レーザ加工方法およびレーザ加工装置
【課題】レーザ加工方法において、加工速度の向上を図る。
【解決手段】本レーザ加工方法では、レーザ光を照射し、マスク501に形成されたパターンを介し、結像レンズ506を経て、基板600上に像を照射する。なお、一度のパルス照射で、基板600上には、複数の像が投影される。そして、一度に基板600上に照射される像間の間隔を調整し、マスク501と基板600の、1パルス間の相対移動量を当該間隔にあわせて調整し、そして、スキャン速度を調整する。これにより、スキャン速度を向上でき、生産性の向上に寄与できる。
【解決手段】本レーザ加工方法では、レーザ光を照射し、マスク501に形成されたパターンを介し、結像レンズ506を経て、基板600上に像を照射する。なお、一度のパルス照射で、基板600上には、複数の像が投影される。そして、一度に基板600上に照射される像間の間隔を調整し、マスク501と基板600の、1パルス間の相対移動量を当該間隔にあわせて調整し、そして、スキャン速度を調整する。これにより、スキャン速度を向上でき、生産性の向上に寄与できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工方法に関し、特に、レーザ光をパターンが形成されたマスクに照射し、マスクパターンの像を被加工物上に投影してレーザ加工を行なうレーザ加工方法およびレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザでワークを加工する方法に関し、種々の技術が開示されている。たとえば、特許文献1(特開平8−201813号公報)には、液晶ディスプレイのリペア方法が開示されている。当該方法は、小径のパルスレーザスポットをスキャンして欠陥画素における配向性を低下させるものであって、被加工物である配向膜の温度上昇や、発生する気泡などを考慮して、パルスレーザスポット間のオーバラップ率と、パルスレーザスポット径と、パルスレーザの繰返し周波数fと、スキャン速度との関係を規定し、かつ、オーバラップ率の範囲や1パルスごとの加工対象物の移動距離を規定するものである。
【0003】
また、特許文献2(特開2006−289388号公報)には、レーザ加工装置において、被加工物の加工ラインに沿って均一なレーザ加工を施すために、レーザ光線照射手段がパルスレーザ光線のスポットの形状を楕円形に成形し、楕円の短軸と長軸の長さの範囲を設定し、そして、パルスレーザー光線の繰返し周波数と囲う送り速度と楕円形のスポットの重なり率を制御する技術が開示されている。
【0004】
なお、従来のレーザ加工方法において、微小な加工等のためにマスクを用いる技術についても開示されている。たとえば、特許文献3(特開平8−66781号公報)には、マスクパターンの像を被レーザ加工物上に投影してレーザ加工を行なうレーザ加工方法に関する技術が開示されている。当該方法では、多重反射されたエキシマレーザビームの強度分布が均一ではない場合であっても適切な加工エネルギーをワークに与えるために、マスクとワークのスキャン移動方向とエキシマレーザビームの反射移動方向を一致させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−201813号公報
【特許文献2】特開2006−289388号公報
【特許文献3】特開平8−66781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のレーザ加工方法では、ワーク(被加工物)に対して均一にレーザ加工を施すことなどの検討はされていたが、加工速度の向上については検討はなされていなかった。従来のレーザ加工方法では、特に特許文献3に開示されているようなマスクを用いた加工方法では、オーバーラップ率を規定すると、スキャン速度は、レーザの繰返し周波数およびマスクに形成されたパターンのサイズによって一意的に決定されるため、加工速度の向上ができなかった。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、レーザ加工方法およびレーザ加工装置において、加工速度の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従ったレーザ加工方法は、レーザ光によるマスクのパターンの像を被加工物上に投影し、レーザ光のパルスごとにパターンの像の一部が重畳するようにマスクと被加工物を相対的に移動させるレーザ加工方法であって、マスクと被加工物を、パターンの像が被加工物上で第1の方向に移動するように、相対的に移動させ、被加工物上に、第1の方向に配列されたn個のパターンの像を、第1の方向についての各像の寸法がaで間隔がpとなるように投影し、レーザ光のパルスの繰返し周波数がfであって、レーザ光のパルスごとの像の被加工物上の第1の方向についての移動量がrであって、像と被加工物の第1の方向についての相対的な移動速度がsである場合に、s=n×p×f、r=n×p、および、r=a/nの関係を満たす。
【0009】
本発明に従ったレーザ加工装置は、レーザ光によるマスクのパターンの像を被加工物上に投影し、レーザ光のパルスごとにパターンの像の一部が重畳するようにマスクと被加工物を相対的に移動させるレーザ加工装置であって、マスクと被加工物を、パターンの像が被加工物上で第1の方向に移動するように、相対的に移動させる移動手段と、レーザ光照射手段および移動手段を制御する制御手段と、被加工物上に、第1の方向に配列されたn個のパターンの像を、第1の方向についての各像の寸法がaで間隔がpとなるように投影し、かつ、レーザ光のパルスの繰返し周波数がfであって、レーザ光のパルスごとの像の被加工物上の第1の方向についての移動量がrであって、像と被加工物の第1の方向についての相対的な移動速度がsである場合に、s=n×p×f、r=n×p、および、r=a/nの関係を満たすように、レーザ光照射手段および移動手段を制御する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、被加工物上に一度に複数のパターンの像でパルスのレーザ光を照射しながら、同一箇所に適切な回数(パルス)を照射できる。したがって、一度に単一のパターンの像のレーザ光を照射する方法よりも、加工速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のレーザ加工方法の一実施の形態が実施されるレーザ装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の制御システムのハードウェア構成を示す図である。
【図3】図1のマスクの拡大斜視図である。
【図4】図1のレーザ装置において基板上にレーザビームが照射される様子を模式的に示す図である。
【図5】図1のレーザ装置において、1回のパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図6】図1のレーザ装置において、連続したパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図7】図1のレーザ装置の比較例(1)でのパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図8】図1のレーザ装置の比較例(2)での1回のパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図9】図1のレーザ装置の比較例(2)での連続したパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図10】(A)は、図1のレーザ装置の第1の変形例での1回のパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図であり、(B)は、当該変形例での連続したパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図11】(A)は、図1のレーザ装置の第2の変形例での1回のパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図であり、(B)は、当該変形例での連続したパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従った情報処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一の機能を発揮する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0013】
[1.レーザ装置の概略構成]
