説明

ローエッジベルト及びその製造方法、並びにベルト式無段変速機

【課題】ベルト底面に糊ゴムなどが塗布されていないローエッジベルトを製造する。
【解決手段】ベルト成形体に対しタック性を有しかつ接着性を有しない特性を有する液状のポリマーアロイ11を成形金型101の成形面101aに塗布し、そのポリマーアロイ11を成形金型101側に付着させる。このとき、ポリマーアロイ11は、水素化ニトリルゴム(H−NBR)をメタクリル酸亜鉛により補強した材料であり、パーオキサイド架橋により成形金型101の成形面101aに付着させる。成形金型101の成形面101aに対し、白生地帆布102を巻き付け、その上に、他のベルト成形体の材料を順次巻き付け、加硫成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローエッジベルト及びその製造方法、並びにそのようなローエッジベルトを変速ベルト(伝動ベルト)として用いるベルト式無段変速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルト式無段変速機として、一対のシーブの一方又は両方がシーブ軸上を移動してプーリ溝幅が変化する駆動側及び従動側の変速プーリの間にローエッジベルトが巻き付けられ、駆動力の伝達を遮断する際に駆動側の変速プーリの一対のシーブを全開し、前記駆動側の変速プーリの、回転するシーブ軸に前記ローエッジベルトの底面が接触しながら滑べる構成とされるものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、例えば図3に示すように、ベルト式無段変速機は、互いに平行に配置された駆動側のシーブ軸10A及び従動側のシーブ軸10Bと、それら各シーブ軸10A,10B上にそれぞれ設けられた駆動側及び従動側の2つの変速プーリ20A,20Bと、これら両変速プーリ20A,20Bの間に巻き付けられた変速ベルト50とを備えている。
【0004】
各変速プーリ20A,20Bは、シーブ軸10A,10Bに対し、一体回転可能にかつ軸方向に移動不能に設けられた固定シーブ30A,30Bと、一体回転可能にかつ軸方向に移動可能に設けられた可動シーブ40A,40Bとからなる。そして、固定シーブ30A,30B及び可動シーブ40A,40Bの間には、変速ベルト50が巻き付けられるプーリ溝21A,21Bが形成されている。駆動側と従動側とでは、固定シーブ30A,30B及び可動シーブ40A,40Bの軸方向(図1の左右方向)における配置が互いに逆になっている。
【0005】
変速プーリ20A,20Bの間には、固定シーブ30A,30Bに対する可動シーブ40A,40Bの離接方向が互いに逆になるように両可動シーブ40A,40Bを連結する連結機構60が設けられている。これにより、駆動側の変速プーリ20Aにおいて、可動シーブ40Aが固定シーブ30Aから離れる方向(図1の左方向)に移動して、この変速プーリ20Aのプーリ溝21Aのベルト巻付径が小さくなるときには、従動側の変速プーリ20Bでは、可動シーブ40Bが固定シーブ30Bに近づく方向(同図の左方向)に移動して、変速プーリ20Bのプーリ溝21Bのベルト巻付径が大きくなる。これにより、両変速プーリ20A,20Bの間の速比が高速側に切り換わる。一方、駆動側の変速プーリ20Aにおいて、可動シーブ40Aが固定シーブ30Aに近づく方向(同図の右方向)に移動して変速プーリ20Aのプーリ溝21Aのベルト巻付径が大きくなるときには、従動側の変速プーリ20Bでは、可動シーブ40Bが固定シーブ30Bから離れる方向に移動して変速プーリ20Bのプーリ溝21Bのベルト巻付径が小さくなる。このようにして、両変速プーリ20A,20Bの間の速比が低速側に切り換わる。なお、連結機構60には、具体的には図示していないが、両変速プーリ20A,20Bの間の速比を切換操作するための操作機構と、両変速プーリ20A,20Bの間の速比を低速側に常時付勢する付勢機構とが設けられている。
【0006】
そして、駆動力の伝達を遮断する際には、駆動側の変速プーリ20Aの一対のシーブ30A,40Aを全開し、駆動側の変速プーリ10Aの、回転するシーブ軸10Aに変速ベルト50の底面が接触しながら滑べる状態とされる。
