説明

ロータリーオートマイザー及びこのロータリーオートマイザーの空気軸受け保護システム

【課題】ロータリーオートマイザー及びこのロータリーオートマイザーの空気軸受け保護システムを提供する。
【解決手段】本発明によれば、構造を簡単化させて製作コストを節減し、空気軸受けを用いることによりメンテナンスコストを節減すると共に、高速回転が可能になり、圧縮空気の供給が中断されるなどの非常時に圧縮空気を一時的に供給することにより空気軸受けの破損を防ぐことのできるなど、システム全体としての安定性及び耐久性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーオートマイザー及びこのロータリーオートマイザーの空気軸受け保護システムに係り、さらに詳しくは、構造を簡単化させて製作コストを節減し、空気軸受けを用いることによりメンテナンスコストを節減すると共に、高速回転が可能になり、圧縮空気の供給が中断されるなどの非常時に圧縮空気を一時的に供給することにより空気軸受けの破損を防ぐことのできるなど、システム全体としての安定性及び耐久性を高めることのできるロータリーオートマイザー及びこのロータリーオートマイザーの空気軸受け保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーオートマイザーシステムとは、焼却工程中に有害な酸性ガスを除去するための半乾式反応塔において脱黄反応をする消石灰(Ca(OH))を微細な液滴状に噴射することによりSOを除去したり、液状の流体を微細液滴にして乾燥した粉末(例えば、セラミック、食品、医薬品)を生産する製造工程に用いられたりする微細液滴噴射システムである。
【0003】
上述の如き機能をするロータリーオートマイザーシステムの従来の技術として、例えば、下記の特許文献1に示されるものがあるが、この技術は、高速回転を可能にする目的で増速装置を用いるが故に、連続運転時に多くの負荷及び熱が発生し、しかも、この熱を除去するための潤滑装置などを採用することが故に、機器の内部構造が複雑化して維持管理が困難であるだけではなく、製作コストが上がるという不都合があった。
【0004】
また、入力軸と出力軸をそれぞれ玉軸受けを介して回転自在に支持するようになっているが故に、10,000RPM以上の高速回転時に軸受けの耐久性が低下して周期的な軸受けの交換が余儀なくされるという不都合もあった。
【特許文献1】特開平7−328489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造を簡単化させて製作コストを節減し、空気軸受けを用いることによりメンテナンスコストを節減すると共に、高速回転が可能になり、圧縮空気の供給が中断されるなどの非常時に圧縮空気を一時的に供給することにより空気軸受けの破損を防ぐことのできるなど、システム全体としての安定性及び耐久性を高めることのできるロータリーオートマイザー及びこのロータリーオートマイザーの空気軸受け保護システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によるロータリーオートマイザーは、固定子と回転子よりなる駆動モーターと;前記回転子の回転力を伝達されて回転され、上下方向に設けられる所定の長さの回転軸と;前記回転軸の下端部に設けられて外部から供給される液体を微粒子として吹き付ける噴射手段と;前記回転軸の上端と回転子とを伝動自在に連結するとともに、前記回転軸を回転自在に支持する軸支手段と;を備えるロータリーオートマイザーにおいて、前記軸支手段は、回転軸の上端部と前記回転子を互いに連結して、前記回転子の回転力を前記回転軸が回転されるように伝える上部スラストと;前記上部スラストから下方向に一定の間隔だけ離れている前記回転軸に固設される下部スラストと;回転軸ガイド胴体と、前記回転軸ガイド胴体の中央に上下に貫通された取付孔の内面の全体に上下に設けられて中心に上下に軸回転支持孔を形成するジャーナル側の空気軸受けと、前記回転軸ガイド胴体の上下面のうち前記軸回転支持孔の外郭部に前記上下部スラストの下面と上面に対応して凹設された上下凹陥部にそれぞれ設けられる上下スラスト側の空気軸受けと、を備え、前記上下部スラストの間に相当する回転軸が前記軸回転支持孔