レーザ接合方法及びレーザ接合物
【課題】複数の材料相互をレーザ接合する際に、使用する材料を同一種類として材料費を抑える。
【解決手段】一対の合成樹脂材料1,3の接合面1a,3aを傾斜面として互いに向かい合わせることで、これら接合面1a,3a相互間に隙間5を形成し、この隙間5の広い側から狭い側に向けてレーザ光7を照射する。レーザ光7の照射によって隙間5の主に狭い側の接合面1a,3aが溶融し、この状態で合成樹脂材料1,3を互いに接近する方向に加圧する。これにより、溶融した溶融材料9の一部が隙間5の広い側に向けて流れ、隙間5の全域に溶融材料9が行き渡り固化することで、合成樹脂材料1,3相互が溶着接合される。
【解決手段】一対の合成樹脂材料1,3の接合面1a,3aを傾斜面として互いに向かい合わせることで、これら接合面1a,3a相互間に隙間5を形成し、この隙間5の広い側から狭い側に向けてレーザ光7を照射する。レーザ光7の照射によって隙間5の主に狭い側の接合面1a,3aが溶融し、この状態で合成樹脂材料1,3を互いに接近する方向に加圧する。これにより、溶融した溶融材料9の一部が隙間5の広い側に向けて流れ、隙間5の全域に溶融材料9が行き渡り固化することで、合成樹脂材料1,3相互が溶着接合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光の照射を受けて材料相互が溶着接合されるレーザ接合方法及びレーザ接合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を照射して樹脂材料相互を溶着接合する際には、レーザ光に対して吸収性の性質を有する材料と、非吸収性の性質を有する材料とを互いに重ね合わせた後、レーザ光を非吸収性側から照射している。照射したレーザ光は、非吸収性の材料を透過して吸収性の材料に達し、該吸収性の材料を発熱させることで、吸収性の材料とともに非吸収性の材料も溶融して両材料相互が接合される(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平1−51924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来のレーザ接合方法では、使用する材料として、レーザ光に対して吸収性の材料と非吸収性の材料の2種が必要となるので、その分材料費が高くなるという課題があり、改善が望まれている。
【0004】
そこで、本発明は、複数の材料相互をレーザ接合する際に、使用する材料を同一種類として材料費を抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数のレーザ吸収性材料に対し、レーザ光をそれぞれ直接照射して溶融させ、この溶融した部位同士を溶着して複数のレーザ吸収性材料同士を接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数のレーザ吸収性材料に対し、レーザ光をそれぞれ直接照射して溶融させるようにしたので、複数の材料相互をレーザ接合する際に、使用する材料を同一種類として材料費を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
[第1の実施形態]
【0008】
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるレーザ接合方法を示している。図1(a)に示すように、一対の合成樹脂材料1,3を互いに向かい合わせて配置し、これら各合成樹脂材料1,3相互間の隙間5に向けてレーザ光7を照射する。
【0009】
合成樹脂材料1,3は、いずれもレーザ光7の照射を受けて吸収し、該吸収したレーザ光7のエネルギを熱に変換するレーザ吸収性材料であり、レーザ光7に対して吸収性の性質を有する材料ある。したがって、本レーザ接合時に使用する複数の材料は同一の1種類のみとすることができる。
【0010】
上記した合成樹脂材料1,3としては、ポリアセタール[POM],ポリアミド[PA],ポリブチレンテレフタレート[PBT],ポリエーテルエーテルケトン[PEEK],ポリエチレン[PE],ポリエチレンテレフタレート[PET],ポリフェニレンスルフィド[PPS],ポリプロピレン[PP],ポリテトラフルオロエチレン[PTFE],ポリ塩化ビニル[PVC]などの熱可塑性プラスチックを母材として、ガラス繊維などの強化材を配合した配合物であり、その他着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤を微量配合している。なお、着色剤として例えばカーボンブラックを配合することで黒色化して吸収性を持たせているので、その他の酸化防止剤、帯電防止剤及び潤滑剤は、本レーザ接合を実施するに当たり必ずしも配合する必要はない。
【0011】
また、レーザ光としては、合成樹脂材料1,3を溶融できればよいので、半導体レーザやCO2レーザなど特に限定するものではなく、熱可塑性プラスチックの種類に対応して適宜選択すればよい。
【0012】
図1(a)に示すように、上記した合成樹脂材料1,3は、接合部位となる互いに対向する接合面1a,3aが上下方向で線対称となるよう傾斜しており、この傾斜によって、接合面1a,3a相互間の前記した隙間5が、図1(a)中で右側の一方の端部から同左側の他方の端部に向けて徐々に広くなっている。この際、上記右側の一方の端部側では合成樹脂材料1,3は互いに接触するか、あるいはわずかな隙間を備えてほぼ接触した状態となっているものとする。
【0013】
上記図1(a)の状態で、レーザ光7を、隙間5の広い側から狭い側に向けて隙間5の上下方向ほぼ中心位置に沿って照射する。このときレーザ光7は、例えば直径寸法Aとして、合成樹脂材料1,3の厚さ(図1(a)中で左右方向の厚さ)寸法のほぼ中心位置から隙間5の狭い側に直接照射される。したがって、この照射部位がレーザ光7の照射を受ける受光部1b,3bであり、該受光部1b,3bよりも隙間5の広い側がレーザ光7の照射を受けない非受光部1c,3cとなる。
【0014】
レーザ光7の照射を受けた受光部1b,3bは、図1(b)に示すように、レーザ光7を吸収し発熱することで溶融して溶融部1d,3dが形成され、その後、図1(c)に示すように、合成樹脂材料1,3に対し、隙間5が狭くなる方向に上下から図示しないプレス装置などを用い矢印Pで示すように加圧する。
【0015】
上記図1(c)では、溶融部1d,3dが押し潰された部位を溶融材料9として示してあり、この溶融材料9一部が非受光部1c,3c側に向けて流れ、最終的には図1(d)に示すように、加圧によって隙間5が狭められると同時に、この狭められた隙間5内に上記流れてきた溶融材料9の一部が入り込み、接合面1a,3a相互間の隙間5がなくなって合成樹脂材料1,3相互が溶着されて接合されることになる。
【0016】
合成樹脂材料1,3相互が図1(d)のように接合された接合物は、溶融材料9が溶融後に固化した再溶融固化部11が溶着部となって合成樹脂材料1,3相互を溶着接合している。この再溶融固化部11は、図1(a)の受光部1b,3bに対応する受光部接合領域11aと、非受光部1c,3cに対応する非受光部接合領域11bとを有している。
【0017】
すなわち、受光部接合領域11aは、レーザ光7の照射を受けて溶融した後固化して接合される領域であり、非受光部接合領域11bは、受光部1b,3bがレーザ光7の照射を受けて溶融した溶融材料9の一部が流れてきた後固化して接合される領域である。
【0018】
そして、上記図1(d)に示すレーザ接合物は、受光部接合領域11aがレーザ光7を直接受けて溶融した領域であり、また非受光部接合領域11bが受光部1b,3bから流れてきた一部の溶融材料9によって形成された領域であることから、受光部接合領域11aの接合方向(図1(d)中で上下方向)の厚さは、非受光部接合領域11bの同厚さに比較して厚くなっている。
