説明

レーザー加工装置、レーザー加工方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法

【課題】例えば、テーパ面を有する複数のノズルをノズルプレートに形成する場合、簡易、高精度かつ高生産性で複数のノズルを形成することが可能なレーザー加工装置を提供する。
【解決手段】レーザー発振器1と、異なった大きさの開口部2a、2b、2cを有し、レーザー発振器1から出射されたレーザー束Rを開口部2a、2b、2cから透過させてレーザービームBとするマスク2と、マスク2を透過したレーザービームBを、被加工物K上に、所定のパターン形状を維持した状態で照射させる結像光学手段3と、被加工物Kを保持するとともに、レーザービームBの所定のパターン形状に対応した所定の距離だけ所定の回数移動することが可能で、被加工物KにレーザービームBが照射されて穴パターンを形成することによって、複数の穴パターンが積層した形状のテーパ面を有する所定数の貫通孔K1を形成することが可能な可動ステージ4とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工装置、レーザー加工方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法に関し、さらに詳しくは、例えば、インクジェットヘッドの複数のノズルにおけるインクの吐出効率の向上のため、テーパ面を有する複数のノズルをノズルプレートに形成する場合、簡易、高精度かつ高生産性で複数のノズルを形成することが可能なレーザー加工装置、レーザー加工方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドのノズルには、均一な所望の孔径が滑らかな表面状態で形成され、かつ、テーパ面のテーパ角が大きいことが要求される。これは、孔径と表面状態が、インク滴の吐出方向やインク滴の体積の均一性に、また、テーパ角は吐出効率向上に寄与するためである。ノズルプレートをポリイミド樹脂で形成する場合、エキシマレーザーを用いることで所望の孔径を精度よく加工することが可能であるが、一般にテーパ角を大きくすることは困難である。このようなエキシマレーザーを用いた際のテーパ角形成方法として、開口部のサイズの異なる複数のマスクを準備し、これらのマスクを適宜交換してレーザービームのパターン形状を変え、アライメント精度を保持しつつ複数回照射することによって、ノズルプレートにテーパ面を有するノズルを形成する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、上述の方法に用いられるレーザー加工装置としては、レーザー束を出射するレーザー発振器と、開口部を有しレーザー発振器から出射されたレーザー束を開口部から透過させてレーザービームとするマスクと、マスクを透過したレーザービームを被加工物上に照射させる結像光学手段(例えば、ミラーと結像レンズ)と、被加工物を保持するとともにレーザービームのパターン形状に対応して被加工物を移動することが可能な可動ステージとを備えたもとのが知られている。
【特許文献1】特開平5−77425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の背景技術に鑑みてなされたものであって、例えば、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)の複数のノズルにおけるインクの吐出効率の向上のため、テーパ面を有する複数のノズルをノズルプレートに形成する場合、簡易、高精度かつ高生産性で複数のノズルを形成することが可能なレーザー加工装置、レーザー加工方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明によって、以下のレーザー加工装置、レーザー加工方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法が提供される。
【0006】
[1]レーザー束を出射するレーザー発振器と、2種以上の異なった大きさの開口部を所定のパターン形状で有し、前記レーザー発振器から出射された前記レーザー束を前記開口部から透過させて前記所定のパターン形状のレーザービームとするマスクと、前記マスクを透過した前記所定のパターン形状の前記レーザービームを、被加工物上に、前記所定のパターン形状を維持した状態で照射させる結像光学手段と、前記被加工物を保持するとともに、前記レーザービームの前記所定のパターン形状に対応した所定の距離だけ所定の回数移動することが可能で、各移動後の前記被加工物に順次前記レーザービームが照射されてそれぞれの穴パターンを形成することによって、前記被加工物に、複数の前記穴パターンが積層した形状のテーパ面を有する所定数の貫通孔を所定間隔で順次形成することが可能な可動ステージと、を備えたことを特徴とするレーザー加工装置。
【0007】
このように構成することによって、例えば、インクジェットヘッドの複数のノズルにおけるインクの吐出効率の向上のため、テーパ面を有する複数のノズルをノズルプレートに形成する場合、簡易、高精度かつ高生産性で複数のノズルを形成することができる。さらに具体的には、可動ステージ(被加工物)の移動が高々隣接する貫通孔間程度の微小範囲であるため、可動ステージ(被加工物)の移動に伴った位置ずれを抑制することができる。また、マスクの交換や移動が不要であるため、工程を簡素化することができる。さらに、複数回のレーザービームの照射を連続して行うため、環境変動の影響を低減することができる。
