説明

ロータリー式定位置投入装置

【課題】連包パウチから個々に切断等されたパウチを従来よりも高速に搬送し、且つ、定位置投入性を向上できるロータリー式定位置投入装置の提供を目的とする。
【解決手段】旋回軸30の回転する際に、案内用カムフォロア46が案内用カム溝内を移動し且つ、首振り用カムフォロア47が首振り用カム溝内を移動して各フォロア46、47がカム溝に応じて駆動されると共にバルブ制御手段48の真空吸引が制御されることによって、連包パウチ5における切断前のパウチ6に吸着パッド43を当てて真空吸引し、カッター7で切断後に前記パウチ5を一方向に搬送した後、他方向に搬送して定位置で吸着を解除することによって当該パウチ6を前記定位置に投入する動作を各吸着パッド43が順次行なうものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリー式定位置投入装置に関し、食品の包装工程において、鮮度保持剤や脱酸素剤及びスープや具材等の調味料を格納部に充填した連包状パウチ(小袋)を1個ずつに切断する装置に組合せて、個々のパウチを定位置に投入するロータリー式定位置投入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連包状のパウチ(「連包パウチ」ともいう)を個々のパウチに切断して、投入箇所の定位置に投入する装置に関して、出願人は、特開2007−126163号公報(以下「特許文献1」という)の吸着パッド式を提案している。又、特開2004−223679号公報(以下「特許文献2」という)のシュート式の投入装置において、シュートに代えて特開平10−230914号公報(以下「特許文献3」という)記載の挟み込みベルトを採用することが考えられる。
【0003】
特許文献1記載の吸着式投入装置の動作概要を説明する。
入口のロールユニットにて連包パウチをガイドして、トップロール位置まで一旦パスラインを持ち上げる。ここから、折り返してほぼ鉛直下方に連包パウチをハンドリングする。
【0004】
連包パウチの横シールのピッチを計測することにより、1回の送り長さが決まると、ニップロール方式のフィード機構によりこの長さ分だけ連包パウチを送って停止する(「間欠フィード方式」という)。
【0005】
パウチの送り完了を受けて、ギロチン式カッターが作動し、パウチ横シール部分の中央をカットする。
【0006】
1個ずつに切断されたパウチを、吸着アーム先端に取付けたバキュームパッドにて吸着し、90°の旋回運動にて投下位置へ移載する。
このとき、パウチの姿勢は吸着時の垂直状態から水平状態に変わる。
【0007】
投入信号に合わせて、吸着解除されると、水平な状態のパウチは垂直下方に自由落下する。
投下されるパウチには水平方向の速度がないため、投入先のコンベアが、間欠動作であれば、停止時に投下することで定位置への投入が可能となる。
【0008】
特許文献1の投入装置の特徴は、パウチの保持からカットと同時に吸着パッドにより真空吸着によって保持する点である。従って、パウチの保持位置はほぼ一定であることから、投入時パウチの姿勢はほぼ同じ条件になる
しかしながら、吸着タイミングについて、パウチの横シール部分のカット位置までの送り完了後、真空吸着開始から保持完了するまで、吸着パッドはパウチに正対する前後方向(パウチの厚さ方向)に動くが、送り方向には動かないため、ロータリー式の連続切断装置に対応できず、さらなる高速化に限界がある。
【0009】
又、往復動作〜吸着パッドは1箇所、パウチ吸着すると90°旋回してパウチを投入し、投入後に吸着待機位置へ戻る構造を有しており、高速化を吸着部のアームを短くすることで高速化に対応可能であるが、戻り時間が必要なため能力は180個/分が限界となる。
【0010】
又、投入時のパウチの速度ベクトルに関して、包装機の搬送方向(水平)に対して、投入パウチは上から下への垂直落下する。従って、投入先のコンベアが連続移動していると、パウチは水平方向の速度成分を持たずに投入するため、投入位置のずれが発生する。
【0011】
次に、特許文献2の投入装置に特許文献3記載と同様の挟み込みベルトを用いた場合を考える。
【0012】
図19に示すように、挟み込みベルトaよりラインb上にパウチcを投入する。
【0013】
この場合、特許文献2の投入装置において、連包パウチの横シールのピッチを計測することにより、1回の送り長さが決まると、ニップロール方式のフィード機構によりこの長さ分だけ連包パウチを送って停止する(間欠フィード方式)。
【0014】
パウチの送り完了を受けて、ギロチン式カッターが作動し、パウチ横シール部分の中央をカットする。
【0015】
図19に示すように、1個ずつに切断されたパウチcは、シュートeにて幅方向をガイドされて待機ロール位置fまで自由落下する。
【0016】
そして、投入要求信号により、挟み込みベルトaが動き先行パウチc(c1)が投入動作に入るときに、待機ロール位置にあるパウチc(c2)は挟み込みベルトaに噛み込んで、ベルト間に挟まれて先端方向に移動する。
【0017】
挟み込みベルトa先端部にある検出器dがパウチを検出すると、挟み込みベルトaの移動が停止し、投入要求信号を待つ(なおこのとき、次のパウチcはカットされ、待機ロール位置fにまで到達している)。
【0018】
挟み込みベルトaの搬送速度は、投入先のコンベア速度に同期しており、投入されるパウチは定位置への投入が可能である。
【0019】
上記の挟み込みベルトによってパウチを保持するまで、上下のベルトa間に挟み込み投入するが、挟み込み部分まではカット後にシュートeを用いた自由落下をする。
この場合、幅方向がパウチcの幅よりも広いガイドのシュートeを用いて自由落下させるため、挟み込み位置でパウチcが傾き、幅方向の位置がずれている可能性がある。この状態で、パウチcが挟み込みベルトaに噛み込まれると、投入待機位置のパウチcの姿勢がばらつき、結果的に投入位置がばらつく(特に小型パウチでは顕著となり易い)。
