説明

レンダリング方法、画像処理装置及びコンピュータプログラム

【課題】画像処理及び画像形成の効率を安定させる最適なバンドサイズを自動的に決定することができるレンダリング方法、画像処理装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】CPU20は、ホスト400から受信したPDLデータを解析して、画像の解像度を示す情報と、記録用紙を搬送する搬送方向に対する記録用紙の向き(縦向き又は横向き)を示す情報とを取得し、取得した情報に基づいて、バンド数がN個となるバンドサイズを決定する。次いでCPU20は、決定したバンドサイズに応じて、PDLデータからN個のバンドに略等分割された中間データを生成し、生成した中間データをレンダリングすることによってラスタ・イメージ・データを生成する。この結果、解像度の違い及び記録用紙の向きの違いに依らず、記録用紙1枚当たりのバンド数は略一定となり、記録用紙夫々に対する画像処理及び画像形成の効率を安定させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを分割してレンダリングするレンダリング方法、画像処理装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成システムは、例えばパーソナル・コンピュータを用いてなるホスト・コンピュータ(以下、ホストという)と、プリンタとが接続されてなる。
ホストには、ワープロ・ソフト、ペイント・ソフト等の画像生成用ソフトウェアと、生成した文書、絵画等の画像をプリンタへ送信して、送信した画像を記録用紙に形成させるためのプリンタ・ドライバとがインストールされている。
【0003】
ホスト上で生成された画像は、プリンタ・ドライバによって、画像形成のためのコマンドがページ記述言語で記述されたデータ(以下、PDLデータという)に変換され、変換されたPDLデータがホストからプリンタへ送信される。
PDLデータを受信したプリンタは、受信したPDLデータに含まれるコマンドを解析して、描画オブジェクト及び描画オブジェクトの属性(描画オブジェクトの種類、座標、色彩等)を示す情報を含む中間データを生成し、生成した中間データをレンダリングすることによって、ラスタ・イメージ・データを生成する。更にプリンタは、生成したラスタ・イメージ・データに基づいて、記録用紙に画像を形成する。このとき、プリンタは記録用紙を所定の方向に搬送しながらこの記録用紙に画像を形成する。
【0004】
一方、プリンタ・ドライバがPDLデータに基づいて中間データを生成し、生成した中間データをプリンタへ送信する構成の画像形成システムも存在する。この場合、プリンタが中間データを生成する必要はなく、受信した中間データをレンダリングすることによって、ラスタ・イメージ・データを生成して記録用紙に画像を形成する。
【0005】
ところで、中間データをプリンタが生成する場合でもプリンタ・ドライバが生成する場合でも、一般に、記録用紙1枚分をバンド単位に分割した中間データが生成される。ここで、バンドとは、記録用紙における矩形状の画像形成領域を、記録用紙の搬送方向に垂直な仮想線で分割することによって得られる矩形領域のことである。バンド単位の中間データ(以下、中間バンドデータという)夫々は、記録用紙1枚単位の中間データよりもデータ量が少ないため、中間データを生成する際に、記憶容量が小さいメモリを用いることができる。
【0006】
バンドサイズには、バンドの記録用紙の搬送方向の長さ(いわゆるバンド高さ)と搬送方向に垂直な方向の長さ(いわゆるバンド幅)とが存在するが、記録用紙の用紙サイズ及び搬送方向に対する記録用紙の向き(縦向き又は横向き)が同じである場合、記録用紙毎のバンド幅は一定であるため、以下では、バンド高さをバンドサイズという。
バンドサイズが小さい場合、バンド数(即ち、記録用紙1枚当たりのバンドの個数)が増加するため、画像処理及び画像形成の所要時間が長くなる。一方、バンドサイズが大きい場合、各中間バンドデータのデータ量が増加するため、記憶容量が大きいメモリを用いる必要がある。
【0007】
また、最適なバンドサイズを厳密に決定するためには、画像形成システムの能力及び形成すべき画像の内容等、種々の条件を考慮しなければならない。具体的には、ホストとプリンタとが夫々備えるプロセッサの演算能力及びメモリの記憶容量等、並びにPDLデータのデータ量及びPDLデータに含まれるコマンドの個数等が、バンドサイズの大小に影響する。
そこで、プリンタ・ドライバが中間データを生成する構成であって、ホストが備えるメモリの記憶容量の内、中間バンドデータを記憶するために確保することが可能な記憶容量に応じて、複数のバンドサイズの候補を決定し、決定した候補の中から最適なバンドサイズをユーザが選択するよう構成されているデータ処理システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
また、バンド数が所定の最大バンド数(即ち所定の最小バンドサイズ)になるよう中間バンドデータを生成してメモリに記憶させるが、途中でエラーが発生した場合は、バンドサイズを増大させるか、又はバンド数を減少させて、改めて中間バンドデータを生成してメモリに記憶させる画像形成装置が提案されている(特許文献2,3参照)。
更に、プリンタ・ドライバが中間データを生成する構成であって、ホストからプリンタへ最初に送信される中間バンドデータのバンドサイズを最も小さいバンドサイズとし、この中間バンドデータ以外の中間バンドデータのバンドサイズを、ホストが備えるプロセッサの演算能力及びメモリの記憶容量に応じて自動的に決定するプリンタドライバプログラムが提案されている(特許文献4参照)。
【0009】
更にまた、記録用紙1枚単位の中間データを解析して描画オブジェクトの種類、サイズ、及び描画範囲を示す各種情報を得て、得られた情報に応じてバンド単位のラスタ・イメージ・データを生成するデータ処理装置が提案されている(特許文献5参照)。
【特許文献1】特開2007−264750号公報
【特許文献2】特開平7−156464号公報
【特許文献3】特開平7−1767号公報
【特許文献4】特開2003−54048号公報
【特許文献5】特開2001−47673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜5に記載されているような画像形成システムでは、記録用紙に形成すべき画像の解像度の違い、及び/又は、搬送方向に対する記録用紙の向きの違いに伴って、バンド数が変更されるため、画像処理及び画像形成の効率が安定しないという問題がある。
【0011】
しかも、特許文献1に開示されているデータ処理システムには、最適なバンドサイズをユーザが判断しなければならず、ユーザの利便性が悪化するという問題がある。
また、特許文献2,3に開示されている画像形成装置には、最適なバンドサイズが決定されるまでに、中間データを繰り返し生成しなければならないという問題がある。
【0012】
更に、特許文献4に開示されているプリンタドライバプログラムには、記録用紙1枚分のPDLデータに基づいて生成される1個目の中間バンドデータのバンドサイズと他の中間バンドデータのバンドサイズとが異なり、画像処理及び画像形成の効率が安定しないという問題がある。
更にまた、特許文献5に開示されているデータ処理装置には、描画オブジェクトの種類、サイズ、及び描画範囲を示す情報を得るために、記録用紙1枚分の中間データを必要とするため、中間データの分割には適用することができないという問題がある。
【0013】
