説明

レーザ加工装置、レーザ加工方法、板金部材

【課題】 板材から所定の輪郭形状を備える製品を切り出す際、製品の輪郭となる切断面の複数個所を切断せずに残して板材と製品を「ミクロジョイント」で繋いでいる。ミクロジョイントを切断して製品と板材を分離すると、「ジョイントバリ」が残る。
【解決手段】 板状部材3である被加工物に対して、レーザ照射により形成されたレーザ加工軌跡4aにより板状部材3と区分された製品2を、輪郭形状の一部においてレーザ照射を停止することにより形成したジョイントによって板状部材3に保持した板金部材において、レーザ加工軌跡4aを介して板材3に対向する製品2の端面に対して製品2の内側方向に食い込んだ形状の食い込み部にジョイントを形成し、製品2の端面から食い込み部にかけてカーブを形成することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、板金部材から切り出される製品の所定の輪郭形状をレーザ加工により形成するレーザ加工装置とレーザ加工方法、及びレーザ加工により製品の所定の輪郭形状が形成され、その輪郭形状の一部にミクロジョイントを有する板金部材に関する。
【背景技術】
【0002】
板材から所定の輪郭形状を備える製品を切り出す際、製品の輪郭となる切断面の複数個所を切断せずに残して板材と製品を繋ぎとめておくようにしている。板材と製品を繋ぎ止める箇所を「ミクロジョイント」と称する。製品は、例えばニッパーなどの工具を用いてミクロジョイントを切断したり、ハンマーで製品を叩き出すことにより板材から分離される。板材から製品を分離すると、ミクロジョイントがあった箇所にミクロジョイントの残部(「バリ」)が突出した形状で残る。板材から製品を分離した後、いずれかの工程で製品から突出したバリを除去する作業が実施される。バリ取り作業は、例えばヤスリなどの工具を使ってバリを削り取り、製品の表面をならす作業である。
【0003】
図10はバリの一例を示す平面図である。図10(a)は、製品2が金属製の板材3にワイヤージョイント15で繋ぎ止められている状態を示す図であり、図10(b)は、製品2が金属製の板材3よりニッパーなどの工具で分離された状態を示す図である。ニッパーでワイヤージョイント15を切断すると、残部突起16が製品2側に残る。また、図11はバリの一例を示す平面図である。図11(a)は、製品2が金属製の板材3に4箇所のコーナーミクロジョイント17で繋ぎ止められている状態を示す図である。図11(a)に示すTは、金型で板材3を打ち抜いた跡を示す。図11(b)は、製品2が金属製の板材3よりニッパーなどの工具で分離された状態を示す図である。ニッパーでコーナーミクロジョイント17を切断すると、残部突起18が製品2側に残る。製品2と板材3を繋ぎ止めるジョイントによる突起(残部突起16、18)を「ジョイントバリ」と称する。
【0004】
製品2に残部突起16、18が残ると、製品2を作業者が取り扱う際の安全性の観点から問題となりえる。また、残部突起16、18は、例えば、曲げ加工のような工程で位置決めを行う際の障害となる。図12は位置決め精度不良の具体例を示す平面図である。図13は曲げ加工を行う加工装置を側面から簡略に示す側面図である。製品2を曲げ加工する場合、まず製品2を「バックゲージ」と呼ばれる位置決め機構に突き当てた状態で、さらに製品2の下側を「ダイ」と呼ばれる金型で受けた状態で固定する。そして、製品2の上側から「パンチ」と呼ばれる金型で押圧することによって、製品2はパンチ46とダイ47の中心軸44にそって曲げ加工が施される。位置決め精度不良がなければ、中心軸44と曲げ線45は一致する。しかし、残部突起18のようなジョイントバリによって製品2をバックゲージ43に密着させられずに位置決めが狂った場合、本来の曲げ線となるべき中心軸44と実際の曲げ線45がずれることになる。上記説明のとおり、製品2に残部突起18が残ると、後工程において位置決め精度不良を発生させるという問題がある。
【0005】
特許文献1には、ミクロジョイントを残して板材に製品の外形を切断加工する方法であって、切断加工で形成される製品の端縁に、ミクロジョイントの両側において入込み部を形成することを開示している。入込み部の入込み深さは、ミクロジョイントをニッパー状の切断工具で製品端縁に沿って切断するときに残るミクロジョイント残部が収まる程度に形成される。このように入込み部を生じさせることで、ミクロジョイントをニッパー等の切断工具で切断するときに、ミクロジョイントの残部が生じても、この残部が製品の端縁から突出することが回避できる旨記載されている。
【0006】
図14は、従来のミクロジョイントの形成方法を示す平面図である。図14(a)はミクロジョイントの両側において入れ込み部bを生じさせる為に、鋭角形状の刃先を有する金型Ta、Tbを用いて板材3をプレス加工している状況を示す。ミクロジョイント最小幅eは0.3mmに設定されている。入れ込み部bは製品2の端面aに対して入れ込み深さdだけ製品2側に形成された窪みである。入れ込み部bの入れ込み深さdは、板材3から製品2が切り離されたときに残るミクロジョイント残部Jaが収まる程度の深さとされる。図14(b)は製品2を板材3からニッパーを用いて切り離した状態を示す平面図である。