【0020】
従って、挟み込みベルトを用いたのでは、挟み込み時のパウチ姿勢を一定にできない。上記の原因で傾きのあるパウチが挟み込み開始位置に待機している場合や、厚みの偏りがあるパウチを挟み込むと、搬送中にパウチが回転する可能性があり、挟み込みベルト先端の投入待機位置での姿勢がばらつく。その結果、投入待機位置での停止位置ばらつきが生じる。この場合、検出器でパウチの到着を検出し挟み込みベルトを停止させるが、検出のばらつきがあるため、挟み込みベルト先端からのパウチの出代が異なるものになる。
速度同期をさせて投入するには、挟み込みベルト先端で投入待機、包装機からの同期信号によりベルトが動き、包装機コンベア速度にあわせて投入する。これによって、速度同期するが、投入待機位置のばらつき(パウチ先端の出代のばらつき)の影響により、パウチの投入速度はばらつき、投入位置にばらつきが生じる。
【0021】
又、パウチの中身の違いによる厚みの差や偏りがあり、挟み込み間隔の調整、挟み込み搬送途中のパウチ回転、挟み込み圧力等により中身がパウチ包材を突き破りパウチにピンホールや、斜め方向への投入の可能性がある。又、投入先に凹凸があると、パウチが斜めに投入されるため、突き刺さりが生じたり、衝突によって弾き飛ばされたりすることがある。従って、パウチの投入位置にばらつきが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2007−126163号公報
【特許文献2】特開2004−223679号公報
【特許文献3】特開平10−230914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、上述の実情に鑑み、連包パウチから個々に切断等されたパウチを従来よりも高速に搬送し、且つ、定位置投入性を向上できるロータリー式定位置投入装置の提供を目的とする。
【0024】
又、切断と同時にパウチを吸引保持して確実な切断を確保し、切断後に投入位置のコンベア速度に同期して水平移動して安定性良くコンベア上の目的位置に投入できるロータリー式定位置投入装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、一方向に搬送されたパウチを旋回軸の旋回によって他の方向に搬送して定位置に投入する定位置投入装置において、
パウチを真空吸着する吸着パッドと、
前記吸着パッドを一端部に設けた吸着アームと、
一端が前記旋回軸に連結され、且つ、他端が前記吸着アームに支点軸によって連結された、前記旋回軸の回転によって前記吸着アームに揺動運動を伴った回転運動をさせるためのリンクアームと、
前記吸着アームとリンクアームとの支点軸又は前記吸着アームの該支点軸から吸着パッド側に設けた案内用カムフォロアと、
前記吸着アームの、前記支点軸を挟んで吸着パッドの反対側端部に設けた首振り用カムフォロアとを旋回軸の周囲に複数備えた吸着アーム旋回搬送機構を設け、
前記吸着パッドの真空吸引を前記旋回軸の回転角に対応して制御する制御手段と、
前記複数の案内用カムフォロアが移動可能に装着される案内用カム溝の形成された案内用溝カム及び前記複数の首振り用カムフォロアが移動可能に装着される首振り用カム溝の形成された首振り用溝カムとを固定して設け、
前記旋回軸の回転する際に、前記案内用カムフォロアが案内用カム溝内を移動し且つ、前記首振り用カムフォロアが首振り用カム溝内を移動して各フォロアがカム溝に応じて駆動されると共に制御手段の真空吸引が制御されることによって、一方向に搬送されたパウチに吸着パッドを当てて真空吸引し、前記パウチを一方向に搬送した後、他方向に搬送して定位置で吸着を解除することによって当該パウチを前記定位置に投入する動作を各吸着パッドが順次行なうことを特徴とするロータリー式定位置投入装置である。
【0026】
又、本発明は、一方向に搬送された連包パウチを個々のパウチに切断手段によって切断し、切断されたパウチを旋回軸の旋回によって他の方向に搬送して定位置に投入する定位置投入装置において、
パウチを真空吸着する吸着パッドと、
前記吸着パッドを一端部に設けた吸着アームと、
一端が前記旋回軸に連結され、且つ、他端が前記吸着アームに支点軸によって連結された、前記旋回軸の回転によって前記吸着アームに揺動運動を伴った回転運動をさせるためのリンクアームと、
前記吸着アームとリンクアームとの支点軸又は前記吸着アームの該支点軸から吸着パッド側に設けた案内用カムフォロアと、
前記吸着アームの、前記支点軸を挟んで吸着パッドの反対側端部に設けた首振り用カムフォロアとを旋回軸の周囲に複数備えた吸着アーム旋回搬送機構を設け、
前記吸着パッドへの真空吸引を前記旋回軸の回転角に対応して制御する制御手段と、
前記複数の案内用カムフォロアが移動可能に装着される案内用カム溝の形成された案内用溝カム及び前記複数の首振り用カムフォロアが移動可能に装着される首振り用カム溝の形成された首振り用溝カムとを固定して設け、
前記旋回軸の回転する際に、前記案内用カムフォロアが案内用カム溝内を移動し且つ、前記首振り用カムフォロアが首振り用カム溝内を移動して各フォロアがカム溝に応じて駆動されると共に制御手段の真空吸引が制御されることによって、前記連包パウチにおける切断前のパウチに吸着パッドを当てて真空吸引し、切断手段で切断後に前記パウチを一方向に搬送した後、他方向に搬送して定位置で吸着を解除することによって当該パウチを前記定位置に投入する動作を各吸着パッドが順次行なうことを特徴とするロータリー式定位置投入装置である。
【0027】
本発明においては、前記吸着パッドで連包パウチを吸着する際に、パウチを挟んで吸着パッドの反対側から支持して、吸着パッドが押圧且つ移動するのにパウチをその表面に摺動させつつ支持するプッシャーを設けたことが好適である。
【0028】