本発明は斯かる問題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、バンド数が略一定となるようバンドサイズを決定して画像データを等分割することにより、画像処理及び画像形成の効率を安定させる最適なバンドサイズを自動的に決定することができるレンダリング方法、画像処理装置及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るレンダリング方法は、記録シート1枚分の画像データを複数個のバンドに等分割し、分割した画像データをバンド単位でレンダリングするレンダリング方法において、記録シートに形成すべき画像の解像度を示す解像度情報、及び/又は画像を形成すべき記録シートが縦向きであるか横向きであるかを示すシート方向情報に基づいて、記録シート1枚当たりのバンド数が略一定となるようバンドサイズを決定し、記録シート1枚分の画像データを複数個のバンドに等分割する場合に、決定したバンドサイズに応じて前記画像データを等分割することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る画像処理装置は、記録シート1枚分の画像データを複数個のバンドに等分割するバンド分割手段と、該バンド分割手段が分割した画像データを、バンド単位でレンダリングするレンダリング手段とを備える画像処理装置において、記録シートに形成すべき画像の解像度を示す解像度情報、及び/又は画像を形成すべき記録シートが縦向きであるか横向きであるかを示すシート方向情報を取得する取得手段と、該取得手段が取得した解像度情報及び/又はシート方向情報に基づいて、分割後にバンド数がN(NはN≧2の自然数)個となるバンドサイズを決定する決定手段とを備え、前記バンド分割手段は、前記決定手段が決定したバンドサイズに応じて、記録シート1枚分の画像データを、N個のバンドに等分割するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る画像処理装置は、前記バンド分割手段は、記録シート1枚分の画像データに基づいて、N個のバンドに等分割された中間データを生成するようにしてあり、前記レンダリング手段は、前記バンド分割手段によって生成されたバンド単位の中間データをレンダリングして、バンド単位の画像形成用データを生成するようにしてあり、前記レンダリング手段が生成した画像形成用データを圧縮する画像圧縮手段と、該画像圧縮手段が圧縮した画像形成用データを保存する保存手段と、該保存手段から読み出された画像形成用データを伸張する画像伸張手段とを更に備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る画像処理装置は、前記画像圧縮手段はC(CはC≧2の自然数)個の圧縮部を有し、前記レンダリング手段が生成したバンド単位の画像形成用データ夫々をC個の領域に分割する圧縮用分割手段と、該圧縮用分割手段によって分割されたC個の領域を前記C個の圧縮部に与えて圧縮させる圧縮制御手段とを更に備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る画像処理装置は、所定バンドサイズと、該所定バンドサイズに乗算すべき複数種類のサイズ補正係数とを記憶する記憶手段を更に備え、前記決定手段は、前記取得手段が取得した解像度情報及び/又はシート方向情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されているサイズ補正係数の何れを前記所定バンドサイズに乗算すべきか選択して、選択したサイズ補正係数と前記所定バンドサイズとを乗算することによってバンドサイズを算出するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、記録シート1枚分の画像データを複数個のバンドに等分割し、分割した画像データをバンド単位でレンダリングさせるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、記録シートに形成すべき画像の解像度を示す解像度情報、及び/又は画像を形成すべき記録シートが縦向きであるか横向きであるかを示すシート方向情報を取得させる取得ステップと、コンピュータに、前記取得ステップで取得された解像度情報及び/又はシート方向情報に基づいて、分割後の画像データのバンド数がN(NはN≧2の自然数)個となるバンドサイズを決定させる決定ステップと、コンピュータに、前記決定ステップで決定されたバンドサイズに応じて、記録シート1枚分の画像データをN個のバンドに等分割させるバンド分割ステップと、コンピュータに、前記バンド分割ステップで分割された画像データを、バンド単位でレンダリングさせるレンダリングステップとを実行させることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、記録シート毎のバンド数が略一定となるようバンドサイズを決定して画像データを等分割する。このために、本発明に係る画像処理装置は、本発明に係るレンダリング方法に基づくコンピュータプログラムに従って作動する。
画像処理装置は、取得手段、決定手段、バンド分割手段、及びレンダリング手段を備える。
【0021】
取得手段は、例えば画像データを解析して解像度情報及び/又はシート方向情報を取得し、取得された解像度情報及び/又はシート方向情報に基づいて、決定手段が、分割後の画像データのバンド数がN個となるバンドサイズを決定する。
ここで、解像度情報とは、記録シートに形成すべき画像の解像度を示す情報であり、シート方向情報とは、記録シートが縦向きであるか横向きであるかを示す情報である。また、縦向きとは、矩形状の記録シートの長手方向が搬送方向に一致する状態であり、横向きとは、短手方向が一致する状態である。
以下では、縦向きと横向きとを区別しない場合、単に記録シートの向きという。
【0022】
このように決定されたバンドサイズに応じて、バンド分割手段は、記録シート1枚分の画像データをN個のバンドに等分割し、等分割された画像データを、レンダリング手段が、バンド単位でレンダリングする。
従って、解像度の違い、及び/又は、記録シートの向きの違いに依らず、記録シート1枚当たりのバンド数は略一定である。
【0023】
本発明にあっては、決定されたバンドサイズに応じて、バンド分割手段が、記録シート1枚分の画像データ(例えばPDLデータ)に基づき、N個のバンドに等分割された中間データを生成し、生成された中間データを、レンダリング手段が、バンド単位でレンダリングして、バンド単位の画像形成用データ(例えばラスタ・イメージ・データ)を生成する。
このため、バンド単位の中間データ(即ち中間バンドデータ)夫々のバンドサイズが同一であり、また、バンド単位の画像形成用データ夫々のデータ量が同一になる。従って、画像処理及び画像形成の効率を安定させることができる。
更に、記録用紙1枚分の中間データを必要としないため、中間データ及び画像形成用データの両方をバンド単位で扱うことができる。
【0024】
また、画像処理装置は、画像圧縮手段、保存手段、及び画像伸張手段を更に備える。
画像形成用データは、画像圧縮手段によって圧縮されてから保存手段で保存されるため、記憶容量が小さい保存手段を用いることができる。更に、画像形成用データは、保存手段から読み出された後、画像伸張手段によって伸張されてから、例えば画像処理装置が備える画像形成部に与えられるか、又は、外部の画像形成装置へ出力される。このため、画像形成部側、又は、外部の画像形成装置側で、画像形成用データを伸張する必要がないため、画像形成処理の効率を向上させることができる。
【0025】
本発明にあっては、画像処理装置が、圧縮用分割手段及び圧縮制御手段を更に備える。
画像圧縮手段は、C≧2の自然数であるC個の圧縮部を有する。このため、圧縮部を1個しか備えない場合よりも効率よく圧縮処理を実行することができる。
【0026】
しかしながら、仮に、各圧縮部に1個のバンド単位の画像形成用データ(以下、画像形成用バンドデータという)を与えて圧縮させる場合、1個目の画像形成用バンドデータが生成され終えてから2個目以降の画像形成用バンドデータが生成され終えるまでの間に長時間を要するため、1個目の圧縮部に1個目の画像形成用バンドデータを与えたとしても、2個目以降の圧縮部に2個目以降の画像形成用バンドデータを即座に与えることができない。