ミクロジョイント残部Jaは端面aに対して入れ込み部bの内部に形成され、端面aから突出していないので、位置決め精度不良が発生することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9―99327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1による構成は、ミクロジョイント残部Jaが収まる程度の入れ込み深さdを有する入れ込み部b内部にミクロジョイントを形成することにより、ミクロジョイント残部Jaは端面aから突出しないので、位置決め精度不良が発生することを防止できる。しかし、特許文献1による構成は、製品2と板材3をニッパーで切断することを前提としているので、ミクロジョイント最小幅eの両側入れ込み部bの幅は、ニッパー等の切断工具を挿入するための幅が最低限必要である。つまり、作業者の指が充分入る幅でもあるので、作業者の安全性を考慮すると、ミクロジョイント残部Jaを除去する「バリ取り作業」は必要である。また、鋭角形状の刃先を有する金型Ta、Tbを用いて板材3をプレス加工することで入れ込み部bを形成するため、製品の端面aと入れ込み部bを繋ぐ斜辺の頂点cは鋭角になり、作業者の安全性を妨げる要因となっている。
【0009】
また、特許文献1のようにニッパーのような工具を用いて板材から製品を分離する作業を行う場合、作業者は板材を取り寄せて、ニッパー等の工具を手に持ち、ジョイント箇所を切断し、工具を置き、他のジョイント箇所を切断するために板材を再配置し、工具を手に持ち、切断するという一連の作業を、全てのジョイント箇所を切断するまで繰り返す必要があるので、板材と製品を分離するのは手間のかかる作業である。したがって、工具を使わずに板材から製品を分離したいという要望がある。
【0010】
更に、パンチ金型を用いてミクロジョイント部を形成する方法は、パンチ金型の刃先が欠けたり、磨耗するといった問題があり、コストがかかる。特に、ミクロジョイントの分離幅を極小にする為に刃先角度を鋭角にすると、パンチ刃先に応力が集中する事により板厚の厚い板材や高抗張力の板材加工に対してはパンチ刃先の欠けや磨耗が著しい欠点がある。また、上下左右の如何なる方向及び製品内部の開口部穴にもミクロジョイントを付加しようとした場合は金型が複数本必要となる為、パンチプレス設備内の使用金型本数に制約がある。加えてミクロジョイントを直線上に付加できない様な曲線輪郭を持つ製品にこれを付加しようとした場合は、製品の曲線形状に合わせた専用の金型を多数製作する必要があり、金型費用が高額となる欠点もある。従って、パンチプレス加工機を使用した場合のミクロジョイント金型加工は、板材の種類や厚さ寸法及び製品の加工形状に対して制約事項がある為、多くの製品加工への適用は難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるレーザ加工装置は、板状部材である被加工物に対してレーザを照射するレーザ照射部と、被加工物及び前記レーザ照射部の相対位置を調整して被加工物上のレーザを照射する位置を調整するレーザ照射位置決め部と、所望の製品輪郭形状を形成するようにレーザ照射部によるレーザ照射の開始と終了、及びレーザ照射位置決め部による被加工物とレーザ照射部の移動を指示する命令を含む加工プログラムを生成するプログラム生成部と、このプログラム生成部により生成された加工プログラムに基づいて、レーザ照射部及びレーザ照射位置決め部とを制御して被加工物上にレーザを照射するレーザ加工制御部とを設けたレーザ加工装置において、プログラム生成部は、被加工物上にレーザ照射される製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工開始点からレーザ照射を開始し、レーザ加工開始点からカーブを描きながら製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行う工程と、製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行い、レーザ加工開始点と所定長さを隔てて製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工終了点に向かって、製品輪郭形状からカーブを描きながらレーザ照射を行う工程と、レーザ加工終了点に到達するとレーザ照射を停止する工程とを実行させる命令を含む加工プログラムを生成するものである。
【0012】
本発明にかかるレーザ加工方法は、板状部材である被加工物に対してレーザを照射するレーザ照射処理と、被加工物及びレーザを照射するレーザ照射部の相対位置を調整して被加工物上のレーザを照射する位置を調整するレーザ照射位置決め処理と、所望の製品輪郭形状を形成するようにレーザ照射処理によるレーザ照射の開始と終了、及びレーザ照射位置決め処理による被加工物とレーザ照射部の移動を指示する命令を含む加工プログラムを生成するプログラム生成処理と、このプログラム生成処理により生成された加工プログラムに基づいて、被加工物上にレーザを照射するレーザ加工制御処理とを含むレーザ加工方法において、プログラム生成処理は、被加工物上にレーザ照射される製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工開始点からレーザ照射を開始し、レーザ加工開始点からカーブを描きながら製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行う工程と、製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行い、レーザ加工開始点と所定長さを隔てて製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工終了点に向かって、製品輪郭形状からカーブを描きながらレーザ照射を行う工程と、レーザ加工終了点に到達するとレーザ照射を停止する工程とを実行させる命令を含む加工プログラムを生成するものである。
