説明

ロック制御装置、及び荷室ロック解除システム

【課題】ユーザーが意図したときにだけロックを自動解除できる使い勝手の良いロック制御装置を提供する。
【解決手段】車両9の停車を検出する停車検出手段29を備え、少なくとも前記車両9が停車していることを条件に、前記車両9が備える車両部品のロックを解除するロック制御装置7において、前記車両9の現在位置を検出する位置検出手段19と、前記ロックを解除する車両停車位置47を予め登録する登録手段25と、を備え、前記停車検出手段29および前記位置検出手段19の検出結果と、前記登録手段25に予め登録された車両停車位置47とに基づいて、当該車両停車位置47での車両9の停車が検出された場合に、前記ロックを解除する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能な車両部品のロック機構の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両のドアに、ロック機構を操作するチャイルドロックスイッチを設け、このチャイルドロックスイッチを切り替えることにより、ドアの内側からの開放操作の有効/無効を切り替え可能にしたチャイルドロックシステムが知られている。
この種のチャイルドロックシステムでは、チャイルドロックスイッチを、ドアが開けられたときに露出してアクセス可能になる位置に設けるのが一般的である。しかしながら、チャイルドロックの切り替え操作のたびに、ドアを開けて切り替え操作する必要があり、操作が煩雑であるという問題がある。
そこで、チャイルドロックを自動解除する技術として、従来、車両が停止した場合に、イグニッションキーが抜かれていること、集中ドアロックがアンロックであること、及び運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアが開状態であることのいずれかを条件に、チャイルドロックを自動解除する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−144418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、イグニッションキーが抜かれないと、チャイルドロックが自動解除されないので、意図したときにチャイルドロックを素早く解除できないという問題がある。
また、前部座席のドアロック解除操作、または、前部座席のサイドドアの開放操作をしただけでチャイルドロックが自動解除されてしまうので、ユーザーが意図しない場合にも、チャイルドロックが解除されてしまうという問題がある。
なお、このようなユーザーの意図せぬロック解除に係る問題は、チャイルドロック装置だけではなく、フューエルリッドやバックドアや荷物室の扉などの開閉可能な車両部品のロック装置に共通するものである。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ユーザーが意図したときにだけロックを自動解除できる使い勝手の良いロック制御装置、及び荷室ロック解除システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車両の停車を検出する停車検出手段を備え、少なくとも前記車両が停車していることを条件に、前記車両が備える車両部品のロックを解除するロック制御装置において、前記車両の現在位置を検出する位置検出手段と、前記ロックを解除する車両停車位置を予め登録する登録手段と、を備え、前記停車検出手段および前記位置検出手段の検出結果と、前記登録手段に予め登録された車両停車位置とに基づいて、当該車両停車位置での車両の停車が検出された場合に、前記ロックを解除することを特徴とする。
【0007】
前記車両停車位置での車両の停車が検出された場合に、前記車両の外側にドアを開放できるスペースがないときには、前記ドアのロックの解除を禁止しても良い。
前記車両停車位置での車両の停車が検出された場合に、前記ドアが自重で開く傾斜、又は/及びドアをあおる風があるときには、前記ドアのロックの解除を禁止しても良い。
前記車両停車位置での車両の停車が検出された場合に、前記車両の周囲の温度に応じて、前記ドアのロックの解除を禁止しても良い。
【0008】
