ロボットのアーム回動範囲変更制御装置
【課題】ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパの可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制でき、さらに、複数の可動制御範囲区域をアームの所定可動範囲内に確実に設定できるようにする。
【解決手段】ユーザーが複数の可動制御範囲区域のいずれかを設定すると、制御部9は、該可動制御範囲区域に対応する前記可動範囲区域において設定された2つの物理ストッパ中間角度値Kc[deg]を求め、物理被ストッパの現在位置の角度値をX[deg]とし、アームの移動角度をQ[deg]としたとき、QをQ=Kc−Xなる式で求め、Q>0のときには、アームを、他方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、アームを、一方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行う。
【解決手段】ユーザーが複数の可動制御範囲区域のいずれかを設定すると、制御部9は、該可動制御範囲区域に対応する前記可動範囲区域において設定された2つの物理ストッパ中間角度値Kc[deg]を求め、物理被ストッパの現在位置の角度値をX[deg]とし、アームの移動角度をQ[deg]としたとき、QをQ=Kc−Xなる式で求め、Q>0のときには、アームを、他方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、アームを、一方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理ストッパをストッパ配置部に選択的に装着することによりアームの可動範囲区域を複数の区域に変化させるようにしたロボットのアーム可動範囲変更制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットにおいては、ストッパによりロボットのアームの可動範囲を制限する技術は知られている。ところで、最近では、ロボット動作の多様化を図るためにアームの動作範囲を適宜変更したいという要望がある。この場合、前記ストッパの位置を変更して前記アームの可動範囲を適宜変更することが考えられる。特許文献1に示された技術には、ストッパの位置を変更することで可動体の可動範囲を拡張・縮小する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2006−62482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に示された技術は、船の操作レバーの可動範囲を拡張・縮小するだけの技術であり、ロボットのアームのストッパには適用できないものであった。すなわち、ロボットにおいては、ストッパ自身を大きく位置換えすることによりアームの可動範囲の区域を複数区域に変更可能とすることが望まれており、この場合、アームを駆動源により実際に駆動する場合には、ソフト制御上は、複数の可動範囲区域の個々に対して、アームがストッパに衝突する手前で止める可動制御範囲区域をそれぞれ設けることになる。このとき、任意のソフト制御による可動制御範囲を設定した場合、当該設定可動制御範囲に対して、ストッパ位置を間違えると、つまりストッパによる可動範囲を間違えると、アームがストッパに衝突して調整ずれが発生してしまうおそれがある。
【0004】
これに対して、特許文献1の技術は、操作レバーがストッパに衝突して調整ずれが起きてもあまり精度を必要としない船用のストッパ装置であり、しかも単にストッパの可動範囲を変更する技術しか開示されていないので、当該技術は、ストッパ(物理ストッパ)の位置を変更するときにアームの可動範囲区域とアームの可動制御範囲区域との間違えを防止する必要があるロボットに転用するには不十分である。
【0005】
特に、ロボットでは、アームの可動範囲が有限である場合には、任意のアームの可動制御範囲区域から次の任意のアームの可動制御範囲区域へアームを移動させるときにその移動の仕方によっては、アームの可動範囲内に、アームの可動制御範囲区域が納まらず、アームが所定の可動制御範囲区域を動作できないという問題が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ストッパ位置を変更できるものにおいて、ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパの可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制でき、さらに、任意のアームの可動制御範囲区域から次の任意のアームの可動制御範囲区域へアームを移動させるときに、次のアームの可動制御範囲区域が確実にアームの所定可動範囲内に位置するようにアームを移動できるロボットのアーム可動範囲変更制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、アームの可動範囲区域が複数あって、しかもアームの可動範囲が有限の所定可動範囲である場合に、前記所定可動範囲の中間角度を原点に設定し、この原点からアームの一方の回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲の最小角度値とし、前記原点からアームの他方の回転方向の回転限度角度を最大角度値とし、前記各可動範囲区域のうち、一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を前記原点の角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値とし、一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を前記原点の角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に対して該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した角度をプラスした角度値とし、一方の物理ストッパが前記原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した位置にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に対して該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した角度をプラスした角度値とすることで、ロボットにおけるアームの回転の角度値と制御の角度値とが一致し、アームの回転方向もそのまま動作させれば自動で新しい物理ストッパでの動作範囲を所定可動範囲内に設定できるようにアームが目的角度値に移動でき、従って、任意のアームの可動制御範囲区域から次の任意のアームの可動制御範囲区域へアームを移動させるときに、次のアームの可動制御範囲区域が確実にアームの所定可動範囲内に位置するようにアームを移動できる。
【0008】
さらに請求項1の発明によれば、ユーザーが複数の選択肢の可動制御範囲区域のいずれかを設定すると、制御手段が、該可動制御範囲区域に対応する前記可動範囲区域において前記設定された2つの物理ストッパ中間角度値Kc[deg]を求め、物理被ストッパの現在位置の角度値をX[deg]とし、アームの移動角度をQ[deg]としたとき、Qを
Q=Kc−X
なる式で求め、Q>0のときには、前記アームを、前記他方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記アームを、前記一方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行うから、アームが2つの物理ストッパの可動範囲区域の中間位置を示すことができる。この中間位置をもつ可動範囲区域には、当該中間位置を頂角の頂点とし且つ該可動範囲区域両端地点を2つを底角の頂点とする二等辺三角形がアーム回転軌跡内に仮想的に形成される。従って、この中間位置が頂角の頂点となる二等辺三角形が形成されることさえ覚えておけば、この中間位置から可動範囲区域両端地点すなわち物理ストッパ設置位置を容易に判断することができ、すなわち、中間位置を示す該アームにより物理ストッパの位置を簡単に示唆することができ、ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパの可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制できる。
【0009】
又、請求項2の発明によれば、アームの所定可動範囲における該アームの一方の回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲の最小角度値として他方の回転方向へアームの回転に応じて増加する角度値とするように該所定可動範囲を特定し、この所定可動範囲の中に複数の可動範囲区域を該所定可動範囲の角度値で設定し、且つ複数の可動範囲区域の中間位置を前記所定可動範囲の角度値で設定し、これら所定可動範囲の角度値及び各可動範囲区域の角度値及び各可動範囲区域の中間位置の角度値を記憶部に記憶させておくから、アームの所定可動範囲に対して、複数のアームの可動範囲区域を、当該所定可動範囲からはみ出すことなく適正に記憶させておくことができる。従って、任意のアームの可動制御範囲区域から次の任意のアームの可動制御範囲区域へアームを移動させるときに、次のアームの可動制御範囲区域が確実にアームの所定可動範囲内に位置するようにアームを移動できる。
【0010】
さらに請求項2の発明によれば、ユーザーが複数の選択肢の可動制御範囲区域のいずれかを設定すると、制御手段が、設定された可動制御範囲区域に対応する可動範囲区域の中間位置角度値を前記記憶部から読出し、この読み出した該可動範囲区域の中間位置角度値Kr[deg]と、アームの現在の角度値X[deg]とから、アームの移動先角度値Q[deg]を、
Q=Kr−X
なる式で求め、Q>0のときには、前記アームを、前記他方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記アームを、前記一方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行うから、アームが2つの物理ストッパの可動範囲区域の中間位置を示し、該アームにより物理ストッパの位置を簡単に示唆することができ、ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパの可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施例について図1ないし図10を参照して説明する。図2及び図3は、ロボット1の全体構成を概略的に示している。直線移動レール2には、その下面側に移動体2aが直線移動可能に支持されていると共に、その移動体2aを自在に移動させるための駆動機構が設けられている。詳しく図示はしないが、前記駆動機構は、直線移動レール2の一端部に配設されたモータ3や図示しないボールねじ機構などから構成されている。
【0012】
そして、図3に示すように、前記移動体2aの下面部にはアーム支持ベース4が連結され、前記アーム支持ベース4の下面に水平方向に延びるアームたる水平旋回アーム5が、その一端部である基端側が垂直軸J1を中心に旋回可能に取付けられている。この水平旋回アーム5の前記垂直軸J1とは反対側の端部である先端部(先端面)に昇降体6が上下動可能に取付けられ、この昇降体6の下面側に手首部7が垂直軸J2を中心に同軸回転可能に取付けられている。また、手首部7には、ワークを把持するためのチャック(ハンド)等の作業用ツールが着脱可能に取付けられるようになっている。
