レーダー装置
【課題】より正確に障害物を検出可能とするレーダー装置を提供する。
【解決手段】電磁波を照射し、物体により反射された当該電磁波の反射波を受信して当該物体を検出するレーダー装置であって、電磁波を照射する照射手段と、電磁波の照射方向を示す照射軸線を上下方向へ揺動する照射方向揺動手段と、所定のタイミングにおいて、揺動手段を動作させて照射軸線の向きを水平方向以外の方向へ向ける照射方向制御手段とを備える、レーダー装置である。
【解決手段】電磁波を照射し、物体により反射された当該電磁波の反射波を受信して当該物体を検出するレーダー装置であって、電磁波を照射する照射手段と、電磁波の照射方向を示す照射軸線を上下方向へ揺動する照射方向揺動手段と、所定のタイミングにおいて、揺動手段を動作させて照射軸線の向きを水平方向以外の方向へ向ける照射方向制御手段とを備える、レーダー装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
レーダー装置に関し、より特定的には、車両に搭載されるレーダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両と検出対象との距離を検知するレーダー装置が開発されている。このようなレーダー装置は、一般的に電磁波を照射し、検出対象により反射された当該電磁波の反射波を受信することによって当該検出対象の位置等の情報を取得する。
【0003】
上記のようなレーダー装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される車両用レーダー装置は、検出対象を所定時間検出しなかった場合、レーダーヘッドを揺動して、レーダーの軸線を水平方向を向くように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−138232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなレーダー装置を用いて車両周囲に存在する検出対象を検出する際、検出対象の特性次第では、電磁波の照射軸線方向を水平方向以外の方向へ向けた方が、電磁波の照射軸線方向を水平方向へ向けている場合に比べ正確に検出対象を検出可能な場合がある。例えば、検出対象がレーダー装置の搭載位置と同程度の高さにおいて細くくびれた形状を成している場合を想定する。検出対象がこのような形状を成す場合、照射軸線を水平方向へ向けて検出対象の相対的に細い箇所に電磁波を照射するよりも、照射軸線を水平方向以外の方向へ向けて検出対象の相対的に太い箇所に電磁波を照射した方が、より強度が強い反射波を得ることが可能となり、当該検出対象をより正確に検出することができる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるレーダー装置では、電磁波の照射軸線を水平方向に保つ制御を行うため、検出対象に応じて電磁波の照射軸線の方向を水平方向以外の適切な方向へに向ける制御は実現できていなかった。
【0007】
本発明は上記の課題を鑑みて成されたものであり、より正確に障害物を検出可能とするレーダー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本願は以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明は、電磁波を照射し、物体により反射された当該電磁波の反射波を受信して当該物体を検出するレーダー装置であって、電磁波を照射する照射手段と、電磁波の照射方向を示す照射軸線を上下方向へ揺動する照射方向揺動手段と、所定のタイミングにおいて、揺動手段を動作させて照射軸線の向きを水平方向以外の方向へ向ける照射方向制御手段とを備える、レーダー装置である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、受信した反射波の強度を測定する強度測定手段と、反射波の強度が、予め定められた閾値以下であるか否か判定する強度判定手段とをさらに備え、照射方向制御手段は、強度判定手段により反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定された時点を所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含むことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、反射波に基づいて、物体までの距離を測定する距離測定手段をさらに備え、照射方向制御手段は、所定のタイミングにおいて、検出された物体までの距離に応じて照射軸線を揺動させる目標方向を算出する目標方向算出手段と、照射軸線の向きを目標方向へ向けるように揺動手段を制御する揺動制御手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第2の発明において、照射方向制御手段は、所定のタイミングにおいて、照射方向揺動手段に照射軸線の向きを予め定められた範囲内で揺動させ、反射波の強度が最大となった方向を、照射軸線を揺動させる目標方向として算出する目標方向算出手段と、照射軸線の向きを目標方向へ向けるように揺動手段を制御する揺動制御手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第2の発明において、複数の物体を同時に検出した場合、当該複数の物体各々について、搭載対象と衝突するまでの予測時間を算出する衝突時間予測手段と、複数の物体のうち、予測時間が最も短い物体を基準物として選択する基準物選択手段とをさらに備え、強度判定手段は、基準物からの反射波の強度が予め定められた閾値以下であるか否か判定し、タイミング決定手段は、強度判定手段により基準物の反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定された時点を所定のタイミングとして決定することを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第2の発明において、反射波に基づいて物体までの距離を測定する距離測定手段と、距離が距離閾値以下であるか否か判定する距離判定手段とをさらに備え、タイミング決定手段は、強度判定手段により反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定され、且つ、距離が予め定められた閾値以下であると判定された時点を所定のタイミングとして決定することを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、第6の発明において、距離閾値を、反射波の強度に応じて決定する距離閾値決定手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
第8の発明は、第1の発明において、照射手段は、予め定められたサンプリング周期で電磁波を照射し、照射方向制御手段は、照射手段が電磁波を予め定められた回数照射した時点を所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含むことを特徴とする。
【0016】
第9の発明は、第1の発明において、物体が検出されなくなった時点から経過した経過時間を計測する不検出時間測定手段をさらに備え、照射方向制御手段は、経過時間が予め定められた閾値以上となった時点を所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含むことを特徴とする。
【0017】
第10の発明は、第1から第9の発明において、受信した反射波の強度を測定する強度測定手段をさらに備え、照射方向制御手段は、照射軸線の向きを水平方向以外の方向へ向けた後、照射手段により電磁波を照射させ、当該電磁波の反射波の強度が予め定められた閾値以下である場合、照射軸線の向きを水平方向へ戻す照射方向初期化手段を含むことを特徴とする。
【0018】
第11の発明は、第1から第10の発明において、搭載対象が車両であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、例えば、歩行者などの、レーダー装置の位置と同程度の高さに電磁波を照射するよりも他の位置に電磁波を照射した方が比較的強度の大きい反射波を得られる対象を正確に検出することができる。
【0020】
第2の発明によれば、例えば、歩行者などの、レーダー装置の位置と同程度の高さに電磁波を照射するよりも他の位置に電磁波を照射した方が比較的強度の大きい反射波を得られる対象を検出した時点において、当該物体における電磁波の照射箇所を変更して、比較的強度の大きい反射波を得られる箇所に電磁波を照射することができる。すなわち、電磁波の照射方向を変更することによって、検出した物体を、より正確に継続して検出することができる。
【0021】
第3の発明によれば、比較的少ない処理量、且つ短い時間で電磁波の照射方向を適切な方向へ変更することができる。
【0022】
第4の発明によれば、電磁波の照射方向を適切な方向へ変更することができる。
【0023】
第5の発明によれば、複数の物体を検出した際に、衝突の危険性が最も高い物体を、より正確に検出することができる。
【0024】
第6の発明によれば、検出物の形状等の特性の影響によって反射波の強度が低下している可能性が高い場合にのみ、電磁波の照射方向を変更することができる。一般的に、反射波の強度は物体までの距離に反比例する傾向があるため、物体までの距離が短いにも拘わらず反射波の強度が弱い場合、検出物の形状等の特性の影響によって反射波の強度が低下している可能性が高い。このような場合においてのみ電磁波の照射方向を変更することによって、不要な照射方向の変更処理を抑制することができる。
【0025】
第7の発明によれば、距離閾値が反射波の強度に応じて変動するため、物体までの距離の割に反射波の強度が弱いか否かを、より正確に判定することができる。
【0026】
第8の発明によれば、物体を検出していない状況であっても、定期的に電磁波の照射方向を変更することによって、例えば、歩行者などの、レーダー装置の位置と同程度の高さに電磁波を照射するよりも他の位置に照射した方が比較的強い反射波を得られる対象を正確に検出することができる。また、上記のような対象を正確に検出することにより、従来に比べ当該対象を早期に検出することができる。
【0027】
第9の発明によれば、物体を検出していない状況であっても、定期的に電磁波の照射方向を変更することによって、例えば、歩行者などの、レーダー装置の位置と同程度の高さに電磁波を照射するよりも他の位置に照射した方が比較的強い反射波を得られる対象を正確に検出することができる。また、物体が検出されている場合には、照射方向を変しないため、不要な照射方向の変更処理の実行を防ぐことができる。
【0028】
第10の発明によれば、電磁波の照射方向を変更したにも拘わらず比較的強い反射波の強度を得られない場合には、当該照射方向を水平方向へ戻すことができる。
【0029】
第11の発明によれば、車両周囲の歩行者などの検出対象を、より正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】レーダー装置1の構成を示すブロック図の一例
【図2】アクチュエータ13が照射アンテナ11の上下方向の取り付け角度を変更する様子を示す図
【図3】レーダー装置1により歩行者が検出される様子を示した図
【図4】歩行者に電磁波を照射した場合における電磁波の照射箇所と反射波の強度との関係を示す図
【図5】第1の実施形態に係る制御装置10が実行する処理を示すフローチャートの一例
【図6】第1の実施形態に係る物体検出処理を示すフローチャートの一例
【図7】距離閾値テーブルの概念を示す図
【図8】仰角設定処理αを示すフローチャートの一例
【図9】仰角決定テーブルの概念を示す図
【図10】仰角設定処理βを示すフローチャートの一例
【図11】第2の実施形態に係る物体検出処理を示すフローチャートの一例
【図12】第3の実施形態に係る制御装置10が実行する処理を示すフローチャートの一例
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るレーダー装置1について説明する。先ず、図1を参照してレーダー装置1の構成について説明する。図1は、レーダー装置1の構成を示すブロック図の一例である。なお、以下では、レーダー装置1が車両100に搭載される例について説明する。レーダー装置1は、例えば、車両100のイグニッションスイッチがオンにされた場合に動作する。また、以下では、レーダー装置1が検出した物体を検出物と呼称する。
【0032】
図1に示すように、レーダー装置1は、制御装置10、照射アンテナ11、受信アンテナ12、およびアクチュエータ13を備える。レーダー装置1は、典型的にはFM−CW方式を採用したレーダー装置である。
【0033】
制御装置10は、典型的にはマイクロコンピュータなどの情報処理装置、メモリなどの記憶装置、およびインターフェース回路などを備える処理装置である。
【0034】
照射アンテナ11は、電磁波を照射するアンテナ装置である。照射アンテナ11は、制御装置10と電気的に接続され、制御装置10の指示に応じて電磁波を照射する。
【0035】
受信アンテナ12は、照射アンテナ11から照射された電磁波が物体に反射されて成る反射波を受信するアンテナ装置である。受信アンテナ12は、制御装置10と電気的に接続される。そして、受信アンテナ12は、受信した反射波の受信強度R、当該反射波の周波数F、位相φなどの当該反射波に関する情報を制御装置10へ出力する。