つまり、C個の圧縮部を有していても、全部の圧縮部に対して一斉に画像形成用データを与えることができず、無駄が生じる。かといって、C個の画像形成用バンドデータが生成され終えるまで圧縮処理を実行しないようにした場合、無用な待ち時間が生じる。
【0027】
そこで、圧縮用分割手段は、N個の画像形成用バンドデータ夫々を、C個の領域に分割し、各画像形成用バンドデータつき、分割されたC個の領域を、圧縮制御手段がC個の圧縮部に与えて圧縮させる。
1個の画像形成用バンドデータをC個の領域に分割する処理の所要時間は、C個の画像形成用バンドデータを生成する処理の所要時間に比べて非常に短い。このため、C個の圧縮部夫々に圧縮すべきデータを与えるようにしても、無用な待ち時間が生じない。
つまり、全部の圧縮部を効率よく使用して、画像処理の所要時間を短縮することができる。
【0028】
本発明にあっては、画像処理装置が、記憶手段を更に備える。
記憶手段には、所定バンドサイズと、所定バンドサイズに乗算すべき複数種類のサイズ補正係数とが記憶されている。所定バンドサイズ及び各サイズ補正係数夫々は、例えば工場出荷時に、画像処理装置が備えるプロセッサの演算能力及びメモリの記憶容量等に応じて適切な値が設定され、記憶手段に記憶される。
取得された解像度情報及び/又はシート方向情報に基づいて、決定手段は、記憶手段に記憶されているサイズ補正係数の何れを所定バンドサイズに乗算すべきか選択し、選択したサイズ補正係数と所定バンドサイズとを乗算することによって、分割後の画像データのバンド数がN個となるバンドサイズを決定する。
【0029】
このため、バンドサイズの決定処理を短時間で簡易に実行することができる。しかも、画像処理装置が備えるプロセッサの演算能力及びメモリの記憶容量等に応じた適切なバンドサイズを決定することができる。
【0030】
本発明にあっては、本発明の画像処理装置が備える各種手段を、コンピュータのハードウェア要素を用いてソフトウェア的に実現させ、この画像処理装置を、本発明のレンダリング方法で用いられる画像処理装置として機能させる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のレンダリング方法及び画像処理装置による場合、記録シートに形成すべき画像の解像度、及び/又は、画像を形成すべき記録シートの向きが異なる場合でも、各記録シートにおけるバンド数を略一定にすることができる。このため、画像の解像度及び/又は記録シートの向きに基づいて最適なバンドサイズを自動的に決定し、且つ、記録シート夫々に対する画像処理及び画像形成の効率を安定させることができる。
【0032】
また、最適なバンドサイズをユーザが判断する必要がないため、ユーザの利便性を向上させることができる。更に、最適なバンドサイズを決定するまでに、画像データの分割処理を何度も繰り返し実行する必要がないため、最適なバンドサイズを短時間で効率よく決定することができる。
更にまた、画像データを等分割するため、画像処理及び画像形成の効率を安定させることができる。
【0033】
本発明のコンピュータプログラムによる場合、例えば従来の画像処理装置を、本発明のレンダリング方法で用いられる画像処理装置(即ち本発明の画像処理装置)として機能させることができる。従って、本発明の画像処理装置を製造して工場出荷する構成のみならず、既に工場出荷された画像処理装置を本発明の画像処理装置となすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0035】
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置100の内部構成を略示する正面図である。
画像処理装置100はプリンタであり、多色又は単色の画像を記録用紙(記録シート)に形成する。
このために、画像処理装置100は、露光ユニットE、画像形成ユニットpa,pb,pc,pd、中間転写ベルト11、二次転写ローラ14、定着装置15、用紙搬送路P1,P2,P3、給紙カセット16、手差し給紙トレイ17、及び排紙トレイ18等を備える。
以下では、まず、画像処理装置100の全体的な構成を説明する。
【0036】
画像形成ユニットpa〜pdにおいては、カラー画像を色分解して得られる減法混色の3原色であるシアン、マゼンタ、及びイエローとブラックとの4色の各色相に対応したラスタ・イメージ・データを用いて画像形成が行なわれる。以下では、符号p,101,102,103,104,13について、ブラックに対応する場合はaを、シアンに対応する場合はbを、マゼンタに対応する場合はcを、及びイエローに対応する場合はdを、夫々付して区別する。
【0037】
画像形成ユニットpa〜pdは、互いに略同様の構成であり、感光体ドラム101a〜101d、現像装置102a〜102d、帯電ローラ103a〜103d、クリーニングユニット104a〜104d、及び一次転写ローラ13a〜13d等を備える。
中間転写ベルト11は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いてなり、感光体ドラム101a〜101dの上方で駆動ローラ11aと従動ローラ11bとの間に張架されて無端状(ループ状)の移動経路を形成している。
【0038】
中間転写ベルト11の回転移動方向(副走査方向)には、画像形成ユニットpa〜pdが一列に配されている。従って、中間転写ベルト11の外周下面は、感光体ドラム101d、感光体ドラム101c、感光体ドラム101b、及び感光体ドラム101aにこの順に対向する。この中間転写ベルト11を介在して感光体ドラム101a〜101d夫々に対向する位置に、一次転写ローラ13a〜13dが配置されている。以下では、中間転写ベルト11が感光体ドラム101a〜101dに対向する位置夫々を、一次転写位置という。なお、一次転写ローラ13a〜13dに代えて、ブラシ状の一次転写電極を用いてもよい。
【0039】
帯電ローラ103a〜103d夫々は、感光体ドラム101a〜101dの周面を所定の電位に均一に帯電させる接触方式の帯電器である。なお、帯電ローラ103a〜103dに代えて、帯電ブラシを用いた接触方式の帯電器、又は、帯電ワイヤを用いた非接触方式の帯電器等を用いてもよい。
【0040】
露光ユニットEはレーザ・スキャニング・ユニット(LSU)である。露光ユニットEは、図示しない半導体レーザ照射装置、ポリゴンミラー4、第1反射ミラー7、及び第2反射ミラー8等を備えており、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの各色相のラスタ・イメージ・データによって変調されたレーザビームを感光体ドラム101a〜101d夫々に照射する。この結果、感光体ドラム101a〜101dの夫々には、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの各色相のラスタ・イメージ・データによる静電潜像が形成される。なお、露光ユニットEは、LSUではなく、有機ELダイオード又はLED等の発光素子をアレイ状に並べてなる書き込みヘッドであってもよい。
【0041】
現像装置102a〜102d夫々は、静電潜像が形成された感光体ドラム101a〜101dの周面にトナーを供給し、静電潜像を現像することによってトナー像を形成する。現像装置102a〜102dは、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの各色相のトナーを収容しており、感光体ドラム101a〜101d夫々に形成された各色相の静電潜像をブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの各色相のトナー像に顕像化させる。
【0042】
感光体ドラム101a〜101dの周面に担持されているトナー像を中間転写ベルト11上に転写するために、トナーの帯電極性(−)と逆極性(+)の一次転写バイアスが、定電圧制御によって一次転写ローラ13a〜13d夫々に印加される。これによって、感光体ドラム101a〜101dに形成された各色相のトナー像は、中間転写ベルト11の外周面に順次重ねて転写され、中間転写ベルト11の外周面にフルカラーのトナー像が形成される。