又、本発明においては、前記プッシャーは、前記吸着パッドのパウチに当接するタイミングでパウチに前記吸着パッドの逆側から接近して支持し、一方、前記吸着パッドが定位置に向けて移動するときに前記パウチから離隔して支持を解除することが好適である。
【0029】
又、本発明においては、前記切断手段は、前記旋回軸に同期して回転し連包パウチから個々のパウチを切断するロータリー式カッターであることが好適である。
【0030】
又、本発明においては、前記支点軸を前記旋回軸と平行に設け、
支点軸の一方端側に案内用カムフォロア及び案内用溝カムを設け、
前記支点軸の他方端側に首振り用カムフォロア及び首振り用溝カムを設け、
前記案内用溝カムに形成された1条の案内用カム溝内に、複数の案内用カムフォロアが装着され、前記首振り用溝カムに形成された1条のカム溝内に、複数の首振り用カムフォロアが装着されていることが好適である。
【発明の効果】
【0031】
本発明のロータリー式定位置投入装置によれば、旋回軸の回転する際に、前記案内用カムフォロアが案内用カム溝内を移動し且つ、前記首振り用カムフォロアが首振り用カム溝内を移動して各フォロアがカム溝に応じて駆動されると共に制御手段の真空吸引が制御されることによって、前記パウチを一方向に搬送した後、他方向に搬送して定位置で吸着を解除することによって当該パウチを前記定位置に投入する動作を各吸着パッドが順次行なうので、連包パウチから個々に切断等されたパウチを従来よりも高速に搬送し、且つ、定位置投入性を向上できる。
【0032】
又、連包パウチにおける切断前のパウチに吸着パッドを当てて真空吸引し、切断手段で切断後に前記パウチを一方向に搬送した後、他方向に搬送して定位置で吸着を解除することによって当該パウチを前記定位置に投入する動作を各吸着パッドが順次行なうので、切断と同時にパウチを吸引保持して確実な切断を確保し、切断後に投入位置のコンベア速度に同期して水平移動して安定性良くコンベア上の目的位置に投入できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るロータリー式定位置投入装置の正面図である。
【図2】前記ロータリー式定位置投入装置の側面図(ライン方向から見た図)である。
【図3】前記ロータリー式定位置投入装置のカバーを外した平面図である。
【図4】(a)は旋回軸の側方視図、(b)は(a)のB方向断面視図である。
【図5】(a)は案内用溝カムを説明する図4(a)のA方向断面視図、(b)は首振り用溝カムを説明する図4(a)のC方向断面視図である。
【図6】前記ロータリー式定位置投入装置において、旋回軸の回転角に応じた工程の進行状態の説明図であって、当該回転角が0°(パウチ吸着且つ下方移動開始)の図である。
【図7】同回転角10°(プッシャー押圧解除)の説明図である。
【図8】同回転角20°の説明図である。
【図9】同回転角30°の説明図である。
【図10】同回転角40°(パウチ吸着下方移動)の説明図である。
【図11】同回転角50°の説明図である。
【図12】同回転角60°(パウチ吸着旋回開始)の説明図である。
【図13】同回転角70°の説明図である。
【図14】同回転角80°の説明図である。
【図15】同回転角90°の説明図である。
【図16】同回転角100°の説明図である。
【図17】同回転角110°(連包パウチカット)の説明図である。
【図18】前記ロータリー式定位置投入装置の工程の説明図である。
【図19】従来の定位置投入装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1〜図5は実施形態に係るロータリー式定位置投入装置の構成説明図、図6〜図11はこの定位置投入装置の工程説明図である。
【0035】
図1〜図5に示すように、ロールユニット4を介して装置上部から下方向(一方向の例)に搬送された連包パウチ(想像線5で示す)を個々のパウチ6に剪断式カッター(切断手段の例)7によって切断し、切断されたパウチ6を旋回軸30の旋回によって水平方向(他の方向の例)移動の搬送ライン10に搬送して定位置に投入するロータリー式定位置投入装置に関するものである。この定位置投入装置には、連包パウチ5の横シール位置の検出器11やカッター7の作動タイミング制御装置等各種の周知の作動制御機器が設けられ、全体がフレーム12の脚部の伸長・短縮でライン10の位置合わせが可能になっている。前記吸着パッド43で連包パウチ5を吸着する際に、検出器11を出て送りローラ11aを通った連包パウチ5(パウチ6)を挟んで吸着パッド43の反対側から支持して、吸着パッド43が押圧且つ移動するのにパウチ6をその表面に摺動させつつ支持するプッシャー20を設けている(図6参照)。
【0036】
図3や図6等に示すように、プッシャー20を切断前後の連包パウチ5(パウチ6)に接近・離隔作動させるため、軸(プッシャー用駆動軸)13がタイミングプーリー14を介して駆動されて、該軸13の回転がレバー15、支点軸16、クランクアーム17を経由してスライドベース19が駆動され、そのスライドベース19に設けたプッシャー20を進退動させる。前記駆動軸13の駆動は、前記旋回軸30と同期回転駆動させるため、詳細は後述するが、ACサーボモータからなるモータ1によって回転駆動する。
【0037】
前記ロータリー式定位置投入装置は、パウチ6を真空吸着する吸着パッド43と、前記吸着パッド43を一端部に設けた吸着アーム40と、一端が前記旋回軸30に支点軸41によって連結され、且つ、他端が前記吸着アーム40に支点軸42によって連結された、前記旋回軸30の回転によって前記吸着アーム40に揺動運動を伴った回転運動をさせるためのリンクアーム39と、前記吸着アーム40とリンクアーム39との支点軸42に設けた案内用カムフォロア46と、前記吸着アーム40の、前記支点軸42を挟んで吸着パッド43の反対側端部に設けた首振り用カムフォロア47とを旋回軸30の周囲に3つずつ備えた吸着アーム旋回搬送機構を設けたものである。
【0038】