【0013】
この場合、図示はしないが、前記水平旋回アーム5は、アーム支持ベース4内に設けられた駆動源であるアーム回転用モータ8(図1参照)及び回転伝達機構により水平方向に有限回転(旋回)可能であり、例えば2回転(0°〜720°)で回転可能である。
前記昇降体6は、水平旋回アーム4に内蔵されたモータ及びラック−ピニオン機構によって水平旋回アーム5の先端にて上下移動され、前記手首部7は、昇降体6に内蔵されたモータによって同軸回転される。
【0014】
上記各ロボット1の動作(モータ3を含む各軸のモータ)は、夫々、ロボットコントローラの制御部9(図1に図示)により作業工程プログラム等に基づいて制御されるようになっている。この制御部9は、CPU、ROM、RAM、記憶手段たる不揮発性メモリなどを備えて構成されており、制御手段に相当する。
【0015】
この制御部9には図6に示すティーチングペンダント10が接続されており、このティーチングペンダント10には、スイッチ群11が設けられていると共に、表示手段たる表示部12が設けられており、この表示部12にはタッチパネルスイッチ13A、13B、14、15A、15B、16(図7参照)が形成される。前記スイッチ群11のうちの一つのスイッチ11aが可動制御範囲区域変更要求手段に相当する。また、前記タッチパネルスイッチ13Aが選択決定手段に相当する。なお、図6において、デッドマンスイッチを符号11bで示している。
【0016】
図4に示すように、前記水平旋回アーム5には、物理被ストッパ18が上向きに設けられている。この物理被ストッパ18は、水平旋回アーム5の回転中心と、該水平旋回アーム5の前記垂直軸J1とは反対側の端部である先端部(先端面)の昇降体6とを結ぶ線(仮想線)上に位置し、従って、該物理被ストッパ18は水平旋回アーム5の指向方向を示すことができる。
【0017】
また、図4及び図5に示すように、前記アーム支持ベース4には、相互に90度間隔の位置A、B、C、Dにストッパ配置部19、20、21、22が径方向へ突出する形態に形成されており、該ストッパ配置部19〜22の下面部に、物理ストッパ23、23を着脱可能なストッパ装着穴19a〜22aがそれぞれ形成されている。このストッパ配置部19〜22は、物理ストッパ23より多く設けられている。図4及び図5の状態では、ストッパ配置部19及び20に物理ストッパ23、23が装着された状態を示している。この物理ストッパ23、23は前記物理ストッパ18の回転範囲を制限することにより水平旋回アーム5の回転の可動範囲を所定の可動範囲区域に制限するものである。なお、図5においては、水平旋回アーム5の回転中心5cと物理被ストッパ18とを結ぶ線(仮想線)5Pは、水平旋回アーム5の位置(角度位置)を示している。
【0018】
前記水平旋回アーム5、ストッパ配置部19〜22、物理ストッパ23、23、制御部9、スイッチ11a、表示部12、タッチパネルスイッチ13Aによりロボットのアーム可動範囲変更制御装置1A(図1参照)が構成されている。
【0019】
ここで、前記水平旋回アーム5の可動範囲は、前述した有限の所定可動範囲Z(この実施例では例えば2回転)であり、その中間角度である360°を原点としている。前記ストッパ配置部19〜22に対する前記物理ストッパ23、23の配置(装着)位置の選択により、複数の可動範囲区域に変更可能であり、図9(a)〜(d)に示すように、可動範囲区域K1、可動範囲区域K2、可動範囲区域K3、可動範囲区域K4がある。
【0020】
前記可動範囲区域K1は、図9(a)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置Aのストッパ配置部19に配置され、他方の物理ストッパ23が位置Dのストッパ配置部22に配置され、物理被ストッパ18が位置A−B−C−D側(これは位置Aから位置B、位置Cを通り位置Dまでの区域であって、位置Aと位置Dとの間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。
【0021】
可動範囲区域K2は、図9(b)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置Dのストッパ配置部22に配置され、他方の物理ストッパ23が位置Cのストッパ配置部21に配置され、物理被ストッパ18が位置D−A−B−C側(これは位置Dから位置A、位置Bを通り位置Cまでの区域であって、位置Dと位置Cとの間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。
【0022】
可動範囲区域K3は、図9(c)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置Cのストッパ配置部21に配置され、他方の物理ストッパ23が位置Bのストッパ配置部22に配置され、物理被ストッパ18が位置C−D−A−B側(これは位置Cから位置D、位置Aを通り位置Bまでの区域であって、位置Cと位置Bとの間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。
【0023】
可動範囲区域K4は、図9(d)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置Bのストッパ配置部20に配置され、他方の物理ストッパ23が位置Aのストッパ配置部19に配置され、物理被ストッパ18が位置B−C−D−A側(これは位置Bから位置C、位置Dを通り位置Aまでの区域であって、位置Bと位置Aとの間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。
【0024】
前記水平旋回アーム5は、制御部9のソフト制御によるアーム回転用モータ8の制御により移動制御されるものであり、この場合、制御部9は、前記物理ストッパ23、23により制限された水平旋回アーム5の可動範囲を超えないように設定された可動制御範囲区域で前記水平旋回アーム5を駆動するように前記アーム回転用モータ8を制御する制御手段として機能する。その可動制御範囲の区域は図9(a)〜(d)に示すように、可動制御範囲区域S1と、可動制御範囲区域S2と、可動制御範囲区域S3と、可動制御範囲区域S4とに選択設定可能である。
【0025】
前記可動制御範囲区域S1は、前記可動範囲区域K1に対応しており、物理被ストッパ18が位置Aの物理ストッパ23及び位置Dのストッパ23に衝突しない範囲に設定されている。
前記可動制御範囲区域S2は、前記可動範囲区域K2に対応しており、物理被ストッパ18が位置Dの物理ストッパ23及び位置Cのストッパ23に衝突しない範囲に設定されている。
【0026】
前記可動制御範囲区域S3は、前記可動範囲区域K3に対応しており、物理被ストッパ18が位置Cの物理ストッパ23及び位置Bのストッパ23に衝突しない範囲に設定されている。
前記可動制御範囲区域S4は、前記可動範囲区域K4に対応しており、物理被ストッパ18が位置Aの物理ストッパ23及び位置Bのストッパ23に衝突しない範囲に設定されている。
【0027】
制御部9は、前記所定可動範囲Zの角度値を、水平旋回アーム5の回転方向に応じて次のように定めており、また、これら可動制御範囲区域S1〜S2の角度値を、当該所定可動範囲Zの角度値に基づいて次のように定めている。
【0028】
前記所定可動範囲Zの中間角度を原点に設定し、この原点を角度値として例えば360°に設定し、この原点から水平旋回アーム5の一方の回転方向である例えば左回転方向(図8、図9の矢印L方向)の回転限度角度を最小角度値(この場合は0°)とし、前記原点から水平旋回アーム5の他方の回転方向である右回転方向(図8、図9の矢印R方向)の回転限度角度を最小角度値(この場合は720°)としている。図8は水平旋回アーム5の所定可動範囲Zを展開して示している。
【0029】
前記各可動範囲区域K1〜K4のうち、一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を左回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域K4については、前記一方の物理ストッパ23(原点にある物理ストッパ23)の角度値を前記原点の角度値である360°とし、前記他方の物理ストッパ23(ストッパ配置部20にある物理ストッパ23)の角度値を、前記原点の角度値に該原点から可動範囲区域K4を左回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値である90°としている。
【0030】
また、前記各可動範囲区域K1〜K4のうち、一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を右回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域K1については、前記一方の物理ストッパ23(原点にある物理ストッパ23)の角度値を前記原点の角度値である360°とし、前記他方の物理ストッパ23(ストッパ配置部22にある物理ストッパ23)の角度値を、前記原点の角度値に対して該原点から可動範囲区域K1を左回転方向へ回転した角度をプラスした角度値である630°としている。
【0031】
また、前記各可動範囲区域K1〜K4のうち、一方の物理ストッパが前記原点から可動範囲区域を左回転方向へ回転した位置にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を右回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域K2、K3については、次のように設定している。
【0032】
まず可動範囲区域K2については、前記一方の物理ストッパ23の角度値を、前記原点の角度値360°に該原点から可動範囲区域K2を左回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値である270°とし、前記他方の物理ストッパ23の角度値を、前記原点の角度値360°に対して該原点から可動範囲区域K2を右回転方向へ回転した角度をプラスした角度値である540°としている。
【0033】
また、可動範囲区域K3については、前記一方の物理ストッパ23の角度値を、前記原点の角度値360°に該原点から可動範囲区域K3を左回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値である180°とし、前記他方の物理ストッパ23の角度値を、前記原点の角度値360°に対して該原点から可動範囲区域K3を右回転方向へ回転した角度をプラスした角度値である450°としている。
【0034】
なお、図9(a)の可動範囲区域及び可動制御範囲区域をパターン1と称し、図9(b)の可動範囲区域及び可動制御範囲区域をパターン2と称し、図9(c)の可動範囲区域及び可動制御範囲区域をパターン3と称し、図9(d)の可動範囲区域及び可動制御範囲区域をパターン4と称する。
【0035】
ここで、ユーザーが水平旋回アーム5の可動制御範囲区域を変更すると共に、その変更に伴い可動範囲区域の選択(メカストッパ位置選択)をしたい場合には、ユーザーは、可動制御範囲区域変更要求手段であるスイッチ11aを押すことなる。当該スイッチ11aが押し操作されると、制御部9は、まず、図7(a)に示すように、水平旋回アーム5の複数の可動制御範囲区域の選択肢であるパターン1、パターン2、パターン3、パターン4を、表示部12に表示する。さらに、この場合、表示部12に、タッチパネルスイッチ13A、13Bも表示する。