図1は、本発明のレーザ加工方法の一実施の形態が実施されるレーザ装置の構成を模式的に示す図である。
【0014】
図1を参照して、レーザ装置は、レーザ発振器400と、ミラー504と、ビームエキスパンダ300と、ミラー503と、マスク501と、結像レンズ506とを含む。また、レーザ装置は、被加工物である基板600が載置されるXYテーブル200を含む。
【0015】
レーザ発振器400から発振されるレーザビームは、ミラー504で反射されてビームエキスパンダ300へ送られ、ビームエキスパンダ300によってその広がり角を調整された後ミラー503へ送られ、ミラー503によってマスク501に送られる。マスク501には、後述するパターンが形成される。そして、レーザビームの、マスク501のパターンの像が、結像レンズ506によって基板600に所定倍率で結像される。
【0016】
なお、マスク501の光照射領域の全域に渡って均一な強度のレーザ光を照射するために、ビームエキスパンダ300とマスク501の間に、ビームホモジェナイザ(強度均一化光学系)が追加されても良い。
【0017】
XYテーブル200は、基板600を載置される載置台202と、当該載置台202をマスク501に対して移動させる駆動部201を含む。駆動部201は、たとえばモータなどの駆動源を含み、XYテーブル200をX方向(図1の両矢印AX方向)およびY方向(図1の紙面に垂直な方向)に移動させる。
【0018】
制御システム100は、レーザ発振器400および駆動部201の動作を制御する。制御システム100のハードウェア構成を、図2に示す。
【0019】
[2.制御システムのハードウェア構成]
図2を参照して、制御システム100を構成するコンピュータは、処理装置102、記憶装置103、ROM(Reed Only Memory)104、RAM(Random Access Memory)105、表示装置106、操作パネル107、および、ネットワークインターフェース(I/F)108を備えている。これらの各要素は、バス101によって互いに接続されている。
【0020】
処理装置102は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。当該プロセッサ(処理装置102)が記憶装置103に記憶されたプログラムを実行することにより、処理装置102は、本明細書に記載された、レーザ発振器400やXYテーブル200の動作の制御を実行する。なお、処理装置102が実行するプログラムは、必ずしも記憶装置103に記憶されていなくてもよく、処理装置102を含むコンピュータに着脱可能に構成された記録媒体に記録されていても良く、レーザ装置がネットワークに介して通信可能な記憶装置に記憶されていても良い。
【0021】
RAM105は、処理装置102のワークエリアとなる。操作パネル107は、キーボードやマウス、タッチパネル等の、情報を入力するための周知の装置である。
【0022】
記憶装置103には、本実施の形態において利用されるパルスエネルギ強度などの種々のデータが記憶されている。その記憶内容については、後述する。
【0023】
制御システム100は、ネットワークI/F108を介して、XYテーブル200の駆動部201およびレーザ発振器400に制御信号を送信する。これにより、レーザ発振器400は、制御システム100から指示されたタイミングで、指示された強度のレーザビームを発振する。また、駆動部201は、制御システム100から指示されたパターンで、載置台202を移動させる。
【0024】
[3.マスクの構成]
図3は、マスク501の拡大斜視図である。マスク501には、ほぼ正方形の4つのパターン511〜514が形成されている。
【0025】
図4に、本実施の形態において基板600上にレーザビームが照射される様子を模式的に示す。
【0026】
図4から理解されるように、ミラー503からマスク501に送られるビームBMは、マスク501のパターン511〜514のそれぞれを介して、ビームBM01〜BM04として、基板600上に送られる。基板600上では、ビームBM01〜BM04のそれぞれの像が投影される。
【0027】
本実施の形態では、上記したように、載置台202をマスク501に対して移動させながら連続的にレーザビームを基板600上に照射することにより、基板600の全体に渡ってレーザビームを照射する。なお、レーザビームの照射の際に、載置台202とマスク501が相対的に移動されれば良く、基板600上のレーザビームの照射位置がX軸方向に移動されれば良い。つまり、載置台202(基板600)を固定して、マスク501(および、マスク501にレーザビームを照射する光学系(ミラー503,504等))を移動させても良いし、載置台202(基板600)とマスク501(および上記光学系)の双方を移動させても良い。なお、本実施の形態では、基板600上のレーザビームの照射位置の移動方向を、スキャン方向と言う。
【0028】
図4では、X軸とY軸が記載されている。X軸の方向は、図1の両矢印AX方向に相当する。
【0029】
ビームBM01〜BM04の像は、X軸方向に配列されている。そして、基板600をマスク501に対してX軸方向に移動させることにより、X軸方向に沿ったライン状にレーザビームを照射する。ラインE1〜E4は、基板600上にレーザビームを照射されたラインを示している。
【0030】
本実施の形態では、1ラインずつレーザビームが照射される。具体的には、矢印A11に沿って照射が行なわれることによりラインE1が形成され、Y軸方向にレーザ照射位置が距離Lだけずらされた後、矢印A12に沿って照射が行なわれてラインE2が形成され、Y軸方向にレーザ照射位置が距離Lだけずらされて、矢印A13に沿って照射が行なわれてラインE3が形成され、Y軸方向にレーザ照射位置が距離Lだけずらされる。図4では、ラインE2が形成され、Y軸方向にレーザ照射位置が距離Lだけずらされた後、矢印A13に沿ってラインE3を形成するようにレーザビームの照射が行なわれている状態が示されている。
【0031】
図4では、マスク501によってレーザビームが遮蔽される領域(マスク501の外郭の像が基板600に投影された場合の当該像)のY軸方向の寸法がMで示されている。本実施の形態では、MはLよりも短くなるように構成されている。
【0032】
[4.レーザビームの1回のパルス照射におけるワーク上の像]
図5に、1回のパルス照射によって基板600上に形成される像を模式的に示す。
【0033】
図5の矢印Xは、上記したスキャン方向を示す。
像S1〜S4は、それぞれ、マスク501のパターン511〜514を介して基板600上に形成された像である。像S1〜S4は、スキャン方向の寸法がa(mm)とされ、また、各像は、スキャン方向に距離p(mm)だけ離間されて投影される。寸法a(mm)は、たとえば0.4(mm)とされる。距離p(mm)は、たとえば0.1(mm)とされる。
【0034】
[5.レーザビームの連続照射におけるワーク上の像]
図6に、連続した複数回のパルス照射によって基板600上に形成される像を模式的に示す。
【0035】
図6において、像S11〜S14は、基板600に対して、図5に示されたような像の配列で1回目のパルス照射が行なわれた場合の、基板600上の像の組である。図6中の矢印Xは、スキャン方向を示す。
【0036】
本実施の形態では、パルスごとに、スキャン方向にr(mm)だけレーザ光の照射位置が移動するものとする。rは、r=n×pで表され、nは、一度のパルス照射で基板600上に形成される像の数であり、マスク501においてスキャン方向に対応する方向に形成されるパターンの数である。このようにrが調整されることにより、位置P1より右方で、隙間無く、かつ効率よく、基板600に対して4回のパルス照射ができる。
【0037】
パルスごとに、上記のようにレーザ光の照射位置が移動するため、本実施の形態では、2回目以降のパルス照射による像は、図6の像S21〜S24等に示されるような位置に投影される。具体的には、像S21〜S24は、2回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S31〜S34は、3回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S41〜S44は、4回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S51〜S54は、5回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。
【0038】