このために、各一次転写ローラ13a〜13dは、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス)を素材とする軸の周面を導電性の弾性材(例えばEPDMゴム又は発泡ウレタンゴム等)を用いて被覆することによって構成されており、導電性の弾性材によって中間転写ベルト11に均一に高電圧を印加する。
【0043】
ただし、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの色相の一部のみのラスタ・イメージ・データが入力された場合には、4つの感光体ドラム101a〜101dのうち、入力されたラスタ・イメージ・データの色相に対応する一部の感光体ドラムのみにおいて静電潜像及びトナー像の形成が行なわれる。例えば、ブラックのモノクローム画像形成時には、ブラックの色相に対応した感光体ドラム101aのみにおいて静電潜像の形成及びトナー像の形成が行なわれ、中間転写ベルト11の外周面にはブラックのトナー像のみが転写される。
クリーニングユニット104a〜104d夫々は、現像・画像転写後における感光体ドラム101a〜101d上の周面に残留したトナーを除去・回収する。
【0044】
感光体ドラム101a〜101d夫々の一次転写位置において中間転写ベルト11の外周面に転写されたトナー像は、中間転写ベルト11の回転移動によって、二次転写ローラ14との対向位置(以下、二次転写位置という)に搬送される。二次転写ローラ14は、画像形成時に、内周面が駆動ローラ11aの周面に接触する中間転写ベルト11の外周面に、所定のニップ圧で圧接されている。この所定のニップ圧を定常的に得るために、駆動ローラ11a及び二次転写ローラ14の内、一方は硬質材料(例えば金属)を用いて形成され、他方は弾性を有する軟質材料(合成ゴム、発泡性合成樹脂等)を用いて形成されている。
【0045】
記録用紙のサイズは、B5サイズ、A3サイズ、及びレターサイズ等であり、1枚の記録用紙は、画像処理装置100内を縦送り又は横送りされる。ここで、縦送りとは、記録用紙の長手方向が記録用紙の搬送方向に一致する状態(即ち縦向き)で記録用紙が搬送される搬送態様であり、横送りとは、記録用紙の短手方向が記録用紙の搬送方向に一致する状態(即ち横向き)で記録用紙が搬送される搬送態様である。
【0046】
給紙カセット16又は手差し給紙トレイ17から供給された記録用紙が、二次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間(即ち二次転写位置)を通過する際に、二次転写ローラ14には、トナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト11の外周面から記録用紙の一面にトナー像が転写される。
【0047】
ここで、感光体ドラム101a〜101dから離脱して中間転写ベルト11に付着したトナーの内、記録用紙上に転写されずに中間転写ベルト11上に残存したトナーは、次工程での混色を防止するために、クリーニングユニット12によって回収される。
このために、クリーニングユニット12には、内周面が従動ローラ11bの周面に接触する中間転写ベルト11の外周面に接触するクリーニング・ブレードが備えられている。
【0048】
トナー像が転写された記録用紙は、定着装置15へ導かれ、加熱ローラ15aと加圧ローラ15bとの間を通過して加熱及び加圧を受ける。加熱ローラ15aの温度は、図示しない温度センサの検出結果に基づいて所定の定着温度に維持されており、加熱ローラ15aと加圧ローラ15bとの間を通過する記録用紙に付着しているトナーが加熱及び加圧によって溶融し、混合され、圧接される。この結果、トナー像が、記録用紙の一面に堅牢に定着する。トナー像が定着した記録用紙は、排紙ローラ18aによって排紙トレイ18上へ排出されて、フェイスダウンで排紙トレイ18に載置される。
【0049】
画像処理装置100には、給紙カセット16に収容されている記録用紙を、二次転写位置及び定着装置15を経由して排紙トレイ18へ搬出するための略垂直方向の用紙搬送路P1が設けられている。用紙搬送路P1には、給紙カセット16内の記録用紙を一枚ずつ用紙搬送路P1内に繰り出すピックアップローラ16a、繰り出された記録用紙を上方に向けて搬送する搬送ローラr、搬送されてきた記録用紙を所定のタイミングで二次転写位置へ導くレジストローラ19、及び、記録用紙を排紙トレイ18へ排出する排紙ローラ18aが配されている。
【0050】
また、画像処理装置100には、手差し給紙トレイ17からレジストローラ19へ至る間に、手差し給紙トレイ17に載置されている記録用紙を一枚ずつ繰り出すピックアップローラ17a、及び繰り出された記録用紙を上方に向けて搬送する搬送ローラr,r,rを配置した用紙搬送路P2が形成されている。更に、排紙ローラ18aから用紙搬送路P1におけるレジストローラ19の上流側へ至る間に搬送ローラr,rが配されることによって、用紙搬送路P3が形成されている。
【0051】
排紙ローラ18aは、正逆両方向に回転自在にされており、記録用紙の片面に画像を形成する片面画像形成時、及び、記録用紙の両面に画像を形成する両面画像形成における第2面画像形成時に正転方向に駆動されて記録用紙を排紙トレイ18へ排出する。一方、両面画像形成における第1面画像形成時には、排紙ローラ18aは、記録用紙の後端が定着装置15を通過するまで正転方向に駆動された後、記録用紙の後端部を挟持した状態で逆転方向に駆動開始されて記録用紙を用紙搬送路P3へ導く。これによって、両面画像形成時に片面のみに画像が形成された記録用紙は、表裏面及び前後端を反転した状態で用紙搬送路P1へ導かれる。
【0052】
レジストローラ19は、給紙カセット16若しくは手差し給紙トレイ17から供給された記録用紙、又は、用紙搬送路P3を経由して搬送された記録用紙を、中間転写ベルト11の回転に同期したタイミングで二次転写位置へ導く。このため、レジストローラ19は、感光体ドラム101a〜101d及び中間転写ベルト11の動作開始時には回転を停止しており、中間転写ベルト11の回転に先立って供給又は搬送された記録用紙は、前端をレジストローラ19に当接させた状態で用紙搬送路P1内における移動を停止する。この後、レジストローラ19は、二次転写ローラ14と中間転写ベルト11とが圧接する位置で、記録用紙の前端部と中間転写ベルト11上に形成されたトナー像の前端部とが対向するタイミングで、回転を開始する。
【0053】
ここで、画像形成ユニットpa〜pdの全てにおいて画像形成が行なわれるフルカラー画像形成時には、一次転写ローラ13a〜13dが中間転写ベルト11を感光体ドラム101a〜101dの全てに圧接させる。一方、画像形成ユニットpaのみにおいて画像形成が行なわれるモノクローム画像形成時には、一次転写ローラ13aのみが中間転写ベルト11を感光体ドラム101aに圧接させる。
以上のようにして、各色のトナーを用いて感光体ドラム101a〜101dの少なくとも1つに形成された画像が、記録用紙に転写されて、排紙トレイ18上へ排出される。
【0054】
次に、画像処理装置100で実行されるレンダリングに関する要部構成を説明する。
図2は、画像処理装置100の要部構成を示すブロック図である。
画像処理装置100は、プリンタコントローラ2とプリントエンジン3とを備え、ホスト400に接続されている。
ホスト400は、PDLデータを画像処理装置100へ送信する。PDLデータは、文字、写真等の画像を表わす画像データであり、画像形成のためのコマンドが、ページ記述言語で記述されたものである。
プリントエンジン3は、図1で示したような記録用紙の搬送、静電潜像及びトナー像の形成、トナー像の転写、定着等を行なう各部を含む。
【0055】
プリンタコントローラ2は、CPU20、ROM21、RAM22、ハードディスク(HDD)23、圧縮/伸張回路24、ネットワークコントローラ25、ビデオコントローラ26、及び操作パネル27を有する。