【0036】
ユーザーが例えばパターン2をスイッチ群11の適宜のスイッチ又はダイヤルにより選択し、タッチパネルスイッチ13Aにより決定した場合、制御部9は、この選択されたパターン2の可動制御範囲区域S2を、可動制御範囲区域として設定する。
そして、制御部9は、図7(b)に示すように現在のストッパ配置部に配置されている物理ストッパ23、23を取り外すことを促す表示を行うと共に、取外しが行われたことを確認するためのスイッチ14も表示する。
【0037】
このスイッチ14がユーザーにより押し操作されると、該可動制御範囲区域S2に対応する前記可動範囲区域K2において前記設定された2つの物理ストッパ23、23の角度値のうち大きい側の角度値をKa[deg]とし、小さい側の角度値をKb[deg]としたとき、当該2つの物理ストッパの中間角度値Kc[deg]を、
Kc=(Ka−Kb)/2+Kb
なる式で求める。
【0038】
この場合、Kaが540°で、Kbが270°であるから、Kcは、405°となる。
そして、制御部9は、前記物理被ストッパ18の現在位置が分かっており、この物理被ストッパ18の角度値をX[deg](図8参照)とし、水平旋回アーム5の移動角度(これから移動しようとする角度)をQ[deg]としたとき、制御部9は、Qを
Q=Kc−X
なる式で求める。
【0039】
そして、制御部9は、Q>0のときには、前記水平旋回アーム5を、前記右回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記水平旋回アーム5を、前記左回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行う。これにより、水平旋回アーム5が、設定しようとする2つの物理ストッパ23、23の可動範囲区域K2の中間位置である405°を示す。
【0040】
ここで、例えばパターン2の角度値を設定する場合、図8及び図9(b)に示したように、所定可動範囲Zの原点(360°)を含むパターンであって、物理ストッパ23、23はストッパ配置部22、21に配置され、位置D−A−B−C側に可動制御範囲区域S2が存在するパターンであるが、水平旋回アーム5が図9(b)から左回転方向へ1回転した状態(図11、図12の点線参照)の位置も、見かけ上は、図9(b)と同じになる。この図11の0°を原点位置として物理ストッパ23、23の角度値を設定してしまうと(ティーチングしてしまうと)、これに伴い、位置D−A−B−C側に可動範囲区域K2´、可動制御範囲区域S2´が設定され、水平旋回アーム5は全体として所定可動範囲Zでしか動き得ないから、図11及び図12の符号SEで示す範囲でしか、可動制御範囲が得られなくなってしまうおそれがある。
【0041】
しかるに本実施例では、前記所定可動範囲Zの中間角度を原点に設定し、この原点から水平旋回アーム5の左回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲Zの最小角度値とし、前記原点から水平旋回アーム5の右回転方向の回転限度角度を最大角度値とし、前記各可動範囲区域K1〜K4の各物理ストッパ23の角度値を、前述したように、前記原点から各稼動範囲区域に沿って左回転方向でマイナスして設定し、右方向でプラスして設定したから、ロボット1における水平旋回アーム5の回転の角度値と制御の角度値とが一致し、水平旋回アーム5の回転方向もそのまま動作させれば自動で新しい物理ストッパ23、23での動作範囲を所定可動範囲Z内に設定できるように水平旋回アーム5が目的角度値に移動でき、従って、任意の可動制御範囲区域から次の任意の可動制御範囲区域へ水平旋回アーム5を移動させるときに、次の可動制御範囲区域が確実に水平旋回アーム5の所定可動範囲Z内に位置するように水平旋回アーム5を移動できる。従って、任意の可動制御範囲区域から次の任意の可動制御範囲区域へ水平旋回アーム5を移動させるときに、次の可動制御範囲区域が確実に所定可動範囲Z内に位置するように水平旋回アーム5を移動できる。
【0042】
また、本実施例によれば、前述したように、ユーザーが複数の選択肢の可動制御範囲区域S1〜S4のいずれかを設定すると、制御部9が、該可動制御範囲区域に対応する前記可動範囲区域において前記設定された2つの物理ストッパ中間角度値Kc[deg]を求め、物理被ストッパ18の現在位置の角度値をX[deg]とし、水平旋回アーム5の移動角度をQ[deg]としたとき、Qを
Q=Kc−X
なる式で求め、Q>0のときには、前記水平旋回アーム5を、前記右回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記水平旋回アーム5を、前記左回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行うから、水平旋回アーム5が、これから設置しようとする2つの物理ストッパ23、23の可動範囲区域の中間位置を示すことができる。この中間位置をもつ可動範囲区域には、当該中間位置を頂角の頂点とし且つ該可動範囲区域両端地点を2つの底角の頂点とする二等辺三角形がアーム回転軌跡内に仮想的に形成される。従って、この中間位置が頂角の頂点となる二等辺三角形が形成されることさえ覚えておけば、この中間位置から可動範囲区域両端地点すなわち物理ストッパ設置位置を容易に判断することができ、すなわち、中間位置を示す該水平旋回アーム5により物理ストッパ23、23の位置を簡単に示唆することができ、ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパ23、23の可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制できる。
【0043】
なお、上記仮想的に形成される二等辺三角形を図9(a)〜(d)に符号U1、U2、U3、U4で示しており、符号g1は中間位置上の任意の点を示し、該点g1が各二等辺三角形の頂角の頂点を示し、符号g2、g3が各二等辺三角形の底角の頂点を示し、この仮想的な二等辺三角形U1、U2、U3、U4の形状を思い描けば、仮想的な底角の頂点g2、g3により物理ストッパ23、23の配置位置が示唆されることになる。
【0044】
このように、上述した特定(この場合上述の三角形)の示唆方式さえ覚えておけば、水平旋回アーム5がいずれの方向へ指向方向制御されても、当該水平旋回アーム5の指向方向から明快に物理ストッパ23、23の位置を判定できる。なお、示唆方式としては上述の三角形方式のほか、例えば水平旋回アーム5の指向方向の反対側のストッパ配置部が設定しようとする物理ストッパ23、23の配置位置であるといった考え方の示唆方式でも良い。
図10には、選択した可動制御範囲区域と、水平旋回アーム5の移動先と、当該アーム5によって示唆されるストッパ配置部との関係を示している。
【0045】
図13ないし図15は本発明の第2の実施例を示している。この第2の実施例では、水平旋回アーム5の可動範囲区域K11〜K15の形態が、前記第1の実施例における可動範囲区域K1〜K4の形態とは異なり、これに伴って、可動制御範囲区域S11〜S15の形態も第1の実施例における可動制御範囲区域S11〜S15と異なる。この可動制御範囲区域S11〜S15は、水平旋回アーム5の所定可動範囲Zに対して、次のように角度値が設定されている。
【0046】
すなわち、水平旋回アーム5の所定可動範囲Zは、この実施例においても2回転としており、制御部9においては、該所定可動範囲Zにおける該水平旋回アーム5の一方の回転方向である例えば左回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲Zの最小角度値例えば0°として他方の回転方向である右回転方向へ水平旋回アーム5の回転に応じて増加する角度値とするように該所定可動範囲Zを特定しており、従って、水平旋回アーム5の所定可動範囲Zが2回転であるので、右回転方向での回転限度角度はこの場合720°としている。
【0047】
また、制御部9は、この所定可動範囲Zの中に前記複数の可動範囲区域K11〜K15を該所定可動範囲Zの角度値で設定し、且つ複数の可動範囲区域K11〜K15の中間位置も前記所定可動範囲Zの角度値で設定し、これら所定可動範囲Zの角度値及び各可動範囲区域K11〜K15の角度値及び各可動範囲区域の中間位置の角度値を、制御部9が備えた不揮発性メモリに記憶させている。
【0048】
前記可動範囲区域K11は、図13及び図14(a)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置A(所定可動範囲Zの角度値で360°)のストッパ配置部19に配置され、他方の物理ストッパ23が位置C(540°)のストッパ配置部21に配置され、物理被ストッパ18が位置A−B−C側(これは位置Aから位置Bを通り位置Cまでの区域であって、位置C−D−A間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。該可動範囲区域K11の中間位置の角度値は450°である。
【0049】
前記可動範囲区域K12は、図13及び図14(b)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置B(450°)のストッパ配置部20に配置され、他方の物理ストッパ23が位置D(630°)のストッパ配置部22に配置され、物理被ストッパ18が位置B−C−D側(これは位置Bから位置Cを通り位置Dまでの区域であって、位置D−A−B間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。該可動範囲区域K12の中間位置の角度値は540°である。
【0050】
前記可動範囲区域K13は、図13及び図14(c)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置C(180°)のストッパ配置部21に配置され、他方の物理ストッパ23が位置A(360°)のストッパ配置部19に配置され、物理被ストッパ18が位置C−D−A側(これは位置Cから位置Dを通り位置Aまでの区域であって、位置A−B−C間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。該可動範囲区域K13の中間位置の角度値は270°である。
【0051】
前記可動範囲区域K14は、図13及び図14(d)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置D(270°)のストッパ配置部22に配置され、他方の物理ストッパ23が位置B(450°)のストッパ配置部20に配置され、物理被ストッパ18が位置D−A−B側(これは位置Dから位置Aを通り位置Bまでの区域であって、位置B−C−D間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。該可動範囲区域K14の中間位置の角度値は360°である。
【0052】
前記可動範囲区域K15は、図13及び図14(e)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置D(90°)のストッパ配置部22に配置され、他方の物理ストッパ23が位置B(270°)のストッパ配置部20に配置され、物理被ストッパ18が位置D−C−B側(これは位置Dから位置Cを通り位置Bまでの区域であって、位置B−A−D間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。該可動範囲区域K15の中間位置の角度値は180°である。