【0007】
このように、ベルト底面をシーブ軸10A上で滑らせる必要があるため、変速ベルト50のベルト底面は摩擦係数が低いこと(具体的には、摩擦係数が0.1以下であること)が求められる。しかも、落下したゴムがシーブ軸10A周辺の隙間に侵入して不具合を起こさないように、ゴム落ち(ゴム粉の落下)がないことも必要となる。
【0008】
そのためには、ベルト底面(底帆布外表面)に通常付着している糊ゴム(黒ゴム)がなく、帆布がそのままベルト底面に現れる構成にすることが考えられる。これは、ベルト底面の帆布層の最外層には糊ゴムがなく、帆布素材そのままの性状であるもの(RFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)処理までのもの)を意味し、このようにすれば表面がさらさらし摩擦係数が低くなるので、シーブ軸上での滑りをスムーズにし、ゴム落ちがないようにすることができるからである。
【0009】
ところで、そのような帆布をベルト底面とするベルトを成形する場合には、図4に示すように、成形金型101の成形面101aに対し一面にのみ糊ゴムが塗布された白生地帆布102を、他面が成形面101a側となるように巻き付け、さらに、底ゴムシート等の残りのベルト材料を順次巻き付け、その後、加硫成形する必要がある。しかしながら、白生地帆布102は、ベルト底面となる表面(他面)に糊ゴムが付着しておらず、いわゆるタック性(帆布を成形金型101の成形面101aに巻き付ける際の粘着性)がないため、ベルトを製作する過程での成形作業で、成形金型に白生地帆布102を巻き付けて外れないように安定させるのが困難である。
【0010】
そのため、従来、このタック性のない白生地帆布を成形金型の成形面上に巻き付けて外れないように安定化させるため、ベルト(完成品)となった後に、問題とならない程度の量の薄い糊ゴムを予め成形金型の成形面に塗布したり、製品化後に問題とならない程度の量のRFL処理をしながら成形の際にタック性を持たせるよう、厳しい管理基準を採用して成形を行っているのが現状である。つまり、成形金型と白生地帆布とは本来タック性がなく、成形がしずらいため、帆布に予め濃度管理した薄い糊ゴムを塗布したり、量管理した、RFLの薄いゴムを施したりしている。
【0011】
これに関連する先行技術として、無端ベルトを成形する金型の成形面にポリマー(離型剤)を塗布する方法が知られている(例えば特許文献2,3参照)。
【特許文献1】特開2003−301904号公報(段落0022〜0025及び図1ないし図3参照)
【特許文献2】特開2000−326338号公報(段落0044〜0057及び図3参照)
【特許文献3】特開2002−192532号公報(段落0014〜022および図3〜図6参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
いずれも、予め成形金型に糊ゴムを塗布する工程中、糊ゴムの濃度や糊ゴムの量の管理を厳しくしなければならないという、製造の困難性を有する。また、帆布のばらつきにより、不良品が多く発生していた。
【0013】
つまり、糊ゴムを塗布したり、帆布自体にRFL・ディップの薄いゴムを施したりする処理がうまくなされていないと、帆布が成形金型から外れ、製品自体を製造することができない不具合がある。一方、糊ゴム等の量が多くなった場合は、ベルト表面へのゴムの滲み出しが多くなり、製品不良となる。
【0014】
いずれにしてもベルト底面を、糊ゴムが塗布されていない帆布面とするローエッジベルトを製造することができないのが現状である。
【0015】
