説明

レーザパターニング装置およびレーザパターニング方法

【課題】 スクライブ幅の狭幅化とスクライブピッチの狭ピッチ化を可能にしたレーザパターニング装置および方法を提供する。集積型薄膜太陽電池の電極等のパターニングに用いる。
【解決手段】 それぞれレーザビームを照射するレーザ加工用光学系4を複数搭載した光学ヘッド5と、この光学ヘッド5を基板1に対して直交2軸方向に相対移動させる光学ヘッド相対移動機構6とを備える。各レーザ加工用光学系4にオートフォーカス機構7を設ける。このオートフォーカス機構7の合焦機能を、基板1の加工開始位置でオンとし、加工終了位置でオフとするフォーカス機能制御手段32を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板上に成膜された薄膜を、レーザを用いてパターニングするパターニング装置およびパターニング方法に関し、特に、透光性を有する基板を用いた集積型薄膜太陽電池の電極等をパターニングするのに好適なレーザパターニング装置およびレーザパターニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に複数のユニットセルを集積した集積型太陽電池を製作する場合、この基板上に積層した薄膜を各ユニットセルに対応づけて短冊状に分割する必要があり、この薄膜を分割するための溝(以下、スクライブと記す)を形成するためのパターニングが行なわれる。このパターニングの方法として、レーザ光を照射して薄膜の一部を溶発させることによりスクライブを形成するレーザパターニング方法があり、この方法を用いた特許文献1に示したようなレーザパターニング装置(レーザ加工装置)が知られている。
【0003】
特許文献1のレーザ加工装置では、スクライビング性能の向上を図るため、レーザビームの基本的なパワー分布であるガウシンアン分布(レーザスポットの中央のパワーが強くなる分布)を、光ファイバを用いることでフラット化し、レーザ照射した面内で均一に加工ができるようにしている。これは、光ファイバが、レーザ光をコア内で伝播する過程で、その光強度分布をビーム径方向でフラット化させるような特性を持っていることを利用している。また、レーザ光学系の光路に視野絞りを入れ、レーザビーム形状を矩形にすることで、図12に示したように、レーザ光の重なり部分をできるだけ少なくして加工できるようにしている。レーザ光の重なり部分は、レーザ光が2度照射されることになるため、加工変動が発生し易い。この面積を小さくする工夫として上記対策を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−244592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、太陽電池の発電効率向上のため、図13に示したスクライブ幅の狭幅化や、スクライブピッチの狭ピッチ化が要求されてきている。これは、このスクライブした部分が太陽電池の発電に寄与しないため、この面積をできるだけ小さくして、太陽電池パネルの有効面積を増やせば、太陽電池の発電効率を向上させることができるからである。
上記、スクライブ幅を狭くするためには、レーザ光を細く集光させ、できるだけ加工面でのビーム径の変動を小さくして加工する必要がある。このためには、レーザ光学系において、常に基板表面との距離を一定に保って加工する必要がある。しかし、基板の厚みには変動があり、基板表面の高さは変動する。これに追従して距離を一定に保つためには、常にフォーカシングを行って加工する必要がある。しかし、特許文献1の装置にはオートフォーカス機構は搭載されていない。従って、スクライブ幅の狭幅化を図るには限界がある。
【0006】
この発明の目的は、スクライブ幅の狭幅化とスクライブピッチの狭ピッチ化を可能にしたレーザパターニング装置およびレーザパターニング方法を提供することである。
具体的には、従来装置で課題となっていた狭幅化の限界の対策として、オートフォーカス機構を搭載し、さらに、このオートフォーカス機構の運用方法を工夫することで、比較的安価なオートフォーカス機構で、上述のスクライブ幅の狭幅化と狭ピッチ化が可能なレーザパターニング装置およびレーザパターニング方法を提供することである。
また、スクライブ幅の狭幅化とスクライブピッチの狭ピッチ化により、太陽電池パネルの発電効率の向上に寄与できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のレーザパターニング装置は、基板1上に成膜された薄膜を短冊状に、レーザ光を用いて分断加工するレーザパターニング装置において、
前記基板1を載せる基板固定ステージ3と、それぞれレーザ加工ビームを照射するレーザ加工用光学系4が複数並べて設けられた光学ヘッド5と、前記基板固定ステージ3と光学ヘッド5とを相対的に前記基板1の加工面上の直交2軸方向(X,Y)に移動させる光学ヘッド相対移動機構6と、この光学ヘッド相対移動機構6により前記光学ヘッド5を前記基板1に対して相対移動させる経路、並びにこの経路上で前記光学ヘッド5によるレーザ光の照射の開始および停止をそれぞれ行う基板1の加工開始位置Sおよび加工終了位置Eを制御する加工制御手段31とを備え、
前記光学ヘッド5は、前記各レーザ加工用光学系4に、このレーザ加工用光学系4と前記基板1の加工面との距離を前記レーザ加工用光学系4の焦点距離に合わせるオートフォーカス機構7を有し、このオートフォーカス機構7の自動合焦機能であるフォーカス機能を、前記基板1の加工開始位置Sでオンとし、基板1の加工終了位置Eでオフとするフォーカス機能制御手段32を設けたことを特徴とする。
但し、基板1の縁まで完全にスクライブする必要がある場合は、加工用レーザ光の照射開始位置は、加工開始位置Sの手前であっても構わない。また、加工用レーザ光の照射終了位置は、加工終了位置Eより後でも構わない。その場合も、フォーカス機能は加工開始位置Sでオンとし、加工終了位置Eでオフとする。
【0008】
この構成によると、各レーザ加工用光学系4にオートフォーカス機構7を搭載しているため、加工対象である基板1の表面と加工用レンズ4aとの距離を常に一定に保った状態でスクライブ加工が可能である。よって、スクライブ時のレーザスポットの変動を小さく抑えることができ、そのためスクライブ幅の狭幅化が可能で、これにより、スクライブピッチの狭ピッチ化も可能である。スクライブ加工を行う場合、等速状態で加工を行う必要があり、等速に至る加速期間においては、レーザ加工用光学系4下に加工対象となる基板1が存在しないため、通常のオートフォーカス機構を用いることができない。しかし、上記のように、オートフォーカス機構7のフォーカス機能を、前記基板1の加工開始位置Sでオンとし、基板1の加工終了位置Eでオフとするフォーカス機能制御手段32を設けたため、基板1から離れた位置から加速させて等速状態で加工を開始する場合にも、適正なフォーカス機能が実現できる。
【0009】
この発明において、前記オートフォーカス機構7に、前記レーザ加工用光学系4のフォーカス方向の位置であるフォーカス位置を検出する位置検出センサ25を設け、前記フォーカス機能制御手段32に、前記位置検出センサ25の出力を記憶する検出フォーカス位置記憶手段36と、前記フォーカス機能のオフ状態で、前記検出フォーカス位置記憶手段36に記憶された位置に前記レーザ加工用光学系4の前記フォーカス位置を保持させるフォーカス位置保持制御手段37とを設けるのが良い。