【0019】
すなわち、レーザ光7の照射を受けて溶融した溶融材料9が固化した再溶融固化部11は、受光部1b,3bで厚く非受光部1c,3cで薄いものとなっている。
【0020】
上記したように、本実施形態では、同一種類のレーザ吸収性材料である合成樹脂材料1,3に対し、レーザ光7をそれぞれ直接照射して溶融させるようにしたので、複数の材料相互をレーザ接合する際に、使用する材料を同一種類として材料費を抑えることができる。
【0021】
また、本実施形態では、合成樹脂材料1,3をその各接合部位が互いに向かい合う状態で配置し、この各接合部位をレーザ光7によって同時に照射した後、合成樹脂材料1,3相互をそのまま接近させて加圧し接合できる。このため、接合部位が溶融した後、すばやく加圧して接合でき、溶融部1d,3d(溶融材料9)の硬化を抑制して高品質な接合物とすることができる。
【0022】
さらに、本実施形態では、合成樹脂材料1,3相互間に形成した隙間5の広い側から狭い側に向けてレーザ光7を照射して溶融させた後、この隙間5が狭くなる方向に合成樹脂材料1,3相互を接近させて加圧し接合することで、レーザ光7を照射しない隙間5の広い側は、レーザ光7を照射して溶融した溶融材料9の一部が流れてきて溶着することができる。これにより、合成樹脂材料1,3相互間の接合部位全体にレーザ光7を照射する必要がなく、レーザ光照射によるエネルギ消費を低く抑えることができるとともにレーザ照射時間も短縮し、製造コストを削減することが可能となる。
【0023】
このようなレーザ接合方法によって製造するレーザ接合物としては、図2に示すような自動車に搭載するABS装置のコントロールユニット13のハウジング15がある。このハウジング15は、ベース17とカバー19とを備え、図3の分解斜視図で示すように、内部に各種電子部品を実装した回路基板21などを収容している。
【0024】
上記したベース17とカバー19とが、前記図1に示した同一種類の合成樹脂材料1と合成樹脂材料3とにそれぞれに相当する。すなわち、ベース17とカバー19との互いに対向する周縁17a,19a相互が、前記図1に示した接合面1a,3aにそれぞれ対応し、これら周縁17a,19a相互間に前記したレーザ光7を照射してベース17とカバー19とを溶着接合する。
【0025】
具体的には、図2に示すように、ベース17とカバー19とを、周縁17a,19a相互が対向した状態で互いに重ね合わせ、この状態でレーザ照射ヘッド23から照射するレーザ光7を周縁17a,19a相互間に照射する。この際、周縁17a,19a全周を溶着接合するために、図2に示すベース17及びカバー19全体を回転させるか、あるいは、レーザ照射ヘッド23を周縁17a,19aに沿って移動させる。このとき、レーザ照射ヘッド23と周縁17a,19aとの間隔を常に一定に確保するようレーザ照射ヘッド23を周縁17a,19aに対して適宜接近離反移動させる。
【0026】
そして、このようなABS装置におけるコントロールユニット13のハウジング15に本発明のレーザ接合方法を適用することで、外観品質を高めたり、ハウジング15を小型化する上で有利となっている。
【0027】
例えば、加熱した熱板により互いに接合する材料の接合面を溶融させた後、この溶融部位を突き合わせて接合する熱板溶着による接合方法の場合には、溶融部位が外側に食み出すことが避けられないので、外観品質の低下を招く。また、互いに接合する材料の接合面相互を突き合わせた状態で、超音波振動させて接合する振動溶着による接合方法では、やはり振動時の摩擦熱によって発生する溶融部が外部に露出するので、この溶融物を収容する空間を溶着部の外側に形成しておく必要があり、この空間を設ける分ハウジングの大型化を招いてしまう。
【0028】
これに対して、本実施形態のレーザ接合方法によれば、レーザ光7により接合面1a,3aの一部を溶融させているので、溶融量を少なく抑えることができ、しかも溶融材料9は溶融していない非受光部1c,3cに向けて流れるようにしていることから、加圧しても溶融物の外部へのはみ出し量を少なくすることができ、もって外観品質の向上に寄与することができる。また、溶融物の外部への食み出し量を少なくできるので、溶融物を収容する空間を溶着部の外側に形成する必要がなく、したがってハウジングの大型化を回避することができる。
【0029】
なお、前記図1においては、レーザ光7を隙間5の狭い側のみに照射しているが、広い側も含めて隙間5の全体にレーザ光7を照射するようにしてもよい。その場合には、レーザ光7のスポット径(直径)を、図1の寸法Aよりも大きくして隙間5の広い側と同等かそれより大きくするか、あるいは、図4(a)に示すように、レーザ照射ヘッド23を隙間5に対して上下方向に相対移動させてもよい。レーザ照射ヘッド23を隙間5に対して上下方向に相対移動させる作業は、前記図1(a)の受光部1b,3bにレーザ光7を照射する場合にも適用できる。
【0030】
このように、接合部位全体にレーザ光7を照射して溶融させることで、接合強度が安定する。
【0031】
また、図4(b)に示すように、合成樹脂材料1,3の前記図1(a)の接合面1a,3aに対応する接合部位に複数の段差1e,3eを設け、これにより隙間5の広さを段階的に変化させてもよい。この場合、上記した段差1e,3eに、レーザ光7の照射方向に対向するレーザ光受け面1f,3fを備えている。このため、レーザ光7をレーザ光受け面1f,3fで効率よく受けることができて、受光部でのレーザ光7のエネルギ密度が高くなり、合成樹脂材料1,3を効率よく溶融させることができ、レーザ光7照射によるエネルギ消費を低く抑えることができる。
【0032】
さらに、図4(c)に示すように、合成樹脂材料1,3の前記図1(a)の接合面1a,3aに対応する接合部位を、図1の(a)の傾斜している平面形状に代えて凹状の曲面形状としてもよい。これにより、隙間5の奥側(狭い側)にレーザ光7の照射方向に対向するレーザ光受け面1g,3gが形成されることになり、したがってこの場合にも、レーザ光7をレーザ光受け面1g,3gで効率よく受けることができて、奥側でのレーザ光7のエネルギ密度が高くなり、合成樹脂材料1,3を効率よく溶融させることができる。
【0033】
なお、上記図4(a),(b),(c)の例においても、レーザ光7の照射後は、合成樹脂材料1,3を互いに接近する方向に加圧することで、前記図1のものとほぼ同様に溶融材料が隙間5の狭い側に流れて溶着接合される。
【0034】
図5は、前記図1の例に対し、隙間5内に不活性ガス吐出ノズル25から不活性ガス27を噴射供給している。不活性ガス27は、レーザ光7の照射と同時に行って隙間5内の空気を排除(ガスパージ)するもので、レーザ光7照射による溶融面(接合面)の酸化及び、空気の巻き込みによる気泡発生を抑えることができ、接合強度を高めることができる。
【0035】
なお、この不活性ガス27の供給は、前記図4(a),(b),(c)の各例においても適用できることはもちろんである。
【実施例】
【0036】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例で実施した接合強度はJISK−7113に準拠して引張特性を測定した。
【0037】
実験材料はポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いる。接合条件として、レーザパワーが20A、レーザ走査速度が1、2、3、4mm/s、接合圧力が0.1、0.2、0.3MPa、接合押込み速度が2mm/minに設定した。
【実施例1】
【0038】
表1を用いて説明する。