操作パネル27は、画像処理装置100の作動状態を示すメッセージ、ユーザに対する各種の指示を示すメッセージ等を表示する液晶ディスプレイと、この液晶ディスプレイを視認しながらユーザが操作する各種の操作ボタンとを有する。
ビデオコントローラ26はプロセッサを用いてなり、プリントエンジン3の動作を制御する。
ネットワークコントローラ25は、画像処理装置100とホスト400とのインタフェースである。
【0056】
CPU20は、プリンタコントローラ2の制御中枢であり、主記憶部であるRAM22を作業領域として用い、ROM21に記憶されたコンピュータプログラム及びデータに従ってプリンタコントローラ2の各部を制御し、各種処理を実行する。例えばCPU20は、ネットワークコントローラ25を介して、ホスト400からPDLデータを受信し、RAM22に記憶させる。
【0057】
また、CPU20は、PDLデータに基づいて、描画オブジェクト及び描画オブジェクトの属性を示す情報を含む中間データを生成し、中間データに基づいて、画像形成用データであるラスタ・イメージ・データを生成する。
モノクローム画像を形成する場合、ラスタ・イメージ・データには、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの内、何れか1色の色相を示すデータが含まれており、フルカラー画像を形成する場合、ラスタ・イメージ・データには、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの4色の色相を示すデータが含まれている。
【0058】
ところで、ROM21に記憶されているコンピュータプログラムは、本発明に係るレンダリング方法に基づくコンピュータプログラム(即ち本発明に係るコンピュータプログラム)である。
このため、例えば、従来の画像処理装置に、本発明に係るコンピュータプログラムがインストールされているROM21及びCPU20等が組み込まれている制御基板を追加するか、又は、この制御基板と従来の画像処理装置が備える制御基板とを交換することによって、画像処理装置100は容易に構成される。従って、例えば既にユーザが購入した画像処理装置を画像処理装置100に変更することが容易である。
【0059】
圧縮/伸張回路24は、与えられたデータを圧縮する圧縮部241と、与えられたデータを伸張する伸張部242とを有する。なお、圧縮/伸張回路24は、各複数個の圧縮部241,241,…及び伸張部242,242,…を有してもよい。
HDD23は大容量の記憶装置であり、与えられたデータを保存する。
【0060】
図1に示す給紙カセット16には、一般に、頻繁に使用されるサイズ(例えばA4サイズ)の記録用紙が、縦送り及び横送りの何れか一方の搬送態様で搬送されるよう収容される。給紙カセット16に収容された記録用紙のサイズ及び向きは、例えばユーザが、操作パネル27を操作することによって、画像処理装置100に与え、与えられたサイズ及び向きの情報は、RAM22に記憶される。
【0061】
一方、手差し給紙トレイ17には、少数枚の記録用紙が縦送りされるか、又は横送りされるよう、その時々で適宜に載置される。手差し給紙トレイ17に載置された記録用紙のサイズ及び向きは、例えば手差し給紙トレイ17の近傍に配設されている図示しない用紙センサが検出し、検出したサイズ及び向きの情報は、RAM22に記憶される。
以下では、記録用紙のサイズを示す情報を用紙サイズ情報といい、記録用紙の向きを示す情報を用紙方向情報といい、用紙サイズ情報及び用紙方向情報の両方を含む情報を用紙情報という。用紙方向情報は、シート方向情報として機能する。
【0062】
図3及び図4は、画像処理装置100で実行されるレンダリング処理の手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、CPU20は、ネットワークコントローラ25を介して記録用紙1枚分のPDLデータを受信したか否かを判定し(S11)、まだ受信していない場合は(S11でNO)、S11の処理を繰り返し実行する。
ここで、記録用紙1枚分のPDLデータとは、例えば1枚の記録用紙に1ページ分の文書を示す画像を形成する場合は、文書1ページ分のPDLデータであり、1枚の記録用紙に複数ページ分の文書を示す画像を形成する場合は、文書複数ページ分のPDLデータである。
【0063】
記録用紙1枚分のPDLデータを受信した場合(S11でYES)、CPU20は、受信したPDLデータをRAM22に記憶させ(S12)、記憶されたPDLデータに含まれるコマンドを解析して(S13)、記録用紙に形成すべき画像の解像度を示す解像度情報と、用紙情報とを取得する(S14)。S14におけるCPU20は、取得手段として機能する。
ただし、S13の処理を実行することによって、PDLデータに解像度情報及び/又は用紙情報が含まれていないことが判明した場合、S14におけるCPU20は、ROM21に予め記憶されているデフォルトの解像度情報及び/又は用紙情報を取得する。
【0064】
また、PDLデータに含まれている用紙情報と、RAM22に記憶されている用紙情報(即ち、給紙カセット16及び手差し給紙トレイ17夫々に対応する用紙情報)とが一致しない場合、CPU20は、S14の処理を実行せずに、ホスト400へエラーを返す。なお、ユーザが指定した用紙方向情報(縦向き/横向き)とRAM22に記憶されている用紙方向情報(横向き/縦向き)とが異なる場合、S14におけるCPU20は、RAM22に記憶されている用紙方向情報を取得し、後述するS16の処理で、PDLデータを90°回転させて中間データを生成し、後述するS29の処理を実行することによって、横送り/縦送りされる記録用紙に画像が形成されるようにしてもよい。
【0065】
S14の処理終了後、CPU20は、S14で取得した解像度情報及び用紙情報に基づいて、バンドサイズを自動的に決定する(S15)。S15におけるCPU20は、決定手段として機能する。
ここで、バンドサイズの決定手順を説明する。
ROM21には、複数種類の用紙サイズ夫々に関連付けられた所定バンドサイズと、複数種類の解像度情報夫々に関連付けられたサイズ補正係数と、2種類の用紙方向情報夫々に関連付けられたサイズ補正係数とを有する係数テーブルが予め記憶されている。つまり、ROM21は記憶手段として機能する。
【0066】
画像処理装置100には、工場出荷時に、CPU20の演算能力、RAM22の記憶容量、プリントエンジン3にて形成可能な画像の解像度、搬送可能な用紙サイズ、及び、圧縮/伸張回路24が有する圧縮部241の個数等に応じて、記録用紙1枚当たりのバンド数N(NはN≧2の自然数)が設定される。更に、記録用紙1枚当たりの画像形成領域を略等分割することによるバンド数が略一定のN個となるように、所定バンドサイズ及びサイズ補正係数夫々が設定される。
ここで、N個とは、“0”以上の微小な整数p,qを用いて、2≦N−p≦N≦N+qと表わせる。つまり、N個とは、n≧2の自然数である所定のn個か、又はn個の近傍の個数のことである。バンド数を「略一定」とし、完全な「一定」としない理由は、必ずしも同一の値では割り切れない場合があるからである。
【0067】
後述するように生成されたN個のラスタバンドデータは、夫々HDD23に保存される。このため、バンド数Nが多すぎる場合、ラスタバンドデータの保存処理を実行する回数が多くなり過ぎ、処理のオーバーヘッドが大きくなるという問題がある。
本実施の形態では、19≦N≦21とする。
【0068】
以下では、用紙情報に示される用紙サイズが、縦11インチ、横8.5インチの寸法を有するレターサイズである場合を例示する。また、解像度が、600dpi及び1200dpiの2種類であり、所定バンドサイズが256ドットである場合を例示する。
次に、サイズ補正係数の具体例を述べる。
解像度情報が示す「解像度600dpi」には、「サイズ補正係数α=1」が関連付けられ、「解像度1200dpi」には、「サイズ補正係数α=2」が関連付けられている。また、用紙方向情報が示す「縦向き」には、「サイズ補正係数β=1.25」が関連付けられ、「横向き」には、「サイズ補正係数β=1」が関連付けられている。