に回転自在に挿入されると共に、前記上下部スラストの間に相当する回転軸に対して上下動自在に設けられる回転軸ガイド手段と;前記回転軸ガイド胴体の外側に設けられて前記ジャーナル側の空気軸受けと上下スラスト側の空気軸受けに圧縮空気をそれぞれ流れ込ませる圧縮空気流入口と、前記ジャーナル側の空気軸受けと上下スラスト側の空気軸受けに流れ込んだ圧縮空気を排気させる圧縮空気排気口と、を有する圧縮空気流入/排気手段と;を備えてなることを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明によるロータリーオートマイザーの空気軸受け保護システムは、固定子と回転子よりなる駆動モーターと;前記回転子の回転力を伝達されて回転され、上下方向に設けられる所定の長さの回転軸と;前記回転軸の下端部に設けられて外部から供給される液体を微粒子として吹き付ける噴射手段と;前記回転軸の上端と回転子とを伝動自在に連結するとともに、前記回転軸を回転自在に支持する軸支手段と;を備え、前記軸支手段は、回転軸の上端部と前記回転子を互いに連結して、前記回転子の回転力を前記回転軸が回転されるように伝える上部スラストと;前記上部スラストから下方向に一定の間隔だけ離れている前記回転軸に固設される下部スラストと;回転軸ガイド胴体と、前記回転軸ガイド胴体の中央に上下に貫通された取付孔の内面の全体に上下に設けられて中心に上下に軸回転支持孔を形成するジャーナル側の空気軸受けと、前記回転軸ガイド胴体の上下面のうち前記軸回転支持孔の外郭部に前記上下部スラストの下面と上面に対応して凹設された上下凹陥部にそれぞれ設けられる上下スラスト側の空気軸受けと、を備え、前記上下部スラストの間に相当する回転軸が前記軸回転支持孔に回転自在に挿入されると共に、前記上下部スラストの間に相当する回転軸に対して上下動自在に設けられる回転軸ガイド手段と;前記回転軸ガイド胴体の外側に設けられて前記ジャーナル側の空気軸受けと上下スラスト側の空気軸受けに圧縮空気をそれぞれ流れ込ませる圧縮空気流入口と、前記ジャーナル側の空気軸受けと上下スラスト側の空気軸受けに流れ込んだ圧縮空気を排気させる圧縮空気排気口と、を有する圧縮空気流入/排気手段と;を備えてなり、前記圧縮空気流入口に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と;前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気の流動量を感知する感知センサーと;前記圧縮空気流入口に接続されると共に、電磁開閉弁が取り付けられた圧縮空気貯留タンクと;前記圧縮空気貯留タンク内の圧縮空気を前記圧縮空気流入口に流れ込ませるべく、前記感知センサーにおいて検出された圧縮空気供給手段からの圧縮空気の流動量を判断し、その流動量が設定値以下である場合に前記電磁開閉弁を開くように制御する制御手段と;を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、構造を簡単化させて製作コストを節減し、空気軸受けを用いることによりメンテナンスコストを節減すると共に、高速回転が可能になり、圧縮空気の供給が中断されるなどの非常時に圧縮空気を一時的に供給することにより空気軸受けの破損を防ぐことのできるなど、システム全体としての安定性及び耐久性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態を詳述する。
【0010】
図1は、本発明によるロータリーオートマイザーの構成断面図及び空気軸受け保護システムの構成図である。
【0011】
本発明は、固定子11と回転子12よりなる駆動モーター10と、前記回転子12の回転力を伝達されて回転され、上下方向に設けられる所定の長さの回転軸20と、前記回転軸20の下端部に設けられて外部から供給される液体を微粒子状に吹き付ける噴射手段30と、前記回転軸20の上端と回転子12とを伝動自在に連結すると共に、前記回転軸20を回転自在に支持する軸支手段40と、を備えるロータリーオートマイザーにおいて、軸支手段40についての発明をその基本とする。
【0012】
前記軸支手段40は、上部スラスト41と、下部スラスト42と、回転軸ガイド手段43と、圧縮空気流入/排気手段とを備えてなる。