いずれの溶着圧力でも走査速度の減少にともない溶着強度が向上する。また、走査速度V=1mm/sの場合、いずれの溶着圧力でも、母材の75%以上の溶着強度が得られた。これは、走査速度が遅いことにより接合面の溶融樹脂の排出が多くなったことが要因に挙げられる。溶着圧力P=0.1MPaでは、走査速度の減少にともない、溶着強度が増加する。溶着圧力P=0.2MPaでは、溶着圧力P=0.1MPaの場合と比べると、走査速度V=3、4mm/sで溶着強度のばらつきが小さくなった。接合圧力P=0.3MPaでは,溶着圧力P=0.1MPaと比べると、いずれの走査速度でもばらつきが小さくなった。つまり、走査速度の速さに関わらず溶着圧力が高いほど、安定して接合できることがわかった。
【表1】
【0039】
以上より、基本的に走査速度の減少は溶着強度の向上に有効であると考えられる。また、溶着の際に溶融樹脂を多く排出することが溶着強度の向上に関わっていると考えられる。
【実施例2】
【0040】
表2を用いて説明する。
いずれの走査速度(V=1〜3mm/s)においても、溶着圧力P=0.3MPaで最も高い溶着強度が得られた。走査速度V=1mm/sの場合では,溶着圧力P=0.1MPaと低くても、母材の75%以上の溶着強度に達した。中でも溶着圧力P=0.3MPaでは,母材の90%(47MPa)以上の溶着強度が得られた。また、溶着圧力の増加にともなって、溶着強度のばらつきが小さくなった。走査速度V=2mm/sおよび走査速度V=3mm/sの場合も同様に溶着圧力の増加にともなって、溶着強度が向上した。走査速度V=4mm/sのときでは、溶着圧力が増加しても、溶着強度の向上は見られず、微減した。
【表2】
【0041】
以上より、基本的に溶着圧力は溶着強度の向上に有効であることがわかった。また、溶着圧力の増加は、溶着強度のばらつきを小さくし、安定した接合ができると考えられる。
【実施例3】
【0042】
接合破断面は、Auスパッタコーティングを行ってから、走査型電子顕微鏡S−4300型で観察した。その結果、溶着強度の低い溶着体は、樹脂の排出量が少なく、接合面積が小さくなっている。一方、溶着強度の高い溶着体は、樹脂の排出量が多く、接合面積が大きくなっている。つまり、樹脂の排出量が多く、接合面積が大きくなるほど、溶着強度の向上が期待できる。また、溶着強度の低い溶着体は、亀裂が直線的で粗いものが多いが、一方、溶着強度の高い溶着体は、亀裂が非直線的で短小なものが多くなる傾向がある。
【0043】
以上より、本発明における新しいレーザ接合方法の有効性が認められた。つまり、レーザ走査速度、溶着圧力、レーザパワーを調整すれば、いずれの材料においても高い溶着強度を得ることが可能である。
【0044】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係わるレーザ接合方法を示している。この実施形態は、図1の一対の合成樹脂材料1,3と同材料からなる円筒のカップ形状の一対の合成樹脂材料10,30相互を溶着接合している。一対の合成樹脂材料10,30は、図6(a)に示すように、接合部位となる開口側の接合面10a,30aを互いに平行としかつ離間させた状態で対向させている。
【0045】
そして、この接合面10a,30a相互間の一部位にレーザ光反射手段29を配置し、このレーザ光反射手段29でレーザ光7を反射させて左右に進行させ、この左右に進行するレーザ光7a,7bを、一対の合成樹脂材料10,30の接合面10a,30aにそれぞれ同時に照射する。なお、レーザ光反射手段29の具体的な構成については後述する。
【0046】
レーザ光7a,7bを照射する際には、円筒状の合成樹脂材料10,30をその中心軸線を中心として回転させる。これにより、接合面10a,30aの全周をレーザ光7a,7bの照射によって溶融させる。このときの接合面10a,30aに対するレーザ光7a,7bの照射部位10b,30bは、接合面10a,30aの幅方向中央の一部とするが、接合面10a,30a全域に照射してもよい。
【0047】
レーザ光7a,7bの照射後は、レーザ光反射手段29を合成樹脂材料10,30相互間から外れた位置に移動させた後、図6(b)のように合成樹脂材料10,30を互いに接近させて突き合わせ、前記図1のときと同様にして加圧することで、合成樹脂材料10,30相互を溶着接合する。
【0048】
これにより、本実施形態においても、前記図1に示した第1の実施形態と同様に、同一種類のレーザ吸収性材料である合成樹脂材料10,30に対し、レーザ光7をそれぞれ直接照射して溶融させるようにしているので、複数の材料相互をレーザ接合する際に、使用する材料を同一種類として材料費を抑えることができる。
【0049】
また、本実施形態においても、合成樹脂材料10,30をその各接合部位が互いに向かい合う状態で配置しているので、この各接合部位をレーザ光7によって同時に照射した後、合成樹脂材料10,30相互をそのまま接近させて加圧し接合でき、溶融材料の硬化を抑制して高品質な接合物とすることができる。
【0050】
また、この実施形態では、レーザ光7a,7bの照射部位10b,30bを、接合面10a,30aにおける幅方向の一部とすることで、図7(a)に示すように、接合面10a,30aには、嵌合穴10cと嵌合突起30cとをそれぞれ設定することができる。これら嵌合穴10cと嵌合突起30cは、合成樹脂材料10,30同士を嵌合により連結固定する嵌合部を構成しており、照射部位10b,30bがレーザ光7a,7bの照射により溶融した後に加圧する際、この加圧作業と同時に嵌合突起30cが図7(b)のように嵌合穴10cに嵌入される。
【0051】
これにより、照射部位10b,30bの溶融により形成される溶着部31によって主として気密性を確保すると同時に、嵌合穴10cと嵌合突起30cとによる嵌合部よって主として接合強度を確保することができる。したがって、この嵌合部を設定した本実施形態を、例えば前記図2,3に示したようなABS装置におけるコントロールユニット13のハウジング15に適用することで、該コントロールユニット13を搭載する車両が走行する際に振動を受けたとしても、ベース17とカバー19との間の気密性及び接合状態を所望に維持でき、信頼性のある製品とすることができる。
【0052】
ところで、上記したABS装置におけるコントロールユニット13は、作動時に内部の電子部品の発熱によって温度上昇するが、この温度上昇した状態で、例えば洗車時の水がかかるなどして冷却されたときには、ハウジング15内の温度が低下して内部圧力も低下して負圧となる。このため、図8に模式的に示すように、ハウジング15は、例えばそのカバー19が内部の負圧によって内側に引っ張られるようにして変形し、その結果ベース17とカバー19との接合面となる周縁17a,19aの外側が、矢印Fで示すように互いに離れる方向に力を受ける。
【0053】
したがって、コントロールユニット13のハウジング15に、前記した嵌合穴10cと嵌合突起30cとからなる嵌合部を設定する場合には、上記した負圧発生時に力を受ける外側位置に該嵌合部を設定することで、ハウジング15(カバー19)の変形に対しより効率よく対処することができ、ハウジング15の耐久性向上に寄与することができる。
【0054】
なお、上記したハウジング15に嵌合部を設定する際には、照射部位10b,30bにおけるハウジング15の内部に近い位置もしくは、照射部位10b,30bの幅方向ほぼ中央部とすることで、嵌合部の設定領域を広く確保できて嵌合部の設定が容易となる。
【0055】
また、上記した嵌合穴10cと嵌合突起30cとからなる嵌合部に代えて、図9に示すように、一方の例えば合成樹脂材料10の両側面に段差部33,35をそれぞれ設け、この段差部33,35に係合する係合爪37,39を他方の合成樹脂材料30に設ける構造としてもよい。