また、本発明は、複数の配送先を巡回する配送車両に搭載され、前記配送車両の荷室扉のロックを解除するロック制御装置と、前記配送車両に搭載された前記ロック制御装置と通信可能に構成され、前記配送車両の配送先の位置を記憶するサーバと、を備え、前記ロック制御装置は、前記配送車両の停車を検出する停車検出手段と、前記配送車両の現在位置を検出する位置検出手段と、を有し、前記停車検出手段によって前記配送車両の停車が検出された場合、前記位置検出手段によって検出された現在位置が、前記サーバに記憶されている配送先の位置と一致しているときに、前記荷室扉のロックを解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、予め登録されたロック解除位置で車両が停車した場合にだけ、ロックが解除されるので、ユーザーの意図せぬロック解除を防止しつつ、意図したときにだけ自動解除でき、使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係るロック制御装置を備えたチャイルドロックシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る登録地点および解除エリアの登録例を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るロック解除処理のフローチャートである。
【図4】第2実施形態に係るロック制御装置を備えた荷室ロック解除システムの構成を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態に係るロック解除処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明に係るロック制御装置の一態様として、自動車の後席サイドドアのチャイルドロックシステムに適用されるロック制御装置を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るロック制御装置を備えたチャイルドロックシステムの機能的構成を示す図である。
図1に示すように、チャイルドロックシステム1は、車両9に設けられ、ドアロック機構3と、操作レバー5と、ロック制御装置7とを備えている。
【0013】
ドアロック機構3は、後席サイドドア2(以下、ドア2と記載する)の開放を防止するものであり、例えばラッチ11とラッチを動作させるアクチュエータ13とを備えている。操作レバー5はドアロック機構3を動作させてドア2を開放するための操作子であり、ドア2の内側に設けられている。
ロック制御装置7は、ドア2の操作レバー5によるドア2の開放操作を有効または無効とするものである。すなわち、ロック制御装置7は、ドアロック機構3を、操作レバー5の操作ではドア2を開けることができないチャイルドロック状態と、操作レバー5の操作でドア2を開けることができるチャイルドロック解除状態とのいずれか一方の状態に制御する。
【0014】
本実施形態では、ユーザーが意図しないときにはチャイルドロック状態を維持する一方で、意図したときにはチャイルドロックを自動解除して使い勝手を向上できるように、ロック制御装置7は、ユーザーが予め登録した場所で車両9が停車したときにチャイルドロックを解除する構成となっている。
すなわち、ロック制御装置7は、制御部15と、車速検出部17と、位置検出部19と、表示部23と、記憶部25と、操作部27と、を備えている。
【0015】
制御部15は、ロック制御装置7の各部を中枢的に制御するものであり、図示しないCPU、ROM、RAM等を備えて構成されている。車速検出部17は、車両9の車速センサ29から得られる車速パルスに基づいて、車両9の走行速度を算出し、制御部15に出力する。位置検出部19は、GPS電波に基づいて、自装置の位置を計算して制御部15に出力するものであり、GPS電波を受信するGPSアンテナ31およびGPS受信機33を備えている。表示部23は、制御部15の制御の下、各種の情報を表示するものであり、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro Luminescent)ディスプレイ等のディスプレイ装置を備えている。この表示部23は例えば、ロック制御装置7がナビゲーション機能を備えている場合には、当該ナビゲーションのための地図や自車位置を表示する。
【0016】
記憶部25は、地図データなどの各種データを記憶するものであり、例えばHDD装置を備えている。さらに、本実施形態では、記憶部25には、チャイルドロックを解除する車両停車位置である解除エリア47(図2参照)が予め登録された登録データ48が格納されている。解除エリア47は、ユーザーにより予め登録された登録地点45(図2参照)から所定距離内のエリアとして規定される。この所定距離はユーザーが設定することが可能となっている。
