説明

レーダ装置、受信機及び相関成分検出装置

【課題】反射信号に相関成分が発生した場合であっても、目標物の探知性能を維持することが可能なレーダ装置及び相関成分検出装置を提供する。
【解決手段】相関成分検出部27−1の解析部273−1及びウェイト係数算出部274−1で、適応復調部272−1から出力される信号のSN比を最大にするウェイト係数を算出する。そして、算出されたウェイト係数を受信データ蓄積部271−1からの信号に掛け合わせ、この信号に対して適応復調部272−1でパルス圧縮を行うようにしている。これにより、反射信号におけるM系統の無線信号の信号成分の相関成分を適応復調部272−1でパルス圧縮して目標物TをCFAR275−1で検出することが可能となる。すなわち、反射信号におけるM系統の無線信号の信号成分に相関が発生している場合であっても、相関成分から目標物Tを検出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)方式を用いたレーダ装置と、このレーダ装置に用いられる受信機及び相関成分検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、互いに無相関となるように変調された無線信号をM(Mは2以上の自然数)個の送信機から空間へ向けて送信し、送信されたM系統の無線信号が空間中の物体により反射された反射信号をN本の受信アンテナで受信する、MIMO方式を用いたレーダ装置が提案されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。この種のレーダ装置では、受信アンテナ毎に、M系統の無線信号の変調方式のそれぞれに対応した復調部が設置される。各復調部は、受信した反射信号において対応した変調方式の信号成分を復調する。そして、レーダ装置は、復調した信号から目標物を検出し、これらの検出結果を統合して目標物を探知するようにしている。このような構造により、MIMO方式を利用したレーダ装置は、レーダシステムの性能向上を実現することが可能である。
【0003】
しかしながら、従来のレーダ装置では、目標物が高速で移動する等の場合、反射信号に含まれる各無線信号の無相関性が崩れ、無線信号同士が互いに相関してしまうおそれがある。このような場合、反射信号における無線信号の相関成分は、受信アンテナ毎に設置された各復調部では復調されず、目標物の探知性能が劣化するという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】E. Fisher, A. H. Heimovich, "Spatial diversity in radar - models and detection Performance," IEEE Trans. On Signal Processing, vol. 54, no. 3, pp. 823-838
【非特許文献2】E. Fisher, A. H. Heimovich, "Performance of MIMO Radar System: Advantages of Angular Diversity," IEEE Trans. On Signal Processing, 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来のMIMO方式を利用したレーダ装置では、反射信号に無線信号間の相関成分が発生した場合、目標物の探知性能が劣化するという問題があった。
【0006】
この発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、反射信号に相関成分が発生した場合であっても、目標物の探知性能を維持することが可能なレーダ装置及び受信機と、このレーダ装置及び受信機に用いられる相関成分検出装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るレーダ装置は、互いに無相関となるように変調された無線信号を空間へ向けて送信するM(Mは2以上の自然数)個の送信機と、前記空間へ向けて送信されたM系統の無線信号が空間中の目標物により反射された反射信号を受信する受信機とを具備するレーダ装置において、前記受信機は、前記反射信号を互いに独立して受信するN(Nは2以上の自然数)系統の受信アンテナと、前記受信系統毎に設置され、前記受信アンテナで受信された反射信号を中間周波数帯の信号に変換する周波数変換部と、前記受信系統毎に設置され、前記中間周波数帯の信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部と、前記受信系統毎に設置され、前記デジタル信号をM系統に分配する分配部と、前記分配されたM系統毎に設置され、それぞれが前記M系統の無線信号のいずれかの変調方式に対応し、前記分配されたデジタル信