なお、図6では、各像は、説明を容易にするために、パルス照射の回数ごとに少しずつY軸方向にずらされて記載されているが、実際には、図6中のY軸方向について同じ位置に配置される。図6において、Y軸方向は、X軸方向に交わる方向であり、X軸方向は、スキャン方向である。また、図6において、X軸方向に配列された複数の破線は、説明を容易にするために補助的に記載されているものであり、X軸方向に、図5において示した像間の距離pに相当する間隔で配列されている。
【0039】
本実施の形態では、説明を容易にするために、基板600上に4回パルス照射がされると、加工が完了するものとする。
【0040】
図6に示された例では、像S14と像S23と像S32と像S41が重なるところで、初めて、基板600上の同一箇所に4回のパルス照射がなされいている。つまり、図6では、基板600上の位置P1より右方の領域において、像が4つ重ねられる。図6では、パルス照射が4回なされることによりレーザ加工が完了した、位置P1〜P1´の領域が、有効領域として示されている。
【0041】
[6.比較例との対比]
(6−1.比較例(1))
本実施の形態の比較例として、図7に、1回のパルス照射で1つの像のみが基板600上に投影される場合の、連続した複数回のパルス照射によって基板600上に形成される像を模式的に示す。
【0042】
図7では、各回のパルス照射によって基板600上に形成される像SA01〜SA36が、基板600上に投影される順序で、左から右へと配列されている。なお、図7では、スキャン方向がX軸で示されている。また、像SA01〜SA36は、実際には、Y軸方向について同じ位置に配置されるが、図7では、説明を容易にするために、4つの像ごとにずらされて記載されている。また、図7において、X軸方向に配列された複数の破線は、補助的に、図5の像間の距離pに相当する間隔を示す。
【0043】
この比較例では、像SA01〜SA04が重なるところで、初めて、基板600上の同一箇所に4回のパルス照射がなされている。これにより、この比較例での有効領域は、位置P2〜P2´となる。
【0044】
本実施の形態では、位置P2より右方の領域で、隙間無く、同一箇所に4回パルス照射がなされるようにするため、レーザ照射位置の、パルスごとのスキャン方向の移動距離をr(r=n×1/4a)とされる必要がある。
【0045】
ここで、図6に示した例と図7の比較例とで、スキャンに要する時間の比較を行なう。
図6に示した例および本比較例において、基板600上に照射される各像のスキャン方向の寸法(a)を0.4(mm)とし、レーザパルスの繰返し周波数を1000(Hz)とする。
【0046】
図7の比較例では、パルス毎のレーザ光(の像)と基板600とのスキャン方向の相対移動量を0.1(mm)とする。この場合、レーザ光(の像)と基板600とのスキャン方向の相対移動速度(スキャン速度)は、100(mm/sec)となる。なお、スキャンは、載置台202を駆動部201で駆動させることにより行なわれるものとし、その加速度を1G(=9806mm/sec2)、加減速距離を除く加工距離(X軸方向についての加工を行なうべき寸法。図4のL1。)を1000mm(等速区間長さ)とすると、上記加工距離を加工するのに要する時間(スキャン時間)は、次の式(1)で表されるように、10.02(sec)となる。
【0047】
スキャン時間=等速区間長さをスキャンする時間+載置台の加速および減速時間
=1000/100+100/9806×2
=10.02(sec) …(1)
一方、図6の例では、一度に照射される像の数(マスク501上のパターンの数)を4とし、その他の条件を図7の比較例と同じであるとすると、等速スキャン時の速度は図7の比較例の4倍にできるので、スキャン時間は、次の式(2)で表されるように、2.52(sec)となる。
【0048】
スキャン時間=等速区間長さをスキャンする時間+載置台の加速および減速時間
=1000/(100×4)+100/9806×2
=2.52(sec) …(2)
なお、上記式(2)では、等速区間長さをスキャンする速度を速度sとした場合、これと等速区間長さ(1000mm)との積として、等速区間長さをスキャンする時間が算出されている。速度sは、次の式(3)で表される。
【0049】
s=n×p×f …(3)
式(3)において、nは、一度のパルス照射での基板600上に投影される像の数である。上記式(2)では、nは4とされている。
【0050】
pは、一度のパルス照射で基板600上に投影される像間の間隔である。上記式(2)では、pは0.1(mm)とされている。
【0051】
fは、レーザパルスの繰返し周波数である。上記式(2)では、fは1000(Hz)とされている。
【0052】
なお、本実施の形態では、上記した相対移動量rは、次の式(4)で表される。
r=n×p …(4)
式(4)において、nは、上記したように、一度のパルス照射で基板600上に投影される像の数である。pは、上記したように、一度のパルス照射で基板600上に投影される像間の間隔である。また、pは、各像のスキャン方向についての寸法を寸法aとすると、次の式(5)で表される。
【0053】
p=a/n …(5)
以上の次第で、図6を主に参照して説明した本実施の形態のように、マスク501に複数のパターンを形成することにより基板600上に複数の像を一度のパルス照射で投影できるようにし、また、一度に基板600上に照射される像間の間隔を上記のように調整し、相対移動量を上記間隔にあわせて調整し、そして、スキャン速度を上記のように調整することにより、スキャン速度が向上できて、生産性の向上に寄与できる。
【0054】
(6−2.比較例(2))
本実施の形態の第2の比較例として、1回のパルス照射で基板600上に投影される像の間隔が、図5を主に参照して説明したpよりも長くされた例を説明する。
【0055】
図8(A)は、図5に示した、本実施の形態に従って一度のパルス照射で基板600上に照射される複数の像S1〜S4を模式的に示す。
【0056】
一方、図8(B)は、比較例に従って、一度のパルス照射で基板600上に照射される複数の像SA1〜SA4を模式的に示す。図8(A)および図8(B)において、下向きの矢印はそれぞれスキャン方向を示す。
【0057】
図8(B)において、像SA1〜SA4のスキャン方向についての寸法は、像S1〜S4と同様にaとされている。一方、像SA1〜SA4のスキャン方向についての像間の間隔は距離2pとされている。つまり、像S1〜S4における間隔の2倍とされている。
【0058】
図9に、図8(B)に従った態様でのスキャン(レーザの連続照射)が行なわれた際の、基板600上に照射される像を模式的に示す。
【0059】
図9を参照して、像S901〜S904は、基板600に対して、図8(B)に示されたような像の配列で1回目のパルス照射が行なわれた場合の、基板600上の像の組である。図9中のX軸方向は、スキャン方向を示す。
【0060】
本比較例では、パルスごとに、スキャン方向にr(mm)だけレーザ光の照射位置が移動する。rは、r=n×pで表され、nは、一度のパルス照射で基板600上に形成される像の数である。
【0061】
パルスごとに、上記のようにレーザ光の照射位置が移動するため、本比較例では、2回目以降のパルス照射による像は、像S911〜S914等に示されるような位置に投影される。具体的には、像S911〜S914は、2回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S921〜S924は、3回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S931〜S934は、4回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S941〜S944は、5回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S951〜S954は、6回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。
【0062】
図9では、図6等と同様に、各像は、説明を容易にするために、パルス照射の回数ごとに少しずつY軸方向にずらされて記載されているが、実際には、図9中のY軸方向について同じ位置に配置される。また、図9では、複数の破線が、X軸方向に、補助的に、図5において示した像間の距離pに相当する間隔で配列されている。
【0063】
本比較例では、像904と像913と像922と像934が重なるところで、初めて、基板600上の同一箇所に4回のパルス照射がなされている。
【0064】
