説明

レンズ研磨方法およびレンズ研磨装置

【課題】揺動回転型のレンズ研磨装置を用いて10ミクロン以下の精度でレンズ研磨を行うことのできるレンズ研磨方法を提案すること。
【解決手段】レンズ研磨装置1は、ホルダーシャフト13が第1位置T1に至るまで、第1押圧力P1、第1回転速度N1の研磨条件で被加工レンズ15の研磨を行う(ST2,3,4)。ホルダーシャフト13が第1位置T1から第2位置T2に至るまで、第2押圧力P2(<P1)、第2回転速度N2(<N1)の研磨条件で被加工レンズ15の研磨を行う(ST5,6,7)。第1位置T1は、第1押圧力P1の下で被加工レンズ15のレンズ中心肉厚が目標レンズ中心肉厚よりも予め定めた量だけ厚い肉厚となるまで研磨が行われた時点のホルダーシャフト13の移動位置であり、第2位置T2は、第2押圧力P2の下でレンズ中心肉厚が目標レンズ中心肉厚となるまで研磨が行われた時点のホルダーシャフト13の移動位置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被加工レンズのレンズ面に対して加工皿の球状加工面を押し付けた状態で当該加工皿を揺動および回転させながらレンズ面を研磨するレンズ研磨方法およびレンズ研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工皿を被加工レンズに押し付けた状態で揺動および回転させながら研磨(研削、切削)を行うレンズ研磨方法およびレンズ研磨装置が知られている。本願出願人は特許文献1〜3において、このような揺動回転式のレンズ研磨装置を提案している。
【0003】
特許文献1の図7に表示されているレンズ研磨装置は、加工皿を揺動および回転させることができると共に、その回転速度を変更できるようになっている。また、レンズホルダーに取り付けた被加工レンズを加工皿に押圧するために、レンズホルダーが取り付けられているフリー回転式のスピンドル、スピンドルを回転自在の状態で支持しているホルダーシャフトおよび押圧力を発生するエアーシリンダを備えている。ホルダーシャフトには、その移動方向と平行に調節ネジが取り付けられており、この調節ネジに対して測定子が接触する位置にダイヤルゲージが設置されている。被加工レンズの切削目標位置をダイヤルゲージの目盛が「0」となる位置に設定し、切削の進行に伴ってダイヤルゲージ測定子が移動して目盛が「0」になると、切削加工が終了するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−298985号公報
【特許文献2】特開2003−340702号公報
【特許文献3】特開2011−93044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年においては、このような揺動回転式のレンズ研磨装置に対しては10ミクロン以下の高いレンズ肉厚精度が要求されるようになってきている。しかし、従来の揺動回転式のレンズ研磨装置では、このような高い精度の研磨を行うには性能が不足する場合がある。この主な理由は、レンズ研磨装置の測定レスポンスと加工時の振動による測定誤差のために、加工完了時点を精度良く検出できないことであると推察される。
【0006】
例えば、揺動回転式のレンズ研磨装置のレンズ切削量を70ミクロンとし、切削時間を20秒とし、加工皿の回転数を3000rpmとし、加工皿1回転当りの切削量を0.7ミクロンとする。この場合、加工終了時点において加工皿の回転停止指令が発せられてから実際に加工皿が停止するまでに要する時間が2秒程度である。回転停止指令が発せられてから加工皿が停止するまでの間に加工皿が50回転くらい回転するので、この間の切削量が3.5ミクロン程度になる。
【0007】