又、前記吸着パッド43への真空吸引を前記旋回軸30の回転角に対応して制御する電磁バルブからなるバルブ制御手段48と、前記複数の案内用カムフォロア46が移動可能に装着される案内用カム溝(45a)の形成された案内用溝カム45及び前記複数の首振り用カムフォロア47が移動可能に装着される首振り用カム溝(44a)の形成された首振り用溝カム44とを固定して設けている。バルブ制御手段48の真空吸引通路は、旋回軸30内の3箇所設けられた通路に回転ガス継ぎ手を介して連通している。
【0039】
前記旋回軸30の回転する際に、前記案内用カムフォロア46が案内用カム溝45a内を移動し且つ、前記首振り用カムフォロア47が首振り用カム溝44a内を移動して各フォロア46、47がカム溝に応じて駆動されると共にバルブ制御手段48の真空吸引が制御されることによって、前記連包パウチ5における切断前のパウチ6に吸着パッド43を当てて真空吸引し、カッター7で切断後に前記パウチ5を一方向に搬送した後、他方向に搬送して定位置で吸着を解除することによって当該パウチ6を前記定位置に投入する動作を各吸着パッド43が順次行なうものである。
【0040】
前記プッシャー20は、前記吸着パッド43のパウチ6に当接するタイミングでパウチ6に前記吸着パッド43の逆側から接近して支持し、一方、前記吸着パッド43が定位置に向けて移動するときに前記パウチ6から離隔して支持を解除する動作をするものである。
【0041】
各部の機械構成を詳細に説明する。
(1)3ヘッドの吸着パッド43と1箇所のプッシャー20との同期運動する構造を説明する。
【0042】
図1〜図3に示すように、前記定位置投入装置の駆動源であるACサーボモータ1は、その出力軸に取付けた2つのタイミングプーリー8と9のそれぞれに巻き掛けられているタイミングベルト8a、9aにて、その動力を旋回軸30と軸13に伝えている。タイミングベルト伝達の速度比は、旋回軸30では同速の1:1、軸13側では増速の1:3になっている。このように、速度比に差を設けるのは、吸着パッド43が3ヘッド構成であるため、吸着パッド43毎にプッシャー20を動作させるために、軸13の回転速度を旋回軸30に対して3倍にしている。同一の駆動源(モータ1)によって旋回軸30と軸13を回転させるため、吸着パッド43とプッシャー20との同期性が崩れることはない。
【0043】
(2)吸着パッド43の軌跡を創るメカニズム(リンク機構とこれを動かす2枚の溝カム44、45)を説明する。
【0044】
図3〜図4に示すように、旋回軸30の外周に支点ホルダー38が嵌り込み、キーによって旋回軸30に回転方向に固定されている。支点ホルダー38には3箇所のコ字状の支持部が外径方向に延び、支点ホルダー38の各支持部に支点軸41を挿通することによって同じ円周上に、3箇所に等配置された支点軸41が設けられている。前記支持部には、軸方向前後からリンクアーム39のコ字形状の内側端部が重なり、支点軸41のそれぞれには、リンクアーム39が挿通して回転自在に取付けられている。リンクアーム39の支点軸41と反対側端部には、吸着アーム40を取付ける支点軸42が設けられている。さらに、前記支点軸42と同じ軸心を回転中心とする案内用カムフォロア46が取付けられている。
【0045】
この案内用カムフォロア46は、溝カムである案内用溝カム45と係合し、支点軸41を回転中心としてリンクアーム39を揺動させる。
【0046】
吸着アーム40は、支点軸42を中心として回転自在に固定されているが、支点軸42を中心とした該吸着アーム40の一方側端に、吸着アーム40の回転を規制する首振り用カムフォロア47が設けられ、もう一方側(他方側)端に吸着パッド43が固定されている。
【0047】
首振り用カムフォロア47は、溝カム(首振り用溝カム)44のカム溝(44a)に係合し、吸着アーム40を、その支点軸42を中心として揺動させる。
【0048】
このような組立状態で、旋回軸30が回転すると、図5に示すように、リンクアーム39のカムフォロア(46)は案内用溝カム45に刻まれたカム溝45aのカム曲線をたどって周回し、吸着アーム40のカムフォロア47は首振り用溝カム44に刻まれたカム曲線44aをたどって周回する。これらのカムフォロア46、47がカム曲線を周回することで、リンクアーム39と吸着アーム40とは、カムフォロアの周回位置に応じた揺動角度になる。
【0049】
なお、吸着アーム40の支点軸42は、リンクアーム39の先端に設けてあるため、リンクアーム39の揺動運動により、吸着アーム40の回転中心の位置が刻々変わる。この状態でさらに、吸着アーム40の支点軸42を挟んで吸着パッド43の反対側に取付けた首振り用カムフォロア47が、溝カム44により動かされ、且つ、リンクアーム39の先端(吸着アーム40の回転中心)が揺動運動するため、吸着アーム40に取付けられた吸着パッド43の動作は複合された軌跡を描くことになる。
【0050】
このように、リンクアーム39と吸着アーム40を、2枚の溝カム44と45により、それぞれ別々に揺動させることができる構成になっているため、吸着パッド43の姿勢と動作軌跡は、それぞれの動作の組合せにより、合目的にその動きを創ることが可能になったものである。
吸着パッド43の軌跡は、図4、図5、図6〜図11の符号VPの2点鎖線等によって示している。
【0051】
(3)プッシャー20と吸着パッド43とが同期(真空吸着保持を確実にするメカニズム)する構成について説明する。
【0052】
プッシャー20の軸13にレバー15を取付け回転する。
レバー15の先端にクランクアーム17の一端が取付けられ、クランクアーム17はスライドベース19に他端が取付けられる。
【0053】
スライドベース19は、直動ガイドにて一方向に動作方向が規制されているため、レバー15の回転により、クランクアーム17はスライドベース19を往復運動させる。
【0054】
