説明

ロケーションベースアプリケーションに従って移動局のロケーション判断を容易にするための装置及び関連方法

【課題】無線通信システムにおいてロケーションサービスを実施する技術を提供する。
【解決手段】無線通信システムにおいてロケーションサービスの実施を容易にするための装置及び関連方法。ロケーションサービスが開始される時に、ネットワークベースエンティティには、サービス開始に対して警報が出される。ネットワークベースエンティティは、ロケーションサービスに従って移動局のロケーション判断を容易にするネットワークベース情報を問い合わせるためにメッセージを作成する。情報が得られた時に、情報は移動局に転送される。この情報は、ロケーションサービスの実施を容易にするために移動局で使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、「CDMA 2000」、移動体通信システムのような無線通信システムでのロケーションサービスの実施に関する。より具体的には、本発明は、ロケーションベースアプリケーションの実施を助けるために無線通信システムのネットワーク部分で情報を得るための装置及び関連方法に関する。支援型GPS(全地球測位システム)データ及び計算、及び他の支援は、ロケーションベースのアプリケーションの実施を助けるために移動局に提供される。
情報は、ネットワーク部分でIPベース(インターネットプロトコルベース)メッセージングを使用して得られ、この情報は、移動局がそのホームネットワークにあるか又は訪れたネットワークでローミング中であるかに関わらず移動局に提供される。
【背景技術】
【0002】
通信システムを通じて通信するための通信システムへのユーザによる作動可能アクセスは、現代社会に実際に必要なものである。通信システムの作動中に、データは、一組の通信局間で伝達される。この組の通信局の少なくとも1つは、送信局を形成し、この組の通信局の少なくとも別のものは受信局を形成する。送信局及び受信局は、通信チャンネルによって相互接続されている。
通信システムの作動中、データは、通信チャンネル上で送信局によって受信局に伝達される。受信局は、データの配信を検出し、受信局はまた、データの情報的コンテンツを回復する。
【0003】
多くの異なる種類の構成及び機能の通信システムが開発されて配備されてきた。異なる種類の通信サービスの実施は、異なる種類の通信システムによって提供される。新しい種類の通信サービスの実施を可能にする新しい種類の通信システムが開発されて配備されてきた。新しい種類の通信システムは、一般的に通信技術の進歩を利用している。
無線通信システムは、代表的な種類の通信システムである。無線通信システムでは、送信局及び受信局を相互接続する通信チャンネルは、無線チャンネルで形成される。無線チャンネルは、無線リンク、すなわち通信局間に延びる非有線回線リンク上に定められる。通信が有線回線上ではなく無線リンク上に定められたチャンネルで実施されるので、無線通信システムの通信局は、有線回線への接続が利用可能なロケーションに配置される必要がない。通信は、従って、通信が有線回線通信システムの使用によって相応に可能でない時に、時として無線通信システムにおいて実施可能である。更に、無線通信システムは、通信局の1つ又はそれよりも多くに通信移動性が設けられた移動通信システムとして実施可能である。
【0004】
移動体通信システムは、代表的な種類の無線通信システムである。移動体通信システムは、高いレベルの使用頻度を達成しており、移動体通信システムのネットワークは、世界の人口の多いエリアの有意な部分を含むように設置されてきた。一連の世代の移動体通信システムが開発されて配備されてきた。いわゆる第1世代のシステムは、一般的に、データサービスが制限された音声通信のために提供されたものである。システムの次の各世代は、益々データ集約的な通信サービスの実施を提供している。移動体通信システムの新しい世代は、IP(インターネットプロトコル)通信のようなパケット通信を利用する。3GPP2(第3世代パートナーシッププロジェクト2)によって普及している動作仕様にほぼ従って作動可能な移動体通信システム「cdma 2000」は、インターネットプロトコルベースの通信サービスを提供する新しい世代の移動体通信システムの代表的なものである。
【0005】
利用可能であるか又はそれを意図したインターネットプロトコルサービスの中には、「IPベースロケーションサービス(LCS)」がある。ロケーションベースのアプリケーションを提供する場合の重要な要素は、移動局の地理的な位置決めである。ロケーションサービスにより、ロケーションベースアプリケーションは、移動局に関する情報を取得することができる。ロケーションベースアプリケーションの例は、例えば、移動局のユーザに最も近いレストラン又は他の施設の識別、移動局のユーザへの選択された目的地までの方向の提供、移動局のユーザへの地方の天気又は医師に依存する他の情報の提供、救急サービス、車両の管理などの提供を含む。
【0006】