上記検出フォーカス位置記憶手段36およびフォーカス位置保持制御手段37を設けることによって、オートフォーカス機構7に位置を記憶・保持する機能を付加することで、加工開始位置Sでオートフォーカス機構をオンした時のフォーカス差を極力小さくできる。これにより、高性能なオートフォーカス機構を用いる必要がなく、安価な装置構成で高品位のスクライブ加工が実現可能である。
【0010】
この発明において、前記フォーカス機能制御手段32に、前記加工開始位置Sで位置させる前記レーザ加工用光学系4のフォーカス方向の位置であるフォーカス位置の指令位置を記憶し、前記レーザ加工用光学系4が前記加工開始位置Sに達するまでに、前記レーザ加工用光学系4の前記フォーカス位置を前記の記憶された指令位置としてこの位置を保持する開始前フォーカス位置制御手段38を設けても良い。
この構成の場合、前記基板1の加工開始位置Sで前記フォーカス機能をオンしたときに、前記レーザ加工用光学系4が前記指令位置に位置する状態からフォーカス機能を開始させるようにでき、加工開始位置Sでオートフォーカス機能をオンした時のフォーカス差を極力小さくできる。
【0011】
前記開始前フォーカス位置制御手段38は、前記位置検出センサ25、前記検出フォーカス位置記憶手段36、および前記フォーカス位置保持制御手段37を設けた場合、例えば次の構成とされる。
すなわち、前記開始前フォーカス位置制御手段38は、前記加工制御手段31に、前記光学ヘッド相対移動機構6に対して、実際の加工のための光学ヘッド5の相対移動の前に、前記光学ヘッド5を基板1の端から外れたホームポジションから基板1上の加工開始位置Sまで移動させ、この移動後に前記ホームポジションに戻す動作からなる加工前計測サイクルを実行させ、かつこの加工前計測サイクルで光学ヘッド5が加工開始位置Sに来たときの前記位置検出センサ25で検出されたフォーカス位置を前記検出フォーカス位置記憶手段36に記憶させ、前記フォーカス位置保持制御手段37により、前記検出フォーカス位置記憶手段36に記憶された位置に前記レーザ加工用光学系4の前記フォーカス位置を保持させる。この構成の場合、加工前計測サイクルで光学ヘッド5が加工開始位置Sに来たときの前記位置検出センサ25で検出されたフォーカス位置が、前記フォーカス位置の指令位置となる。なお、「光学ヘッド5が加工開始位置Sに来た」とは、レーザ加工用光学系4が加工開始位置Sに来たことを言う。
このようにして、加工開始位置Sでオートフォーカス機能をオンした時のフォーカス差を極力小さくする制御が、具体的に実現できる。
【0012】
なお、前記開始前フォーカス位置制御手段38は、必ずしも前記加工前計測サイクルを行うものでなくても良い。例えば、前記フォーカス位置の指令位置を、前記位置検出センサ25を用いることなく、適宜の入力手段から入力させるようにしても良く、また適宜定められた値としても良い。さらに、前記開始前フォーカス位置制御手段38は、後述のキャリブレーションステージ29を設けた場合、このキャリブレーションステージ29を検出するサイクルを実行するものとしても良い。
【0013】
この発明において、前記フォーカス機能制御手段32に、前記加工終了位置Eでフォーカス機能をオフするときに、このオフへの切換時の、前記レーザ加工用光学系4のフォーカス方向の位置であるフォーカス位置を記憶し、記憶されたフォーカス位置に前記レーザ加工用光学系4を保持した状態としてフォーカス機能をオフする終了時フォーカス位置保持制御手段39を設けても良い。
例えば、複数並ぶスクライブを加工するときに、加工時間の短縮のために、スクライブの加工方向を交互に逆方向として、直接に加工に寄与しない光学ヘッド5の相対移動時間を短くする方法が採られる。このような場合、加工終了位置Eから次の加工開始位置Sでの距離は僅かであるため、加工終了位置Eでフォーカス機能をオフしたときのレーザ加工用光学系4のフォーカス位置を保持し、次の加工を開始すれば、加工開始位置Sでオートフォーカス機能をオンした時のフォーカス差を小さくできる。
なお、上記の「オフへの切換時」は、オフへ切り換える瞬間時に限らず、この切換瞬間時の直前から直後までの間を含む意味である。
【0014】
前記終了時フォーカス位置保持制御手段39は、前記位置検出センサ25、検出フォーカス位置記憶手段36、およびフォーカス位置保持制御手段37を設けた場合、例えば次の構成とされる。
すなわち、前記終了時フォーカス位置保持制御手段39は、前記加工終了位置Eでフォーカス機能をオフするときに、このオフへの切換時のフォーカス位置を前記位置検出センサ25で検出して前記検出フォーカス位置記憶手段36に記憶させ、前記フォーカス位置保持制御手段37により、前記検出フォーカス位置記憶手段36に記憶された位置に前記レーザ加工用光学系4の前記フォーカス位置を保持させる。
このようにして、加工終了位置Eでフォーカス機能をオフするときのフォーカス位置を保持する制御が、具体的に実現できる。
【0015】
なお、終了時フォーカス位置保持制御手段39は、必ずしも上記位置検出センサ25、検出フォーカス位置記憶手段36等を用いるものでなくても良く、例えば、加工終了位置Eでフォーカス機能をオフするときに、単に、レーザ加工用光学系4のフォーカス位置を固定するものであっても良い。
【0016】
この発明において、前記オートフォーカス機構7を、前記レーザ加工用光学系4に対し、レーザ加工用光学系4の並び方向の前後に取付位置の変更を可能とするフォーカス機構設置位置可変手段28を設けても良い。
各レーザ加工用光学系4に対して全て同じ方向に隣り合うようにオートフォーカス機構7を設けた場合、配列端のレーザ加工用光学系4のオートフォーカス機構7が基板1から外れることがある。そのような場合、前記フォーカス機構設置位置可変手段28により取付位置を配列の前後に交換することで、オートフォーカス機構7が基板から外れることが回避される。
【0017】
この発明において、前記オートフォーカス機構7に、前記レーザ加工用光学系4の前記基板の加工面までのフォーカス距離を検出するフォーカスセンサ23を、前記レーザ加工用光学系4に対して並べて設け、このフォーカスセンサ23と前記レーザ加工用光学系4との並び距離を調整可能とするセンサ位置調整手段27を設けても良い。
このセンサ位置調整手段27が設けられていると、スクライブ加工ラインLaに、オートフォーカス機構7のフォーカスセンサの光軸が重ならないように調整することができる。
【0018】
この発明において、前記オートフォーカス機構7を、前記レーザ加工用光学系4に対し、スクライブ加工方向Laaの前方側に設けても良い。
また、この発明において、前記オートフォーカス機構7を、前記レーザ加工用光学系4に対し、スクライブ加工方向Laaの前方側と後方側とに設置位置の変更を自動で可能とするフォーカス機構設置位置自動可変手段28Bを設けても良い。
このフォーカス機構設置位置自動可変手段28Bは、例えば、オートフォーカス機構7を、レーザ加工用光学系4の光軸O1回りに旋回可能に設置し、モータ等の駆動源28Baによって180°正逆に旋回させる構成とされ、駆動源28Baの駆動方向を制御する位置変更制御部28Bbを有するものとされる。この位置変更制御部28Bbは、例えば、前記加工制御手段31における光学ヘッド相対移動機構6を制御する移動制御手段33における移動方向の指令からスクライブ加工方向Laaを認識し、駆動源28Baを制御する。この制御は、スクライブ加工時には、スクライブ加工方向Laaの前方側にオートフォーカス機構7を配置し、その後方にレーザ加工用光学系4を配置するように行う。
