説明

レーザ装置

【課題】現実の光ファイバの劣化に即して交換寿命を報知し、経済性と安定作動の確保とを両立可能なレーザ装置を提供する。
【解決手段】本発明の態様は、ファイバ光増幅器223を有するレーザ光出力部と、波長変換光学素子34を有する波長変換部とを備えたレーザ装置である。レーザ装置LSは、ファイバ光増幅器223の励起光のパワーを検出して第1検出信号Paを出力する励起光検出器51と、波長変換光学素子34により波長変換された光のパワーを検出して第2検出信号Pbを出力する第2高調波検出器53と、ファイバ光増幅器223の作動状態を判断するFA判断部58とを備える。FA判断部58は、第1検出信号Paの変化量に対する第2検出信号Pbの変化量(dPb)/(dPa)が寿命基準値以下になったときに、寿命判定信号を出力するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバ光増幅器を有し基本波レーザ光を出射するレーザ光出力部と、波長変換光学素子を有しレーザ光出力部から出射された基本波レーザ光を波長変換して出力する波長変換部とを備えたレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなレーザ装置は、例えば、顕微鏡や形状測定装置、露光装置等の光源として用いられている。このようなレーザ装置は、一般的に、レーザ光出力部から波長λ=1.0〜1.55μmの基本波レーザ光が出力され、この基本波レーザ光を波長変換部に設けられた複数の波長変換光学素子により順次波長変換して、例えば、波長λ=193nmやλ=309nm等の紫外レーザ光を出力するように構成される(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−200747号公報
【特許文献2】特開2002−50815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなレーザ装置において、レーザ光出力部に設けられたファイバ光増幅器中の光ファイバは、一般的に、コア、クラッドとそれらを保護する樹脂被覆から構成されている。コアには希土類元素が添加されており、信号光、励起光を入射することにより誘導放出が生じ、信号光の増幅が実現される。この際、光ファイバ自身の発熱、波長の短いアップコンバージョン光の発生などの影響により、ファイバ光増幅器を長期間使用するうちに樹脂被覆が徐々に劣化し、レーザ装置が置かれた環境の温湿度変化などの外乱の影響を受けやすくなるため、安定した基本波レーザ光の出力、ひいては安定した波長変換光の出力が難しくなる。また、波長変換光学素子により波長変換された光は、一般的に基本波レーザ光よりも波長が短く、その一部が戻り光となって光ファイバに入射することによって樹脂被覆が劣化することもある。このことは、樹脂製のクラッドを用いたシングルまたはマルチクラッドの光ファイバにおいても同様と考えられる。
【0005】
そのため、従来のレーザ装置では、種々の劣化要因を考慮して光ファイバの交換寿命を定め、設定された一定の動作時間(例えば、10,000時間)が経過したときに、ワーニング等を表示して、ファイバ光増幅器の交換を促すように構成されていた。このことは、実際には光ファイバの劣化がさほど進行しておらず、まだ十分に使用可能な状態であってもファイバ光増幅器を一律交換することになり、経済性や資源保護の面で課題があった。また、例えば反射率の高い被加工物が多く、レーザ装置から被加工物に照射された波長変換光が戻り光となって光ファイバに入射し、光ファイバの劣化が促進されるような状況下で使用された場合には、予め設定された交換寿命の経過以前に使用限界に到達し、安定した動作を確保することが難しくなる可能性がある、という課題があった。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、経済性と安定作動の確保とを両立させることができるようなレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決して目的を達成するため、発明者は、まず、レーザ装置から出力される波長変換後の光出力(便宜的に高調波出力という)が当初出力から低下し、その原因がファイバ光増幅器の劣化によるものであると考えられるとき、一体どのような現象が生じているのか、換言すれば、高調波出力の低下や不安定性はファイバ光増幅器のどのような状態変化によって生じるのかについて鋭意研究を行った。以下図面を参照して説明する。図9に説明のため簡易化したレーザ装置のブロック図を示す。
【0008】
レーザ装置は、大別的に、ファイバ光増幅器21を有し基本波レーザ光を出射するレーザ光出力部1と、波長変換光学素子31を有しレーザ光出力部1から出射された基本波レーザ光を波長変換して出力する波長変換部3とを備えて構成される。図9には、信号光を発生するレーザ光源11と、レーザ光源11により発生された信号光を増幅するファイバ光増幅器21とによりレーザ光出力部1を構成した形態を示す。ファイバ光増幅器21により増幅された信号光(基本波レーザ光)は波長変換光学素子31に入射され、波長変換光学素子31においてn次高調波発生など所定の波長変換が行われ、波長変換された光と、波長変換されずに透過した基本波レーザ光とが出射される。
【0009】
ここで、波長変換においては、波長変換光学素子31に対して直線偏光率の高い光を、偏光面が結晶光軸に対して所定角度となるように設定して入射させる必要があるため、レーザ光源11後に設置される図示しない偏波コントローラなどにより偏光を調整された基本波レーザ光が波長変換光学素子31に入射する。図10に、波長変換光学素子31として周期的な分極構造を形成したPPLN(Periodically Poled LiNbO3)結晶を用い、所定周波数の基本波ω1を波長変換して周波数が2倍の第2高調波(2倍波)ω2を発生させる場合を例示する。ファイバ光増幅器21からは、直線偏光の基本波(基本波レーザ光)ω1が出射される。このとき、波長変換光学素子31は、ファイバ光増幅器21から出射される基本波ω1の偏光方位に対し、その偏光方位が波長変換光学素子31の結晶光軸方向(分極方向)であるs偏光の直線偏光光を入射させたときに変換効率が最大となるように配置姿勢が設定される。なお、図では矢印の方向と長さで基本波ω1及び第2高調波ω2の偏光状態とパワーを表している。
【0010】
このように概要構成されるレーザ装置において、ファイバ光増幅器21が劣化する以前の正常時に観察されるレーザ装置の動作特性を図11及び図12に示す。ここで、図11は、横軸に基本波ω1のパワーPω1、縦軸に第2高調波ω2のパワーPω2をとり、波長変換光学素子31に入射する基本波のパワーPω1を変化させたときの、波長変換光学素子31から出射される第2高調波のパワーPω2の変化を表したもので、入射基本波のパワー(結晶中のパワー密度)が所定以上で波長変換効率が略一定の領域での変化である。図12は、横軸に励起光のパワーPpump、縦軸に出力光のパワーPωをとり、ファイバ光増幅器21の励起光パワーPpumpを変化させたときの、ファイバ光増幅器21から出力される基本波のパワーPω1、及び波長変換光学素子31から出力される第2高調波のパワーPω2の変化を表したものである。
【0011】
両図から、ファイバ光増幅器21が劣化する以前の正常時においては、ファイバ光増幅器21を励起する励起光のパワーPpumpに比例して(所定係数の傾きをもって)基本波のパワーPω1が増大し、波長変換効率が略一定の領域ではこの基本波のパワーPω1に比例して(同上)第2高調波のパワーPω2が増大する。
【0012】