そこで、発明者らは、ベルト成形体(加硫スラブともいう)に対しタック性を有しかつ接着性を有しない特性を有する液状の物質を、ベルト成形に先立ち、成形金型の成形面に予め塗布しておけばよいことに着想し、鋭意研究を重ねたところ、水素化ニトリルゴムにメタクリル酸亜鉛を高度に微分散させたポリマーアロイで、有機過酸化物(パーオキサイド)で架橋されたZSC(日本ゼオン株式会社製)が金属(成形金型)に対し強い接着性を示す一方、ベルト成形体(加硫スラブ)には接着性を有しないことを見い出し、それに基づいて本発明をなすに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明は、一対のシーブの一方又は両方がシーブ軸上を移動してプーリ溝幅が変化する駆動側及び従動側の変速プーリの間に巻き付けられ、駆動力の伝達を遮断する際に駆動側の変速プーリの一対のシーブを全開し、前記駆動側の変速プーリの、回転するシーブ軸にベルト底面が接触しながら滑べるローエッジベルトであって、前記シーブ軸に接触しながら滑るベルト底面が、糊ゴムが塗布されていない帆布面で構成されることを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、ベルト底面は糊ゴムが塗布されておらず、摩擦係数が低くなるので、動力伝達を遮断する(クラッチ機構として使用する)ことを目的として、駆動側の変速プーリの一対のシーブを全開して、変速プーリとベルトとの動力伝達を切った際に、ベルト底面が回転するシーブ軸に接触しながらスムーズに滑べる。
【0018】
請求項2の発明は、ベルト成形体に対しタック性を有しかつ接着性を有しない特性を有する液状のポリマーアロイを、成形金型の成形面に塗布して、前記成形金型の成形面に付着させ、その後前記成形金型の成形面に対し一面にのみ糊ゴムが塗布された白生地帆布を、他面が前記成形面側となるように巻き付け、さらに、残りのベルト材料を順次巻き付け、その後、加硫成形することを特徴とする。ここで、「白生地帆布」とは、ディップ処理後に帆布両面に糊ゴムが塗布される通常の帆布(ゴム引き帆布)とは異なり、金型の成形面側の片面が糊ゴムが塗布されておらずRFL処理がなされただけの面となっている帆布をいう。このような白生地帆布は片面のみゴム引き量が少ないため、ベルト成形時の帆布素材自体がさらさら状で、成形金型(相手材)の成形面とタック性(粘着性)がない性状となっている。
【0019】
このようにすれば、成形金型の成形面に付着されているポリマーアロイとベルト成形体(白生地帆布)とは、タック性があるので、予め厳しい糊ゴムの濃度や量管理を行うことなく容易に成形することができ、型抜き後も、前記ポリマーアロイは成形金型側に残り、白生地帆布側には移行しないため、白生地帆布がそのままの状態で現れるローエッジベルトを製造することができる。また、成形金型も繰り返し、使用可能である。
【0020】
請求項3に記載のように、前記ポリマーアロイは、水素化ニトリルゴム(H−NBR)をメタクリル酸亜鉛により補強した材料であり、前記液状のポリマーアロイは、有機過酸化物で架橋することにより前記成形金型の成形面に付着するものであることが望ましい。
【0021】
このようにすれば、水素化ニトリルゴム(H−NBR)をメタクリル酸亜鉛により補強した材料を、有機過酸化物(例えばパーオキサイド)架橋により、成形金型の成形面(金型表面)に簡単に付着させることができる。
【0022】
請求項4の発明は、一対のシーブの一方又は両方がシーブ軸上を移動してプーリ溝幅が変化する駆動側及び従動側の変速プーリの間にローエッジベルトが巻き付けられ、駆動力の伝達を遮断する際に駆動側の変速プーリの一対のシーブを全開して、前記駆動側の変速プーリの、回転するシーブ軸に前記ローエッジベルトの底面が接触しながら滑べる構成とされるベルト式無段変速機において、前記ローエッジベルトは、前記シーブ軸に接触しながら滑るベルト底面が、表面に糊ゴムが塗布されていない帆布で構成されることを特徴とする。
【0023】
このようにすれば、ベルト底面は糊ゴムが塗布されておらず、摩擦係数が低くなるので、動力伝達を遮断する(クラッチ機構として使用する)ことを目的として、駆動側の変速プーリの一対のシーブを全開して、変速プーリとベルトとの動力伝達を切った際に、ベルト底面が回転するシーブ軸に接触しながらスムーズに滑べる。しかも、ベルト底面は糊ゴムが塗布されておらず、ゴム落ちがないので、落下ゴムがシーブ軸の隙間に侵入して不具合を起こすおそれもない。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明は、ベルト成形体(白生地帆布)に対しタック性を有しかつ接着性を有しない特性を有するポリマーアロイを利用して、ベルト成形するようにしているので、予め厳しい糊ゴムの濃度・量管理を行うことなく容易に成形することができる。また型抜き後も、前記ポリマーアロイは成形金型側に残り、白生地帆布側には移行しないため、白生地帆布がそのままの状態で現れるローエッジベルトを製造することができる。また、成形金型も繰り返し使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0026】
