ロードポート装置及び該ロードポート装置の排塵方法
【課題】ロードポート装置におけるドア駆動機構から発生する微小な塵埃を外部空間に効率的に排除する。
【解決手段】微小空間と繋がる連通開口部を介してドアを支持するドア駆動機構を、該連通開口部により微小空間と通ずる収容室に収容することとし、該収容室において連通開口部と対向する上部の壁と、該収容室の下面を構成する壁と、に各々排気開口部を設け、微小空間−収容室−外部空間への気体流路を形成して、ロードポート装置内の塵埃の除去を図る。
【解決手段】微小空間と繋がる連通開口部を介してドアを支持するドア駆動機構を、該連通開口部により微小空間と通ずる収容室に収容することとし、該収容室において連通開口部と対向する上部の壁と、該収容室の下面を構成する壁と、に各々排気開口部を設け、微小空間−収容室−外部空間への気体流路を形成して、ロードポート装置内の塵埃の除去を図る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセス等において、ポッドと呼ばれる密閉型の搬送容器の内部に保持されたウエハを半導体処理装置間にて移載する際に用いられる所謂FIMS(Front-Opening Interface Mechanical Standard)システム、即ちロードポート装置に関する。より詳細には、該ロードポート装置内部に配置される所謂微小空間の清浄度レベルを従来より向上させる、或いは高いレベルで安定的に清浄度を維持できるロードポート装置及び該ロードポート装置内部より塵埃を除去する排塵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスは、以前は半導体ウエハを取り扱う部屋内部を高清浄化した所謂クリーンルーム内において行われていた。しかし、ウエハサイズの大型化への対処と、クリーンルームの維持管理に要するコスト削減の観点と、から、このような方式は見直されてきた。その結果、近年では各処理装置の内部、ポッド、及び該ポッドより各処理装置への基板の受け渡しを行う微小空間、のみを高清浄状態に保つことで、プロセスを通じての清浄度の管理を行う手法が一般的となっている。
【0003】
上述したポッドは、ウエハを内部に収容し且つ一側面にウエハ挿脱用の開口を有する本体部と、該開口を閉鎖してポッド内部を密閉空間とする蓋と、から構成される。該微小空間は、前述したポッドの開口と対向可能な開口部と、該開口部と向かい合い半導体処理装置側に配置される第二の開口部と、を有する。ロードポート装置は、この開口部が形成された隔壁となる部材即ち壁と、該開口部を閉鎖するドアと、該ドアの動作を司るドア駆動機構と、ポッドが載置される載置台と、から構成される。載置台は、ポッドの開口と開口部とを向かい合わせるようにポッドを支持可能であり、且つポッドと共に蓋をドアと近接或いは離間させる。ドアは、ドア駆動機構によってポッドの蓋を保持可能であり、蓋を保持した状態で開口部と第二の開口部との間の空間から下方に退避させられる。なお、微小空間内にはロボットが配置され、該ロボットは開口部−ポッド開口を介してポッド内部に対する侵入及び退避が可能であって、第二の開口部も介して該ポッド内部と該半導体処理装置との間でウエハの移載を行う。
【0004】
ここで、通常、ウエハを収容した状態でのポッドの内部は、所謂乾燥窒素等の高清浄に管理された気体により満たされており、汚染物質、酸化性のガス等のポッド内部への侵入を防止している。しかし、ポッドの蓋を取り外して内部のウエハを取り出す際には、ポッド内部と前述した微小空間とは連通した状態となる。このため、微小空間からのポッド内部の汚染を防止するために、微小空間の上部には所謂ファン及びフィルタが配置されており、該微小空間内部に所謂塵埃、パーティクル、等を管理した清浄空気を導入し、これら塵等によるポッド内部の汚染を極力防ぐこととしている。また、微小空間上部に配置されたファンを介して微小空間への外気の導入を為すことによって微小空間内に上部から下部に流れるダウンフローを形成している。このダウンフローによって、微小空間の下方に配置された各種駆動機構から発生する塵、パーティクル、等が微小空間内の上部を搬送されるウエハに付着する、或いはポッド内部にまで侵入する、といった事態の防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−167284号公報
【特許文献2】特許第3983219号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロードポート装置において、ドアを駆動するドア駆動機構は、種々の部材が摺動、動作することによってドアの駆動を行っている。このため、このような動作によって発生する塵は、極力微少空間の外部に排除することが好ましい。このため、特許文献2に開示するように、主たる駆動機構は微小空間の外部に設けられた駆動機構用の収容空間内に配置している。当該収容空間と微小空間とは、必要最小限の大きさに設定された長穴等によって連通されている。駆動機構はこの長穴等を介してドアを支持し、且つ微小空間内でのドアの動作を行う。また、特許文献1に開示されるように、当該収容空間の下部にファン等の強制的な排気機構を配置し、当該収容空間において発生した塵埃を強制的に外部空間に排除することでこのような塵が微小空間に至ることを防止する構成も案出されている。
【0007】