次に、レーザ装置から出力される第2高調波ω2のパワーが当初出力から低下しはじめ、その原因がファイバ光増幅器21の劣化によるものであると考えられるとき、例えば、レーザ光源11や波長変換光学素子31に異常がなく、ファイバ光増幅器21を新品に交換したときに当初出力と同様の第2高調波パワーが得られるような状態のときに観察されたレーザ装置の動作特性の一例を図13に示す。図における横軸及び縦軸は図12と同様であり、ファイバ光増幅器21の励起光パワーPpumpを変化させたときの、ファイバ光増幅器21から出力される基本波のパワーPω1及び波長変換光学素子31から出力される第2高調波のパワーPω2の変化を表したものである。
【0013】
この図13から、ファイバ光増幅器21を励起する励起光のパワーPpumpが増大すると、これに比例して基本波のパワーPω1は増大する。このとき、励起光パワーに対する基本波パワーの傾き(dPω1)/(dPpump)は正常時とほぼ同様である。しかしながら、励起光パワーの増大すなわち基本波のパワーPω1の増大に伴って第2高調波のパワーPω2も増大するものの、その傾きである(dPω2)/(dPpump)や(dPω2)/(dPω1)は正常時よりも小さくなり、また高パワー領域で第2高調波のパワーPω2が飽和する傾向が見られるようになってくる。
【0014】
図14は、上記図13に示した状態から、さらにファイバ光増幅器21の劣化が進行した状態で観察されたレーザ装置の動作特性の一例である。図における横軸及び縦軸は図12及び図13と同様であり、励起光パワーPpumpを変化させたときの基本波のパワーPω1及び第2高調波のパワーPω2の変化を表したものである。
【0015】
この状態においても、ファイバ光増幅器21を励起する励起光のパワーPpumpが増大すると、これにほぼ比例して基本波のパワーPω1は増大する。励起光パワーに対する基本波パワーの傾き(dPω1)/(dPpump)について大きな変化は見られない。一方、第2高調波のパワーPω2は、励起光パワーPpump及び基本波のパワーPω1に対して大きく波打つように変動し、その傾きである(dPω2)/(dPpump)及び(dPω2)/(dPω1)は正・負に大きく変化する。
【0016】
何故上記のような現象が発生するのか、すなわち、基本波のパワーPω1は正常時から大きく変化していないにもかかわらず、基本波のパワー増加に対して第2高調波のパワーPω2が大きく波打つように大きく変動するのか、発明者はその原因を探求すべく、さらに研究を進めた。そして、その原因と考えられる事象を捉えた。図14に示した劣化状態のファイバ光増幅器21について、励起光のパワーPpumpを変化させたときの、基本波のパワーPω1及び基本波レーザ光の二つの偏光成分のパワーPω1p,Pω1sの変化を調べた結果を図15に示す。
【0017】
上述したように、ファイバ光増幅器21の励起光パワーPpumpに比例してファイバ光増幅器21から出射される基本波レーザ光のパワーPω1は増大し、励起光パワーに対する基本波パワーの傾き(dPω1)/(dPpump)について大きな変化は見られない。しかしながら、このとき、基本波レーザ光の偏光状態が大きく変動していた。図15はこのことを表している。
【0018】
すなわち、励起光パワーPpumpの増加に伴って、基本波のp偏光成分のパワーPω1pとs偏光成分のパワーPω1sとを合わせた基本波全体のパワーPω1(=Pω1p+Pω1s)は増大し、励起光パワーに対する基本波パワーの傾きに大きな変化は見られない。ところが、基本波の二つの偏光成分のパワーPω1p,Pω1sが、励起光パワーに対して大きく波打つように変動している。このとき、二つの偏光成分が併存しその構成比率が変動していることから、波長変換光学素子31に入射する基本波レーザ光は図16に示すように楕円偏光になり、長軸・短軸方向が変化していると考えられる。
【0019】
既述したように、波長変換光学素子31において第2高調波発生に寄与するのはs偏光成分であり、第2高調波のパワーPω2は基本波のs偏光成分の変動に呼応して変動する。このため、励起光パワーPpumpに比例して基本波のパワーPω1が増大しているにもかかわらず、レーザ装置から出力される第2高調波のパワーPω2は、励起光パワーに対して大きく波打つように変動していたのである。以上のような研究により得られた知見に基づき、発明者は以下の発明を完成させた。
【0020】
本発明を例示する態様は、ファイバ光増幅器を有し基本波レーザ光を出射するレーザ光出力部と、波長変換光学素子を有しレーザ光出力部から出射された基本波レーザ光を波長変換して出力する波長変換部とを備えたレーザ装置である。そのうえで、このレーザ装置は、基本波レーザ光の強度またはこれに対応する状態量を検出して検出量に応じた第1検出信号Paを出力する第1検出手段(例えば、実施形態における励起光検出器51、基本波検出器52等)と、波長変換光学素子により波長変換された光の強度を検出して検出量に応じた第2検出信号Pbを出力する第2検出手段(例えば、実施形態における第2高調波検出器53)と、第1検出手段から出力された第1検出信号Pa及び第2検出手段から出力された第2検出信号Pbに基づいてファイバ光増幅器の作動状態を判断するFA判断部とを備える。そして、FA判断部が、第1検出信号Paの変化量dPaと第2検出信号Pbの変化量dPbとの比が予め設定された寿命基準範囲外となったとき、例えば(dPb)/(dPa)が寿命基準値以下になったときに、寿命判定信号を出力するように構成される。
【0021】
なお、前記基本波レーザ光の強度に対応する状態量は、ファイバ光増幅器における励起光の強度とすることができる。あるいは、前記基本波レーザ光の強度に対応する状態量は、波長変換光学素子を透過した基本波レーザ光の強度としてもよい。
【0022】
また、前記波長変換光学素子から出射された光のうち、波長変換光学素子を透過した基本波レーザ光を透過し、波長変換光学素子により波長変換された光の一部を透過するミラー(例えば、実施形態におけるミラー42)と、このミラーを透過した基本波レーザ光とミラーを透過した波長変換された光とを分離する分光素子(例えば、実施形態における分光素子56)とを備え、前記第1検出手段及び第2検出手段は、各々分光素子により分光された基本波レーザ光及び波長変換された光の強度を検出するように構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
このような構成のレーザ装置においては、基本波レーザ光の強度等を検出して検出量に応じた第1検出信号Paを出力する第1検出手段と、波長変換光学素子により波長変換された光の強度を検出して検出量に応じた第2検出信号Pbを出力する第2検出手段とが設けられ、FA判断部において、第1検出信号Paの変化量dPaと第2検出信号Pbの変化量dPbとの比が予め設定された寿命基準範囲外となったときに、寿命判定信号を出力するように構成される。前述したように、ファイバ光増幅器が正常な状態においては、基本波レーザ光の強度等の増加に対して波長変換光の出力はある一定の傾きを有し、(dPb)/(dPa)またはその逆数は所定の有限値になる。そして、ファイバ光増幅器が劣化してくると、例えば(dPb)/(dPa)は減少し、さらに劣化が進行すると正・負変動するようになる。従って、第1検出信号Paの変化量dPaと第2検出信号Pbの変化量dPbとの比をとり、その値が寿命基準範囲外となったときに寿命判定信号を出力する本構成によれば、現実にファイバ光増幅器が劣化しているか否かを適切に判断することができ、経済性と安定作動の確保とを両立可能なレーザ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の適用例として示すレーザ装置全体の概要構成図である。
【図2】増幅部におけるファイバ光増幅器の接続構成を例示する図面である。