移動局の地理的な位置を識別するための従来の方式は、全地球測位システム(GPS)の使用によるものである。GPS受信器は、ロケーション情報を移動局に提供するために移動局の一部を形成する。その作動中に、測定はGPS衛星ビーコンで行われ、これは、次に、移動局、及び従ってそのユーザの地理的ロケーションを計算するために使用される。移動局の測定と得られるロケーション計算は、移動局で全体的に実行することができる。しかし、移動局で全体的に測定及び計算を行うことには、いくつかの欠点がある。例えば、移動局のロケーションの計算は時間が掛かり、低レベルの精度で実行される場合は不正確であり、例えば、GPS衛星ビーコンが移動局によって検出可能でない時には実行できない場合がある。例えば、都市部では、ビル構造がGPS衛星ビーコンを検出する移動局の機能を妨害する場合があると考えられる。
【0007】
これらの欠点及び制限を補正するために、支援型GPS(A−GPS)が使用される場合がある。支援型GPSでは、一部の支援データがネットワークによって移動局に供給される。また、移動局のロケーションの計算は、計算的に複雑な演算であるから、移動局が作動可能であるネットワークはまた、移動局で行われた測定を使用して移動局のロケーション計算を助けることがある。移動局の地理的な位置決めに対して移動局への支援を提供するエンティティは、位置判断エンティティ(PDE)と呼ばれることがある。PDEと移動局の間のA−GPSに従う情報の交換に関する標準化プロトコルは、基準−設定機構によって公表されているIS−801に示されている。
【0008】
ロケーションサービスに関する既存のプロトコルが示されてきたが、このようなプロトコルは、SS7信号方式を使用する従来の回路交換アーキテクチャに基づくか又はプロトコル通信のための扱いにくい方法に頼るかのいずれかである。
従って、必要なものは、ロケーションサービスを容易にする分かり易いIPベース方式である。
本発明の有意な改良が生まれたのは、パケット無線通信システムにおけるロケーションサービスに関するこの背景情報に鑑みた結果である。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、従って、「cdma 2000」、移動体通信システムのような無線通信システムでロケーションサービスを実施するための装置及び関連方法を有利に提供する。
本発明の実施形態の動作を通して、ロケーションベースアプリケーションの実施を助けるための情報を取得するために、ある一定の方法が無線通信システムのネットワーク部分に提供される。支援型GPS(全地球測位システム)データ及び計算、及び他の支援が移動局に提供され、ロケーションサービスの実施を助けることになる。
この情報を取得するために、IPベースのメッセージングが利用される。SS7信号方式又はRADIUS(リモートオーセンティケーションダイヤル及びユーザサービス)プロトコルを利用する面倒な方法を利用するそれ以外の必要性はなくなる。
【0010】
本発明の1つの態様では、ロケーションサービスは、移動局によって開始される。ロケーションサービスが開始されて、ロケーションベースアプリケーションに従って移動局のロケーションを識別する。ロケーションベースアプリケーションは、通信システムのネットワーク部分又は他の場所、例えば移動局で組み入れられる。移動局でのロケーションサービスの開始に従って、移動局は、無線エア・インタフェース上に形成された無線チャンネルによってネットワークに配置されたエンティティに送られる位置決め要求を作成する。ネットワーク配置エンティティは、例えば、移動局に関連するホームネットワークで組み入れられたエンティティである。位置決め要求は、様々な情報、例えば、ロケーションサービスに従って提供されるロケーション情報の属性を含む。ロケーション情報を使用するためのロケーションベースアプリケーションのアイデンティティのような付加的な情報は、メッセージ並びに移動局を認証するために使用可能な認証データに包含される。位置決め要求に包含された付加的な情報は、ネットワーク識別子、サービス識別子、及び移動局が通信システムのネットワーク部分と通信接続している基地局識別子などにより、通信システム内の移動局のロケーションを特定する。
【0011】
ネットワーク配置エンティティに位置決め要求を配信する際に、ネットワーク配置エンティティは、ロケーションサービスに従って使用可能なネットワーク取得可能な情報を問い合わせるために問合せを作成する。問合せは、得られた状態で、ネットワーク取得可能な情報を問い合わせる。問合せに応答して、応答がネットワーク取得可能な情報と共に問合せに提供される。また、それに応答して、ネットワーク配置エンティティは、移動局に戻される応答を作成する。この応答は、問合せに応えて得られたネットワーク取得可能な情報を表す値を含む。一実施例では、ネットワーク取得可能な情報は、ネットワークに記憶された情報から形成される。別の実施例では、ネットワーク取得可能な情報は、問合せに応答して計算される。より一般的には、問合せは、移動局のロケーションを特定するために行われる。
【0012】
問合せは、パケットフォーマット問合せ、すなわちIPフォーマットメッセージであり、移動局に配信するためのネットワーク配置エンティティによって送られた応答メッセージもまた、パケットフォーマットメッセージである。発見応答に包含された情報は、移動局でのロケーションサービスの実施を容易にし、又は代替的に移動局が付加的な支援を取得するのを容易にしてロケーションサービスを実施する。その後、ロケーションサービスは、ロケーションベースアプリケーションの実施を可能にするためにロケーション情報を提供する。