図1は本発明に係る一実施の形態であるローエッジタイプのダブルコグドベルトを示す斜視図である。
【0027】
ローエッジタイプのダブルコグドベルト1は、図1に示すように、接着ゴム2a中に心線2bが螺旋状に巻かれた芯体層2の上下に背ゴム層3及び底ゴム層4が積層され、それら各層に上コグ3A及び下コグ4Aが形成されている。そして、このダブルコグドベルト1は、例えば、前述した構成のベルト式無段変速機(図3参照)の変速ベルトとして用いられるものである。
【0028】
この上コグ3A及び下コグ4Aの表面に帆布層5,6が積層され、下コグ4A側の帆布層6(ベルト底面)が、駆動側の変速プーリ20Aの可動シーブ40Aを全開して、従動側の変速プーリ20Bとの動力伝達を遮断した際に(駆動力の伝達を遮断する際に)、回転するシーブ軸10Aに接触し滑べることになる。
【0029】
この下コグ4A側の帆布層6の最外層の帆布は、表面(底面)側に糊ゴムが塗布されておらず、帆布素材そのまま(RFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)処理までのもの)となっているので、低摩擦係数で、シーブ軸10Aに接触しスムーズに滑べる。しかも、ベルト底面に糊ゴムが塗布されておらず、ゴム落ちがないので、落下ゴムがシーブ軸10A周辺の隙間に侵入して不具合を起こすおそれもない。
【0030】
続いて、本発明に係るダブルコグドベルトの製造方法について説明する。
(工程1)
まず、図2に示すように、成形金型101の成形面101a(表面)に、液状のポリマーアロイ11として未加硫のZSCを液状にしたものを一様に塗布する。ここで、塗布は、本例では刷毛塗りを採用したが、その方法については特に制限されない。また、「ZSC」とは、水素化ニトリルゴム(H−NBR)にメタクリル酸亜鉛により補強し有機過酸化物(パーオキサイド)により架橋されるものをいい、日本ゼオン株式会社の商品(Zeoforte ZSC)で、配合の一例は次の通りである。
【0031】
ポリマーアロイ11(ZSC)の配合(基本配合)
メタクリル酸亜鉛補強ゴム 50部
H−NBR 50
架橋剤 5
カーボン類 30
その他添加剤 16
(工程2)
それから、その成形金型101を加熱して、塗布したZSCをパーオキサイド架橋する。ここで、架橋条件としては、温度は約187℃で、時間は約30分である。
(工程3)
ZSCの架橋が終了した成形金型101の成形面101a(具体的には、架橋されたポリマーアロイ11であるZSC上)に対し一面にのみ糊ゴムが塗布された白生地帆布102を、他面が成形面101a側となるように、エンボス(形付け)巻き付けを行う。ここで、白生地帆布102としては、ポリエステルと綿との混紡帆布が用いているが、それに限定されるものではなく、例えば、綿、ナイロン、アラミドおよびそれらの混紡帆布を用いることも可能である。
(工程4)
巻き付けられた白生地帆布102の外側に、底部ゴム層4となる未加硫の底ゴムシート(図示せず)をエンボス巻き付けを行う。ここで、底ゴムシートとしては、ポリマーアロイ11(ZSC)と接着しない特性を有するゴムを用いなければならず、本例ではクロロプレン系(CR系)のゴムを使用している。
(工程5)
蒸気圧が約0.1MPa、加硫温度が約117℃、加硫時間が10〜30分という条件の下で、半加硫を行う。
(工程6)
この半加硫製品の外周を研削し、ベルト底部(歯部)となる部分の厚みを均等に整える。
【0032】
研削条件については特に制約がなく、研削後の厚さは仕様により異なる。この場合、研削精度は目標厚さに対し±0.5mm以内、好ましくは±0.16mm以内である。
(工程7)