【図3】波長変換光学系の構成及び作用を説明するための図面である。
【図4】第1構成形態のFA寿命判断装置50Aの概要構成図である。
【図5】FA寿命判断装置50Aにおける寿命基準値の設定例を示すグラフである。
【図6】第2構成形態のFA寿命判断装置50Bの概要構成図である。
【図7】FA寿命判断装置50Bにおける寿命基準値の設定例を示すグラフである。
【図8】第3構成形態のFA寿命判断装置50Cの概要構成図である。
【図9】簡易化したレーザ装置のブロック図である。
【図10】ファイバ光増幅器が正常な状態における、波長変換光学素子に入射する基本波ω1及び波長変換光学素子から出射する第2高調波ω2の状態を説明するための説明図である。
【図11】ファイバ光増幅器が正常な状態で観察された、波長変換光学素子に入射する基本波のパワーPω1と波長変換光学素子から出射する第2高調波のパワーPω2との関係を示すグラフである。
【図12】ファイバ光増幅器が正常な状態で観察された、ファイバ光増幅器の励起光パワーPpumpと、ファイバ光増幅器から出力される基本波のパワーPω1及び波長変換光学素子から出力される第2高調波のパワーPω2との関係を示すグラフである。
【図13】ファイバ光増幅器の劣化初期状態で観察された、ファイバ光増幅器の励起光パワーPpumpと、ファイバ光増幅器から出力される基本波のパワーPω1及び波長変換光学素子から出力される第2高調波のパワーPω2との関係を示すグラフである。
【図14】ファイバ光増幅器の劣化が進行した状態で観察された、ファイバ光増幅器の励起光パワーPpumpと、ファイバ光増幅器から出力される基本波のパワーPω1及び波長変換光学素子から出力される第2高調波のパワーPω2との関係を示すグラフである。
【図15】ファイバ光増幅器の劣化が進行した状態で観察された、ファイバ光増幅器の励起光パワーPpumpと、ファイバ光増幅器から出力される基本波のパワーPω1及び基本波の二つの偏光成分のパワーPω1p,Pω1sとの関係を示すグラフである。
【図16】ファイバ光増幅器が劣化した状態における、波長変換光学素子に入射する基本波ω1及び波長変換光学素子から出射する第2高調波ω2の状態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。図1に本発明を適用したレーザ装置LS全体の概要構成を示す。レーザ装置LSは、ファイバ光増幅器を有し基本波レーザ光を出射するレーザ光出力部1、波長変換光学素子を有しレーザ光出力部1から出射された基本波レーザ光を波長変換して出力する波長変換部3、レーザ光出力部1及び波長変換部3の作動を制御する制御部8などを備えて構成される。
【0026】
レーザ光出力部1、波長変換部3は、このレーザ装置LSを用いて構成されるシステムの用途及び機能に応じて適宜に設定可能である。本実施形態では、レーザ光出力部1から波長1547nmの基本波レーザ光La(La1,La2,La3)を出力し、これを波長変換部3において波長変換して、最短波長193nmの紫外レーザ光Lvを出力する場合を例として説明する。
【0027】
図1には、レーザ光出力部1を、3つのレーザ光出力部1a,1b,1cにより構成した形態を示す。すなわち、レーザ光出力部1は、第1の基本波レーザ光La1を出力する第1レーザ光出力部1a、第2の基本波レーザ光La2を出力する第2レーザ光出力部1b、及び第3の基本波レーザ光La3を出力する第3レーザ光出力部1cにより構成される。
【0028】
また図1では、レーザ光出力部1を、信号光Ls(Ls1,Ls2,Ls3)を出力するレーザ光発生部10と、レーザ光発生部10から出力された信号光を増幅する増幅部20とにより構成した形態を示す。すなわち、第1レーザ光出力部1aは、レーザ光源11を有し第1基本波の信号光Ls1を出力する第1レーザ光発生部10aと、ファイバ光増幅器21を有し第1レーザ光発生部10aから出力された第1基本波の信号光Ls1を増幅する第1増幅部20aとにより構成され、第1増幅部20aにより増幅された信号光すなわち第1の基本波レーザ光La1が出力される。
【0029】
同様に、第2レーザ光出力部1bは、レーザ光源12を有し第2基本波の信号光Ls2を出力する第2レーザ光発生部10bと、ファイバ光増幅器22を有し第2基本波の信号光Ls2を増幅する第2増幅部20bとにより構成され、第2増幅部20bから第2の基本波レーザ光La2が出力される。第3レーザ光出力部1cは、レーザ光源13を有し第3基本波の信号光Ls3を出力する第3レーザ光発生部10cと、ファイバ光増幅器23を有し第3基本波の信号光Ls3を増幅する第3増幅部20cとにより構成され、第3増幅部20cから第3の基本波レーザ光La3が出力される。
【0030】
レーザ光発生部10(10a〜10c)に設けられ、波長1547nmの信号光を発生するレーザ光源11〜13は、例えば、発振波長が1.5μm帯のDFB(Distributed Feedback)半導体レーザやファイバーレーザ等を用いることができる。これらのレーザは、CW発振及びパルス発振させることができ、励起電流を制御することによりパルス波形をナノ秒オーダで高速に制御することができる。なお、レーザ光発生部10に、EOM(Electro Optic Modulator)やAOM(Acousto Optic Modulator)等の外部変調器を設け、CWまたはパルス発振させたレーザ光源の出力光を外部変調器により切り出して所要波形のパルス光を出力するように構成しても良い。また、上記構成では信号光Ls1,Ls2,Ls3を個別のレーザ光源11〜13から出力しているが、1個のレーザ光源からの出力をカプラで分岐してLs1,Ls2,Ls3としてもよい。
【0031】
増幅部20(20a〜20c)に設けられ、波長1547nmの信号光を増幅するファイバ光増幅器21〜23は、例えば、コアにエルビウム(Er)がドープされたエルビウム・ドープ・ファイバ光増幅器(EDFA)が好適に用いられる。第1〜第3増幅部20a〜20cは、それぞれ単一または複数のファイバ光増幅器を設けて構成することができる。本実施形態では、図2に第2増幅部20bを例としてファイバ光増幅器22の接続構成例を示すように、3つのファイバ光増幅器221,222,223を直列接続した構成形態を説明する。
【0032】
すなわち、第2増幅部20bは、第1段目のファイバ光増幅器221、第2段目のファイバ光増幅器222、及び第3段目のファイバ光増幅器223が直列接続されて構成される。このとき、第1段目のファイバ光増幅器221、第2段目のファイバ光増幅器222、及び第3段目のファイバ光増幅器223には、エルビウム・ドープ・ファイバ(EDF)221a,222a、223aが用いられ、励起光源221b,222b、223bから出力された励起光がWDMカプラ221c,222c、223cを介して各ファイバのコアに結合される。第1増幅部20a、第3増幅部20cについても同様に構成される。
【0033】
第1増幅部20aから出射した第1の基本波レーザ光La1、第2増幅部20bから出射した第2の基本波レーザ光La2、及び第3増幅部20cから出射した第3の基本波レーザ光La3は、レーザ光出力部1(1a,1b,1c)から出力され、波長変換部3に入力される。
【0034】
波長変換部3には、複数の波長変換光学素子やミラー等からなる波長変換光学系30が設けられている。波長変換光学系30の概要構成を図3に示す。図3において、光路上に楕円形で示すものはコリメータレンズや集光レンズであり個々の説明を省略する。また図中には、各波長変換光学素子に入射する光の偏光状態を付記しており、既述したs偏光をドット付きの○印で示し、これと偏光面が直交するp偏光を上下方向の矢印で示す。また、基本波をω、そのn次高調波をnωで示す。
【0035】