一方、加工中における振動幅を30ミクロンとすると、加工位置からホルダーシャフトに伝わる振動によってダイヤルゲージ測定子も振動するので、ダイヤルゲージの測定値も30ミクロンの幅で推移するはずである。しかしながら、加工位置からダイヤルゲージによる測定子までの間には、被加工レンズの保護緩衝材、レンズホルダー、ホルダーシャフトなどが存在している。これらの各部材の伸縮、各部材の間の隙間、ガタツキ等に起因して、加工位置における振動が正確に測定子まで伝達されないことが多い。特に、被加工レンズを高い押圧力で加工皿に押し付けている加工状態の場合には、実際の振動幅に対してダイヤルゲージの測定値の変動幅が大きくなる傾向がある。また、ダイヤルゲージの構造上からくる測定子による測定レスポンスが、実際に発生している加工振動速度よりも遅い場合には、加工が終了したにも拘わらず測定値が「0」にならない加工完了不検出状態に陥るおそれがある。これらの要因によるダイヤルゲージの測定誤差は10〜20ミクロン位であると想定される。
【0008】
本発明の課題は、揺動回転式のレンズ研磨装置を用いて10ミクロン以下の精度でレンズ研磨を行うことのできるレンズ研磨方法およびレンズ研磨装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のレンズ研磨方法およびレンズ研磨装置では、従来の揺動回転式のレンズ研磨装置における研磨量の測定誤差増加の要因となる加工振動速度を低減するために加工皿の回転速度を遅くしている。また、測定誤差増加の要因となる加工皿に対する被加工レンズの押圧力を低減している。さらに、加工時間の増加を抑制するために、加工終了近くの時点で加工皿の回転速度を高速から低速に切り替えると共に押圧力を高圧から低圧に切り替えるようにしている。これに加えて、押圧力の切り替えに伴う測定誤差の発生を回避するために、加工終了位置を表す測定値として、低い押圧力で研磨した場合において被加工レンズが目標加工厚さになった時点のものを採用している。
【0010】
すなわち、本発明のレンズ研磨装置は、前記加工皿をその加工皿中心軸線回りに回転駆動する加工皿回転機構と、前記加工皿を前記球状加工面の球心を中心として揺動させる加工皿揺動機構と、前記レンズホルダーをそのホルダー中心軸線回りに回転自在の状態で支持しているホルダーシャフトと、前記ホルダーシャフトおよび前記レンズホルダーを介して、前記レンズホルダーに保持された前記被加工レンズの前記レンズ面を前記加工皿の前記球状加工面に押圧する押圧力を与える押圧シリンダーと、前記ホルダーシャフトが前記ホルダー中心軸線に沿った方向における第1位置および第2位置に移動したことを検出する検出器とを備えている。
【0011】
前記レンズ研磨装置は、前記ホルダーシャフトの移動位置が研磨開始位置から前記第1位置に至るまでは、前記押圧力を第1押圧力、前記加工皿の回転速度を第1回転速度に設定した研磨条件の下で、前記レンズ面の研磨動作を行う。また、前記ホルダーシャフトの前記移動位置が前記第1位置から前記第2位置に至るまでは、前記押圧力を第2押圧力、前記回転速度を第2回転速度に設定した研磨条件の下で、前記被加工レンズ面の研磨動作を行う。
【0012】
ここで、前記第2押圧力は前記第1押圧力よりも低い値であり、前記第2回転速度は前記第1回転速度よりも低い値である。また、前記第1位置は、前記第1押圧力の下で、前記被加工レンズのレンズ中心肉厚が、目標レンズ中心肉厚よりも予め定めた量だけ厚い肉厚となるまで前記研磨動作が行われた時点における前記ホルダーシャフトの前記移動位置である。前記第2位置は、前記第2押圧力の下で、前記被加工レンズのレンズ中心肉厚が、前記目標レンズ中心肉厚となるまで前記研磨動作が行われた時点における前記ホルダーシャフトの前記移動位置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のレンズ研磨方法およびレンズ研磨装置はレンズ研磨量の測定誤差に起因する精度低下を抑制できる。本発明者らの実験によれば、レンズ加工精度を10ミクロン以下に高めることが可能なことが確認された。したがって、揺動回転式のレンズ研磨装置を用いて、レンズ肉厚精度の高精度化の要求に応えるレンズ研磨加工を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した揺動回転式のレンズ研磨装置を示す概略構成図である。