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分のうち対応した変調方式の信号成分のみを復調する復調部と、前記分配されたM系統毎に設置され、前記復調部で復調された信号から前記目標物を検出する検出部と、前記受信系統毎に設置され、前記アナログ−デジタル変換部から前記デジタル信号を受け取り、当該デジタル信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分が互いに相関する相関成分を復調し、当該復調した信号から前記目標物を検出する相関成分検出手段と、前記受信系統毎のM系統の検出部による検出結果と、前記受信系統毎の前記相関成分検出手段による検出結果とを統合する統合部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る受信機は、M(Mは2以上の自然数)個の送信機から互いに無相関となるように変調されて送信されたM系統の無線信号が空間中の目標物により反射された反射信号を互いに独立して受信するN(Nは2以上の自然数)系統の受信アンテナと、前記受信系統毎に設置され、前記受信アンテナで受信された反射信号を中間周波数帯の信号に変換する周波数変換部と、前記受信系統毎に設置され、前記中間周波数帯の信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部と、前記受信系統毎に設置され、前記デジタル信号をM系統に分配する分配部と、前記分配されたM系統毎に設置され、それぞれが前記M系統の無線信号のいずれかの変調方式に対応し、前記分配されたデジタル信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分のうち対応した変調方式の信号成分のみを復調する復調部と、前記分配されたM系統毎に設置され、前記復調部で復調された信号から前記目標物を検出する検出部と、前記受信系統毎に設置され、前記アナログ−デジタル変換部から前記デジタル信号を受け取り、当該デジタル信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分が互いに相関する相関成分を復調し、当該復調した信号から前記目標物を検出する相関成分検出手段と、前記受信系統毎のM系統の検出部による検出結果と、前記受信系統毎の前記相関成分検出手段による検出結果とを統合する統合部とを具備する。
【0009】
上記構成によるレーダ装置及び受信機では、相関成分検出手段により、アナログ−デジタル変換部からのデジタル信号において前記M系統の無線信号の信号成分が互いに相関する相関成分を復調し、その復調信号から空間中の目標物を検出するようにしている。これにより、反射信号における相関成分も復調され、この復調信号においても目標物が検出されるため、目標物の探知性能が劣化することを抑えることが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る相関成分検出装置は、M(Mは2以上の自然数)個の送信機から互いに無相関となるように変調されて送信されたM系統の無線信号が空間中の目標物により反射された反射信号を受け取り、当該信号のデータを蓄積するデータ蓄積部と、前記データ蓄積部に蓄積された蓄積データ及び前記M個の送信機から通知された前記M系統の無線信号の変調方式に関する変調情報に基づいて、フィードバック信号のSN(Signal to Noise)比が最大となるように、前記反射信号に掛け合わせるウェイトを算出するウェイト算出部と、前記M系統の無線信号のいずれかの変調方式に対応し、前記反射信号に対して前記ウェイトを掛け合わせ後、当該信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分のうち対応した変調方式の信号成分のみを復調して出力すると共に、前記復調した信号を前記フィードバック信号として前記ウェイト算出部へ出力する適応復調部と、前記適応復調部からの信号から前記目標物を検出する検出部とを具備する。
【0011】
上記構成による相関成分検出装置では、適応復調部からのフィードバック信号のSN比が最大となるように、反射信号に掛け合わせるウェイトを算出する。そして、適応復調部で、算出したウェイトを掛け合わせた反射信号に対して復調処理をすることにより、反射信号におけるM系統の無線信号の相関成分を復調する。