【0036】
アクチュエータ13は、照射アンテナ11の電磁波の照射方向を変更する駆動装置である。アクチュエータ13は、照射アンテナ11の車両100に対する上下方向の取り付け角度を変更して、電磁波の照射方向を変更する。アクチュエータ13は、制御装置10と電気的に接続され、制御装置10の指示に応じて動作する。
【0037】
以下、図2を参照してアクチュエータ13が照射アンテナ11の上下方向の取り付け角度を変更する様子について説明する。なお、図2は、アクチュエータ13が照射アンテナ11の上下方向の取り付け角度を変更する様子を示す図の一例である。図2に示すように、照射アンテナ11は、上方端部においてボルト111により車両100本体に締結される。そして、照射アンテナ11の下方端部は支持棒131の先端部により支持される。支持棒131は、基端部においてアクチュエータ13と連結し、当該アクチュエータ13の動作により前後方向に移動する棒状部材である。支持棒131が前後方向へ移動すると、照射アンテナ11が上方端部を中心に水平軸線周りに回転して、照射アンテナ11の電磁波の照射方向が上下方向に回動する。制御装置10は、アクチュエータ13を動作させることにより支持棒131を前後方向へ移動させて、電磁波の照射方向を制御する。なお、以下では、照射アンテナ11の電磁波の照射方向を示す照射軸線と、水平面とが成す角度を仰角θとする。仰角θの値は、水平方向において0とし、鉛直方向へ向く程に大きな値となるものとする。
【0038】
なお、照射アンテナ11および受信アンテナ12が一体的なアンテナユニットとして構成されている場合には、上記のような機構により当該アンテナユニット全体を回動させて構わない。また、上記に説明した機構は一例であり、制御装置10の指示に応じて照射アンテナ11の電磁波の照射方向を変更可能であれば、従来周知の任意の機構、および手法で電磁波の照射方向を変更して構わない。
【0039】
上記のような機構により仰角θを変更すると、例えば、図3に示すように、同じ検出物を検出していても、当該検出物において電磁波を照射する箇所を変更することが可能である。図3は、レーダー装置1により歩行者が検出される様子を示した図である。図3において、仰角θの値が0°に設定された場合の照射軸線を照射軸線J1として示す。また、仰角θが20°に設定された場合の照射軸線を照射軸線J2として示す。仰角θの値が0°に設定された場合、照射軸線J1は歩行者の脚部と交差する。すなわち、照射軸線が水平方向を向いている場合、電磁波は歩行者の脚部に照射される。一方、仰角θの値が20°に設定された場合、照射軸線J1は歩行者の胴体部と交差する。すなわち、照射軸線が水平方向より上方向を向いている場合、電磁波は歩行者の胴体部に照射される。
【0040】
歩行者に照射された電磁波は、当該歩行者により反射されて反射波を生じ、当該反射波の強度は照射された箇所に応じて変化する。図4は、歩行者に電磁波を照射した場合における電磁波の照射箇所と反射波の強度との関係を示す図である。図4において、歩行者に照射された電磁波の照射箇所の高さを高さHとし、当該電磁波の反射波の受信強度を受信強度Rとする。図4中右側に示すグラフは、縦軸を高さH、横軸を受信強度Rとして各々の値の関係を示したグラフである。当該グラフにおいて、受信強度Rは、照射箇所の高さHが大きくなるに従い、相対的に小さな値から徐々に大きくなり、再度小さな値となる。すなわち、受信強度Rは、電磁波の照射箇所が歩行者の脚部付近である場合、相対的に小さくなり、電磁波の照射箇所が歩行者の胴体部付近である場合、相対的に大きくなり、電磁波の照射箇所が歩行者の頭部付近である場合、相対的に小さくなる傾向がある。
【0041】
このように、検出対象の形状等によっては、電磁波の照射軸線を水平方向以外の方向へ向けた方が、より強度の強い反射波を受信することが可能となり、当該検出対象をより正確に検出することができる場合がある。レーダー装置1は、後述の制御装置10の処理により、アクチュエータ13を動作させて、適切なタイミングで電磁波の照射軸線の方向を制御して、検出物をより正確に検出することができる。
【0042】
以下、図5から図10を参照して制御装置10が実行する処理について説明する。図5は、制御装置10が実行する処理を示すフローチャートの一例である。制御装置10は、車両100のイグニッションスイッチがオンにされると、先ず、図5に示すステップA1の処理を実行する。
【0043】
ステップA1において、制御装置10は、物体検出処理のサブルーチンを実行する。図6は、第1の実施形態に係る物体検出処理を示すフローチャートの一例である。制御装置10は、物体検出処理を開始すると、先ず、図6に示すステップA11の処理を実行する。
【0044】
ステップA11において、制御装置10は、電磁波を照射させる。具体的には、制御装置10は、電磁波の照射を指示する指示信号を照射アンテナ11に対して出力する。照射アンテナ11は、制御装置10から上記指示信号を受信すると、電磁波を照射する。ステップA11の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA12へ進める。
【0045】
ステップA12において、制御装置10は、反射波を受信したか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、受信アンテナ12から反射波の受信強度Rや、周波数などの当該反射波に関する情報を取得する。そして、制御装置10は、電磁波の受信強度Rが閾値Rth1以上であるか否か判定する。閾値Rth1は、反射波を受信したか否か判定するための閾値であり、制御装置10の記憶装置に予め記憶された定数である。受信強度Rが閾値Rth1以上である場合、制御装置10は、反射波を受信したと判定し、処理をステップA13へ進める。一方、受信強度Rが閾値Rth1より小さい場合、制御装置10は、反射波を受信していないと判定し、処理をステップA19へ進める。
【0046】
ステップA13において、制御装置10は、検出物情報を算出する。具体的には、制御装置10は、ステップA12において取得した反射波に関する情報に基づいて検出物の位置等を算出する。検出物情報には、例えば、検出物までの距離L、検出物の水平方向の検出方向などの情報が含まれる。制御装置10は、例えば、周波数Fに基づいて検出物までの距離Lを算出して記憶装置に記憶する。ステップA13の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA14へ進める。
【0047】
上記ステップA11からステップA13の処理によれば、制御装置10は、照射した電磁波の反射波受信した場合に、当該反射波を生じた検出物の検出物情報を算出する。
【0048】
ステップA14において、制御装置10は、受信強度Rが閾値Rth2以上であるか否か判定する。閾値Rth2は、反射波の受信強度が比較的大きい値であるか否かを判定するための閾値であり、制御装置10の記憶装置に予め記憶された定数である。なお、閾値Rth2の値は、閾値Rth1より大きな値である。制御装置10は、受信強度Rが閾値Rth2以上であると判定した場合、処理をステップA18へ進める。一方、制御装置10は、受信強度Rが閾値Rth2より小さいと判定した場合、処理をステップA15へ進める。
【0049】
ステップA15において、制御装置10は、受信強度Rに応じて閾値Lthを算出する。閾値Lthは、検出物までの距離Lが受信強度Rの大きさに相応する大きさであるか否かを判定するための閾値である。詳細は後述するが、制御装置10は、検出物までの距離Lが受信強度Rの大きさに相応する大きさであるか否かを閾値Lthに基づいて判定し、当該判定結果に応じて仰角θを制御する。制御装置10は、記憶装置に予め記憶された距離閾値テーブルに基づいて閾値Lthを算出する。距離閾値テーブルは、閾値Lthと受信強度Rとの関係を示すデータテーブルである。図7は、距離閾値テーブルの概念を示す図である。
【0050】
図7に示すように、距離閾値テーブルは、列毎に受信強度Rおよび閾値Lthの値が各々並べられたテーブルである。当該テーブルにおいて、1列目には受信強度Rの値が示され、2列目には各受信強度Rの値と対応する閾値Lthの値が示される。制御装置10は、距離閾値テーブルの1列目において、ステップA12において取得した受信強度Rの値に対応する行を探索する。そして、制御装置10は、探索した行と同じ行の2列目に記された閾値Lthの値を受信強度Rに対応する閾値Lthの値として算出する。ステップA15の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA16へ進める。
【0051】
図6の説明に戻り、ステップA16において、制御装置10は、距離Lが閾値Lth以下であるか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、ステップA13において算出した距離L、およびステップA15において算出した距離Lthの値の大きさを比較して、距離Lが閾値Lth以下であるか否か判定する。制御装置10は、距離Lが閾値Lth以下であると判定した場合、処理をステップA17へ進める。一方、制御装置10は、距離Lが閾値Lthより大きいと判定した場合、処理をステップA18へ進める。
【0052】
上記ステップA14からステップA16の処理によれば、受信強度Rの大きさの割に車両100から検出物までの距離Lが比較的短いか否か判定される。この際、上記ステップA15の処理によれば、受信強度Rの値に応じて閾値Lthの値が算出されるため、制御装置10は、受信強度Rの大きさの割に車両100から検出物までの距離Lが比較的短いか否かを正確に判定することができる。
【0053】
なお、制御装置10は、閾値Lthの値を受信強度Rの値に関わらず予め定められた固定値として記憶装置に記憶し、当該閾値Lthに基づいてステップA16の処理を実行しても構わない。このような処理を行う場合、制御装置10は、ステップA15の処理を省略可能であり、また、距離閾値テーブルを記憶する必要がない。すなわち、制御装置10は、少ない処理量および記憶領域で、受信強度Rの大きさの割に車両100から検出物までの距離Lが比較的短いか否か判定することができる。
【0054】
ステップA17において、制御装置10は、仰角設定処理αのサブルーチンを実行する。仰角設定処理αは、上述の通り、検出物までの距離に応じて仰角θを制御する処理である。図8は、仰角設定処理αを示すフローチャートの一例である。制御装置10は、仰角設定処理αのサブルーチンを実行すると、先ず、図8に示すステップA171の処理を実行する。
【0055】
ステップA171において、制御装置10は、仰角決定テーブルに基づいて目標角θMを算出する。目標角θMは、後述ステップA172おいて仰角θを制御する際の仰角θの設定値である。制御装置10は、記憶装置に予め記憶された仰角決定テーブルに基づいて目標角θMを算出する。仰角決定テーブルは、距離Lと目標角θMとの関係を示すデータテーブルである。図9は、仰角決定テーブルの概念を示す図である。
【0056】
図9に示すように、仰角決定テーブルは、列毎に距離Lおよび目標角θMの値が各々並べられたテーブルである。当該テーブルにおいて、1列目には距離Lの値が示され、2列目には各距離Lの値と対応する目標角θMの値が示される。制御装置10は、距離閾値テーブルの1列目において、ステップA13において算出した距離Lの値に対応する行を探索する。そして、制御装置10は、探索した行と同じ行の2列目に記された目標角θMの値を距離Lに対応する目標角θMの値として算出する。ステップA171の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA172へ進める。
【0057】
ステップA172において、制御装置10は、仰角θを目標角θMに合わせる。具体的には、制御装置10は、アクチュエータ13を動作させて仰角θが目標角θMとなる位置まで照射アンテナ11を回動させる。ステップA172の処理を完了すると、制御装置10は、仰角設定処理αおよび物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0058】
上記仰角設定処理αによれば、距離Lの値に応じて電磁波の照射軸線の方向が設定される。したがって、制御装置10は、電磁波の照射軸線の方向を簡単な処理で適切に変更することができる。
【0059】
下記ステップA14からステップA17の処理によれば、受信強度Rが比較的小さい値であり、且つ、当該受信強度Rの大きさの割に車両100から検出物までの距離Lが比較的短い場合に、仰角設定処理αが実行されて仰角θが変更される。一般的に、検出物までの距離Lが短くなるほど、受信強度Rが大きくなる傾向があるため、検出物までの距離Lが短いにも拘わらず受信強度Rが弱い場合は、検出物の形状等の特性の影響によって反射波の強度が低下している可能性が高い。このような状況において仰角設定処理αを実行することにより、制御装置10は、検出物における電磁波の照射位置を適切に変更して、当該検出物を正確に検出することができる。また、制御装置10は、検出物までの距離Lが当該受信強度Rの大きさに相応しい値である状況では仰角設定処理αを実行しないため、不要なタイミングにおける仰角設定処理αの実行を抑制することができる。