【0017】
また、本実施形態では、記憶部25は、ユーザーがドア2の開放を意図する場所でチャイルドロックが自動解除されるように、所望の位置を解除エリア47として予め登録可能となっている。例えば、日常的に子供の送り迎えに使用される自家用車においては、図2Aに示すように、自宅を登録地点45a、幼稚園や学校などの教育施設を登録地点45bとして登録可能となっている。また、上記所定距離を例えば5mと設定することにより、自宅から半径5m以内のエリアを解除エリア47a、教育施設から半径5m以内のエリアを解除エリア47bとして登録可能となっている。なお、良く利用するスーパーマーケット等の施設を登録地点45または解除エリア47として登録しても良い。そして、解除エリア47a、47b以外のエリアであって、送り迎えの移動中に通過するエリアは、チャイルドロックが解除されることが無い制限エリア49として規定される。
【0018】
また、本実施形態では、記憶部25は、ユーザーがドア2の開放を意図しない場所ではチャイルドロック状態が維持されるように、ドア2が開閉されても良い場所だけを、解除エリア47として登録可能となっている。例えば、警らに使用される警察車両においては、図2Bに示すように、警察署を登録地点45c、交番や拘置所などの警察関連施設を登録地点45dとして登録可能となっている。また、例えば上記所定距離を5mと設定することにより、警察署から半径5m以内のエリアを解除エリア47c、警察関連施設から半径5m以内のエリアを解除エリア47dとして登録可能となっている。そして、解除エリア47c、47d以外のエリアであって、警ら中に通過するエリアは、チャイルドロックが解除されることが無い制限エリア49として規定される。
【0019】
図1に戻り、操作部27は、ユーザーの操作を受け付けて操作信号を制御部15に出力するものであり、例えばタッチパネルやスイッチ等の操作子を備えている。本実施形態では、操作部27は、登録地点45の登録操作や、解除エリア47を規定するための所定距離の設定操作を受け付けて、この登録操作に応じた操作信号を制御部15に出力する。
本実施形態では、制御部15は、車速検出部17から入力される車両9の車速に基づいて、車両9が停車しているか否かを判定する。また、制御部15は、位置検出部19から入力される車両9の現在位置と、記憶部25が記憶する解除エリア47の位置情報とに基づいて、車両9の現在位置が解除エリア47内であるか否かを判定する。そして、制御部15は、車両9が停車していると判定し、車両9の現在位置が解除エリア47内であると判定した場合に、チャイルドロックを解除する。
【0020】
ところで、本実施形態では、解除エリア47での車両9の停車が検出された場合、チャイルドロックが自動解除される。
したがって、ドア2の外側にドア2を開けるスペースが無い場合、ドア2が自重で開いてしまうほど車両9が傾いている場合、ドア2があおられて開いてしまうほど風が強い場合、路面が凍結している場合など、ドア2を開けると不都合な場合にも、後席の乗員がドア2を開けてしまう虞がある。
そこで、本実施形態では、ドア2を開けるスペースが無いとき、車両9の傾斜が大きいとき、強風のとき、および路面凍結時にはドア2の開放を防止するために、ドア2の外側のスペース、車両9の傾斜角度、車両9の周囲の風速、および車両9の周囲の温度に応じてロック解除を禁止する構成となっている。
【0021】
すなわち、ロック制御装置7は、上述した構成に加え、車両データ処理部21を備えている。車両データ処理部21は、車両9の車載カメラ35から得られる車両9の周囲の画像データ、または車両9のソナー37から得られる反射波に基づいて、ドア2の外側のスペースすなわちドア2からドア2の外側の障害物までの距離を算出し、制御部15に出力する。また、車両データ処理部21は、車両9の傾斜センサ39から得られる信号に基づいて、車両9の傾斜角度を算出し、制御部15に出力する。また、車両データ処理部21は、車両9の風速センサ41から得られる信号に基づいて車両9の周囲の風速を算出して制御部15に出力する。さらに、車両データ処理部21は、車両9の温度センサ43から得られる信号に基づいて車両9の周囲の温度を算出して制御部15に出力する。なお、この車両データ処理部21の機能を、制御部15が備えていても良い。
【0022】