オートフォーカス機構7がレーザ加工用光学系4に対し、スクライブ加工方向Laaの前方側に位置する場合、スクライブ加工ラインLa上をオートフォーカス機構7のフォーカスセンサ23で検出することができる。このため、前記のレーザ加工用光学系4と並設してオートフォーカス機構7を設置した場合のように、隣接するスクライブ加工ラインLaとフォーカスセンサ23の検出位置が重なることが無いため、既存のスクライブ加工ラインLaと重ならないように位置調整する必要は無い。
レーザ加工用光学系4に対して、スクライブ加工方向Laaの前方にオートフォーカス機構7が配置されるため、フォーカス方向の位置変化を事前に検出することが可能となり、オートフォーカス機構7の追従動作の応答性にその分余裕を持たせることができる。
【0019】
前記構成では、フォーカス機構設置位置自動可変手段28Bにより自動で、オートフォーカス機構7の取り付け位置をレーザ加工用光学系4に対して、スクライブ加工方向Laaの前後に自動で変更可能としたが、レーザ加工用光学系4の前後両方にオートフォーカス機構7を設けても良い。
この場合に、前記レーザ加工用光学系4に対し、スクライブ加工方向Laaの前後両方に設置されたオートフォーカス機構7,7の内、スクライブ加工方向Laaに対して、前記レーザ加工用光学系4の前方に設置された前記オートフォーカス機構7を選択して使用する選択使用手段28Cを設けても良い。
【0020】
この発明において、前記オートフォーカス機構7は、前記レーザ加工用光学系4のフォーカス方向の位置であるフォーカス位置を検出する位置検出センサ25を有し、この位置検出センサ25に検出させるキャリブレーションステージ29を設け、このキャリブレーションステージ29の高さを、前記基板1の加工面の加工開始位置Sにおける高さと略同じとしても良い。
前記キャリブレーションステージ29が設けられていると、加工前に位置検出センサ25でキャリブレーションステージ29を検出し、その検出されたフォーカス位置にレーザ加工用光学系4を保持させることで、加工開始位置Sでオートフォーカス機能をオンした時のフォーカス差を極力小さくすることができる。
【0021】
この発明において、前記薄膜を成膜した基板1が太陽電池パネルであっても良い。太陽電池パネルでは、太陽電池の発電効率向上のためにスクライブ幅を狭めることが要求される。そのため、この発明におけるスクライブ幅の狭幅化とスクライブピッチの狭ピッチ化が可能である効果が、効果的に発揮される。
【0022】
この発明のレーザパターニング方法は、この発明の上記いずれかの構成のレーザパターニング装置を用い、基板1上に成膜された薄膜を短冊状に分断加工する方法である。この加工方法によると、この発明のレーザパターニング装置について前述したと同様に、スクライブ幅の狭幅化とスクライブピッチの狭ピッチ化が可能となる。
【0023】
この発明の他のレーザパターニング方法は、基板1上に成膜された薄膜を短冊状に、レーザ光を用いて分断加工するレーザパターニング方法において、
前記基板1を載せる基板固定ステージ3と、それぞれレーザ加工ビームを照射するレーザ加工用光学系4が複数並べて設けられた光学ヘッド5と、前記基板固定ステージ3と光学ヘッド5とを相対的に前記基板1の加工面上の直交2軸方向に移動させる光学ヘッド相対移動機構6を備えたレーザパターニング装置を用い、
前記光学ヘッド5は、前記各レーザ加工用光学系4に、このレーザ加工用光学系4と前記基板1の加工面との距離を前記レーザ加工用光学系4の焦点距離に合わせるオートフォーカス機構7を有しており、このオートフォーカス機構7の自動合焦機能を、前記基板1の加工開始位置Sでオンとし、基板1の加工終了位置Eでオフとすることを特徴とする。 この方法によると、この発明のレーザパターニング装置について前述したと同様に、スクライブ幅の狭幅化とスクライブピッチの狭ピッチ化が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
この発明のレーザパターニング装置は、基板上に成膜された薄膜を短冊状に、レーザ光を用いて分断加工するレーザパターニング装置において、前記基板を載せる基板固定ステージと、それぞれレーザ加工ビームを照射するレーザ加工用光学系が複数並べて設けられた光学ヘッドと、前記基板固定ステージと光学ヘッドとを相対的に前記基板の加工面上の直交2軸方向に移動させる光学ヘッド相対移動機構と、この光学ヘッド相対移動機構により前記光学ヘッドを前記基板に対して相対移動させる経路、並びにこの経路上で前記光学ヘッドによるレーザ光の照射の開始および停止をそれぞれ行う基板の加工開始位置および加工終了位置を制御する加工制御手段とを備え、前記光学ヘッドは、前記各レーザ加工用光学系に、このレーザ加工用光学系と前記基板の加工面との距離を前記レーザ加工用光学系の焦点距離に合わせるオートフォーカス機構を有し、このオートフォーカス機構の自動合焦機能であるフォーカス機能を、前記基板の加工開始位置でオンとし、基板の加工終了位置でオフとするフォーカス機能制御手段を設けたため、前記オートフォーカス機構の搭載により、加工対象である基板の表面とレーザ加工用光学系との距離を常に一定に保った状態でスクライブ加工が可能となる。そのため、スクライブ時のレーザスポットの変動を小さく抑えることができて、スクライブ幅の狭幅化が可能で、これにより、スクライブピッチの狭ピッチ化も可能である。また、等速に至る加速期間においては、レーザ加工用光学系下に加工対象となる基板が存在しないが、上記のように、オートフォーカス機構の合焦機能を、前記基板の加工開始位置でオンとし、基板の加工終了位置でオフとするため、フォーカス機能が実現できる。
【0025】
この発明のレーザパターニング方法は、この発明のレーザパターニング装置につき述べたと同様に、スクライブ時のレーザスポットの変動を小さく抑えることができて、スクライブ幅の狭幅化が可能で、これにより、スクライブピッチの狭ピッチ化も可能である。また、オートフォーカス機構のフォーカス機能を、前記基板の加工開始位置でオンとし、基板の加工終了位置でオフとするため、基板から離れた位置から加速させて等速状態で加工を開始する場合にも、適正なフォーカス機能が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施形態に係るレーザパターニング装置の概念構成を示す説明図である。
【図2】(A)(B)はそれぞれ、同レーザパターニング装置のレーザパターニング装置本体の一例につき、基板搬入時状態および加工時の状態を示す斜視図である。
【図3】基板と光学ヘッドの関係を示す斜視図である。
【図4】(A)はレーザ加工用光学系およびオートフォーカス機構の一例を示す斜視図、(B)はそのオートフォーカス機構の取付箇所を変えた例を示す斜視図である。
【図5】移動速度とスクライブ加工範囲との関係を示す説明図である。
【図6】初期フォーカス差の説明図である。
【図7】加工前計測サイクルの説明図である。
【図8】加工動作の説明図である。
【図9】加工用レンズとフォーカス用レンズの光学オフセットの説明図である。
【図10】フォーカスのキャリブレーションステージの説明図である。
【図11】(A)(B)はそれぞれ、同レーザパターニング装置のレーザパターニング装置本体の他の例につき、基板搬入時状態および加工時の状態を示す斜視図である。
【図12】レーザ照射ピッチとスクライブ加工ラインの関係を示す説明図である。
【図13】太陽電池パネルの部分拡大断面図である。
【図14】(A)はレーザ加工用光学系およびオートフォーカス機構の他の例を示す斜視図、(B)はそのオートフォーカス機構の設置位置を変えた例を示す斜視図、(C)は同図(A)にフォーカス機構設置位置自動可変手段を加えた説明図である。