【0013】
本発明にかかる板金部材は、板状部材である被加工物に対して、所望の輪郭形状に沿って板状部材から切り離され、輪郭形状の一部に形成されたジョイントにおいて板状部材と繋ぎ止められた製品を有する板金部材において、板状部材に対向する製品の端面に対して製品の内側方向に食い込んだ形状の食い込み部にジョイントは形成されており、製品の端面から食い込み部にかけてカーブが形成されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるレーザ加工装置は、板状部材である被加工物に対してレーザを照射するレーザ照射部と、被加工物及び前記レーザ照射部の相対位置を調整して被加工物上のレーザを照射する位置を調整するレーザ照射位置決め部と、所望の製品輪郭形状を形成するようにレーザ照射部によるレーザ照射の開始と終了、及びレーザ照射位置決め部による被加工物とレーザ照射部の移動を指示する命令を含む加工プログラムを生成するプログラム生成部と、このプログラム生成部により生成された加工プログラムに基づいて、レーザ照射部及びレーザ照射位置決め部とを制御して被加工物上にレーザを照射するレーザ加工制御部とを設けたレーザ加工装置において、プログラム生成部は、被加工物上にレーザ照射される製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工開始点からレーザ照射を開始し、レーザ加工開始点からカーブを描きながら製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行う工程と、製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行い、レーザ加工開始点と所定長さを隔てて製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工終了点に向かって、製品輪郭形状からカーブを描きながらレーザ照射を行う工程と、レーザ加工終了点に到達するとレーザ照射を停止する工程とを実行させる命令を含む加工プログラムを生成するので、バリは製品の端面から突出しないので、位置決めが必要となる他の工程で位置決め精度不良が発生する問題を防止することができ、作業者がバリによって怪我をする危険性を防止することができる。また、レーザ加工軌跡とレーザ加工の開始点及び終了点間は円弧状のカーブとなり、作業者がエッジによって怪我をする危険性を防止することができるという効果がある。
【0015】
本発明にかかるレーザ加工方法は、板状部材である被加工物に対してレーザを照射するレーザ照射処理と、被加工物及びレーザを照射するレーザ照射部の相対位置を調整して被加工物上のレーザを照射する位置を調整するレーザ照射位置決め処理と、所望の製品輪郭形状を形成するようにレーザ照射処理によるレーザ照射の開始と終了、及びレーザ照射位置決め処理による被加工物とレーザ照射部の移動を指示する命令を含む加工プログラムを生成するプログラム生成処理と、このプログラム生成処理により生成された加工プログラムに基づいて、被加工物上にレーザを照射するレーザ加工制御処理とを含むレーザ加工方法において、プログラム生成処理は、被加工物上にレーザ照射される製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工開始点からレーザ照射を開始し、レーザ加工開始点からカーブを描きながら製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行う工程と、製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行い、レーザ加工開始点と所定長さを隔てて製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工終了点に向かって、製品輪郭形状からカーブを描きながらレーザ照射を行う工程と、レーザ加工終了点に到達するとレーザ照射を停止する工程とを実行させる命令を含む加工プログラムを生成するので、バリは製品の端面から突出しないので、位置決めが必要となる他の工程で位置決め精度不良が発生する問題を防止することができ、作業者がバリによって怪我をする危険性を防止することができる。また、レーザ加工軌跡とレーザ加工の開始点及び終了点間は円弧状のカーブとなり、作業者がエッジによって怪我をする危険性を防止することができるという効果がある。
【0016】
本発明にかかる板金部材は、板状部材である被加工物に対して、所望の輪郭形状に沿って板状部材から切り離され、輪郭形状の一部に形成されたジョイントにおいて板状部材と繋ぎ止められた製品を有する板金部材において、板状部材に対向する製品の端面に対して製品の内側方向に食い込んだ形状の食い込み部にジョイントは形成されており、製品の端面から食い込み部にかけてカーブが形成されているので、バリは製品の端面から突出しないので、位置決めが必要となる他の工程で位置決め精度不良が発生する問題を防止することができ、作業者がバリによって怪我をする危険性を防止することができる。また、レーザ加工軌跡とレーザ加工の開始点及び終了点間は円弧状のカーブとなり、作業者がエッジによって怪我をする危険性を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかるレーザ加工装置の構成を示す斜視図である。