【0013】
ロケーションサービスの開始はまた、ネットワークからも可能である。すなわち、ネットワークで開始されたロケーションサービスも提供される。ロケーションサービスがネットワークで開始される場合、ネットワークで作成されたロケーション要求は、移動局に関連するネットワーク配置エンティティに送られる。ネットワークで開始された要求はまた、ロケーションサービスに従ってそのロケーションが得られる移動局ではなく、移動局によって最初に作られた要求を含む。
【0014】
ネットワーク配置エンティティへ要求を配信する際に、ネットワーク配置エンティティは、移動局のロケーション判断(決定)を容易にするのに利用可能なネットワーク取得可能な情報を問い合わせるための問合せを形成する問合せメッセージを作成する。ネットワーク取得可能情報がアクセスされるか又はそうでなければ計算されて、問合せに対する回答としてネットワーク配置エンティティに戻される。また、ネットワーク配置エンティティは、移動局に送られる応答を作成する。この応答は、問合せに応答して得られた情報を表す値を含む。また、移動局は、ロケーションサービスに従って情報を利用する。移動局のロケーション情報が判断された状態で、ロケーション情報は、ロケーションベースアプリケーションに提供される。
【0015】
移動局は、そのホームネットワークか、又は訪れたネットワークのいずれかに位置決めすることができる。すなわち、移動局は、そのホームネットワークの対象エリア内、並びに訪れたネットワークの対象エリア内の両方で位置決めすることができる。ロケーションサービスの開始は、開始される場合は必ず、移動局に関連するホームネットワークにルーティングされた要求を用いて始められる。要求が通信システムのネットワーク部分で開始される場合、開始要求は、ネットワークを通じてルーティングされ、移動局のホームネットワークに位置するネットワーク配置エンティティに配信される。開始が移動局で作成された要求を用いて始まる場合、要求は、無線チャンネル上で送信され、無線アクセスネットワークに配信され、無線アクセスネットワークを通じて移動局に関連するホームネットワークに位置するネットワーク配置エンティティまでルーティングされる。ロケーションサービスは、移動局がそのホームネットワークに位置決めされるか又は訪れたネットワークで位置決めされるかに関わらず実施可能である。
【0016】
ロケーションサービスの実施に対するネットワーク支援は、無線ネットワーク内で効率良くかつ分かり易く通信されるIPフォーマットメッセージを使用して実行される。無線ネットワークが「CDMA 2000」移動体通信システムのようなパケット通信を提供する場合、本発明の実施形態の動作中に作成されるメッセージングは、情報の識別、計算、及び配信を提供し、移動局がそのロケーションサービスを実施するのを助ける。また、ロケーションベースアプリケーションの動作は、ロケーションサービスに従って得られた移動局のロケーションを使用して無線通信システムによって実行される。
【0017】
従って、これら及び他の態様においては、パケット無線通信ネットワークがロケーションベースサービスに従って移動局のロケーション判断を容易にするための装置及び関連方法が提供される。ネットワーク配置エンティティは、移動局のロケーション判断を容易にするのに利用可能なネットワーク取得可能情報を問い合わせるパケットフォーマット問合せを作成するように選択的に作動可能である。
本発明のより完全な評価とその範囲は、簡潔な要約が与えられた添付図面、本発明の現時点で好ましい実施形態の以下の詳細説明、及び特許請求の範囲から得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず図1を参照すると、全体的に10で示すパケット無線通信システムは、ターゲット移動局(ターゲットMS)12がその代表的なものである移動局にパケット無線通信サービスを提供する。例示的な実施例では、通信システムは、CDMA2000動作仕様にほぼ準拠して作動可能な無線ネットワーク部分を含む。以下の説明は、CDMA2000移動体通信システムのような通信システムの例示的な実施例を説明するものとするが、本発明の教示は、他の方式で実施されるパケット無線通信システムにも同じように適用可能である。従って、通信システム10の例示的な作動、及びそこで作動可能な本発明の実施形態の説明は、CDMA2000移動体通信システムでの例示的な実施の点から行われるが、このような説明は単に例示的なものである。
【0019】
通信システムは、パケットデータネットワーク、ここではインターネット14によって互いに接続したホームネットワーク部分及び訪れたネットワーク部分を含む。通信システムのパケットアーキテクチャの要素が示されている。単純にするために、通信システムの他の要素は示されていない。セグメント16よりも上に位置決めされた要素は、通信システムのホームネットワーク部分に組み入れられ、セグメント16よりも下に位置決めされた要素は、通信システムの訪れたネットワーク部分の要素を形成するものである。