【0060】
なお、制御装置10は、上記ステップA14およびステップA15の処理を省略し、受信強度Rが閾値Rth2より小さい場合、距離Lに関わらず、仰角設定処理αを実行して構わない。このような処理を実行する場合であっても、制御装置10は、比較的反射波の受信強度Rが弱い物体を検出したタイミングで仰角θを変更することができる。
【0061】
ステップA18において、制御装置10は、検出物情報を出力する。具体的には、制御装置10は、ステップA13において算出した検出物情報を、制御装置10に接続されて当該位置情報を利用する機器(図示せず)へ出力する。例えば、制御装置10は、検出物情報に基づいて、車両100と当該検出物との衝突の危険性を予測し、当該予測結果に応じて車両100を制御する衝突予測装置などに位置情報を出力する。ステップA18の処理を完了すると、制御装置10は、仰角設定処理αおよび物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0062】
ステップA19において、制御装置10は、仰角θをリセットする。具体的には、制御装置10は、アクチュエータ13を動作させて、仰角θの値が0となる位置まで照射アンテナ11を回動させる。ステップA19の処理を完了すると、制御装置10は、物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0063】
上記ステップA12およびステップA19によれば、物体が検出されない場合には、電磁波の照射軸線が水平方向へ戻される。
【0064】
図5の説明に戻り、ステップA2において、制御装置10は、サンプリングカウンタNをカウントアップする。サンプリングカウンタNは、制御装置10に記憶され、上記物体検出処理を実行した回数を示す変数である。制御装置10は、記憶したサンプリングカウンタNの値に、例えば1などの予め定められた定数値を加算して、加算後のサンプリングカウンタNの値を上書き記憶する。ステップA2の処理を完了すると、制御装置10は処理をステップA3へ進める。
【0065】
ステップA3において、制御装置10は、サンプリングカウンタNの値が閾値Nth以上であるか否かを判定する。閾値Nthは、物体検出処理の実行回数が一定値に達したか否かを判定するための閾値であり、制御装置10に予め記憶される定数値である。制御装置10はサンプリングカウンタNの値、および閾値Nthの値を記憶装置から読み出して、サンプリングカウンタNの値が閾値Nth以上であるか否かを判定する。制御装置10は、サンプリングカウンタNの値が閾値Nth以上であると判定した場合、処理をステップA4へ進める。一方、制御装置10は、サンプリングカウンタNの値が閾値Nthより小さいと判定した場合、処理をステップA1へ戻し、上述ステップA1およびステップA2の処理を繰り返し実行する。
【0066】
ステップA4において、制御装置10は、仰角設定処理βのサブルーチンを実行する。仰角設定処理βは、所定範囲内で照射アンテナ11を回動させて、仰角θの最適値を導出、および仰角θを当該最適値に設定する処理である。図10は、仰角設定処理βを示すフローチャートの一例である。制御装置10は、仰角設定処理αのサブルーチンを実行すると、先ず、図10に示すステップA41の処理を実行する。
【0067】
ステップA41において、制御装置10は、上記ステップA19の処理と同様にして、仰角θをリセットする。ステップA41の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA42へ進める。
【0068】
ステップA42において、制御装置10は、仰角θを所定量大きくする。具体的には、制御装置10は、アクチュエータ13を動作させて仰角θが予め定められた値(例えば、1°)だけ大きくなるよう、照射アンテナ11を回動させる。ステップA42の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA43へ進める。
【0069】
ステップA43において、制御装置10は、上記ステップA11と同様にして電磁波を照射させる。ステップA43の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA44へ進める。
【0070】
ステップA44において、制御装置10は、現在の仰角θにおける受信強度Rを記憶する。具体的には、制御装置10は、受信アンテナ12から反射波の受信強度Rを取得して、当該受信強度Rの値を上記ステップA42において変更した仰角θの値と対応付けて記憶装置に記憶する。なお、制御装置10は、以前に当該仰角θにおける受信強度Rを記憶している場合には、今回取得した受信強度Rの値で上書き記憶する。ステップA44の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA45へ進める。
【0071】
ステップA45において、制御装置10は、仰角θが閾値θth以上であるか否かを判定する。閾値θthは、所定範囲内での照射アンテナ11の回動が完了したか否かを判定するための閾値であり、予め記憶装置に記憶された定数である。制御装置10は、仰角θが閾値θth以上であると判定した場合、処理をステップA46へ進める。一方、制御装置10は、仰角θが閾値θth未満であると判定した場合、処理をステップA42へ戻して上述ステップA42からステップA44の処理を繰り返す。
【0072】
上記ステップA41からステップA45の処理によれば、仰角θの値が0からθthまでの範囲で徐々に変更され、各仰角θにおける受信強度Rの値が測定される。すなわち、制御装置10は、電磁波を所定範囲内で上下方向に走査して、物体からの反射波の受信強度Rを測定する。ここで、仰角θの値は、時系列順にn段階にθ1、θ2、…θnに変更されるものとする。そして、各仰角θの値θ1、θ2、…θnにおける受信強度Rの値は、各々、R1、R2、…Rnであったとする。
【0073】
ステップA46において、制御装置10は、何れの仰角においても反射波を受信しなかったか否か判定する。具体的には、制御装置10は、上記ステップA41からステップA45により記憶した各仰角θにおける受信強度Rの値(R1からRn)が何れもRth1以下であるか否か判定する。R1からRnの値が何れもRth1以下であった場合、制御装置10は、何れの仰角においても反射波を受信しなかったと判定し、処理をステップA47へ進める。一方、R1からRnの値のうち何れかがRth1より大きかった場合、制御装置10は、何れかの仰角において反射波を受信したと判定し、処理をステップA48へ進める。
【0074】
ステップA47において、制御装置10は、上記ステップA19の処理と同様にして、仰角θをリセットする。ステップA47の処理を完了すると、制御装置10は、仰角設定処理βを完了し、処理を図5のステップA5へ進める。
【0075】
ステップA48において、制御装置10は、受信強度Rが最も大きかった時点の仰角θの値を目標各θMとする。具体的には、制御装置10は、ステップA41からステップA45により記憶した各仰角θにおける受信強度Rの値(R1からRn)のうち最も大きな値を抽出する。そして、制御装置10は、当該受信強度Rと対応する仰角θの値を目標各θMの値として設定する。例えば、R2の値が最も大きい場合、制御装置10は、当該R2に対応するθ2の値を目標各θMとして設定する。ステップA48の処理を完了すると、制御装置10は処理をステップA49へ進める。
【0076】
ステップA49において、制御装置10は、上記ステップA172の処理と同様にして、仰角θを目標角θMに合わせる。例えば、目標各θMの値がθ2であった場合は、制御装置10は、仰角θの値がθ2となるようアクチュエータ13を制御する。ステップA49の処理を完了すると、制御装置10は、仰角設定処理βを完了し、処理を図5のステップA5へ進める。
【0077】
上記仰角設定処理βによれば、受信強度Rが最も大きくなるように仰角θが設定される。したがって、制御装置10は、電磁波の照射軸線を最適な方向に向けることができる。
【0078】
また、上記ステップA1からステップA4の処理によれば、物体を検出したか否かに関わらず、物体検出処理が一定回数実行される毎に仰角設定処理βが実行されて、電磁波の照射軸線が上方へ向けられる。このように、定期的に電磁波の照射方向を変更することによって、電磁波の照射方向を水平方向に維持し続けた場合よりも、歩行者等を正確に検出することができる。また、歩行者などの検出対象を正確に検出することにより、電磁波の照射方向を水平方向に維持し続けた場合よりも、当該対象を早期に検出することができる。
【0079】
ステップA5において、制御装置10は、終了処理が実行されたか否か判定する。具体的には、例えば、制御装置10は、車両100のイグニッションスイッチがオフにされたか否かを判定する。車両100のイグニッションスイッチがオフにされた場合、制御装置10は、終了処理が実行されたと判定し、図5の処理を終了する。一方、車両100のイグニッションスイッチがオン状態である場合、制御装置10は、終了処理が実行されていないと判定し、処理をステップA1へ戻す。
【0080】
以上より、第1の実施形態に係るレーダー装置1によれば、電磁波の照射軸線の角度を変更して、例えば、歩行者などの、電磁波の照射位置に応じて反射波の強度が変化する対象を、より正確に検出することができる。すなわち、レーダー装置1は、高さ方向の分解能を有する必要が無く、また高さ方向の電磁波の照射範囲が比較的狭くとも、歩行者等の検出対象を正確に検出することができる。
【0081】
なお、上記ステップA17の処理では、制御装置10が仰角設定処理αを実行する例について説明したが、制御装置10は、当該ステップA17において仰角設定処理βを実行しても構わない。
【0082】
また、上記仰角設定処理αおよび仰角設定処理βでは、制御装置10が距離Lや受信強度Rの値に応じて目標角θMを算出する例について説明したが、制御装置10は、目標角θMの値を定数値として予め記憶し、当該定数値に仰角θを合わせるように制御しても構わない。このような処理を実行する場合、制御装置10は、目標角θMを算出する処理を省略し、少ない処理で仰角θを変更することができる。
【0083】
(第2の実施形態)
例えば、レーダー装置が複数の物体を検出可能に構成される場合、車両100に衝突する危険性が高い物体を特に正確に検出することが望ましい。このような観点から、本発明に係るレーダー装置において、複数の物体を検出した場合に、車両100に衝突する危険性が最も高い物体を基準として仰角θを制御する処理を採用しても良い。
【0084】
第2の実施形態に係るレーダー装置の構成は上記第1の実施形態に係るレーダー装置1と同様であるので詳細な説明を省略する。また、第2の実施形態に係る制御装置10の処理はステップA1の物体検出処理を除き図5に示す上記第1の実施形態に係る制御装置10と同様であるので、以下では第2の実施形態に係る制御装置10が実行する物体検出処理についてのみ詳細に説明し、他の処理については詳細な説明を省略する。
【0085】
図11は、第2の実施形態に係る物体検出処理を示すフローチャートの一例である。制御装置10は、図11に示す物体検出処理を開始すると、先ず、ステップB11の処理を実行する。
【0086】
ステップB11において、制御装置10は、上記ステップA11と同様にして、電磁波を照射させる。ステップB11の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB12へ進める。
【0087】
ステップB12において、制御装置10は、上記ステップA12と同様にして、反射波を受信したか否かを判定する。制御装置10は、反射波を受信したと判定した場合、処理をステップB13へ進める。一方、制御装置10は、反射波を受信していないと判定した場合、処理をステップB24へ進める。
【0088】
ステップB13において、制御装置10は、検出物を1つ選択する。以下、本ステップB13において検出した検出物を選択検出物と呼称する。ステップB13の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB14へ進める。
【0089】
ステップB14において、制御装置10は、上記ステップA13と同様にして、選択検出物の検出物情報を算出する。なお、制御装置10は、検出物までの距離L、検出物の水平方向の検出方向だけでなく、検出物の相対速度Vを周波数Fに基づいて算出する。ステップB14の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB15へ進める。
【0090】
ステップB15において、制御装置10は、選択検出物の衝突時間TTCを算出する。具体的には、制御装置10は、下記(1)式に基づいて選択検出物の衝突時間TTCを算出して、当該衝突時間TTCの値を記憶装置に記憶する。
TTC=L/V …(1)
ステップB15の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB16へ進める。
【0091】
ステップB16において、制御装置10は、全ての検出物を選択したか否か判定する。具体的には、制御装置10は、ステップA12において検出した全ての検出物を選択検出物として選択したか否かを判定する。制御装置10は、全ての検出物を選択したと判定した場合、処理をステップB17へ進める。一方、制御装置10は、未選択の検出物があると判定した場合、処理をステップB13へ戻し、未選択の検出物についてステップB13からステップB15の処理を実行する。
