説明

レーダ装置

【課題】 捜索と追尾を同時に行うレーダ装置において、追尾目標をクラッタやブランキングの影響なしに追尾可能なPRIを含んだPRIの組合せにて捜索を行うことにより、捜索処理に必要なPRIの組合せにて、精度良く追尾を行う。
【解決手段】 ビーム指向方向制御手段1からのビーム指向方向に応じて捜索に必要なPRIの組合せを計算するPRI計算手段2と、計算されたPRIの組合せにて電波の送受信を行う探知手段5と、目標追尾に対応したPRIによる受信信号7を選択する追尾情報選択手段13と、この受信信号7から目標検出を行う追尾処理手段14と、追尾処理手段14の処理結果から追尾処理を行う追尾情報検出手段12を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、探知手段より得られた情報から目標の捜索と同時に目標の追尾を行うレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーダ装置においては、受信パルスと送信パルスの時間差を計測する時に見掛けの時間差が含まれるが、複数のPRI(Pulse Reputation Interval)を使用して目標距離を求めることにより大きな誤り誤差なく目標検出を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−160121号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレーダ装置の捜索と同時に実施される追尾処理では、捜索目標情報検出手段にて検出された捜索処理情報から前回追尾目標情報との相関処理により追尾を行っている。
追尾処理を行う場合のPRIは追尾目標がブランキングやクラッタの領域に入らないようにPRIを選択する必要があるが、捜索と同時に実施される追尾処理では、PRIは捜索を目的とした一定のPRIが設定されており、目標を追尾するために最適なPRIは選択されていない。
【0005】
このため、追尾目標信号がブランキングやクラッタ領域に入ってしまい目標検出を行えなくなるという問題があった。
さらに、通常の追尾処理では最適なPRIを設定することにより目標周辺にクラッタが存在しない領域にて追尾を行うが、捜索と追尾を同時に行う場合、最適なPRIが選択されないため、追尾目標の近傍にクラッタが存在し、そのクラッタにより追尾精度が低下するという問題もあった。
【0006】
この発明は、係る問題点を解決するためになされたものであり、捜索と追尾を同時に行うレーダ装置において、追尾目標をクラッタやブランキングの影響なしに追尾可能なPRIを含んだPRIを組合せて捜索を行うことにより、追尾精度の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のレーダ装置は、送信ビームの指向方向を制御するビーム指向方向制御手段と、上記ビーム指向方向制御手段からのビーム指向方向と前回追尾目標の情報に応じて追尾用PRI(Pulse Reputation Interval)を計算し、当該追尾用PRIから捜索用の複数のPRIを計算するPRI計算手段と、上記PRI計算手段からの捜索用の複数のPRI及び追尾用PRIに関する情報を各部へ送付するPRI設定手段と、上記ビーム指向方向制御手段から指示されたビーム指向方向に対して、上記PRI設定手段より指定された捜索用の複数のPRIにて、アンテナの開口から電波を送受信して、目標を探知する探知手段と、上記探知手段からの受信信号の中で、上記PRI設定手段からの追尾用のPRIの情報に基づいて、追尾用のPRIで送信された時の受信信号のみを選択した信号を処理して、見掛けの目標距離を含む追尾目標を検出する追尾処理手段と、上記追尾処理手段からの目標の見掛けの目標距離を含む目標データと前回追尾目標データとの相関処理を行うことにより真の目標距離を有する追尾目標を検出して、その追尾目標の追尾情報を取得する追尾情報検出手段とを具備するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、捜索処理において、ビーム指向方向に応じてPRIの組合せを計算し、計算されたPRIの組合せにて目標の探知、捜索処理を行い、ビーム指向方向に合わせたPRIの組合せを計算することによって、捜索と追尾を同時に行う場合も、精度良く目標追尾を行いながら、全ての捜索領域をクラッタやブラインドの影響なく捜索を行うことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるレーダ装置の構成を示すものであり、1はビーム指向方向制御手段、2はPRI計算手段、3はPRI設定手段、4は捜索用PRIデータ、5は探知手段、6は開口、7は受信信号、8は捜索処理手段、9は捜索目標データ、10は捜索目標情報検出手段、11は捜索処理情報、12は追尾情報検出手段、13は追尾情報選択手段、14は追尾処理手段、15は追尾処理情報、16は追尾目標情報データベース、17はPRIデータベースである。