スライドベース19上に、パウチ6に当接して支持するプッシャー20が組み込まれており、吸着パッド43の方向への接近と後退を繰り返す。
【0055】
なお、上記(1)に記したように、軸13には、旋回軸30の回転と同一駆動源から、3倍速で回転速度を伝達しているため、3ヘッド構成の旋回軸30それぞれの吸着パッド43の動きに同期してプッシャー20が前後する。
前記吸着パッド43でパウチ6を真空吸着する際、吸着パッド43をパウチ6表面に押し当てたときに、パウチ6が後ろ方向に逃げてしまうと吸着が不完全になる。
【0056】
そこで、このプッシャー20の前進を吸着パッド43の前進と同期させることによって、その間に挟み込まれるパウチ6が逃げないようにして、吸着パッド43がパウチ6表面になじみ真空吸着保持が確実に行なえるようにしている。
【0057】
(4)機能目的に合ったバッド軌跡<パウチ6ハンドリング軌跡>を創成する構成について説明する。
【0058】
2つのカム曲線(首振り用カム溝44a、案内用カム溝45a)による複合機構により、下記の4つの区間[1]〜[4]の吸着パッド43の軌跡を創成するものである。
【0059】
[1]吸着開始〜吸着完了までの軌跡:垂直状態のパウチ6に対して、吸着パッド43は当該パウチ6の中身格納部の前方に吸着部分を正対した状態になっている。パウチ6のピッチ送りが完了し、カッター7が動作するとき、吸着パッド43は水平に移動し、カット直前にパウチ6の中身格納部に当接し、吸着動作が始まる。当接後吸着パッド43は、パウチ6を鉛直下方に移動させる方向に動く。
【0060】
つまり、吸着パッド43は、最もコンパクトな軌跡である「逆L字形(鍵の手状態)」をトレースするようになっている。
【0061】
[2]パウチ6の姿勢を変更する際の軌跡:吸着パッド43の鉛直下方への移動は、吸着したパウチ6が旋回しても機構と干渉しない領域で終了する。
【0062】
その後、パウチ6の姿勢を垂直状態から水平状態にするため、吸着パッド43の軸(吸着方向の軸)の姿勢が水平から垂直に変わるように90°旋回する。
【0063】
[3]パウチ6投入時の軌跡:パウチ6の姿勢が水平になると、概略水平姿勢のまま投入先のコンベアの移動速度とほぼ同期した速度で移動する。
【0064】
この移動途中でパウチ6の真空吸着が解除され、パウチ6はコンベアに向けて放物線軌跡を描き落下する。
【0065】
[4]初期状態への復帰軌跡:吸着パッド43の軸を垂直状態から270°旋回し、水平状態に戻す。
本発明の装置では、吸着パッド43先端のあるべき軌跡([1]〜[4])から、逆に溝カム44、45のカム形状を決めている。
【0066】
(5)コンパクトな構成(最小ピッチ45mmに対応、装置の省スペース化)を達成できる。
【0067】
[1]吸着パッド43の軌跡は、単純な旋回動作でなく、上記(4)で記したような「逆L形→90°旋回→水平移動→270°旋回」軌跡で動く。この軌跡により、吸着ポイントをカット装置のカット機構直下に(近傍に)配置することが可能になった。このため、パウチ6の最小ピッチ寸法は45mmまでのものが吸着可能になり、通常扱うパウチ6のほとんどが扱える範囲になっている。
【0068】
[2]単純な旋回運動でなく、上記(4)で記したような「逆L形→90°旋回→水平移動→270°旋回」軌跡で動くことによる第2の特徴は、定位置投入装置自体の大きさを非常にコンパクトにできることである。
【0069】
前述した従来装置に対して、実施形態の定位置投入装置は、カッター(カット装置本体)の幅W260mmに対して20mmしかはみ出さず、コンパクトに取付け可能であり、組合せ装置全体の外径寸法も小さくなり設置エリアの制限も少なくなる。
【0070】
次に、図6から図17によって、実施形態に係るロータリー式定位置投入装置の動作について説明する。
【0071】
図6から図17において、旋回軸30が120°回転の推移を表しているが、3つの吸着パッド43を備えるので、吸着パッド43に付した符号「(1)」等の番号によって、旋回軸30が1回転(360°)する間の、同一の吸着パッド43の位置を10°毎に表している。図18にプッシャー20、カッター7、吸引パッド43の旋回軸の回転に対する作動タイミングを示している。
【0072】
前記図16で符号43(0、36)の吸着パッド43が原位置と1回転終わり位置としている。図17で吸着パッド43(1)が10°進んでおり、さらに図6から図16に示す吸着パッド43(2)から吸着パッド43(12)に至って120°進む。
その120°より進んで、図17から図6に戻りそれから図16までに示す、吸着パッド43(13)から吸着パッド43(24)に至って240°進む。
その240°より進んで、図17から再度図6に戻ってそれから図16までに示す、吸着パッド43(25)から吸着パッド43(36)に至って360°進むことを示している。
【0073】
[1]吸着開始から吸着完了までは次のようになる。
この工程[1]は、吸着パッド43の番号の(0)〜(8)に該当する。図16から図17、図6から図12に示す。
旋回軸30の回転角は80°である。吸着パッド43の軌跡は図12に二点鎖線で示すように、逆L字型になる。
連包パウチ5のカッターによる切断に関しては、吸着パッド43がパウチ6に当接しプッシャー20で押圧する(1)位置で切断する(図17参照)。
【0074】
詳しくは、連包パウチ5の横シール間隔のピッチを検出しながら、上方から下方に向けて鉛直な状態で1ピッチずつ間欠的にカッター7へ送り込む(実施形態の構成では間欠搬送であるが、ロータリーカット方式の連続搬送にも対応可能である)。送り込みが完了するタイミングに合わせて、吸着パッド43がパウチ6の左方向から接近し、同時に逆方向からはプッシャー(あて板)20がパウチ6方向に移動する。このように、吸着パッド43とプッシャー20間でパウチ6を挟み込むようにすることで、吸着パッド43の真空吸着保持が確実に実行されるようにしている。
【0075】