【図2】金属製の板材に形成されるレーザ加工軌跡を示す平面図である。
【図3】製品を板材から分離する前のミクロジョイント部分を拡大して示す平面図である。
【図4】製品を板材から分離した後のミクロジョイント部分を拡大して示す平面図である。
【図5】製品を板材から分離する作業を示す斜視図である。
【図6】製品を板材から分離する作業を示す斜視図である。
【図7】製品を板材から分離する作業を示す斜視図である。
【図8】曲線輪郭を持ち、製品の内側に開口穴がある製品を板材から分離する作業を示す斜視図である。
【図9】製品を板材から分離する作業を示す斜視図である。
【図10】バリの一例を示す平面図である。
【図11】バリの一例を示す平面図である。
【図12】位置決め精度不良の具体例を示す平面図である。
【図13】曲げ加工を行う加工装置を側面から簡略に示す側面図である。
【図14】従来のミクロジョイントの形成方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかるレーザ加工装置の構成を示す斜視図である。図1において、加工テーブル38上に、レーザ加工される金属製の板材3(被加工物)が載置される。板材3は材料クランプ33(レーザ照射位置決め部)に保持されて、加工テーブル38上をX軸方向37に沿って移動される。板材3に対してレーザを照射してレーザ加工を行う加工ヘッド34は、加工テーブル38上の板材3の上方に保持される。加工ヘッド34(レーザ照射部 レーザ照射位置決め部)は板材3に対してY軸方向35及びZ軸方向36に沿って移動される。板材3は、加工ヘッド34に対する相対位置が移動されることにより、レーザ照射位置が調整される。
【0019】
加工ヘッド34より照射されるレーザはレーザ発振器39によって発振される。CAD/CAM装置41(プログラム生成部)は、製品2の図面情報を元に製品2の展開形状データを作成した所望の製品輪郭形状を形成すべく、レーザ照射の開始と終了、板材3と加工ヘッド34の照射位置を決めるための移動を指示する命令を含むNCプログラムを作成する。NC(Numerical Control 数値制御)制御装置40(レーザ加工制御部)は、CAD/CAM装置41により作成されて、伝送ケーブル42を介して伝達されたNCプログラムに従って、材料クランプ33や加工ヘッド34の位置、加工ヘッド34からのレーザ照射を制御して、所望の輪郭形状を形成するためにレーザ照射を行う。レーザ照射により形成されたレーザ加工軌跡により板材3から区分された板材3の一部が製品2となる。
【0020】
次に動作について説明する。図1のようなレーザ加工装置を用いて製品2を加工するには、先ず製品2の図面情報を元にCAD/CAM装置41により製品2の展開形状データを作成した後、レーザ加工軌跡を制御するNCプログラムを作成する。本発明の特徴であるミクロジョイント加工方法はこのNCプログラム作成時に、後述するミクロジョイント形状及びレーザ加工軌跡の方向等を指定する事で実現される。作成されたNCプログラムは伝送ケーブル42を介してレーザ加工機に付属するNC制御装置40に伝送される。
【0021】
次にレーザ加工設備側の準備として、金属製の板材3の一辺を材料クランプ33により固定する。NC制御装置40にて製品2を加工する為のNCプログラムを呼び出し自動加工開始すると、レーザ加工ヘッドZ軸36が板材近傍まで下降し、レーザ発振器39から出力されたレーザビームがレーザ加工ヘッド34より下向きに照射されて板材3を溶断し貫通する。その状態でレーザ加工ヘッドのY軸移動35及び材料クランプ33のX軸移動37を相互に行う事で板材3から製品2の輪郭線を切断加工する事が出来る。
【0022】
図2は、金属製の板材に形成されるレーザ加工軌跡を示す平面図である。図2において、金属製の板材3にレーザ加工により製品2の外形輪郭線を走行する閉ループしないレーザ加工軌跡4aが形成されている。図上に示す矢印4bは、レーザ加工が施された方向を示す。板材3と製品2を繋ぎ止めるミクロジョイント1a、1bは対向する辺上のほぼ同じ位置に2箇所形成されている。図2上、11aはレーザ加工の開始点、11bはレーザ加工の終了点を示す。レーザ加工の開始点11aとレーザ加工の終了点11bは、製品2の輪郭形状に対してやや製品2の内側に位置する。なお、図2において、レーザ加工の開始点11a、レーザ加工の終了点11bはそれぞれ二つ、計4つ記載されているが、製品2の左側のレーザ加工軌跡4aのレーザ加工の開始点と終了点、製品2の右側のレーザ加工の開始点と終了点を示している。つまり、加工すべき製品輪郭形状を2つに分割したものととらえることができる。
【0023】