【0020】
ターゲット移動局12は、通信システムのホームネットワーク部分及び訪れたネットワーク部分によって包含されたロケーションを含む様々なロケーションのいずれかに位置決めされるように移動性が与えられる。図に示す位置決め法では、移動局は、訪れたネットワークに位置決めされ、それと通信接続中である。すなわち、移動局は、ここでは通信システムの訪れたネットワーク部分との通信を可能にするロケーションに位置決めされる。
【0021】
ロケーションサービスクライアント(LCSクライアント)18は、移動局でインストールされ、そこで作動可能である。LCSクライアントは、ロケーションサービスを開始してターゲット移動局に関連する地理的ロケーション情報を受信するアプリケーション又は他のエンティティを形成する。ロケーションサービスクライアント18−V、18−H、及び18−Iも図に示されている。これらの付加的なロケーションサービスクライアントは、通信システムのネットワーク部分の様々な部分で位置決めされるロケーションサービスクライアントを表している。ロケーションサービスクライアント18−V、18−H、及び18−Iは、ロケーションサービスを開始して移動局12のようなターゲット移動局の地理的ロケーション情報を受信することができるエンティティを各々表している。例示的な作動を移動局12に組み入れられたロケーションサービスクライアント18によるロケーションサービスの開始に関して説明するが、ロケーションサービスは、クライアント18−V、18−H、及び18−Iによっても同じように実施可能である。
【0022】
訪れたネットワークは、移動局12が回線24によって連結された基地局コントローラ/パケット制御機能(BSC/PCF)22を含む。回線24は、無線エア・インタフェース上に形成された無線チャンネル及びBSC/PCF22に延びるネットワーク接続の両方を表している。基地局コントローラ/パケット制御機能は、とりわけネットワークでの通信作動を制御するように作動する。
基地局コントローラ/パケット制御機能は、次に、パケットデータサポートノード(PDSN)28に連結される。パケットデータサポートノードは、訪れたネットワークを作動するキャリアのIP(インターネットプロトコル)ネットワーク32に連結される。更に、ネットワーク32は、次に、インターネット14に連結される。
【0023】
通信システムの訪れたネットワーク部分はまた、ネットワーク配置エンティティ34及び36を含む。エンティティ34は、ここではサービングモバイル位置決めセンター(SMPC)と呼ばれる。また、エンティティ36は、ここでは位置判断エンティティ(PDE)と呼ばれる。モバイル位置決めセンターは、ロケーションサービスクライアント18のようなロケーションサービスクライアントとロケーションサービスの間のインタフェースとして働くエンティティを形成する。ロケーションサービスは、ターゲット移動局の地理的ロケーション情報を開始し、計算し、更に配信するためにCDMAネットワークに供給されたフレームワークである。モバイル位置決めセンターは、ロケーションサービスクライアントからターゲット移動局の位置判断のための要求を受け入れ、認証、許可、及びアカウンティング(AAA)機能を形成し、並びに支援型GPS位置決めセッションのための位置判断エンティティのようなリソースの発見及び割当てを制御する。
【0024】
通信システムのホームネットワーク部分はまた、ホームネットワークを作動するキャリアのIPネットワークを含む。IPネットワークは、ここでは42で示されている。ここではホームモバイル位置決めセンター(HMPC)44と呼ばれるネットワーク配置エンティティは、ネットワーク42に連結される。また、ここでは加入及び課金データベース46であるデータベースは、エンティティ44に連結される。
【0025】
本発明の実施形態の動作により、ロケーションベースアプリケーションに従ってロケーションサービスの実行を容易にする方法が提供される。ロケーションサービスが開始される時に、IPベースの信号方式が以下に説明するように作成され、移動局がそのロケーションを判断するのを助けるための情報を取得することができる。移動局12は、ここでは、移動局のロケーションを取得するためにここではネットワークの支援によってGPS−関連作動を実行するGPS(全地球測位システム)受信器48を含む。
【0026】
次に図2を参照すると、全体的に52で示すメッセージシーケンス図は、移動局で開始されるロケーションサービスで作成された信号方式を表している。すなわち、図1の通信システム10に示す要素に関して、図に示す信号方式は、ターゲット移動局12、パケットデータサポートノード28、位置判断エンティティ32、サービングモバイル位置決めセンター34、ホームモバイル位置決めセンター44、及び、例えばネットワークロケーションで組み入れられて更にここでは要素54によって表わされるロケーションベースアプリケーションの間で様々な信号方式を含む。
【0027】