連包パウチ5の横シール部分がカッター7にて切断され、パウチ6が1個ずつに分断される直前のタイミングに合わせて吸着パッド43はパウチ6に当接し、吸着動作が始まる。当接後の吸着パッド43は、パウチ6をプッシャーとの間に挟み込んだ状態のまま、概略鉛直下方に移動しながら、パウチ6の真空吸着保持を完了する。このようにパウチ6を鉛直下方(送り方向)に移動させるのは、次のパウチ6をカットするための送り込み開始までの休止時間を削減するためである。
【0076】
真空吸着保持完了までパウチ6をカットされた位置から移動させないと、次にカットするパウチ6の送り込みを開始できず、待ち時間が発生し、サイクルタイムを短縮することができない。実施形態の間欠送りのカット装置(カッター7)との組合せでは、それほど問題にならないが、ロータリーカッターを使用した連続カット装置との組合せでは、カット終了に引き続き次のパウチ6がカッター7方向へ送り込まれてくるため、カット完了したパウチ6は移動し続け、次のパウチ6が進入できる場所を空けなければならない。このため、パウチ6に当接し吸着動作が始まると同時に、吸着パッド43は鉛直下方に移動することで、次のパウチ6の連続的な進入を可能にしている。
【0077】
[2]吸着完了後のハンドリング
この工程[2]は、吸着パッド43の番号の(8)〜(14)に該当する。図12から図17、図6に示す。
旋回軸30の回転角は60°である。吸着パッド43の軌跡は、プッシャー20の方向を向いていたのが下方に向くという90°の旋回をする。
吸着パッド43の姿勢は、工程[1]の水平から、[2]工程が完了するときには垂直になっている。従って、吸着パッド43で吸着したパウチ6は、垂直状態から水平状態に姿勢を変える。
【0078】
詳しくは、真空吸着保持が完了すると、プッシャー20は右方向に後退し、吸着パッド43はその軸をほぼ水平状態にしたまま、概略鉛直下方に移動する。
このような吸着パッド43の動きにより、パウチ6は鉛直方向に姿勢を保ったまま下方向にハンドリングされる。
【0079】
真空吸着保持完了と同時に、パウチ6を下向きに回転させると、パウチ6の上側は、外向きに大きく旋回し、後退していくプッシャーと干渉することになる。
パウチ6が傾いても、干渉する部品がない領域になると、吸着パッド43の軸が傾き旋回動作に入り、パウチ6の方向を鉛直方向から水平方向に90°姿勢を変える。
【0080】
[3]投入時のハンドリング
この工程[3]は、吸着パッド43の番号の(14)〜(18)に該当する。図6から図10に示す。
旋回軸30の回転角は40°である。
吸着パッド43の軌跡は、概略水平移動する。
その吸着パッド43の姿勢は、吸着パッド軸43が、上記工程[2]の終了で垂直になっているが、ほぼそのままの垂直な状態に保ち、吸着したパウチ6をほぼ水平状態のままで姿勢を変えない。
パウチ6の投入は、吸着パッド43の番号(15)〜(17)において吸着が解除され、パウチ6は水平速度を持ち、放物線軌跡を描き投入される。
【0081】
詳しくは、図6〜図9に示すように、吸着保持されたパウチ6が水平状態になると、旋回動作が終わり、水平状態を保ったまま(吸着パッド43の軸は垂直状態のまま)擬似的な水平運動が始まる。
【0082】
この水平運動中に、吸着パッド43の真空吸着が解除され、パウチ6は水平状態のまま水平方向の速度を持って投下されるため、放物線軌跡に沿ってコンベアの所定位置に投入される。
この水平運動の速度を、包装機のコンベアの搬送速度と同期させることにより、パウチ6は、水平方向の速度ベクトルを保有した状態で投下されるため、包装機の搬送コンベア上の搬送物(食品やトレイ等の容器)の定位置に投入することができる。
【0083】
[4]初期状態に戻る
この工程[4]は、吸着パッド43の番号の(18)〜(36)に該当する。図10から図17の(18)〜(25)、次いで、図6から図16の(26)〜(36)に示すようになる。
旋回軸30の回転角は、180°である。吸着パッド43は270°の旋回をする。吸着パッド43の軸は垂直状態から水平状態に戻る。
旋回軸30が旋回動作して360°進むことによって吸着パッド43の軸が水平な初期状態に戻る(図16参照)。
【0084】
上記の[1]〜[4]の工程は、旋回軸30が1回転(360°)することにより実現している。旋回軸30が1回転(360°)する間に、案内用カムフォロア46と首振り用カムフォロア47が固定カム(案内用溝カム45、首振り用溝カム44)に刻まれたのカム溝(案内用カム溝45a、首振り用カム溝44a)をたどることで、ひとつの吸着パッド43が上記の[1]〜[4]の工程を実行する。
旋回軸30には3つの吸着パッド43を120°間隔で配置しているので、それぞれの吸着パッド43はそれぞれが旋回軸の120°のずれを持って[1]〜[4]の工程を繰り返し行なう。
例えば、83.3rpmで旋回軸30が回転すると、1回転で3回投入し、1分間で250個のパウチ6の投入が可能になる。
【0085】
実施形態に係るロータリー式定位置投入装置の動作上の特徴は次の通りである。
1.パウチ6を吸着する際、吸着パッド43はコンパクトな逆L字形(鍵の手形状)軌跡を描き動く。従って、カッターユニット下部の限られた空間にロータリー機構を組み込むことが可能になった。
2.カットタイミングに合わせてパウチ6を吸着パッド43とプッシャー20間で挟み込む。従って、吸着パッド43をパウチ6表面に押し付けることで確実な真空吸着を保持できる。
3.パウチ6の吸着は、同じ位置にとどまることなく、移動しながら実施される。従って、待ち時間のロス、ロータリーカット方式の連続送りにも対応できる。
4.パウチ6は水平な姿勢で、投入先のコンベアの水平運動速度に同期して投入する。従って、水平に投入することで、投入先にパウチ6の先端が衝突した際の跳ね返りがなくなる。投入先が連続的に移動していても、速度同期させて定位置投入が可能になった。