NC制御装置40のNCプログラムは、以下のレーザ加工を行うように、製品2のX軸方向への移動、加工ヘッド34のY軸方向とZ軸方向への移動、加工ヘッド34によるレーザ照射を制御する。具体的には、製品2の輪郭形状に対してやや製品2の内側に形成されたレーザ加工の開始点11aに加工ヘッド34が位置するように、製品2や加工ヘッドを移動させた後、開始点11aよりレーザ照射を開始する。そして、開始点11aから製品2の外側方向にカーブしながら、製品2の展開形状データにしたがって所望の輪郭形状をレーザ加工により描く。レーザの照射位置がレーザ加工の開始点11aのほぼ反対側まで到達すると、製品2の輪郭形状に対してやや製品2の内側に形成されたレーザ加工の終了点11bに向かって製品2の内側方向にカーブし、終了点11bにおいてレーザの照射を停止させる。
【0024】
そして、レーザ照射を停止したまま、レーザ加工の終了点11bからミクロジョイントの幅分隔てた位置にあるレーザ加工の開始点11aに加工ヘッド34が位置するように、製品2や加工ヘッド34を移動させると、レーザ加工の開始点11aと終了点11b間を同様にレーザ照射して、製品2の所望の輪郭形状を描く。この一連のレーザ加工により形成されたレーザ加工軌跡4aが製品2の輪郭形状を形成する。このレーザ加工の進行方向は逆になってもかまわない。レーザ加工の開始点11aと終了点11b間において、レーザ加工を一時停止した箇所がミクロジョイント1a、1bとなり、製品2の輪郭形状のうち、対向する辺上のほぼ同じ位置に2箇所形成される。また、レーザ加工の開始点11aとレーザ加工の終了点11bは、製品2の輪郭形状に対してやや製品2の内側に位置するので、製品2の輪郭形状に対して製品2の内側に食い込んだ食い込み部が形成される。つまり、ミクロジョイント1aと1bはこの食い込み部の内部に形成されていることになる。
【0025】
図3は、製品を板材から分離する前のミクロジョイント部分を拡大して示す平面図である。図3において図2と同一の符号は同一又は相当部分を示すので説明は省略する。図3において、レーザ加工軌跡4aの幅5はレーザ切断幅寸法でありおよそ0.3mm以下程度である。レーザ加工の開始点11aとレーザ加工の終了点11bは、製品2の輪郭形状に対してやや製品2の内側に位置するので、レーザ加工軌跡4aとレーザ加工の開始点11a及び終了点11b間は円弧状のカーブが形成されている。このカーブ6はR0.5mm以下程度に設定される。図上の符号7は板材側端面、符号8は製品側輪郭形状の製品側端面を示す。レーザ加工の開始点11aあるいはレーザ加工の終了点11bから製品側端面8までの幅、つまりミクロジョイント1a、1bが形成される食い込み部の食い込み深さ9はおよそ0.5mm以下程度に形成される。また、レーザ加工の開始点11aとレーザ加工の終了点11b間の幅、つまり、ミクロジョイントの幅10は0.5mm以下程度に形成されている。
【0026】
図4は、製品を板材から分離した後のミクロジョイント部分を拡大して示す平面図である。図4において図3と同一の符号は同一又は相当部分を示すので説明は省略する。図上、符号12は製品2を板材3から分離した後に食い込み部の底部に残るミクロジョイントの残部(バリ)、符号13は食い込み部を形成する形状の始点及び終点であり、符号14は上記始点及び終点13間の距離寸法であり、食い込み部の幅を示す。食い込み部の幅14は2mm以下程度に設定される。板材3と製品2を分離した後に残るミクロジョイント残部12は、食い込み部の内部、食い込み深さ9の位置でちぎれるため、ミクロジョイント残部12が製品2の輪郭形状端面8より凸状に突起することはない。食い込み部の底部は、レーザ加工の開始点及び終了点に相当し、この底部から製品側端面8までの高さ(深さ)がミクロジョイント残部12よりも大きいので、ミクロジョイント残部12が作業者に触れられることはない。
【0027】
図5は、製品を板材から分離する作業を示す斜視図である。図5において図2と同一の符号は同一又は相当部分を示すので説明は省略する。図5において、板材3と製品2を繋ぎ止めるミクロジョイント1a、1bは対向する辺上のほぼ同じ位置に2箇所形成されている。より詳細には、ミクロジョイント1a、1bは、製品2の長手方向を形成する辺の中心部にそれぞれ設けられている。そして、このミクロジョイント1a及び1bを結ぶ製品2の中心軸19を中心に、製品2を板材3に対して回転させることにより両者を分離する。製品2の辺のうち、ミクロジョイント1a及び1bが形成されていない辺を開放辺20と称する。本発明では製品2を板材3から分離するにあたり製品2の任意の対辺にミクロジョイント1a及び1bを二箇所設け、開放辺20に対して手で押し込む又は引き上げる事により製品2の中心軸19を支点とした回転動作21を行い、板材3と製品2を繋ぎとめているミクロジョイント1a及び1bはねじれ現象によりちぎれて製品2が板材3から分離される。
【0028】
板材3と製品2を繋ぎ止めるミクロジョイント1a、1bを形成する位置は、製品2を板材3に対して回転可能な位置に形成することが必要である。例えば、ミクロジョイント1a、1bは互いに対向する辺上のほぼ同じ位置に2箇所形成するが、「対向する辺上のほぼ同じ位置」とは、例えば、製品2の開放辺20の中心を通る線(製品2の対称軸)を境に製品2を折り返したときに互いに重なる2つの点と考えることができる。このような位置にミクロジョイント1a、1bを設けることにより、製品2は板材3に対して回転可能となり、ニッパーのような工具を使わずに製品2を板材3から分離することができる。したがって、分離作業の簡素化が図られる。
【0029】