【0056】
次に、前記図6(a)に示したレーザ光反射手段29の具体例を図10に基づき説明する。図10(a)は、レーザ光反射手段29として2つのプリズム41,43を設け、これら各プリズム41,43の側方(接合面10a,30a相互間の位置から外れた側方)にミラー45を配置する。ミラー45は、図10(a)中で紙面に直交する方向に延びる回転軸Qを中心として揺動回転可能としている。
【0057】
そして、このミラー45にレーザ光照射ヘッド23からのレーザ光7を反射させ、ミラー45の回転位置によって、一方のプリズム41に向けて進行するレーザ光7cと、他方のプリズム43に向けて進行するレーザ光7dとを発生させる。すなわち、ミラー45を実線で示す位置に揺動回転させた状態では、レーザ光7cがプリズム41を通って合成樹脂材料10の接合面10aに到達し、ミラー45を二点鎖線で示す位置に揺動回転させた状態では、レーザ光7dがプリズム43を通って合成樹脂材料10の接合面10aに到達する。
【0058】
なお、このときの2つのプリズム41,43は、該プリズム41,43で屈折して合成樹脂材料10,30に向けて進行するレーザ光が、接合面10a,30aを照射できるように、設置位置や設置角度を適宜調整する。
【0059】
上記図10(a)の例では、ミラー45を使用することで、レーザ光照射ヘッド23のレイアウト性が向上する。
【0060】
一方、図10(b)の例は、プリズムを2つ使用する点では図10(a)と同様であるが、ミラー45を廃止した上で、レーザ照射ヘッド23を一方のプリズム41に対応する位置と、他方のプリズム43に対応する位置との間を移動可能としている。この場合には、レーザ照射ヘッド23の移動機構を除けば、ミラー45を使用しない分部品点数の削減となる。
【0061】
なお、レーザ光反射手段29として、上記2つのプリズムに代えて反射鏡となるミラーを2つ用いてもよい。
【0062】
図11は、レーザ光反射手段29を使用しない例を示しており、合成樹脂材料10,30にそれぞれ対応してレーザ照射ヘッド23A,23Bを設けている。この場合には、図11(a)のように、各合成樹脂材料10,30の接合面10a,30aにレーザ照射ヘッド23A,23Bからレーザ光7A,7Bを照射して溶融させた後、図11(b)のように、例えば合成樹脂材料30を反転させる。
【0063】
さらに続いて図11(c)のように、各合成樹脂材料10,30の接合面10a,30aを前記図6(a)と同様にして互いに平行な状態で対向するよう配置した後、これら合成樹脂材料10,30を互いに接近させつつ加圧することで、図6の例と同様に合成樹脂材料10,30相互を溶着接合する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わるレーザ接合方法を示す作用説明図で、(a)は一対の合成樹脂材料を互いに向かい合わせて配置した図、(b)は一対の合成樹脂材料相互間へのレーザ光照射により溶融部が形成されている状態を示す図、(c)は一対の合成樹脂材料を加圧している状態を示す図、(d)は一対の合成樹脂材料が接合された状態を示す図である。
【図2】図1のレーザ接合方法によって製造可能な自動車に搭載されるABS装置のコントロールユニットの斜視図である。
【図3】図2のコントロールユニットの分解斜視図である。
【図4】図1の変形例を示す図1(a)に対応する作用説明図で、(a),(b),(c)の3種を示している。
【図5】図1の例に対して隙間内に不活性ガスを噴射供給する例を示す作用説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係わるレーザ接合方法を示す作用説明図で、(a)は合成樹脂材料にレーザ光を照射している状態を示し、(b)は合成樹脂材料を互いに接合した状態を示している。
【図7】図6に対して嵌合部を設けた例を示す要部の断面図で、(a)は嵌合前の状態、(b)は嵌合後の状態をそれぞれ示す。
【図8】ハウジングが内部の負圧によって変形している状態を示す模式的な断面図である。
【図9】図7の嵌合部に代わる他の例を示す断面図である。
【図10】図6(a)の合成樹脂材料にレーザ光を照射する機構の具体例を示す作用説明図で、(a)はミラーを用いた例、(b)はレーザ照射ヘッドを移動される例である。
【図11】合成樹脂材料にレーザ光を照射する機構の他の例を、(a),(b),(c)の順に作用説明図として示している。
【符号の説明】
【0065】
1,3,10,30 合成樹脂材料(レーザ吸収性材料)
1a,3a,10a,30a 合成樹脂材料の接合面(接合部位)
1b,3b 受光部
1c,3c 非受光部
5 一対の合成樹脂材料相互間の隙間
7,7a,7b,7c,7d,7A,7B レーザ光
10b,30b 照射部位
10c 嵌合穴(嵌合部)
30c 嵌合突起(嵌合部)
11 再溶融固化部(固化部)
11a 受光部接合領域(受光部)
11b 非受光部接合領域(非受光部)
17 ベース(レーザ吸収性材料)
19 カバー(レーザ吸収性材料)
29 レーザ光反射手段
41,43 プリズム(レーザ光反射手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光の照射を受けて材料相互が溶着接合されるレーザ接合方法及びレーザ接合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を照射して樹脂材料相互を溶着接合する際には、レーザ光に対して吸収性の性質を有する材料と、非吸収性の性質を有する材料とを互いに重ね合わせた後、レーザ光を非吸収性側から照射している。照射したレーザ光は、非吸収性の材料を透過して吸収性の材料に達し、該吸収性の材料を発熱させることで、吸収性の材料とともに非吸収性の材料も溶融して両材料相互が接合される(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平1−51924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来のレーザ接合方法では、使用する材料として、レーザ光に対して吸収性の材料と非吸収性の材料の2種が必要となるので、その分材料費が高くなるという課題があり、改善が望まれている。
【0004】
そこで、本発明は、複数の材料相互をレーザ接合する際に、使用する材料を同一種類として材料費を抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数のレーザ吸収性材料に対し、レーザ光をそれぞれ直接照射して溶融させ、この溶融した部位同士を溶着して複数のレーザ吸収性材料同士を接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数のレーザ吸収性材料に対し、レーザ光をそれぞれ直接照射して溶融させるようにしたので、複数の材料相互をレーザ接合する際に、使用する材料を同一種類として材料費を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
[第1の実施形態]
【0008】
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるレーザ接合方法を示している。図1(a)に示すように、一対の合成樹脂材料1,3を互いに向かい合わせて配置し、これら各合成樹脂材料1,3相互間の隙間5に向けてレーザ光7を照射する。
【0009】
合成樹脂材料1,3は、いずれもレーザ光7の照射を受けて吸収し、該吸収したレーザ光7のエネルギを熱に変換するレーザ吸収性材料であり、レーザ光7に対して吸収性の性質を有する材料ある。したがって、本レーザ接合時に使用する複数の材料は同一の1種類のみとすることができる。