最初に、セグメント56で示すように、ロケーションベースアプリケーションは、ターゲット移動局によってアクセスされる。このアクセスは、ここでは例えばHTTP要求/応答手順によって行われる。次に、セグメント58で示すように、ターゲット移動局のロケーションサービスクライアントが起動される。図に示す例示的な実施例では、ターゲット移動局は、最初に従来の方式でCDMAネットワークによってデータ呼出しを開始する。移動局は、次に、ウェブサーバ上で、例えば、ウェブページのアクセス、指定されたリンクのクリック、又は書式の提出を通じてサービスにアクセスする。アクセスが行われるウェブサーバは、適切なサービスを提供するためにターゲット移動局のロケーション情報の必要性を検出する。ウェブサーバは、ここではロケーション文書内のWAPロケーションであるメッセージをターゲット移動局に送る。この文書は、例えば、XMLフォーマットのロケーション要求である。この要求は、ロケーション情報と、更にサービス位置品質(PQoS)、例えばロケーション報告の頻度によって定義されたトランザクション速度並びに他の適切な属性のようなロケーション情報の属性の説明とに対する必要性を示すものである。シーケンス図はまた、ここではアプリケーション54’が移動局で組み入れられた代替的な例示的実施例を示している。ここで双方向セグメント62は、信号56及び58と同様な代替的な信号方式を表している。
【0028】
移動局は、次に、セグメント64によって示された位置決め要求を作成し、これは、ネットワークに通信され、それを通じてネットワーク配置エンティティ44への配信に対してルーティングされる。位置決め要求は、ロケーション情報の属性、例えば、メッセージ58で移動局に以前に提供された属性のような情報を含む。要求はまた、例えば、ロケーション情報を使用するためのロケーションベースアプリケーション54のアイデンティティ、ネットワーク配置エンティティに対してターゲット移動局のアイデンティティを行使するのに使用される認証データ、ネットワーク識別子(NID)、サービス識別子(SID)、及び移動局が通信システムのネットワーク部分と通信接続中である場合を識別する基地局識別子(BSID)を含む。
【0029】
例示的な実施例では、要求64は、HTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)メッセージで形成される。他の実施例では、メッセージは、他の方法で形成される。HTTPメッセージの使用は、HTTPメッセージが内蔵の要求/応答セマンティクス、並びに相互認証及び暗号化のためのサポートを含むという理由のために有利である。メッセージは、単一のセグメントとして示されているが、メッセージによって実行される機能がHTTPで実施される場合には、いくつかのメッセージが通信される。例えば、ネットワーク配置エンティティを形成しているホームモバイル位置決めセンター44は、認証をターゲット移動局に要求することができ、臨時の数、例えば乱数を提供することができる。ターゲット移動局は、それに応答して暗号アルゴリズム、例えばメッセージダイジェスト5−MD5を実行して署名を計算する。臨時及び共有の秘密、例えば移動局とエンティティ44の間のパスワードは、署名を計算するために他の情報に加えて使用される。ターゲット移動局は、署名をエンティティ44に送る。更に、エンティティ44はまた、臨時、共有秘密、及び署名を計算するための他の情報を使用して、ローカルに同様の暗号化アルゴリズムを実行し、移動局によって提供された署名がネットワーク配置エンティティによってローカルに計算された署名に一致することを検証する。ホームモバイル位置センター44は、サービングモバイル位置決めセンターのアイデンティティを判断する。これに従って、エンティティ44は、例えば、NID及びSID情報を示す完全修飾ドメイン名(FQDN)を作成する。このようなドメイン名の例は、「NID.SID.MPC.NET」である。ホームモバイル位置決めセンターは、次に、ドメイン名サーバ(DNS)66に問合せする。この問合せは、セグメント68によって示しており、その応答は、セグメント72で示している。
【0030】
次に、セグメント74で示すように、ネットワークベースのエンティティ44は、位置決め要求をサービングモバイル位置決めセンターに転送する。転送された要求は、ターゲット移動局12のアイデンティティ、PQoS、トランザクション速度、移動局の位置決め機能、課金ID、BSID、更に他の適切なパラメータのようなパラメータ及び情報を包含する。一実施例では、要求74は、HTTP/TCP/IP上で送られる。また、一実施例でのエンティティ44及び34は、それらの間のメッセージングを保護するために使用されるセキュリティ・アソシエーションを有する。すなわち、HTTP信号方式とホームMPCによるサービングMPCの発見とを使用して、移動局によって中継されるSID及びNID情報の使用がもたらされる。
【0031】
次に、セグメント76で示すように、エンティティ34は、支援型GPS位置決めにおいて移動局を助けるべきである位置判断エンティティを選択する。ここでは、エンティティ32が選択される。また、セグメント78で示すように、エンティティ34は、エンティティ32に関係する情報をエンティティ44に送る。ここでもまた、一実施例では、情報は、HTTP/TCP/IP上で送られる。この情報は、例えば、位置判断エンティティのIPアドレス、エンティティと通信するために使用される転送プロトコル、例えばTCP又はUDP、及び関連するポート番号、寿命、すなわちエンティティ32が割り当てられるべき期間、及びセキュリティ鍵を含む。セキュリティ鍵は、例えば、移動局とエンティティ32の間の通信を保護し、すなわち認証/暗号化するために使用される。