ただし、本比較例では、本比較例では、同一箇所に4回のパルスが照射されているが、オーバラップ率が50%となっている。一方、図6に示す本発明の実施の形態に従ったレーザ照射では、同一箇所に4回のパルスが照射され、オーバラップ率は25%である。加工特性上、オーバラップ率を規定する必要のある加工(例えば、特許文献1や特許文献2に記載されるように、所定のオーバラップ率とすること、すなわち、1パルス毎に少しずつ照射位置をずらしながら加工を行なうことによって、加工性が良好になる場合がある)では、本発明の実施の形態による方法が有効となる。
【0065】
[7.変形例]
以上説明した本実施の形態では、1回のパルス照射で基板600上に照射される像の数は4とされているが、本発明に従ったレーザ加工方法における当該数はこれに限定されない。
【0066】
図10(A),図10(B)および図11(A),図11(B)に、当該数が2にされた場合の変形例、当該数が3にされた場合の変形例をそれぞれ示す。
【0067】
(7−1.n=2の場合)
図10(A)では、一度のパルス照射で基板600上に投影される像の数が2である場合の、像S1および像S2が示されている。像S1と像S2の、スキャン方向(矢印X方向)についての寸法はaであり、間隔はpである。
【0068】
図10(A)に示された変形例のスキャンでは、図10(B)に示されるように、各回のパルス照射による基板600上の像が、像S11〜S82で示される。具体的には、像S11〜S12は、1回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。また、像S21〜S22は2回目の、像S31〜S32は3回目の、像S41〜S42は4回目の、像S51〜S52は5回目の、像S61〜S62は6回目の、像S71〜S72は7回目の、そして、像S81〜S82は8回目の、それぞれのパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。
【0069】
図10(A)を参照して説明した変形例においても、図5および図6を主に参照して説明した実施の形態と同様に、等速区間長さのスキャン速度s、相対移動量rおよび一度のパルス照射で基板600上に投影される像間の距離(間隔)pは、式(3)、式(4)および式(5)を用いて決定することができる。これにより、連続でパルス照射された際の像は、図10(B)に示されるように投影される。本変形例ではnが2であるため、図10(B)では、図5および図6を参照して説明したnが4である例と比較して、相対移動量rが、4pから2pに変更されている。つまり、たとえば、像S11と像S21の対応する箇所の距離や像S21と像S31の対応する箇所の距離が、2pとされている。
【0070】
この変形例では、像S12と像S22と像S31と像S41とが重なるところで、初めて、基板600上の同一箇所に4回のパルス照射がなされている。これにより、この変形例での有効領域は、位置P3より右方の領域となる。
【0071】
式(1)等で説明したスキャン時間について検討する。図10(A)および図10(B)を参照して説明した変形例では、一度に照射される像の数を2とし、その他の条件を図7の比較例と同じであるとすると、等速スキャン時の速度は図7の比較例の2倍にできる。これにより、スキャン時間は、次の式(6)で表されるように、5.02(sec)となる。
【0072】
スキャン時間=等速区間長さをスキャンする時間+載置台の加速および減速時間
=1000/(100×2)+100/9806×2
=5.02(sec) …(6)
つまり、式(1)により算出される比較例のスキャン時間(10.02(sec))よりも短縮できる。
【0073】
(7−2.n=3の場合)
図11(A)に示された変形例のスキャンでは、図11(B)に示されるように、各回のパルス照射による基板600上の像が、像S11〜S63で示される。具体的には、像S11〜S13は、1回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。また、像S21〜S23は2回目の、像S31〜S33は3回目の、像S41〜S43は4回目の、像S51〜S53は5回目の、そして、像S61〜S63は6回目の、それぞれのパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。
【0074】
図11(A)を参照して説明した変形例においても、図5および図6を主に参照して説明した実施の形態と同様に、等速区間長さのスキャン速度s、相対移動量rおよび一度のパルス照射で基板600上に投影される像間の距離pは、式(3)、式(4)および式(5)を用いて決定することができる。これにより、連続でパルス照射された際の像は、図11(B)に示されるように投影される。本変形例ではnが3であるため、図11(B)では、図5および図6を参照して説明したnが4である例と比較して、相対移動量rが、4pから3pに変更されている。つまり、たとえば、像S11と像S21の対応する箇所の距離や像S21と像S31の対応する箇所の距離が、3pとされている。
【0075】
この変形例では、像S13と像S22と像S32と像S41とが重なるところで、初めて、基板600上の同一箇所に4回のパルス照射がなされている。これにより、この変形例での有効領域は、位置P4より右方の領域となる。
【0076】
式(1)等で説明したスキャン時間について検討する。図11(A)および図11(B)を参照して説明した変形例では、一度に照射される像の数を3とし、その他の条件を図7の比較例と同じであるとすると、等速スキャン時の速度は図7の比較例の3倍にできる。これにより、スキャン時間は、次の式(7)で表されるように、3.35(sec)となる。
【0077】
スキャン時間=等速区間長さをスキャンする時間+載置台の加速および減速時間
=1000/(100×3)+100/9806×2
=3.35(sec) …(7)
つまり、式(1)により算出される比較例のスキャン時間(10.02(sec))よりも短縮できる。
【0078】
[8.その他の変形例等]
以上説明した本実施の形態およびその変形例では、レーザ光が照射されることによりマスク501を介して基板600上に投影される各像の形状は矩形とされたが、本発明はこれに限定されない。また、スキャンは、直線状になされたが、曲線状であっても良い。また、レーザパルスの繰返し周波数や等速区間長さも、上記した値は単なる一例であって、これに限定されるものではない。本発明が適用される系ごとに適宜変更されて良い。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
100 制御システム、102 処理装置、103 記憶装置、200 テーブル、201 駆動部、202 載置台、300 ビームエキスパンダ、400 レーザ発振器、501 マスク、511〜514 パターン、600 基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工方法に関し、特に、レーザ光をパターンが形成されたマスクに照射し、マスクパターンの像を被加工物上に投影してレーザ加工を行なうレーザ加工方法およびレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザでワークを加工する方法に関し、種々の技術が開示されている。たとえば、特許文献1(特開平8−201813号公報)には、液晶ディスプレイのリペア方法が開示されている。当該方法は、小径のパルスレーザスポットをスキャンして欠陥画素における配向性を低下させるものであって、被加工物である配向膜の温度上昇や、発生する気泡などを考慮して、パルスレーザスポット間のオーバラップ率と、パルスレーザスポット径と、パルスレーザの繰返し周波数fと、スキャン速度との関係を規定し、かつ、オーバラップ率の範囲や1パルスごとの加工対象物の移動距離を規定するものである。
【0003】
また、特許文献2(特開2006−289388号公報)には、レーザ加工装置において、被加工物の加工ラインに沿って均一なレーザ加工を施すために、レーザ光線照射手段がパルスレーザ光線のスポットの形状を楕円形に成形し、楕円の短軸と長軸の長さの範囲を設定し、そして、パルスレーザー光線の繰返し周波数と囲う送り速度と楕円形のスポットの重なり率を制御する技術が開示されている。
【0004】
なお、従来のレーザ加工方法において、微小な加工等のためにマスクを用いる技術についても開示されている。たとえば、特許文献3(特開平8−66781号公報)には、マスクパターンの像を被レーザ加工物上に投影してレーザ加工を行なうレーザ加工方法に関する技術が開示されている。当該方法では、多重反射されたエキシマレーザビームの強度分布が均一ではない場合であっても適切な加工エネルギーをワークに与えるために、マスクとワークのスキャン移動方向とエキシマレーザビームの反射移動方向を一致させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−201813号公報