【図2】図1のレンズ研磨装置を用いたレンズ研磨動作の一例を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明を適用した揺動回転型のレンズ研磨装置の実施の形態を説明する。
【0016】
図1を参照して本実施の形態に係る揺動回転型のレンズ研磨装置の全体構成を説明する。レンズ研磨装置1は、下ユニット2、上ユニット3およびコントローラー4を有している。下ユニット2は、加工皿5、加工皿回転機構6および加工皿揺動機構7を備えている。加工皿5は、半球状の頭部5aの表面に形成されている球状加工面5bと、頭部5aの背面から同軸状態で延びている円柱状の回転軸部5cとを備えている。加工皿回転機構6は加工皿回転用モーター8と減速機ユニット9を備えており、減速機ユニット9から出力される減速回転によって加工皿5はその加工皿中心軸線5dを中心として回転駆動される。また、加工皿揺動機構7は、加工皿5の球状加工面5bの球心Oを中心として加工皿5を所定の振幅で所定方向に揺動させるための機構である。
【0017】
上ユニット3は、レンズホルダー11、スピンドル12、ホルダーシャフト13およびエアーシリンダ14を備えている。レンズホルダー11の下面には加工対象の被加工レンズ15がその凹球面状のレンズ面15aを下向きにした状態で同芯状に保持可能となっている。レンズホルダー11はスピンドル12の下端に同軸状態に取り付けられている。スピンドル12は、中空型のホルダーシャフト13の下端部分に軸受16を介して同軸状態で、回転自在の状態で取り付けられている。ホルダーシャフト13はシャフト保持スリーブ17によって同軸状態でスライド可能に保持されている。シャフト保持スリーブ17およびエアーシリンダ14は不図示の昇降機構によって支持されており、一体となって昇降させることが可能である。エアーシリンダ14を駆動して、ホルダーシャフト13をシャフト保持スリーブ17に対して上下方向にスライドさせることが可能である。レンズホルダー11のホルダー中心線、スピンドル12のスピンドル中心軸線、ホルダーシャフト13のシャフト中心軸線は、加工皿5の球心Oを通る垂線L上に位置しており、以下の説明においては、この垂線Lを「中心軸線L」と呼ぶ。
【0018】
被加工レンズ15の研磨動作においては、レンズホルダー11の下面に被加工レンズ15が保持され、この状態で上ユニット3を降下させて下ユニット2に対して位置決めする。そして、エアーシリンダ14によってホルダーシャフト13を下方にスライドさせて、被加工レンズ15のレンズ面15aを加工皿5の球状加工面5bに対して所定の押圧力で押圧した状態を形成する。この状態で、加工皿5を揺動および回転させながらレンズ面15aの研磨が開始される。研磨量の増加に応じて、被加工レンズ15を保持しているレンズホルダー11、スピンドル12およびホルダーシャフト13が下方に移動する。コントローラー4は、電空レギュレーター18(電子式真空レギュレーター)を介してエアーシリンダ14による押圧力を制御する。また、研磨時における加工皿5の揺動、回転を制御する。なお、電空レギュレーター18の代わりに2台のレギュレーター(後述の第1押圧力を発生するための第1レギュレーターと後述の第2押圧力を発生するための第2レギュレーター)を用いることも可能である。
【0019】
ホルダーシャフト13の上端にはホルダーシャフトアーム21が水平に取り付けられている。ホルダーシャフトアーム21の先端部には垂直な姿勢でマイクロメーターヘッド22が取り付けられている。マイクロメーターヘッド22の真下には、上向き姿勢で測長ユニット23が定まった位置に配置されている。ホルダーシャフト13が中心軸線Lに沿って降下すると、これと一体となって降下するマイクロメーターヘッド22の下端が、測長ユニット23から上方に垂直に突出している測定子23aを押し下げる。被加工レンズ15の研磨時には、マイクロメーターヘッド22を調整して、研磨開始位置が測長ユニット23の原点位置となるように設定される。被加工レンズ15の研磨時には研磨量に対応してレンズホルダー11が移動するので、レンズホルダー11の研磨開始位置からの移動位置を測長ユニット23によって検出することができる。