【0032】
その後、セグメント82で示すように、ネットワーク配置エンティティ44は、受信した情報を移動局に送る。
移動局は、割り当てられたネットワークエンティティ32との支援型GPSセッションを開始する。通信は、地理的な位置決めのために要求されるメッセージを交換するために指定された転送プロトコル及びポート番号を使用して実施される。次に、セグメント86で示すように、移動局は、計算された地理的ロケーション情報をアプリケーション54に転送する。情報は、例えば、ウェブサーバへのWAPロケーション配信文書の送信によって通信される。代替的な実施例におけるように、アプリケーションがターゲット移動局すなわちアプリケーション54’に対してローカルである場合、ロケーション情報は、そのアプリケーションにローカルに転送される。
【0033】
様々な実施例では、通信システム10の作動中に作成されてメッセージシーケンス図52によって表わされている様々な信号及びメッセージの変更が行われる。例えば、メッセージ68及び72の機能性は、実行されるが、異なる方法で行われる。一実施例では、例えば、位置決め要求64を送る前に、ターゲット移動局12が訪れたネットワークのドメイン名サーバ66への問合せを実行し、その問合せに応答してネットワークベースのエンティティ34のIPアドレスを取得する。例えば、移動局が通信接続中であるネットワークの部分を識別するNID値を示すドメイン名サーバ問合せで使用される完全修飾ドメイン名が再度構成される。また、エンティティ34のIPアドレスが得られた状態で、このアドレスは、位置決め要求に含まれる。また、作動は、要求74の作成と共に継続される。
別の例示的な代替的実施例では、ドメイン名サーバ問合せに従って使用される完全修飾ドメイン名は、NID及びSID以外のパラメータを利用する。例えば、これらのパラメータに対する置換においては、置換名が利用される。例えば、一実施例での完全修飾ドメイン名は、移動局が位置する訪れたネットワークを作動するオペレータの名前で形成される。
【0034】
図3は、全体的に102で示すメッセージシーケンス図を示しており、また、図1に示す無線通信システムの作動中に作成される信号方式も表している。ここでは、ロケーションサービスは、通信システムのネットワーク部分で開始される。ここでもまた、例示的な実施例は、図1の図解に示すように、訪れたネットワーク内で移動局がローミングしているシナリオを示している。
最初に、セグメント104で示すように、ネットワークエンティティに組み入れられたロケーションサービスクライアントが起動される。図式102で示す例示的な作動では、ターゲット移動局12は、従来の方式による無線通信システムのネットワークで形成されたCDMAネットワークによってデータ呼出しを開始する。移動局は、次に、例えば、ウェブページにアクセスし、リンクをクリックし、又は書式を提出することによってウェブサーバ上のサービスにアクセスし、これは、次に、ウェブサーバ上のロケーションサービスクライアント、ここではクライアント18−Hを起動する。代替的な実施形態では、ロケーションサービスクライアントは、通信システムのネットワーク部分に位置決めされたエンティティから起動される。ロケーションサービスクライアントがネットワークエンティティから起動されるシナリオの例は、特定のターゲット移動局を位置決定するためにロケーションサービスクライアントに問合せを出すフリートマネージャである。
【0035】
次に、セグメント106で示すように、ロケーションサービスクライアントは、ターゲット移動局に関連するロケーション情報の要求を作成する。この要求は、ゲートウェイ108に転送される。ロケーションサービスクライアントゲートウェイ通信のための例示的な候補インタフェースはMLPである。MLPは、例えば、HTTP/TCP/IP上で実施可能である。ゲートウェイは、次に、セグメント112によって示された要求をネットワーク配置エンティティ44にルーティングする。
【0036】
更に、次に、ネットワーク配置エンティティ44、ここではホームモバイル位置決めセンターは、セグメント114によって示された指示をターゲット移動局に送り、地理的な位置決めに対する必要性を移動局に警告する。例示的な実施例では、指示は、SMS(ショートメッセージサービス)メッセージを使用して送られる。この指示は、参照識別とロケーションサービスクライアント18−Hのアイデンティティとを包含する。指示はまた、例えば、PQoS、トランザクション速度、又は他の属性の指示のような望ましいロケーション情報の属性を包含する。指示の受信に際して、ターゲット移動局は、移動局のユーザにロケーションサービスクライアントへのロケーション情報の提供に対する承諾を選択的に促す。ユーザが承諾を与えた場合、次のメッセージングが進行する。そうでなければ、否定応答、すなわちNACKが、ネットワーク配置エンティティ44に送られて手順が中止される。
【0037】