【0010】
ここで、PRI(Pulse Reputation Interval)は、パルス繰り返し周期を示し、送信電波の送信間隔を示している。
また、PRIの組合せとは、予め決められた個数の異なるPRIの集合のことであり、例えば、2種類の異なるPRIを使用した場合に、2種のPRIによる目標からの見せ掛けの反射波と真の反射波が判別しやすいように、相互のPRIは公倍数に成らないように決定されるものである。なおこの設定方法は、特許文献1に詳細に述べられている。
【0011】
以下に実施の形態1の動作について説明する。
図1において、通常の捜索処理は、例えばビーム指向方向制御手段1より新たな方向へビーム指向方向が指示された場合、PRI計算手段2からPRI設定手段3に対して捜索に必要なPRIの組合せを示す捜索用PRIデータ4を設定する。PRI設定手段3は捜索用PRIデータ4に従い探知手段5にPRIを設定する。
【0012】
探知手段5では、ビーム指向方向制御手段1から指示されたビーム指向方向に対して、PRI設定手段3より指定されたPRIにて開口6から電波を送信し、目標からの反射信号を探知手段5で探知した受信信号7より、捜索処理手段8にて目標の見掛けの目標距離及び周波数情報である、捜索目標情報9が検出される。
【0013】
そして、捜索目標情報検出手段10にて、PRI設定手段3より設定された複数のPRIで捜索された捜索目標データ9より、見掛けの目標距離及び周波数検出を実施し捜索処理情報11として、システム統括コンピュータへ出力されてモニター表示等で使用される。また、ビーム指向方向制御手段1により次の捜索方向が指示される。
【0014】
ここで、見掛けの目標距離とは、目標距離に対してPRIが短く目標からの反射信号を受信する前に次の送信パルスを送信した場合、検出される目標距離に相当した時間、つまり送信から反射信号を受信するまでの時間が折り返しを含んだ時間となり本当の時間(真の距離)を確定できないことをなる。また、目標の周波数は、目標距離に相当した時間の逆数で表現しており、目標の周波数に対してPRIが長い場合、目標周波数の検出結果は周波数分析可能帯域にて折り返された値となるため、本当の周波数(真の周波数)を確定できないことを示す。
【0015】
そこで、見掛けの目標距離及び周波数情報から見掛けの目標距離でない真の距離及び周波数情報を求めるため、同じ目標に対して複数の異なるPRIにて目標検出を行い、これらのPRIによる目標検出結果から、真の目標に関する情報を捜索目標情報検出手段で検出する。
【0016】
1種のPRIで目標検出を行う場合、電波の送信期間(送信ブランキングと呼ぶ)の目標検出は行えないため目標検出が行えない時間が発生する。また、レーダ装置は、大地からの反射信号(クラッタと呼ぶ)と重なった場合目標検出が行えなくなるため、このクラッタが存在する周波数及び時間は目標検出を行えなくなる。レーダ装置は、1種のPRIにて捜索処理を行った場合にブランキング及びクラッタにより目標検出を行えない領域(図6の説明で後述する)を示す。
【0017】
捜索処理と同時に実行される追尾処理は、PRI計算手段2において、追尾情報検出手段12より出力されている目標の方向とビーム指向方向制御手段1からのビーム指向方向の関係を判断し、目標の方向がビーム指向方向内に含まれている場合、PRI計算手段2にて目標追尾に最適なPRIを計算し、このPRIを含む捜索用PRIデータ4をPRI設定手段3に出力する。
【0018】
PRI設定手段3では、PRI計算手段2より出力された捜索用PRIデータ4を探知手段5に設定する。なお、PRI計算手段2において、追尾情報検出手段12より出力されている目標の方向とビーム指向方向制御手段1からのビーム指向方向の関係を判断し、目標の方向がビーム指向方向内に含まれていない場合、通常の捜索に使用されるPRIの組合せをPRIデータベース17から得て、捜索用PRIデータ4として出力する。
【0019】
ここで、5種類のPRIを使用して捜索を行う機種の場合を例として、PRIの周波数に対する送信パルス及び目標との関係を図により説明する。
図7はPRIの周波数と送信パルス及び目標からの受信パルスを示す図であり、PRI1〜PRI5は、5種類のPRIの組合せ、P1〜P5はPRI1〜PRI5で送信される送信パルス、R1〜R5はP1〜P5の送信パルスによる目標から反射パルスである。
【0020】
特許文献1に示されるようにPRIは、見掛けの時間差から大きな誤り誤差なく目標距離の検出が行えるよう複数のPRIを用いており、PRIの5個のセットをPRIの組合せと呼んでいる。
また、PRI1〜PRI5の周期が周期T1〜周期T5であり、追尾情報検出手段12によって、目標からの反射エコーが、ほぼ周期の中心になるように設定されている周期T3が追尾用の周期として使用される。
【0021】