【0008】
[2]前記レーザービームは、前記所定のパターン形状における間隔として、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチと一致させた間隔で前記被加工物上に照射されることを特徴とする前記[1]に記載のレーザー加工装置。
【0009】
[3]前記可動ステージは、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチのn倍(nは自然数)の距離を移動することを特徴とする前記[2]に記載のレーザー加工装置。
【0010】
[4]前記レーザービームは、前記所定のパターン形状における間隔として、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい間隔で前記被加工物上に照射されることを特徴とする前記[1]に記載のレーザー加工装置。
【0011】
[5]前記可動ステージは、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい距離を移動するとともに、隣接する前記貫通孔の間に、前記レーザービームを貫通させない第2のマスクを配設してなることを特徴とする前記[4]に記載のレーザー加工装置。
【0012】
[6]前記結像光学手段は、両側テレセントリック光学系からなることを特徴とする前記[1]に記載のレーザー加工装置。
【0013】
[7]前記被加工物は、液滴吐出ヘッドを構成するノズルプレートであり、かつ前記貫通孔は、テーパ面を有するノズルであることを特徴とする前記[1]に記載のレーザー加工装置。
【0014】
[8]前記可動ステージは、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい距離を移動するとともに、隣接する前記貫通孔の間に、前記レーザービームを貫通させない第2のマスクを配設してなる場合、前記第2のマスクは、前記液滴吐出ヘッドを構成する流路プレートであることを特徴とする前記[7]に記載のレーザー加工装置。
【0015】
[9]レーザー発振器から出射されたレーザー束を、2種以上の異なった大きさの開口部を所定のパターン形状で有するマスクから透過させて前記所定のパターン形状のレーザービームとして被加工物に照射し、前記被加工物上に第1の穴パターンを形成する第1の工程と、前記被加工物を前記所定のパターン形状に対応した所定の距離だけ移動させた後、前記第1の工程の場合と同様に、前記レーザー発振器から出射された前記レーザー束を前記マスクによって透過させて所定のパターン形状の前記レーザービームとして前記被加工物に照射し、前記被加工物上の前記第1の穴パターンの上に、さらに第2の穴パターンを形成する第2の工程と、前記被加工物の移動及び前記レーザービームの照射を、それぞれ、必要回数だけ繰り返して、前記被加工物に、所定の穴パターンが積層した形状のテーパ面を有する所定数の貫通孔を所定間隔で順次形成する第3の工程とを含むことを特徴とするレーザー加工方法。
【0016】
このように構成することによって、例えば、インクジェットヘッドの複数のノズルにおけるインクの吐出効率の向上のため、テーパ面を有する複数のノズルをノズルプレートに形成する場合、簡易、高精度かつ高生産性で複数のノズルを形成することができる。さらに具体的には、可動ステージ(被加工物)の移動が高々隣接する貫通孔間程度の微小範囲であるため、可動ステージ(被加工物)の移動に伴った位置ずれを抑制することができる。また、マスクの交換や移動が不要であるため、工程を簡素化することができる。さらに、複数回のレーザービームの照射を連続して行うため、環境変動の影響を低減することができる。
【0017】
[10]前記レーザービームを、前記所定のパターン形状における間隔として、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチと一致させた間隔で前記被加工物上に照射することを特徴とする前記[9]に記載のレーザー加工方法。
【0018】
[11]前記可動ステージを、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチのn倍(nは自然数)の距離だけ移動させることを特徴とする前記[10]に記載のレーザー加工方法。
【0019】
[12]前記レーザービームを、前記所定のパターン形状における間隔として、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい間隔で前記被加工物上に照射することを特徴とする前記[9]に記載のレーザー加工方法。
【0020】
[13]前記可動ステージを、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい距離だけ移動させるとともに、隣接する前記貫通孔の間に、前記レーザービームを貫通させない第2のマスクを配設することを特徴とする前記[12]に記載のレーザー加工方法。
【0021】
[14]前記結像光学手段として、両側テレセントリック光学系を用いることを特徴とする前記[9]に記載のレーザー加工方法。
【0022】
[15]前記被加工物は、液滴吐出ヘッドを構成するノズルプレートであり、かつ前記貫通孔は、テーパ面を有するノズルであることを特徴とする前記[9]に記載のレーザー加工方法。
【0023】
[16]前記可動ステージを、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい距離だけ移動させるとともに、隣接する前記貫通孔の間に、前記レーザービームを貫通させない第2のマスクを配設する場合、前記第2のマスクとして、前記液滴吐出ヘッドを構成する流路プレートを用いることを特徴とする前記[15]に記載のレーザー加工方法。