波長変換光学系30は、第1レーザ光出力部1aから出力された第1の基本波レーザ光La1が入射して伝播する第1系列I、第2レーザ光出力部1bから出力された第2の基本波レーザ光La2が入射して伝播する第2系列II、第3レーザ光出力部1cから出力された第3の基本波レーザ光La3が入射して伝播する第3系列III、及び第1,第2,第3系列を伝播したレーザ光が重ね合わされて伝播する第4系列IVからなり、各系列に設けられた計6個の波長変換光学素子31〜36を主体として構成される。
【0036】
波長変換部3では、各レーザ光出力部から出力された波長1547nmの基本波レーザ光が順次波長変換され、波長193nmの紫外レーザ光Lvが出力される。まず、波長1547nmの基本波レーザ光を波長193nmの紫外レーザ光Lvに変換する波長変換光学系30の全体概要を説明し、続いて第1〜第4系列の構成及び各系列を伝播するレーザ光の状態について説明する。なお、基本波レーザ光を基本波と表記することがある。
【0037】
第1系列Iに入射した波長1547nm、周波数ωの第1の基本波レーザ光La1は、この系列に設けられた波長変換光学素子31〜33により順次ω→2ω→3ω→5ωに波長変換され、発生した第5高調波5ωが第4系列IVに入射する。第2系列IIに入射した波長1547nm、周波数ωの第2の基本波レーザ光La2は、この系列に設けられた波長変換光学素子34によってω→2ωに波長変換され、発生した第2高調波2ωが第4系列IVに入射する。第3系列IIIに入射した波長1547nm、周波数ωの第3の基本波レーザ光La3は波長変換されることなく第4系列IVに入射する。
【0038】
第4系列IVでは、波長変換光学素子35において、第1系列で発生した第5高調波5ωと第2系列で発生した第2高調波2ωの和周波発生により第7高調波7ωが発生され、波長変換光学素子36において、第7高調波7ωと第3系列IIIから入射した基本波ω(第3の基本波レーザ光La3)との和周波発生により、周波数が基本波ωの8倍、波長が基本波の1/8である波長193nmの第8高調波8ωが生成される。そして、波長変換光学素子36で発生した波長193nmの紫外レーザ光Lvがレーザ装置LSから出力される。以下、各系列の構成及び伝播するレーザ光の状態について説明する。
【0039】
第1系列Iには、波長変換光学素子31,32,33が配設されている。第1レーザ光出力部1aから出力された第1の基本波レーザ光La1は、s偏光で波長変換光学素子31に集光入射させ、この波長変換光学素子31において第2高調波発生によりs偏光の第2高調波2ωを発生させる。発生したs偏光の第2高調波2ωと波長変換光学素子31を透過したs偏光の基本波ωは波長変換光学素子32に集光入射し、和周波発生によりp偏光の第3高調波3ωを発生させる。波長変換光学素子31,32は、例えば、第2高調波発生用の波長変換光学素子31としてPPLN(Periodically Poled LiNbO3)結晶、第3高調波発生用の波長変換光学素子32としてLBO(LiB35)結晶が好適に用いられる。なお、第2高調波発生用の波長変換光学素子31として、PPKTP結晶、PPLT結晶などの疑似位相整合結晶(QPM:Quasi Phase Matching)のほか、LBO結晶等を用いることもできる。
【0040】
波長変換光学素子32において発生したp偏光の第3高調波3ωと、波長変換光学素子32を透過したs偏光の第2高調波2ωは、2波長波長板45を透過させて第2高調波2ωだけをp偏光に変換する。2波長波長板45は、例えば、結晶の光学軸と平行にカットした一軸性の結晶の平板からなる波長板が用いられる。この波長板は、一方の波長の光(第2高調波2ω)に対して偏光面を回転させ、他方の波長の光(第3高調波3ω)に対しては、偏光面が回転しないように、波長板の厚さを一方の波長の光に対してλ/2の整数倍で、他方の波長の光に対しては、λの整数倍になるようにカットすることにより構成される。
【0041】
ともにp偏光になった第2高調波2ω及び第3高調波3ωは波長変換光学素子33に集光入射し、和周波発生により周波数が基本波の5倍、波長が1/5(309nm)の第5高調波5ωを発生させる。第5高調波発生用の波長変換光学素子33として、例えばBBO(β-BaB24)結晶が好適に用いられる。なお、波長変換光学素子33として、LBO結晶、CLBO(CsLiB610)結晶を用いることも可能である。BBO結晶から出射される第5高調波5ωは、ウォークオフに起因してビーム断面が楕円形になっているため、2枚のシリンドリカルレンズ46v,46hによりビーム断面を円形に整形し、ミラー41に入射させる。
【0042】
ミラー41は、基本波ω及び第2高調波2ωの波長帯域のレーザ光を透過し、第5高調波5ωの波長帯域のレーザ光を反射する波長選択性を有して構成されており、このミラー(ダイクロイックミラー)41で反射されたs偏光の第5高調波5ωは、第4系列IVの波長変換光学素子35に入射する。
【0043】
第2系列IIには波長変換光学素子34が配設されている。第2レーザ光出力部1bから出力された第2の基本波レーザ光La2は、s偏光で波長変換光学素子34に集光入射させ、s偏光の第2高調波2ωを発生させる。第2高調波発生用の波長変換光学素子34として、PPLN結晶が好適に用いられる。なお、波長変換光学素子34として、前記同様の他のQPM結晶等を用いることができる。波長変換光学素子34において発生したs偏光の第2高調波2ωは、ミラー42に入射させる。
【0044】
ミラー42は、基本波ωの波長帯域のレーザ光を透過し、第2高調波2ωの波長帯域のレーザ光を反射する波長選択性を有して構成されており、ミラー(ダイクロイックミラー)42で反射されたs偏光の第2高調波2ωは、ミラー41を透過して第5高調波5ωと同軸に重ね合わされて第4系列IVの波長変換光学素子35に入射する。
【0045】
第3系列IIIには波長変換光学素子が設けられていない。第3レーザ光出力部1cから出力され第3系列に入射したp偏光の第3の基本波レーザ光La3は、波長変換されることなくミラー43に入射する。そして、ミラー43で反射されたp偏光の基本波ωは、ミラー42及びミラー41を透過して、ミラー42で反射された第2高調波2ω及びミラー41で反射された第5高調波5ωと同軸に重ね合わされて第4系列IVの波長変換光学素子35に入射する。
【0046】
第4系列IVには、波長変換光学素子35と波長変換光学素子36が配設されている。また、既述した基本波ω、第2高調波2ω、第5高調波5ωの各光路には、波長変換光学素子35,36に所定のスポットサイズで各波長の光が集光入射するように設定されたレンズが設けられている。波長変換光学素子35では、第1系列Iから入射したs偏光の第5高調波5ωと第2系列IIから入射したs偏光の第2高調波2ωとによる和周波発生が行われ、周波数が基本波の7倍、波長が1/7(221nm)の第7高調波7ωが発生される。第7高調波発生用の波長変換光学素子35は、CLBO結晶が用いられる。
【0047】
波長変換光学素子35で発生したp偏光の第7高調波7ωと、波長第3系列IIIから入射して波長変換光学素子35を透過したp偏光の基本波ωは、波長変換光学素子36に入射し、和周波発生により周波数が基本波の8倍、波長が1/8(193nm)の第8高調波8ωが発生される。第8高調波発生用の波長変換光学素子36は、CLBO結晶が用いられる。
【0048】
そして、波長変換光学素子36において発生した第8高調波8ωが波長変換部3から出射し、波長193nmの紫外レーザ光Lvがレーザ装置LSから出力される。以上のように構成されるレーザ装置LSにあって、レーザ光出力部1(1a,1b,1c)から出力され、波長変換部3に入射する基本波レーザ光La(La1,La2,La3)の偏光状態は、波長変換部3における波長変換効率、ひいては紫外レーザ光出力に大きな影響を与える。