【0092】
ステップB17において、制御装置10は、衝突時間TTCが最も短い検出物を基準検出物に指定する。制御装置10は、記憶装置に記憶した各検出物の衝突時間TTCの大きさを各々比較し、衝突時間TTCが最も短い検出物を基準検出物として指定する。基準検出物は、車両100と衝突する危険性が最も高い検出物である。ステップB17の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB18へ進める。
【0093】
上記ステップB13からステップB17の処理によれば、制御装置10は、車両100と衝突する危険性が最も高い検出物を基準検出物として選択される。そして、制御装置10は、以下に示すステップB18からステップB22の処理において、基準検出物に関する情報に基づいて仰角θを制御する。
【0094】
ステップB18において、制御装置10は、受信強度Rkが閾値Rth2以上であるか否かを判定する。受信強度Rkは、基準検出物の反射波の受信強度である。制御装置10は、受信強度Rkが閾値Rth2以上であると判定した場合、処理をステップA22へ進める。一方、制御装置10は、受信強度Rが閾値Rth2未満であると判定した場合、処理をステップB19へ進める。
【0095】
ステップB19において、制御装置10は、上記ステップA15と同様にして、受信強度Rkに応じて閾値Lthを算出する。ステップB19の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB20へ進める。
【0096】
ステップB20において、制御装置10は、上記ステップA16と同様にして、距離Lkが閾値Lth以下であるか否か判定する。距離Lkは、上記ステップB14において算出された基準検出物までの距離である。ステップB20の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB21へ進める。
【0097】
ステップB21において、制御装置10は、上述した図8の仰角設定処理αを実行する。なお、制御装置10は、仰角決定テーブルに基づいて目標角θMを算出する際、基準検出物までの距離Lkに基づいて目標角θMを算出する。ステップB21の処理を完了すると、制御装置10は、物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0098】
ステップB22において、制御装置10は、上記ステップA18と同様にして各検出物の位置情報を出力する。ステップB21の処理を完了すると、制御装置10は、物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0099】
ステップB23において、制御装置10は、上記ステップA19と同様にして、仰角θをリセットする。ステップB23の処理を完了すると、制御装置10は、物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0100】
以上に示した第2の実施形態に係る物体検出処理によれば、複数の物体を検出した場合に、基準検出物を基準として仰角θが制御される。したがって、車両100に衝突する危険性が最も高い物体を、より正確に検出することができる。言い換えれば、車両100との衝突の危険性の低い物体を基準として仰角θを変更するなどして、車両100への衝突の危険性の高い物体を見失う事態を防ぐことができる。
【0101】
(第3の実施形態)
上記第1の実施形態では、制御装置10が物体検出処理が一定回数実行される毎に仰角設定処理βを実行して電磁波の照射軸線を上方へ向ける例について説明したが(上記ステップA2からステップA4)、制御装置10は、物体が検出されなくなった時点から所定時間が経過したタイミングで電磁波の照射軸線を上方へ向けるよう仰角θを制御しても構わない。
【0102】
以下、第3の実施形態に係る制御装置10の処理について説明する。なお、第3の実施形態に係るレーダー装置の構成は、第1の実施形態に係るレーダー装置と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0103】
図12は、第3の実施形態に係る制御装置10が実行する処理を示すフローチャートの一例である。制御装置10は、車両100のイグニッションスイッチがオンにされると、先ず、図12に示すステップC1の処理を実行する。
【0104】
ステップC1において、制御装置10は、上述した図6の物体検出処理を実行する。ステップC1の処理を完了すると、制御装置10は処理をステップC2へ進める。
【0105】
ステップC2において、制御装置10は、物体を検出したか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、上記ステップC1において実行した物体検出処理において、反射波を受信したと判定した場合、物体を検出したと判定し、反射波を受信していないと判定した場合、物体を検出していないと判定する。制御装置10は、物体を検出したと判定した場合、後述ステップC3からステップC6の処理を省略して、処理をステップC7へ進める。一方、制御装置10は、物体を検出していないと判定した場合、処理をステップC3へ進める。
【0106】
ステップC3において、制御装置10は、不検出タイマーTをカウントアップする。不検出タイマーTは、レーダー装置が物体を検出しなくなった時点からの経過時間を示す変数である。不検出タイマーTは、制御装置10に記憶される変数であり、初期値は0に設定される。制御装置10は、記憶装置に記憶した不検出タイマーTの値に予め定められた定数を加算し、加算後の不検出タイマーTの値を記憶装置に上書きして記憶する。ステップC3の処理を完了すると、処理をステップC4へ進める。
【0107】
ステップC4において、制御装置10は、不検出タイマーTの値が閾値Tth以上であるか否か判定する。閾値Tthは、レーダー装置が物体を検出しなくなった時点から一定時間が経過したか否かを判定するための閾値である。閾値Tthは、制御装置10に予め記憶された定数値である。制御装置10は、不検出タイマーTの値が閾値Tth以上であると判定した場合、処理をステップC5へ進める。一方、制御装置10は、不検出タイマーTの値が閾値Tthより小さいと判定した場合、処理をステップC7へ進める。
【0108】
上記ステップC1からステップC4の処理によれば、物体が検出されていない間、不検出タイマーTの値が継続的に増加する。
【0109】
ステップC5において、制御装置10は、上述した図10の仰角設定処理βを実行する。ステップC5の処理を完了すると、制御装置10は処理をステップC6へ進める。
【0110】
上記ステップC4およびステップC5の処理によれば、不検出タイマーTの値が閾値Tthに達した時点で仰角設定処理βが実行される。
【0111】
ステップC6において、制御装置10は、不検出タイマーTをリセットする。具体的には、不検出タイマーTの値を初期値に設定し、記憶装置に上書きして記憶する。ステップC6の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップC7へ進める。
【0112】
上記ステップC6の処理によれば、仰角設定処理βを実行した後に不検出タイマーTの値が初期化されるため、物体が検出されない状態が継続する場合には、不検出タイマーTが閾値Tthに達する毎に仰角設定処理βが実行される。
【0113】
ステップC7において、制御装置10は、上記ステップA5の処理と同様にして終了処理が実行されたか否かを判定する。制御装置10は、終了処理が実行されたと判定した場合、図12の処理を終了する。一方、制御装置10は、終了処理が実行されていないと判定した場合、処理をステップC1へ戻す。
【0114】
以上に示した第3の実施形態に係る制御装置10の処理によれば、物体が検出されなくなった時点から不検出タイマーTが閾値Tthに達したタイミングで、仰角設定処理βが実行される。したがって、第3の実施形態に係るレーダー装置は、不要なタイミングにおける仰角設定処理βの実行を抑制することができる。なお、物体が検出されない状態が継続する場合には、制御装置10は不検出タイマーTが閾値Tthに達する毎に仰角設定処理βが実行するため、定期的に電磁波の照射方向を変更して、歩行者等の検出対象を早期に且つ正確に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明に係るレーダー装置は、より正確に障害物を検出可能とするレーダー装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0116】
1 レーダー装置
10 制御装置
11 送信アンテナ
12 受信アンテナ
13 アクチュエータ
100 車両
111 ボルト
131 支持棒
【技術分野】
【0001】
レーダー装置に関し、より特定的には、車両に搭載されるレーダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両と検出対象との距離を検知するレーダー装置が開発されている。このようなレーダー装置は、一般的に電磁波を照射し、検出対象により反射された当該電磁波の反射波を受信することによって当該検出対象の位置等の情報を取得する。
【0003】
上記のようなレーダー装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される車両用レーダー装置は、検出対象を所定時間検出しなかった場合、レーダーヘッドを揺動して、レーダーの軸線を水平方向を向くように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−138232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなレーダー装置を用いて車両周囲に存在する検出対象を検出する際、検出対象の特性次第では、電磁波の照射軸線方向を水平方向以外の方向へ向けた方が、電磁波の照射軸線方向を水平方向へ向けている場合に比べ正確に検出対象を検出可能な場合がある。例えば、検出対象がレーダー装置の搭載位置と同程度の高さにおいて細くくびれた形状を成している場合を想定する。検出対象がこのような形状を成す場合、照射軸線を水平方向へ向けて検出対象の相対的に細い箇所に電磁波を照射するよりも、照射軸線を水平方向以外の方向へ向けて検出対象の相対的に太い箇所に電磁波を照射した方が、より強度が強い反射波を得ることが可能となり、当該検出対象をより正確に検出することができる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるレーダー装置では、電磁波の照射軸線を水平方向に保つ制御を行うため、検出対象に応じて電磁波の照射軸線の方向を水平方向以外の適切な方向へに向ける制御は実現できていなかった。
【0007】
本発明は上記の課題を鑑みて成されたものであり、より正確に障害物を検出可能とするレーダー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本願は以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明は、電磁波を照射し、物体により反射された当該電磁波の反射波を受信して当該物体を検出するレーダー装置であって、電磁波を照射する照射手段と、電磁波の照射方向を示す照射軸線を上下方向へ揺動する照射方向揺動手段と、所定のタイミングにおいて、揺動手段を動作させて照射軸線の向きを水平方向以外の方向へ向ける照射方向制御手段とを備える、レーダー装置である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、受信した反射波の強度を測定する強度測定手段と、反射波の強度が、予め定められた閾値以下であるか否か判定する強度判定手段とをさらに備え、照射方向制御手段は、強度判定手段により反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定された時点を所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含むことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、反射波に基づいて、物体までの距離を測定する距離測定手段をさらに備え、照射方向制御手段は、所定のタイミングにおいて、検出された物体までの距離に応じて照射軸線を揺動させる目標方向を算出する目標方向算出手段と、照射軸線の向きを目標方向へ向けるように揺動手段を制御する揺動制御手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第2の発明において、照射方向制御手段は、所定のタイミングにおいて、照射方向揺動手段に照射軸線の向きを予め定められた範囲内で揺動させ、反射波の強度が最大となった方向を、照射軸線を揺動させる目標方向として算出する目標方向算出手段と、照射軸線の向きを目標方向へ向けるように揺動手段を制御する揺動制御手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第2の発明において、複数の物体を同時に検出した場合、当該複数の物体各々について、搭載対象と衝突するまでの予測時間を算出する衝突時間予測手段と、複数の物体のうち、予測時間が最も短い物体を基準物として選択する基準物選択手段とをさらに備え、強度判定手段は、基準物からの反射波の強度が予め定められた閾値以下であるか否か判定し、タイミング決定手段は、強度判定手段により基準物の反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定された時点を所定のタイミングとして決定することを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第2の発明において、反射波に基づいて物体までの距離を測定する距離測定手段と、距離が距離閾値以下であるか否か判定する距離判定手段とをさらに備え、タイミング決定手段は、強度判定手段により反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定され、且つ、距離が予め定められた閾値以下であると判定された時点を所定のタイミングとして決定することを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、第6の発明において、距離閾値を、反射波の強度に応じて決定する距離閾値決定手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