【0069】
従って、S14で取得した用紙情報に含まれる用紙サイズ情報がレターサイズを示し、解像度情報が解像度600dpiを示している場合、用紙情報に含まれる用紙方向情報が横向きであるとき、S15におけるCPU20は、サイズ補正係数α=1,β=1を選択し、選択したサイズ補正係数α,βを所定バンドサイズ256ドットに乗算することによって、バンドサイズγを決定する。このとき決定されるバンドサイズγは、γ=256×α×β=256[ドット]である。
レターサイズの短手方向のドット数δは、δ=8.5×600[ドット]である。従って、バンド数Nは20個となる(何故ならば、N=δ/γ=19.922)。
【0070】
一方、用紙情報に含まれる用紙方向情報が縦向きであるとき、S15におけるCPU20は、サイズ補正係数α=1,β=1.25を選択し、選択したサイズ補正係数α,βを所定バンドサイズ256ドットに乗算することによって、バンドサイズγを決定する。このとき決定されるバンドサイズγは、γ=256×α×β=320[ドット]である。
レターサイズの長手方向のドット数δは、δ=11×600[ドット]である。従って、バンド数Nは21個となる(何故ならば、N=δ/γ=20.625)。
【0071】
同様に、S14で取得した用紙情報に含まれる用紙サイズ情報がレターサイズを示し、解像度情報が解像度1200dpiを示している場合、用紙情報に含まれる用紙方向情報が横向きであるとき、S15におけるCPU20は、サイズ補正係数α=2,β=1を選択し、バンドサイズγを決定する。このとき決定されるバンドサイズγは、γ=256×α×β=512[ドット]である。
レターサイズの短手方向のドット数δは、δ=8.5×1200[ドット]である。従って、バンド数Nは20個となる(何故ならば、N=δ/γ=19.922)。
【0072】
一方、用紙情報に含まれる用紙方向情報が縦向きであるとき、S15におけるCPU20は、サイズ補正係数α=2,β=1.25を選択し、選択したサイズ補正係数α,βを所定バンドサイズ256ドットに乗算することによって、バンドサイズγを決定する。このとき決定されるバンドサイズγは、γ=256×α×β=640[ドット]である。
レターサイズの長手方向のドット数δは、δ=11×1200[ドット]である。従って、バンド数Nは21個となる(何故ならば、N=δ/γ=20.625)。
【0073】
以上のような画像の解像度及び記録用紙の向きとバンド数との関係をまとめると、表1に示すようになる。
【0074】
【表1】

このように、記録用紙の向きが変更されようと、画像の解像度が変更されようと、バンド数はN個で略一定である。従って、画像処理装置100における画像処理及び画像形成の効率が安定する。
【0075】
本実施の形態では、用紙情報及び解像度情報に応じて選択したサイズ補正係数α,βを用い、簡易な数式で適切なバンドサイズを算出することができる。
仮に、サイズ補正係数α,βを用いない場合、CPU20は、用紙情報及び解像度情報に応じた適切なバンドサイズを算出するために、煩雑な数式を用いる必要がある。
【0076】
また、仮に、バンドサイズが256ドットで一定である場合、画像の解像度及び記録用紙の向きとバンド数との関係をまとめると、表2に示すようになる。
【0077】
【表2】

このように、記録用紙の向きが変更されるか、又は、画像の解像度が変更されることによって、バンド数は大きく変動し、一定しない。従って、画像処理装置100における画像処理及び画像形成の効率が安定しない。
【0078】
図3に示すS15の処理終了後、CPU20は、RAM22に記憶されているPDLデータに含まれるコマンドを解析して(S16)、S15で決定したバンドサイズ分のコマンドが解析された場合に、S15で決定したバンドサイズを有するバンド単位の中間データ(即ち中間バンドデータ)を生成し(S17)、生成した中間バンドデータをRAM22に記憶させる(S18)。
【0079】
次いで、CPU20は、記録用紙1枚分のPDLデータを解析し終えたか否かを判定し(S19)、まだ解析し終えていない場合は(S19でNO)、まだ中間バンドデータを生成する必要があるため、処理をS16へ戻して、PDLデータのまだ解析していない部分に含まれるコマンドを解析する。
【0080】
S16〜S19の処理が繰り返し実行されることによって、記録用紙1枚分のPDLデータに基づいて、N個のバンドに略等分割された中間データが生成される。つまり、S16〜S19におけるCPU20は、バンド分割手段として機能する。
【0081】
記録用紙1枚分のPDLデータを解析し終えた場合(S19でYES)、N個の中間バンドデータを生成し終えたため、図4に示すように、CPU20は、RAM22に記憶されている1個の中間バンドデータを選択する(S20)。
次いで、CPU20は、中間バンドデータをRAM22上でレンダリングして、バンド単位のラスタ・イメージ・データ(以下では、ラスタバンドデータという)を生成する(S21)。つまり、S21におけるCPU20は、レンダリング手段として機能する。
【0082】
S21の処理終了後、CPU20は、生成したラスタバンドデータを、圧縮/伸張回路24の圧縮部241に与えて圧縮させる(S22)。
S21で生成されたラスタバンドデータは、CPU20がS22の処理を実行することによって、圧縮部241で圧縮される。このとき、圧縮/伸張回路24は画像圧縮手段として機能する。
S22の処理終了後、CPU20は、圧縮部241での圧縮が終了したか否かを判定し(S23)、まだ圧縮が終了していない場合は(S23でNO)、S23の処理を繰り返し実行する。
【0083】
圧縮部241での圧縮が終了した場合(S23でYES)、CPU20は、圧縮されたラスタバンドデータを、HDD23に与えて保存させる(S24)。
S24の処理を実行することによって、圧縮されたラスタバンドデータが、HDD23で保存される。このとき、HDD23は保存手段として機能する。
ここで、HDD23には、描画オブジェクトの属性を示す情報(以下、属性情報という)も保存される。
S24の処理終了後、CPU20は、N個のラスタバンドデータを圧縮保存し終えたか否かを判定し(S25)、まだ圧縮保存していないラスタバンドデータが存在する場合は(S25でNO)、処理をS20へ戻して、まだ選択されていない中間バンドデータを選択する。
【0084】
N個全部のラスタバンドデータを圧縮保存し終えた場合(S25でYES)、CPU20は、圧縮されたラスタバンドデータをHDD23から読み出し(S26)、読み出したラスタバンドデータを、圧縮/伸張回路24の伸張部242に与えて伸張させる(S27)。
圧縮されたラスタバンドデータは、CPU20がS27の処理を実行することによって、伸張部242で伸張される。このとき、圧縮/伸張回路24は画像伸張手段として機能する。
【0085】
S27の処理終了後、CPU20は、伸張部242での伸張が終了したか否かを判定し(S28)、まだ伸張が終了していない場合は(S28でNO)、S28の処理を繰り返し実行する。
伸張部242での伸張が終了した場合(S28でYES)、CPU20は、伸張されたラスタバンドデータを、ビデオコントローラ26に与えることによって、記録用紙に対する画像の形成を行なわせる(S29)。このとき、属性情報もHDD23から読み出されて、ビデオコントローラ26に与えられる。
【0086】
ラスタバンドデータ及び属性情報を与えられたビデオコントローラ26は、プリントエンジン3を制御して、記録用紙に対する画像の形成を行なう。このとき、ビデオコントローラ26は、S14の処理でCPU20が取得した用紙情報に応じて、RAM22に記憶されている用紙情報を参照し、給紙カセット16及び手差し給紙トレイ17の何れか一方から記録用紙が供給されるようにする。また、ビデオコントローラ26は、S14の処理でCPU20が取得した解像度情報に応じた解像度を有する画像が記録用紙に形成されるようにする。