【0049】
例えば、図15に示したように、ファイバ光増幅器が劣化して基本波レーザ光の偏光状態が変動すると、図14に示したように高調波出力が変動し、最終的に出力される波長193nmの紫外レーザ光Lvの出力が不安定となる。さらに、例えば波長変換光学素子36から出射される波長193nmの紫外レーザ光Lvの出力値をモニターし、出力値に応じて基本波レーザ光のパワーを制御することにより紫外レーザ光のパワーを安定化させるようなパワーフィードバック制御(オートパワーコントロール)が困難となる。
【0050】
そこで、レーザ装置LSには、ファイバ光増幅器の劣化状況を観察し、交換寿命に到達したと判断されるときに寿命判定信号を出力するFA寿命判断装置50(50A,50B,50C)が設けられている。図4に第1構成形態のFA寿命判断装置50Aの概要構成図を示す。なお、図4には、代表例として、レーザ光出力部1における第2レーザ光出力部1b〜波長変換部3における第2系列IIに設けたFA寿命判断装置の構成を例示する。
【0051】
〔第1構成形態〕
FA寿命判断装置50Aは、ファイバ光増幅器223における励起光の強度を検出する励起光検出器51と、波長変換光学素子34により波長変換されて出射した第2高調波2ωの強度を検出する第2高調波検出器53と、励起光検出器51から出力された第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から出力された第2検出信号Pbに基づいてファイバ光増幅器223の作動状態を判断するFA判断部58とを備えて構成される。
【0052】
励起光検出器51は、励起光源223bから出力される励起光のパワーPpumpを検出し、検出された励起光パワーに応じた大きさの第1検出信号Paを出力するパワーセンサを用いることができる。このような励起光検出器51として、励起光の波長(1480nm)を含む波長帯域に検出感度を有する公知のパワーセンサを用いることができ、例えば図示のように、励起光源223bから出力される励起光の一部(例えば1%程度)を導出して、そのパワーを検出することにより構成される。なお、励起光源223bとしてラマンレーザ等を用いる場合には、ラマンレーザに設けられたパワーモニター用のセンサを励起光検出器51として利用することができる。
【0053】
第2高調波検出器53は、波長変換光学素子34から出射する第2高調波2ωのパワーPω2を検出し、検出された第2高調波のパワーに応じた大きさの第2検出信号Pbを出力するパワーセンサを用いることができる。このような第2高調波検出器53として、第2高調波2ωの波長(774nm)を含む波長帯域に検出感度を有する公知のパワーセンサを用いることができる。波長変換部3の第2系列IIには、波長1547nmの基本波を透過し、波長774nmの第2高調波の一部(例えば1%程度)を反射する波長選択性のある部分反射鏡55が設けられており、この部分反射鏡55を介して波長変換光学素子34で発生した第2高調波の一部が第2高調波検出器53に入射される。
【0054】
FA判断部58は、ファイバ光増幅器223の寿命基準値が予め設定記憶されたメモリ58a、励起光検出器51から出力された第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から出力された第2検出信号Pbに基づいてファイバ光増幅器223の作動状態等を演算処理する処理部58b、処理部58bにおける演算結果に基づいて寿命判定信号を出力する出力部58cなどから構成される。
【0055】
FA判断部58には、励起光検出器51から出力された第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から出力された第2検出信号Pbが入力されており、処理部58bは、第1検出信号Paの変化量(dPa)に対する第2検出信号Pbの変化量(dPb)の比である(dPb)/(dPa)、具体的には、励起光パワーPpumpの変化量(dPpump)に対する第2高調波パワーの変化量(dPω2)の比である(dPω2)/(dPpump)を算出し、この値がメモリ58aに設定記憶された寿命基準値以下になったときに、出力部58cに指令信号を出力して寿命判定信号を出力させる。
【0056】
図11〜図15を参照して説明したように、ファイバ光増幅器に劣化が見られる以前の正常時においては、励起光のパワーPpumpに比例して基本波レーザ光のパワーPω1が増大し、この基本波のパワーPω1に比例して第2高調波のパワーPω2が増大する(図11,図12を参照)。すなわち、励起光パワーPpumpの増加に対応して、第2高調波のパワーPω2がある一定の傾きを持って増加する。この傾きである(dPω2)/(dPpump)は、ファイバ光増幅器の構成に応じた略一定の値(所定の傾き)を持つ。いま、レーザ装置LSにおける(dPω2)/(dPpump)の初期値をαとする。
【0057】
ファイバ光増幅器223のEDF223aが劣化(例えばファイバの樹脂被覆が劣化)し始めると、励起光のパワーPpumpの増加に対して基本波のパワーPω1は一次比例的に増大するが、第2高調波のパワーPω2は増加傾向が縮小し(dPω2)/(dPpump)の値は正常時の値αよりも小さくなる(図13を参照)。さらにEDF223aの劣化が進行すると、励起光パワーPpumpにほぼ比例して基本波のパワーPω1は増大するものの、第2高調波のパワーPω2は、励起光パワーPpump及び基本波のパワーPω1に対して大きく波打つように変動し、(dPω2)/(dPpump)は正・負に大きく変化するようになる(図14を参照)。
【0058】
このように、EDF223aの劣化が進行すると、(dPω2)/(dPpump)の値は初期値αから徐々に減少し、ついには正・負に大きく変動するようになる。従って、(dPω2)/(dPpump)に相当する(dPb)/(dPa)をFA判断部58において観察し、この値が所定以下になったときに寿命判定信号を出力して、ファイバ光増幅器223の劣化状態を報知等することにより、ファイバ光増幅器223の寿命を適切に判断することができる。
【0059】
図5に寿命基準値の設定例を示す。図において、グラフの横軸は励起光のパワーPpump、縦軸は第2高調波のパワーPω2であり、図中に実線で(dPω2)/(dPpump)=αの初期値を示している。図5は、寿命基準値を2段階とした構成例を示しており、第1段階の寿命基準値Twを一点鎖線、第2段階の寿命基準値Taを二点鎖線で示している。二つの寿命基準値Tw,Taはメモリ58aに設定記憶される。
【0060】
この構成例では、第1段階はファイバ光増幅器223の交換を促すワーニングとし、第2段階はレーザ装置を保護するアラームまたはインターロックとする。処理部58bは、励起光検出器51入力される第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から入力される第2検出信号Pbから(dPω2)/(dPpump)を算出し、算出された値がメモリ58aに設定記憶された第1段階の寿命基準値Tw以下になったと判断されるときに、出力部58cに指令信号を出力して第1段階の寿命判定信号を出力させる。
【0061】
第1段階の寿命判定は、ファイバ光増幅器223の交換を促すワーニングであり、例えば、ファイバ光増幅器223が劣化して交換が必要である旨の文字情報やピクトグラム、コード番号等を制御部8の表示装置に表示させたり、レーザ装置LSの状態を表す三色の回転表示灯のうち注意喚起を意味する黄色の表示灯を点灯させたりするような寿命判定信号が出力される。
【0062】