5.吸着パッド43は3ヘッド構成で、一方向に回転し続けるロータリー式の構成を有する。従って、待ち時間のない運動機構を実現できることにより、250個/分以上の高速定位置投入が可能になった。
【0086】
次に、前述の公知文献(特許文献等)記載の技術との相違点について説明する。
【0087】
特許文献1記載の従来技術(第1の従来技術)との相違点を説明する。
1.吸着ハンドリング機構
第1の従来技術:シングルヘッドの往復運動機構である。
実施形態の技術:3箇所の吸着ヘッドを持つロータリー式の一方向回転機構である。
【0088】
2.吸着保持時のヘッドの動作
第1の従来技術:1/4円弧運動の両端を吸着と投入に用いる。
【0089】
実施形態の技術:
[1]吸着ヘッドは逆L型軌跡を描く。吸着パッド43は水平にパウチ6に接近し、当接後パウチ6を垂直方向に移動させる方向に動く。
[2]垂直動作完了後、パウチ6の姿勢を垂直から水平に変えるため90°旋回する。
[3]投入のため、ほぼ水平に移動する。
[4]元の状態に戻るため、270°旋回する。
【0090】
3.パウチ6の投入
第1の従来技術:上から下方向(垂直方向)に移動し下死点に到達した際にパウチ6が水平状態となり、ここで吸着が解除され鉛直下方に落下する。
実施形態の技術:パウチ6は水平状態のまま、コンベアの搬送方向である水平方向に移動しながら吸着解除され、放物線軌跡を描き落下する。
【0091】
次に、特許文献2に挟み込みベルトを用いた投入装置(第2の従来技術)と実施形態の装置との相違点について説明する。
1.パウチ6のハンドリング
第2の従来技術:
[1]切断後自由落下する。
[2]パウチ6を上下から挟み込んでベルトコンベアで搬送する。
【0092】
実施形態の技術:
[1]カット前から吸着体制に入り、カット完了時には吸着保持する。[2]投入まで吸着保持し続ける。
【0093】
2.パウチ6の位置と姿勢保持
第2の従来技術:
[1]自由落下部分はシュートの壁による幅規制(ただし、壁のガイド幅はパウチ6の幅+5〜10mm)がある。
[2]挟み込みベルト部分は幅方向位置、傾きを規制する手段がない。
【0094】
実施形態の技術:
[1]幅方向を規制され、傾きのない状態でパウチ6はカッター7へ進入する。このままの状態で吸着する。
[2]投入まで吸着保持し続けるため、投入時のパウチ6の姿勢は一定になっている。
【0095】
3.投入姿勢
第2の従来技術:
[1]斜め下方向へ速度同期させて投入する〜投入先の商品やワーク表面に、パウチ6先端が衝突した際、反発により跳ね飛ばされ位置ずれすることがある。
[2]投入待機状態ではパウチ6の位置ずれ(出入り方向)・姿勢の傾きがある。
【0096】
実施形態の技術:
[1]パウチ6の姿勢・位置は吸着時のままで変動がない(ほぼ一定の状態)。
[2]パウチ6は水平状態で、水平方向の速度(コンベア搬送速度と同期)を持ち投入される。従って、パウチ6の角の衝突による跳ね飛びがなくなる。
【0097】
4.ピンホール
第2の従来技術:
[1]ベルトコンベア間にパウチ6を挟み込みハンドリング、出口側が入口よりベルトコンベア間隔が狭くなる、ベルト部分は弾力あるがプーリー部分は金属部品でありその隙間によりパウチ6が押し潰される。従って、ピンホール、中身のつぶれが生じる。
【0098】
実施形態の技術:
[1]パウチ6格納部分の表面を真空吸着保持したハンドリングなので、中身をつぶしたりピンホールが発生したりすることはない。
【0099】
以上の実施形態に係るロータリー式定位置投入装置の利点は、次のものである。
1.高速化ができる。
[1]ロータリー機構の採用で吸着パッド43を順次駆動できる。
[2]パウチ6に吸着パッド43が当接後垂直方向へ移動する。
[3]パウチ6を水平搬送しつつコンベア速度に同期して投入できる。これにより、250個/分以上の高速吸着が可能である。
【0100】
2.定位置投入性を改善でききる。
[1]カットと同時にパウチ6を吸着し投入まで離さない。
[2]パウチ6を水平搬送しつつコンベア速度に同期して水平状態で投入できる。
これにより、高精度な定位置投入を実現できる。
【0101】
3.コンパクトなロータリー吸引機構
[1]第1の従来技術の装置は高さ130*幅410及び第2の従来技術の装置は高さ130mm*幅360mmに対して実施形態の装置は高さ85mm*幅280mmであり、カット装置本体幅260mmに対して20mmしかはみ出さずコンパクトに設置可能である。
[2]吸着パッド43の軌跡を単純な旋回ではなく、合目的な軌跡にしたため、カッターユニットに接近させて吸着が可能である。例えば、最小ピッチ45mmのパウチ6の吸着が可能になる。
【0102】
以上説明したように、ロータリー式吸着機構を採用し、ロータリーカッター方式の連続カット装置の組合せが可能である。
【0103】
なお、前記実施形態においては、案内用カムフォロア46を前記吸着アーム40とリンクアーム39との支点軸42に設けていたが、本発明においてはこれに限定されず、その他、案内用カムフォロア46を前記吸着アーム40の該支点軸42から吸着パッド43側に設けることも本発明の範囲内である。
又、前記実施形態では、吸着パッドが120°間隔で3箇所設けていたが、必要に応じて180°間隔で2箇所や90°間隔で4箇所に設けることも本発明の範囲内である。3箇所の吸着パッドを設けるよりも4箇所吸着パッドを設けて一層の高速化が可能である。ただ、4箇所では、90°間隔で軸周りに取付けるので小型機で難しい場合があるが、3箇所であれば120°間隔となり、比較的取付け易く、従って、小型機に適している。
又、真空吸着については、適宜のバキューム装置で負圧吸引するものであれば各種の吸引装置を使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のロータリー式定位置投入装置は、食品以外の各種液状、粉状、粒状製品を充填したパウチ6の定位置投入に利用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 ACサーボモータ