これにより、相関成分検出装置は、反射信号における相関成分の復調信号から目標物を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、反射信号に相関成分が発生した場合であっても、目標物の探知性能を維持することが可能なレーダ装置及び受信機と、このレーダ装置及び受信機に用いられる相関成分検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーダ装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1の送信機の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1の受信機の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明に係るレーダ装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るレーダ装置1の構成を示す概略図である。図1におけるレーダ装置1は、M(Mは2以上の自然数)個の送信機10−1〜10−M及び受信機20を具備する。送信機10−1〜10−Mは、互いに無相関となるように変調された無線信号を送信アンテナ11−1〜11−Mから空間へ向けて送信する。送信されたM系統の無線信号は、目標物Tで反射される。受信機20は、目標物で反射された反射信号をN(Nは2以上の自然数)本の受信アンテナ21−1〜21−Nで互いに独立して受信する。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態に係るレーダ装置1における送信機10−1〜10−Mの機能構成を示すブロック図である。送信機10−1〜10−Mは、信号生成部12−1〜12−M、位相変調部13−1〜13−M、周波数変換部14−1〜14−M及び送信アンテナ11−1〜11−Mをそれぞれ備える。信号生成部12−1〜12−Mは、送信パルスに直線状の周波数変調を加え、変調パルス信号を生成する。生成された変調パルス信号は、位相変調部13−1〜13−Mで位相変調され、周波数変換部14−1〜14−Mで無線周波数帯に周波数変換された後、送信アンテナ11−1〜11−Mから送信される。
【0017】
このとき、位相変調部13−1〜13−Mは、送信アンテナ11−1〜11−Mから送信される無線信号が互いに無相関となるように位相変調を行う。このとき、位相変調部13−1〜13−Mでは、受け取った無線信号に対してどれだけの位相差を生じさせるかが予め設定されている。例えば、変調部13−1と変調部13−Mとの間の位相差は、送信アンテナ11−1から送信される無線信号1の位相が送信アンテナ11−Mから送信される無線信号Mの位相よりも90度だけ進んだ状態となるように設定される。また、送信機10−1〜10−Mは、位相変調部13−1〜13−Mでの位相変調の位相情報を受信機20へ通知する。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態に係るレーダ装置1の受信機20の機能構成を示すブロック図である。図3における受信機20は、受信アンテナ21−1〜21−Nを備え、受信アンテナ毎に独立して反射信号の受信処理が行われる。なお、受信アンテナ21−1乃至受信アンテナ21−Nで受信された反射信号の受信処理は、それぞれ同様であるため、以下では受信アンテナ21−1における処理について説明する。
【0019】
受信アンテナ21−1で受信された反射信号は、周波数変換部22−1で中間周波数帯の信号に変換され、アナログ−デジタル変換部23−1でデジタル信号に変換される。デジタル信号は、分配部24−1でM系統に分配され、復調部25−11〜25−1Mへそれぞれ供給される。
【0020】
復調部25−11〜25−1Mそれぞれは、送信機10−1〜10−Mにおける位相変調部13−1〜13−Mのうちいずれかの位相変調で与えられる位相差に対応している。復調部25−11〜25−1Mは、アナログ−デジタル変換部23−1からのデジタル信号におけるM系統の無線信号の信号成分のうち、対応する位相差の信号成分をパルス圧縮する。例えば、復調部25−11が位相変調部13−1で与えられた位相差に対応している場合、反射信号のうち無線信号1の信号成分のみをパルス圧縮することになる。また、復調部25−1Mが位相変調部13−Mで与えられた位相差に対応している場合、反射信号のうち無線信号Mの信号成分のみをパルス圧縮することになる。
【0021】
復調部25−11〜25−1Mでパルス圧縮された信号は、CFAR(Constant False Alarm Rate)26−11〜26−1Mへ出力される。CFAR26−11〜26−1Mは、復調部25−11〜25−1Mでパルス圧縮された信号を検波(振幅情報のみの信号に変換)し、注目レンジビンの周辺パルスの信号振幅からリファレンス振幅を算出し、リファレンス振幅に対する注目レンジビン振幅の比を表す信号として、振幅比信号を出力する。これにより、CFAR26−11〜26−1Mは、目標物Tの検出を行う。
【0022】