このとき、第1段階の寿命基準値Twは、初期段階の(dPω2)/(dPpump)の値αに対して、0.3α〜0.7αの範囲内で設定することが好ましく、例えば0.5α程度に設定される。(dPω2)/(dPpump)が0.3α未満では、紫外レーザ光Lvのパワーに基づいてファイバ光増幅器223の励起光パワーを制御するオートパワーコントロール(APC)の収束時間が過大になり、(dPω2)/(dPpump)が0.7αを超えると、ファイバ光増幅器223の交換寿命が短くなり経済性に反するからである。
【0063】
第2段階の寿命判定は、レーザ装置を保護するアラームまたはインターロックであり、例えば、ファイバ光増幅器223の劣化が進行してオートパワーコントロールが困難である旨の文字情報やピクトグラム、コード番号等を制御部8の表示装置に表示させたり、レーザ装置LSの状態を表す三色の回転表示灯のうち異常状態を意味する赤色の表示灯を点滅させたりするようなアラームの寿命判定信号、あるいは、上記のようなアラームに加えて、例えばオートパワーコントロール状態でのレーザ装置の作動を禁止するようなインターロックの寿命判定信号が出力される。
【0064】
第2段階の寿命基準値Taは、初期段階の(dPω2)/(dPpump)の値αに対して、0.1α〜0.3αの範囲内で設定すること、例えば0.2α程度とすることが好ましい。0.1αは、第2高調波パワーの揺らぎやパワーの検出誤差等を考慮したときに、オートパワーコントロールで動作させる下限値であり、0.3α以上ではオートパワーコントロールが制御不能となるようなおそれが低いからである。
【0065】
このような構成のFA寿命判断装置50Aによれば、ファイバ光増幅器223の劣化状態に応じた寿命判定信号が出力される。そのため、現実にファイバ光増幅器223が劣化して交換が必要な状態であるか否かを適切に判断することができ、経済性と安定作動の確保とを両立させたレーザ装置を提供することができる。
【0066】
〔第2構成形態〕
次に、第2構成形態のFA寿命判断装置50Bについて、図6を参照して説明する。図6は、図4と同様に、第2レーザ光出力部1b〜波長変換部3の第2系列IIにFA寿命判断装置を設けた場合の概要構成図である。なお、第1構成形態のFA寿命判断装置50Aと同様構成の部分には同一番号を付して重複説明を省略する。
【0067】
FA寿命判断装置50Bは、ファイバ光増幅器223から出射され波長変換光学素子34に入射する基本波レーザ光La2の強度を検出する基本波検出器52と、波長変換光学素子34により波長変換されて出射した第2高調波2ωの強度を検出する第2高調波検出器53と、基本波検出器52から出力された第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から出力された第2検出信号Pbに基づいてファイバ光増幅器223の作動状態を判断するFA判断部58とを備えて構成される。
【0068】
基本波検出器52は、ファイバ光増幅器223から出射された基本波レーザ光のパワーPω1を検出し、検出された基本波のパワーPω1に応じた大きさの第1検出信号Paを出力するパワーセンサを用いることができる。このような基本波検出器52として、基本波レーザ光の波長(1547nm)を含む波長帯域に検出感度を有する公知のパワーセンサを用いることができる。波長変換部3の第2系列IIには、基本波レーザ光の一部(例えば1%程度)を反射する部分反射鏡54が設けられており、この部分反射鏡54を介して波長変換光学素子34に入射する基本波レーザ光の一部が基本波検出器52に入射される。
【0069】
第2高調波検出器53及び部分反射鏡55は前述したとおりである。すなわち、第2高調波検出器53は、波長変換光学素子34から出射する第2高調波2ωのパワーPω2を検出し、検出された第2高調波のパワーに応じた大きさの第2検出信号Pbを出力するパワーセンサを用いることができる。また、部分反射鏡55は、波長1547nmの基本波を透過し、波長774nmの第2高調波の一部(例えば1%程度)を反射する波長選択性のある部分反射鏡であり、部分反射鏡55を介して波長変換光学素子34で発生した第2高調波の一部が第2高調波検出器53に入射される。
【0070】
FA判断部58は、入力される第1検出信号の種別、及びメモリ58aに設定記憶される寿命基準値の具体的な数値が第1構成形態のFA判断部と異なる点を除き、基本的な構成は同様である。すなわち、FA判断部58は、ファイバ光増幅器223の寿命基準値が予め設定記憶されたメモリ58aと、基本波検出器52から出力された第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から出力された第2検出信号Pbに基づいてファイバ光増幅器223の作動状態等を演算処理する処理部58b、処理部58bにおける演算結果に基づいて寿命判定信号を出力する出力部58cなどから構成される。
【0071】
FA判断部58には、基本波検出器52から出力された第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から出力された第2検出信号Pbが入力されており、処理部58bは、第1検出信号Paの変化量(dPa)に対する第2検出信号Pbの変化量(dPb)の比である(dPb)/(dPa)、具体的には、波長変換光学素子34に入射する基本波パワーPω1の変化量(dPω1)に対する第2高調波パワーの変化量(dPω2)の比である(dPω2)/(dPω1)を算出し、この値がメモリ58aに設定記憶された寿命基準値以下になったときに、出力部58cに指令信号を出力して寿命判定信号を出力させる。
【0072】
既述したように、ファイバ光増幅器に劣化が見られる以前の正常時においては、励起光のパワーPpumpに比例して基本波レーザ光のパワーPω1が増大し、この基本波のパワーPω1に比例して第2高調波のパワーPω2が増大する(図11,図12を参照)。すなわち、基本波のパワーPω1の増加に対応して、第2高調波のパワーPω2がある一定の傾きを持って増加する。この傾きである(dPω2)/(dPω1)は、ファイバ光増幅器223の構成に応じた略一定の値(所定の傾き)を有する。いま、レーザ装置LSにおける(dPω2)/(dPω1)の初期値をβとする。
【0073】
ファイバ光増幅器223のEDF223aが劣化し始めると、励起光のパワーPpumpの増加に対して基本波のパワーPω1は一次比例的に増大するが、第2高調波のパワーPω2は増加傾向が縮小し(dPω2)/(dPω1)の値は正常時の値βよりも小さくなる(図13を参照)。さらにEDF223aの劣化が進行すると、励起光パワーPpumpにほぼ比例して基本波のパワーPω1は増大するものの、第2高調波のパワーPω2は、励起光パワーPpump及び基本波のパワーPω1に対して大きく波打つように変動し、(dPω2)/(dPω1)は正・負に大きく変化するようになる(図14を参照)。
【0074】
このように、EDF223aの劣化が進行すると、(dPω2)/(dPω1)の値は初期値βから徐々に減少し、ついには正・負に大きく変動するようになる。従って、(dPω2)/(dPω1)に相当する(dPb)/(dPa)をFA判断部58において観察し、この値が所定以下になったときに寿命判定信号を出力して、ファイバ光増幅器223の劣化状態を報知等することにより、ファイバ光増幅器223の寿命を適切に判断することができる。
【0075】
このとき、寿命基準値の設定は図5に示した構成例と同様に設定することができる。同様の設定例を図7に示す。図において、グラフの横軸は基本波のパワーPω1、縦軸は第2高調波のパワーPω2であり、図中に実線で(dPω2)/(dPω1)=βの初期値を示している。また、第1段階の寿命基準値Twを一点鎖線、第2段階の寿命基準値Taを二点鎖線で示している。二つの寿命基準値Tw,Taはメモリ58aに設定記憶される。