【0053】
また、上記可動範囲区域K11〜K15に対応する可動制御範囲区域S11〜S15は、図13及び図14に示す通りである。
ここで、ユーザーが水平旋回アーム5の可動制御範囲区域を変更すると共に、その変更に伴い可動範囲区域の選択(メカストッパ位置選択)をしたい場合には、ユーザーは、可動制御範囲区域変更要求手段であるスイッチ11aを押すことなる。当該スイッチ11aが押し操作されると、制御部9は、まず、図15(a)に示すように、水平旋回アーム5の複数の可動制御範囲区域の選択肢であるパターン1、パターン2、パターン3、パターン4、パターン5を、表示部12に表示する。さらに、この場合、表示部12に、タッチパネルスイッチ13A、13Bも表示する。
【0054】
ユーザーが例えばパターン2をスイッチ群11の適宜のスイッチ又はダイヤルにより選択し、タッチパネルスイッチ13Aにより決定した場合、制御部9は、この選択されたパターン2の可動制御範囲区域S12を、可動制御範囲区域として設定する。
そして、制御部9は、図15(b)に示すように現在のストッパ配置部に配置されている物理ストッパ23、23を取り外すことを促す表示を行うと共に、取外しが行われたことを確認するためのスイッチ14も表示する。
【0055】
このスイッチ14が押し操作されると、制御部9は、設定された可動制御範囲区域S12に対応する可動範囲区域K12の中間位置角度値(この場合540°)を前記不揮発性メモリから読出し、この読み出した該可動範囲区域の中間位置角度値Kr[deg]と、水平旋回アーム5の現在の角度値X[deg]とから、アームの移動先角度値Q[deg]を、
Q=Kr−X
なる式で求め、Q>0のときには、水平旋回アーム5を、他方の回転方向である右回転方向(図13の矢印R方向)へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、水平旋回アーム5を、一方の回転方向である左回転方向(図13の矢印L方向)へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行う。
【0056】
これによりこの第2の実施例によれば、水平旋回アーム5がこれから配置しようとする2つの物理ストッパの可動範囲区域の中間位置を示すこととなって、該水平旋回アーム5により物理ストッパ23、23の配置位置(ストッパ配置部)を簡単に示唆することができ、ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパの可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制できる。
【0057】
しかも、所定可動範囲Zの角度値及び各可動範囲区域K11〜K15の角度値及び各可動範囲区域K11〜K15の中間位置の角度値を不揮発性メモリに記憶させておくから、水平旋回アーム5の所定可動範囲Zに対して、複数のアームの可動範囲区域K11〜K15を、当該所定可動範囲Zからはみ出すことなく適正に記憶させておくことができる。従って、任意の可動制御範囲区域から次の任意の可動制御範囲区域へ水平旋回アーム5を移動させるときに、次の可動制御範囲区域が確実に所定可動範囲Z内に位置するように水平旋回アーム5を移動できる。
【0058】
なお、本発明は上記各実施例に限定されず、適宜変更して実施できるも。例えば、所定可動範囲は2回転以上でも良い。また、第1の実施例における所定可動範囲Zの原点の角度値は360°でなく0°とし、最小角度値を−180°、最大角度値を180°としても良い。また、上述した実施例構造のロボットに限られず、アーム支持ベースにアームを回転可能に備えたロボット全般に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施例を示す機能ブロック図
【図2】ロボットの斜視図
【図3】ロボットの側面図
【図4】物理ストッパ、物理被ストッパ、ストッパ配置部部分の斜視図
【図5】図4における物理ストッパ、物理被ストッパ、ストッパ配置部の配置関係を示す平面図
【図6】ティーチペンダントの正面図
【図7】可動制御範囲区域の変更時における表示部の表示内容の変化を示す図
【図8】水平旋回アームの所定可動範囲及び各可動範囲区域並びに各可動制御範囲区域を展開して示す図
【図9】(a)ないし(d)は可動範囲区域及び可動制御範囲区域の異なるパターンを示す図
【図10】選択した可動制御範囲区域と、水平旋回アームの移動先と、示唆されるストッパ配置部との関係を示す図
【図11】参考例を示す図9(b)相当図
【図12】参考例を示す図8相当図
【図13】本発明の第2の実施例を示す図8相当図
【図14】(a)ないし(e)は可動範囲区域及び可動制御範囲区域の異なるパターンを示す図
【図15】図7相当図
【符号の説明】
【0060】
図面中、1はロボット、1Aはロボットのアーム可動範囲変更制御装置、4はアーム支持ベース、5は水平旋回アーム(アーム)、8はアーム回転用モータ(駆動源)、9は制御部(制御手段、ストッパ位置示唆制御手段)、10はティーチングペンダント、11aはスイッチ、13はタッチパネルスイッチ(選択決定手段)、18は物理被ストッパ、19、20、21、22はストッパ配置部、23は物理ストッパを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理ストッパをストッパ配置部に選択的に装着することによりアームの可動範囲区域を複数の区域に変化させるようにしたロボットのアーム可動範囲変更制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットにおいては、ストッパによりロボットのアームの可動範囲を制限する技術は知られている。ところで、最近では、ロボット動作の多様化を図るためにアームの動作範囲を適宜変更したいという要望がある。この場合、前記ストッパの位置を変更して前記アームの可動範囲を適宜変更することが考えられる。特許文献1に示された技術には、ストッパの位置を変更することで可動体の可動範囲を拡張・縮小する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2006−62482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に示された技術は、船の操作レバーの可動範囲を拡張・縮小するだけの技術であり、ロボットのアームのストッパには適用できないものであった。すなわち、ロボットにおいては、ストッパ自身を大きく位置換えすることによりアームの可動範囲の区域を複数区域に変更可能とすることが望まれており、この場合、アームを駆動源により実際に駆動する場合には、ソフト制御上は、複数の可動範囲区域の個々に対して、アームがストッパに衝突する手前で止める可動制御範囲区域をそれぞれ設けることになる。このとき、任意のソフト制御による可動制御範囲を設定した場合、当該設定可動制御範囲に対して、ストッパ位置を間違えると、つまりストッパによる可動範囲を間違えると、アームがストッパに衝突して調整ずれが発生してしまうおそれがある。
【0004】
これに対して、特許文献1の技術は、操作レバーがストッパに衝突して調整ずれが起きてもあまり精度を必要としない船用のストッパ装置であり、しかも単にストッパの可動範囲を変更する技術しか開示されていないので、当該技術は、ストッパ(物理ストッパ)の位置を変更するときにアームの可動範囲区域とアームの可動制御範囲区域との間違えを防止する必要があるロボットに転用するには不十分である。
【0005】
特に、ロボットでは、アームの可動範囲が有限である場合には、任意のアームの可動制御範囲区域から次の任意のアームの可動制御範囲区域へアームを移動させるときにその移動の仕方によっては、アームの可動範囲内に、アームの可動制御範囲区域が納まらず、アームが所定の可動制御範囲区域を動作できないという問題が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ストッパ位置を変更できるものにおいて、ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパの可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制でき、さらに、任意のアームの可動制御範囲区域から次の任意のアームの可動制御範囲区域へアームを移動させるときに、次のアームの可動制御範囲区域が確実にアームの所定可動範囲内に位置するようにアームを移動できるロボットのアーム可動範囲変更制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、アームの可動範囲区域が複数あって、しかもアームの可動範囲が有限の所定可動範囲である場合に、前記所定可動範囲の中間角度を原点に設定し、この原点からアームの一方の回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲の最小角度値とし、前記原点からアームの他方の回転方向の回転限度角度を最大角度値とし、前記各可動範囲区域のうち、一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を前記原点の角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値とし、一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を前記原点の角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に対して該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した角度をプラスした角度値とし、一方の物理ストッパが前記原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した位置にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に対して該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した角度をプラスした角度値とすることで、ロボットにおけるアームの回転の角度値と制御の角度値とが一致し、アームの回転方向もそのまま動作させれば自動で新しい物理ストッパでの動作範囲を所定可動範囲内に設定できるようにアームが目的角度値に移動でき、従って、任意のアームの可動制御範囲区域から次の任意のアームの可動制御範囲区域へアームを移動させるときに、次のアームの可動制御範囲区域が確実にアームの所定可動範囲内に位置するようにアームを移動できる。
【0008】
さらに請求項1の発明によれば、ユーザーが複数の選択肢の可動制御範囲区域のいずれかを設定すると、制御手段が、該可動制御範囲区域に対応する前記可動範囲区域において前記設定された2つの物理ストッパ中間角度値Kc[deg]を求め、物理被ストッパの現在位置の角度値をX[deg]とし、アームの移動角度をQ[deg]としたとき、Qを
Q=Kc−X