次に、全て図2に示すメッセージシーケンス図に関して説明するように、メッセージ64、68、72、74、76、78、82、及び84が作成される。このような信号の作成に関連する詳細は既に説明している。上述の説明を参照すると、信号方式パラメータ及びこのような信号方式に応答する作動が示されている。ここでもまた、HTTP信号方式とホームMPCによるサービングMPCの発見とを使用するホームMPCによる移動局認証の最適化、移動局から中継されるSID及びNID情報の使用がもたらされる。
【0038】
次に、ブロック116で示すように、計算されたロケーション情報は、移動局によってロケーションサービスクライアントに配信される。様々な実施例のいずれもこの作動を実行するために利用可能である。一例示的実施例では、支援型GPS位置決め手順の終了に応答して、位置判断エンティティ32は、移動局の計算されたロケーションをネットワーク配置エンティティ34に転送する。更に、エンティティ34は、次に、その情報をエンティティ44に転送する。更に、エンティティ44は、次に、MLP要求への応答としてこの情報を転送する。代替的な実施例では、移動局は、計算されたロケーションを消費者アプリケーションのためのロケーションサービスクライアントに転送する。
【0039】
図4は、本発明の実施形態の動作の方法を表す全体的に120で示す方法流れ図を説明している。本方法は、ロケーションベースのサービスに従って移動局のロケーション判断を容易にするものである。
最初に、セグメント122で示すように、ロケーションベースのサービスを開始するために、要求が、ネットワーク配置エンティティで検出される。
次に、ブロック124で示すように、移動局のロケーション判断を容易にするのに利用可能なネットワーク取得可能情報を問い合わせるために、パケットフォーマット問合せが作成される。
【0040】
その後、ブロック128で示すように、ネットワークで作成された応答メッセージの検出が移動局で行われる。応答メッセージは、移動局のロケーション判断を容易にするのに利用可能なネットワーク取得可能情報を問い合わせるためのネットワークでのパケットフォーマット問合せに応答して得られた情報を含む。更に、ブロック132で示すように、この情報は、ロケーションベースサービスに従って移動局のロケーションを判断するために使用される。
以上の説明は、本発明を実施するための好ましい実施例の説明であり、本発明の範囲は、必ずしもこの説明によって限定されるべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態が作動可能である例示的なパケット無線通信システムの機能的ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の動作に従って図1に示すパケット無線通信システムの作動中に作成される例示的な信号方式を示すメッセージシーケンス図である。
【図3】本発明の実施形態の動作に従う図1に示すパケット無線通信システムの例示的な作動を同じく表す別のメッセージ信号図である。
【図4】本発明の実施形態の動作方法を列挙する方法流れ図である。
【符号の説明】
【0042】
10 パケット無線通信システム
12 ターゲット移動局
14 インターネット
16 セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロケーションベースサービスに従って移動局のロケーション判断を容易にするための、パケット無線通信ネットワークのための装置であって、
移動局のロケーション判断を容易にするのに利用可能なネットワーク取得可能情報を問い合わせるためのパケットフォーマット問合せを作成するように選択的に作動可能なネットワーク配置エンティティ、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ネットワーク配置エンティティは、更に、前記移動局への配信のために、前記パケットフォーマット問合せの作成に応答して得られた情報を含む応答メッセージを作成するように選択的に作動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ネットワーク配置エンティティは、移動局の前記ロケーションベースサービスの開始に応答して前記パケットフォーマット問合せを作成するように作動することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ネットワーク配置エンティティは、ネットワークの前記ロケーションベースサービスの開始に応答して前記パケットフォーマット問合せを作成するように作動することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記無線通信ネットワークは、前記移動局に関連するホームネットワークを含み、
前記該ネットワーク配置エンティティは、前記ホームネットワークで組み入れられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記無線通信ネットワークは、訪れたネットワークを更に含み、