【0013】
ここで、本発明に適用される回転軸20は、例えば、上部スラスト41と下部スラスト42との間に設けられる上部回転軸21と、下部スラスト42の下部に延設される下部回転軸22と、により構成されている。
【0014】
前記上部スラスト41は、横断面が円形であり、回転軸20の上端部、すなわち、回転軸20を構成する上部回転軸21の上端部と前記回転子12とを互いに連結して、前記回転子12の回転力を前記回転軸20が回転するように伝える役割を果たす。
【0015】
より具体的に、前記回転子12の下部に突出された締め付けボルト12aが前記上部スラスト41の中央を貫通した後、回転軸20の上端部、すなわち、回転軸20を構成する上部回転軸21の上端部に螺合することにより、回転子12と回転軸20を互いに結合させるのである。
【0016】
一方、前記下部スラスト42は、前記上部スラスト41から下方向に一定の間隔だけ離れている、前記回転軸20を構成する上部回転軸21の下端部に固設される。
【0017】
すなわち、締め付けボルト21aを介して、下部スラスト42と回転軸20を構成する上部回転軸21とを互いに結合するのである。
【0018】
ここで、本発明においては、回転軸20を上部回転軸21と下部回転軸22とに分離構成したものを例にとって説明しているが、これらの上部回転軸21と下部回転軸22とを分離型ではなく、一体型に構成することもできる。また、一体型に構成した場合には、前記下部スラスト42は、回転軸20の外面に溶接などの固定方法に固定可能であることはもちろんである。
【0019】
そして、前記下部回転軸22は、別途の締め付けボルト21bを介して下部スラスト42に結合される。
【0020】
一方、前記回転軸ガイド手段43は、回転軸ガイド胴体43aと、前記回転軸ガイド胴体43aの中央に上下に貫通された取付孔43bの内面の全体に上下に設けられて中心に上下に軸回転支持孔43dを穿設するジャーナル側の空気軸受け43cと、前記回転軸ガイド胴体43aの上下面のうち前記軸回転支持孔43dの外郭部に前記上下部スラスト41,42の下面と上面とに対応して凹設された上下凹陥部にそれぞれ設けられる上下スラスト側の空気軸受け43e,43fとを備え、前記上下部スラスト41,42の間に相当する回転軸20が前記軸回転支持孔43dに回転自在に挿入されると共に、前記上下部スラスト41,42の間に相当する回転軸29に対して上下動自在に設けられる。
【0021】
最後に、前記圧縮空気流入/排気手段は、前記回転軸ガイド胴体43aの外側に設けられて前記ジャーナル側の空気軸受け43cと上下スラスト側の空気軸受け43e,43fに圧縮空気をそれぞれ流れ込ませる圧縮空気流入口50と、前記ジャーナル側の空気軸受け43cと上下スラスト側の空気軸受け43e,43fに流れ込んだ圧縮空気を排気させる圧縮空気排気口51とにより構成されている。
【0022】
ここで、前記ジャーナル側の空気軸受け43cとスラスト側の空気軸受け43e,43fは、内部に微細な通路が形成されるように製作されるものであり、前記圧縮空気流入口50から圧縮空気を押し込んで供給すると、前記空気軸受け43c,43e,43fの内部に形成された微細な通路を介して噴出されて圧縮空気排気口51に排気されるものであり、このような空気軸受けは公知の技術であるため、その構造についての詳細な説明を省略する。
【0023】
ここで、本発明においては、前記ジャーナル側の空気軸受け43cと上下スラスト側の空気軸受け43e,43fとしては、オリフィス構造の軸受け、炭素素材の軸受け、セラミック素材の軸受けのうちいずれか一種を選択的に使用する。
【0024】
ただし、本発明においては、圧縮空気流入口50を介して流れ込んだ空気が圧縮空気排気口51から排気されるまでの空気移動経路のみを説明する。
【0025】
まず、圧縮空気流入口50を介して圧縮空気が流れ込むと、ジャーナル側の空気軸受け43cの内部に流れ込んだ空気は、ジャーナル側の空気軸受け43cの内部を通過した後、ジャーナル側の空気軸受け43cの内周面と回転軸20を構成する上部回転軸21の外周面との微細な隙間に噴出されて、回転軸20がジャーナル側の空気軸受け43cの内面と摩擦しないように空気層を形成しながら、圧縮空気排気口51を介して排気される。
