光を散乱させる効果を有する散乱レンズ部と、前記レンズシートに対して略垂直方向に入射光を指向させる効果を有する指向レンズ部とを有することを特徴とするレンズシート。
【請求項2】
前記散乱レンズ部および前記指向レンズ部が所定の周期性をもって規則的に配列された構造であることを特徴とする、請求項1に記載のレンズシート。
【請求項3】
電圧の印加により光を発する発光層、および、前記発光層から入射した光を出射するレンズシートを有し、
前記レンズシートが、前記レンズシートに対して略平行方向に入射光を散乱させる効果を有する散乱レンズ部と、前記レンズシートに対して略垂直方向に入射光を指向させる効果を有する指向レンズ部とを有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記散乱レンズ部および前記指向レンズ部が所定の周期性をもって規則的に配列された構造であることを特徴とする、請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
請求項3または4に記載のエレクトロルミネッセンス素子を光源として備えた、表示装置において使用されるバックライトユニット。
【請求項6】
光源、および、前記光源から入射した光を出射するレンズシートを有し、
前記レンズシートが、前記レンズシートに対して略平行方向に入射光を散乱させる効果を有する散乱レンズ部と、前記レンズシートに対して略垂直方向に入射光を指向させる効果を有する指向レンズ部とを有することを特徴とするバックライトユニット。
【請求項7】
前記レンズシートが、複数の前記散乱レンズ部および複数の前記指向レンズ部が所定の周期性をもって規則的に配列された構造を有することを特徴とする、請求項6に記載のバックライトユニット。
【請求項8】
請求項1または2に記載のレンズシートと、前記レンズシート上に配置された表示素子とを有する表示装置であって、
前記表示素子は、表示画素に対応して設けられた開口部、および、光を透過しない非開口部を有し、
前記レンズシートの有する前記指向レンズ部は、前記表示素子の前記開口部と平行であり、かつ、平面視で実質的に重なり合う位置に設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項5ないし7のいずれか1つに記載のバックライトユニットと、前記バックライト上に配置された表示素子とを有する表示装置であって、
前記表示素子は、表示画素に対応して設けられた開口部、および、光を透過しない非開口部を有し、
前記バックライトユニットの有する前記指向レンズ部は、前記表示素子の前記開口部と平行であり、かつ、平面視で実質的に重なり合う位置に設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
前記開口部が四辺形形状を有し、かつ、
前記開口部の直下に配された前記指向レンズ部の頂点のうち最も外側に位置する頂点を繋いで得られる多角形が実質的に四辺形であり、
前記指向レンズ部の前記最外頂点による第1四辺形が、平面視で前記開口部の前記四辺形形状の周囲を規定する第2四辺形内に全て含まれる位置にあって、前記第1四辺形の第一辺、第二辺、第三辺、および、第四辺と第2四辺形の第一辺、第二辺、第三辺、および、第四辺とがそれぞれ平行であることを特徴とする請求項8または9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記開口部が四辺形形状を有し、前記指向レンズ部が四角錐形状を有し、かつ、
前記開口部の直下に配された指向レンズ部の周縁部が実質的に四辺形を構成し、該四辺形と、前記開口部の周囲を規定する四辺形とが平面視で実質的に重なり合うことを特徴とする請求項8または9に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示素子が液晶表示素子であることを特徴とする、請求項8または9に記載の表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−30872(P2006−30872A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213126(P2004−213126)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】