【図15】図14の例を用いた光学ヘッドと基板の関係を示し、(A)は図の基板右奥方向からスクライブ加工する場合の斜視図、(B)は図の基板左手前方向からスクライブ加工する場合の斜視図である。
【図16】レーザ加工用光学系およびオートフォーカス機構のさらに他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の一実施形態を図1ないし図9と共に説明する。このレーザパターニング装置は、基板1上に成膜された薄膜を短冊状に、レーザ光を用いてスクライブを加工することで分断加工する装置であって、機械部分であるパターニング装置本体2と、このパターニング装置本体2を制御する加工制御装置30とで構成される。
【0028】
基板1は、例えば透光性を有する太陽電池となる素材である。具体例を示すと、図13に示すように、基板1上に、表面電極1a、光電変換層1b、および裏面電極1cとなる複数層の薄膜が積層して形成されている。これらの薄膜がスクライブaの形成により分断加工されて個別のセルとなることで、集積型薄膜太陽電池とされる。同図において、P1〜P3の位置にスクライブaが加工される。
【0029】
図1において、パターニング装置本体2は、基板1を載せる基板固定ステージ3と、それぞれレーザ加工ビームを照射するレーザ加工用光学系4が複数並べて設けられた光学ヘッド5と、前記基板固定ステージ3と光学ヘッド5とを相対的に前記基板1の加工面上の直交2軸方向(X,Y方向)に移動させる光学ヘッド相対移動機構6とを有する。各レーザ加工用光学系4にはオートフォーカス機構7が設けられ、したがってオートフォーカス機構7はレーザ加工用光学系4と同数だけ設けられる。
【0030】
図2は、パターニング装置本体2の一例を示す。この例では、基板固定ステージ3が前後方向(Y軸方向)に移動可能なY軸ステージとなり、基台8のレール9上に基板固定ステージ3が前後方向(Y軸方向)に移動自在に設置されている。基板固定ステージ3は、搬入された基板1を固定する機構(図示せず)を有しており、Y軸の進退駆動機構(図示せず)により前後方向に進退駆動される。
レール9による基板固定ステージ移動経路の前部には、その左右両側に、基板固定ステージ3に対して基板1の搬入および搬出をそれぞれ行うローラコンベヤ等からなる基板搬入装置10および基板搬出装置11が設置されている。
【0031】
基台8上の基板固定ステージ3が通過経する路の後部には、この通過経路に跨がって門形の支持フレーム12が設置され、この支持フレーム12上のレール13に沿って、基板固定ステージ3の進退方向と直交する方向である左右方向(X軸方向)に進退自在にX軸ステージ14が設置されている。X軸ステージ14は、支持フレーム12に設置されたX軸の進退駆動機構15により進退させられる。
X軸ステージ14には、光学ヘッド5を搭載したZ軸ステージ16が、前記X軸およびY軸に垂直な方向である鉛直方向に移動材に設置され、X軸ステージ14に設置されたZ軸の進退駆動機構(図示せず)により進退させられる。前記X軸の進退駆動機構15、並びにY軸の進退駆動機構およびZ軸の進退駆動機構は、それぞれ、サーボモータおよび送りねじ機構等からなる。
【0032】
なお、パターニング装置本体2は、図2の例では基板固定ステージ3を基台8に対して前後方向(Y軸方向)に移動させるようにしたが、例えば図11に示すように、基板固定ステージ3を基台8に対して位置固定としても良い。その場合、前記門形の支持フレーム12Aが、基台8上のレール9A上で前後移動自在なY軸ステージとなり、Y軸の進退駆動機構(図示せず)により進退させられる。図11の例におけるその他の構成は、図2の例と同様である。
【0033】
図2において、光学ヘッド5には、前記のように、それぞれレーザ加工ビームを照射するレーザ加工用光学系4が複数並べて設けられており、その並び方向は、加工するスクライブの並び方向である左右方向(X軸方向)とされ、同時に複数本のスクライブの加工が可能とされている。レーザビームを発生させるレーザ発振機17は、個々のレーザ加工用光学系4毎に設けても良く、1台のレーザ発振機17で発生させたレーザビームを複数本に分割して各レーザ加工用光学系4に分配しても良い。いずれの場合も、レーザ発振機17およびこのレーザ発振機17からレーザビームをレーザ加工用光学系4に導く反射ミラー48(図1)等の導光手段は、光学ヘッド5の一部となる。
【0034】
図4において、オートフォーカス機構7およびレーザ加工用光学系4につき説明する。レーザ加工用光学系4は、対物レンズ等の加工用レンズ4aと、この加工用レンズ4aにレーザビームを導く光学部品であるビームエキスパンダ4bとでなり、ビームエキスパンダ4bに対して加工用レンズ4aを遠近方向に移動させることで、レーザ加工用光学系4の焦点距離の調整が可能である。なお、この明細書、図面では、レンズとこのレンズを内蔵したケースとを含めて加工用レンズ4aと称している。
【0035】
オートフォーカス機構7は、ビームエキスパンダ4bに対して加工用レンズ4aを遠近方向に移動させるレンズ移動機構7aと、加工対象面のフォーカス方向の位置を検出して前記レンズ移動機構7aに対して移動命令となる信号を与えるフォーカス自動化手段7bとでなる。
【0036】
図4の例では、加工用レンズ4aの隣に配置したフォーカス用レンズ18を、加工用レンズ4aと共に昇降体19に搭載し、昇降体19を光学系基台20にリニアガイド21を介して昇降自在に支持している。昇降体19の昇降駆動は、光学系基台20に設置されたボイスコイルモータ等からなる直動アクチュエータ22により行う。これらリニアガイド21と直動アクチュエータ22とで前記レンズ移動機構7aが構成される。光学系基台20は、個々のレーザ加工用光学系4に設けられた基台であり、光学ヘッド5のフレームとなる部材(図示せず)に取付けられる。
【0037】
フォーカス用レンズ18の上方には、フォーカス用レンズ18を介して加工対象面までのフォーカス距離を検出するフォーカスセンサ23が、光学系基台20に設置されている。フォーカスセンサ23によるフォーカスの検出には、例えば、極一般的な非点収差法を用いて4分割フォトダイオードで検出する方式を採用する。これらフォーカスセンサ23と、フォーカス用レンズ18と、フォーカスセンサ23の出力信号により直動アクチュエータ22に動作命令を出力する信号伝達系24とで、前記フォーカス自動化手段7bが構成される。信号伝達系24は、前記出力信号を処理する機能を有するものであっても、また前記信号を単に伝達するものであっても良い。前記フォーカス自動化手段7bは、フォーカスセンサ23の出力信号に応じて、前記直動アクチュエータ22を駆動して加工用レンズ4aとフォーカス用レンズ18を基板1の加工面である上面に対して鉛直のZ軸方向に移動させて、常に、加工用レンズ4aのフォーカスを合焦させるように制御する。
【0038】
前記リニアガイド21には、リニアスケール等の位置検出センサ25が搭載されてリニアガイド21における移動側部材の位置の検出が可能となっている。これにより、加工用レンズ4aの昇降位置であるフォーカス位置が検出される。前記フォーカス自動化手段7bの前記信号伝達系24は、外部からの信号により、フォーカスセンサ23の出力信号の伝達をオフにしてオートフォーカス機能をオフにする機能を有していて、前記直動アクチュエータ22は、オートフォーカス機能をオフにした状態で、前記信号伝達系24とは別の入力系から、駆動の制御が可能とされる。このとき、前記位置検出センサ25の検出値を用いて、位置検出センサ25の検出可能範囲で前記加工用レンズ4aを任意のフォーカス位置に移動させ、また保持することが可能である。