【特許文献2】特開2006−289388号公報
【特許文献3】特開平8−66781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のレーザ加工方法では、ワーク(被加工物)に対して均一にレーザ加工を施すことなどの検討はされていたが、加工速度の向上については検討はなされていなかった。従来のレーザ加工方法では、特に特許文献3に開示されているようなマスクを用いた加工方法では、オーバーラップ率を規定すると、スキャン速度は、レーザの繰返し周波数およびマスクに形成されたパターンのサイズによって一意的に決定されるため、加工速度の向上ができなかった。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、レーザ加工方法およびレーザ加工装置において、加工速度の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従ったレーザ加工方法は、レーザ光によるマスクのパターンの像を被加工物上に投影し、レーザ光のパルスごとにパターンの像の一部が重畳するようにマスクと被加工物を相対的に移動させるレーザ加工方法であって、マスクと被加工物を、パターンの像が被加工物上で第1の方向に移動するように、相対的に移動させ、被加工物上に、第1の方向に配列されたn個のパターンの像を、第1の方向についての各像の寸法がaで間隔がpとなるように投影し、レーザ光のパルスの繰返し周波数がfであって、レーザ光のパルスごとの像の被加工物上の第1の方向についての移動量がrであって、像と被加工物の第1の方向についての相対的な移動速度がsである場合に、s=n×p×f、r=n×p、および、r=a/nの関係を満たす。
【0009】
本発明に従ったレーザ加工装置は、レーザ光によるマスクのパターンの像を被加工物上に投影し、レーザ光のパルスごとにパターンの像の一部が重畳するようにマスクと被加工物を相対的に移動させるレーザ加工装置であって、マスクと被加工物を、パターンの像が被加工物上で第1の方向に移動するように、相対的に移動させる移動手段と、レーザ光照射手段および移動手段を制御する制御手段と、被加工物上に、第1の方向に配列されたn個のパターンの像を、第1の方向についての各像の寸法がaで間隔がpとなるように投影し、かつ、レーザ光のパルスの繰返し周波数がfであって、レーザ光のパルスごとの像の被加工物上の第1の方向についての移動量がrであって、像と被加工物の第1の方向についての相対的な移動速度がsである場合に、s=n×p×f、r=n×p、および、r=a/nの関係を満たすように、レーザ光照射手段および移動手段を制御する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、被加工物上に一度に複数のパターンの像でパルスのレーザ光を照射しながら、同一箇所に適切な回数(パルス)を照射できる。したがって、一度に単一のパターンの像のレーザ光を照射する方法よりも、加工速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のレーザ加工方法の一実施の形態が実施されるレーザ装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の制御システムのハードウェア構成を示す図である。
【図3】図1のマスクの拡大斜視図である。
【図4】図1のレーザ装置において基板上にレーザビームが照射される様子を模式的に示す図である。
【図5】図1のレーザ装置において、1回のパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図6】図1のレーザ装置において、連続したパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図7】図1のレーザ装置の比較例(1)でのパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図8】図1のレーザ装置の比較例(2)での1回のパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図9】図1のレーザ装置の比較例(2)での連続したパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図10】(A)は、図1のレーザ装置の第1の変形例での1回のパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図であり、(B)は、当該変形例での連続したパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【図11】(A)は、図1のレーザ装置の第2の変形例での1回のパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図であり、(B)は、当該変形例での連続したパルス照射によって基板上に形成される像を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従った情報処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一の機能を発揮する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0013】
[1.レーザ装置の概略構成]
図1は、本発明のレーザ加工方法の一実施の形態が実施されるレーザ装置の構成を模式的に示す図である。
【0014】
図1を参照して、レーザ装置は、レーザ発振器400と、ミラー504と、ビームエキスパンダ300と、ミラー503と、マスク501と、結像レンズ506とを含む。また、レーザ装置は、被加工物である基板600が載置されるXYテーブル200を含む。
【0015】
レーザ発振器400から発振されるレーザビームは、ミラー504で反射されてビームエキスパンダ300へ送られ、ビームエキスパンダ300によってその広がり角を調整された後ミラー503へ送られ、ミラー503によってマスク501に送られる。マスク501には、後述するパターンが形成される。そして、レーザビームの、マスク501のパターンの像が、結像レンズ506によって基板600に所定倍率で結像される。
【0016】
なお、マスク501の光照射領域の全域に渡って均一な強度のレーザ光を照射するために、ビームエキスパンダ300とマスク501の間に、ビームホモジェナイザ(強度均一化光学系)が追加されても良い。
【0017】
XYテーブル200は、基板600を載置される載置台202と、当該載置台202をマスク501に対して移動させる駆動部201を含む。駆動部201は、たとえばモータなどの駆動源を含み、XYテーブル200をX方向(図1の両矢印AX方向)およびY方向(図1の紙面に垂直な方向)に移動させる。
【0018】
制御システム100は、レーザ発振器400および駆動部201の動作を制御する。制御システム100のハードウェア構成を、図2に示す。
【0019】
[2.制御システムのハードウェア構成]
図2を参照して、制御システム100を構成するコンピュータは、処理装置102、記憶装置103、ROM(Reed Only Memory)104、RAM(Random Access Memory)105、表示装置106、操作パネル107、および、ネットワークインターフェース(I/F)108を備えている。これらの各要素は、バス101によって互いに接続されている。
【0020】
処理装置102は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。当該プロセッサ(処理装置102)が記憶装置103に記憶されたプログラムを実行することにより、処理装置102は、本明細書に記載された、レーザ発振器400やXYテーブル200の動作の制御を実行する。なお、処理装置102が実行するプログラムは、必ずしも記憶装置103に記憶されていなくてもよく、処理装置102を含むコンピュータに着脱可能に構成された記録媒体に記録されていても良く、レーザ装置がネットワークに介して通信可能な記憶装置に記憶されていても良い。
【0021】
RAM105は、処理装置102のワークエリアとなる。操作パネル107は、キーボードやマウス、タッチパネル等の、情報を入力するための周知の装置である。
【0022】
記憶装置103には、本実施の形態において利用されるパルスエネルギ強度などの種々のデータが記憶されている。その記憶内容については、後述する。
【0023】