相関成分検出部27−1は、反射信号におけるM系統の無線信号の信号成分が互いに相関する場合、その相関成分から目標物Tを検出するものである。反射信号における無線信号の信号成分同士の相関は、目標物Tが高速に移動等することにより、無線信号に位相ずれ及び周波数遷移が発生し、M系統の無線信号における無相関性が低下することにより発生する。この相関成分は、復調部25−11〜25−1Mそれぞれに設定された位相差と対応しないため、復調部25−11〜25−1Mでパルス圧縮されることはない。なお、相関成分検出部は、受信アンテナ21−1乃至受信アンテナ21−Nの受信系全てに設置されていてもよいし、受信アンテナ21−1乃至受信アンテナ21−Nの受信系のうちいずれかの受信系に設置されていてもよい。
【0023】
相関成分検出部27−1は、受信データ蓄積部271−1、適応復調部272−1、解析部273−1及びウェイト係数算出部274−1を備える。受信データ蓄積部271−1は、アナログ−デジタル変換部23−1からのデジタル信号を適応復調部272−1へ出力すると共に、受け取ったデジタル信号を蓄積し、その蓄積データを解析部273−1へ供給する。
【0024】
解析部273−1は、受信データ蓄積部271−1からの蓄積データと、送信機10−1〜10−Mから通知される変調部13−1〜13−Mにおける位相情報と、適応復調部272−1からのフィードバック信号とを受け取る。解析部273−1は、受け取った蓄積データ及び位相情報に基づいて、フィードバック信号におけるS/N(Signal to Noise)比を最大にし、かつ、位相ずれ及び周波数遷移を適応的に補正するように適応復調部272−1における最良の復調方式を決定する。
【0025】
ウェイト係数算出部274−1は、解析部273−1で決定された復調方式を実現するために、受信データ蓄積部271−1からのデジタル信号に掛け合わせるウェイト係数を算出する。
【0026】
適応復調部272−1は、位相変調部13−1〜13−Mの位相変調で与えられる位相差のうち任意の位相差に対応している。まず、適応復調部272−1は、受信データ蓄積部271−1からのデジタル信号のうち対応した位相差の信号成分をパルス圧縮し、パルス圧縮後の信号をCFAR275−1へ出力すると共に、フィードバック信号として解析部273−1へ供給する。次に、適応復調部272−1は、ウェイト係数算出部274−1でフィードバック信号に基づいて算出されたウェイト係数を受け取り、このウェイト係数をデジタル信号に掛け合わせ、掛け合わせた後の信号に対してパルス圧縮を行う。こうして、適応復調部272−1は、受信データ蓄積部271−1からのデジタル信号における相関成分に対してパルス圧縮を行うことが可能となる。
【0027】
CFAR275−1は、適応復調部272−1でパルス圧縮された信号を検波(振幅情報のみの信号に変換)し、注目レンジビンの周辺パルスの信号振幅からリファレンス振幅を算出し、リファレンス振幅に対する注目レンジビン振幅の比を表す信号として、振幅比信号を出力する。これにより、CFAR275−1は、目標物Tの検出を行う。
【0028】
以上の受信処理が受信アンテナ21−2〜21−Nにおいても行われ、受信アンテナ21−2におけるCFAR26−21〜26−2M及びCFAR275−2で目標物Tの検出が行われ、…、受信アンテナ21−NにおけるCFAR26−N1〜26−NM及びCFAR275−Nで目標物Tの検出が行われる。
【0029】
統合部28は、受信アンテナ21−1におけるCFAR26−11〜26−1M及びCFAR275−1の検出結果、受信アンテナ21−2におけるCFAR26−21〜26−2M及びCFAR275−2の検出結果、…、及び受信アンテナ21−NにおけるCFAR26−N1〜26−NM及びCFAR275−Nの検出結果を統合して、目標物Tの有無を判定する。
【0030】
以上のように、上記一実施形態では、相関成分検出部27−1の解析部273−1及びウェイト係数算出部274−1で、適応復調部272−1から出力される信号のSN比を最大にするウェイト係数を算出する。そして、算出されたウェイト係数を受信データ蓄積部271−1からの信号に掛け合わせ、この信号に対して適応復調部272−1でパルス圧縮を行うようにしている。これにより、反射信号に含まれる互いに無相関の信号成分を復調部24−11〜24−1Nでパルス圧縮して目標物TをCFAR26−11〜26−1Mで検出すると共に、反射信号におけるM系統の無線信号の信号成分の相関成分を適応復調部272−1でパルス圧縮して目標物TをCFAR275−1で検出することが可能となる。すなわち、反射信号におけるM系統の無線信号の信号成分に相関が発生している場合であっても、相関成分から目標物Tを検出することが可能であるため、目標物の探知性能が劣化することは無い。
【0031】
したがって、本発明に係るレーダ装置及び受信機は、反射信号に相関成分が発生した場合であっても、目標物の探知性能を維持することができる。
【0032】