図6は、製品を板材から分離する作業を示す斜視図である。図6において図5と同一の符号は同一又は相当部分を示すので説明は省略する。図5に示すものと同様、図6においても、板材3と製品2を繋ぎ止めるミクロジョイント1a、1bは対向する辺上のほぼ同じ位置、図6の場合には、製品2の開放辺23の中心を通る線を境に製品2を折り返したときに互いに重なる位置に2箇所形成されている。しかし、図5に示すものが、製品2の長手方向を形成する辺の中心部にそれぞれミクロジョイント1a、1bが設けられているのに対し、図6に示すものは、ミクロジョイント1a、1bを、製品2の長手方向を形成する辺の中心部ではなく、中心部からずれた位置に設けている。このミクロジョイント1a、1bを結ぶ製品2の軸線22を中心に、製品2を板材3に対して往復運動24を繰り返すことで、板材3と製品2を繋ぎとめているミクロジョイント1a及び1bはねじれ現象によりちぎれて製品2が板材3から分離される。ニッパーのような工具を使わずに製品2を板材3から分離することができるので、分離作業の簡素化が図られる。
【0030】
図7は、製品を板材から分離する作業を示す斜視図である。図7において図5と同一の符号は同一又は相当部分を示すので説明は省略する。図5に示すものと同様、図7においても、板材3と製品2を繋ぎ止めるミクロジョイント1d、1eを線対称な位置に形成されている。しかし、図5に示すものが、製品2の開放辺23の中心を通る線を境に製品2を折り返したときに互いに重なる辺上の位置にミクロジョイントを2箇所形成されているのに対し、図7に示すものは、ミクロジョイントを辺上に形成するのではなく、2本の辺が交わる頂点28のうち、製品2の対角線を境に製品2を折り返したときに互いに重なる箇所に2箇所形成されている。対角線27を回転軸として製品2を板材3に対して回転運動24させ、製品2の輪郭形状が回転不可の場合(例えば、対角線で区分した2つの図形が合同でない場合回転しない)には往復運動をさせることにより、板材3と製品2を繋ぎとめているミクロジョイント1a及び1bはねじれ現象によりちぎれて製品2が板材3から分離される。ニッパーのような工具を使わずに製品2を板材3から分離することができるので、分離作業の簡素化が図られる。
【0031】
上記説明のとおり、バリであるミクロジョイント残部12は食い込み部の内部に残り、製品2の輪郭形状端面8から突出しないので、位置決めが必要となる他の工程で位置決め精度不良が発生する問題を防止することができる。また、食い込み部の幅14は2mmと小さく、この食い込み部の内部にミクロジョイント残部12が隠れることから、作業者がバリによって怪我をする危険性を防止することができる。また、レーザ加工軌跡4aとレーザ加工の開始点11a及び終了点11b間は円弧状のカーブが形成されるが、この食い込み部の両側に形成されたカーブは、図14に示した製品端面aと入れ込み部bを繋ぐエッジに比べて鋭利ではないため、作業者がエッジによって怪我をする危険性を防止することができる。また、ミクロジョイントは、製品の辺のうち、対向する辺上のほぼ同じ位置に2箇所設けたので、製品を板材に対して回転運動ないし往復運動させることにより、ニッパーのような工具を使わずに製品2を板材3から分離することができるので、分離作業の簡素化が図られる。さらに、バリ取り作業は不要となるので、バリ取りに要していた工数、費用、時間を削減することが可能となった。
【0032】
実施の形態2.
実施の形態1では、レーザ加工装置を使用して金属製の板材に製品2の輪郭形状を形成する場合を示したが、レーザ加工装置以外でも例えば、パンチ・レーザ複合加工機、ワイヤーカット放電加工機、ウォータージェット加工機、プラズマ溶断加工機、電子ビーム加工機、ルーター加工機等、NC数値制御を使用して輪郭切断加工が可能な装置を用いて実施しても良い。この場合はパンチプレス加工での金型に関する制約がなく、自由曲線形状の加工や板厚及び材質も適宜選択可能であり、多くの製品種類への適用も可能となる。
【0033】
図8は曲線輪郭を持ち、製品の内側に開口穴がある製品を板材から分離する作業を示す斜視図である。図8において図5と同一の符号は同一又は相当部分を示すので、説明は省略する。図8において、符号29は曲線輪郭形状を持ち、内側に開口穴30が形成された製品である。製品29を形成するためには、製品29を板材3から分離するとともに、製品29から製品29内側の板材、すなわち開口穴の捨て材31を分離する必要がある。製品29はミクロジョイント1a、1bで製品3に繋ぎ止められている。そして、捨て材31はミクロジョイント1f、1gで製品29に繋ぎ止められている。符号32は捨て材31のミクロジョイント1f及び1gを結ぶ回転軸を示している。
【0034】
実施の形態1で示した効果は製品29の外形輪郭切断加工及び分離作業に限らず、例えば製品29内部に開口穴30があった場合において、その開口穴捨て材31を繋ぎ止めておく場合などにも応用できる。その場合は如何なる形状の開口穴であっても、捨て材31の任意の対辺に並列となるようミクロジョイント1f及び1gを配置し、捨て材31のミクロジョイント1f及び1gを結ぶ回転軸32を支点に回転又は反転させることにより容易に製品29から捨て材31を分離させる事ができる。その際にミクロジョイント1f及び1gは製品29側に食い込ませる事で、開口穴30の内径端面にジョイント残部の突起が出ないため、製品内部の開口穴であっても取扱い時の切創災害防止となり、後工程でのバリ取り作業が不要になる。
【0035】
実施の形態3.