第8の発明は、第1の発明において、照射手段は、予め定められたサンプリング周期で電磁波を照射し、照射方向制御手段は、照射手段が電磁波を予め定められた回数照射した時点を所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含むことを特徴とする。
【0016】
第9の発明は、第1の発明において、物体が検出されなくなった時点から経過した経過時間を計測する不検出時間測定手段をさらに備え、照射方向制御手段は、経過時間が予め定められた閾値以上となった時点を所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含むことを特徴とする。
【0017】
第10の発明は、第1から第9の発明において、受信した反射波の強度を測定する強度測定手段をさらに備え、照射方向制御手段は、照射軸線の向きを水平方向以外の方向へ向けた後、照射手段により電磁波を照射させ、当該電磁波の反射波の強度が予め定められた閾値以下である場合、照射軸線の向きを水平方向へ戻す照射方向初期化手段を含むことを特徴とする。
【0018】
第11の発明は、第1から第10の発明において、搭載対象が車両であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、例えば、歩行者などの、レーダー装置の位置と同程度の高さに電磁波を照射するよりも他の位置に電磁波を照射した方が比較的強度の大きい反射波を得られる対象を正確に検出することができる。
【0020】
第2の発明によれば、例えば、歩行者などの、レーダー装置の位置と同程度の高さに電磁波を照射するよりも他の位置に電磁波を照射した方が比較的強度の大きい反射波を得られる対象を検出した時点において、当該物体における電磁波の照射箇所を変更して、比較的強度の大きい反射波を得られる箇所に電磁波を照射することができる。すなわち、電磁波の照射方向を変更することによって、検出した物体を、より正確に継続して検出することができる。
【0021】
第3の発明によれば、比較的少ない処理量、且つ短い時間で電磁波の照射方向を適切な方向へ変更することができる。
【0022】
第4の発明によれば、電磁波の照射方向を適切な方向へ変更することができる。
【0023】
第5の発明によれば、複数の物体を検出した際に、衝突の危険性が最も高い物体を、より正確に検出することができる。
【0024】
第6の発明によれば、検出物の形状等の特性の影響によって反射波の強度が低下している可能性が高い場合にのみ、電磁波の照射方向を変更することができる。一般的に、反射波の強度は物体までの距離に反比例する傾向があるため、物体までの距離が短いにも拘わらず反射波の強度が弱い場合、検出物の形状等の特性の影響によって反射波の強度が低下している可能性が高い。このような場合においてのみ電磁波の照射方向を変更することによって、不要な照射方向の変更処理を抑制することができる。
【0025】
第7の発明によれば、距離閾値が反射波の強度に応じて変動するため、物体までの距離の割に反射波の強度が弱いか否かを、より正確に判定することができる。
【0026】
第8の発明によれば、物体を検出していない状況であっても、定期的に電磁波の照射方向を変更することによって、例えば、歩行者などの、レーダー装置の位置と同程度の高さに電磁波を照射するよりも他の位置に照射した方が比較的強い反射波を得られる対象を正確に検出することができる。また、上記のような対象を正確に検出することにより、従来に比べ当該対象を早期に検出することができる。
【0027】
第9の発明によれば、物体を検出していない状況であっても、定期的に電磁波の照射方向を変更することによって、例えば、歩行者などの、レーダー装置の位置と同程度の高さに電磁波を照射するよりも他の位置に照射した方が比較的強い反射波を得られる対象を正確に検出することができる。また、物体が検出されている場合には、照射方向を変しないため、不要な照射方向の変更処理の実行を防ぐことができる。
【0028】
第10の発明によれば、電磁波の照射方向を変更したにも拘わらず比較的強い反射波の強度を得られない場合には、当該照射方向を水平方向へ戻すことができる。
【0029】
第11の発明によれば、車両周囲の歩行者などの検出対象を、より正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】レーダー装置1の構成を示すブロック図の一例
【図2】アクチュエータ13が照射アンテナ11の上下方向の取り付け角度を変更する様子を示す図
【図3】レーダー装置1により歩行者が検出される様子を示した図
【図4】歩行者に電磁波を照射した場合における電磁波の照射箇所と反射波の強度との関係を示す図
【図5】第1の実施形態に係る制御装置10が実行する処理を示すフローチャートの一例
【図6】第1の実施形態に係る物体検出処理を示すフローチャートの一例
【図7】距離閾値テーブルの概念を示す図
【図8】仰角設定処理αを示すフローチャートの一例
【図9】仰角決定テーブルの概念を示す図
【図10】仰角設定処理βを示すフローチャートの一例
【図11】第2の実施形態に係る物体検出処理を示すフローチャートの一例
【図12】第3の実施形態に係る制御装置10が実行する処理を示すフローチャートの一例
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るレーダー装置1について説明する。先ず、図1を参照してレーダー装置1の構成について説明する。図1は、レーダー装置1の構成を示すブロック図の一例である。なお、以下では、レーダー装置1が車両100に搭載される例について説明する。レーダー装置1は、例えば、車両100のイグニッションスイッチがオンにされた場合に動作する。また、以下では、レーダー装置1が検出した物体を検出物と呼称する。
【0032】
図1に示すように、レーダー装置1は、制御装置10、照射アンテナ11、受信アンテナ12、およびアクチュエータ13を備える。レーダー装置1は、典型的にはFM−CW方式を採用したレーダー装置である。
【0033】
制御装置10は、典型的にはマイクロコンピュータなどの情報処理装置、メモリなどの記憶装置、およびインターフェース回路などを備える処理装置である。
【0034】
照射アンテナ11は、電磁波を照射するアンテナ装置である。照射アンテナ11は、制御装置10と電気的に接続され、制御装置10の指示に応じて電磁波を照射する。
【0035】
受信アンテナ12は、照射アンテナ11から照射された電磁波が物体に反射されて成る反射波を受信するアンテナ装置である。受信アンテナ12は、制御装置10と電気的に接続される。そして、受信アンテナ12は、受信した反射波の受信強度R、当該反射波の周波数F、位相φなどの当該反射波に関する情報を制御装置10へ出力する。
【0036】
アクチュエータ13は、照射アンテナ11の電磁波の照射方向を変更する駆動装置である。アクチュエータ13は、照射アンテナ11の車両100に対する上下方向の取り付け角度を変更して、電磁波の照射方向を変更する。アクチュエータ13は、制御装置10と電気的に接続され、制御装置10の指示に応じて動作する。
【0037】
以下、図2を参照してアクチュエータ13が照射アンテナ11の上下方向の取り付け角度を変更する様子について説明する。なお、図2は、アクチュエータ13が照射アンテナ11の上下方向の取り付け角度を変更する様子を示す図の一例である。図2に示すように、照射アンテナ11は、上方端部においてボルト111により車両100本体に締結される。そして、照射アンテナ11の下方端部は支持棒131の先端部により支持される。支持棒131は、基端部においてアクチュエータ13と連結し、当該アクチュエータ13の動作により前後方向に移動する棒状部材である。支持棒131が前後方向へ移動すると、照射アンテナ11が上方端部を中心に水平軸線周りに回転して、照射アンテナ11の電磁波の照射方向が上下方向に回動する。制御装置10は、アクチュエータ13を動作させることにより支持棒131を前後方向へ移動させて、電磁波の照射方向を制御する。なお、以下では、照射アンテナ11の電磁波の照射方向を示す照射軸線と、水平面とが成す角度を仰角θとする。仰角θの値は、水平方向において0とし、鉛直方向へ向く程に大きな値となるものとする。
【0038】
なお、照射アンテナ11および受信アンテナ12が一体的なアンテナユニットとして構成されている場合には、上記のような機構により当該アンテナユニット全体を回動させて構わない。また、上記に説明した機構は一例であり、制御装置10の指示に応じて照射アンテナ11の電磁波の照射方向を変更可能であれば、従来周知の任意の機構、および手法で電磁波の照射方向を変更して構わない。
【0039】
上記のような機構により仰角θを変更すると、例えば、図3に示すように、同じ検出物を検出していても、当該検出物において電磁波を照射する箇所を変更することが可能である。図3は、レーダー装置1により歩行者が検出される様子を示した図である。図3において、仰角θの値が0°に設定された場合の照射軸線を照射軸線J1として示す。また、仰角θが20°に設定された場合の照射軸線を照射軸線J2として示す。仰角θの値が0°に設定された場合、照射軸線J1は歩行者の脚部と交差する。すなわち、照射軸線が水平方向を向いている場合、電磁波は歩行者の脚部に照射される。一方、仰角θの値が20°に設定された場合、照射軸線J1は歩行者の胴体部と交差する。すなわち、照射軸線が水平方向より上方向を向いている場合、電磁波は歩行者の胴体部に照射される。
【0040】
歩行者に照射された電磁波は、当該歩行者により反射されて反射波を生じ、当該反射波の強度は照射された箇所に応じて変化する。図4は、歩行者に電磁波を照射した場合における電磁波の照射箇所と反射波の強度との関係を示す図である。図4において、歩行者に照射された電磁波の照射箇所の高さを高さHとし、当該電磁波の反射波の受信強度を受信強度Rとする。図4中右側に示すグラフは、縦軸を高さH、横軸を受信強度Rとして各々の値の関係を示したグラフである。当該グラフにおいて、受信強度Rは、照射箇所の高さHが大きくなるに従い、相対的に小さな値から徐々に大きくなり、再度小さな値となる。すなわち、受信強度Rは、電磁波の照射箇所が歩行者の脚部付近である場合、相対的に小さくなり、電磁波の照射箇所が歩行者の胴体部付近である場合、相対的に大きくなり、電磁波の照射箇所が歩行者の頭部付近である場合、相対的に小さくなる傾向がある。
【0041】
このように、検出対象の形状等によっては、電磁波の照射軸線を水平方向以外の方向へ向けた方が、より強度の強い反射波を受信することが可能となり、当該検出対象をより正確に検出することができる場合がある。レーダー装置1は、後述の制御装置10の処理により、アクチュエータ13を動作させて、適切なタイミングで電磁波の照射軸線の方向を制御して、検出物をより正確に検出することができる。
【0042】
以下、図5から図10を参照して制御装置10が実行する処理について説明する。図5は、制御装置10が実行する処理を示すフローチャートの一例である。制御装置10は、車両100のイグニッションスイッチがオンにされると、先ず、図5に示すステップA1の処理を実行する。
【0043】
ステップA1において、制御装置10は、物体検出処理のサブルーチンを実行する。図6は、第1の実施形態に係る物体検出処理を示すフローチャートの一例である。制御装置10は、物体検出処理を開始すると、先ず、図6に示すステップA11の処理を実行する。
【0044】
ステップA11において、制御装置10は、電磁波を照射させる。具体的には、制御装置10は、電磁波の照射を指示する指示信号を照射アンテナ11に対して出力する。照射アンテナ11は、制御装置10から上記指示信号を受信すると、電磁波を照射する。ステップA11の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA12へ進める。
【0045】