【0076】
本構成例において、第1段階はファイバ光増幅器223の交換を促すワーニングであり、第2段階はレーザ装置を保護するアラームまたはインターロックである。処理部58bは、基本波検出器52から入力される第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から入力される第2検出信号Pbから(dPω2)/(dPω1)を算出し、算出された値がメモリ58aに設定記憶された第1段階の寿命基準値Tw以下になったと判断されるときに、出力部58cに指令信号を出力して第1段階の寿命判定信号を出力させる。
【0077】
第1段階の寿命判定は、ファイバ光増幅器223の交換を促すワーニングであり、例えば、ファイバ光増幅器223が劣化して交換が必要である旨の文字情報やピクトグラム、コード番号等を制御部8の表示装置に表示させたり、レーザ装置LSの状態を表す三色の回転表示灯のうち注意喚起を意味する黄色の表示灯を点灯させたりするような寿命判定信号が出力される。
【0078】
このとき、第1段階の寿命基準値Twは、初期段階の(dPω2)/(dPω1)の値βに対して、0.3β〜0.7βの範囲内で設定することが好ましく、例えば0.5β程度に設定される。(dPω2)/(dPω1)が0.3β未満では、紫外レーザ光Lvのパワーに基づいてファイバ光増幅器223の励起光パワーを制御するオートパワーコントロール(APC)の収束時間が過大になり、(dPω2)/(dPω1)が0.7βを超えると、ファイバ光増幅器223の交換寿命が短くなり経済性に反するからである。
【0079】
第2段階の寿命判定は、レーザ装置を保護するアラームまたはインターロックであり、例えば、ファイバ光増幅器223の劣化が進行してオートパワーコントロールが困難である旨の文字情報やピクトグラム、コード番号等を制御部8の表示装置に表示させたり、レーザ装置LSの状態を表す三色の回転表示灯のうち異常状態を意味する赤色の表示灯を点滅させたりするようなアラームの寿命判定信号、あるいは、上記のようなアラームに加えて、例えばオートパワーコントロール状態でのレーザ装置の作動を禁止するようなインターロックの寿命判定信号が出力される。
【0080】
第2段階の寿命基準値Taは、初期段階の(dPω2)/(dPω1)の値βに対して、0.1β〜0.3βの範囲内で設定すること、例えば0.2β程度とすることが好ましい。0.1βは、第2高調波パワーの揺らぎやパワーの検出誤差等を考慮したときに、オートパワーコントロールで動作させる下限値であり、0.3β以上ではオートパワーコントロールが制御不能となるようなおそれが低いからである。
【0081】
このような構成のFA寿命判断装置50Bにおいても、前述したFA寿命判断装置50Aと同様にファイバ光増幅器223の劣化状態に応じた寿命判定信号が出力される。そのため、現実にファイバ光増幅器223が劣化して交換が必要な状態であるか否かを適切に判断することができ、経済性と安定作動の確保とを両立させたレーザ装置を提供することができる。
【0082】
〔第3構成形態〕
次に、第3構成形態のFA寿命判断装置50Cについて、図8を参照して説明する。図8は、図4、図6と同様に、波長変換部3の第2系列IIにFA寿命判断装置を設けた場合の概要構成図である。なお、既述した構成形態と同様構成の部分には同一番号を付して重複説明を省略する。
【0083】
FA寿命判断装置50Cは、波長変換光学素子34を波長変換されずに透過した基本波レーザ光の強度を検出する基本波検出器52と、波長変換光学素子34により波長変換されて出射した第2高調波2ωの強度を検出する第2高調波検出器53と、基本波検出器52から出力された第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から出力された第2検出信号Pbに基づいてファイバ光増幅器223の作動状態を判断するFA判断部58とを備えて構成される。すなわち、本構成形態のFA寿命判断装置50Cは、基本波の強度検出を、波長変換光学素子34を透過した基本波レーザ光により行う点で、前述した第2構成形態のFA寿命判断装置50Bと異なっている。
【0084】
基本波検出器52及び第2高調波検出器53は、各々前述した基本波検出器52及び第2高調波検出器53と同様のパワーセンサを用いることができる。波長変換部3のミラー42には、波長1547nmの基本波を透過し、波長774nmの第2高調波の一部(例えば1%程度)を透過する波長選択性のある部分反射鏡が用いられ、波長変換光学素子34を波長変換されずに透過した基本波、及び波長変換光学素子34で発生した第2高調波の一部がミラー42を透過する。
【0085】
ミラー42の背後には、このミラーを透過した波長1547nmの基本波と波長774nmの第2高調波とを分光する分光素子56が設けられており、分光素子56により分光された基本波が基本波検出器52に入射し、第2高調波が第2高調波検出器53に入射する。分光素子56は、図示するようにプリズムを用いることができるほか、ダイクロイックミラーや回折光学素子等を用いて構成することもできる。
【0086】
FA判断部58は、メモリ58aに設定記憶される寿命基準値の具体的な数値が第2構成形態のFA判断部と異なる点を除き、基本的な構成は同様である。すなわち、FA判断部58は、ファイバ光増幅器223の寿命基準値が予め設定記憶されたメモリ58aと、基本波検出器52から出力された第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から出力された第2検出信号Pbに基づいてファイバ光増幅器223の作動状態等を演算処理する処理部58b、処理部58bにおける演算結果に基づいて寿命判定信号を出力する出力部58cなどから構成される。
【0087】
FA判断部58には、基本波検出器52から出力された第1検出信号Pa及び第2高調波検出器53から出力された第2検出信号Pbが入力されており、処理部58bは、第1検出信号Paの変化量(dPa)に対する第2検出信号Pbの変化量(dPb)の比である(dPb)/(dPa)、具体的には、波長変換光学素子34を透過した基本波パワーPω1′の変化量(dPω1′)に対する第2高調波パワーの変化量(dPω2)の比である(dPω2)/(dPω1′)を算出し、この値がメモリ58aに設定記憶された寿命基準値以下になったときに、出力部58cに指令信号を出力して寿命判定信号を出力させる。
【0088】
ここで、波長変換光学素子34を透過した基本波(便宜的に透過基本波という)のパワーPω1′は、波長変換光学素子34に入射した基本波(便宜的に入射基本波という)のパワーPω1から、波長変換に寄与した基本波のパワーを差し引いた大きさになる。波長変換に寄与するs偏光成分の光の寄与率、すなわち波長変換効率は、入射基本波のパワー(結晶中のパワー密度)が所定以上の領域で略一定であり、入射基本波のパワーPω1に比例して透過基本波のパワーPω1′が増大する。従って、透過基本波のパワーPω1′を入射基本波のパワーPω1に対応する状態量として取り扱うことができる。
【0089】
既述したように、ファイバ光増幅器に劣化が見られる以前の正常時においては、励起光のパワーPpumpに比例して入射基本波のパワーPω1が増大し、入射基本波のパワーPω1に比例して第2高調波のパワーPω2が増大する(図11,図12を参照)。このとき、入射基本波のパワーPω1に比例して透過基本波のパワーPω1′が増大する。そのため、透過基本波のパワーPω1′の増加に対応して、第2高調波のパワーPω2がある一定の傾きを持って増加する。この傾きである(dPω2)/(dPω1′)は、ファイバ光増幅器223及び波長変換光学素子34の構成に応じた値(所定の傾き)になる。いま、レーザ装置LSにおける(dPω2)/(dPω1′)の初期値をγとする。