なお、この発明は上記一実施形態に限定されるものではない。例えば上記一実施形態では、相関成分検出部27−1〜27−Nが各受信系に設置されている例について説明したが、相関成分検出部27−1〜27−Nは相関成分検出装置として着脱可能であってもよい。すなわち、相関成分検出装置が設置されている受信系から相関成分検出装置を取り外すことができる。さらに、相関成分検出装置が設置されていない受信系がある場合、必要に応じてその受信系へ相関成分検出装置を取り付けることも可能である。
【0033】
また、上記一実施形態では、信号生成部12−1〜12−Mで送信パルスに直線状の周波数変調を加えた変調パルス信号を生成し、復調部25−11〜25−1M及び適応復調部272−1でパルス圧縮する例について説明したが、信号生成部12−1〜12−Mにおける変調方式がこの方式に限定される訳ではない。例えば、信号生成部12−1〜12−Mで送信パルスに対して離散値を取る符号系列により離散的に位相変調を行い、復調部25−11〜25−1M及び適応復調部272−1で符号系列の相関処理によりパルス圧縮を行う方式であっても同様に実施可能である。
【0034】
また、上記一実施形態では、CFARによりパルス圧縮後の信号から目標物を検出する例について説明したが、目標物を検出する検出部はCFARに限定されるわけではなく、その他の検出方式に準拠した検出部であっても同様に実施可能である。
【0035】
さらに、この発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…レーダ装置
10−1〜10−M…送信機
11−1〜11−M…送信アンテナ
12−1〜12−M…信号生成部
13−1〜13−M…位相変調部
14−1〜14−M…周波数変換部
20…受信機
21−1〜21−N…受信アンテナ
22−1〜22−N…周波数変換部
23−1〜23−N…A/D変換部
24−1〜24−N…分配部
25−11〜25−1M,25−N1〜25−NM…復調部
26−11〜26−1M,26−N1〜26−NM…CFAR
27−1〜27−N…相関成分検出部
271−1〜271−N…受信データ蓄積部
272−1〜272−N…適応復調部
273−1〜273−N…解析部
274−1〜274−N…ウェイト係数算出部
275−1〜275−N…CFAR
28…統合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに無相関となるように変調された無線信号を空間へ向けて送信するM(Mは2以上の自然数)個の送信機と、前記空間へ向けて送信されたM系統の無線信号が空間中の目標物により反射された反射信号を受信する受信機とを具備するレーダ装置において、
前記受信機は、
前記反射信号を互いに独立して受信するN(Nは2以上の自然数)系統の受信アンテナと、
前記受信系統毎に設置され、前記受信アンテナで受信された反射信号を中間周波数帯の信号に変換する周波数変換部と、
前記受信系統毎に設置され、前記中間周波数帯の信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部と、
前記受信系統毎に設置され、前記デジタル信号をM系統に分配する分配部と、
前記分配されたM系統毎に設置され、それぞれが前記M系統の無線信号のいずれかの変調方式に対応し、前記分配されたデジタル信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分のうち対応した変調方式の信号成分のみを復調する復調部と、
前記分配されたM系統毎に設置され、前記復調部で復調された信号から前記目標物を検出する検出部と、
前記受信系統毎に設置され、前記アナログ−デジタル変換部から前記デジタル信号を受け取り、当該デジタル信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分が互いに相関する相関成分を復調し、当該復調した信号から前記目標物を検出する相関成分検出手段と、
前記受信系統毎のM系統の検出部による検出結果と、前記受信系統毎の前記相関成分検出手段による検出結果とを統合する統合部と
を備えることを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記送信機は、
予め設定された変調方式でパルス信号を変調した変調パルス信号を生成する変調パルス生成部と、
他の送信機から送信される無線信号と直交するように前記変調パルス信号に対して位相変調を施す位相変調部と、
前記位相変調された信号を送信処理する送信処理部と、
前記送信処理された信号を空間へ向けて送信する送信アンテナと
を備えることを特徴とするレーダ装置。
【請求項3】
前記相関成分検出手段は、
前記アナログ−デジタル変換部からの前記デジタル信号を蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部に蓄積された蓄積データ及び前記M個の送信機から通知された前記M系統の無線信号の変調方式に関する変調情報に基づいて、フィードバック信号のSN(Signal to Noise)比が最大となるように、前記デジタル信号に掛け合わせるウェイトを算出するウェイト算出部と、