【0024】
[17]レーザー発振器から出射されたレーザー束を、2種以上の異なった大きさの開口部を所定のパターン形状で有するマスクによって透過させて前記所定のパターン形状のレーザービームとしてノズルプレートに照射し、前記ノズルプレート上に第1の穴パターンを形成する第1の工程と、前記ノズルプレートを前記所定のパターン形状に対応した所定の距離だけ移動させた後、前記第1の工程の場合と同様に、前記レーザー発振器から出射された前記レーザー束を前記マスクによって透過させて所定のパターン形状の前記レーザービームとして前記ノズルプレートに照射し、前記ノズルプレート上の前記第1の穴パターンの上に、さらに第2の穴パターンを形成する第2の工程と、前記ノズルプレートの移動及び前記レーザービームの照射を、それぞれ、必要回数だけ繰り返して、前記ノズルプレートに、所定の穴パターンが積層した形状のテーパ面を有する所定数のノズルを所定間隔で順次形成する第3の工程とを含むことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
【0025】
このように構成することによって、ノズルプレートに、テーパ面を有する複数のノズルを簡易、高精度かつ高生産性で形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によって、例えば、インクジェットヘッドの複数のノズルにおけるインクの吐出効率の向上のため、テーパ面を有する複数のノズルをノズルプレートに形成する場合、簡易、高精度かつ高生産性で複数のノズルを形成することが可能なレーザー加工装置、レーザー加工方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本実施の形態のレーザー加工装置は、2種以上の異なった大きさの開口部を所定のパターン形状で有し、レーザー発振器から出射されたレーザー束を開口部から透過させて所定のパターン形状のレーザービームとするマスクと、被加工物を保持するとともにレーザービームの所定のパターン形状に対応した所定の距離だけ所定の回数移動することが可能な可動ステージとを備えて構成されている。
【0028】
本実施の形態においては、レーザー発振器から出射されたレーザー束が、2種以上の大きさの異なる開口部を有するマスク上に照射され、レーザー束がマスクの開口部を透過する。この所定のパターン形状のレーザービームは、結像光学手段(フィールドレンズ、ミラー、結像レンズ)を経由して被加工物に投影されることによって、マスクの開口部のパターン形状(レーザービームBのパターン形状)を維持した状態で、被加工物K上に結像、照射されて、穴パターンを形成する。次いで、可動ステージを移動させるとともに、レーザービームを照射することを繰り返すことによって、順次穴パターンを形成し、最終的に、穴パターンを積層した形状の貫通孔を順次形成することができ、簡易、高精度かつ高生産性で複数の貫通孔を形成することができる。
【0029】
[第1の実施の形態]
(レーザー加工装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザー加工装置を示す説明図であり、図2(a)は、図1に示すレーザー加工装置に用いられるマスク、図2(b)は、図1に示すレーザー加工装置に用いられるレーザービームのパターン形状をそれぞれ示す説明図である。
【0030】
このレーザー加工装置10は、図1に示すように、レーザー束Rを出射するレーザー発振器1と、開口部2a、2b、2cを有するマスク2と、マスク2を透過した所定のパターン形状のレーザービームBを、被加工物K上に、所定のパターン形状を維持した状態で照射させる結像光学手段3と、被加工物Kを保持するとともに、レーザービームBの所定のパターン形状に対応した所定の距離だけ所定の回数移動することが可能で、各移動後の被加工物Kに順次レーザービームBが照射されてそれぞれの穴パターンp1〜p3(図3参照)を形成することによって、最終的に、被加工物Kに、複数の穴パターンp1〜p3が積層した形状のテーパ面を有する所定数の貫通孔K1(図3参照)を所定間隔で順次形成することが可能な可動ステージ4と、を備えて構成されている。
【0031】
ここで、マスク2には、図2(a)に示すように、大中小の3種の大きさの開口部2a、2b、2cが所定のパターン形状で形成されている。また、図2(b)に示すように、レーザー発振器1から出射されたレーザー束Rをマスク2の開口部2a、2b、2cから透過させて、大中小の3種の大きさのビーム径B1、B2、B3のレーザービームBとするように構成されている。
【0032】
また、図1に示すように、被加工物K上に、所定のパターン形状を維持した状態で照射させる結像光学手段3は、フィールドレンズ31とミラー32と結像レンズ33とから構成されている。
【0033】
ここで、フィールドレンズ31とミラー32と結像レンズ33とから構成された結像光学手段3は、両側テレセントリック光学系からなっており、マスク2を透過した複数の互いに平行なレーザービームB(ビーム径B1、B2、B3)は、被加工物K上に照射される場合も、互いに並行となる。
【0034】
また、マスク2の手前にビームホモジナイザーやビームエキスパンダー等を設けることによって、レーザー発振器1から出射された楕円形状のレーザー束Rを均一な直線状のビームに整形してもよい。
【0035】