探知手段5では、この捜索用PRIデータ4からの複数のPRI情報に従って、例えば、周期T1、周期T2、周期T3(追尾用)、周期T4、周期T5の5個の周期毎に、開口6から電波を送信して目標からの反射波を受信する。PRIの探知手段5からの受信信号7の中で、PRI設定手段3からの情報(周期T1(追尾用))に基づいて、目標追尾用のPRIで送信されて得られた受信信号のみを追尾情報選択手段13で選択し、追尾処理手段14に送る。追尾処理手段14では、受信信号7より、見掛けの目標距離及び周波数情報を検出する。
【0022】
追尾情報検出手段12では、追尾処理手段14からの目標の見掛けの目標距離データと前回追尾目標の距離データとの相関処理を行うことにより真の目標の距離を求め、さらに、追尾処理手段14からの目標の見掛けの目標周波数データと前回追尾目標の周波数データとの相関処理を行うことにより真の目標の周波数を求め、追尾処理情報15として出力する。そして、この追尾処理情報15は、追尾目標データベース16に追尾目標データとして保管される。
【0023】
図3は、この発明のレーダ装置のPRI計算手段2の処理を示すフロー図であり、18はビーム指向方向比較処理、19はレンジ方向評価処理、25は周波数方向評価処理、29は追尾用PRI選択、30は追尾用PRI、31は捜索用PRIデータ検索、32は捜索用PRI組合データベース、33は捜索用PRIデータであり、2、16、17は図1と同じものである。
【0024】
ビーム指向方向比較処理18では、ビーム指向方向制御手段1からのビーム指向方向と追尾目標データベース16の前回の目標方向の比較を行い、ビーム指向方向で示されるビーム幅内に目標方向が含まれている場合、レンジ方向評価処理19を実行し、含まれていない場合捜索用PRIデータ選択20までジャンプする。
【0025】
レンジ方向評価処理19では、追尾情報検出手段12からの目標のレンジからこの目標レンジを検出を行うためのPRIの評価テーブルを算出し、周波数方向評価処理へジャンプする。この評価テーブルは、各PRIについて目標を検出した場合の検出レンジがブラインド領域から離れており、クラッタ領域からも離れていることを基準として評価を行ったものであり、その作成例を図4に示す。
【0026】
図4は、この発明のレーダ装置のPRIのレンジの評価テーブルを示す概念図であり、図4(b)は、各PRIにて検出される目標検出レンジ21をプロットしたグラフ例であり、図4(a)は、その検出レンジに対応したレンジの評価テーブル22をプロットしたグラフ例であり、21は目標の検出レンジ、22はレンジの評価テーブル、23はブランキング領域、24はクラッタ領域である。
【0027】
目標検出レンジ21をプロットしたグラフ例に示すように、目標までの距離が観測に使用したPRIで観測可能な距離より長い場合、折り返しが発生し、PRIの変化により検出される目標レンジが変化する。
【0028】
追尾を行っている目標が、ブランキング領域23やクラッタ領域24により目標検出行えなくなることを避けるため、目標の検出レンジ21がブランキング領域23やクラッタ領域24から遠くになるようにPRIを選択する。この考え方よりPRI毎にレンジの評価テーブル22が設定される。レンジの評価テーブル22は、目標の検出レンジ21がブランキング領域23やクラッタ領域24に在る時は、評価が小さく、ブランキング領域23やクラッタ領域24の外に在る時は、評価は高く、中心で最大となる。
また、図4(b)の目標の検出レンジ21が不連続に変化している点は、目標の距離に相当する時間が、PRIの周期と同程度になり、次の周期へ移動する状態を表している。
【0029】
周波数方向評価処理25では、追尾情報検出手段12からの目標の周波数からこの目標周波数の検出を行うためのPRIの評価テーブルを算出し、追尾用PRI選択へジャンプする。この評価テーブルは、各PRIについて目標を検出した場合の検出周波数についてクラッタ領域から離れていることを基準として評価を行ったものであり、その作成例を図5に示す。
【0030】
図5は、この発明のレーダ装置のPRIの周波数の評価テーブルを示す概念図であり、図5(b)は、各PRIにて検出される目標検出周波数26をプロットしたグラフ例であり、図5(a)は、その検出周波数に対応した周波数の評価テーブル27をプロットしたグラフ例であり、26は検出周波数、27は周波数の評価テーブル、28はクラッタ領域である。
【0031】
目標検出周波数26をプロットしたグラフ例に示すように、目標までの周波数が観測に使用したPRIで観測可能な周波数より大きい場合、折り返しが発生し、PRIの変化により検出される目標周波数が変化する。
【0032】
追尾を行っている目標が、クラッタにより目標検出を行えなくなることを避けるため、追尾目標の検出周波数がクラッタ領域28から遠くになるようにPRIを選択する。この考え方よりPRI毎に周波数の評価テーブル27が設定される。
【0033】
追尾用PRI選択29では、レンジ方向評価処理19にて求められたレンジの評価テーブル22と周波数方向評価処理25にて求められた周波数の評価テーブル27からそのレンジと周波数方向のPRI毎の評価テーブルの積算を求め積が最大となるPRIを追尾用PRI30として出力する。