なる式で求め、Q>0のときには、前記アームを、前記他方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記アームを、前記一方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行うから、アームが2つの物理ストッパの可動範囲区域の中間位置を示すことができる。この中間位置をもつ可動範囲区域には、当該中間位置を頂角の頂点とし且つ該可動範囲区域両端地点を2つを底角の頂点とする二等辺三角形がアーム回転軌跡内に仮想的に形成される。従って、この中間位置が頂角の頂点となる二等辺三角形が形成されることさえ覚えておけば、この中間位置から可動範囲区域両端地点すなわち物理ストッパ設置位置を容易に判断することができ、すなわち、中間位置を示す該アームにより物理ストッパの位置を簡単に示唆することができ、ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパの可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制できる。
【0009】
又、請求項2の発明によれば、アームの所定可動範囲における該アームの一方の回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲の最小角度値として他方の回転方向へアームの回転に応じて増加する角度値とするように該所定可動範囲を特定し、この所定可動範囲の中に複数の可動範囲区域を該所定可動範囲の角度値で設定し、且つ複数の可動範囲区域の中間位置を前記所定可動範囲の角度値で設定し、これら所定可動範囲の角度値及び各可動範囲区域の角度値及び各可動範囲区域の中間位置の角度値を記憶部に記憶させておくから、アームの所定可動範囲に対して、複数のアームの可動範囲区域を、当該所定可動範囲からはみ出すことなく適正に記憶させておくことができる。従って、任意のアームの可動制御範囲区域から次の任意のアームの可動制御範囲区域へアームを移動させるときに、次のアームの可動制御範囲区域が確実にアームの所定可動範囲内に位置するようにアームを移動できる。
【0010】
さらに請求項2の発明によれば、ユーザーが複数の選択肢の可動制御範囲区域のいずれかを設定すると、制御手段が、設定された可動制御範囲区域に対応する可動範囲区域の中間位置角度値を前記記憶部から読出し、この読み出した該可動範囲区域の中間位置角度値Kr[deg]と、アームの現在の角度値X[deg]とから、アームの移動先角度値Q[deg]を、
Q=Kr−X
なる式で求め、Q>0のときには、前記アームを、前記他方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記アームを、前記一方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行うから、アームが2つの物理ストッパの可動範囲区域の中間位置を示し、該アームにより物理ストッパの位置を簡単に示唆することができ、ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパの可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施例について図1ないし図10を参照して説明する。図2及び図3は、ロボット1の全体構成を概略的に示している。直線移動レール2には、その下面側に移動体2aが直線移動可能に支持されていると共に、その移動体2aを自在に移動させるための駆動機構が設けられている。詳しく図示はしないが、前記駆動機構は、直線移動レール2の一端部に配設されたモータ3や図示しないボールねじ機構などから構成されている。
【0012】
そして、図3に示すように、前記移動体2aの下面部にはアーム支持ベース4が連結され、前記アーム支持ベース4の下面に水平方向に延びるアームたる水平旋回アーム5が、その一端部である基端側が垂直軸J1を中心に旋回可能に取付けられている。この水平旋回アーム5の前記垂直軸J1とは反対側の端部である先端部(先端面)に昇降体6が上下動可能に取付けられ、この昇降体6の下面側に手首部7が垂直軸J2を中心に同軸回転可能に取付けられている。また、手首部7には、ワークを把持するためのチャック(ハンド)等の作業用ツールが着脱可能に取付けられるようになっている。
【0013】
この場合、図示はしないが、前記水平旋回アーム5は、アーム支持ベース4内に設けられた駆動源であるアーム回転用モータ8(図1参照)及び回転伝達機構により水平方向に有限回転(旋回)可能であり、例えば2回転(0°〜720°)で回転可能である。
前記昇降体6は、水平旋回アーム4に内蔵されたモータ及びラック−ピニオン機構によって水平旋回アーム5の先端にて上下移動され、前記手首部7は、昇降体6に内蔵されたモータによって同軸回転される。
【0014】
上記各ロボット1の動作(モータ3を含む各軸のモータ)は、夫々、ロボットコントローラの制御部9(図1に図示)により作業工程プログラム等に基づいて制御されるようになっている。この制御部9は、CPU、ROM、RAM、記憶手段たる不揮発性メモリなどを備えて構成されており、制御手段に相当する。
【0015】
この制御部9には図6に示すティーチングペンダント10が接続されており、このティーチングペンダント10には、スイッチ群11が設けられていると共に、表示手段たる表示部12が設けられており、この表示部12にはタッチパネルスイッチ13A、13B、14、15A、15B、16(図7参照)が形成される。前記スイッチ群11のうちの一つのスイッチ11aが可動制御範囲区域変更要求手段に相当する。また、前記タッチパネルスイッチ13Aが選択決定手段に相当する。なお、図6において、デッドマンスイッチを符号11bで示している。
【0016】
図4に示すように、前記水平旋回アーム5には、物理被ストッパ18が上向きに設けられている。この物理被ストッパ18は、水平旋回アーム5の回転中心と、該水平旋回アーム5の前記垂直軸J1とは反対側の端部である先端部(先端面)の昇降体6とを結ぶ線(仮想線)上に位置し、従って、該物理被ストッパ18は水平旋回アーム5の指向方向を示すことができる。
【0017】
また、図4及び図5に示すように、前記アーム支持ベース4には、相互に90度間隔の位置A、B、C、Dにストッパ配置部19、20、21、22が径方向へ突出する形態に形成されており、該ストッパ配置部19〜22の下面部に、物理ストッパ23、23を着脱可能なストッパ装着穴19a〜22aがそれぞれ形成されている。このストッパ配置部19〜22は、物理ストッパ23より多く設けられている。図4及び図5の状態では、ストッパ配置部19及び20に物理ストッパ23、23が装着された状態を示している。この物理ストッパ23、23は前記物理ストッパ18の回転範囲を制限することにより水平旋回アーム5の回転の可動範囲を所定の可動範囲区域に制限するものである。なお、図5においては、水平旋回アーム5の回転中心5cと物理被ストッパ18とを結ぶ線(仮想線)5Pは、水平旋回アーム5の位置(角度位置)を示している。
【0018】
前記水平旋回アーム5、ストッパ配置部19〜22、物理ストッパ23、23、制御部9、スイッチ11a、表示部12、タッチパネルスイッチ13Aによりロボットのアーム可動範囲変更制御装置1A(図1参照)が構成されている。
【0019】
ここで、前記水平旋回アーム5の可動範囲は、前述した有限の所定可動範囲Z(この実施例では例えば2回転)であり、その中間角度である360°を原点としている。前記ストッパ配置部19〜22に対する前記物理ストッパ23、23の配置(装着)位置の選択により、複数の可動範囲区域に変更可能であり、図9(a)〜(d)に示すように、可動範囲区域K1、可動範囲区域K2、可動範囲区域K3、可動範囲区域K4がある。
【0020】
前記可動範囲区域K1は、図9(a)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置Aのストッパ配置部19に配置され、他方の物理ストッパ23が位置Dのストッパ配置部22に配置され、物理被ストッパ18が位置A−B−C−D側(これは位置Aから位置B、位置Cを通り位置Dまでの区域であって、位置Aと位置Dとの間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。
【0021】
可動範囲区域K2は、図9(b)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置Dのストッパ配置部22に配置され、他方の物理ストッパ23が位置Cのストッパ配置部21に配置され、物理被ストッパ18が位置D−A−B−C側(これは位置Dから位置A、位置Bを通り位置Cまでの区域であって、位置Dと位置Cとの間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。
【0022】
可動範囲区域K3は、図9(c)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置Cのストッパ配置部21に配置され、他方の物理ストッパ23が位置Bのストッパ配置部22に配置され、物理被ストッパ18が位置C−D−A−B側(これは位置Cから位置D、位置Aを通り位置Bまでの区域であって、位置Cと位置Bとの間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。
【0023】
可動範囲区域K4は、図9(d)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置Bのストッパ配置部20に配置され、他方の物理ストッパ23が位置Aのストッパ配置部19に配置され、物理被ストッパ18が位置B−C−D−A側(これは位置Bから位置C、位置Dを通り位置Aまでの区域であって、位置Bと位置Aとの間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。
【0024】
前記水平旋回アーム5は、制御部9のソフト制御によるアーム回転用モータ8の制御により移動制御されるものであり、この場合、制御部9は、前記物理ストッパ23、23により制限された水平旋回アーム5の可動範囲を超えないように設定された可動制御範囲区域で前記水平旋回アーム5を駆動するように前記アーム回転用モータ8を制御する制御手段として機能する。その可動制御範囲の区域は図9(a)〜(d)に示すように、可動制御範囲区域S1と、可動制御範囲区域S2と、可動制御範囲区域S3と、可動制御範囲区域S4とに選択設定可能である。
【0025】
前記可動制御範囲区域S1は、前記可動範囲区域K1に対応しており、物理被ストッパ18が位置Aの物理ストッパ23及び位置Dのストッパ23に衝突しない範囲に設定されている。
前記可動制御範囲区域S2は、前記可動範囲区域K2に対応しており、物理被ストッパ18が位置Dの物理ストッパ23及び位置Cのストッパ23に衝突しない範囲に設定されている。
【0026】
前記可動制御範囲区域S3は、前記可動範囲区域K3に対応しており、物理被ストッパ18が位置Cの物理ストッパ23及び位置Bのストッパ23に衝突しない範囲に設定されている。
前記可動制御範囲区域S4は、前記可動範囲区域K4に対応しており、物理被ストッパ18が位置Aの物理ストッパ23及び位置Bのストッパ23に衝突しない範囲に設定されている。
【0027】
制御部9は、前記所定可動範囲Zの角度値を、水平旋回アーム5の回転方向に応じて次のように定めており、また、これら可動制御範囲区域S1〜S2の角度値を、当該所定可動範囲Zの角度値に基づいて次のように定めている。
【0028】