【0010】
上記した合成樹脂材料1,3としては、ポリアセタール[POM],ポリアミド[PA],ポリブチレンテレフタレート[PBT],ポリエーテルエーテルケトン[PEEK],ポリエチレン[PE],ポリエチレンテレフタレート[PET],ポリフェニレンスルフィド[PPS],ポリプロピレン[PP],ポリテトラフルオロエチレン[PTFE],ポリ塩化ビニル[PVC]などの熱可塑性プラスチックを母材として、ガラス繊維などの強化材を配合した配合物であり、その他着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤を微量配合している。なお、着色剤として例えばカーボンブラックを配合することで黒色化して吸収性を持たせているので、その他の酸化防止剤、帯電防止剤及び潤滑剤は、本レーザ接合を実施するに当たり必ずしも配合する必要はない。
【0011】
また、レーザ光としては、合成樹脂材料1,3を溶融できればよいので、半導体レーザやCO2レーザなど特に限定するものではなく、熱可塑性プラスチックの種類に対応して適宜選択すればよい。
【0012】
図1(a)に示すように、上記した合成樹脂材料1,3は、接合部位となる互いに対向する接合面1a,3aが上下方向で線対称となるよう傾斜しており、この傾斜によって、接合面1a,3a相互間の前記した隙間5が、図1(a)中で右側の一方の端部から同左側の他方の端部に向けて徐々に広くなっている。この際、上記右側の一方の端部側では合成樹脂材料1,3は互いに接触するか、あるいはわずかな隙間を備えてほぼ接触した状態となっているものとする。
【0013】
上記図1(a)の状態で、レーザ光7を、隙間5の広い側から狭い側に向けて隙間5の上下方向ほぼ中心位置に沿って照射する。このときレーザ光7は、例えば直径寸法Aとして、合成樹脂材料1,3の厚さ(図1(a)中で左右方向の厚さ)寸法のほぼ中心位置から隙間5の狭い側に直接照射される。したがって、この照射部位がレーザ光7の照射を受ける受光部1b,3bであり、該受光部1b,3bよりも隙間5の広い側がレーザ光7の照射を受けない非受光部1c,3cとなる。
【0014】
レーザ光7の照射を受けた受光部1b,3bは、図1(b)に示すように、レーザ光7を吸収し発熱することで溶融して溶融部1d,3dが形成され、その後、図1(c)に示すように、合成樹脂材料1,3に対し、隙間5が狭くなる方向に上下から図示しないプレス装置などを用い矢印Pで示すように加圧する。
【0015】
上記図1(c)では、溶融部1d,3dが押し潰された部位を溶融材料9として示してあり、この溶融材料9一部が非受光部1c,3c側に向けて流れ、最終的には図1(d)に示すように、加圧によって隙間5が狭められると同時に、この狭められた隙間5内に上記流れてきた溶融材料9の一部が入り込み、接合面1a,3a相互間の隙間5がなくなって合成樹脂材料1,3相互が溶着されて接合されることになる。
【0016】
合成樹脂材料1,3相互が図1(d)のように接合された接合物は、溶融材料9が溶融後に固化した再溶融固化部11が溶着部となって合成樹脂材料1,3相互を溶着接合している。この再溶融固化部11は、図1(a)の受光部1b,3bに対応する受光部接合領域11aと、非受光部1c,3cに対応する非受光部接合領域11bとを有している。
【0017】
すなわち、受光部接合領域11aは、レーザ光7の照射を受けて溶融した後固化して接合される領域であり、非受光部接合領域11bは、受光部1b,3bがレーザ光7の照射を受けて溶融した溶融材料9の一部が流れてきた後固化して接合される領域である。
【0018】
そして、上記図1(d)に示すレーザ接合物は、受光部接合領域11aがレーザ光7を直接受けて溶融した領域であり、また非受光部接合領域11bが受光部1b,3bから流れてきた一部の溶融材料9によって形成された領域であることから、受光部接合領域11aの接合方向(図1(d)中で上下方向)の厚さは、非受光部接合領域11bの同厚さに比較して厚くなっている。
【0019】
すなわち、レーザ光7の照射を受けて溶融した溶融材料9が固化した再溶融固化部11は、受光部1b,3bで厚く非受光部1c,3cで薄いものとなっている。
【0020】
上記したように、本実施形態では、同一種類のレーザ吸収性材料である合成樹脂材料1,3に対し、レーザ光7をそれぞれ直接照射して溶融させるようにしたので、複数の材料相互をレーザ接合する際に、使用する材料を同一種類として材料費を抑えることができる。
【0021】
また、本実施形態では、合成樹脂材料1,3をその各接合部位が互いに向かい合う状態で配置し、この各接合部位をレーザ光7によって同時に照射した後、合成樹脂材料1,3相互をそのまま接近させて加圧し接合できる。このため、接合部位が溶融した後、すばやく加圧して接合でき、溶融部1d,3d(溶融材料9)の硬化を抑制して高品質な接合物とすることができる。
【0022】
さらに、本実施形態では、合成樹脂材料1,3相互間に形成した隙間5の広い側から狭い側に向けてレーザ光7を照射して溶融させた後、この隙間5が狭くなる方向に合成樹脂材料1,3相互を接近させて加圧し接合することで、レーザ光7を照射しない隙間5の広い側は、レーザ光7を照射して溶融した溶融材料9の一部が流れてきて溶着することができる。これにより、合成樹脂材料1,3相互間の接合部位全体にレーザ光7を照射する必要がなく、レーザ光照射によるエネルギ消費を低く抑えることができるとともにレーザ照射時間も短縮し、製造コストを削減することが可能となる。
【0023】
このようなレーザ接合方法によって製造するレーザ接合物としては、図2に示すような自動車に搭載するABS装置のコントロールユニット13のハウジング15がある。このハウジング15は、ベース17とカバー19とを備え、図3の分解斜視図で示すように、内部に各種電子部品を実装した回路基板21などを収容している。
【0024】
上記したベース17とカバー19とが、前記図1に示した同一種類の合成樹脂材料1と合成樹脂材料3とにそれぞれに相当する。すなわち、ベース17とカバー19との互いに対向する周縁17a,19a相互が、前記図1に示した接合面1a,3aにそれぞれ対応し、これら周縁17a,19a相互間に前記したレーザ光7を照射してベース17とカバー19とを溶着接合する。
【0025】
具体的には、図2に示すように、ベース17とカバー19とを、周縁17a,19a相互が対向した状態で互いに重ね合わせ、この状態でレーザ照射ヘッド23から照射するレーザ光7を周縁17a,19a相互間に照射する。この際、周縁17a,19a全周を溶着接合するために、図2に示すベース17及びカバー19全体を回転させるか、あるいは、レーザ照射ヘッド23を周縁17a,19aに沿って移動させる。このとき、レーザ照射ヘッド23と周縁17a,19aとの間隔を常に一定に確保するようレーザ照射ヘッド23を周縁17a,19aに対して適宜接近離反移動させる。
【0026】
そして、このようなABS装置におけるコントロールユニット13のハウジング15に本発明のレーザ接合方法を適用することで、外観品質を高めたり、ハウジング15を小型化する上で有利となっている。
【0027】
例えば、加熱した熱板により互いに接合する材料の接合面を溶融させた後、この溶融部位を突き合わせて接合する熱板溶着による接合方法の場合には、溶融部位が外側に食み出すことが避けられないので、外観品質の低下を招く。また、互いに接合する材料の接合面相互を突き合わせた状態で、超音波振動させて接合する振動溶着による接合方法では、やはり振動時の摩擦熱によって発生する溶融部が外部に露出するので、この溶融物を収容する空間を溶着部の外側に形成しておく必要があり、この空間を設ける分ハウジングの大型化を招いてしまう。