【0039】
フォーカスセンサ23およびフォーカス用レンズ18を含むオートフォーカス機構7は、図4(A)ではレーザ加工用光学系4に対して図の左側に搭載されているが、図4(B)のようにレーザ加工用光学系4に対して図の右側に取付位置の変更を可能とするオートフォーカス機構設置位置可変手段28が設けられている。このオートフォーカス機構設置位置可変手段28は、例えばビームエキスパンダ4bおよび加工用レンズ4aおよびの両側面に設けられてフォーカスセンサ23およびフォーカス用レンズ18をそれぞれ着脱可能に取付ける取付具からなる。この取付位置の変更は、次の理由で設けられる。すなわち、図4(A)のように左側にオートフォーカス機構7が搭載されていると、図3に示したように複数個のレーザ加工用光学系4を配列した場合に、X軸方向の一番左側のオートフォーカス機構7においては、基板1の左端側のスクライブ加工時に、フォーカスセンサが基板1から外れてしまう可能性がある。そのため配列の左端のオートフォーカス機構7は、図3,図4(B)に示したように、加工用レンズ4aの右側にオートフォーカス機構7を取付けることで、基板1から外れることを回避する。
【0040】
また、図9に示したように、レーザ加工用光学系4の光軸O1とフォーカスセンサ23の光軸O2(フォーカスレンズ18の光軸O2)はオフセットしているが、このオフセット距離は、スクライブ加工ラインにフォーカスセンサ23の光軸O2が重ならないように、センサ位置調整手段27で調整可能とされている。スクライブ加工ラインLaとフォーカスセンサ23の光軸O2が重なってしまうと、既にスクライブ加工された段差により、フォーカスがずれてしまう可能性があるからである。センサ位置調整手段27は、例えば互いにねじ部材で間隔調整可能に連結された2つの部材27a,27bに、それぞれレーザ加工用光学系4とフォーカスセンサ23を取付けるようにしたものである。
【0041】
図14は、レーザ加工用光学系4とオートフォーカス機構7との配置関係の他の例を示す。この例では、レーザ加工用光学系4に対してオートフォーカス機構7を、スクライブ加工ラインLaの方向と同一方向に並べて搭載している。スクライブ加工ラインLaは、スクライブa(図1,図15)を加工するラインであり、その加工の進行方法をスクライブ加工方向Laaと称す。オートフォーカス機構7は、スクライブ加工方向Laaに対して、レーザ加工用光学系4の前方側に搭載される。図14(A)は、スクライブ加工方向Laaが図の右奥方向から左手前方向の場合を示し、図14(B)は、(A)とは反対にスクライブ加工方向Laaが図の左手前から右奥方向の場合を示している。
【0042】
この例では、オートフォーカス機構7は、図14(A)と(B)の設置位置の切り替えを、オートフォーカス機構設置位置自動可変手段28Bにより自動で変更可能となっており、スクライブ加工方向Laaを変える前に自動で設置位置が変更できるようになっている。すなわち、オートフォーカス機構7を、レーザ加工用光学系4に対し、スクライブ加工方向Laaの前方側と後方側とに設置位置の変更を自動で可能とするフォーカス機構設置位置自動可変手段28Bを設けている。このフォーカス機構設置位置自動可変手段28Bは、例えば、オートフォーカス機構7を、レーザ加工用光学系4の光軸O1回りに旋回可能に設置し、モータ等の駆動源28Baによって180°正逆に旋回させる構成とし、駆動源28Baの駆動方向を制御する位置変更制御部28Bbを有するものとされる。図示の例では、レーザ加工用光学系4のフォーカス用レンズ18を設置した昇降体19に、レーザ加工用光学系4の光軸O1回りに旋回自在に旋回台28Bcを設け、この旋回台28Bcにオートフォーカス機構7を搭載し、駆動源28Baによって旋回台28Bcを正逆回動させる構成とされている。前記位置変更制御部28Bbは、例えば、前記加工制御装置30のフォーカス機能制御手段32に設けられ、光学ヘッド相対移動機構6を制御する加工制御手段31の移動制御手段33による移動方向の指令からスクライブ加工方向Laaを認識し、駆動源28Baを制御する。この制御は、スクライブ加工時には、スクライブ加工方向Laaの前方側にオートフォーカス機構7を配置し、その後方にレーザ加工用光学系4を配置するように行う。なお、図14において、加工制御装置30は、特に説明した事項の他は、図1の例と同様であるが、簡略化して図示してある。
【0043】
図15(A)は、図14(A)に示したレーザ加工用光学系4とオートフォーカス機構7の配置関係でスクライブ加工する場合の例を示し、図15(B)は、図14(B)に示した配置関係でスクライブ加工する場合の例を示している。
【0044】
図16は、レーザ加工用光学系4とオートフォーカス機構7との配置関係のさらに他の例を示す。この例では、レーザ加工用光学系4に対して、スクライブ加工方向Laaの前後両方にオートフォーカス機構7を設置している。また、レーザ加工用光学系4に対し、スクライブ加工方向Laaの前後両方に設置されたオートフォーカス機構7,7の内、スクライブ加工方向Laaに対して、レーザ加工用光学系4の前方に設置されたオートフォーカス機構7を選択して使用する選択使用手段28Cを設けている。選択使用手段28Cは、例えば前記加工制御手段30のフォーカス機能制御手段32に設けられ、光学ヘッド相対移動機構6を制御する移動制御手段33による移動方向の指令からスクライブ加工方向Laaを認識し、使用するオートフォーカス機構7を選択する制御を行う。なお、図16において、加工制御装置30は、特に説明した事項の他は、図1の例と同様であるが、簡略化して図示してある。
この構成の機構を用いてスクライブ加工を行う場合は、スクライブ加工方向Laaの切り替え時に、スクライブ加工方向Laaに対してレーザ加工用光学系4の前方に位置するオートフォーカス機構7を選択して使用することで、前記と同様に両方のスクライブ加工方向Laaに対応が可能である。
【0045】
なお、上述のオートフォーカス機構7は、あくまでも例示であり、フォーカス用センサ23は非点収差法を用いない別の方式でも構わない。また、直動アクチュエータ22もボイスコイルモータでなくても、別の方式でも構わない。さらに、リニアガイド21の位置を検出する方式も、リニスケール以外の方式でも構わない。
【0046】
図1において、加工制御装置30は、レーザパターニング装置本体2の全体を制御する手段であって、数値制御装置としての機能と、プログラマブルコントローラとしての機能を有するものである。加工制御装置30は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータと、このコンピュータに実行される加工プログラム(図示せず)とにより、次の加工制御手段31と、フォーカス機能制御手段32とが構成されている。加工制御手段31は、移動制御手段33、レーザ出力制御手段34とでなる。
【0047】