前記所定可動範囲Zの中間角度を原点に設定し、この原点を角度値として例えば360°に設定し、この原点から水平旋回アーム5の一方の回転方向である例えば左回転方向(図8、図9の矢印L方向)の回転限度角度を最小角度値(この場合は0°)とし、前記原点から水平旋回アーム5の他方の回転方向である右回転方向(図8、図9の矢印R方向)の回転限度角度を最小角度値(この場合は720°)としている。図8は水平旋回アーム5の所定可動範囲Zを展開して示している。
【0029】
前記各可動範囲区域K1〜K4のうち、一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を左回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域K4については、前記一方の物理ストッパ23(原点にある物理ストッパ23)の角度値を前記原点の角度値である360°とし、前記他方の物理ストッパ23(ストッパ配置部20にある物理ストッパ23)の角度値を、前記原点の角度値に該原点から可動範囲区域K4を左回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値である90°としている。
【0030】
また、前記各可動範囲区域K1〜K4のうち、一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を右回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域K1については、前記一方の物理ストッパ23(原点にある物理ストッパ23)の角度値を前記原点の角度値である360°とし、前記他方の物理ストッパ23(ストッパ配置部22にある物理ストッパ23)の角度値を、前記原点の角度値に対して該原点から可動範囲区域K1を左回転方向へ回転した角度をプラスした角度値である630°としている。
【0031】
また、前記各可動範囲区域K1〜K4のうち、一方の物理ストッパが前記原点から可動範囲区域を左回転方向へ回転した位置にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を右回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域K2、K3については、次のように設定している。
【0032】
まず可動範囲区域K2については、前記一方の物理ストッパ23の角度値を、前記原点の角度値360°に該原点から可動範囲区域K2を左回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値である270°とし、前記他方の物理ストッパ23の角度値を、前記原点の角度値360°に対して該原点から可動範囲区域K2を右回転方向へ回転した角度をプラスした角度値である540°としている。
【0033】
また、可動範囲区域K3については、前記一方の物理ストッパ23の角度値を、前記原点の角度値360°に該原点から可動範囲区域K3を左回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値である180°とし、前記他方の物理ストッパ23の角度値を、前記原点の角度値360°に対して該原点から可動範囲区域K3を右回転方向へ回転した角度をプラスした角度値である450°としている。
【0034】
なお、図9(a)の可動範囲区域及び可動制御範囲区域をパターン1と称し、図9(b)の可動範囲区域及び可動制御範囲区域をパターン2と称し、図9(c)の可動範囲区域及び可動制御範囲区域をパターン3と称し、図9(d)の可動範囲区域及び可動制御範囲区域をパターン4と称する。
【0035】
ここで、ユーザーが水平旋回アーム5の可動制御範囲区域を変更すると共に、その変更に伴い可動範囲区域の選択(メカストッパ位置選択)をしたい場合には、ユーザーは、可動制御範囲区域変更要求手段であるスイッチ11aを押すことなる。当該スイッチ11aが押し操作されると、制御部9は、まず、図7(a)に示すように、水平旋回アーム5の複数の可動制御範囲区域の選択肢であるパターン1、パターン2、パターン3、パターン4を、表示部12に表示する。さらに、この場合、表示部12に、タッチパネルスイッチ13A、13Bも表示する。
【0036】
ユーザーが例えばパターン2をスイッチ群11の適宜のスイッチ又はダイヤルにより選択し、タッチパネルスイッチ13Aにより決定した場合、制御部9は、この選択されたパターン2の可動制御範囲区域S2を、可動制御範囲区域として設定する。
そして、制御部9は、図7(b)に示すように現在のストッパ配置部に配置されている物理ストッパ23、23を取り外すことを促す表示を行うと共に、取外しが行われたことを確認するためのスイッチ14も表示する。
【0037】
このスイッチ14がユーザーにより押し操作されると、該可動制御範囲区域S2に対応する前記可動範囲区域K2において前記設定された2つの物理ストッパ23、23の角度値のうち大きい側の角度値をKa[deg]とし、小さい側の角度値をKb[deg]としたとき、当該2つの物理ストッパの中間角度値Kc[deg]を、
Kc=(Ka−Kb)/2+Kb
なる式で求める。
【0038】
この場合、Kaが540°で、Kbが270°であるから、Kcは、405°となる。
そして、制御部9は、前記物理被ストッパ18の現在位置が分かっており、この物理被ストッパ18の角度値をX[deg](図8参照)とし、水平旋回アーム5の移動角度(これから移動しようとする角度)をQ[deg]としたとき、制御部9は、Qを
Q=Kc−X
なる式で求める。
【0039】
そして、制御部9は、Q>0のときには、前記水平旋回アーム5を、前記右回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記水平旋回アーム5を、前記左回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行う。これにより、水平旋回アーム5が、設定しようとする2つの物理ストッパ23、23の可動範囲区域K2の中間位置である405°を示す。
【0040】
ここで、例えばパターン2の角度値を設定する場合、図8及び図9(b)に示したように、所定可動範囲Zの原点(360°)を含むパターンであって、物理ストッパ23、23はストッパ配置部22、21に配置され、位置D−A−B−C側に可動制御範囲区域S2が存在するパターンであるが、水平旋回アーム5が図9(b)から左回転方向へ1回転した状態(図11、図12の点線参照)の位置も、見かけ上は、図9(b)と同じになる。この図11の0°を原点位置として物理ストッパ23、23の角度値を設定してしまうと(ティーチングしてしまうと)、これに伴い、位置D−A−B−C側に可動範囲区域K2´、可動制御範囲区域S2´が設定され、水平旋回アーム5は全体として所定可動範囲Zでしか動き得ないから、図11及び図12の符号SEで示す範囲でしか、可動制御範囲が得られなくなってしまうおそれがある。
【0041】
しかるに本実施例では、前記所定可動範囲Zの中間角度を原点に設定し、この原点から水平旋回アーム5の左回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲Zの最小角度値とし、前記原点から水平旋回アーム5の右回転方向の回転限度角度を最大角度値とし、前記各可動範囲区域K1〜K4の各物理ストッパ23の角度値を、前述したように、前記原点から各稼動範囲区域に沿って左回転方向でマイナスして設定し、右方向でプラスして設定したから、ロボット1における水平旋回アーム5の回転の角度値と制御の角度値とが一致し、水平旋回アーム5の回転方向もそのまま動作させれば自動で新しい物理ストッパ23、23での動作範囲を所定可動範囲Z内に設定できるように水平旋回アーム5が目的角度値に移動でき、従って、任意の可動制御範囲区域から次の任意の可動制御範囲区域へ水平旋回アーム5を移動させるときに、次の可動制御範囲区域が確実に水平旋回アーム5の所定可動範囲Z内に位置するように水平旋回アーム5を移動できる。従って、任意の可動制御範囲区域から次の任意の可動制御範囲区域へ水平旋回アーム5を移動させるときに、次の可動制御範囲区域が確実に所定可動範囲Z内に位置するように水平旋回アーム5を移動できる。
【0042】
また、本実施例によれば、前述したように、ユーザーが複数の選択肢の可動制御範囲区域S1〜S4のいずれかを設定すると、制御部9が、該可動制御範囲区域に対応する前記可動範囲区域において前記設定された2つの物理ストッパ中間角度値Kc[deg]を求め、物理被ストッパ18の現在位置の角度値をX[deg]とし、水平旋回アーム5の移動角度をQ[deg]としたとき、Qを
Q=Kc−X
なる式で求め、Q>0のときには、前記水平旋回アーム5を、前記右回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記水平旋回アーム5を、前記左回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行うから、水平旋回アーム5が、これから設置しようとする2つの物理ストッパ23、23の可動範囲区域の中間位置を示すことができる。この中間位置をもつ可動範囲区域には、当該中間位置を頂角の頂点とし且つ該可動範囲区域両端地点を2つの底角の頂点とする二等辺三角形がアーム回転軌跡内に仮想的に形成される。従って、この中間位置が頂角の頂点となる二等辺三角形が形成されることさえ覚えておけば、この中間位置から可動範囲区域両端地点すなわち物理ストッパ設置位置を容易に判断することができ、すなわち、中間位置を示す該水平旋回アーム5により物理ストッパ23、23の位置を簡単に示唆することができ、ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパ23、23の可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制できる。
【0043】
なお、上記仮想的に形成される二等辺三角形を図9(a)〜(d)に符号U1、U2、U3、U4で示しており、符号g1は中間位置上の任意の点を示し、該点g1が各二等辺三角形の頂角の頂点を示し、符号g2、g3が各二等辺三角形の底角の頂点を示し、この仮想的な二等辺三角形U1、U2、U3、U4の形状を思い描けば、仮想的な底角の頂点g2、g3により物理ストッパ23、23の配置位置が示唆されることになる。
【0044】
このように、上述した特定(この場合上述の三角形)の示唆方式さえ覚えておけば、水平旋回アーム5がいずれの方向へ指向方向制御されても、当該水平旋回アーム5の指向方向から明快に物理ストッパ23、23の位置を判定できる。なお、示唆方式としては上述の三角形方式のほか、例えば水平旋回アーム5の指向方向の反対側のストッパ配置部が設定しようとする物理ストッパ23、23の配置位置であるといった考え方の示唆方式でも良い。
図10には、選択した可動制御範囲区域と、水平旋回アーム5の移動先と、当該アーム5によって示唆されるストッパ配置部との関係を示している。
【0045】
図13ないし図15は本発明の第2の実施例を示している。この第2の実施例では、水平旋回アーム5の可動範囲区域K11〜K15の形態が、前記第1の実施例における可動範囲区域K1〜K4の形態とは異なり、これに伴って、可動制御範囲区域S11〜S15の形態も第1の実施例における可動制御範囲区域S11〜S15と異なる。この可動制御範囲区域S11〜S15は、水平旋回アーム5の所定可動範囲Zに対して、次のように角度値が設定されている。
【0046】