【0026】
本発明においては、回転軸ガイド胴体43aの中間部を除く残りの上下部に前記ジャーナル側の空気軸受け43cを上下に分離されるように上部ジャーナル側の空気軸受けと下部ジャーナル側の空気軸受けに分離して構成している。このため、上部ジャーナル側の空気軸受けと下部ジャーナル側の空気軸受けの内部を通過する圧縮空気は、回転軸ガイド胴体43aの中央部に集まって最終的に圧縮空気排気口51に排気されるのである。
【0027】
ここで、回転軸ガイド胴体43aの中央部の内面には、前記回転軸20を構成する上部回転軸21の外面と空気が圧縮空気排気口51に移動自在に微細な隙間が形成されている。
【0028】
これにより、前記ジャーナル側の空気軸受け43cにより回転軸20が円滑に回転可能になる。
【0029】
一方、圧縮空気流入口50を介して流れ込んだ圧縮空気は、上下部スラスト側の空気軸受け43e、43fにも供給されるが、上下部スラスト側の空気軸受け43e、43f側に供給された圧縮空気は、この内部を通過した後、上下部スラスト41、42のそれぞれの下面と上面に衝突される。これにより、前記上下部スラスト41、42に衝突される空気の力により、回転軸ガイド胴体43aは回転軸20を構成する上部回転軸21に対して軸方向に微細に摺動して上部スラスト側の空気軸受け43eの上面と上部スラスト41の下面との間に微細な隙間が保持されると共に、下部スラスト側の空気軸受け43fの下面と下部スラスト42の上面との間に微細な隙間が保持されるのである。
【0030】
このため、上部スラスト側の空気軸受け43eの上面と上部スラスト41の下面との間の微細な隙間/下部スラスト側の空気軸受け43fの下面と下部スラスト42の上面との間の微細な隙間には空気層が形成されて、回転軸20と共に上下部スラスト41,42が円滑に高速回転可能になる。
【0031】
一方、前述の上部ジャーナル側の空気軸受け43cの上面と下部ジャーナル側の空気軸受け43cの下面との間にも上下部スラスト41,42と微細な隙間が形成されるため、この微細な隙間によっても圧縮空気の供給による空気層が形成される。
【0032】
上述のように形成された空気層の空気は、ジャーナル側の空気軸受け43cの内周面と回転軸20を構成する上部回転軸21の外周面との間の微細な隙間に移動した後、圧縮空気排気口51を介して排気される。
【0033】
以上述べたように、駆動モーター10に電源を印加して回転子12を高速回転させると、回転子12の回転力が伝達された回転軸20は上述の軸支手段40の作用により高速回転可能になる。
【0034】
ここで、本発明に適用される駆動モーター10においては、固定子11として高周波モーター固定子を用い、回転子12として高周波モーター回転子を用いることにより、回転軸20を6,000RPM〜24,000RPMにて高速回転させることが可能になる。
【0035】
そして、本発明は、回転軸20をジャーナル方向、スラスト方向に回転自在に支持すると共に、従来とは異なり、玉軸受けではなく、空気軸受けを用いるため、回転軸20を長時間無理させることなく高速回転させることが可能になる。
【0036】
そして、本発明に適用される空気軸受けは、その使用寿命が従来の玉軸受けとは異なって極めて長いため、機器を半永久的に使用可能になるというメリットがある。
【0037】
このため、本発明は、回転軸20を高速回転させることができ、結果として、外部から供給される液体を噴射手段30を介して微粒子状に吹き付けることが可能になる。
【0038】
一方、前記噴射手段30は、前記回転軸20の外周面に嵌合する下部板31と、前記下部板31から上方向に一定の間隔だけ離れている個所に前記回転軸20が取り囲むように配置され、内周面が前記回転軸20の外面と一定の隙間を保つように中央に液体投入孔32aが設けられる上部板32と、前記上下部板32,31の間の互いに対応する周縁部に多数配設されるが、上端が前記上部板32に連設され、下端が前記下部板32に連設されて前記上部板32の液体投入孔31aから投入された液体を衝突させることにより、微粒子状に吹き付けるカラム部材33とにより構成されている。
【0039】