【0028】
これに対して、本実施形態のレーザ接合方法によれば、レーザ光7により接合面1a,3aの一部を溶融させているので、溶融量を少なく抑えることができ、しかも溶融材料9は溶融していない非受光部1c,3cに向けて流れるようにしていることから、加圧しても溶融物の外部へのはみ出し量を少なくすることができ、もって外観品質の向上に寄与することができる。また、溶融物の外部への食み出し量を少なくできるので、溶融物を収容する空間を溶着部の外側に形成する必要がなく、したがってハウジングの大型化を回避することができる。
【0029】
なお、前記図1においては、レーザ光7を隙間5の狭い側のみに照射しているが、広い側も含めて隙間5の全体にレーザ光7を照射するようにしてもよい。その場合には、レーザ光7のスポット径(直径)を、図1の寸法Aよりも大きくして隙間5の広い側と同等かそれより大きくするか、あるいは、図4(a)に示すように、レーザ照射ヘッド23を隙間5に対して上下方向に相対移動させてもよい。レーザ照射ヘッド23を隙間5に対して上下方向に相対移動させる作業は、前記図1(a)の受光部1b,3bにレーザ光7を照射する場合にも適用できる。
【0030】
このように、接合部位全体にレーザ光7を照射して溶融させることで、接合強度が安定する。
【0031】
また、図4(b)に示すように、合成樹脂材料1,3の前記図1(a)の接合面1a,3aに対応する接合部位に複数の段差1e,3eを設け、これにより隙間5の広さを段階的に変化させてもよい。この場合、上記した段差1e,3eに、レーザ光7の照射方向に対向するレーザ光受け面1f,3fを備えている。このため、レーザ光7をレーザ光受け面1f,3fで効率よく受けることができて、受光部でのレーザ光7のエネルギ密度が高くなり、合成樹脂材料1,3を効率よく溶融させることができ、レーザ光7照射によるエネルギ消費を低く抑えることができる。
【0032】
さらに、図4(c)に示すように、合成樹脂材料1,3の前記図1(a)の接合面1a,3aに対応する接合部位を、図1の(a)の傾斜している平面形状に代えて凹状の曲面形状としてもよい。これにより、隙間5の奥側(狭い側)にレーザ光7の照射方向に対向するレーザ光受け面1g,3gが形成されることになり、したがってこの場合にも、レーザ光7をレーザ光受け面1g,3gで効率よく受けることができて、奥側でのレーザ光7のエネルギ密度が高くなり、合成樹脂材料1,3を効率よく溶融させることができる。
【0033】
なお、上記図4(a),(b),(c)の例においても、レーザ光7の照射後は、合成樹脂材料1,3を互いに接近する方向に加圧することで、前記図1のものとほぼ同様に溶融材料が隙間5の狭い側に流れて溶着接合される。
【0034】
図5は、前記図1の例に対し、隙間5内に不活性ガス吐出ノズル25から不活性ガス27を噴射供給している。不活性ガス27は、レーザ光7の照射と同時に行って隙間5内の空気を排除(ガスパージ)するもので、レーザ光7照射による溶融面(接合面)の酸化及び、空気の巻き込みによる気泡発生を抑えることができ、接合強度を高めることができる。
【0035】
なお、この不活性ガス27の供給は、前記図4(a),(b),(c)の各例においても適用できることはもちろんである。
【実施例】
【0036】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例で実施した接合強度はJISK−7113に準拠して引張特性を測定した。
【0037】
実験材料はポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いる。接合条件として、レーザパワーが20A、レーザ走査速度が1、2、3、4mm/s、接合圧力が0.1、0.2、0.3MPa、接合押込み速度が2mm/minに設定した。
【実施例1】
【0038】
表1を用いて説明する。
いずれの溶着圧力でも走査速度の減少にともない溶着強度が向上する。また、走査速度V=1mm/sの場合、いずれの溶着圧力でも、母材の75%以上の溶着強度が得られた。これは、走査速度が遅いことにより接合面の溶融樹脂の排出が多くなったことが要因に挙げられる。溶着圧力P=0.1MPaでは、走査速度の減少にともない、溶着強度が増加する。溶着圧力P=0.2MPaでは、溶着圧力P=0.1MPaの場合と比べると、走査速度V=3、4mm/sで溶着強度のばらつきが小さくなった。接合圧力P=0.3MPaでは,溶着圧力P=0.1MPaと比べると、いずれの走査速度でもばらつきが小さくなった。つまり、走査速度の速さに関わらず溶着圧力が高いほど、安定して接合できることがわかった。
【表1】
【0039】
以上より、基本的に走査速度の減少は溶着強度の向上に有効であると考えられる。また、溶着の際に溶融樹脂を多く排出することが溶着強度の向上に関わっていると考えられる。
【実施例2】
【0040】
表2を用いて説明する。
いずれの走査速度(V=1〜3mm/s)においても、溶着圧力P=0.3MPaで最も高い溶着強度が得られた。走査速度V=1mm/sの場合では,溶着圧力P=0.1MPaと低くても、母材の75%以上の溶着強度に達した。中でも溶着圧力P=0.3MPaでは,母材の90%(47MPa)以上の溶着強度が得られた。また、溶着圧力の増加にともなって、溶着強度のばらつきが小さくなった。走査速度V=2mm/sおよび走査速度V=3mm/sの場合も同様に溶着圧力の増加にともなって、溶着強度が向上した。走査速度V=4mm/sのときでは、溶着圧力が増加しても、溶着強度の向上は見られず、微減した。
【表2】
【0041】
以上より、基本的に溶着圧力は溶着強度の向上に有効であることがわかった。また、溶着圧力の増加は、溶着強度のばらつきを小さくし、安定した接合ができると考えられる。
【実施例3】
【0042】
接合破断面は、Auスパッタコーティングを行ってから、走査型電子顕微鏡S−4300型で観察した。その結果、溶着強度の低い溶着体は、樹脂の排出量が少なく、接合面積が小さくなっている。一方、溶着強度の高い溶着体は、樹脂の排出量が多く、接合面積が大きくなっている。つまり、樹脂の排出量が多く、接合面積が大きくなるほど、溶着強度の向上が期待できる。また、溶着強度の低い溶着体は、亀裂が直線的で粗いものが多いが、一方、溶着強度の高い溶着体は、亀裂が非直線的で短小なものが多くなる傾向がある。
【0043】
以上より、本発明における新しいレーザ接合方法の有効性が認められた。つまり、レーザ走査速度、溶着圧力、レーザパワーを調整すれば、いずれの材料においても高い溶着強度を得ることが可能である。
【0044】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係わるレーザ接合方法を示している。この実施形態は、図1の一対の合成樹脂材料1,3と同材料からなる円筒のカップ形状の一対の合成樹脂材料10,30相互を溶着接合している。一対の合成樹脂材料10,30は、図6(a)に示すように、接合部位となる開口側の接合面10a,30aを互いに平行としかつ離間させた状態で対向させている。
【0045】
そして、この接合面10a,30a相互間の一部位にレーザ光反射手段29を配置し、このレーザ光反射手段29でレーザ光7を反射させて左右に進行させ、この左右に進行するレーザ光7a,7bを、一対の合成樹脂材料10,30の接合面10a,30aにそれぞれ同時に照射する。なお、レーザ光反射手段29の具体的な構成については後述する。
【0046】
レーザ光7a,7bを照射する際には、円筒状の合成樹脂材料10,30をその中心軸線を中心として回転させる。これにより、接合面10a,30aの全周をレーザ光7a,7bの照射によって溶融させる。このときの接合面10a,30aに対するレーザ光7a,7bの照射部位10b,30bは、接合面10a,30aの幅方向中央の一部とするが、接合面10a,30a全域に照射してもよい。