制御部15は、車両データ処理部21から入力されるドア2からドア2の外側の障害物までの距離に基づいて、ドア2の外側にドア2を開放できるスペースがあるか否かを判定する。この判定のしきい値は、例えばドア2の車両前後方向の長さである。また、制御部15は、車両データ処理部21から入力される車両9の傾斜角度に基づいて、ドア2が開く傾斜が検出されているか否かを判定する。この判定のしきい値は、例えばラッチ11が解除されただけでドア2が開いてしまう傾斜角度の最小値である。また、制御部15は、車両データ処理部21から入力される車両9の周囲の風速に基づいて、ドア2が開く風速が検出されているか否かを判定する。この判定のしきい値は、例えばラッチ11が解除されただけでドア2が開いてしまう風速の最小値である。さらに、制御部15は、車両データ処理部21から入力される車両9の周囲の温度に基づいて、車両9の周囲の温度が、所定の温度範囲内であるか否かを判定する。この所定の温度範囲とは、例えば路面が凍結しない温度範囲や、素足が路面に接触しても火傷しない温度範囲である。
そして、制御部15は、上述したドア2の外側のスペースに係る判定、車両9の傾斜に係る判定、車両9の周囲の風速に係る判定、および車両9の周囲の温度に係る判定の判定結果に応じて、チャイルドロックの解除を禁止する。
【0023】
かかる構成の下、ロック制御装置7の制御部15は、ロック制御装置7の電源が投入された場合、チャイルドロックを解除するためのチャイルドロック解除処理を開始する。このチャイルドロック解除処理について、図3を参照して詳細に説明する。
【0024】
図3に示すように、制御部15は、まず、車速検出部17の検出結果に基づいて車両9が停車しているかを判定する(ステップS1)。車両9が停車している場合には(ステップS1:Yes)、制御部15は、位置検出部19の検出結果と、記憶部25に予め登録された解除エリア47の位置情報とに基づいて、車両9の現在位置が、解除エリア47内であるか否かを判定する(ステップS2)。解除エリア47内である場合には(ステップS2:Yes)、制御部15は、車両データ処理部21の検出結果に基づいて、ドア2の外側にドア2を開放できるスペースがあり、かつ、ドア2が開く傾斜角度が検出されず、かつ、ドア2が開く風速が検出されず、かつ、車両9の周囲の温度が所定の温度範囲内である否かを判定する(ステップS3)。
【0025】
ドア2の外側にドア2を開放できるスペースがあり、かつ、ドア2が開く傾斜角度が検出されず、かつ、ドア2が開く風速が検出されず、かつ、車両9の周囲の温度が所定の温度範囲内である場合には、(ステップS3:Yes)ドアロック機構3をチャイルドロック解除状態に移行させ、(ステップS4)、本処理を終了する。
一方、車両9が走行中である場合(ステップS1:No)、車両9の現在位置が解除エリア47外である場合(ステップS3:No)、ドア2の外側にドア2を開放できるスペースが無い、または、ドア2が開く傾斜角度が検出されている、または、ドア2が開く風速が検出されている、または、車両9の周囲の温度が所定の温度範囲外である、場合には(ステップS3:No)、制御部15はドアロック機構3をチャイルドロック状態に維持してチャイルドロックの解除を禁止し、処理手順をステップS1に戻す。
【0026】
これにより、ユーザーが予め登録した解除エリア47で車両9が停車したときにチャイルドロックが解除されるため、ユーザーが意図しないときにはチャイルドロック状態を維持する一方で、意図したときにはチャイルドロックを自動解除して使い勝手を向上できる。さらに、ドア2を開けるスペースが無いとき、または、車両9の傾斜が大きいとき、強風のとき、または、車両9の周囲の温度が所定の温度範囲外であるときには、チャイルドロックの解除が禁止されるため、ドア2を開けると不都合な場合のドア2の開放を防止することができる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば、予め登録された解除エリア47で車両9が停車した場合にだけ、チャイルドロックが解除されるので、ユーザーの意図せぬチャイルドロック解除を防止しつつ、意図したときにだけ自動解除でき、使い勝手が向上する。
【0028】