第1の実施の形態においては、レーザー発振器1から出射されたレーザー束Rが、大中小の3種の大きさの開口部2a、2b、2cを一列横隊状に有するマスク2上に照射され、レーザー束Rがマスク2の開口部2a、2b、2cを透過する。この所定のパターン形状のレーザービームB(ビーム径B1、B2、B3)は、フィールドレンズ31を通過し、ミラー32で反射された後、結像レンズ33を通して被加工物Kに投影されることによって、図2(a)に示すマスクの開口部のパターン形状(図2(b)に示すレーザービームBのパターン形状)を維持した状態で、被加工物K上に結像、照射されて、穴パターンを形成する。次いで、可動ステージ4を移動させるとともに、レーザービームB(ビーム径B1、B2、B3)を照射することを繰り返すことによって、順次穴パターンを形成し、最終的に、穴パターンを積層した形状の貫通孔を順次形成することができる。
【0036】
(可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例)
図3は、第1の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法(レーザー加工方法)の一例を示し、図3(a)は固定されたマスクの平面図、図3(b)は第1の穴パターンの形成、図3(c)は第2の穴パターンの形成、図3(d)は第3の穴パターンの形成(貫通孔の形成)をそれぞれ示す被加工物の断面図である。
【0037】
第1の実施の形態においては、図3(a)に示すように、3種の異なった大きさの開口部2a、2b、2cを所定のパターン形状で有するマスク2を用いる。
【0038】
まず、図3(b)に示すように、マスク2の開口部2a、2b、2cから、レーザー発振器1(図1参照)から出射されたレーザー束R(図1参照)を透過させて、所定のパターン形状のレーザービームB(図1参照)を被加工物Kに照射し、被加工物K上に第1の穴パターンp1を形成する。
【0039】
次に、図3(c)に示すように、可動ステージ4(図1参照)を、マスク2の開口部2a、2b、2cの配設ピッチに対応した距離w1だけ移動させた後(この可動ステージ4の移動によって被加工物Kも同様にw1だけ移動する)、図3(b)に示す場合と同様に、レーザー発振器1から出射されたレーザー束Rをマスク2の開口部2a、2b、2cから透過させて所定のパターン形状のレーザービームBとして被加工物Kに照射し、被加工物K上の第1の穴パターンp1の上に、さらに第2の穴パターンp2を形成する。
【0040】
次に、図3(d)に示すように、可動ステージ4(図1参照)を、図3(c)に示す場合よりもさらに距離w1だけ移動させた後、図3(b)、(c)に示す場合と同様に、レーザー発振器1から出射されたレーザー束Rをマスク2の開口部2a、2b、2cから透過させて所定のパターン形状のレーザービームBとして被加工物Kに照射し、被加工物K上の第1及び第2の穴パターンp1、p2の上に、さらに第3の穴パターンp3を形成する。このようにして、図3(d)において左端に示す、第1〜第3の穴パターンp1〜p3が積層して、貫通孔K1が形成される。同様にさらに2回ほど可動ステージ4の移動とレーザービームBの照射を繰り返すことによって、合計3個の貫通孔K1が形成されることになる。このように、可動ステージ4の移動とレーザービームBの照射を必要な回数だけ繰り返すことによって、所望の数の貫通孔K1を順次形成することができる。
【0041】
上述のように構成することによって、ノズルの入口側(図3(d)においては上側)と出口側(図3(d)においては下側)との開口径の差が大きくなり、擬似的なテーパ角を広げることができる。このように、本発明において、「テーパ面」とは、段差を有する面をも含む概念を意味する。ここで、レーザービームBの所定のパターン形状を規定するマスク2の開口部のパターン形状や、レーザー束Rのパルス数を制御すること等によって、所望のテーパ面を有する貫通孔K1を形成することができる。
【0042】
上述の実施の形態において、レーザービームBは、所定のパターン形状における間隔w1(すなわち、マスク2の開口部2a、2b、2cの配設ピッチに対応した距離w1)として、被加工物Kに形成される貫通孔K1の配設ピッチw2と一致させた間隔で被加工物K上に照射されるように構成されているが(すなわち、w1=w2に設定されている)、後述するように一致させずに変えて構成してもよい。
【0043】
また、可動ステージ4は、被加工物Kに形成される貫通孔K1の配設ピッチw2と一致した距離w1を移動するように構成されている(w1=w2)が、貫通孔K1の配設ピッチw2のn倍(nは自然数)の距離を移動するように構成してもよい。
【0044】
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例を示し、図4(a)は固定されたマスクの平面図、図4(b)は第1の穴パターンの形成、図4(c)は第2の穴パターンの形成、図4(d)は第3の穴パターンの形成(貫通孔の形成)をそれぞれ示す被加工物の断面図である。
【0045】
第2の実施の形態においては、図4(a)〜(d)に示すように、マスク2には、3種の大きさで、1種につき2個の合計6個の開口部2a、2b、2cが形成されている(レーザービームBはマスク2の開口部2a、2b、2cの大きさの種類(3種類)の2倍の6本照射される)から、第2の実施の形態に用いられる可動ステージ4(被加工物Kも同様)は、被加工物Kに形成される貫通孔K1の配設ピッチw2(貫通孔K1の配設ピッチw2は、レーザービームBにおける所定のパターン形状における間隔w1(すなわち、マスク2の開口部2a、2b、2cの配設ピッチに対応した距離w1)と一致するように構成されている)の2倍の距離(2w1=2w2)を移動するように構成されている。このこと以外は第1の実施の形態と同様にして、穴パターンp1〜p3が順次形成され、穴パターンp1〜p3が積層されて貫通孔K1が順次形成される。