すなわち、水平旋回アーム5の所定可動範囲Zは、この実施例においても2回転としており、制御部9においては、該所定可動範囲Zにおける該水平旋回アーム5の一方の回転方向である例えば左回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲Zの最小角度値例えば0°として他方の回転方向である右回転方向へ水平旋回アーム5の回転に応じて増加する角度値とするように該所定可動範囲Zを特定しており、従って、水平旋回アーム5の所定可動範囲Zが2回転であるので、右回転方向での回転限度角度はこの場合720°としている。
【0047】
また、制御部9は、この所定可動範囲Zの中に前記複数の可動範囲区域K11〜K15を該所定可動範囲Zの角度値で設定し、且つ複数の可動範囲区域K11〜K15の中間位置も前記所定可動範囲Zの角度値で設定し、これら所定可動範囲Zの角度値及び各可動範囲区域K11〜K15の角度値及び各可動範囲区域の中間位置の角度値を、制御部9が備えた不揮発性メモリに記憶させている。
【0048】
前記可動範囲区域K11は、図13及び図14(a)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置A(所定可動範囲Zの角度値で360°)のストッパ配置部19に配置され、他方の物理ストッパ23が位置C(540°)のストッパ配置部21に配置され、物理被ストッパ18が位置A−B−C側(これは位置Aから位置Bを通り位置Cまでの区域であって、位置C−D−A間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。該可動範囲区域K11の中間位置の角度値は450°である。
【0049】
前記可動範囲区域K12は、図13及び図14(b)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置B(450°)のストッパ配置部20に配置され、他方の物理ストッパ23が位置D(630°)のストッパ配置部22に配置され、物理被ストッパ18が位置B−C−D側(これは位置Bから位置Cを通り位置Dまでの区域であって、位置D−A−B間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。該可動範囲区域K12の中間位置の角度値は540°である。
【0050】
前記可動範囲区域K13は、図13及び図14(c)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置C(180°)のストッパ配置部21に配置され、他方の物理ストッパ23が位置A(360°)のストッパ配置部19に配置され、物理被ストッパ18が位置C−D−A側(これは位置Cから位置Dを通り位置Aまでの区域であって、位置A−B−C間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。該可動範囲区域K13の中間位置の角度値は270°である。
【0051】
前記可動範囲区域K14は、図13及び図14(d)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置D(270°)のストッパ配置部22に配置され、他方の物理ストッパ23が位置B(450°)のストッパ配置部20に配置され、物理被ストッパ18が位置D−A−B側(これは位置Dから位置Aを通り位置Bまでの区域であって、位置B−C−D間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。該可動範囲区域K14の中間位置の角度値は360°である。
【0052】
前記可動範囲区域K15は、図13及び図14(e)に示すように、一方の物理ストッパ23が位置D(90°)のストッパ配置部22に配置され、他方の物理ストッパ23が位置B(270°)のストッパ配置部20に配置され、物理被ストッパ18が位置D−C−B側(これは位置Dから位置Cを通り位置Bまでの区域であって、位置B−A−D間の区域は除くことを示す)を移動できる形態である。該可動範囲区域K15の中間位置の角度値は180°である。
【0053】
また、上記可動範囲区域K11〜K15に対応する可動制御範囲区域S11〜S15は、図13及び図14に示す通りである。
ここで、ユーザーが水平旋回アーム5の可動制御範囲区域を変更すると共に、その変更に伴い可動範囲区域の選択(メカストッパ位置選択)をしたい場合には、ユーザーは、可動制御範囲区域変更要求手段であるスイッチ11aを押すことなる。当該スイッチ11aが押し操作されると、制御部9は、まず、図15(a)に示すように、水平旋回アーム5の複数の可動制御範囲区域の選択肢であるパターン1、パターン2、パターン3、パターン4、パターン5を、表示部12に表示する。さらに、この場合、表示部12に、タッチパネルスイッチ13A、13Bも表示する。
【0054】
ユーザーが例えばパターン2をスイッチ群11の適宜のスイッチ又はダイヤルにより選択し、タッチパネルスイッチ13Aにより決定した場合、制御部9は、この選択されたパターン2の可動制御範囲区域S12を、可動制御範囲区域として設定する。
そして、制御部9は、図15(b)に示すように現在のストッパ配置部に配置されている物理ストッパ23、23を取り外すことを促す表示を行うと共に、取外しが行われたことを確認するためのスイッチ14も表示する。
【0055】
このスイッチ14が押し操作されると、制御部9は、設定された可動制御範囲区域S12に対応する可動範囲区域K12の中間位置角度値(この場合540°)を前記不揮発性メモリから読出し、この読み出した該可動範囲区域の中間位置角度値Kr[deg]と、水平旋回アーム5の現在の角度値X[deg]とから、アームの移動先角度値Q[deg]を、
Q=Kr−X
なる式で求め、Q>0のときには、水平旋回アーム5を、他方の回転方向である右回転方向(図13の矢印R方向)へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、水平旋回アーム5を、一方の回転方向である左回転方向(図13の矢印L方向)へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行う。
【0056】
これによりこの第2の実施例によれば、水平旋回アーム5がこれから配置しようとする2つの物理ストッパの可動範囲区域の中間位置を示すこととなって、該水平旋回アーム5により物理ストッパ23、23の配置位置(ストッパ配置部)を簡単に示唆することができ、ソフト制御上の可動制御範囲区域に対して物理ストッパの可動範囲区域を間違えて設定してしまうことを抑制できる。
【0057】
しかも、所定可動範囲Zの角度値及び各可動範囲区域K11〜K15の角度値及び各可動範囲区域K11〜K15の中間位置の角度値を不揮発性メモリに記憶させておくから、水平旋回アーム5の所定可動範囲Zに対して、複数のアームの可動範囲区域K11〜K15を、当該所定可動範囲Zからはみ出すことなく適正に記憶させておくことができる。従って、任意の可動制御範囲区域から次の任意の可動制御範囲区域へ水平旋回アーム5を移動させるときに、次の可動制御範囲区域が確実に所定可動範囲Z内に位置するように水平旋回アーム5を移動できる。
【0058】
なお、本発明は上記各実施例に限定されず、適宜変更して実施できるも。例えば、所定可動範囲は2回転以上でも良い。また、第1の実施例における所定可動範囲Zの原点の角度値は360°でなく0°とし、最小角度値を−180°、最大角度値を180°としても良い。また、上述した実施例構造のロボットに限られず、アーム支持ベースにアームを回転可能に備えたロボット全般に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施例を示す機能ブロック図
【図2】ロボットの斜視図
【図3】ロボットの側面図
【図4】物理ストッパ、物理被ストッパ、ストッパ配置部部分の斜視図
【図5】図4における物理ストッパ、物理被ストッパ、ストッパ配置部の配置関係を示す平面図
【図6】ティーチペンダントの正面図
【図7】可動制御範囲区域の変更時における表示部の表示内容の変化を示す図
【図8】水平旋回アームの所定可動範囲及び各可動範囲区域並びに各可動制御範囲区域を展開して示す図
【図9】(a)ないし(d)は可動範囲区域及び可動制御範囲区域の異なるパターンを示す図
【図10】選択した可動制御範囲区域と、水平旋回アームの移動先と、示唆されるストッパ配置部との関係を示す図
【図11】参考例を示す図9(b)相当図
【図12】参考例を示す図8相当図
【図13】本発明の第2の実施例を示す図8相当図
【図14】(a)ないし(e)は可動範囲区域及び可動制御範囲区域の異なるパターンを示す図
【図15】図7相当図
【符号の説明】
【0060】
図面中、1はロボット、1Aはロボットのアーム可動範囲変更制御装置、4はアーム支持ベース、5は水平旋回アーム(アーム)、8はアーム回転用モータ(駆動源)、9は制御部(制御手段、ストッパ位置示唆制御手段)、10はティーチングペンダント、11aはスイッチ、13はタッチパネルスイッチ(選択決定手段)、18は物理被ストッパ、19、20、21、22はストッパ配置部、23は物理ストッパを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム支持ベースに所定可動範囲で駆動源により回転するように設けられたアームと、
前記アームに設けられた物理被ストッパと、
前記アーム支持ベースに設けられ前記物理被ストッパの回転範囲を制限することにより前記アームの回転の可動範囲を前記所定可動範囲のうちの該所定可動範囲より小さい可動範囲の可動範囲区域に制限する2つの物理ストッパと、
前記物理ストッパにより制限された前記アームの可動範囲区域を超えないように設定された可動制御範囲区域で前記アームを駆動するように前記駆動源を制御する制御手段とを備え、
前記物理ストッパは、この物理ストッパの数より多く設けたストッパ配置部に対して着脱可能であり、
前記物理ストッパを前記ストッパ配置部に選択的に装着することにより前記アームの前記可動範囲区域を複数の区域に変化させ、
前記制御手段は、複数の可動範囲区域に対応した可動制御範囲区域で前記アームを制御するようにしたロボットのアーム可動範囲変更制御装置であって、
選択決定手段を備え、
前記制御手段は、
前記所定可動範囲の中間角度を原点に設定し、この原点からアームの一方の回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲の最小角度値とし、前記原点からアームの他方の回転方向の回転限度角度を最大角度値とし、
前記各可動範囲区域のうち、一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を前記原点の角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値とし、
一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を前記原点の角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に対して該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した角度をプラスした角度値とし、
一方の物理ストッパが前記原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した位置にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に対して該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した角度をプラスした角度値とし、