制御システム100は、ネットワークI/F108を介して、XYテーブル200の駆動部201およびレーザ発振器400に制御信号を送信する。これにより、レーザ発振器400は、制御システム100から指示されたタイミングで、指示された強度のレーザビームを発振する。また、駆動部201は、制御システム100から指示されたパターンで、載置台202を移動させる。
【0024】
[3.マスクの構成]
図3は、マスク501の拡大斜視図である。マスク501には、ほぼ正方形の4つのパターン511〜514が形成されている。
【0025】
図4に、本実施の形態において基板600上にレーザビームが照射される様子を模式的に示す。
【0026】
図4から理解されるように、ミラー503からマスク501に送られるビームBMは、マスク501のパターン511〜514のそれぞれを介して、ビームBM01〜BM04として、基板600上に送られる。基板600上では、ビームBM01〜BM04のそれぞれの像が投影される。
【0027】
本実施の形態では、上記したように、載置台202をマスク501に対して移動させながら連続的にレーザビームを基板600上に照射することにより、基板600の全体に渡ってレーザビームを照射する。なお、レーザビームの照射の際に、載置台202とマスク501が相対的に移動されれば良く、基板600上のレーザビームの照射位置がX軸方向に移動されれば良い。つまり、載置台202(基板600)を固定して、マスク501(および、マスク501にレーザビームを照射する光学系(ミラー503,504等))を移動させても良いし、載置台202(基板600)とマスク501(および上記光学系)の双方を移動させても良い。なお、本実施の形態では、基板600上のレーザビームの照射位置の移動方向を、スキャン方向と言う。
【0028】
図4では、X軸とY軸が記載されている。X軸の方向は、図1の両矢印AX方向に相当する。
【0029】
ビームBM01〜BM04の像は、X軸方向に配列されている。そして、基板600をマスク501に対してX軸方向に移動させることにより、X軸方向に沿ったライン状にレーザビームを照射する。ラインE1〜E4は、基板600上にレーザビームを照射されたラインを示している。
【0030】
本実施の形態では、1ラインずつレーザビームが照射される。具体的には、矢印A11に沿って照射が行なわれることによりラインE1が形成され、Y軸方向にレーザ照射位置が距離Lだけずらされた後、矢印A12に沿って照射が行なわれてラインE2が形成され、Y軸方向にレーザ照射位置が距離Lだけずらされて、矢印A13に沿って照射が行なわれてラインE3が形成され、Y軸方向にレーザ照射位置が距離Lだけずらされる。図4では、ラインE2が形成され、Y軸方向にレーザ照射位置が距離Lだけずらされた後、矢印A13に沿ってラインE3を形成するようにレーザビームの照射が行なわれている状態が示されている。
【0031】
図4では、マスク501によってレーザビームが遮蔽される領域(マスク501の外郭の像が基板600に投影された場合の当該像)のY軸方向の寸法がMで示されている。本実施の形態では、MはLよりも短くなるように構成されている。
【0032】
[4.レーザビームの1回のパルス照射におけるワーク上の像]
図5に、1回のパルス照射によって基板600上に形成される像を模式的に示す。
【0033】
図5の矢印Xは、上記したスキャン方向を示す。
像S1〜S4は、それぞれ、マスク501のパターン511〜514を介して基板600上に形成された像である。像S1〜S4は、スキャン方向の寸法がa(mm)とされ、また、各像は、スキャン方向に距離p(mm)だけ離間されて投影される。寸法a(mm)は、たとえば0.4(mm)とされる。距離p(mm)は、たとえば0.1(mm)とされる。
【0034】
[5.レーザビームの連続照射におけるワーク上の像]
図6に、連続した複数回のパルス照射によって基板600上に形成される像を模式的に示す。
【0035】
図6において、像S11〜S14は、基板600に対して、図5に示されたような像の配列で1回目のパルス照射が行なわれた場合の、基板600上の像の組である。図6中の矢印Xは、スキャン方向を示す。
【0036】
本実施の形態では、パルスごとに、スキャン方向にr(mm)だけレーザ光の照射位置が移動するものとする。rは、r=n×pで表され、nは、一度のパルス照射で基板600上に形成される像の数であり、マスク501においてスキャン方向に対応する方向に形成されるパターンの数である。このようにrが調整されることにより、位置P1より右方で、隙間無く、かつ効率よく、基板600に対して4回のパルス照射ができる。
【0037】
パルスごとに、上記のようにレーザ光の照射位置が移動するため、本実施の形態では、2回目以降のパルス照射による像は、図6の像S21〜S24等に示されるような位置に投影される。具体的には、像S21〜S24は、2回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S31〜S34は、3回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S41〜S44は、4回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S51〜S54は、5回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。
【0038】
なお、図6では、各像は、説明を容易にするために、パルス照射の回数ごとに少しずつY軸方向にずらされて記載されているが、実際には、図6中のY軸方向について同じ位置に配置される。図6において、Y軸方向は、X軸方向に交わる方向であり、X軸方向は、スキャン方向である。また、図6において、X軸方向に配列された複数の破線は、説明を容易にするために補助的に記載されているものであり、X軸方向に、図5において示した像間の距離pに相当する間隔で配列されている。
【0039】
本実施の形態では、説明を容易にするために、基板600上に4回パルス照射がされると、加工が完了するものとする。
【0040】
図6に示された例では、像S14と像S23と像S32と像S41が重なるところで、初めて、基板600上の同一箇所に4回のパルス照射がなされいている。つまり、図6では、基板600上の位置P1より右方の領域において、像が4つ重ねられる。図6では、パルス照射が4回なされることによりレーザ加工が完了した、位置P1〜P1´の領域が、有効領域として示されている。
【0041】
[6.比較例との対比]
(6−1.比較例(1))
本実施の形態の比較例として、図7に、1回のパルス照射で1つの像のみが基板600上に投影される場合の、連続した複数回のパルス照射によって基板600上に形成される像を模式的に示す。
【0042】
図7では、各回のパルス照射によって基板600上に形成される像SA01〜SA36が、基板600上に投影される順序で、左から右へと配列されている。なお、図7では、スキャン方向がX軸で示されている。また、像SA01〜SA36は、実際には、Y軸方向について同じ位置に配置されるが、図7では、説明を容易にするために、4つの像ごとにずらされて記載されている。また、図7において、X軸方向に配列された複数の破線は、補助的に、図5の像間の距離pに相当する間隔を示す。
【0043】
この比較例では、像SA01〜SA04が重なるところで、初めて、基板600上の同一箇所に4回のパルス照射がなされている。これにより、この比較例での有効領域は、位置P2〜P2´となる。
【0044】
本実施の形態では、位置P2より右方の領域で、隙間無く、同一箇所に4回パルス照射がなされるようにするため、レーザ照射位置の、パルスごとのスキャン方向の移動距離をr(r=n×1/4a)とされる必要がある。
【0045】
ここで、図6に示した例と図7の比較例とで、スキャンに要する時間の比較を行なう。
図6に示した例および本比較例において、基板600上に照射される各像のスキャン方向の寸法(a)を0.4(mm)とし、レーザパルスの繰返し周波数を1000(Hz)とする。
【0046】
図7の比較例では、パルス毎のレーザ光(の像)と基板600とのスキャン方向の相対移動量を0.1(mm)とする。この場合、レーザ光(の像)と基板600とのスキャン方向の相対移動速度(スキャン速度)は、100(mm/sec)となる。なお、スキャンは、載置台202を駆動部201で駆動させることにより行なわれるものとし、その加速度を1G(=9806mm/sec2)、加減速距離を除く加工距離(X軸方向についての加工を行なうべき寸法。図4のL1。)を1000mm(等速区間長さ)とすると、上記加工距離を加工するのに要する時間(スキャン時間)は、次の式(1)で表されるように、10.02(sec)となる。