ここで、前記液体は、半乾式反応塔における脱硫反応に用いる消石灰(Ca(OH))またはセラミック、食品、医薬品を生産するために用いられるものを通称するものであり、後述する第1の保護ケース61を構成する底面プレート61bに形成されている液体供給パイプ80を介して供給するが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、他の経路を介しても前記上部板32の液体投入孔32aに液体を投入可能であることはもちろんである。
【0040】
一方、本発明は、前記軸支手段40の上部に位置して前記駆動モーター10を設けるための駆動モーター搭載プレート60と;前記駆動モーター搭載プレート60に下方向に設けられて前記軸支手段40を内蔵してこれを外部から保護するための側壁プレート61aと、底面プレート61bとを有する第1の保護ケース61と;前記第1の保護ケース61の側壁プレート61aに設けられてチャンバーに結合されるブラケット62と;上端が前記ブラケット62の下面に連設されて前記噴射手段30を除く第1の保護ケース61及び前記第1の保護ケース61から突出された回転軸20を内蔵してこれを外部から保護するための第2の保護ケース63と;をさらに備えることができる。
【0041】
すなわち、上述の如き第1及び第2の保護ケース63を備える理由は、本発明のオートマイザーが設けられるチャンバーの内部温度が高温である場合に、高温の熱からオートマイザーの構成部品が劣化することを未然に防ぐためである。
【0042】
一方、本発明は、オートマイザーが設けられるチャンバーの内部温度が高温である場合に、高温の熱により劣化することを防ぐために、前記ブラケット62の一方の側には冷却水流入口62aを設け、他方の側には冷却水排出口62bを設けて、前記冷却水流入口62aを介して流れ込んだ冷却水は前記第2の保護ケース63と第1の保護ケース61との間の空間を介して流動して前記冷却水排出口62bを介して排出させる。
【0043】
そして、本発明は、前記噴射手段30を前記第2の保護ケース63の下面から微細な間隔だけ離れるように設け、前記第2の保護ケース63の下周縁に空気を下向きに導くテーパー面63aを設けて、前記噴射手段30と第2の保護ケース63との間の離隔空間に第1の保護ケース61を構成する底面プレート61bに設けられた空気供給パイプ90により空気を供給して、前記テーパー面63aに沿って流動する空気により円錐状のエアーカーテンを設けることにより、前記噴射手段30により噴射される微粒子が下方向に広がりながら噴射されるように導くための噴射方向誘導手段を備えてもよい。
【0044】
ここで、空気は、第1の保護ケース61を構成する底面プレート61bに設けられた空気供給パイプ90を介して供給するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他の経路を介しても前記噴射手段30と第2の保護ケース63との間の離隔空間に空気を供給可能であることはもちろんである。
【0045】
以上、本発明の好適なロータリーオートマイザーの構成について説明した。
【0046】
以下では、本発明によるロータリーオートマイザーの基本的な構成、すなわち、請求項1に記載のロータリーオートマイザーの構成において、圧縮空気が供給できない非常時の状況において空気軸受けを保護するための保護システムについて説明する。しかしながら、本発明による保護システムは必ずしも請求項1のものに限定されるものではなく、本発明によるロータリーオートマイザーの全体構成にも適用可能であることを明らかにしておく。
【0047】
本発明による空気軸受けの保護システムは、圧縮空気が供給できないか、あるいは、設定量以下に供給される非常状況が発生すると、ジャーナル側の空気軸受け43cと上下スラスト側の空気軸受け43e,43fにそれ以上空気が供給されないか、あるいは、設定値以下に供給される。
【0048】
これにより、上部スラスト側の空気軸受け43eの上面と上部スラスト41の下面との間の微細な隙間/下部スラスト側の空気軸受け43fの下面と下部スラスト42の上面との間の微細な隙間が正常的な圧縮空気の供給時とは異なり変更されて、自重により回転軸ガイド胴体43aが下降して下部スラスト側の空気軸受け43fの全体と下部側のジャーナル側の空気軸受け43cの下面の一部が下部スラスト42の上面に摩擦され、結果として、下部スラスト側の空気軸受け43fと下部側のジャーナル側の空気軸受け43cが損耗されるという不都合が生じる。