【0090】
ファイバ光増幅器223のEDF223aが劣化し始めると、励起光のパワーPpumpの増加に対して入射基本波のパワーPω1は一次比例的に増大し、これに伴って透過基本波のパワーPω1′も増大するが、第2高調波のパワーPω2は増加傾向が縮小し(dPω2)/(dPω1′)の値は正常時の値γよりも小さくなる(図13を参照)。さらにEDF223aの劣化が進行すると、励起光パワーPpumpにほぼ比例して入射基本波のパワーPω1及び透過基本波のパワーPω1′は増大するが、第2高調波のパワーPω2は大きく波打つように変動し、(dPω2)/(dPω1′)は正・負に大きく変化するようになる(図14を参照)。
【0091】
このように、EDF223aの劣化が進行すると、(dPω2)/(dPω1′)の値は初期値γから徐々に減少し、ついには正・負に大きく変動するようになる。従って、(dPω2)/(dPω1′)に相当する(dPb)/(dPa)をFA判断部58において観察し、この値が所定以下になったときに寿命判定信号を出力して、ファイバ光増幅器223の劣化状態を報知等することにより、ファイバ光増幅器223の寿命を適切に判断することができる。
【0092】
このとき、寿命基準値の設定は、図5や図7に示した構成例と同様に設定することができる。すなわち、(dPω2)/(dPω1′)=γの初期値を基準として、第1段階の寿命基準値Twを0.3γ〜0.7γの範囲内、例えば0.5γ程度に設定し、第2段階の寿命基準値Taを0.1γ〜0.3γの範囲内、例えば0.2γ程度に設定してメモリ58aに記憶させ、同様のワーニング、アラーム、インターロック等を実行するように構成することができる。
【0093】
このような構成のFA寿命判断装置50Cにおいても、既述した第1構成形態のFA寿命判断装置50Aや第2構成形態のFA寿命判断装置50Bと同様に、ファイバ光増幅器223の劣化状態に応じた寿命判定信号が出力される。そのため、現実にファイバ光増幅器223が劣化して交換が必要な状態であるか否かを適切に判断することができ、経済性と安定作動の確保とを両立させたレーザ装置を提供することができる。また、本構成形態によれば、レーザ光出力部1や波長変換部3の光路中に部分反射鏡等の光学素子を配設する必要がなく、光学素子を挿入することにより生じる初期的及び長期的な損失や調整工数等を削減することができる。
【0094】
以上説明した実施形態では、ファイバ光増幅器の一例として、エルビウム・ドープ・ファイバ光増幅器(EDFA)を示したが、コアにドープされるレーザ媒質や光ファイバのクラッド構造は任意である。例えば、コアにイットリビウム(Yb)がドープされたシングルまたはマルチクラッド構造のイットリビウム・ドープ・ファイバ光増幅器(YDFA)やコアにツリウム(Tm)がドープされたシングルまたはマルチクラッド構造のツリウム・ドープ・ファイバ光増幅器(TDFA)等を有するレーザ装置についても同様に適用し同様の効果を得ることができる。
【0095】
また、波長変換光学素子の一例として、第2高調波発生を行うPPLN結晶を例示したが、用いる結晶や波長変換の作用は任意である。例えば、3次以上の高調波を発生する非線形光学結晶や、基本波と他の高調波との和周波発生を行う非線形光学結晶(例えば、実施形態における波長変換光学36)、差周波発生を行う非線形光学結晶等を有するレーザ装置についても同様に適用し同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0096】
1(1a,1b,1c) レーザ光出力部
3 波長変換部
8 制御部
10(10a,10b,10c) レーザ光発生部
11,12,13 レーザ光源
20(20a,20b,20c) 増幅部
21,22,23 ファイバ光増幅器
30 波長変換光学系
31〜36 波長変換光学素子
41,42,43 ミラー
50(50a,50b,50c) FA寿命判断装置
51 励起光検出器
52 基本波検出器
53 第2高調波検出器
54 部分反射鏡
55 部分反射鏡
56 分光素子
58 FA判断部
58a メモリ
58b 処理部
58c 出力部
221,222,223 ファイバ光増幅器
221a,222a,223a EDF
221b,222b,223b 励起光源
221c,222c,223c WDMカプラ
LS レーザ装置
La(La1,La2,La3) 基本波レーザ光
Ls(Ls1,Ls2,Ls3) 信号光
Lv 紫外レーザ光
ω1 基本波
ω2 第2高調波
Ppump 励起光のパワー
Pω1 基本波(入射基本波)ω1のパワー
Pω1p 基本波ω1におけるp偏光成分のパワー
Pω1s 基本波ω1におけるs偏光成分のパワー
Pω1′ 波長変換光学素子を透過した基本波(透過基本波)のパワー
Pω2 第2高調波のパワー
Pa 第1検出信号
Pb 第2検出信号
α (dPω2)/(dPpump)の初期値
β (dPω2)/(dPω1)の初期値
γ (dPω2)/(dPω1′)の初期値
Tw 第1段階の寿命基準値
Ta 第2段階の寿命基準値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバ光増幅器を有し基本波レーザ光を出射するレーザ光出力部と、波長変換光学素子を有し前記レーザ光出力部から出射された基本波レーザ光を波長変換して出力する波長変換部とを備えたレーザ装置であって、
前記基本波レーザ光の強度またはこれに対応する状態量を検出して検出量に応じた第1検出信号Paを出力する第1検出手段と、
前記波長変換光学素子により波長変換された光の強度を検出して検出量に応じた第2検出信号Pbを出力する第2検出手段と、
前記第1検出手段から出力された第1検出信号Pa及び前記第2検出手段から出力された第2検出信号Pbに基づいて前記ファイバ光増幅器の作動状態を判断するFA判断部とを備え、
前記FA判断部は、前記第1検出信号Paの変化量dPaと前記第2検出信号Pbの変化量dPbとの比が予め設定された寿命基準範囲外となったときに、寿命判定信号を出力するように構成されることを特徴とするレーザ装置。
【請求項2】
前記基本波レーザ光の強度に対応する状態量は、前記ファイバ光増幅器における励起光の強度であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記基本波レーザ光の強度に対応する状態量は、前記波長変換光学素子を透過した基本波レーザ光の強度であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記波長変換光学素子から出射された光のうち、前記波長変換光学素子を透過した基本波レーザ光を透過し、前記波長変換光学素子により波長変換された光の一部を透過するミラーと、
前記ミラーを透過した基本波レーザ光と、前記ミラーを透過した波長変換された光とを分離する分光素子とを備え、
前記第1検出手段及び前記第2検出手段は、各々前記分光素子により分光された前記基本波レーザ光及び前記波長変換された光の強度を検出することを特徴とする請求項3に記載のレーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図10】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−186333(P2012−186333A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48766(P2011−48766)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】