可動制御範囲区域変更要求手段から前記アームの可動制御範囲区域についての変更要求があると、複数のアーム可動制御範囲区域の選択肢を表示手段に表示し、
前記選択決定手段により1つの選択肢を選択決定する旨の入力がなされたことを認識すると、前記回動制御範囲区域を当該選択決定された選択肢の可動制御範囲区域に設定し、
ストッパ配置部に装着されている物理ストッパを取り外すことを促す表示を前記表示手段に表示し、
該可動制御範囲区域に対応する前記可動範囲区域において前記設定された2つの物理ストッパの角度値のうち大きい側の角度値をKa[deg]とし、小さい側の角度値をKb[deg]としたとき、当該2つの物理ストッパの中間角度値Kc[deg]を、
Kc=(Ka−Kb)/2+Kb
なる式で求め、
前記物理被ストッパの現在位置の角度値をX[deg]とし、アームの移動角度をQ[deg]としたとき、Qを
Q=Kc−X
なる式で求め、Q>0のときには、前記アームを、前記他方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記アームを、前記一方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行うことを特徴とするロボットのアーム可動範囲変更制御装置。
【請求項2】
アーム支持ベースに所定可動範囲で駆動源により回転するように設けられたアームと、
前記アームに設けられた物理被ストッパと、
前記アーム支持ベースに設けられ前記物理被ストッパの回転範囲を制限することにより前記アームの回転の可動範囲を前記所定可動範囲のうちの該所定可動範囲より小さい可動範囲の可動範囲区域に制限する2つの物理ストッパと、
前記物理ストッパにより制限された前記アームの可動範囲区域を超えないように設定された可動制御範囲区域で前記アームを駆動するように前記駆動源を制御する制御手段とを備え、
前記物理ストッパは、この物理ストッパの数より多く設けたストッパ配置部に対して着脱可能であり、
前記物理ストッパを前記ストッパ配置部に選択的に装着することにより前記アームの前記可動範囲区域を複数の区域に変化させ、
前記制御手段は、複数の可動範囲区域に対応した可動制御範囲区域で前記アームを制御するようにしたロボットのアーム可動範囲変更制御装置であって、
選択決定手段を備え、
前記制御手段は、記憶部を備え、
この制御部は、
前記アームの所定可動範囲における該アームの一方の回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲の最小角度値として他方の回転方向へアームの回転に応じて増加する角度値とするように該所定可動範囲を特定し、この所定可動範囲の中に複数の可動範囲区域を該所定可動範囲の角度値で設定し、且つ複数の可動範囲区域の中間位置を前記所定可動範囲の角度値で設定し、これら所定可動範囲の角度値及び各可動範囲区域の角度値及び各可動範囲区域の中間位置の角度値を前記記憶部に記憶させ、
可動制御範囲区域変更要求手段から前記アームの可動制御範囲区域についての変更要求があると、複数のアーム可動制御範囲区域の選択肢を表示手段に表示し、
前記選択決定手段により1つの選択肢を選択決定する旨の入力がなされたことを認識すると、前記回動制御範囲区域を当該選択決定された選択肢の可動制御範囲区域に設定し、
前記ストッパ配置部に装着されている物理ストッパを取り外すことを促す表示を前記表示手段に表示し、
前記設定された可動制御範囲区域に対応する可動範囲区域の中間位置角度値を前記記憶部から読出し、この読み出した該可動範囲区域の中間位置角度値をKr[deg]とし、アームの現在の角度値をX[deg]とし、アームの移動先角度値をQ[deg]としたとき、当該Qを、
Q=Kr−X
なる式で求め、Q>0のときには、前記アームを、前記他方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記アームを、前記一方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行うことを特徴とするロボットのアーム可動範囲変更制御装置。
【請求項1】
アーム支持ベースに所定可動範囲で駆動源により回転するように設けられたアームと、
前記アームに設けられた物理被ストッパと、
前記アーム支持ベースに設けられ前記物理被ストッパの回転範囲を制限することにより前記アームの回転の可動範囲を前記所定可動範囲のうちの該所定可動範囲より小さい可動範囲の可動範囲区域に制限する2つの物理ストッパと、
前記物理ストッパにより制限された前記アームの可動範囲区域を超えないように設定された可動制御範囲区域で前記アームを駆動するように前記駆動源を制御する制御手段とを備え、
前記物理ストッパは、この物理ストッパの数より多く設けたストッパ配置部に対して着脱可能であり、
前記物理ストッパを前記ストッパ配置部に選択的に装着することにより前記アームの前記可動範囲区域を複数の区域に変化させ、
前記制御手段は、複数の可動範囲区域に対応した可動制御範囲区域で前記アームを制御するようにしたロボットのアーム可動範囲変更制御装置であって、
選択決定手段を備え、
前記制御手段は、
前記所定可動範囲の中間角度を原点に設定し、この原点からアームの一方の回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲の最小角度値とし、前記原点からアームの他方の回転方向の回転限度角度を最大角度値とし、
前記各可動範囲区域のうち、一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を前記原点の角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値とし、
一方の物理ストッパが前記原点にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を前記原点の角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に対して該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した角度をプラスした角度値とし、
一方の物理ストッパが前記原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した位置にあって他方の物理ストッパが該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した位置にある可動範囲区域については、前記一方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に該原点から可動範囲区域を一方の回転方向へ回転した角度をマイナスした角度値とし、前記他方の物理ストッパの角度値を、前記原点の角度値に対して該原点から可動範囲区域を他方の回転方向へ回転した角度をプラスした角度値とし、
可動制御範囲区域変更要求手段から前記アームの可動制御範囲区域についての変更要求があると、複数のアーム可動制御範囲区域の選択肢を表示手段に表示し、
前記選択決定手段により1つの選択肢を選択決定する旨の入力がなされたことを認識すると、前記回動制御範囲区域を当該選択決定された選択肢の可動制御範囲区域に設定し、
ストッパ配置部に装着されている物理ストッパを取り外すことを促す表示を前記表示手段に表示し、
該可動制御範囲区域に対応する前記可動範囲区域において前記設定された2つの物理ストッパの角度値のうち大きい側の角度値をKa[deg]とし、小さい側の角度値をKb[deg]としたとき、当該2つの物理ストッパの中間角度値Kc[deg]を、
Kc=(Ka−Kb)/2+Kb
なる式で求め、
前記物理被ストッパの現在位置の角度値をX[deg]とし、アームの移動角度をQ[deg]としたとき、Qを
Q=Kc−X
なる式で求め、Q>0のときには、前記アームを、前記他方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記アームを、前記一方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行うことを特徴とするロボットのアーム可動範囲変更制御装置。
【請求項2】
アーム支持ベースに所定可動範囲で駆動源により回転するように設けられたアームと、
前記アームに設けられた物理被ストッパと、
前記アーム支持ベースに設けられ前記物理被ストッパの回転範囲を制限することにより前記アームの回転の可動範囲を前記所定可動範囲のうちの該所定可動範囲より小さい可動範囲の可動範囲区域に制限する2つの物理ストッパと、
前記物理ストッパにより制限された前記アームの可動範囲区域を超えないように設定された可動制御範囲区域で前記アームを駆動するように前記駆動源を制御する制御手段とを備え、
前記物理ストッパは、この物理ストッパの数より多く設けたストッパ配置部に対して着脱可能であり、
前記物理ストッパを前記ストッパ配置部に選択的に装着することにより前記アームの前記可動範囲区域を複数の区域に変化させ、
前記制御手段は、複数の可動範囲区域に対応した可動制御範囲区域で前記アームを制御するようにしたロボットのアーム可動範囲変更制御装置であって、
選択決定手段を備え、
前記制御手段は、記憶部を備え、
この制御部は、
前記アームの所定可動範囲における該アームの一方の回転方向の回転限度角度を当該所定可動範囲の最小角度値として他方の回転方向へアームの回転に応じて増加する角度値とするように該所定可動範囲を特定し、この所定可動範囲の中に複数の可動範囲区域を該所定可動範囲の角度値で設定し、且つ複数の可動範囲区域の中間位置を前記所定可動範囲の角度値で設定し、これら所定可動範囲の角度値及び各可動範囲区域の角度値及び各可動範囲区域の中間位置の角度値を前記記憶部に記憶させ、
可動制御範囲区域変更要求手段から前記アームの可動制御範囲区域についての変更要求があると、複数のアーム可動制御範囲区域の選択肢を表示手段に表示し、
前記選択決定手段により1つの選択肢を選択決定する旨の入力がなされたことを認識すると、前記回動制御範囲区域を当該選択決定された選択肢の可動制御範囲区域に設定し、
前記ストッパ配置部に装着されている物理ストッパを取り外すことを促す表示を前記表示手段に表示し、
前記設定された可動制御範囲区域に対応する可動範囲区域の中間位置角度値を前記記憶部から読出し、この読み出した該可動範囲区域の中間位置角度値をKr[deg]とし、アームの現在の角度値をX[deg]とし、アームの移動先角度値をQ[deg]としたとき、当該Qを、
Q=Kr−X
なる式で求め、Q>0のときには、前記アームを、前記他方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させ、Q<0のときには、前記アームを、前記一方の回転方向へ前記Qの角度だけ回転させることによりストッパ位置の示唆を行うことを特徴とするロボットのアーム可動範囲変更制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−89186(P2010−89186A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259570(P2008−259570)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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