移動制御手段33は、前記加工プログラムの指令に従って、光学ヘッド相対移動機構6の各軸の駆動機構の駆動源6a,6b,6cに出力を行い、光学ヘッド5を基板1に対して相対移動させる経路および速度を制御する手段である。光学ヘッド5を基板1に対して相対移動させる経路は、基板1に形成する各スクライブaに沿って光学ヘッド5を相対移動させるスクライブ上経路と、各スクライブ上経路間で光学ヘッド5を相対移動させるスクライブ間経路とを含む。移動制御手段33は、各軸の駆動源6a,6b,6cに設けられた位置検出器(図示せず)または、各軸の駆動源6a,6b,6cで移動させられる部材の位置を検出する位置検出器(図示せず)の検出値によって、光学ヘッド5の各軸方向の相対位置を検出し、各位置検出器の検出値によってフィードバック制御を行う機能を有する。また、移動制御手段33は、その速度制御パターンとして、図5に示したように、1本のスクライブを加工するスクライブ加工範囲、またはこのスクライブ加工範囲よりも前後に若干の余裕を持たせた距離を定速範囲とし、その両側の加減速範囲では加速度(減速度)一定となる台形制御を行う。
【0048】
レーザ出力制御手段34は、レーザ発振機17のオンオフの制御を行う手段である。レーザ出力制御手段34は、光学ヘッド5と基板1の相対位置における、レーザ発振機17をオンとする加工開始位置Sと、レーザ発振機17をオフとする加工終了位置Eとを記憶している。これら加工開始位置Sと加工終了位置Eは、基板1に加工する各スクライブaの一端と他端の位置であり、前記加工プログラム等によって定められている。加工開始位置Sおよび加工終了位置Eに光学ヘッド5が位置したことは、移動制御手段32で制御に用いる位置検出器の出力によって認識される。
【0049】
フォーカス機能制御手段32は、オートフォーカス機構7を制御する手段であり、フォーカス機能オンオフ手段35と、検出フォーカス位置記憶手段36と、フォーカス位置制御手段37とを有し、さらに開始前フォーカス位置制御手段38および終了時フォーカス位置保持制御手段39を有している。
フォーカス機能オンオフ手段35は、オートフォーカス機構7の自動合焦機能であるフォーカス機能を、基板1の加工開始位置Sでオンとし、加工終了位置Eでオフとする機能を有する。光学ヘッド5が加工開始位置Sおよび加工終了位置Eに位置したことは、前記移動制御手段33で制御に用いる位置検出器の出力によって認識される。
【0050】
検出フォーカス位置記憶手段36は、各レーザ加工用光学系4のオートフォーカス機構7に設けられた位置検出センサ25の検出値を記憶する手段である。
フォーカス位置保持制御手段37は、検出フォーカス位置記憶手段36に記憶された位置に、対応する各レーザ加工用光学系4のフォーカス位置を保持させる手段であり、フォーカス動作を行わせる前記直動アクチュエータ22を停止状態に維持させることで、前記フォーカス位置の保持を行う。フォーカス位置保持制御手段37は、フォーカス機能オンオフ手段35によるフォーカス機能のオフ状態で、その機能が可能となる。
【0051】
開始前フォーカス位置制御手段38は、基板1の加工開始位置Sでフォーカス機能をオンしたときに、レーザ加工用光学系4が指令位置にある状態からフォーカス機能を開始させるようにした手段である。すなわち、開始前フォーカス位置制御手段38は、加工開始位置Sで位置させるレーザ加工用光学系4のフォーカス位置の指令位置を記憶し、レーザ加工用光学系4が加工開始位置Sに達するまでに、レーザ加工用光学系4のフォーカス位置を前記の記憶された指令位置としてこの位置を保持する手段である。
【0052】
開始前フォーカス位置制御手段38は、具体的には、加工制御手段31に、光学ヘッド相対移動機構6に対して、実際の加工のための光学ヘッド5の相対移動の前に、図7と共に後述するように、光学ヘッド5を基板1の端から外れたホームポジションから基板1上の加工開始位置Sまで移動させ、この移動後に前記ホームポジションに戻す動作からなる加工前計測サイクルを実行させる。かつ、この加工前計測サイクルで光学ヘッド5が加工開始位置Sに来たときの前記位置検出センサ25で検出されたフォーカス位置を、前記の指令位置として検出フォーカス位置記憶手段36に記憶させ、フォーカス位置保持制御手段37により、前記検出フォーカス位置記憶手段36に記憶された位置にレーザ加工用光学系4のフォーカス位置を保持させる。
【0053】
なお、開始前フォーカス位置制御手段38は、必ずしも前記加工前計測サイクルを行うものでなくても良い。例えば、前記フォーカス位置の指令位置を、前記位置検出センサ25を用いることなく、適宜の入力手段から入力させるようにしても良く、また適宜定められた値としても良い。さらに、前記開始前フォーカス位置制御手段38は、後述のキャリブレーションステージ29を設けた場合、このキャリブレーションステージ29を検出するサイクルを実行するものとしても良い。
【0054】
終了時フォーカス位置保持制御手段39は、前記加工終了位置Eでフォーカス機能をオフするときに、このオフへの切換時の、前記レーザ加工用光学系4のフォーカス位置を記憶し、記憶されたフォーカス位置にレーザ加工用光学系4を保持した状態としてから、フォーカス機能オンオフ手段35にフォーカス機能をオフさせる手段である。
【0055】
終了時フォーカス位置保持制御手段39は、具体的には次の構成とされる。すなわち、加工終了位置Eでフォーカス機能をオフするときに、このオフへの切換時のフォーカス位置を前記位置検出センサ25で検出して検出フォーカス位置記憶手段36させ、前記フォーカス位置保持制御手段37により、検出フォーカス位置記憶手段36に記憶された位置にレーザ加工用光学系4のフォーカス位置を保持させる。
【0056】
なお、終了時フォーカス位置保持制御手段39は、必ずしも上記位置検出センサ25や検出フォーカス位置記憶手段36を用いるものでなくても良く、例えば、加工終了位置Eでフォーカス機能をオフするときに、単に、レーザ加工用光学系4のフォーカス位置を固定するものであっても良い。
【0057】
次に、上記構成の作用を説明する。この例では基板1が太陽電池パネルである場合につき説明する。太陽電池のスクライブ加工を行う装置では、図3に示したように、同一の基板1内に100本以上のスクライブaの加工を行う必要がある。そのため、複数本同時に加工できるように、レーザ加工用光学系4を複数本搭載している。このレーザ加工用光学系4の1本毎の焦点距離を基板1の表面と常に一定に保つため、それぞれの光学系4に、図4と共に前述したオートフォーカス機構7を搭載している。
【0058】
スクライブ加工は、図12に示したように、レーザ照射範囲Lの重なり部をできるだけ少なく、なおかつ重なり部の変動を少なくして加工するためには、図5に示したように、基板1をレーザ加工用光学系4に対する相対移動として、等速移動させた状態で加工する必要がある。また、スクライブ加工時間をより短くするため、近年では、基板1の移動速度が2000mm/sと非常に高速での加工が要求されてきている。
【0059】
オートフォーカス機構7は、フォーカスの対象となる基板1の表面位置を検出して、レーザ加工用光学系4の全体または加工用レンズ4aを移動させて、常に基板表面との距離を一定に保つように働く。しかし、上述したように、2000mm/sで等速になった状態でレーザ加工するためには、少なからず、助走距離(加速距離)が必要となる。図5に示したように、助走時にはレーザ加工ビームを基板表面に当てることはできない。従って、基板1が2000mm/sに到達し、基板端にレーザ加工用光学系4が到達した時からしか、オートフォーカス機構7を働かせることができない。この場合において、従来の単にフォーカス機能をオンオフする制御では、図6に示したように、基板1の端にレーザ加工用光学系4が到達した時点で、初期のフォーカス差が大きい場合、これに追従して瞬時にフォーカスさせるためには、非常に高性能なオートフォーカス機構が必要となる。フォーカス性能が悪いと、フォーカスが合うまでに時間が掛かってしまい、図6に示した追従距離が長くなってしまう。この追従距離の間は、フォーカスが合っていない状態での加工となってしまい、スクライブ幅を狭幅化することはできない。