【0034】
捜索用PRIデータ検索31では、追尾用PRI30を含むブランキングやクラッタの影響なしに全領域の捜索を行えるPRIの組合せを捜索用PRI組合データベース32から検索する。そして、この検索により求められたPRIの組合せを捜索用PRIデータ4として出力する。
【0035】
捜索用PRI組合データベース32のデータ構成について説明する。
図8は追尾用PRIから捜索用PRIの組合せを決定するためのデータテーブルの構造を示す図であり、周期T1〜T5は図7の説明と同じものである。
【0036】
図8において、横方向に周期T1〜T5、縦方向に行1〜行iの2次元のデータ構造になっており、周期T3は追尾用の周期を表している。
追尾用の周期T3の行の値T31〜T3iは所定の周期範囲をi分割されたものであり、各T31〜T3iの値に対して、T11〜T51、・・・・・T1i〜T5iが、予め決められて保管されているものである。
【0037】
追尾情報検出手段12で求められた追尾用の周期T3の値が決まると、例えば、追尾用の周期T3がT32の場合は、図8の周期T3の列を縦方向にT32の値が保管されている行を検索し、行2の行を検索する。
その検索により、行2に格納された周期T12〜T52の値を周期T1〜T5の値として選択することによって、捜索用のPRIの組合せとして使用する。
なお、追尾用の周期T3は追尾の都度更新され、それにつれ、このデータテーブルから新たな捜索用の周期T1〜T5を、以上と同様にして選択することになる。
【0038】
ビーム指向方向で示されるビーム幅内に目標方向が含まれていないために、ビーム指向方向比較処理18から捜索用PRIデータ選択20へ直接ジャンプしてきた場合は、通常の捜索に使用しているPRIデータベース17に保管されたPRIデータを捜索用PRIデータ4として出力する。
【0039】
捜索用PRI組合データベース32は、指定したPRIを含みかつ全領域をクラッタやブランキングの影響なく捜索可能なPRIの組合せを求めるためのデータであり、PRI毎に捜索に必要なPRIの組合せが記載されている。クラッタやブランキングの影響のないPRIについては図6の説明で後述する内容を、例えば、捜索用PRI組合データベース32のデータ構成に組み込んで使用する方法や、また、捜索用PRI組合データベース32から読み込んだデータにマスキングを実施する方法も可能である。
このため、追尾に必要なPRIが指定されると、このPRIを含む捜索に必要なPRIの組合せを算出することができる。
【0040】
図6は、この発明のレーダ装置の目標検出可能な領域を示す概念図であり、38は目標検出可能な領域、34は周波数方向のクラッタ領域、35は時間方向のクラッタ領域、36は時間方向のブランキング領域、37は周波数方向のクラッタ領域である。
【0041】
図6に示すように、1種のPRIでは、周波数方向のクラッタ領域34及び周波数方向のクラッタ領域37,時間方向のクラッタ領域35及び時間方向のブランキング領域36の目標検出を行えない領域が発生するため、目標検出可能な領域38は検出可能な領域の一部限られた領域のみである。なお、これらのデータはPRIデータベース17に保管されている。
【0042】
捜索では全ての周波数及び時間領域の目標検出を行うため、複数のPRIを用いて目標検出を行い目標検出行えない領域を他のPRIにて目標検出を行えるようPRIの選択を行っている。全ての領域の捜索を行うために必要となるPRIの組合せとしては様々な組合せがあるが、通常捜索では特定のPRIの組合せを固定値として使用する。
また、
【0043】
このように構成されたレーダ装置においては、PRI計算手段2にて目標追尾に最適な捜索用PRIデータ4を計算し、捜索用PRIデータ4をPRI設定手段3から探知手段5に設定し、PRI計算手段2にて求められた追尾用PRI30のPRIにて探知手段5より受信した受信信号7を追尾情報選択手段13にて選択し、追尾情報処理手段14にて目標のレンジ及び周波数をもとめ、追尾情報検出手段12にて追尾情報15をもとめている。PRI計算手段2の追尾用PRI30のPRIにより得られた受信信号7により追尾処理を行うため、クラッタやブラインドの影響なく精度良く目標追尾を行うことができる。
【0044】
さらに、PRI計算手段2では、追尾用PRI30を含み全捜索領域をクラッタやブラインドの影響なく捜索を行えるPRIの組合せを捜索用PRI組合データから検索し、このPRIの組合せにてPRI設定手段3、探知手段5は捜索処理手段8及び捜索目標情報検出手段10にて捜索を行うためにクラッタやブラインドの影響なく捜索することができるようにするものである。
【0045】
したがって、捜索と追尾を同時に行う場合も、精度良く目標追尾を行いながら、全ての捜索領域をクラッタやブラインドの影響なく捜索を行うことができる。
【0046】
実施の形態2.