図9は製品を板材から分離する作業を示す斜視図である。図9において図5と同一の符号は同一又は相当部分を示すので、説明は省略する。図9において、ミクロジョイント1a及び1bは実施の形態1において説明された方法でレーザ加工により、製品2の任意の一辺25に設けられる。そして、開放辺26を板材3より持ち上げた状態で、往復動作24を繰り返す事により板材3から製品2の分離作業を行う事ができる。また、製品によって、特に薄板小物部品の場合などは製品2の任意の一辺25の中央に設けるミクロジョイント1cを一箇所のみとする事も可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 ミクロジョイント
2 製品
3 金属製の板材
4a レーザ加工軌跡
4b レーザ加工が施された方向
5 レーザ加工軌跡の幅
6 カーブ
7 板材側端面
8 製品側輪郭形状の製品側端面
9 食い込み深さ
10 ミクロジョイントの幅
11a レーザ加工の開始点
11b レーザ加工の終了点
12 ミクロジョイントの残部
13 食い込み部を形成する形状の始点及び終点
14 食い込み部の幅
15 ワイヤージョイント
16 残部突起
17 コーナーミクロジョイント
18 残部突起
19 中心軸
20 開放辺
21 回転動作
22 軸線
23 開放辺
24 往復運動を示す矢印
25 製品の任意の辺
26 開放辺
27 対角線
28 頂点
29 製品
30 開口
31 捨て材
32 回転軸
33 材料クランプ
34 加工ヘッド
35 Y軸方向
36 Z軸方向
37 X軸方向
38 加工テーブル
39 レーザ発振器
40 NC制御装置
41 CAD/CAM装置
42 伝送ケーブル
43 バックゲージ
44 中心軸
45 曲げ線
46 パンチ
47 ダイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材である被加工物に対してレーザを照射するレーザ照射部と、
前記被加工物及び前記レーザ照射部の相対位置を調整して前記被加工物上のレーザを照射する位置を調整するレーザ照射位置決め部と、
所望の製品輪郭形状を形成するように前記レーザ照射部によるレーザ照射の開始と終了、及び前記レーザ照射位置決め部による前記被加工物と前記レーザ照射部の移動を指示する命令を含む加工プログラムを生成するプログラム生成部と、
このプログラム生成部により生成された加工プログラムに基づいて、前記レーザ照射部及び前記レーザ照射位置決め部とを制御して前記被加工物上にレーザを照射するレーザ加工制御部とを設けたレーザ加工装置において、
前記プログラム生成部は、前記被加工物上にレーザ照射される製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工開始点からレーザ照射を開始し、前記レーザ加工開始点からカーブを描きながら前記製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行う工程と、前記製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行い、前記レーザ加工開始点と所定長さを隔てて前記製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工終了点に向かって、前記製品輪郭形状からカーブを描きながらレーザ照射を行う工程と、前記レーザ加工終了点に到達するとレーザ照射を停止する工程とを実行させる命令を含む加工プログラムを生成することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
プログラム生成部は、製品輪郭形状を2つに分割したうちの第一の製品輪郭形状の内側に設けられた第一のレーザ加工開始点からレーザ照射を開始し、前記第一のレーザ加工開始点からカーブを描きながら前記第一の製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行う工程と、
前記第一の製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行い、前記製品輪郭形状の対称軸を中心に折り返した場合に前記第一のレーザ加工開始点と重なる位置であって、前記第一の製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工終了点に向かって、前記第一の製品輪郭形状からカーブを描きながらレーザ照射を行う工程と、
前記第一のレーザ加工終了点に到達するとレーザ照射を停止する工程と、
前記製品輪郭形状を2つに分割したうちの第二の製品輪郭形状の内側に設けられ、前記第一のレーザ加工終了点と所定長さを隔てて前記第二の製品輪郭形状の内側に設けられた第二のレーザ加工開始点からレーザ照射を開始し、前記第二のレーザ加工開始点からカーブを描きながら前記第二の製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行う工程と、
前記第二の製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行い、前記製品輪郭形状の対称軸を中心に折り返した場合に前記第二のレーザ加工開始点と重なる位置であって、前記第二の製品輪郭形状の内側に設けられた第二のレーザ加工終了点に向かって、前記第二の製品輪郭形状からカーブを描きながらレーザ照射を行う工程と、
前記第二のレーザ加工終了点に到達するとレーザ照射を停止する工程とを実行させる命令を含む加工プログラムを生成することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
レーザ加工開始点及びレーザ加工終了点と製品輪郭形状間で形成されるカーブはR=0.5mm程度に形成され、前記レーザ加工開始点からのカーブが前記製品輪郭形状に達する位置と前記レーザ加工終了点からのカーブが前記製品輪郭形状に達する位置間の幅は2mm程度に形成されることを特長とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