前記移動局は、前記ネットワーク配置エンティティが前記パケットフォーマット問合せを作成する時に、前記訪れたネットワークと通信接続するように位置決めされる、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ネットワーク取得可能情報は、位置判断エンティティで取得され、
前記ネットワーク配置エンティティによって作成された前記パケットフォーマット問合せは、前記ネットワーク取得可能情報に関して前記位置判断エンティティに問合せする、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記パケットフォーマット問合せは、前記移動局が関連付けられたネットワーク識別子を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ネットワーク配置エンティティによって作成された前記パケットフォーマット問合せは、前記移動局が関連付けられたシステム識別子を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ネットワーク配置エンティティは、更に、前記パケットフォーマット問合せに対する応答を検出するように選択的に作動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
ロケーションベースサービスに従って移動局のロケーション判断を容易にする方法であって、
ロケーションベースサービスを開始するための要求をネットワーク配置エンティティにおいて検出し、
前記検出する作動中の検出に応答して、移動局のロケーション判断を容易にするのに利用可能なネットワーク取得可能情報を問い合わせるためのパケットフォーマット問合せを作成する、
作動を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記ネットワーク取得可能情報が利用可能なネットワークロケーションに前記パケットフォーマット問合せを送る作動を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パケットフォーマット問合せに対する回答を検出する、前記ネットワーク配置エンティティでの作動を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記検出する作動中に検出された前記回答に包含された情報を含む、前記移動局への配信のための応答メッセージを前記ネットワーク配置エンティティで作成する作動を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検出する作動中に検出された前記要求は、前記移動局によって行われたものであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記検出する作動中に検出された前記要求は、ネットワークで作成されたものであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記作成する作動中に作成された前記パケットフォーマット問合せは、前記移動局が関連付けられたネットワーク識別子を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記作成する作動中に作成された前記パケットフォーマット問合せは、前記移動局が関連付けられたシステム識別子を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
ネットワークを有するパケット無線通信システムで作動可能な移動局のための、ロケーションベースサービスに従って該移動局のロケーション判断を容易にするための装置であって、
移動局において組み入れられ、該移動局に配信されたネットワーク作成の応答メッセージを検出するための検出器、
を含み、
前記応答メッセージは、前記移動局のロケーション判断を容易にするのに利用可能なネットワーク取得可能情報を問い合わせるための前記ネットワークでのパケットフォーマット問合せに応答して得られた情報を含む、
ことを特徴とする装置。
【請求項20】
ロケーションベースサービスに従って、ネットワークを有するパケット無線通信システムにおいて作動可能な移動局のロケーション判断を容易にする方法であって、
移動局のロケーション判断を容易にするのに利用可能なネットワーク取得可能情報を問い合わせるためのネットワークでのパケットフォーマット問合せに応答して得られた情報を含む、該移動局に配信されたネットワーク作成の応答メッセージを検出し、
前記検出する作動中に検出された前記応答メッセージに包含された前記情報を使用して、ロケーションベースサービスに従って前記移動局のロケーションを判断する、
作動を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503774(P2007−503774A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524776(P2006−524776)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/027368
【国際公開番号】WO2005/034362
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】