【0046】
第2の実施の形態のように構成することによって、貫通孔K1の形成における生産性を高めることができる。
【0047】
第2の実施の形態においては、レーザービームBがマスク2の開口部2a、2b、2cの大きさの種類(3種類)の2倍の6本照射される場合を示したが、レーザービームBがマスク2の開口部2a、2b、2cの大きさの種類のn倍(nは自然数)の本数が照射される場合は、可動ステージ4(被加工物Kも同様)のn倍の距離(nw1=nw2)を移動するように構成してもよい。
【0048】
また、生産性よりもテーパ面の形状を円滑なものとすることを重視する場合は、第1の実施の形態の場合のように、可動ステージ4を、被加工物Kに形成される貫通孔K1の配設ピッチw2と一致した距離w1だけ移動するように構成してもよい。
【0049】
[第3の実施の形態]
図5は、第3の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例を示し、図5(a)は固定されたマスクの平面図、図5(b)は最終的な貫通孔の形成を示す被加工物の断面図である。
【0050】
第3の実施の形態においては、貫通孔K1の入口側(図5(b)における上側)が膨らんだテーパ面の形状となるように構成した場合を示す。
【0051】
図5(a)に示すように、第3の実施の形態に用いられるマスク2には、大径の開口部2aが3個、中径の開口部2bが2個、小径の開口部2cが1個形成されている。このマスク2を用いて、上述のように、可動ステージ4の移動とレーザービームBの照射を5回(最初の照射時には可動ステージ4は移動させないとした場合の回数)繰り返すことによって、図5(b)に示すように、貫通孔K1を順次形成することができる。
【0052】
第3の実施の形態のように構成することによって、所望のテーパ面の形状の貫通孔K1を形成することができる。
【0053】
[第4の実施の形態]
図6は、第4の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例を示し、図6(a)は固定されたマスクの平面図、図6(b)は最終的な貫通孔の形成を示す被加工物の断面図である。
【0054】
第4の実施の形態においては、貫通孔K1の出口側(図6(b)における下側)が先細りしたテーパ面の形状となるように構成した場合を示す。
【0055】
図6(a)に示すように、第4の実施の形態に用いられるマスク2には、大径の開口部2aが1個、中径の開口部2bが2個、小径の開口部2cが3個形成されている。このマスク2を用いて、上述のように、可動ステージ4の移動とレーザービームBの照射を5回繰り返すことによって、図6(b)に示すように、貫通孔K1を順次形成することができる。
【0056】
第4の実施の形態のように構成することによって、所望のテーパ面の形状の貫通孔K1を形成することができる。
【0057】
上述の実施の形態に限らず、マスク2の開口部2a、2b、2cのパターン形状(レーザービームBのパターン形状)を適宜組み合わせることによって、所望のテーパ面の形状の貫通孔K1を形成することができる。
【0058】
[第5の実施の形態]
図7は、第5の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例を示し、図7(a)は固定されたマスクの平面図、図7(b)は最終的な貫通孔の形成を示す被加工物の断面図である。
【0059】
第5の実施の形態は、マスク2の開口部2a、2b、2cの配設ピッチw1(レーザービームBの所定のパターン形状における間隔w1)を、被加工物Kに形成される貫通孔K1の配設ピッチw2よりも小さい間隔で形成することが可能な場合に、このようなマスク2を用いて、レーザービームBを被加工物K上に照射する場合を示す。この場合、可動ステージ4(被加工物Kも同様)は、被加工物Kに形成される貫通孔K1の配設ピッチw2よりも小さい距離w1を移動するとともに、隣接する貫通孔K1の間に、レーザービームを貫通させない第2のマスク5を配設してなるように構成されている。
【0060】
ここで、第2のマスク5は、レーザービームBの照射時だけ装着する着脱可能なものであってもよい。被加工物が液滴吐出ヘッドのノズルプレートの場合は、流路を形成するSUSプレートをそのまま第2のマスク5として用いてもよい。
【0061】
具体的には、図7(a)に示すように、第5の実施の形態におけるマスク2には、大径、中径、小径の開口部2a、2b、2cが1個ずつ3組横並びに形成されている。この場合、可動ステージ4(被加工物Kも同様)をマスク2の開口部2a、2b、2cの配設ピッチw1の距離だけ移動させるが、このマスク2の開口部2a、2b、2cの配設ピッチw1は、貫通孔K1の配設ピッチw2の約1/3に設定されている。ここで、1個の貫通孔K1を形成するのにm本のレーザービームBのパターン形状を用いる場合、第2のマスク5の開口径をw3、マスク2の最大の開口部2aの径(貫通孔K1のパターンの最大径)をLmaxとすると、以下の関係を満足することが好ましい。
【0062】
w3/2+(w2−w3) < (n−1)・w1+Lmax/2
【0063】
第5の実施の形態のように構成することによって、可動ステージ4(被加工物Kも同様)の移動距離を小さく設定することができるため、レーザービームBを重ねて照射する場合の位置精度を高めることができる。