すなわち、本実施形態では、ユーザーがドア2の開放を意図する場所すべてを、解除エリア47として記憶部25に予め登録可能となっており、解除エリア47内では車両9の停車等を条件としてチャイルドロックが自動解除される。このため、例えば日常的に子供の送り迎えに使用される自家用車において、自宅周辺および教育施設周辺を解除エリア47a、47bとして予め登録した場合、解除エリア47a、47bでは、車両9の停車等を条件としてチャイルドロックが自動解除されるので、送り迎えにおいて子供を乗り降りさせるときに、チャイルドロック解除のための特別な操作が必要ない。また、この場合、自宅周辺や教育施設周辺などの安全な場所でだけチャイルドロックが解除されるので、安全性を確保できる。さらに、予め登録された場所でだけチャイルドロックが解除されるので、子供の所在が分からなくなってもすぐに見つけることができる。
【0029】
また、本実施形態では、ドア2が開閉されても良い場所だけを、解除エリア47として記憶部25に予め登録可能となっており、解除エリア47以外の制限エリア49では、チャイルドロック状態が維持されるので、ユーザーが意図せぬロック解除を防止することができる。例えば警らに使用される警察車両において、警察署周辺および警察関連施設周辺を解除エリア47c、47dとして予め登録した場合、解除エリア47cまたは解除エリア47dで停車しない限りチャイルドロック状態が維持されるので、警ら中に職務質問対象者を後席に乗せた場合に、ユーザーが意図せぬロック解除を防止して職務質問対象者の逃走を防止することができる。また、警察署や警察関連施設など、警察官が頻繁に乗り降りする場所では、車両9の停車等を条件としてチャイルドロックが自動解除されるので、乗り降りの利便性を確保できる。
【0030】
また、本実施形態では、ドア2の外側にドア2を開放できるスペースが無い場合には、チャイルドロックが解除されないので、乗員が不注意にドア2を開放して、障害物や、自車両9に隣接する他車両にドア2をぶつけることを防止できる。
また、本実施形態では、ドア2が開く傾斜角度が検出されている場合には、チャイルドロックが解除されないので、傾斜によりドア2が自重で開くことを防止して、乗員の安全を確保することができる。
【0031】
また、本実施形態では、ドア2が開く風速が検出されている場合には、チャイルドロックの解除が禁止されるので、風によりドア2があおられて開くことを防止して、乗員の安全を確保することができる。
また、本実施形態では、車両9の周囲の温度が所定の温度範囲内ではない場合には、チャイルドロックの解除が禁止されるので、路面凍結時に乗員が不注意に降車して転倒したり、路面が熱いときに素足を路面に接触させて火傷したりすることを防止できる。
【0032】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。
例えば、上述した実施の形態では、車両9の停車を検出する停車検出手段として車速センサ29を用いる構成としたが、停車検出手段はこれに限定されず、パーキングブレーキの状態を検出するパーキングブレーキセンサや、イグニッションキーの位置を検出するイグニッションキーセンサを用いても良い。
【0033】
また、上述した実施の形態では、ロック制御装置7がドア2のドアロック機構3をチャイルドロック状態またはチャイルドロック解除状態に制御する構成を例示したが、ロック制御装置7の制御対象はドアロック機構3に限定されず、燃料タンクに接続された燃料供給口を覆うためのフューエルリッドや、ハイブリッド車や電気自動車などの車両が備える電池の充電用端子を覆うカバーなどの蓋部材をロックする蓋部材ロック機構であっても良い。この構成によれば、ガソリンスタンドや充電スタンドだけを解除エリア47として記憶部25に予め登録した場合、ガソリンスタンドや充電スタンドで停車したときにだけ、蓋部材のロックが解除され、ガソリンスタンドや充電スタンド以外の場所では、蓋部材のロックが解除されない。したがって、駐車場などにおける燃料や電気の盗難を防止できる。
【0034】
<第2実施形態>
第1実施形態では、自家用車や警察車両などの車両9のチャイルドロックシステム1に適用されるロック制御装置において、ユーザーが予め登録した解除エリア47内で、車両9が停車した場合にだけチャイルドロックを解除することで、ユーザーが意図したときにだけロックを自動解除できるようにして使い勝手を向上させた構成を例示した。
これに対して、本実施形態では、複数の配送先を巡回する配送車両109の荷室扉102のロックを解除する荷室ロック解除システム100に適用されるロック制御装置107の使い勝手を向上させるために、以下に示すような構成とした。
【0035】