【0047】
スキャン時間=等速区間長さをスキャンする時間+載置台の加速および減速時間
=1000/100+100/9806×2
=10.02(sec) …(1)
一方、図6の例では、一度に照射される像の数(マスク501上のパターンの数)を4とし、その他の条件を図7の比較例と同じであるとすると、等速スキャン時の速度は図7の比較例の4倍にできるので、スキャン時間は、次の式(2)で表されるように、2.52(sec)となる。
【0048】
スキャン時間=等速区間長さをスキャンする時間+載置台の加速および減速時間
=1000/(100×4)+100/9806×2
=2.52(sec) …(2)
なお、上記式(2)では、等速区間長さをスキャンする速度を速度sとした場合、これと等速区間長さ(1000mm)との積として、等速区間長さをスキャンする時間が算出されている。速度sは、次の式(3)で表される。
【0049】
s=n×p×f …(3)
式(3)において、nは、一度のパルス照射での基板600上に投影される像の数である。上記式(2)では、nは4とされている。
【0050】
pは、一度のパルス照射で基板600上に投影される像間の間隔である。上記式(2)では、pは0.1(mm)とされている。
【0051】
fは、レーザパルスの繰返し周波数である。上記式(2)では、fは1000(Hz)とされている。
【0052】
なお、本実施の形態では、上記した相対移動量rは、次の式(4)で表される。
r=n×p …(4)
式(4)において、nは、上記したように、一度のパルス照射で基板600上に投影される像の数である。pは、上記したように、一度のパルス照射で基板600上に投影される像間の間隔である。また、pは、各像のスキャン方向についての寸法を寸法aとすると、次の式(5)で表される。
【0053】
p=a/n …(5)
以上の次第で、図6を主に参照して説明した本実施の形態のように、マスク501に複数のパターンを形成することにより基板600上に複数の像を一度のパルス照射で投影できるようにし、また、一度に基板600上に照射される像間の間隔を上記のように調整し、相対移動量を上記間隔にあわせて調整し、そして、スキャン速度を上記のように調整することにより、スキャン速度が向上できて、生産性の向上に寄与できる。
【0054】
(6−2.比較例(2))
本実施の形態の第2の比較例として、1回のパルス照射で基板600上に投影される像の間隔が、図5を主に参照して説明したpよりも長くされた例を説明する。
【0055】
図8(A)は、図5に示した、本実施の形態に従って一度のパルス照射で基板600上に照射される複数の像S1〜S4を模式的に示す。
【0056】
一方、図8(B)は、比較例に従って、一度のパルス照射で基板600上に照射される複数の像SA1〜SA4を模式的に示す。図8(A)および図8(B)において、下向きの矢印はそれぞれスキャン方向を示す。
【0057】
図8(B)において、像SA1〜SA4のスキャン方向についての寸法は、像S1〜S4と同様にaとされている。一方、像SA1〜SA4のスキャン方向についての像間の間隔は距離2pとされている。つまり、像S1〜S4における間隔の2倍とされている。
【0058】
図9に、図8(B)に従った態様でのスキャン(レーザの連続照射)が行なわれた際の、基板600上に照射される像を模式的に示す。
【0059】
図9を参照して、像S901〜S904は、基板600に対して、図8(B)に示されたような像の配列で1回目のパルス照射が行なわれた場合の、基板600上の像の組である。図9中のX軸方向は、スキャン方向を示す。
【0060】
本比較例では、パルスごとに、スキャン方向にr(mm)だけレーザ光の照射位置が移動する。rは、r=n×pで表され、nは、一度のパルス照射で基板600上に形成される像の数である。
【0061】
パルスごとに、上記のようにレーザ光の照射位置が移動するため、本比較例では、2回目以降のパルス照射による像は、像S911〜S914等に示されるような位置に投影される。具体的には、像S911〜S914は、2回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S921〜S924は、3回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S931〜S934は、4回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S941〜S944は、5回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。像S951〜S954は、6回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。
【0062】
図9では、図6等と同様に、各像は、説明を容易にするために、パルス照射の回数ごとに少しずつY軸方向にずらされて記載されているが、実際には、図9中のY軸方向について同じ位置に配置される。また、図9では、複数の破線が、X軸方向に、補助的に、図5において示した像間の距離pに相当する間隔で配列されている。
【0063】
本比較例では、像904と像913と像922と像934が重なるところで、初めて、基板600上の同一箇所に4回のパルス照射がなされている。
【0064】
ただし、本比較例では、本比較例では、同一箇所に4回のパルスが照射されているが、オーバラップ率が50%となっている。一方、図6に示す本発明の実施の形態に従ったレーザ照射では、同一箇所に4回のパルスが照射され、オーバラップ率は25%である。加工特性上、オーバラップ率を規定する必要のある加工(例えば、特許文献1や特許文献2に記載されるように、所定のオーバラップ率とすること、すなわち、1パルス毎に少しずつ照射位置をずらしながら加工を行なうことによって、加工性が良好になる場合がある)では、本発明の実施の形態による方法が有効となる。
【0065】
[7.変形例]
以上説明した本実施の形態では、1回のパルス照射で基板600上に照射される像の数は4とされているが、本発明に従ったレーザ加工方法における当該数はこれに限定されない。
【0066】
図10(A),図10(B)および図11(A),図11(B)に、当該数が2にされた場合の変形例、当該数が3にされた場合の変形例をそれぞれ示す。
【0067】
(7−1.n=2の場合)
図10(A)では、一度のパルス照射で基板600上に投影される像の数が2である場合の、像S1および像S2が示されている。像S1と像S2の、スキャン方向(矢印X方向)についての寸法はaであり、間隔はpである。
【0068】
図10(A)に示された変形例のスキャンでは、図10(B)に示されるように、各回のパルス照射による基板600上の像が、像S11〜S82で示される。具体的には、像S11〜S12は、1回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。また、像S21〜S22は2回目の、像S31〜S32は3回目の、像S41〜S42は4回目の、像S51〜S52は5回目の、像S61〜S62は6回目の、像S71〜S72は7回目の、そして、像S81〜S82は8回目の、それぞれのパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。
【0069】
図10(A)を参照して説明した変形例においても、図5および図6を主に参照して説明した実施の形態と同様に、等速区間長さのスキャン速度s、相対移動量rおよび一度のパルス照射で基板600上に投影される像間の距離(間隔)pは、式(3)、式(4)および式(5)を用いて決定することができる。これにより、連続でパルス照射された際の像は、図10(B)に示されるように投影される。本変形例ではnが2であるため、図10(B)では、図5および図6を参照して説明したnが4である例と比較して、相対移動量rが、4pから2pに変更されている。つまり、たとえば、像S11と像S21の対応する箇所の距離や像S21と像S31の対応する箇所の距離が、2pとされている。
【0070】
この変形例では、像S12と像S22と像S31と像S41とが重なるところで、初めて、基板600上の同一箇所に4回のパルス照射がなされている。これにより、この変形例での有効領域は、位置P3より右方の領域となる。
【0071】
式(1)等で説明したスキャン時間について検討する。図10(A)および図10(B)を参照して説明した変形例では、一度に照射される像の数を2とし、その他の条件を図7の比較例と同じであるとすると、等速スキャン時の速度は図7の比較例の2倍にできる。これにより、スキャン時間は、次の式(6)で表されるように、5.02(sec)となる。