【0064】
[第6の実施の形態]
図8は、第6の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例を示し、図8(a)は固定されたマスクの平面図、図8(b)は最終的な貫通孔の形成を示す被加工物の断面図である。
【0065】
第6の実施の形態は、マスク2の開口部の配設ピッチw1(レーザービームBの所定のパターン形状における間隔w1)を、被加工物Kに形成される貫通孔K1の配設ピッチw2よりも小さい間隔で形成することが可能な場合に、マスク2として6種の異なる大きさの開口部2a、2b、2c、2d、2e、2fを形成したものを用いた場合を示し、このようなマスク2を用いて、6本のレーザービームBを被加工物K上に照射する場合を示す。この場合、可動ステージ4(被加工物Kも同様)は、被加工物Kに形成される貫通孔K1の配設ピッチw2よりも小さい距離w1(図8(b)示す場合、w2はw1の3倍に設定されている)を移動するとともに、隣接する貫通孔K1の間に、レーザービームを貫通させない第2のマスク5を配設してなるように構成されている。
【0066】
第6の実施の形態のように構成することによって、より滑らかなテーパ面を有する貫通孔K1を形成することができる。
【0067】
[第7の実施の形態]
【0068】
図9及び図10は、第7の実施の形態の液滴吐出ヘッドの製造方法によって得られる液滴吐出ヘッドを示し、図9は平面図、図10は図9のA−A線断面図である。
【0069】
この液滴吐出ヘッド11は、図9に示すように、略平行四辺形の振動板17と、振動板17上に配置された複数の圧電素子18と、複数の圧電素子18に対向する位置に形成された複数のノズル12aとを有し、圧電素子18を駆動することにより、内部に貯留されている液体がノズル12aから液滴として吐出するように構成されている。なお、符号17aは、振動板17に設けられ、図示しない液体タンクから液体がヘッド11内部に供給される供給孔である。
【0070】
また、液滴吐出ヘッド11は、図10に示すように、ノズル12aが形成されたノズルプレート12を有し、このノズルプレート12の吐出側と反対側の面(裏面)に、流路プレート113として、連通孔13a及び液プール13bを有するプールプレート13と、連通孔14a及び供給孔14bを有する供給孔プレート14Aと、連通孔15a及び供給路15bを有する供給路プレート15と、連通孔14a及び供給孔14bを有する供給孔プレート14Bと、圧力発生室16aを有する圧力発生室プレート16と、振動板17とが順次積層して構成されている。また、上述のように、振動板17上に複数の圧電素子18が配置されている。また、複数の圧電素子18を覆うように、圧電素子18に電圧を印加するためのフレキシブルプリント配線基板112(以下「FPC112」という)が配設され、FPC112を介して圧電素子18(個別電極18a、共通電極18b)を駆動することにより、内部に貯留されている液体がノズル2bから液滴として吐出するように構成されている。
【0071】
第7の実施の形態の液滴吐出ヘッドの製造方法においては、図示はしないが、上述の実施の形態の場合と同様に、レーザー発振器から出射されたレーザー束を、2種以上の異なった大きさの開口部を所定のパターン形状で有するマスクによって透過させて所定のパターン形状のレーザービームとしてノズルプレートに照射し、ノズルプレート上に第1の穴パターンを形成する第1の工程と、ノズルプレートを所定のパターン形状に対応した所定の距離だけ移動させた後、第1の工程の場合と同様に、レーザー発振器から出射されたレーザー束をマスクによって透過させて所定のパターン形状のレーザービームとしてノズルプレートに照射し、ノズルプレート上の第1の穴パターンの上に、さらに第2の穴パターンを形成する第2の工程と、ノズルプレートの移動及びレーザービームの照射を、それぞれ、必要回数だけ繰り返して、ノズルプレートに、所定の穴パターンが積層した形状のテーパ面を有する所定数のノズルを所定間隔で順次形成する第3の工程とを含むように構成されている。
【0072】
第7の実施の形態においては、被加工物として液滴吐出ヘッドを構成するノズルプレートを用い、貫通孔がテーパ面を有するノズルである場合を示したが、この他の例として、被加工物として例えば、プリント基板を用い、貫通孔がプリント基板におけるビア・ホール(Via・Hole)である場合を挙げることができる。
【0073】
上述の第1〜第7の実施の形態においては、レーザービームBの大径のパターン形状から小径のパターン形状への順序で穴パターンp1〜p3(貫通孔K1)の形成を行った場合を示すが、これとは逆に、レーザービームBの小径のパターン形状から大径のパターン形状への順序で穴パターンp1〜p3(貫通孔K1)の形成を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、及び液滴吐出ヘッドの製造方法は、液滴を吐出することによって高精細な画像情報のパターン形状を形成することが要請される各種産業分野、例えば、高分子フィルムやガラス表面上にインクジェット法を用いてインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルタを形成したり、半田ペーストを基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成したり、回路基板の配線を形成する等の電気・電子工業分野、ガラス基板等に反応試薬を吐出してサンプルとの反応を検査するバイオチップを製造する医療分野等で有効に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレーザー加工装置を示す説明図である。