第一のレーザ加工開始点及び第二のレーザ加工終了点と第一及び第二の製品輪郭形状間で形成されるカーブ、第一のレーザ加工終了点及び第二のレーザ加工開始点と第一及び第二の製品輪郭形状間で形成されるカーブは、それぞれR=0.5mm程度に形成され、前記第一のレーザ加工開始点からのカーブが前記第一の製品輪郭形状に達する位置と前記第二のレーザ加工終了点からのカーブが前記第二の製品輪郭形状に達する位置間の幅、及び前記第一のレーザ加工終了点からのカーブが前記第一の製品輪郭形状に達する位置と前記第二のレーザ加工開始点からのカーブが前記第二の製品輪郭形状に達する位置間の幅は2mm程度に形成されることを特長とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
板状部材である被加工物に対してレーザを照射するレーザ照射処理と、
前記被加工物及びレーザを照射するレーザ照射部の相対位置を調整して前記被加工物上のレーザを照射する位置を調整するレーザ照射位置決め処理と、所望の製品輪郭形状を形成するように前記レーザ照射処理によるレーザ照射の開始と終了、及び前記レーザ照射位置決め処理による前記被加工物と前記レーザ照射部の移動を指示する命令を含む加工プログラムを生成するプログラム生成処理と、このプログラム生成処理により生成された加工プログラムに基づいて、前記被加工物上にレーザを照射するレーザ加工制御処理とを含むレーザ加工方法において、
前記プログラム生成処理は、前記被加工物上にレーザ照射される製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工開始点からレーザ照射を開始し、前記レーザ加工開始点からカーブを描きながら前記製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行う工程と、
前記製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行い、前記レーザ加工開始点と所定長さを隔てて前記製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工終了点に向かって、前記製品輪郭形状からカーブを描きながらレーザ照射を行う工程と、
前記レーザ加工終了点に到達するとレーザ照射を停止する工程とを実行させる命令を含む加工プログラムを生成することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項6】
プログラム生成処理は、製品輪郭形状を2つに分割したうちの第一の製品輪郭形状の内側に設けられた第一のレーザ加工開始点からレーザ照射を開始し、前記第一のレーザ加工開始点からカーブを描きながら前記第一の製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行う工程と、
前記第一の製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行い、前記製品輪郭形状の対称軸を中心に折り返した場合に前記第一のレーザ加工開始点と重なる位置であって、前記第一の製品輪郭形状の内側に設けられたレーザ加工終了点に向かって、前記第一の製品輪郭形状からカーブを描きながらレーザ照射を行う工程と、
前記第一のレーザ加工終了点に到達するとレーザ照射を停止する工程と、
前記製品輪郭形状を2つに分割したうちの第二の製品輪郭形状の内側に設けられ、前記第一のレーザ加工終了点と所定長さを隔てて前記第二の製品輪郭形状の内側に設けられた第二のレーザ加工開始点からレーザ照射を開始し、前記第二のレーザ加工開始点からカーブを描きながら前記第二の製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行う工程と、
前記第二の製品輪郭形状に沿ってレーザ照射を行い、前記製品輪郭形状の対称軸を中心に折り返した場合に前記第二のレーザ加工開始点と重なる位置であって、前記第二の製品輪郭形状の内側に設けられた第二のレーザ加工終了点に向かって、前記第二の製品輪郭形状からカーブを描きながらレーザ照射を行う工程と、
前記第二のレーザ加工終了点に到達するとレーザ照射を停止する工程とを実行させる命令を含む加工プログラムを生成することを特徴とする請求項5に記載のレーザ加工方法。
【請求項7】
レーザ加工開始点及びレーザ加工終了点と製品輪郭形状間で形成されるカーブはR=0.5mm程度に形成され、前記レーザ加工開始点からのカーブが前記製品輪郭形状に達する位置と前記レーザ加工終了点からのカーブが前記製品輪郭形状に達する位置間の幅は2mm程度に形成されることを特長とする請求項5に記載のレーザ加工方法。
【請求項8】
第一のレーザ加工開始点及び第二のレーザ加工終了点と第一及び第二の製品輪郭形状間で形成されるカーブ、第一のレーザ加工終了点及び第二のレーザ加工開始点と第一及び第二の製品輪郭形状間で形成されるカーブは、それぞれR=0.5mm程度に形成され、前記第一のレーザ加工開始点からのカーブが前記第一の製品輪郭形状に達する位置と前記第二のレーザ加工終了点からのカーブが前記第二の製品輪郭形状に達する位置間の幅、及び前記第一のレーザ加工終了点からのカーブが前記第一の製品輪郭形状に達する位置と前記第二のレーザ加工開始点からのカーブが前記第二の製品輪郭形状に達する位置間の幅は2mm程度に形成されることを特長とする請求項6に記載のレーザ加工方法。
【請求項9】
板状部材である被加工物に対して、所望の輪郭形状に沿って前記板状部材から切り離され、前記輪郭形状の一部に形成されたジョイントにおいて前記板状部材と繋ぎ止められた製品を有する板金部材において、
前記板状部材に対向する前記製品の端面に対して前記製品の内側方向に食い込んだ形状の食い込み部に前記ジョイントは形成されており、前記製品の端面から前記食い込み部にかけてカーブが形成されていることを特徴とする板金部材。
【請求項10】
食い込み部は、製品の対称軸を中心に折り返した場合に互いに重なりあう、製品の輪郭上の2箇所に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の板金部材。
【請求項11】
食い込み部のカーブはR=0.5mm程度に形成され、前記食い込み部の幅は2mm程度に形成されていることを特長とする請求項9に記載の板金部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−83788(P2011−83788A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237321(P2009−237321)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】