図4は、本実施の形態に係るロック制御装置を適用した荷室ロック解除システムの機能的構成を示す図である。なお、図4において、第1実施形態で説明した部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態では、ロック制御装置107が制御部15および車速検出部17を備え、配送車両109の停車が検出された場合にだけロックを解除可能とする点で第1実施形態と共通する。
【0036】
一方で、本実施形態では、配送車両109に設けられたロック制御装置107が、基地局120と無線通信する無線通信部111を備え、基地局120およびインターネット130を介してサーバ140との間で各種情報を送受信する点、およびロック制御装置107が、配送車両109の荷室扉102のロックを解除する解除エリア47の位置情報をサーバ140から取得し、この解除エリア47での配送車両109の停車が検出された場合にだけ荷室扉102のロックを解除する点で第1実施形態と大きく構成を異にする。
【0037】
以下に荷室ロック解除システム100について詳細に説明する。
荷室ロック解除システム100は、複数の配送先を巡回する配送車両109に搭載された荷室扉ロック機構103、操作レバー105、およびロック制御装置107と、基地局120と、インターネット130に接続されたサーバ140と、車両キー150とを含んで構成されている。荷室扉ロック機構103は、荷室扉102の開放を防止するものである。操作レバー105は荷室扉ロック機構103を動作させて荷室扉102を開放するための操作子であり、例えば荷室扉102の外側に設けられている。
【0038】
ロック制御装置107は、配送車両109の荷室扉102のロックを解除するものである。より詳細には、操作レバー105による荷室扉102の開放操作を有効または無効とするものであり、制御部15と、車速検出部17と、位置検出部19と、無線通信部111とを備えている。無線通信部111は、制御部15の制御の下、無線信号を生成し、この無線信号を基地局120に送信するとともに、基地局120から受信した無線信号に基づいて、受信データを生成し、この受信データを制御部15に出力する。また、無線通信部111は、後述する車両キー150からの無線信号に基づいて、車両キー150との通信が成立したことを示す信号を制御部15に出力する。
【0039】
基地局120は、インターネット130を介してサーバ140に接続され、ロック制御装置107から受信した無線信号に基づいて、受信データを生成し、この受信データをサーバ140に出力するとともに、サーバ140の制御の下、無線信号を生成し、この無線信号をロック制御装置107に送信する。サーバ140は、配送車両109の配送先の位置すなわち解除エリア47を記憶するサーバ記憶部141を備えている。
【0040】
すなわち、配送車両109のロック制御装置107と、サーバ140とは、基地局120およびインターネット130を介して、相互に通信可能に構成されている。
車両キー150は、所定半径内に限定された通信エリアを有する発信器151を備え、ロック制御装置107が上記通信エリア内に存在するときにだけ、ロック制御装置107と直接無線通信する。
なお、ロック制御装置107は、車両データ処理部21と、表示部23と、記憶部25と、操作部27と、を備えていても良い。
以上の構成の下、ロック制御装置107の制御部15は、ロック制御装置107の電源が投入された場合、ロック解除処理を開始する。このロック解除処理を図5を参照して説明する。
【0041】
ロック制御装置107の制御部15は、まず、無線通信部111、基地局120、およびインターネット130を介してサーバ140と通信し、サーバ140から配送車両109の解除エリア47の位置情報を取得する(ステップ101)。
次に、制御部15は、車速検出部17の検出結果に基づいて配送車両109が停車しているかを判定し(ステップS102)、停車している場合には(ステップS102:Yes)、位置検出部19の検出結果と、サーバ140から取得した解除エリア47の位置情報とに基づいて、配送車両109の現在位置が、解除エリア47内であるか否かを判定する(ステップS103)。そして、配送車両109の現在位置が、解除エリア47内である場合には(ステップS103:Yes)、荷室扉ロック機構103をロック解除状態に移行させ、(ステップS104)、本処理を終了する。
一方、配送車両109が走行中である場合(ステップS102:No)、配送車両109の現在位置が解除エリア47外である場合には(ステップS103:No)、処理手順をステップS1に戻す。
また、上述したロック解除処理により荷室扉102のロックが解除された場合、制御部15は、車両キー150との通信が成立しているか否かを判定する。そして車両キー150との通信が成立している場合には、この判定処理を繰り返す。