【0087】
S29の処理終了後、CPU20は、N個のラスタバンドデータを読出伸張し終えたか否かを判定し(S30)、まだ読出伸張していないラスタバンドデータが存在する場合は(S30でNO)、処理をS26へ戻して、まだHDD23から読み出されていないラスタバンドデータを読み出す。
N個全部のラスタバンドデータを読出伸張し終えた場合(S30でYES)、CPU20は、レンダリング処理を終了する。
【0088】
なお、圧縮/伸張回路24で圧縮処理/伸張処理を実行する代わりに、CPU20が圧縮処理/伸張処理を実行する構成でもよい。この場合、画像処理装置100は圧縮/伸張回路24を備えなくてもよい。圧縮処理/伸張処理を実行するCPU20は、画像圧縮手段/画像伸張手段として機能する。
【0089】
また、圧縮/伸張回路24が複数個の圧縮部241,241,…を有している場合、1個目の中間バンドデータを読み出してラスタバンドデータを生成し、生成したラスタバンドデータを第1の圧縮部241に与えて圧縮させている間に、2個目の中間バンドデータを読み出してラスタバンドデータを生成し、生成したラスタバンドデータを第2の圧縮部241に与えて圧縮させることを繰り返し、圧縮が終了したラスタバンドデータから順にHDD23に保存されるようにしてもよい。この場合、1個目のラスタバンドデータの圧縮及び保存が終了するまで待つことなく、2個目の中間バンドデータのレンダリングを開始することができる。
【0090】
しかしながら、以上のような場合、2個目の中間バンドデータのレンダリングが終了するまで、第2の圧縮部241にラスタバンドデータを与えることができない。つまり、複数個の圧縮部241,241,…を有効活用することができない。
【0091】
そこで、圧縮/伸張回路24がC個(C≧2の自然数)の圧縮部241,241,…を有している場合、図4に示すS21の処理とS22の処理との間に、S21で生成したラスタバンドデータをC個の領域に分割する処理を実行する。このとき、ラスタバンドデータは、記録用紙の搬送方向に垂直な仮想線で分割される。この処理におけるCPU20は、圧縮用分割手段として機能する。
この処理の終了後、S22におけるCPU20は、生成したC個の領域を、圧縮/伸張回路24のC個の圧縮部241,241,…に一対一対応で与えて圧縮させる。このとき、CPU20は、圧縮制御手段として機能する。
以上のような場合、C個の圧縮部241,241,…を有効活用することができる。
【0092】
ところで、ラスタバンドデータの読み出しに要する時間は、中間バンドデータのレンダリングに要する時間よりも短い。このため、圧縮/伸張回路24が複数個の伸張部242,242,…を有している場合、CPU20は、各伸張部242に1個のラスタバンドデータを与える構成でもよく、1個のラスタバンドデータを分割してなる領域を与える構成でもよい。
また、CPU20は、解像度情報及び用紙方向情報の一方のみに基づいて、サイズ補正係数を選択する構成でもよい。
【0093】
実施の形態 2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置100の要部構成を示すブロック図である。
実施の形態1では、レンダリング処理をソフトウェア的に実現する画像処理装置100を例示したが、本実施の形態では、レンダリング処理をハードウェア的に実現する画像処理装置100を例示する。
図5には示していないが、画像処理装置100は、実施の形態1と同様に、CPU20及び操作パネル27を備える。
【0094】
図5に示すように、画像処理装置100は、ROM21、RAM22、HDD23、及びプリントエンジン3の他に、PDLインタプリンタ5及び画像形成制御部6を備える。画像形成制御部6に含まれるビデオコントローラ26は、実施の形態1のビデオコントローラ26に対応する。また、画像処理装置100は、実施の形態1の圧縮/伸張回路24及びネットワークコントローラ25を備えていない。
以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0095】
PDLインタプリンタ5は、受信インタフェース部51、コマンド解析部52、バンドサイズ決定部53、中間データ生成部54、RAM制御部55、レンダリング部56、及びバンド分割部57を有する。画像形成制御部6は、圧縮回路61、HDD制御部62、伸張回路63、及びビデオコントローラ26を有する。
【0096】
圧縮回路61は、C個の圧縮部611,611,…を有し、各圧縮部611は、実施の形態1の圧縮部241に対応する。また、伸張回路63は、E≧2の自然数であるE個の伸張部631,631,…を有し、各伸張部631は、実施の形態1の伸張部242に対応する。
圧縮部611,611,…の個数C、及び伸張部631,631,…の個数E夫々は、プリントエンジン3における画像形成スピード、解像度、及びビット深度等に応じて設定されている。以下では、C=Eである場合を例示するが、C≠Eであってもよい。
【0097】
受信インタフェース部51は、画像処理装置100とホスト400とのインタフェースであり、ホスト400から受信したPDLデータをRAM22に与えて記憶させる。
また、受信インタフェース部51は、記録用紙1枚分のPDLデータを受信してRAM22に記憶させた場合に、RAM22に記憶されているPDLデータを読み出して、コマンド解析部52へ出力する。
【0098】
コマンド解析部52は取得手段として機能し、受信インタフェース部51から入力されたPDLデータに含まれるコマンドを解析して、解像度情報及び用紙情報を取得し、取得した解像度情報及び用紙情報を、バンドサイズ決定部53へ出力する。また、コマンド解析部52は、記録用紙1枚分のPDLデータのコマンド解析結果を中間データ生成部54へ出力する。
バンドサイズ決定部53は決定手段として機能し、コマンド解析部52から入力された解像度情報及び用紙情報に基づいて、ROM21に記憶されている係数テーブルを参照し、記録用紙1枚当たりのバンド数がN個となるようバンドサイズを自動的に決定し、決定したバンドサイズの情報を中間データ生成部54へ出力する。
【0099】
中間データ生成部54はバンド分割手段として機能し、コマンド解析部52から入力されたコマンド解析結果と、バンドサイズ決定部53から入力されたバンドサイズの情報とに基づいて、中間バンドデータを生成し、生成した中間バンドデータをRAM制御部55へ出力する。
RAM制御部55は、RAM22の記憶領域の一部を、中間バンドデータを記憶するための領域として確保し、中間データ生成部54から入力された中間バンドデータをRAM22に与える。この結果、RAM22に中間バンドデータが記憶される。
また、RAM制御部55は、RAM22に記憶されている中間バンドデータを読み出して、レンダリング部56へ出力する。
【0100】
レンダリング部56はレンダリング手段として機能し、RAM制御部55によって入力された中間バンドデータをレンダリングしてラスタバンドデータを生成し、生成したラスタバンドデータをバンド分割部57へ出力する。
バンド分割部57は圧縮用分割手段及び圧縮制御手段として機能し、レンダリング部56から入力されたラスタバンドデータをC個の領域に分割して、圧縮回路61が有するC個の圧縮部611,611,…に、一対一対応で出力する。このとき、ラスタバンドデータは、記録用紙の搬送方向に垂直な仮想線で分割される。
各圧縮部611は、バンド分割部57から入力された領域を圧縮してHDD制御部62へ出力する。つまり、圧縮回路61は画像圧縮手段として機能する。
【0101】
HDD制御部62は、圧縮部611,611,…夫々から入力された領域を、ラスタバンドデータ1個分まとめて、HDD23に与えて保存させる。ここで、HDD23には、属性情報も保存される。
N個全部のラスタバンドデータがHDD23に保存された場合、HDD制御部62は、RAM22に記憶されているラスタバンドデータをE個分読み出して、伸張回路63が有するE個の伸張部631,631,…に、一対一対応で出力する。