前記M系統の無線信号のいずれかの変調方式に対応し、前記アナログ−デジタル変換部からのデジタル信号に対して前記ウェイトを掛け合わせ後、当該信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分のうち対応した変調方式の信号成分のみを復調して出力すると共に、前記復調した信号を前記フィードバック信号として前記ウェイト算出部へ出力する適応復調部と、
前記適応復調部からの信号から前記目標物を検出する検出部と
を備えることを特徴とするレーダ装置。
【請求項4】
M(Mは2以上の自然数)個の送信機から互いに無相関となるように変調されて送信されたM系統の無線信号が空間中の目標物により反射された反射信号を互いに独立して受信するN(Nは2以上の自然数)系統の受信アンテナと、
前記受信系統毎に設置され、前記受信アンテナで受信された反射信号を中間周波数帯の信号に変換する周波数変換部と、
前記受信系統毎に設置され、前記中間周波数帯の信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部と、
前記受信系統毎に設置され、前記デジタル信号をM系統に分配する分配部と、
前記分配されたM系統毎に設置され、それぞれが前記M系統の無線信号のいずれかの変調方式に対応し、前記分配されたデジタル信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分のうち対応した変調方式の信号成分のみを復調する復調部と、
前記分配されたM系統毎に設置され、前記復調部で復調された信号から前記目標物を検出する検出部と、
前記受信系統毎に設置され、前記アナログ−デジタル変換部から前記デジタル信号を受け取り、当該デジタル信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分が互いに相関する相関成分を復調し、当該復調した信号から前記目標物を検出する相関成分検出手段と、
前記受信系統毎のM系統の検出部による検出結果と、前記受信系統毎の前記相関成分検出手段による検出結果とを統合する統合部と
を具備することを特徴とする受信機。
【請求項5】
前記相関成分検出手段は、
前記アナログ−デジタル変換部からの前記デジタル信号を蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部に蓄積された蓄積データ及び前記M個の送信機から通知された前記M系統の無線信号の変調方式に関する変調情報に基づいて、フィードバック信号のSN(Signal to Noise)比が最大となるように、前記デジタル信号に掛け合わせるウェイトを算出するウェイト算出部と、
前記M系統の無線信号のいずれかの変調方式に対応し、前記アナログ−デジタル変換部からのデジタル信号に対して前記ウェイトを掛け合わせ後、当該信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分のうち対応した変調方式の信号成分のみを復調して出力すると共に、前記復調した信号を前記フィードバック信号として前記ウェイト算出部へ出力する適応復調部と、
前記適応復調部からの信号から前記目標物を検出する検出部と
を備えることを特徴とする受信機。
【請求項6】
M(Mは2以上の自然数)個の送信機から互いに無相関となるように変調されて送信されたM系統の無線信号が空間中の目標物により反射された反射信号を受け取り、当該信号のデータを蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部に蓄積された蓄積データ及び前記M個の送信機から通知された前記M系統の無線信号の変調方式に関する変調情報に基づいて、フィードバック信号のSN(Signal to Noise)比が最大となるように、前記反射信号に掛け合わせるウェイトを算出するウェイト算出部と、
前記M系統の無線信号のいずれかの変調方式に対応し、前記反射信号に対して前記ウェイトを掛け合わせ後、当該信号に含まれるM系統の無線信号の信号成分のうち対応した変調方式の信号成分のみを復調して出力すると共に、前記復調した信号を前記フィードバック信号として前記ウェイト算出部へ出力する適応復調部と、
前記適応復調部からの信号から前記目標物を検出する検出部と
を具備することを特徴とする相関成分検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−203965(P2010−203965A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50973(P2009−50973)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】