【0047】
レーザ光7a,7bの照射後は、レーザ光反射手段29を合成樹脂材料10,30相互間から外れた位置に移動させた後、図6(b)のように合成樹脂材料10,30を互いに接近させて突き合わせ、前記図1のときと同様にして加圧することで、合成樹脂材料10,30相互を溶着接合する。
【0048】
これにより、本実施形態においても、前記図1に示した第1の実施形態と同様に、同一種類のレーザ吸収性材料である合成樹脂材料10,30に対し、レーザ光7をそれぞれ直接照射して溶融させるようにしているので、複数の材料相互をレーザ接合する際に、使用する材料を同一種類として材料費を抑えることができる。
【0049】
また、本実施形態においても、合成樹脂材料10,30をその各接合部位が互いに向かい合う状態で配置しているので、この各接合部位をレーザ光7によって同時に照射した後、合成樹脂材料10,30相互をそのまま接近させて加圧し接合でき、溶融材料の硬化を抑制して高品質な接合物とすることができる。
【0050】
また、この実施形態では、レーザ光7a,7bの照射部位10b,30bを、接合面10a,30aにおける幅方向の一部とすることで、図7(a)に示すように、接合面10a,30aには、嵌合穴10cと嵌合突起30cとをそれぞれ設定することができる。これら嵌合穴10cと嵌合突起30cは、合成樹脂材料10,30同士を嵌合により連結固定する嵌合部を構成しており、照射部位10b,30bがレーザ光7a,7bの照射により溶融した後に加圧する際、この加圧作業と同時に嵌合突起30cが図7(b)のように嵌合穴10cに嵌入される。
【0051】
これにより、照射部位10b,30bの溶融により形成される溶着部31によって主として気密性を確保すると同時に、嵌合穴10cと嵌合突起30cとによる嵌合部よって主として接合強度を確保することができる。したがって、この嵌合部を設定した本実施形態を、例えば前記図2,3に示したようなABS装置におけるコントロールユニット13のハウジング15に適用することで、該コントロールユニット13を搭載する車両が走行する際に振動を受けたとしても、ベース17とカバー19との間の気密性及び接合状態を所望に維持でき、信頼性のある製品とすることができる。
【0052】
ところで、上記したABS装置におけるコントロールユニット13は、作動時に内部の電子部品の発熱によって温度上昇するが、この温度上昇した状態で、例えば洗車時の水がかかるなどして冷却されたときには、ハウジング15内の温度が低下して内部圧力も低下して負圧となる。このため、図8に模式的に示すように、ハウジング15は、例えばそのカバー19が内部の負圧によって内側に引っ張られるようにして変形し、その結果ベース17とカバー19との接合面となる周縁17a,19aの外側が、矢印Fで示すように互いに離れる方向に力を受ける。
【0053】
したがって、コントロールユニット13のハウジング15に、前記した嵌合穴10cと嵌合突起30cとからなる嵌合部を設定する場合には、上記した負圧発生時に力を受ける外側位置に該嵌合部を設定することで、ハウジング15(カバー19)の変形に対しより効率よく対処することができ、ハウジング15の耐久性向上に寄与することができる。
【0054】
なお、上記したハウジング15に嵌合部を設定する際には、照射部位10b,30bにおけるハウジング15の内部に近い位置もしくは、照射部位10b,30bの幅方向ほぼ中央部とすることで、嵌合部の設定領域を広く確保できて嵌合部の設定が容易となる。
【0055】
また、上記した嵌合穴10cと嵌合突起30cとからなる嵌合部に代えて、図9に示すように、一方の例えば合成樹脂材料10の両側面に段差部33,35をそれぞれ設け、この段差部33,35に係合する係合爪37,39を他方の合成樹脂材料30に設ける構造としてもよい。
【0056】
次に、前記図6(a)に示したレーザ光反射手段29の具体例を図10に基づき説明する。図10(a)は、レーザ光反射手段29として2つのプリズム41,43を設け、これら各プリズム41,43の側方(接合面10a,30a相互間の位置から外れた側方)にミラー45を配置する。ミラー45は、図10(a)中で紙面に直交する方向に延びる回転軸Qを中心として揺動回転可能としている。
【0057】
そして、このミラー45にレーザ光照射ヘッド23からのレーザ光7を反射させ、ミラー45の回転位置によって、一方のプリズム41に向けて進行するレーザ光7cと、他方のプリズム43に向けて進行するレーザ光7dとを発生させる。すなわち、ミラー45を実線で示す位置に揺動回転させた状態では、レーザ光7cがプリズム41を通って合成樹脂材料10の接合面10aに到達し、ミラー45を二点鎖線で示す位置に揺動回転させた状態では、レーザ光7dがプリズム43を通って合成樹脂材料10の接合面10aに到達する。
【0058】
なお、このときの2つのプリズム41,43は、該プリズム41,43で屈折して合成樹脂材料10,30に向けて進行するレーザ光が、接合面10a,30aを照射できるように、設置位置や設置角度を適宜調整する。
【0059】
上記図10(a)の例では、ミラー45を使用することで、レーザ光照射ヘッド23のレイアウト性が向上する。
【0060】
一方、図10(b)の例は、プリズムを2つ使用する点では図10(a)と同様であるが、ミラー45を廃止した上で、レーザ照射ヘッド23を一方のプリズム41に対応する位置と、他方のプリズム43に対応する位置との間を移動可能としている。この場合には、レーザ照射ヘッド23の移動機構を除けば、ミラー45を使用しない分部品点数の削減となる。
【0061】
なお、レーザ光反射手段29として、上記2つのプリズムに代えて反射鏡となるミラーを2つ用いてもよい。
【0062】
図11は、レーザ光反射手段29を使用しない例を示しており、合成樹脂材料10,30にそれぞれ対応してレーザ照射ヘッド23A,23Bを設けている。この場合には、図11(a)のように、各合成樹脂材料10,30の接合面10a,30aにレーザ照射ヘッド23A,23Bからレーザ光7A,7Bを照射して溶融させた後、図11(b)のように、例えば合成樹脂材料30を反転させる。
【0063】
さらに続いて図11(c)のように、各合成樹脂材料10,30の接合面10a,30aを前記図6(a)と同様にして互いに平行な状態で対向するよう配置した後、これら合成樹脂材料10,30を互いに接近させつつ加圧することで、図6の例と同様に合成樹脂材料10,30相互を溶着接合する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わるレーザ接合方法を示す作用説明図で、(a)は一対の合成樹脂材料を互いに向かい合わせて配置した図、(b)は一対の合成樹脂材料相互間へのレーザ光照射により溶融部が形成されている状態を示す図、(c)は一対の合成樹脂材料を加圧している状態を示す図、(d)は一対の合成樹脂材料が接合された状態を示す図である。
【図2】図1のレーザ接合方法によって製造可能な自動車に搭載されるABS装置のコントロールユニットの斜視図である。
【図3】図2のコントロールユニットの分解斜視図である。
【図4】図1の変形例を示す図1(a)に対応する作用説明図で、(a),(b),(c)の3種を示している。
【図5】図1の例に対して隙間内に不活性ガスを噴射供給する例を示す作用説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係わるレーザ接合方法を示す作用説明図で、(a)は合成樹脂材料にレーザ光を照射している状態を示し、(b)は合成樹脂材料を互いに接合した状態を示している。