【0072】
スキャン時間=等速区間長さをスキャンする時間+載置台の加速および減速時間
=1000/(100×2)+100/9806×2
=5.02(sec) …(6)
つまり、式(1)により算出される比較例のスキャン時間(10.02(sec))よりも短縮できる。
【0073】
(7−2.n=3の場合)
図11(A)に示された変形例のスキャンでは、図11(B)に示されるように、各回のパルス照射による基板600上の像が、像S11〜S63で示される。具体的には、像S11〜S13は、1回目のパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。また、像S21〜S23は2回目の、像S31〜S33は3回目の、像S41〜S43は4回目の、像S51〜S53は5回目の、そして、像S61〜S63は6回目の、それぞれのパルス照射が行なわれた場合の基板600上の像の組である。
【0074】
図11(A)を参照して説明した変形例においても、図5および図6を主に参照して説明した実施の形態と同様に、等速区間長さのスキャン速度s、相対移動量rおよび一度のパルス照射で基板600上に投影される像間の距離pは、式(3)、式(4)および式(5)を用いて決定することができる。これにより、連続でパルス照射された際の像は、図11(B)に示されるように投影される。本変形例ではnが3であるため、図11(B)では、図5および図6を参照して説明したnが4である例と比較して、相対移動量rが、4pから3pに変更されている。つまり、たとえば、像S11と像S21の対応する箇所の距離や像S21と像S31の対応する箇所の距離が、3pとされている。
【0075】
この変形例では、像S13と像S22と像S32と像S41とが重なるところで、初めて、基板600上の同一箇所に4回のパルス照射がなされている。これにより、この変形例での有効領域は、位置P4より右方の領域となる。
【0076】
式(1)等で説明したスキャン時間について検討する。図11(A)および図11(B)を参照して説明した変形例では、一度に照射される像の数を3とし、その他の条件を図7の比較例と同じであるとすると、等速スキャン時の速度は図7の比較例の3倍にできる。これにより、スキャン時間は、次の式(7)で表されるように、3.35(sec)となる。
【0077】
スキャン時間=等速区間長さをスキャンする時間+載置台の加速および減速時間
=1000/(100×3)+100/9806×2
=3.35(sec) …(7)
つまり、式(1)により算出される比較例のスキャン時間(10.02(sec))よりも短縮できる。
【0078】
[8.その他の変形例等]
以上説明した本実施の形態およびその変形例では、レーザ光が照射されることによりマスク501を介して基板600上に投影される各像の形状は矩形とされたが、本発明はこれに限定されない。また、スキャンは、直線状になされたが、曲線状であっても良い。また、レーザパルスの繰返し周波数や等速区間長さも、上記した値は単なる一例であって、これに限定されるものではない。本発明が適用される系ごとに適宜変更されて良い。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
100 制御システム、102 処理装置、103 記憶装置、200 テーブル、201 駆動部、202 載置台、300 ビームエキスパンダ、400 レーザ発振器、501 マスク、511〜514 パターン、600 基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光によるマスクのパターンの像を被加工物上に投影し、前記レーザ光のパルスごとに前記パターンの像の一部が重畳するように前記マスクと被加工物を相対的に移動させるレーザ加工方法であって、
前記マスクと被加工物を、前記パターンの像が被加工物上で第1の方向に移動するように、相対的に移動させ、
被加工物上に、前記第1の方向に配列されたn個の前記パターンの像を、前記第1の方向についての各像の寸法がaで間隔がpとなるように投影し、
前記レーザ光のパルスの繰返し周波数がfであって、前記レーザ光のパルスごとの前記像の被加工物上の前記第1の方向についての移動量がrであって、前記像と前記被加工物の前記第1の方向についての相対的な移動速度がsである場合に、
s=n×p×f、r=n×p、および、r=a/nの関係を満たす、レーザ加工方法。
【請求項2】
被加工物に対して、前記第1の方向に沿ったライン状であって、前記第1の方向に交わる第2の方向に配列された複数本のライン状に、前記レーザ光を照射し、
前記ラインは、前記第2の方向において寸法Lごとに配列され、
前記レーザ光による前記マスク全体の像が被加工物上に投影される前記第2の方向についての寸法Mは、前記寸法Lより小さい、請求項1に記載のレーザ加工方法。
【請求項3】
レーザ光によるマスクのパターンの像を被加工物上に投影し、前記レーザ光のパルスごとに前記パターンの像の一部が重畳するように前記マスクと被加工物を相対的に移動させるレーザ加工装置であって、
前記マスクと被加工物を、前記パターンの像が被加工物上で第1の方向に移動するように、相対的に移動させる移動手段と、
前記レーザ光照射手段および前記移動手段を制御する制御手段と、
被加工物上に、前記第1の方向に配列されたn個の前記パターンの像を、前記第1の方向についての各像の寸法がaで間隔がpとなるように投影し、かつ、前記レーザ光のパルスの繰返し周波数がfであって、前記レーザ光のパルスごとの前記像の被加工物上の前記第1の方向についての移動量がrであって、前記像と前記被加工物の前記第1の方向についての相対的な移動速度がsである場合に、s=n×p×f、r=n×p、および、r=a/nの関係を満たすように、前記レーザ光照射手段および前記移動手段を制御する制御手段とを備える、レーザ加工装置。
【請求項1】
レーザ光によるマスクのパターンの像を被加工物上に投影し、前記レーザ光のパルスごとに前記パターンの像の一部が重畳するように前記マスクと被加工物を相対的に移動させるレーザ加工方法であって、
前記マスクと被加工物を、前記パターンの像が被加工物上で第1の方向に移動するように、相対的に移動させ、
被加工物上に、前記第1の方向に配列されたn個の前記パターンの像を、前記第1の方向についての各像の寸法がaで間隔がpとなるように投影し、
前記レーザ光のパルスの繰返し周波数がfであって、前記レーザ光のパルスごとの前記像の被加工物上の前記第1の方向についての移動量がrであって、前記像と前記被加工物の前記第1の方向についての相対的な移動速度がsである場合に、
s=n×p×f、r=n×p、および、r=a/nの関係を満たす、レーザ加工方法。
【請求項2】
被加工物に対して、前記第1の方向に沿ったライン状であって、前記第1の方向に交わる第2の方向に配列された複数本のライン状に、前記レーザ光を照射し、
前記ラインは、前記第2の方向において寸法Lごとに配列され、
前記レーザ光による前記マスク全体の像が被加工物上に投影される前記第2の方向についての寸法Mは、前記寸法Lより小さい、請求項1に記載のレーザ加工方法。
【請求項3】
レーザ光によるマスクのパターンの像を被加工物上に投影し、前記レーザ光のパルスごとに前記パターンの像の一部が重畳するように前記マスクと被加工物を相対的に移動させるレーザ加工装置であって、
前記マスクと被加工物を、前記パターンの像が被加工物上で第1の方向に移動するように、相対的に移動させる移動手段と、
前記レーザ光照射手段および前記移動手段を制御する制御手段と、
被加工物上に、前記第1の方向に配列されたn個の前記パターンの像を、前記第1の方向についての各像の寸法がaで間隔がpとなるように投影し、かつ、前記レーザ光のパルスの繰返し周波数がfであって、前記レーザ光のパルスごとの前記像の被加工物上の前記第1の方向についての移動量がrであって、前記像と前記被加工物の前記第1の方向についての相対的な移動速度がsである場合に、s=n×p×f、r=n×p、および、r=a/nの関係を満たすように、前記レーザ光照射手段および前記移動手段を制御する制御手段とを備える、レーザ加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−35297(P2012−35297A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177431(P2010−177431)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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