一方、車両キー150との通信が成立しなくなった場合には、荷室扉ロック機構103をロック状態に移行させ、処理を終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、配送車両109の配送先の位置である解除エリア47の位置情報をサーバ140から取得し、配送車両109の停車が検出された場合には、位置検出部19によって検出された配送車両109の現在位置が、サーバ140から取得した解除エリア47の位置と一致しているときにだけ、荷室扉102のロックが解除されるので、例えば配送先が多数である場合や、配送の度に配送先が変化する場合などにも、誤配送を確実に防止できる。
また、本実施形態では、車両キー150とロック解除装置107との通信が成立しなくなった場合、すなわち車両キー150の通信エリア内にロック解除装置107が存在しない場合には荷室扉102がロックされる。これにより、例えば荷物の配達時など、ドライバーが荷下ろしした後、車両キー150を持って配送車両109から所定距離以上離れるだけで、荷室扉102が自動的にロックされるので、使い勝手を向上させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 チャイルドロックシステム
2 ドア
3 ドアロック機構
5、105 操作レバー
7、107 ロック制御装置
9 車両
15 制御部
19 位置検出部(位置検出手段)
21 車両データ処理部
25 記憶部(登録手段)
29 車速センサ(停車検出手段)
35 車載カメラ(スペース検出手段)
37 ソナー(スペース検出手段)
39 傾斜センサ(傾斜検出手段)
41 風力センサ(風検出手段)
43 温度センサ(温度検出手段)
47 解除エリア(車両停車位置)
100 荷室ロック解除システム
102 荷室扉
103 荷室扉ロック機構
109 配送車両
111 無線通信部
140 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の停車を検出する停車検出手段を備え、少なくとも前記車両が停車していることを条件に、前記車両が備える車両部品のロックを解除するロック制御装置において、
前記車両の現在位置を検出する位置検出手段と、前記ロックを解除する車両停車位置を予め登録する登録手段と、を備え、前記停車検出手段および前記位置検出手段の検出結果と、前記登録手段に予め登録された車両停車位置とに基づいて、当該車両停車位置での車両の停車が検出された場合に、前記ロックを解除することを特徴とするロック制御装置。
【請求項2】
前記車両停車位置での車両の停車が検出された場合に、前記車両の外側にドアを開放できるスペースがないときには、前記ドアのロックの解除を禁止することを特徴とする請求項1に記載のロック制御装置。
【請求項3】
前記車両停車位置での車両の停車が検出された場合に、前記ドアが自重で開く傾斜、又は/及びドアをあおる風があるときには、前記ドアのロックの解除を禁止することを特徴とする請求項2に記載のロック制御装置。
【請求項4】
前記車両停車位置での車両の停車が検出された場合に、前記車両の周囲の温度に応じて、前記ドアのロックの解除を禁止することを特徴とする請求項2または3に記載のロック制御装置。
【請求項5】
複数の配送先を巡回する配送車両に搭載され、前記配送車両の荷室扉のロックを解除するロック制御装置と、
前記配送車両に搭載された前記ロック制御装置と通信可能に構成され、前記配送車両の配送先の位置を記憶するサーバと、を備え、
前記ロック制御装置は、
前記配送車両の停車を検出する停車検出手段と、
前記配送車両の現在位置を検出する位置検出手段と、を有し、
前記停車検出手段によって前記配送車両の停車が検出された場合、前記位置検出手段によって検出された現在位置が、前記サーバに記憶されている配送先の位置と一致しているときに、前記荷室扉のロックを解除する
ことを特徴とする荷室ロック解除システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−215041(P2012−215041A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81841(P2011−81841)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】