研削後に、その外側に心線2bを螺旋状に一定のピッチでもって巻き付ける。心線2bとしては、本例では、パラ型アラミド繊維(商品名:テクノーラ 帝人株式会社)を用い、その構成は1100dlexの(2×3)を使用しているが、そのほか、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などを用いることもでき、その構成はベルトの仕様により異なる。
(工程8)
背面に、背ゴム層3となる未加硫の背面ゴムシート、帆布層5となる背面帆布を巻く。基本的には背面ゴムシートは底ゴムシートと同一仕様のもの(クロロプレン系(CR系)のゴム)が用いられるが、特に制限されない。
(工程9)
それらのコグスリーブを巻いて本加硫を行う。
(工程10)
加硫後、所望のベルト形状となるように、幅カット、Vカットを行う。
【0033】
前記実施の形態においては、ポリマーアロイのベースには水素化ニトリルゴムを用いているが、金属(成形金型)との相性がよく(接着性がよく)、ベルト成形体と接着しない特性を有するものであれば、他のゴム(例えばNBR)でも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る一実施の形態であるローエッジタイプのダブルコグドベルトを示す斜視図である。
【図2】本発明に係る一実施の形態であるダブルコグドベルトの製造方法の説明図である。
【図3】従来のベルト式無段変速機の概略説明図である。
【図4】従来のダブルコグドベルトの製造方法の説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ダブルコグドベルト
4 底ゴム層
4A 下コグ
6 帆布層
10A,10B シーブ軸
11 ポリマーアロイ
20A,20B 変速プーリ
21A,21B プーリ溝
30A,30B 固定シーブ
40A,40B 可動シーブ
101 成形金型
101a 成形面
102 白生地帆布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のシーブの一方又は両方がシーブ軸上を移動してプーリ溝幅が変化する駆動側及び従動側の変速プーリの間に巻き付けられ、駆動力の伝達を遮断する際に駆動側の変速プーリの一対のシーブを全開し、前記駆動側の変速プーリの、回転するシーブ軸にベルト底面が接触しながら滑べるローエッジベルトであって、
前記シーブ軸に接触しながら滑るベルト底面が、糊ゴムが塗布されていない帆布面で構成されることを特徴とするローエッジベルト。
【請求項2】
ベルト成形体に対しタック性を有しかつ接着性を有しない特性を有する液状のポリマーアロイを、成形金型の成形面に塗布して、前記成形金型の成形面に付着させ、
その後前記成形金型の成形面に対し一面にのみ糊ゴムが塗布された白生地帆布を、他面が前記成形面側となるように巻き付け、
さらに、前記ポリマーアロイに対し接着性を有しない特性を有する底ゴムシート、残りのベルト材料を順次巻き付け、その後、加硫成形することを特徴とするローエッジベルトの製造方法。
【請求項3】
前記ポリマーアロイは、水素化ニトリルゴム(H−NBR)をメタクリル酸亜鉛により補強した材料であり、
前記液状のポリマーアロイは、有機過酸化物で架橋することにより前記成形金型の成形面に付着するものである請求項2記載のローエッジベルトの製造方法。
【請求項4】
一対のシーブの一方又は両方がシーブ軸上を移動してプーリ溝幅が変化する駆動側及び従動側の変速プーリの間にローエッジベルトが巻き付けられ、駆動力の伝達を遮断する際に駆動側の変速プーリの一対のシーブを全開し、前記駆動側の変速プーリの、回転するシーブ軸に前記ローエッジベルトの底面が接触しながら滑べる構成とされるベルト式無段変速機において、
前記ローエッジベルトは、前記シーブ軸に接触しながら滑るベルト底面が、表面に糊ゴムが塗布されていない帆布で構成されることを特徴とするベルト式無段変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−2836(P2006−2836A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179360(P2004−179360)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】