【0049】
このため、本発明は、このような空気軸受けの保護のためのものであり、前記圧縮空気流入口50に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段100と、前記圧縮空気供給手段100からの圧縮空気の流動量を感知する感知センサー110と、前記圧縮空気流入口50に接続されると共に、電磁開閉弁121が取り付けられた圧縮空気貯留タンク120と、前記圧縮空気貯留タンク120内の圧縮空気を前記圧縮空気流入口50に流れ込ませるべく、前記感知センサー110において検出された圧縮空気供給手段100からの圧縮空気の流動量を判断して、それが設定値以下である場合に前記電磁開閉弁121を開くように制御する制御手段130とを備える。
【0050】
ここで、前記圧縮空気貯留タンク120内には圧縮空気が充満されており、前記電磁開閉弁121が開かれると、貯留タンク120内に充満されている空気が圧力により圧縮空気流入口50に自然に流れ込んで、正常的な圧縮空気の供給時と同じ条件下で、上部スラスト側の空気軸受け43eの上面と上部スラスト41の下面との間に微細な隙間/下部スラスト側の空気軸受け43fの下面と下部スラスト42の上面との間に微細な隙間に空気層を形成する。
【0051】
一方、本発明は、前記制御手段130により圧縮空気供給手段100からの圧縮空気の流動量を判断して、それが設定値以下である場合に動作する非常ベル140をさらに備えることにより、作業者への音による認識を図っている。
【0052】
これにより、作業者は直ちに駆動モーター10の駆動を止めることができ、それ以上の空気軸受けの損耗を防ぐことができる。
【0053】
なお、本発明は、上述の如く、作業者が手作業で駆動モーター10の駆動を急停止しない代わりに、前記制御手段130により圧縮空気供給手段100への圧縮空気の流動量を判断してそれが設定値以下である場合に、前記電磁開閉弁121を開いて前記圧縮空気貯留タンク120内の空気を前記圧縮空気流入口50に流れ込ませる過程で、インバーター150を用いて駆動モーター10の回転子12の速度を徐々に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によるロータリーオートマイザーの構成断面図及び空気軸受け保護システムの構成図。
【符号の説明】
【0055】
10…駆動モーター
11…固定子
12…回転子
20…回転軸
30…噴射手段
31…下部板
32…上部板
32a…液体投入孔
33…カラム部材
40…軸支手段
41…上部スラスト
42…下部スラスト
43…回転軸ガイド手段
43a…回転軸ガイド胴体
43b…取付孔
43c…ジャーナル側の空気軸受け
43d…軸回転支持孔
50…圧縮空気流入口
51…圧縮空気排気口
60…駆動モーター搭載プレート
61…第1の保護ケース
61a…側壁プレート
61b…底面プレート
62…ブラケット
62a…冷却水流入口
62b…冷却水排出口
63a…テーパー面
63…第2の保護ケース
100…圧縮空気供給手段
110…感知センサー
120…圧縮空気貯留タンク
121…電磁開閉弁
130…制御手段
140…非常ベル
150…インバーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子(11)と回転子(12)よりなる駆動モーター(10)と;前記回転子(12)の回転力が伝達されることで回転する、上下方向に設けられる所定の長さの回転軸(20)と;前記回転軸(20)の下端部に設けられて外部から供給される液体を微粒子として吹き付ける噴射手段(30)と;前記回転軸(20)の上端と回転子(12)とを伝動自在に連結するとともに、前記回転軸(20)を回転自在に支持する軸支手段(40)と;を備えるロータリーオートマイザーにおいて、
前記軸支手段(40)は、
回転軸(20)の上端部と前記回転子(12)を互いに連結して、前記回転子(12)の回転力を前記回転軸(20)が回転するように伝える上部スラスト(41)と;
前記上部スラスト(41)から下方向に一定の間隔だけ離れている前記回転軸(20)に固設される下部スラスト(42)と;