【0020】
本例では、測長ユニット23によってホルダーシャフト13が予め設定された第1位置T1および第2位置T2に移動したことが検出される。コントローラー4の制御の下に、検出されるホルダーシャフト13の移動位置が第1位置T1に至るまでは、被加工レンズ15のレンズ面15aと加工皿5の球状加工面5bの間の押圧力を第1押圧力P1、加工皿5の回転速度を第1回転速度N1に設定した研磨条件の下で、レンズ面15aの研磨動作が行われる。また、ホルダーシャフト13の移動位置が第1位置T1から第2位置T2に至るまでは、押圧力を第2押圧力P2、回転速度を第2回転速度N2に設定した研磨条件の下で、レンズ面15aの研磨動作が行われる。
【0021】
第2押圧力P2は第1押圧力P1よりも低い値であり、第2回転速度N2は第1回転速度N1よりも低い値である。また、第1位置T1は、第1押圧力P1の下で、被加工レンズ15のレンズ中心肉厚が、目標レンズ中心肉厚よりも予め定めた量、例えば数十ミクロンだけ厚い肉厚となるまで研磨動作が行われた時点におけるホルダーシャフト13の移動位置である。同様に、第2位置T2は、第2押圧力P2の下で、被加工レンズ15のレンズ中心肉厚が、目標レンズ中心肉厚となるまで研磨動作が行われた時点におけるホルダーシャフト13の移動位置である。
【0022】
ここで、第1押圧力P1の下でのホルダーシャフト13の第1位置T1に対して、第2押圧力P2の下でのホルダーシャフト13の第2位置T2は、被加工レンズ15の加工位置に接近した位置となる場合もあるが、逆に被加工レンズ15の加工位置よりも離れた位置となる場合もある。押圧力を緩めると、測長ユニット23による測定位置から、レンズホルダー11に保持されている被加工レンズ15の加工位置までの間に配置されている各部材間の隙間あるいはガタツキ、緩衝部材などが広がり、中心軸線Lの方向の長さが長くなり、これに伴って、第2押圧力P2の下での第2位置T2は、第1押圧力P1の下での第1位置T1よりも加工位置から離れた側の位置となる場合がある。いずれの場合においても、実際に研磨動作を行って、これらの位置T1、T2を事前に設定しておけばよい。設定した位置T1、T2は測長ユニット23にセットされ、ホルダーシャフト13が設定した位置T1、T2に至ると、検出信号がコントローラー4に出力される。また、第1押圧力P1、第2押圧力P2、第1回転速度N1、第2回転速度N2も事前にコントローラー4の内蔵メモリに設定される。
【0023】
なお、本例では、測長ユニット23を用いて第1位置T1および第2位置T2を検出しているが、測長ユニット23の代わりに2台の検出ダイヤルゲージを用いても良い。この場合には、第1検出ダイヤルゲージに第1位置T1をセットし、第2検出ダイヤルゲージに第2位置T2をセットして、ホルダーシャフト13が第1位置T1および第2位置T2に到達したことを検出できるようにすればよい。
【0024】
(研磨動作)
図2に示す概略フローチャートを参照して揺動回転式のレンズ研磨装置1の研磨動作例を説明する。まず、上記の各値が設定されたレンズ研磨装置1に被加工レンズ15が取り付けられた後に上ユニット3を降下させて下ユニット2に対して位置決めし、しかる後に、エアーシリンダ14によってレンズホルダー11を降下させて被加工レンズ15のレンズ面15aを下側の加工皿5の球状加工面5bに押圧する(ステップST1:ホルダーシャフトアーム下降)。また、加工皿揺動機構7および加工皿回転機構6を駆動して加工皿5の揺動および回転を開始する(ステップST2:加工皿回転、揺動)。研磨開始位置は、測長ユニット23の原点位置として設定されており、その測定子23aにマイクロメーターヘッド22の先が接触した状態の位置である。