5 連包パウチ
6 パウチ
7 カッター
8 タイミングプーリー(旋回軸回転)
9 タイミングプーリー
10 ライン
11 検出器
11a 送りローラ
13 軸(プッシャー用駆動軸)
20 プッシャー(あて板)
30 旋回軸
38 支点ホルダー
39 リンクアーム
41 リンクアームの支点軸
40 吸着アーム
42 吸着アームの支点軸
43 吸着パッド
44 首振り用溝カム
44a 首振り用カム溝
45 案内用溝カム
45a 案内用カム溝
46 案内用カムフォロア
47 首振り用カムフォロア
48 バルブ制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に搬送されたパウチを旋回軸の旋回によって他の方向に搬送して定位置に投入する定位置投入装置において、
パウチを真空吸着する吸着パッドと、
前記吸着パッドを一端部に設けた吸着アームと、
一端が前記旋回軸に連結され、且つ、他端が前記吸着アームに支点軸によって連結された、前記旋回軸の回転によって前記吸着アームに揺動運動を伴った回転運動をさせるためのリンクアームと、
前記吸着アームとリンクアームとの支点軸又は前記吸着アームの該支点軸から吸着パッド側に設けた案内用カムフォロアと、
前記吸着アームの、前記支点軸を挟んで吸着パッドの反対側端部に設けた首振り用カムフォロアとを旋回軸の周囲に複数備えた吸着アーム旋回搬送機構を設け、
前記吸着パッドの真空吸引を前記旋回軸の回転角に対応して制御する制御手段と、
前記複数の案内用カムフォロアが移動可能に装着される案内用カム溝の形成された案内用溝カム及び前記複数の首振り用カムフォロアが移動可能に装着される首振り用カム溝の形成された首振り用溝カムとを固定して設け、
前記旋回軸の回転する際に、前記案内用カムフォロアが案内用カム溝内を移動し且つ、前記首振り用カムフォロアが首振り用カム溝内を移動して各フォロアがカム溝に応じて駆動されると共に制御手段の真空吸引が制御されることによって、一方向に搬送されたパウチに吸着パッドを当てて真空吸引し、前記パウチを一方向に搬送した後、他方向に搬送して定位置で吸着を解除することによって当該パウチを前記定位置に投入する動作を各吸着パッドが順次行なうことを特徴とするロータリー式定位置投入装置。
【請求項2】
一方向に搬送された連包パウチを個々のパウチに切断手段によって切断し、切断されたパウチを旋回軸の旋回によって他の方向に搬送して定位置に投入する定位置投入装置において、
パウチを真空吸着する吸着パッドと、
前記吸着パッドを一端部に設けた吸着アームと、
一端が前記旋回軸に連結され、且つ、他端が前記吸着アームに支点軸によって連結された、前記旋回軸の回転によって前記吸着アームに揺動運動を伴った回転運動をさせるためのリンクアームと、
前記吸着アームとリンクアームとの支点軸又は前記吸着アームの該支点軸から吸着パッド側に設けた案内用カムフォロアと、
前記吸着アームの、前記支点軸を挟んで吸着パッドの反対側端部に設けた首振り用カムフォロアとを旋回軸の周囲に複数備えた吸着アーム旋回搬送機構を設け、
前記吸着パッドへの真空吸引を前記旋回軸の回転角に対応して制御する制御手段と、
前記複数の案内用カムフォロアが移動可能に装着される案内用カム溝の形成された案内用溝カム及び前記複数の首振り用カムフォロアが移動可能に装着される首振り用カム溝の形成された首振り用溝カムとを固定して設け、
前記旋回軸の回転する際に、前記案内用カムフォロアが案内用カム溝内を移動し且つ、前記首振り用カムフォロアが首振り用カム溝内を移動して各フォロアがカム溝に応じて駆動されると共に制御手段の真空吸引が制御されることによって、前記連包パウチにおける切断前のパウチに吸着パッドを当てて真空吸引し、切断手段で切断後に前記パウチを一方向に搬送した後、他方向に搬送して定位置で吸着を解除することによって当該パウチを前記定位置に投入する動作を各吸着パッドが順次行なうことを特徴とするロータリー式定位置投入装置。
【請求項3】
前記吸着パッドで連包パウチを吸着する際に、パウチを挟んで吸着パッドの反対側から支持して、吸着パッドが押圧且つ移動するのにパウチをその表面に摺動させつつ支持するプッシャーを設けたことを特徴とする請求項2に記載の記載のロータリー式定位置投入装置。
【請求項4】
前記プッシャーは、前記吸着パッドのパウチに当接するタイミングでパウチに前記吸着パッドの逆側から接近して支持し、一方、前記吸着パッドが定位置に向けて移動するときに前記パウチから離隔して支持を解除することを特徴とする請求項3に記載のロータリー式定位置投入装置。
【請求項5】
前記切断手段は、前記旋回軸に同期して回転し連包パウチから個々のパウチを切断するロータリー式カッターであることを特徴とする請求項2乃至4のうちの1項に記載のロータリー式定位置投入装置。
【請求項6】
前記支点軸を前記旋回軸と平行に設け、
支点軸の一方端側に案内用カムフォロア及び案内用溝カムを設け、
前記支点軸の他方端側に首振り用カムフォロア及び首振り用溝カムを設け、
前記案内用溝カムに形成された1条の案内用カム溝内に、複数の案内用カムフォロアが装着され、前記首振り用溝カムに形成された1条のカム溝内に、複数の首振り用カムフォロアが装着されていることを特徴とする請求項1乃至5のうちの1項に記載のロータリー式定位置投入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−1423(P2013−1423A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134823(P2011−134823)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(591272343)株式会社三橋製作所 (13)
【Fターム(参考)】