図2は、この発明によるレーダ装置の実施の形態2を示す構成図であり、1〜17は図1と同じものである。
【0047】
捜索処理手段8にて検出された捜索目標データ9から追尾用PRI30により捜索された情報のみを追尾情報選択手段13にて選択し、この選択情報から追尾情報検出手段12により目標追尾処理を行い追尾処理情報15を出力する。この図2によれば、図1に示した追尾処理手段14が不要となるので、処理が簡単になる。
【0048】
ところで上記説明では、この発明を捜索と追尾を同時に行う場合について述べたが、その他のレーダについても利用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明のレーダ装置の実施の形態1を示す構成図である。
【図2】この発明のレーダ装置の実施の形態2を示す構成図である。
【図3】この発明のレーダ装置のPRI計算手段の処理を示すフロー図である。
【図4】この発明のレーダ装置のPRIのレンジの評価テーブルを示す概念図である。
【図5】この発明のレーダ装置のPRIの周波数の評価テーブルを示す概念図である。
【図6】この発明のレーダ装置の目標検出可能な領域を示す概念図である。
【図7】PRIの周波数と送信パルス及び目標からの受信パルスを示す図である。
【図8】追尾用PRIから捜索用PRIの組合せを決定するためのデータテーブルの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ビーム指向方向制御手段、 2 PRI計算手段、 3 PRI設定手段、 4 捜索用PRIデータ、 5 探知手段、 6 開口、 7受信信号、 8 捜索処理手段、 9 捜索目標データ、 10 捜索目標情報検出手段、 11 捜索処理情報、 12 追尾情報検出手段、 13 追尾情報選択手段、 14 追尾処理手段、 15 追尾処理情報、 16 追尾目標情報データベース、 17 PRIデータベース、 18 ビーム指向方向比較処理、 19 レンジ方向評価処理、 20 捜索用PRIデータ選択、 21 目標の検出レンジ、 22 レンジの評価テーブル、 23 ブランキング領域、 24 クラッタ領域、 25 周波数方向評価処理、 26 検出周波数、 27 周波数の評価テーブル、 28 クラッタ領域、 29 追尾用PRI選択、 30 追尾用PRI、 31 捜索用PRIデータ検索、 32 捜索用PRI組合データベース、 38 目標検出可能な領域、 34 周波数方向のクラッタ領域、 35 時間方向のクラッタ領域、 36 時間方向のブランキング領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ビームの指向方向を制御するビーム指向方向制御手段と、
上記ビーム指向方向制御手段からのビーム指向方向と前回追尾目標の情報に応じて追尾用PRI(Pulse Reputation Interval)を計算し、当該追尾用PRIから捜索用の複数のPRIを計算するPRI計算手段と、
上記PRI計算手段からの捜索用の複数のPRI及び追尾用PRIに関する情報を各部へ送付するPRI設定手段と、
上記ビーム指向方向制御手段から指示されたビーム指向方向に対して、上記PRI設定手段より指定された捜索用の複数のPRIにて、アンテナの開口から電波を送受信して、目標を探知する探知手段と、
上記探知手段からの受信信号の中で、上記PRI設定手段からの追尾用のPRIの情報に基づいて、追尾用のPRIで送信された時の受信信号のみを選択した信号を処理して、見掛けの目標距離を含む追尾目標を検出する追尾処理手段と、
上記追尾処理手段からの目標の見掛けの目標距離を含む目標データと前回追尾目標データとの相関処理を行うことにより真の目標距離を有する追尾目標を検出して、その追尾目標の追尾情報を取得する追尾情報検出手段と、
を具備することを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
上記追尾処理手段が、上記探知手段からの受信信号を信号処理して、見掛けの目標距離を含む捜索目標を検出する捜索処理手段からの受信信号を入手して、追尾目標を検出することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−256135(P2007−256135A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82155(P2006−82155)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】