ステップA12において、制御装置10は、反射波を受信したか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、受信アンテナ12から反射波の受信強度Rや、周波数などの当該反射波に関する情報を取得する。そして、制御装置10は、電磁波の受信強度Rが閾値Rth1以上であるか否か判定する。閾値Rth1は、反射波を受信したか否か判定するための閾値であり、制御装置10の記憶装置に予め記憶された定数である。受信強度Rが閾値Rth1以上である場合、制御装置10は、反射波を受信したと判定し、処理をステップA13へ進める。一方、受信強度Rが閾値Rth1より小さい場合、制御装置10は、反射波を受信していないと判定し、処理をステップA19へ進める。
【0046】
ステップA13において、制御装置10は、検出物情報を算出する。具体的には、制御装置10は、ステップA12において取得した反射波に関する情報に基づいて検出物の位置等を算出する。検出物情報には、例えば、検出物までの距離L、検出物の水平方向の検出方向などの情報が含まれる。制御装置10は、例えば、周波数Fに基づいて検出物までの距離Lを算出して記憶装置に記憶する。ステップA13の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA14へ進める。
【0047】
上記ステップA11からステップA13の処理によれば、制御装置10は、照射した電磁波の反射波受信した場合に、当該反射波を生じた検出物の検出物情報を算出する。
【0048】
ステップA14において、制御装置10は、受信強度Rが閾値Rth2以上であるか否か判定する。閾値Rth2は、反射波の受信強度が比較的大きい値であるか否かを判定するための閾値であり、制御装置10の記憶装置に予め記憶された定数である。なお、閾値Rth2の値は、閾値Rth1より大きな値である。制御装置10は、受信強度Rが閾値Rth2以上であると判定した場合、処理をステップA18へ進める。一方、制御装置10は、受信強度Rが閾値Rth2より小さいと判定した場合、処理をステップA15へ進める。
【0049】
ステップA15において、制御装置10は、受信強度Rに応じて閾値Lthを算出する。閾値Lthは、検出物までの距離Lが受信強度Rの大きさに相応する大きさであるか否かを判定するための閾値である。詳細は後述するが、制御装置10は、検出物までの距離Lが受信強度Rの大きさに相応する大きさであるか否かを閾値Lthに基づいて判定し、当該判定結果に応じて仰角θを制御する。制御装置10は、記憶装置に予め記憶された距離閾値テーブルに基づいて閾値Lthを算出する。距離閾値テーブルは、閾値Lthと受信強度Rとの関係を示すデータテーブルである。図7は、距離閾値テーブルの概念を示す図である。
【0050】
図7に示すように、距離閾値テーブルは、列毎に受信強度Rおよび閾値Lthの値が各々並べられたテーブルである。当該テーブルにおいて、1列目には受信強度Rの値が示され、2列目には各受信強度Rの値と対応する閾値Lthの値が示される。制御装置10は、距離閾値テーブルの1列目において、ステップA12において取得した受信強度Rの値に対応する行を探索する。そして、制御装置10は、探索した行と同じ行の2列目に記された閾値Lthの値を受信強度Rに対応する閾値Lthの値として算出する。ステップA15の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA16へ進める。
【0051】
図6の説明に戻り、ステップA16において、制御装置10は、距離Lが閾値Lth以下であるか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、ステップA13において算出した距離L、およびステップA15において算出した距離Lthの値の大きさを比較して、距離Lが閾値Lth以下であるか否か判定する。制御装置10は、距離Lが閾値Lth以下であると判定した場合、処理をステップA17へ進める。一方、制御装置10は、距離Lが閾値Lthより大きいと判定した場合、処理をステップA18へ進める。
【0052】
上記ステップA14からステップA16の処理によれば、受信強度Rの大きさの割に車両100から検出物までの距離Lが比較的短いか否か判定される。この際、上記ステップA15の処理によれば、受信強度Rの値に応じて閾値Lthの値が算出されるため、制御装置10は、受信強度Rの大きさの割に車両100から検出物までの距離Lが比較的短いか否かを正確に判定することができる。
【0053】
なお、制御装置10は、閾値Lthの値を受信強度Rの値に関わらず予め定められた固定値として記憶装置に記憶し、当該閾値Lthに基づいてステップA16の処理を実行しても構わない。このような処理を行う場合、制御装置10は、ステップA15の処理を省略可能であり、また、距離閾値テーブルを記憶する必要がない。すなわち、制御装置10は、少ない処理量および記憶領域で、受信強度Rの大きさの割に車両100から検出物までの距離Lが比較的短いか否か判定することができる。
【0054】
ステップA17において、制御装置10は、仰角設定処理αのサブルーチンを実行する。仰角設定処理αは、上述の通り、検出物までの距離に応じて仰角θを制御する処理である。図8は、仰角設定処理αを示すフローチャートの一例である。制御装置10は、仰角設定処理αのサブルーチンを実行すると、先ず、図8に示すステップA171の処理を実行する。
【0055】
ステップA171において、制御装置10は、仰角決定テーブルに基づいて目標角θMを算出する。目標角θMは、後述ステップA172おいて仰角θを制御する際の仰角θの設定値である。制御装置10は、記憶装置に予め記憶された仰角決定テーブルに基づいて目標角θMを算出する。仰角決定テーブルは、距離Lと目標角θMとの関係を示すデータテーブルである。図9は、仰角決定テーブルの概念を示す図である。
【0056】
図9に示すように、仰角決定テーブルは、列毎に距離Lおよび目標角θMの値が各々並べられたテーブルである。当該テーブルにおいて、1列目には距離Lの値が示され、2列目には各距離Lの値と対応する目標角θMの値が示される。制御装置10は、距離閾値テーブルの1列目において、ステップA13において算出した距離Lの値に対応する行を探索する。そして、制御装置10は、探索した行と同じ行の2列目に記された目標角θMの値を距離Lに対応する目標角θMの値として算出する。ステップA171の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA172へ進める。
【0057】
ステップA172において、制御装置10は、仰角θを目標角θMに合わせる。具体的には、制御装置10は、アクチュエータ13を動作させて仰角θが目標角θMとなる位置まで照射アンテナ11を回動させる。ステップA172の処理を完了すると、制御装置10は、仰角設定処理αおよび物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0058】
上記仰角設定処理αによれば、距離Lの値に応じて電磁波の照射軸線の方向が設定される。したがって、制御装置10は、電磁波の照射軸線の方向を簡単な処理で適切に変更することができる。
【0059】
下記ステップA14からステップA17の処理によれば、受信強度Rが比較的小さい値であり、且つ、当該受信強度Rの大きさの割に車両100から検出物までの距離Lが比較的短い場合に、仰角設定処理αが実行されて仰角θが変更される。一般的に、検出物までの距離Lが短くなるほど、受信強度Rが大きくなる傾向があるため、検出物までの距離Lが短いにも拘わらず受信強度Rが弱い場合は、検出物の形状等の特性の影響によって反射波の強度が低下している可能性が高い。このような状況において仰角設定処理αを実行することにより、制御装置10は、検出物における電磁波の照射位置を適切に変更して、当該検出物を正確に検出することができる。また、制御装置10は、検出物までの距離Lが当該受信強度Rの大きさに相応しい値である状況では仰角設定処理αを実行しないため、不要なタイミングにおける仰角設定処理αの実行を抑制することができる。
【0060】
なお、制御装置10は、上記ステップA14およびステップA15の処理を省略し、受信強度Rが閾値Rth2より小さい場合、距離Lに関わらず、仰角設定処理αを実行して構わない。このような処理を実行する場合であっても、制御装置10は、比較的反射波の受信強度Rが弱い物体を検出したタイミングで仰角θを変更することができる。
【0061】
ステップA18において、制御装置10は、検出物情報を出力する。具体的には、制御装置10は、ステップA13において算出した検出物情報を、制御装置10に接続されて当該位置情報を利用する機器(図示せず)へ出力する。例えば、制御装置10は、検出物情報に基づいて、車両100と当該検出物との衝突の危険性を予測し、当該予測結果に応じて車両100を制御する衝突予測装置などに位置情報を出力する。ステップA18の処理を完了すると、制御装置10は、仰角設定処理αおよび物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0062】
ステップA19において、制御装置10は、仰角θをリセットする。具体的には、制御装置10は、アクチュエータ13を動作させて、仰角θの値が0となる位置まで照射アンテナ11を回動させる。ステップA19の処理を完了すると、制御装置10は、物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0063】
上記ステップA12およびステップA19によれば、物体が検出されない場合には、電磁波の照射軸線が水平方向へ戻される。
【0064】
図5の説明に戻り、ステップA2において、制御装置10は、サンプリングカウンタNをカウントアップする。サンプリングカウンタNは、制御装置10に記憶され、上記物体検出処理を実行した回数を示す変数である。制御装置10は、記憶したサンプリングカウンタNの値に、例えば1などの予め定められた定数値を加算して、加算後のサンプリングカウンタNの値を上書き記憶する。ステップA2の処理を完了すると、制御装置10は処理をステップA3へ進める。
【0065】
ステップA3において、制御装置10は、サンプリングカウンタNの値が閾値Nth以上であるか否かを判定する。閾値Nthは、物体検出処理の実行回数が一定値に達したか否かを判定するための閾値であり、制御装置10に予め記憶される定数値である。制御装置10はサンプリングカウンタNの値、および閾値Nthの値を記憶装置から読み出して、サンプリングカウンタNの値が閾値Nth以上であるか否かを判定する。制御装置10は、サンプリングカウンタNの値が閾値Nth以上であると判定した場合、処理をステップA4へ進める。一方、制御装置10は、サンプリングカウンタNの値が閾値Nthより小さいと判定した場合、処理をステップA1へ戻し、上述ステップA1およびステップA2の処理を繰り返し実行する。
【0066】
ステップA4において、制御装置10は、仰角設定処理βのサブルーチンを実行する。仰角設定処理βは、所定範囲内で照射アンテナ11を回動させて、仰角θの最適値を導出、および仰角θを当該最適値に設定する処理である。図10は、仰角設定処理βを示すフローチャートの一例である。制御装置10は、仰角設定処理αのサブルーチンを実行すると、先ず、図10に示すステップA41の処理を実行する。
【0067】
ステップA41において、制御装置10は、上記ステップA19の処理と同様にして、仰角θをリセットする。ステップA41の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA42へ進める。
【0068】
ステップA42において、制御装置10は、仰角θを所定量大きくする。具体的には、制御装置10は、アクチュエータ13を動作させて仰角θが予め定められた値(例えば、1°)だけ大きくなるよう、照射アンテナ11を回動させる。ステップA42の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA43へ進める。
【0069】
ステップA43において、制御装置10は、上記ステップA11と同様にして電磁波を照射させる。ステップA43の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA44へ進める。
【0070】
ステップA44において、制御装置10は、現在の仰角θにおける受信強度Rを記憶する。具体的には、制御装置10は、受信アンテナ12から反射波の受信強度Rを取得して、当該受信強度Rの値を上記ステップA42において変更した仰角θの値と対応付けて記憶装置に記憶する。なお、制御装置10は、以前に当該仰角θにおける受信強度Rを記憶している場合には、今回取得した受信強度Rの値で上書き記憶する。ステップA44の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップA45へ進める。
【0071】
ステップA45において、制御装置10は、仰角θが閾値θth以上であるか否かを判定する。閾値θthは、所定範囲内での照射アンテナ11の回動が完了したか否かを判定するための閾値であり、予め記憶装置に記憶された定数である。制御装置10は、仰角θが閾値θth以上であると判定した場合、処理をステップA46へ進める。一方、制御装置10は、仰角θが閾値θth未満であると判定した場合、処理をステップA42へ戻して上述ステップA42からステップA44の処理を繰り返す。
【0072】