【0060】
この実施形態では、上記課題を解決するため、オートフォーカス機構7の駆動機構に、加工用レンズ4aの位置を検出する位置検出センサ25を設け、フォーカス位置保持制御手段37を設けることで、検出した位置に加工用レンズ4aを保持することを可能としている。このフォーカス位置保持制御手段37を設けると共に、オートフォーカスの運用方法を工夫し、非常に安価なオートフォーカス機構7でも、基板1の端からフォーカスの合った加工を実現している。
【0061】
この実施形態のレーザパターニング装置では、加工開始位置Sである基板1の端において、レーザ加工用光学系4のフォーカス差が小さくなるように、予め基板端位置でフォーカス合わせを行い、そのフォーカス位置を保持した状態に保つことができるようになっている。
図7を用いて、フォーカス合わせの方法について説明する。図7(A)は、パターニング装置の光学ヘッド5のホームポジションであり、この位置から基板1の端で等速になるように加速を開始する。図7(B)は、基板端位置で、この位置から実際のスクライブ加工を行う。この実施形態では、図1の開始前フォーカス位置制御手段38の制御により、予めこの基板端位置にレーザ加工用光学系4が位置するように光学ヘッド5を移動させ、一度フォーカス合わせを行い、このフォーカス位置となる加工用レンズ4aの位置を検出フォーカス位置記憶手段36に記憶し、フォーカス位置保持制御手段37によって、その記憶されたフォーカス位置を保持する。その後、図7(C)のように再度ホームポジションに戻る。
【0062】
実際のスクライブ加工時には、図8(A)のホームポジションから加速を開始し、基板端前で加工速度まで到達した状態となる。そして、図8(B)の基板端位置(A位置)に到達した時点でオートフォーカス機構7をオンする。オートフォーカス機構7は、予め、上述したように基板端位置でフォーカスが合焦した状態で保持されているため、ほとんどフォーカスずれがなく、フォーカスオンした時点から高品位の加工が可能である。
【0063】
次に、図1の終了時フォーカス位置保持制御手段39の制御により、加工端であるもう一方の基板端(B位置)に到達した時点で、フォーカス機能をオフする。このオフへの切換時のオートフォーカス機構7のフォーカス位置を、検出フォーカス位置記憶手段36に記憶し、その位置したフォーカス位置に、フォーカス位置保持制御手段37によって保持させる。そして、減速し図8(D)の位置に到達し、1回のスクライブ加工が完了する。
【0064】
スクライブ加工は、前述したように、基板1に、あるスクライブピッチで数百本の加工を行う必要があるため、加工時間の短縮のため往復での加工とする。よって、今度は、図8(D)の位置から加速し、B位置から加工開始となる。この場合は、B位置にレーザ光学系が到達した時点でオートフォーカスをオンして加工することになる。オートフォーカス機構7は、前述のように、B位置でオートフォーカス機能をオフした状態を記憶し、その位置を保持しているため、スクライブピッチ分基板の短手方向に移動してはいるが、その移動距離は数mmであり、大きなフォーカス差はなく、直ぐに合焦した状態での加工が可能である。
【0065】
図10は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、図1〜図9に示す前記実施形態において、フォーカスセンサ23に検出させるキャリブレーションステージ29を、基板1の端から離れた位置に設け、このキャリブレーションステージ29の表面高さを基板端の加工開始位置Sの高さと略同じにしたものである。
【0066】
この実施形態の場合、前記キャリブレーションステージ29でフォーカス合わせを行い、そのフォーカス位置を維持し、光学ヘッド5が基板端に達した時にオートフォーカス機構7の自動合焦機能をオンさせる。これによれば、スクライブ加工時に基板端(図8、A位置)でオートフォーカスをオンした時のフォーカス差を、図7で示した方法の時と同じように小さくすることが可能である。この場合、図7の方法のように、基板端までレーザ光学系を移動させてフォーカス合わせを行う必要がなくなる。そのため加工サイクルが向上する。
なお、この実施形態の場合、図1の開始前フォーカス位置制御手段38は、キャリブレーションステージ29でフォーカス合わせを行い、そのフォーカス位置の検出値を検出フォーカス位置記憶手段36に記憶させ、その記憶した位置にフォーカス位置を保持させる制御をフォーカス位置保持制御手段37に行わせる。図10の実施形態におけるその他の構成,効果は、図1等と共に説明した第1の実施形態と同様である。
【0067】
これら実施形態によれば、上述のように、オートフォーカス機構7の位置の記憶・保持機能を用いて、基板端で初期フォーカス合わせ、加工端でのオートフォーカスオフ時にフォーカス位置を記憶・保持させ、オートフォーカスを加工開始位置Sと加工終了位置Eでオン/オフすることで、基板全域で自動合焦状態での高品位な加工を実現している。これにより、基板1の表面でレーザビーム径を均一に保つことが可能になり、スクライブ幅の狭幅が可能になる。狭幅化が可能になることで、スクライブピッチの狭ピッチ化も可能となる。
【符号の説明】
【0068】
1…基板
2…レーザパターニング装置本体
3…基板固定ステージ
4…レーザ加工用光学系
4a…加工用レンズ
5…光学ヘッド
6…光学ヘッド相対移動機構
7…オートフォーカス機構
23…フォーカスセンサ
25…位置検出センサ
27…センサ位置調整手段
28…フォーカス機構設置位置可変手段
28B…フォーカス機構設置位置自動可変手段
28C…選択使用手段
29…キャリブレーションステージ
30…加工制御装置
31…加工制御手段
32…フォーカス機能制御手段
36…検出フォーカス位置記憶手段
37…フォーカス位置保持制御手段
38…開始前フォーカス位置制御手段
39…終了時フォーカス位置保持制御手段
a…スクライブ
La…スクライブ加工ライン
Laa…スクライブ加工方向
E…加工終了位置
S…加工開始位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に成膜された薄膜を短冊状に、レーザ光を用いて分断加工するレーザパターニング装置において、
前記基板を載せる基板固定ステージと、それぞれレーザ加工ビームを照射するレーザ加工用光学系が複数並べて設けられた光学ヘッドと、前記基板固定ステージと光学ヘッドとを相対的に前記基板の加工面上の直交2軸方向に移動させる光学ヘッド相対移動機構と、この光学ヘッド相対移動機構により前記光学ヘッドを前記基板に対して相対移動させる経路、並びにこの経路上で前記光学ヘッドによるレーザ光の照射の開始および停止をそれぞれ行う基板の加工開始位置および加工終了位置を制御する加工制御手段とを備え、
前記光学ヘッドは、前記各レーザ加工用光学系に、このレーザ加工用光学系と前記基板の加工面との距離を前記レーザ加工用光学系の焦点距離に合わせるオートフォーカス機構を有し、このオートフォーカス機構の自動合焦機能であるフォーカス機能を、前記基板の加工開始位置でオンとし、基板の加工終了位置でオフとするフォーカス機能制御手段を設けたことを特徴とするレーザパターニング装置。
【請求項2】