【図7】図6に対して嵌合部を設けた例を示す要部の断面図で、(a)は嵌合前の状態、(b)は嵌合後の状態をそれぞれ示す。
【図8】ハウジングが内部の負圧によって変形している状態を示す模式的な断面図である。
【図9】図7の嵌合部に代わる他の例を示す断面図である。
【図10】図6(a)の合成樹脂材料にレーザ光を照射する機構の具体例を示す作用説明図で、(a)はミラーを用いた例、(b)はレーザ照射ヘッドを移動される例である。
【図11】合成樹脂材料にレーザ光を照射する機構の他の例を、(a),(b),(c)の順に作用説明図として示している。
【符号の説明】
【0065】
1,3,10,30 合成樹脂材料(レーザ吸収性材料)
1a,3a,10a,30a 合成樹脂材料の接合面(接合部位)
1b,3b 受光部
1c,3c 非受光部
5 一対の合成樹脂材料相互間の隙間
7,7a,7b,7c,7d,7A,7B レーザ光
10b,30b 照射部位
10c 嵌合穴(嵌合部)
30c 嵌合突起(嵌合部)
11 再溶融固化部(固化部)
11a 受光部接合領域(受光部)
11b 非受光部接合領域(非受光部)
17 ベース(レーザ吸収性材料)
19 カバー(レーザ吸収性材料)
29 レーザ光反射手段
41,43 プリズム(レーザ光反射手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を吸収して熱に変換する複数のレーザ吸収性材料に対し、レーザ光をそれぞれ直接照射して溶融させ、この溶融した部位同士を溶着して前記複数のレーザ吸収性材料同士を接合することを特徴とするレーザ接合方法。
【請求項2】
前記複数のレーザ吸収性材料をその各接合部位が互いに向かい合う状態で配置し、この各接合部位に対しレーザ光を照射した後、前記複数のレーザ吸収性材料相互を接近させて加圧し接合することを特徴とする請求項1に記載のレーザ接合方法。
【請求項3】
前記複数のレーザ吸収性材料の接合部位相互間に、一方の端部から他方の端部に向けて徐々に広くなる隙間を形成し、この隙間の広い側から狭い側に向けて前記レーザ光を照射して前記各接合部位の双方を溶融させた後、前記複数のレーザ吸収性材料相互を接近させて加圧し接合することを特徴とする請求項2に記載のレーザ接合方法。
【請求項4】
前記複数のレーザ吸収性材料の接合部位を互いに離間させ、前記各接合部位の互いに向かい合う面の一部にレーザ光を個別に照射して溶融させた後、前記複数のレーザ吸収性材料相互を接近させて加圧し接合することを特徴とする請求項2に記載のレーザ接合方法。
【請求項5】
前記複数のレーザ吸収性材料の各接合部位の互いに向かい合う面の他の一部に、前記複数のレーザ吸収性材料同士を嵌合により固定する嵌合部を設け、この嵌合部を、前記複数のレーザ吸収性材料相互を接近させて加圧し接合する際に嵌合させることを特徴とする請求項4に記載のレーザ接合方法。
【請求項6】
前記複数のレーザ吸収性材料の接合部位相互間にレーザ光反射手段を配置し、前記各接合部位相互間の側方から前記レーザ光反射手段を介して前記各接合部位にレーザ光を照射することを特徴とする請求項4または5に記載のレーザ接合方法。
【請求項7】
レーザ光を吸収して熱に変換する複数のレーザ吸収性材料が、レーザ光の照射をそれぞれ直接受けて溶融し、この溶融した部位同士が溶着して互いに接合されることを特徴とするレーザ接合物。
【請求項8】
前記複数のレーザ吸収性材料相互の接合部位は、レーザ光の照射を受ける受光部と、レーザ光の照射を受けない非受光部とを有し、前記受光部がレーザ光の照射を受けて溶融した溶融材料が固化した固化部は、前記受光部で厚く前記非受光部で薄いことを特徴とする請求項7に記載のレーザ接合物。
【請求項9】
前記複数のレーザ吸収性材料相互の接合部位は、レーザ光の照射を受ける受光部と、レーザ光の照射を受けない非受光部とを有し、前記受光部は、レーザ光の照射を受けて溶融した後固化して接合される受光部接合領域を構成し、前記非受光部は、前記受光部がレーザ光の照射を受けて溶融した溶融材料の一部が流れてきた後固化して接合される非受光部接合領域を構成していることを特徴とする請求項7または8に記載のレーザ接合物。
【請求項1】
レーザ光を吸収して熱に変換する複数のレーザ吸収性材料に対し、レーザ光をそれぞれ直接照射して溶融させ、この溶融した部位同士を溶着して前記複数のレーザ吸収性材料同士を接合することを特徴とするレーザ接合方法。
【請求項2】
前記複数のレーザ吸収性材料をその各接合部位が互いに向かい合う状態で配置し、この各接合部位に対しレーザ光を照射した後、前記複数のレーザ吸収性材料相互を接近させて加圧し接合することを特徴とする請求項1に記載のレーザ接合方法。
【請求項3】
前記複数のレーザ吸収性材料の接合部位相互間に、一方の端部から他方の端部に向けて徐々に広くなる隙間を形成し、この隙間の広い側から狭い側に向けて前記レーザ光を照射して前記各接合部位の双方を溶融させた後、前記複数のレーザ吸収性材料相互を接近させて加圧し接合することを特徴とする請求項2に記載のレーザ接合方法。
【請求項4】
前記複数のレーザ吸収性材料の接合部位を互いに離間させ、前記各接合部位の互いに向かい合う面の一部にレーザ光を個別に照射して溶融させた後、前記複数のレーザ吸収性材料相互を接近させて加圧し接合することを特徴とする請求項2に記載のレーザ接合方法。
【請求項5】
前記複数のレーザ吸収性材料の各接合部位の互いに向かい合う面の他の一部に、前記複数のレーザ吸収性材料同士を嵌合により固定する嵌合部を設け、この嵌合部を、前記複数のレーザ吸収性材料相互を接近させて加圧し接合する際に嵌合させることを特徴とする請求項4に記載のレーザ接合方法。
【請求項6】
前記複数のレーザ吸収性材料の接合部位相互間にレーザ光反射手段を配置し、前記各接合部位相互間の側方から前記レーザ光反射手段を介して前記各接合部位にレーザ光を照射することを特徴とする請求項4または5に記載のレーザ接合方法。
【請求項7】
レーザ光を吸収して熱に変換する複数のレーザ吸収性材料が、レーザ光の照射をそれぞれ直接受けて溶融し、この溶融した部位同士が溶着して互いに接合されることを特徴とするレーザ接合物。
【請求項8】
前記複数のレーザ吸収性材料相互の接合部位は、レーザ光の照射を受ける受光部と、レーザ光の照射を受けない非受光部とを有し、前記受光部がレーザ光の照射を受けて溶融した溶融材料が固化した固化部は、前記受光部で厚く前記非受光部で薄いことを特徴とする請求項7に記載のレーザ接合物。
【請求項9】
前記複数のレーザ吸収性材料相互の接合部位は、レーザ光の照射を受ける受光部と、レーザ光の照射を受けない非受光部とを有し、前記受光部は、レーザ光の照射を受けて溶融した後固化して接合される受光部接合領域を構成し、前記非受光部は、前記受光部がレーザ光の照射を受けて溶融した溶融材料の一部が流れてきた後固化して接合される非受光部接合領域を構成していることを特徴とする請求項7または8に記載のレーザ接合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−91400(P2012−91400A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240644(P2010−240644)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(306024148)公立大学法人秋田県立大学 (74)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(306024148)公立大学法人秋田県立大学 (74)
【Fターム(参考)】
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