【0025】
次に、電空レギュレーター18を操作してエアーシリンダ14を加圧して、被加工レンズ15のレンズ面15aを加工皿5の球状加工面5bに対して第1押圧力P1で押圧し(ステップST3:加圧入り)、加工皿5を所定の揺動速度で揺動させると共に第1回転速度N1で回転させながら、被加工レンズ15のレンズ面15aの研磨を開始する。
【0026】
第1研磨条件(第1押圧力P1、第1回転速度N1)の下での研磨が進み、これに伴ってホルダーシャフト13が研磨開始位置から徐々に降下して第1位置T1に至ると、測長ユニット23から検出信号が出力されてコントローラー4に入力される(ステップST3、ST4)。なお、測長ユニット23からの測定信号に基づきコントローラー4の側で第1位置T1に至ったことを判別してもよい。
【0027】
この後は、押圧力を第1押圧力P1よりも低い第2押圧力P2に低減すると共に、加工皿5の回転速度を第1回転速度N1から第2回転速度N2に落とす。加工皿5の揺動速度は変更せずに同一速度を維持する。この第2研磨条件(第2押圧力P2、第2回転速度N2)の下での研磨が進み、これに伴ってホルダーシャフト13が第2位置T2に至ると、測長ユニット23から検出信号が出力されてコントローラー4に入力される(ステップST5、ST6)。この検出信号が入力されると、コントローラー4は被加工レンズ15のレンズ中心肉厚が目標肉厚になったと判断して、加工皿5の揺動および回転を停止し、エアーシリンダ14による加圧を止める(ステップST7:加工皿回転停止、揺動停止)。なお、測長ユニット23からの測定信号に基づきコントローラー4の側で第2位置T2に至ったことを判別してもよい。
【0028】
しかる後に、上ユニット3を上昇させて初期位置に戻すと共に、レンズホルダー11から加工済みの被加工レンズ15を取り外して所定の場所に移す(ステップST8:ホルダーシャフトアーム上昇)。これにより一連の研磨動作が終了する。
【符号の説明】
【0029】
1 レンズ研磨装置
2 下ユニット
3 上ユニット
4 コントローラー
5 加工皿
5a 頭部
5b 球状加工面
5c 回転軸部
5d 加工皿中心軸線
6 加工皿回転機構
7 加工皿揺動機構
8 加工皿回転用モーター
9 減速機ユニット
11 レンズホルダー
12 スピンドル
13 ホルダーシャフト
14 エアーシリンダ
15 被加工レンズ
15a レンズ面
16 軸受
17 シャフト保持スリーブ
18 電空レギュレーター
21 ホルダーシャフトアーム
22 マイクロメーターヘッド
23 測長ユニット
23a 測定子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズホルダーに保持した被加工レンズのレンズ面を加工皿の球状加工面に押圧した状態で、当該加工皿を揺動および回転させながら前記レンズ面を研磨するレンズ研磨装置を用いたレンズ研磨方法であって、
前記レンズ研磨装置は、
前記加工皿をその加工皿中心軸線回りに回転駆動する加工皿回転機構と、
前記加工皿を、その球状加工面の球心を中心として揺動させる加工皿揺動機構と、
前記レンズホルダーをそのホルダー中心軸線回りに回転自在の状態で支持しているホルダーシャフトと、
前記ホルダーシャフトおよび前記レンズホルダーを介して、前記レンズホルダーに保持された前記被加工レンズの前記レンズ面を前記加工皿の前記球状加工面に押圧する押圧力を与える押圧シリンダーと、
前記ホルダーシャフトが前記ホルダー中心軸線に沿った方向における第1位置および第2位置に移動したことを検出する検出器とを備えており、
前記ホルダーシャフトの移動位置が前記第1位置に至るまでは、前記押圧力を第1押圧力、前記加工皿の回転速度を第1回転速度に設定した研磨条件の下で、前記被加工レンズ面の研磨動作を行い、
前記ホルダーシャフトの前記移動位置が前記第1位置から前記第2位置に至るまでは、前記押圧力を第2押圧力、前記回転速度を第2回転速度に設定した研磨条件の下で、前記被加工レンズ面の研磨動作を行い、