請求項1において、前記オートフォーカス機構に、前記レーザ加工用光学系のフォーカス方向の位置であるフォーカス位置を検出する位置検出センサを設け、前記フォーカス機能制御手段に、前記位置検出センサの出力を記憶する検出フォーカス位置記憶手段と、前記フォーカス機能のオフ状態で、前記検出フォーカス位置記憶手段に記憶された位置に前記レーザ加工用光学系の前記フォーカス位置を保持させるフォーカス位置保持制御手段とを設けたレーザパターニング装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記フォーカス機能制御手段に、前記加工開始位置で位置させる前記レーザ加工用光学系のフォーカス方向の位置であるフォーカス位置の指令位置を記憶し、前記レーザ加工用光学系が前記加工開始位置に達するまでに、前記レーザ加工用光学系のフォーカス位置を前記の記憶された指令位置としてこの位置を保持する開始前フォーカス位置制御手段を設け、前記基板の加工開始位置で前記フォーカス機能をオンしたときに、前記レーザ加工用光学系が前記指令位置にある状態からフォーカス機能を開始させるようにしたレーザパターニング装置。
【請求項4】
請求項3において、前記オートフォーカス機構に、前記レーザ加工用光学系の前記フォーカス位置を検出する位置検出センサを設け、前記フォーカス機能制御手段に、前記位置検出センサの出力を記憶する検出フォーカス位置記憶手段と、前記フォーカス機能のオフ状態で、前記検出フォーカス位置記憶手段に記憶された位置に前記レーザ加工用光学系の前記フォーカス位置を保持させるフォーカス位置保持制御手段を設け、
前記開始前フォーカス位置制御手段は、前記加工制御手段に、前記光学ヘッド相対移動機構に対して、実際の加工のための光学ヘッドの相対移動の前に、前記光学ヘッドを基板の端から外れたホームポジションから基板上の加工開始位置まで移動させ、この移動後に前記ホームポジションに戻す動作からなる加工前計測サイクルを実行させ、かつこの加工前計測サイクルで光学ヘッドが加工開始位置に来たときの前記位置検出センサで検出されたフォーカス位置を前記検出フォーカス位置記憶手段に記憶させ、前記フォーカス位置保持制御手段により、前記検出フォーカス位置記憶手段に記憶された位置に前記レーザ加工用光学系の前記フォーカス位置を保持させるレーザパターニング装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか1項において、前記フォーカス機能制御手段に、前記加工終了位置でフォーカス機能をオフするときに、このオフへの切換時の、前記レーザ加工用光学系のフォーカス方向の位置であるフォーカス位置を記憶し、記憶されたフォーカス位置に前記レーザ加工用光学系を保持した状態としてフォーカス機能をオフする終了時フォーカス位置保持制御手段を設けたレーザパターニング装置。
【請求項6】
請求項5において、前記オートフォーカス機構に、前記レーザ加工用光学系の前記フォーカス位置を検出する位置検出センサを設け、前記フォーカス機能制御手段に、前記位置検出センサの出力を記憶する検出フォーカス位置記憶手段と、前記フォーカス機能のオフ状態で、前記検出フォーカス位置記憶手段に記憶された位置に前記レーザ加工用光学系の前記フォーカス位置を保持させるフォーカス位置保持制御手段とを設け、
前記終了時フォーカス位置保持制御部は、前記加工終了位置でフォーカス機能をオフするときに、このオフ直前のフォーカス位置を前記位置検出センサで検出して前記検出フォーカス位置記憶手段に記憶させ、前記フォーカス位置保持制御手段により、前記検出フォーカス位置記憶手段に記憶された位置に前記レーザ加工用光学系の前記フォーカス位置を保持させるレーザパターニング装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記オートフォーカス機構を、前記レーザ加工用光学系に対し、レーザ加工用光学系並び方向の前後に取付位置の変更を可能とするフォーカス機構設置位置可変手段を設けたレーザパターニング装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記オートフォーカス機構に、前記レーザ加工用光学系の前記基板の加工面までのフォーカス距離を検出するフォーカスセンサを、前記レーザ加工用光学系に対して並べて設け、このフォーカスセンサと前記レーザ加工用光学系との並び距離を調整可能とするセンサ位置調整手段を設けたレーザパターニング装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記オートフォーカス機構を、前記レーザ加工用光学系に対し、スクライブ加工方向の前方側に設けたレーザパターニング装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記オートフォーカス機構を、前記レーザ加工用光学系に対し、スクライブ加工方向の前方側と後方側とに設置位置の変更を自動で可能とするフォーカス機構設置位置自動可変手段を設けたレーザパターニング装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記オートフォーカス機構を、前記レーザ加工用光学系に対し、スクライブ加工方向の前後両方に設置したレーザパターニング装置。
【請求項12】
前記請求項11において、前記レーザ加工用光学系に対し、スクライブ加工方向の前後両方に設置されたオートフォーカス機構の内、スクライブ加工方向に対して、前記レーザ加工用光学系の前方に設置された前記オートフォーカス機構を選択して使用する選択使用手段を設けたレーザパターニング装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、前記オートフォーカス機構は、前記レーザ加工用光学系のフォーカス方向の位置であるフォーカス位置を検出する位置検出センサを有し、この位置検出センサに検出させるキャリブレーションステージを設け、このキャリブレーションステージの高さを、前記基板の加工面の加工開始位置における高さと略同じとしたレーザパターニング装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか1項において、前記薄膜を成膜した基板が太陽電池パネルであるレーザパターニング装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載のレーザパターニング装置を用い、基板上に成膜された薄膜を短冊状に分断加工するレーザパターニング方法。
【請求項16】
基板上に成膜された薄膜を短冊状に、レーザ光を用いて分断加工するレーザパターニング方法において、
前記基板を載せる基板固定ステージと、それぞれレーザ加工ビームを照射するレーザ加工用光学系が複数並べて設けられた光学ヘッドと、前記基板固定ステージと光学ヘッドとを相対的に前記基板の加工面上の直交2軸方向に移動させる光学ヘッド相対移動機構を備えたレーザパターニング装置を用い、
前記光学ヘッドは、前記各レーザ加工用光学系に、このレーザ加工用光学系と前記基板の加工面との距離を前記レーザ加工用光学系の焦点距離に合わせるオートフォーカス機構を有しており、このオートフォーカス機構の自動合焦機能を、前記基板の加工開始位置でオンとし、基板の加工終了位置でオフとすることを特徴とするレーザパターニング方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−6077(P2012−6077A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112229(P2011−112229)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】