回転軸ガイド胴体(43a)と、前記回転軸ガイド胴体(43a)の中央に上下に貫通された取付孔(43b)の内面の全体に上下に設けられて中心に上下に軸回転支持孔(43d)を形成するジャーナル側の空気軸受け(43c)と、前記回転軸ガイド胴体(43a)の上下面のうち前記軸回転支持孔(43d)の外郭部に前記上下部スラスト(41,42)の下面と上面に対応して凹設された上下凹陥部にそれぞれ設けられる上下スラスト側の空気軸受け(43e,43f)と、を備え、前記上下部スラスト(41,42)の間に相当する回転軸(20)が前記軸回転支持孔(43d)に回転自在に挿入されると共に、前記上下部スラスト(41,42)の間に相当する回転軸(29)に対して上下動自在に設けられる回転軸ガイド手段(43)と;
前記回転軸ガイド胴体(43a)の外側に設けられて前記ジャーナル側の空気軸受け(43c)と上下スラスト側の空気軸受け(43e,43f)に圧縮空気をそれぞれ流れ込ませる圧縮空気流入口(50)と、前記ジャーナル側の空気軸受け(43c)と上下スラスト側の空気軸受け(43e,43f)に流れ込んだ圧縮空気を排気させる圧縮空気排気口(51)と、を有する圧縮空気流入/排気手段と;
を備えてなることを特徴とするロータリーオートマイザー。
【請求項2】
前記ジャーナル側の空気軸受け(43c)と上下スラスト側の空気軸受け(43e,43f)としては、オリフィス構造の軸受け、炭素素材の軸受け、セラミック素材の軸受けのうちいずれか一種を選択的に使用することを特徴とする請求項1に記載のロータリーオートマイザー。
【請求項3】
前記噴射手段(30)は、
前記回転軸(20)の外周面に嵌合する下部板(31)と;
前記下部板(31)から上方向に一定の間隔だけ離れている個所に前記回転軸(20)が取り囲むように配置され、内周面が前記回転軸(20)の外面と一定の隙間を保つように中央に液体投入孔(32a)が設けられる上部板(32)と;
前記上下部板(32,31)の間の互いに対応する周縁部に多数配設されるが、上端が前記上部板(32)に連設され、下端が前記下部板(32)に連設されて前記上部板(32)の液体投入孔(31a)から投入された液体を衝突させることにより、微粒子状に吹き付けるカラム部材(33)と;
により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリーオートマイザー。
【請求項4】
前記軸支手段(40)の上部に位置して前記駆動モーター(10)を設けるための駆動モーター搭載プレート(60)と;
前記駆動モーター搭載プレート(60)に下方向に設けられて前記軸支手段(40)を内蔵してこれを外部から保護するための側壁プレート(61a)と、底面プレート(61b)とを有する第1の保護ケース(61)と;
前記第1の保護ケース(61)の側壁プレート(61a)に設けられてチャンバーに結合されるブラケット(62)と;
上端が前記ブラケット(62)の下面に連設されて前記噴射手段(30)を除く第1の保護ケース(61)及び前記第1の保護ケース(61)から突出された回転軸(20)を内蔵してこれを外部から保護するための第2の保護ケース(63)と;
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のロータリーオートマイザー。
【請求項5】
前記ブラケット(62)の一方の側には冷却水流入口(62a)を設け、他方の側には冷却水排出口(62b)を設けて、前記冷却水流入口(62a)を介して流れ込んだ冷却水は前記第2の保護ケース(63)と第1の保護ケース(61)との間の空間を介して流動して前記冷却水排出口(62b)を介して排出させることを特徴とする請求項4に記載のロータリーオートマイザー。
【請求項6】
前記噴射手段(30)を前記第2の保護ケース(63)の下面から微細な間隔だけ離れるように設け、前記第2の保護ケース(63)の下周縁に空気を下向きに導くテーパー面(63a)を設けて、前記噴射手段(30)と第2の保護ケース(63)との間の離隔空間に空気を供給して、前記テーパー面(63a)に沿って流動する空気により円錐状のエアーカーテンを設けることにより、前記噴射手段(30)により噴射される微粒子が下方向に広がりながら噴射されるように導くための噴射方向誘導手段を備えることを特徴とする請求項4または5に記載のロータリーオートマイザー。