【0102】
各伸張部631は、バンド分割部57から入力されたラスタバンドデータを伸張して、ビデオコントローラ26へ出力する。つまり、伸張回路63は画像伸張手段として機能する。このとき、属性情報もHDD23から読み出されて、ビデオコントローラ26に与えられる。
【0103】
なお、HDD制御部62は、RAM22に記憶されているラスタバンドデータを1個分読み出して、読み出したラスタバンドデータに含まれるC個の領域を、伸張回路63が有するE個の伸張部631,631,…に、一対一対応で出力する構成でもよい。
また、C個の圧縮部611,611,…の内、同時的に作動可能な個数がC個未満のD個である場合、バンド分割部57は、ラスタバンドデータをD個の領域に分割して、圧縮回路61が有するD個の圧縮部611,611,…に、一対一対応で出力する。
【0104】
ビデオコントローラ26は、プリントエンジン3を制御して、伸張回路63から入力されたラスタバンドデータと、属性情報とに基づき、記録用紙に対する画像の形成を行なう。
【0105】
なお、実施の形態1,2における画像処理装置100は、スキャナ又はデジタル・カメラ等から画像データを受信し、受信した画像データに基づいて中間データを生成する構成でもよい。
また、画像処理装置100は、内蔵するスキャナを用いて原稿の画像を読み取り、読み取った画像の画像データに基づいて中間データを生成する構成でもよい。
更に、画像処理装置100は、コピー機能及びプリント機能等、複数の機能を有する複合機であってもよい。
【0106】
更にまた、CPU20の作業領域であるRAM22に中間バンドデータを記憶させる構成に限定されず、例えばSRAMを用いてなる専用の画像メモリに中間バンドデータを記憶させる構成でもよい。
【0107】
以上のように、今回開示された実施の形態1,2は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、画像処理装置100に、本実施の形態に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の内部構成を略示する正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置で実行されるレンダリング処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置で実行されるレンダリング処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2に係る画像処理装置の要部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0109】
100 画像処理装置
20 CPU
21 ROM(記憶手段)
23 HDD(保存手段)
24 圧縮/伸張回路(画像圧縮手段,画像伸張手段)
52 コマンド解析部(取得手段)
53 バンドサイズ決定部(決定手段)
54 中間データ生成部(バンド分割手段)
56 レンダリング部(レンダリング手段)
57 バンド分割部(縮用分割手段,圧縮制御手段)
61 圧縮回路(画像圧縮手段)
611 圧縮部
62 伸張回路(画像伸張手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シート1枚分の画像データを複数個のバンドに等分割し、分割した画像データをバンド単位でレンダリングするレンダリング方法において、
記録シートに形成すべき画像の解像度を示す解像度情報、及び/又は画像を形成すべき記録シートが縦向きであるか横向きであるかを示すシート方向情報に基づいて、記録シート1枚当たりのバンド数が略一定となるようバンドサイズを決定し、
記録シート1枚分の画像データを複数個のバンドに等分割する場合に、決定したバンドサイズに応じて前記画像データを等分割することを特徴とするレンダリング方法。
【請求項2】
記録シート1枚分の画像データを複数個のバンドに等分割するバンド分割手段と、
該バンド分割手段が分割した画像データを、バンド単位でレンダリングするレンダリング手段と
を備える画像処理装置において、
記録シートに形成すべき画像の解像度を示す解像度情報、及び/又は画像を形成すべき記録シートが縦向きであるか横向きであるかを示すシート方向情報を取得する取得手段と、
該取得手段が取得した解像度情報及び/又はシート方向情報に基づいて、分割後にバンド数がN(NはN≧2の自然数)個となるバンドサイズを決定する決定手段と
を備え、
前記バンド分割手段は、前記決定手段が決定したバンドサイズに応じて、記録シート1枚分の画像データを、N個のバンドに等分割するようにしてあることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記バンド分割手段は、記録シート1枚分の画像データに基づいて、N個のバンドに等分割された中間データを生成するようにしてあり、
前記レンダリング手段は、前記バンド分割手段によって生成されたバンド単位の中間データをレンダリングして、バンド単位の画像形成用データを生成するようにしてあり、
前記レンダリング手段が生成した画像形成用データを圧縮する画像圧縮手段と、
該画像圧縮手段が圧縮した画像形成用データを保存する保存手段と、
該保存手段から読み出された画像形成用データを伸張する画像伸張手段と
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像圧縮手段はC(CはC≧2の自然数)個の圧縮部を有し、
前記レンダリング手段が生成したバンド単位の画像形成用データ夫々をC個の領域に分割する圧縮用分割手段と、
該圧縮用分割手段によって分割されたC個の領域を前記C個の圧縮部に与えて圧縮させる圧縮制御手段と
を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
所定バンドサイズと、該所定バンドサイズに乗算すべき複数種類のサイズ補正係数とを記憶する記憶手段を更に備え、
前記決定手段は、前記取得手段が取得した解像度情報及び/又はシート方向情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されているサイズ補正係数の何れを前記所定バンドサイズに乗算すべきか選択して、選択したサイズ補正係数と前記所定バンドサイズとを乗算することによってバンドサイズを算出するようにしてあることを特徴とする請求項2から4の何れかひとつに記載の画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、記録シート1枚分の画像データを複数個のバンドに等分割し、分割した画像データをバンド単位でレンダリングさせるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、記録シートに形成すべき画像の解像度を示す解像度情報、及び/又は画像を形成すべき記録シートが縦向きであるか横向きであるかを示すシート方向情報を取得させる取得ステップと、
コンピュータに、前記取得ステップで取得された解像度情報及び/又はシート方向情報に基づいて、分割後の画像データのバンド数がN(NはN≧2の自然数)個となるバンドサイズを決定させる決定ステップと、
コンピュータに、前記決定ステップで決定されたバンドサイズに応じて、記録シート1枚分の画像データをN個のバンドに等分割させるバンド分割ステップと、
コンピュータに、前記バンド分割ステップで分割された画像データを、バンド単位でレンダリングさせるレンダリングステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−120256(P2010−120256A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295932(P2008−295932)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】