【図2】(a)は、図1に示すレーザー加工装置に用いられるマスク、(b)は、図1に示すレーザー加工装置に用いられるレーザービームのパターン形状をそれぞれ示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法(レーザー加工方法)の一例を示し、(a)は固定されたマスクの平面図、(b)は第1の穴パターンの形成、(c)は第2の穴パターンの形成、(d)は第3の穴パターンの形成(貫通孔の形成)をそれぞれ示す被加工物の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例を示し、(a)は固定されたマスクの平面図、(b)は第1の穴パターンの形成、(c)は第2の穴パターンの形成、(d)は第3の穴パターンの形成(貫通孔の形成)をそれぞれ示す被加工物の断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例を示し、(a)は固定されたマスクの平面図、(b)は最終的な貫通孔の形成を示す被加工物の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例を示し、(a)は固定されたマスクの平面図、(b)は最終的な貫通孔の形成を示す被加工物の断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例を示し、(a)は固定されたマスクの平面図、(b)は最終的な貫通孔の形成を示す被加工物の断面図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態における可動ステージの移動による貫通孔の形成方法の一例を示し、(a)は固定されたマスクの平面図、(b)は最終的な貫通孔の形成を示す被加工物の断面図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態の液滴吐出ヘッドの製造方法によって得られる液滴吐出ヘッドの平面図である。
【図10】図9のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 レーザー発振器
2 マスク
2a 開口部(大径)
2b 開口部(中径)
2c 開口部(小径)
2d 開口部(より小径)
2e 開口部(さらに小径)
2f 開口部(最小径)
3 結像光学手段
31 フィールドレンズ
32 ミラー
33 結像レンズ
4 可動ステージ
5 第2のマスク
10 レーザー加工装置
11 液滴吐出ヘッド
12 ノズルプレート
12a ノズル
12b ノズル用プレート
13 プールプレート
13a 連通孔
13b 液プール
14 供給孔プレート
14a 連通孔
14b 供給孔
15 供給路プレート
15a 連通孔
15b 供給路
16 圧力発生室プレート
16a 圧力発生室
17 振動板
17a 供給孔
18 圧電素子
18a 個別電極
18b 共通電極
112 フレキシブル配線基板(FPC)
113 流路プレート
B レーザービーム
B1 ビーム径(大径)
B2 ビーム径(中径)
B3 ビーム径(小径)
K 被加工物
K1 貫通孔
p1 第1の穴パターン
p2 第2の穴パターン
p3 第3の穴パターン
R レーザー束
w1 レーザービームにおける所定のパターン形状における間隔(マスクの開口部の配設ピッチに対応した距離)
w2 被加工物に形成される貫通孔の配設ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー束を出射するレーザー発振器と、
2種以上の異なった大きさの開口部を所定のパターン形状で有し、前記レーザー発振器から出射された前記レーザー束を前記開口部から透過させて前記所定のパターン形状のレーザービームとするマスクと、
前記マスクを透過した前記所定のパターン形状の前記レーザービームを、被加工物上に、前記所定のパターン形状を維持した状態で照射させる結像光学手段と、
前記被加工物を保持するとともに、前記レーザービームの前記所定のパターン形状に対応した所定の距離だけ所定の回数移動することが可能で、各移動後の前記被加工物に順次前記レーザービームが照射されてそれぞれの穴パターンを形成することによって、前記被加工物に、複数の前記穴パターンが積層した形状のテーパ面を有する所定数の貫通孔を所定間隔で順次形成することが可能な可動ステージと、を備えたことを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項2】
前記レーザービームは、前記所定のパターン形状における間隔として、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチと一致させた間隔で前記被加工物上に照射されることを特徴とする請求項1に記載のレーザー加工装置。
【請求項3】
前記可動ステージは、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチのn倍(nは自然数)の距離を移動することを特徴とする請求項2に記載のレーザー加工装置。
【請求項4】
前記レーザービームは、前記所定のパターン形状における間隔として、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい間隔で前記被加工物上に照射されることを特徴とする請求項1に記載のレーザー加工装置。