前記第2押圧力は前記第1押圧力よりも低い値であり、
前記第2回転速度は前記第1回転速度よりも低い値であり、
前記第1位置は、前記第1押圧力の下で、前記被加工レンズのレンズ中心肉厚が、目標レンズ中心肉厚よりも予め定めた量だけ厚い肉厚となるまで前記研磨動作が行われた時点における前記ホルダーシャフトの前記移動位置であり、
前記第2位置は、前記第2押圧力の下で、前記被加工レンズのレンズ中心肉厚が、前記目標レンズ中心肉厚となるまで前記研磨動作が行われた時点における前記ホルダーシャフトの前記移動位置であることを特徴とするレンズ研磨方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2位置は、前記第1位置に対して、前記加工皿の前記球状加工面から離れた側の位置であることを特徴とするレンズ研磨方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記検出器として、前記第1位置を検出するための第1検出ダイヤルゲージと、前記第2位置を検出するための第2検出ダイヤルゲージとを用いることを特徴とするレンズ研磨方法。
【請求項4】
レンズホルダーに保持した被加工レンズのレンズ面を加工皿の球状加工面に押圧した状態で、当該加工皿を揺動および回転させながら前記レンズ面を研磨するレンズ研磨装置であって、
前記加工皿をその加工皿中心軸線回りに回転駆動する加工皿回転機構と、
前記加工皿を、その球状加工面の球心を中心として揺動させる加工皿揺動機構と、
前記レンズホルダーをそのホルダー中心軸線回りに回転自在の状態で支持しているホルダーシャフトと、
前記ホルダーシャフトおよび前記レンズホルダーを介して、前記レンズホルダーに保持された前記被加工レンズの前記レンズ面を前記加工皿の前記球状加工面に押圧する押圧力を与える押圧シリンダーと、
前記ホルダーシャフトが前記ホルダー中心軸線に沿った方向における第1位置および第2位置に移動したことを検出する検出器と、
前記検出器の検出結果に基づき前記加工皿による前記被加工レンズの研磨動作を制御するコントローラーとを備えており、
前記コントローラーは、
前記ホルダーシャフトの移動位置が前記第1位置に至るまでは、前記押圧力を第1押圧力、前記加工皿の回転速度を第1回転速度に設定した研磨条件の下で、前記レンズ面の研磨動作を行わせ、
前記ホルダーシャフトの前記移動位置が前記第1位置から前記第2位置に至るまでは、前記押圧力を第2押圧力、前記回転速度を第2回転速度に設定した研磨条件の下で、前記レンズ面の研磨動作を行わせ、
前記第2押圧力は前記第1押圧力よりも低い値であり、
前記第2回転速度は前記第1回転速度よりも低い値であり、
前記第1位置は、前記第1押圧力の下で、前記被加工レンズのレンズ中心肉厚が、目標レンズ中心肉厚よりも予め定めた量だけ厚い肉厚となるまで前記研磨動作が行われた時点における前記ホルダーシャフトの前記移動位置であり、
前記第2位置は、前記第2押圧力の下で、前記被加工レンズのレンズ中心肉厚が、前記目標レンズ中心肉厚となるまで前記研磨動作が行われた時点における前記ホルダーシャフトの前記移動位置であることを特徴とするレンズ研磨装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記検出器として、前記第1位置を検出するための第1検出ダイヤルゲージと、前記第2位置を検出するための第2検出ダイヤルゲージとを備えていることを特徴とするレンズ研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−56399(P2013−56399A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196930(P2011−196930)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(390000778)株式会社春近精密 (19)
【Fターム(参考)】