【請求項7】
固定子(11)と回転子(12)よりなる駆動モーター(10)と;前記回転子(12)の回転力が伝達されることで回転する、上下方向に設けられる所定の長さの回転軸(20)と;前記回転軸(20)の下端部に設けられて外部から供給される液体を微粒子として吹き付ける噴射手段(30)と;前記回転軸(20)の上端と回転子(12)とを伝動自在に連結するとともに、前記回転軸(20)を回転自在に支持する軸支手段(40)と;を備え、
前記軸支手段(40)は、回転軸(20)の上端部と前記回転子(12)を互いに連結して、前記回転子(12)の回転力を前記回転軸(20)が回転するように伝える上部スラスト(41)と;前記上部スラスト(41)から下方向に一定の間隔だけ離れている前記回転軸(20)に固設される下部スラスト(42)と;回転軸ガイド胴体(43a)と、前記回転軸ガイド胴体(43a)の中央に上下に貫通された取付孔(43b)の内面の全体に上下に設けられて中心に上下に軸回転支持孔(43d)を形成するジャーナル側の空気軸受け(43c)と、前記回転軸ガイド胴体(43a)の上下面のうち前記軸回転支持孔(43d)の外郭部に前記上下部スラスト(41,42)の下面と上面に対応して凹設された上下凹陥部にそれぞれ設けられる上下スラスト側の空気軸受け(43e,43f)とを有し、前記上下部スラスト(41,42)の間に相当する回転軸(20)が前記軸回転支持孔(43d)に回転自在に挿入されると共に、前記上下部スラスト(41,42)の間に相当する回転軸(29)に対して上下動自在に設けられる回転軸ガイド手段(43)と;前記回転軸ガイド胴体(43a)の外側に設けられて前記ジャーナル側の空気軸受け(43c)と上下スラスト側の空気軸受け(43e,43f)に圧縮空気をそれぞれ流れ込ませる圧縮空気流入口(50)と、前記ジャーナル側の空気軸受け(43c)と上下スラスト側の空気軸受け(43e,43f)に流れ込んだ圧縮空気を排気させる圧縮空気排気口(51)とを有する圧縮空気流入/排気手段と;を備えてなり、
前記圧縮空気流入口(50)に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段(100)と;
前記圧縮空気供給手段(100)からの圧縮空気の流動量を感知する感知センサー(110)と;
前記圧縮空気流入口(50)に接続されると共に、電磁開閉弁(121)が取り付けられた圧縮空気貯留タンク(120)と;
前記圧縮空気貯留タンク(120)内の圧縮空気を前記圧縮空気流入口(50)に流れ込ませるべく、前記感知センサー(110)において検出された圧縮空気供給手段(100)からの圧縮空気の流動量を判断し、その流動量が設定値以下である場合に前記電磁開閉弁(121)を開くように制御する制御手段(130)と;
を備えることを特徴とするロータリーオートマイザーの空気軸受け保護システム。
【請求項8】
前記制御手段(130)により圧縮空気供給手段(100)からの圧縮空気の流動量を判断して、それが設定値以下である場合に動作する非常ベル(140)をさらに備えることにより、作業者への音による認識を図っていることを特徴とする請求項7に記載のロータリーオートマイザの空気軸受け保護システム。
【請求項9】
前記制御手段(130)により圧縮空気供給手段(100)への圧縮空気の流動量を判断してそれが設定値以下である場合に、前記電磁開閉弁(121)を開いて前記圧縮空気貯留タンク(120)内の空気を前記圧縮空気流入口(50)に流れ込ませる過程で、インバーター(150)を用いて駆動モーター(10)の回転子(12)の速度を徐々に低減することを特徴とする請求項7に記載のロータリーオートマイザの空気軸受け保護システム。

【図1】
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【公開番号】特開2008−207096(P2008−207096A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46268(P2007−46268)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(507062576)
【Fターム(参考)】