上記ステップA41からステップA45の処理によれば、仰角θの値が0からθthまでの範囲で徐々に変更され、各仰角θにおける受信強度Rの値が測定される。すなわち、制御装置10は、電磁波を所定範囲内で上下方向に走査して、物体からの反射波の受信強度Rを測定する。ここで、仰角θの値は、時系列順にn段階にθ1、θ2、…θnに変更されるものとする。そして、各仰角θの値θ1、θ2、…θnにおける受信強度Rの値は、各々、R1、R2、…Rnであったとする。
【0073】
ステップA46において、制御装置10は、何れの仰角においても反射波を受信しなかったか否か判定する。具体的には、制御装置10は、上記ステップA41からステップA45により記憶した各仰角θにおける受信強度Rの値(R1からRn)が何れもRth1以下であるか否か判定する。R1からRnの値が何れもRth1以下であった場合、制御装置10は、何れの仰角においても反射波を受信しなかったと判定し、処理をステップA47へ進める。一方、R1からRnの値のうち何れかがRth1より大きかった場合、制御装置10は、何れかの仰角において反射波を受信したと判定し、処理をステップA48へ進める。
【0074】
ステップA47において、制御装置10は、上記ステップA19の処理と同様にして、仰角θをリセットする。ステップA47の処理を完了すると、制御装置10は、仰角設定処理βを完了し、処理を図5のステップA5へ進める。
【0075】
ステップA48において、制御装置10は、受信強度Rが最も大きかった時点の仰角θの値を目標各θMとする。具体的には、制御装置10は、ステップA41からステップA45により記憶した各仰角θにおける受信強度Rの値(R1からRn)のうち最も大きな値を抽出する。そして、制御装置10は、当該受信強度Rと対応する仰角θの値を目標各θMの値として設定する。例えば、R2の値が最も大きい場合、制御装置10は、当該R2に対応するθ2の値を目標各θMとして設定する。ステップA48の処理を完了すると、制御装置10は処理をステップA49へ進める。
【0076】
ステップA49において、制御装置10は、上記ステップA172の処理と同様にして、仰角θを目標角θMに合わせる。例えば、目標各θMの値がθ2であった場合は、制御装置10は、仰角θの値がθ2となるようアクチュエータ13を制御する。ステップA49の処理を完了すると、制御装置10は、仰角設定処理βを完了し、処理を図5のステップA5へ進める。
【0077】
上記仰角設定処理βによれば、受信強度Rが最も大きくなるように仰角θが設定される。したがって、制御装置10は、電磁波の照射軸線を最適な方向に向けることができる。
【0078】
また、上記ステップA1からステップA4の処理によれば、物体を検出したか否かに関わらず、物体検出処理が一定回数実行される毎に仰角設定処理βが実行されて、電磁波の照射軸線が上方へ向けられる。このように、定期的に電磁波の照射方向を変更することによって、電磁波の照射方向を水平方向に維持し続けた場合よりも、歩行者等を正確に検出することができる。また、歩行者などの検出対象を正確に検出することにより、電磁波の照射方向を水平方向に維持し続けた場合よりも、当該対象を早期に検出することができる。
【0079】
ステップA5において、制御装置10は、終了処理が実行されたか否か判定する。具体的には、例えば、制御装置10は、車両100のイグニッションスイッチがオフにされたか否かを判定する。車両100のイグニッションスイッチがオフにされた場合、制御装置10は、終了処理が実行されたと判定し、図5の処理を終了する。一方、車両100のイグニッションスイッチがオン状態である場合、制御装置10は、終了処理が実行されていないと判定し、処理をステップA1へ戻す。
【0080】
以上より、第1の実施形態に係るレーダー装置1によれば、電磁波の照射軸線の角度を変更して、例えば、歩行者などの、電磁波の照射位置に応じて反射波の強度が変化する対象を、より正確に検出することができる。すなわち、レーダー装置1は、高さ方向の分解能を有する必要が無く、また高さ方向の電磁波の照射範囲が比較的狭くとも、歩行者等の検出対象を正確に検出することができる。
【0081】
なお、上記ステップA17の処理では、制御装置10が仰角設定処理αを実行する例について説明したが、制御装置10は、当該ステップA17において仰角設定処理βを実行しても構わない。
【0082】
また、上記仰角設定処理αおよび仰角設定処理βでは、制御装置10が距離Lや受信強度Rの値に応じて目標角θMを算出する例について説明したが、制御装置10は、目標角θMの値を定数値として予め記憶し、当該定数値に仰角θを合わせるように制御しても構わない。このような処理を実行する場合、制御装置10は、目標角θMを算出する処理を省略し、少ない処理で仰角θを変更することができる。
【0083】
(第2の実施形態)
例えば、レーダー装置が複数の物体を検出可能に構成される場合、車両100に衝突する危険性が高い物体を特に正確に検出することが望ましい。このような観点から、本発明に係るレーダー装置において、複数の物体を検出した場合に、車両100に衝突する危険性が最も高い物体を基準として仰角θを制御する処理を採用しても良い。
【0084】
第2の実施形態に係るレーダー装置の構成は上記第1の実施形態に係るレーダー装置1と同様であるので詳細な説明を省略する。また、第2の実施形態に係る制御装置10の処理はステップA1の物体検出処理を除き図5に示す上記第1の実施形態に係る制御装置10と同様であるので、以下では第2の実施形態に係る制御装置10が実行する物体検出処理についてのみ詳細に説明し、他の処理については詳細な説明を省略する。
【0085】
図11は、第2の実施形態に係る物体検出処理を示すフローチャートの一例である。制御装置10は、図11に示す物体検出処理を開始すると、先ず、ステップB11の処理を実行する。
【0086】
ステップB11において、制御装置10は、上記ステップA11と同様にして、電磁波を照射させる。ステップB11の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB12へ進める。
【0087】
ステップB12において、制御装置10は、上記ステップA12と同様にして、反射波を受信したか否かを判定する。制御装置10は、反射波を受信したと判定した場合、処理をステップB13へ進める。一方、制御装置10は、反射波を受信していないと判定した場合、処理をステップB24へ進める。
【0088】
ステップB13において、制御装置10は、検出物を1つ選択する。以下、本ステップB13において検出した検出物を選択検出物と呼称する。ステップB13の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB14へ進める。
【0089】
ステップB14において、制御装置10は、上記ステップA13と同様にして、選択検出物の検出物情報を算出する。なお、制御装置10は、検出物までの距離L、検出物の水平方向の検出方向だけでなく、検出物の相対速度Vを周波数Fに基づいて算出する。ステップB14の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB15へ進める。
【0090】
ステップB15において、制御装置10は、選択検出物の衝突時間TTCを算出する。具体的には、制御装置10は、下記(1)式に基づいて選択検出物の衝突時間TTCを算出して、当該衝突時間TTCの値を記憶装置に記憶する。
TTC=L/V …(1)
ステップB15の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB16へ進める。
【0091】
ステップB16において、制御装置10は、全ての検出物を選択したか否か判定する。具体的には、制御装置10は、ステップA12において検出した全ての検出物を選択検出物として選択したか否かを判定する。制御装置10は、全ての検出物を選択したと判定した場合、処理をステップB17へ進める。一方、制御装置10は、未選択の検出物があると判定した場合、処理をステップB13へ戻し、未選択の検出物についてステップB13からステップB15の処理を実行する。
【0092】
ステップB17において、制御装置10は、衝突時間TTCが最も短い検出物を基準検出物に指定する。制御装置10は、記憶装置に記憶した各検出物の衝突時間TTCの大きさを各々比較し、衝突時間TTCが最も短い検出物を基準検出物として指定する。基準検出物は、車両100と衝突する危険性が最も高い検出物である。ステップB17の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB18へ進める。
【0093】
上記ステップB13からステップB17の処理によれば、制御装置10は、車両100と衝突する危険性が最も高い検出物を基準検出物として選択される。そして、制御装置10は、以下に示すステップB18からステップB22の処理において、基準検出物に関する情報に基づいて仰角θを制御する。
【0094】
ステップB18において、制御装置10は、受信強度Rkが閾値Rth2以上であるか否かを判定する。受信強度Rkは、基準検出物の反射波の受信強度である。制御装置10は、受信強度Rkが閾値Rth2以上であると判定した場合、処理をステップA22へ進める。一方、制御装置10は、受信強度Rが閾値Rth2未満であると判定した場合、処理をステップB19へ進める。
【0095】
ステップB19において、制御装置10は、上記ステップA15と同様にして、受信強度Rkに応じて閾値Lthを算出する。ステップB19の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB20へ進める。
【0096】
ステップB20において、制御装置10は、上記ステップA16と同様にして、距離Lkが閾値Lth以下であるか否か判定する。距離Lkは、上記ステップB14において算出された基準検出物までの距離である。ステップB20の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップB21へ進める。
【0097】
ステップB21において、制御装置10は、上述した図8の仰角設定処理αを実行する。なお、制御装置10は、仰角決定テーブルに基づいて目標角θMを算出する際、基準検出物までの距離Lkに基づいて目標角θMを算出する。ステップB21の処理を完了すると、制御装置10は、物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0098】
ステップB22において、制御装置10は、上記ステップA18と同様にして各検出物の位置情報を出力する。ステップB21の処理を完了すると、制御装置10は、物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0099】
ステップB23において、制御装置10は、上記ステップA19と同様にして、仰角θをリセットする。ステップB23の処理を完了すると、制御装置10は、物体検出処理を完了し、処理を図5のステップA2へ進める。
【0100】
以上に示した第2の実施形態に係る物体検出処理によれば、複数の物体を検出した場合に、基準検出物を基準として仰角θが制御される。したがって、車両100に衝突する危険性が最も高い物体を、より正確に検出することができる。言い換えれば、車両100との衝突の危険性の低い物体を基準として仰角θを変更するなどして、車両100への衝突の危険性の高い物体を見失う事態を防ぐことができる。
【0101】
(第3の実施形態)
上記第1の実施形態では、制御装置10が物体検出処理が一定回数実行される毎に仰角設定処理βを実行して電磁波の照射軸線を上方へ向ける例について説明したが(上記ステップA2からステップA4)、制御装置10は、物体が検出されなくなった時点から所定時間が経過したタイミングで電磁波の照射軸線を上方へ向けるよう仰角θを制御しても構わない。
【0102】
以下、第3の実施形態に係る制御装置10の処理について説明する。なお、第3の実施形態に係るレーダー装置の構成は、第1の実施形態に係るレーダー装置と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0103】
図12は、第3の実施形態に係る制御装置10が実行する処理を示すフローチャートの一例である。制御装置10は、車両100のイグニッションスイッチがオンにされると、先ず、図12に示すステップC1の処理を実行する。
【0104】
ステップC1において、制御装置10は、上述した図6の物体検出処理を実行する。ステップC1の処理を完了すると、制御装置10は処理をステップC2へ進める。
【0105】
ステップC2において、制御装置10は、物体を検出したか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、上記ステップC1において実行した物体検出処理において、反射波を受信したと判定した場合、物体を検出したと判定し、反射波を受信していないと判定した場合、物体を検出していないと判定する。制御装置10は、物体を検出したと判定した場合、後述ステップC3からステップC6の処理を省略して、処理をステップC7へ進める。一方、制御装置10は、物体を検出していないと判定した場合、処理をステップC3へ進める。
【0106】