【請求項5】
前記可動ステージは、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい距離を移動するとともに、隣接する前記貫通孔の間に、前記レーザービームを貫通させない第2のマスクを配設してなることを特徴とする請求項4に記載のレーザー加工装置。
【請求項6】
前記結像光学手段は、両側テレセントリック光学系からなることを特徴とする請求項1に記載のレーザー加工装置。
【請求項7】
前記被加工物は、液滴吐出ヘッドを構成するノズルプレートであり、かつ前記貫通孔は、テーパ面を有するノズルであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー加工装置。
【請求項8】
前記可動ステージは、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい距離を移動するとともに、隣接する前記貫通孔の間に、前記レーザービームを貫通させない第2のマスクを配設してなる場合、前記第2のマスクは、前記液滴吐出ヘッドを構成する流路プレートであることを特徴とする請求項7に記載のレーザー加工装置。
【請求項9】
レーザー発振器から出射されたレーザー束を、2種以上の異なった大きさの開口部を所定のパターン形状で有するマスクから透過させて前記所定のパターン形状のレーザービームとして被加工物に照射し、前記被加工物上に第1の穴パターンを形成する第1の工程と、
前記被加工物を前記所定のパターン形状に対応した所定の距離だけ移動させた後、前記第1の工程の場合と同様に、前記レーザー発振器から出射された前記レーザー束を前記マスクによって透過させて所定のパターン形状の前記レーザービームとして前記被加工物に照射し、前記被加工物上の前記第1の穴パターンの上に、さらに第2の穴パターンを形成する第2の工程と、
前記被加工物の移動及び前記レーザービームの照射を、それぞれ、必要回数だけ繰り返して、前記被加工物に、所定の穴パターンが積層した形状のテーパ面を有する所定数の貫通孔を所定間隔で順次形成する第3の工程とを含むことを特徴とするレーザー加工方法。
【請求項10】
前記レーザービームを、前記所定のパターン形状における間隔として、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチと一致させた間隔で前記被加工物上に照射することを特徴とする請求項9に記載のレーザー加工方法。
【請求項11】
前記可動ステージを、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチのn倍(nは自然数)の距離だけ移動させることを特徴とする請求項10に記載のレーザー加工方法。
【請求項12】
前記レーザービームを、前記所定のパターン形状における間隔として、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい間隔で前記被加工物上に照射することを特徴とする請求項9に記載のレーザー加工方法。
【請求項13】
前記可動ステージを、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい距離だけ移動させるとともに、隣接する前記貫通孔の間に、前記レーザービームを貫通させない第2のマスクを配設することを特徴とする請求項12に記載のレーザー加工方法。
【請求項14】
前記結像光学手段として、両側テレセントリック光学系を用いることを特徴とする請求項9に記載のレーザー加工方法。
【請求項15】
前記被加工物は、液滴吐出ヘッドを構成するノズルプレートであり、かつ前記貫通孔は、テーパ面を有するノズルであることを特徴とする請求項9に記載のレーザー加工方法。
【請求項16】
前記可動ステージを、前記被加工物に形成される前記貫通孔の配設ピッチよりも小さい距離だけ移動させるとともに、隣接する前記貫通孔の間に、前記レーザービームを貫通させない第2のマスクを配設する場合、前記第2のマスクとして、前記液滴吐出ヘッドを構成する流路プレートを用いることを特徴とする請求項15に記載のレーザー加工方法。
【請求項17】
レーザー発振器から出射されたレーザー束を、2種以上の異なった大きさの開口部を所定のパターン形状で有するマスクによって透過させて前記所定のパターン形状のレーザービームとしてノズルプレートに照射し、前記ノズルプレート上に第1の穴パターンを形成する第1の工程と、
前記ノズルプレートを前記所定のパターン形状に対応した所定の距離だけ移動させた後、前記第1の工程の場合と同様に、前記レーザー発振器から出射された前記レーザー束を前記マスクによって透過させて所定のパターン形状の前記レーザービームとして前記ノズルプレートに照射し、前記ノズルプレート上の前記第1の穴パターンの上に、さらに第2の穴パターンを形成する第2の工程と、
前記ノズルプレートの移動及び前記レーザービームの照射を、それぞれ、必要回数だけ繰り返して、前記ノズルプレートに、所定の穴パターンが積層した形状のテーパ面を有する所定数のノズルを所定間隔で順次形成する第3の工程とを含むことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−12543(P2008−12543A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183637(P2006−183637)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】