ステップC3において、制御装置10は、不検出タイマーTをカウントアップする。不検出タイマーTは、レーダー装置が物体を検出しなくなった時点からの経過時間を示す変数である。不検出タイマーTは、制御装置10に記憶される変数であり、初期値は0に設定される。制御装置10は、記憶装置に記憶した不検出タイマーTの値に予め定められた定数を加算し、加算後の不検出タイマーTの値を記憶装置に上書きして記憶する。ステップC3の処理を完了すると、処理をステップC4へ進める。
【0107】
ステップC4において、制御装置10は、不検出タイマーTの値が閾値Tth以上であるか否か判定する。閾値Tthは、レーダー装置が物体を検出しなくなった時点から一定時間が経過したか否かを判定するための閾値である。閾値Tthは、制御装置10に予め記憶された定数値である。制御装置10は、不検出タイマーTの値が閾値Tth以上であると判定した場合、処理をステップC5へ進める。一方、制御装置10は、不検出タイマーTの値が閾値Tthより小さいと判定した場合、処理をステップC7へ進める。
【0108】
上記ステップC1からステップC4の処理によれば、物体が検出されていない間、不検出タイマーTの値が継続的に増加する。
【0109】
ステップC5において、制御装置10は、上述した図10の仰角設定処理βを実行する。ステップC5の処理を完了すると、制御装置10は処理をステップC6へ進める。
【0110】
上記ステップC4およびステップC5の処理によれば、不検出タイマーTの値が閾値Tthに達した時点で仰角設定処理βが実行される。
【0111】
ステップC6において、制御装置10は、不検出タイマーTをリセットする。具体的には、不検出タイマーTの値を初期値に設定し、記憶装置に上書きして記憶する。ステップC6の処理を完了すると、制御装置10は、処理をステップC7へ進める。
【0112】
上記ステップC6の処理によれば、仰角設定処理βを実行した後に不検出タイマーTの値が初期化されるため、物体が検出されない状態が継続する場合には、不検出タイマーTが閾値Tthに達する毎に仰角設定処理βが実行される。
【0113】
ステップC7において、制御装置10は、上記ステップA5の処理と同様にして終了処理が実行されたか否かを判定する。制御装置10は、終了処理が実行されたと判定した場合、図12の処理を終了する。一方、制御装置10は、終了処理が実行されていないと判定した場合、処理をステップC1へ戻す。
【0114】
以上に示した第3の実施形態に係る制御装置10の処理によれば、物体が検出されなくなった時点から不検出タイマーTが閾値Tthに達したタイミングで、仰角設定処理βが実行される。したがって、第3の実施形態に係るレーダー装置は、不要なタイミングにおける仰角設定処理βの実行を抑制することができる。なお、物体が検出されない状態が継続する場合には、制御装置10は不検出タイマーTが閾値Tthに達する毎に仰角設定処理βが実行するため、定期的に電磁波の照射方向を変更して、歩行者等の検出対象を早期に且つ正確に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明に係るレーダー装置は、より正確に障害物を検出可能とするレーダー装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0116】
1 レーダー装置
10 制御装置
11 送信アンテナ
12 受信アンテナ
13 アクチュエータ
100 車両
111 ボルト
131 支持棒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を照射し、物体により反射された当該電磁波の反射波を受信して当該物体を検出するレーダー装置であって、
前記電磁波を照射する照射手段と、
前記電磁波の照射方向を示す照射軸線を上下方向へ揺動する照射方向揺動手段と、
所定のタイミングにおいて、前記揺動手段を動作させて前記照射軸線の向きを水平方向以外の方向へ向ける照射方向制御手段とを備える、レーダー装置。
【請求項2】
受信した前記反射波の強度を測定する強度測定手段と、
前記反射波の強度が、予め定められた閾値以下であるか否か判定する強度判定手段とをさらに備え、
前記照射方向制御手段は、前記強度判定手段により前記反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定された時点を前記所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含む、請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項3】
前記反射波に基づいて、前記物体までの距離を測定する距離測定手段をさらに備え、
前記照射方向制御手段は、
前記所定のタイミングにおいて、検出された前記物体までの前記距離に応じて前記照射軸線を揺動させる目標方向を算出する目標方向算出手段と、
前記照射軸線の向きを前記目標方向へ向けるように前記揺動手段を制御する揺動制御手段とをさらに含む、請求項2に記載のレーダー装置。
【請求項4】
前記照射方向制御手段は、
前記所定のタイミングにおいて、前記照射方向揺動手段に前記照射軸線の向きを予め定められた範囲内で揺動させ、前記反射波の強度が最大となった方向を、前記照射軸線を揺動させる目標方向として算出する目標方向算出手段と、
前記照射軸線の向きを前記目標方向へ向けるように前記揺動手段を制御する揺動制御手段とをさらに含む、請求項2に記載のレーダー装置。
【請求項5】
複数の物体を同時に検出した場合、当該複数の物体各々について、前記搭載対象と衝突するまでの予測時間を算出する衝突時間予測手段と、
前記複数の物体のうち、前記予測時間が最も短い物体を基準物として選択する基準物選択手段とをさらに備え、
前記強度判定手段は、前記基準物からの反射波の強度が予め定められた閾値以下であるか否か判定し、
前記タイミング決定手段は、前記強度判定手段により前記基準物の反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定された時点を前記所定のタイミングとして決定する、請求項2に記載のレーダー装置。
【請求項6】
前記反射波に基づいて前記物体までの距離を測定する距離測定手段と、
前記距離が距離閾値以下であるか否か判定する距離判定手段とをさらに備え、
前記タイミング決定手段は、前記強度判定手段により前記反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定され、且つ、前記距離が予め定められた閾値以下であると判定された時点を前記所定のタイミングとして決定する、請求項2に記載のレーダー装置。
【請求項7】
前記距離閾値を、前記反射波の強度に応じて決定する距離閾値決定手段をさらに備える、請求項6に記載のレーダー装置。
【請求項8】
前記照射手段は、予め定められたサンプリング周期で前記電磁波を照射し、
前記照射方向制御手段は、前記照射手段が前記電磁波を予め定められた回数照射した時点を前記所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含む、請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項9】
前記物体が検出されなくなった時点から経過した経過時間を計測する不検出時間測定手段をさらに備え、
前記照射方向制御手段は、前記経過時間が予め定められた閾値以上となった時点を前記所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含む、請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項10】
受信した前記反射波の強度を測定する強度測定手段をさらに備え、
前記照射方向制御手段は、前記照射軸線の向きを水平方向以外の方向へ向けた後、前記照射手段により前記電磁波を照射させ、当該電磁波の反射波の強度が予め定められた閾値以下である場合、前記照射軸線の向きを水平方向へ戻す照射方向初期化手段を含む、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のレーダー装置。
【請求項11】
前記搭載対象は車両である、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のレーダー装置。
【請求項1】
電磁波を照射し、物体により反射された当該電磁波の反射波を受信して当該物体を検出するレーダー装置であって、
前記電磁波を照射する照射手段と、
前記電磁波の照射方向を示す照射軸線を上下方向へ揺動する照射方向揺動手段と、
所定のタイミングにおいて、前記揺動手段を動作させて前記照射軸線の向きを水平方向以外の方向へ向ける照射方向制御手段とを備える、レーダー装置。
【請求項2】
受信した前記反射波の強度を測定する強度測定手段と、
前記反射波の強度が、予め定められた閾値以下であるか否か判定する強度判定手段とをさらに備え、
前記照射方向制御手段は、前記強度判定手段により前記反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定された時点を前記所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含む、請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項3】
前記反射波に基づいて、前記物体までの距離を測定する距離測定手段をさらに備え、
前記照射方向制御手段は、
前記所定のタイミングにおいて、検出された前記物体までの前記距離に応じて前記照射軸線を揺動させる目標方向を算出する目標方向算出手段と、
前記照射軸線の向きを前記目標方向へ向けるように前記揺動手段を制御する揺動制御手段とをさらに含む、請求項2に記載のレーダー装置。
【請求項4】
前記照射方向制御手段は、
前記所定のタイミングにおいて、前記照射方向揺動手段に前記照射軸線の向きを予め定められた範囲内で揺動させ、前記反射波の強度が最大となった方向を、前記照射軸線を揺動させる目標方向として算出する目標方向算出手段と、
前記照射軸線の向きを前記目標方向へ向けるように前記揺動手段を制御する揺動制御手段とをさらに含む、請求項2に記載のレーダー装置。
【請求項5】
複数の物体を同時に検出した場合、当該複数の物体各々について、前記搭載対象と衝突するまでの予測時間を算出する衝突時間予測手段と、
前記複数の物体のうち、前記予測時間が最も短い物体を基準物として選択する基準物選択手段とをさらに備え、
前記強度判定手段は、前記基準物からの反射波の強度が予め定められた閾値以下であるか否か判定し、
前記タイミング決定手段は、前記強度判定手段により前記基準物の反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定された時点を前記所定のタイミングとして決定する、請求項2に記載のレーダー装置。
【請求項6】
前記反射波に基づいて前記物体までの距離を測定する距離測定手段と、
前記距離が距離閾値以下であるか否か判定する距離判定手段とをさらに備え、
前記タイミング決定手段は、前記強度判定手段により前記反射波の強度が予め定められた閾値以下であると判定され、且つ、前記距離が予め定められた閾値以下であると判定された時点を前記所定のタイミングとして決定する、請求項2に記載のレーダー装置。
【請求項7】
前記距離閾値を、前記反射波の強度に応じて決定する距離閾値決定手段をさらに備える、請求項6に記載のレーダー装置。
【請求項8】
前記照射手段は、予め定められたサンプリング周期で前記電磁波を照射し、
前記照射方向制御手段は、前記照射手段が前記電磁波を予め定められた回数照射した時点を前記所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含む、請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項9】
前記物体が検出されなくなった時点から経過した経過時間を計測する不検出時間測定手段をさらに備え、
前記照射方向制御手段は、前記経過時間が予め定められた閾値以上となった時点を前記所定のタイミングとして決定するタイミング決定手段を含む、請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項10】
受信した前記反射波の強度を測定する強度測定手段をさらに備え、
前記照射方向制御手段は、前記照射軸線の向きを水平方向以外の方向へ向けた後、前記照射手段により前記電磁波を照射させ、当該電磁波の反射波の強度が予め定められた閾値以下である場合、前記照射軸線の向きを水平方向へ戻す照射方向初期化手段を含む、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のレーダー装置。
【請求項11】
前記搭載対象は車両である、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のレーダー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−256211(P2010−256211A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107639(P2009−107639)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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