ここで、昨今の半導体における高集積化及び高機能化に伴って、配線幅及び配線間距離等はより細く狭くなってきている。従って、これに伴って、半導体製造時に問題視される塵埃についても、従来は問題視されなかったサイズのものも考慮しなければならなくなってきている。このような微細な塵埃の挙動は、例えば重力の影響を殆ど受けない等、従来のものとは大きく異なる。このため、例えば特許文献2に開示する構成のようにファンを用いて収容空間内部を強制的に排気したとしても、ファン近傍に存在した気体とその気体中に浮遊している微小な塵埃しか効果的に排除することができなくなる可能性がある。また、ファンによる気体の吸引力の及ぶ範囲はそれほど大きくなく、ファンから離れた位置に浮遊する微細な塵埃の浮遊方向に対しても大きな影響を及ぼすことは困難と推定される。更に、微小空間内の清浄度の維持と、ドア開閉時の微小空間内部の気体の挙動の安定化の観点から、微小空間内は外部空間に対して気圧をやや高めに維持する必要がある。従って、ファンの能力を上げることで微小な塵埃の排除効率を高めることは、この圧力維持を困難とすることから事実上実施することができない。このため、ドア駆動機構から生じる空間滞在時間の非常に大きな微小な塵埃等を効果的に除去する構成或いは方法の提供が求められている。
【0008】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであって、ドア駆動機構等から生じる恐れのある微小な塵埃を微小空間及び収容空間の外部に効果的に排除することが可能となるロードポート装置を提供することを目的とする。また、本発明は、ロードポート装置内、即ち微小空間等の内部に滞留する塵埃等を効果的に排除する、ロードポート装置の排塵方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るロードポート装置は、蓋と蓋により閉鎖される開口を一側面に有し且つ内部に被収容物を収容する本体部とからなるポッドより、蓋の挿脱を為して開口を開閉することにより被収容物の本体部に対する挿脱を可能とするロードポート装置であって、一方の側に微小空間を且つ他方の側に外部空間を確定して微小空間と外部空間とを連通させる開口部を有する壁と、壁の一方の側にあって、開口部を閉鎖し、蓋を保持可能なドアと、ポッドの開口を壁に対する他方の側において開口部と相対可能の位置に支持する載置台と、ドアを前記開口部の閉鎖位置と開放位置との間を移動させるドア駆動機構であって、他方の側にて動作して、ドアを支持するドア支持部によってドアを一方の側にて支持するドア駆動機構と、他方の側に配置されてドア駆動機構を収容する収容室と、ドア支持部分が貫通可能な、壁に形成されて収容室と微小空間とを連通させる連通開口部と、を有し、収容室は、連通開口部と対向する正面壁に設けられて収容室と外部空間とを連通させる第一排気開口部と、ドアが開口部を開放した状態においてドア駆動機構が最も接近する位置に配置される収容室の下部壁に設けられて収容室と外部空間とを連通させる第二の排気開口部と、を有し、一方の側でドアを包含して構成される微小空間、収容室、及び外部空間の順で各々内部の圧力が低くなるように差圧が設定され、第一の排気開口部及び第二の排気開口部を介した収容室から外部空間への気体の流れは差圧に基づいて生成されることを特徴としている。
【0010】
なお、上述するロードポート装置において、第一の排気開口部は、連通開口部と少なくとも一部が正対することが好ましい。また、正面壁において収容室内における上部の気体滞留領域に存在する気体が流出可能な位置に配置される第三の排気開口部を更に有することがより好ましい。更に、ドア駆動機構はドアを所定の角度範囲で回動させる回動機構を更に有し、ドアは回動状態で開放位置に移動した状態において、連通開口部を介して第一の排気開口部と正対することがより好ましい。また、第二の排気開口部は、収容室の下部において気体の滞留領域を形成しないように全域に設けられることがより好ましい。
【0011】
また、本発明に係るロードポート装置における排塵方法は、蓋と蓋により閉鎖される開口を一側面に有し且つ内部に被収容物を収容する本体部とからなるポッドより、蓋の挿脱を為して開口を開閉することにより被収容物の本体部に対する挿脱を可能とするロードポート装置においてロードポート装置内に発生する塵埃を外部空間に除去するロードポート装置の排塵方法であって、ロードポート装置は、一方の側に微小空間を且つ他方の側に外部空間を確定して微小空間と外部空間とを連通させる開口部を有する壁と、壁の一方の側にあって開口部を閉鎖し、蓋を保持可能なドアと、ポッドの開口を壁に対する他方の側において開口部と相対可能の位置に支持する載置台と、ドアを開口部の閉鎖位置と開放位置との間を移動させるドア駆動機構であって、他方の側にて動作して、ドアを支持するドア支持部分によってドアを一方の側で支持するドア駆動機構と、他方の側に配置されてドア駆動機構を収容する収容室と、ドア支持部分が貫通可能な、壁に形成されて収容室と微小空間とを連通させる連通開口部と、を有し、収容室は、連通開口部と対向する正面壁に設けられて収容室と外部空間とを連通させる第一排気開口部と、ドアが開口部を開放した状態においてドア駆動機構が最も接近する位置に配置される収容室の下部壁に設けられて収容室と外部空間とを連通させる第二の排気開口部と、を有するロードポート装置において、一方の側においてドアを包含して構成される微小空間に対し、微小空間内に気体を導入して上部に上部から下方に向かうダウンフローを形成し、ダウンフローによって収容室に対して第一の圧力差だけ内部圧力の高くなった微小空間より第一の圧力差を利用して連通開口部より収容室に気体を導入し、気体の導入により外部空間に対して第二の圧力差だけ内部圧力の高くなった収容室より第二の圧力差を利用して、第一の排気開口部及び第二の排気開口部を介した収容室から外部空間への気体の流れを生成し、気体の流れによって収容室内に発生した塵埃の外部空間への排除を為すことを特徴としている。
【0012】
なお、上述したロードポート装置の排塵方法において、ドア駆動機構はドアを所定の角度範囲で回動させる回動機構を更に有し、ドアは回動状態で開放位置に移動した状態においてダウンフローの流れ方向の向きを連通開口部方向に変えて収容室内への気体の導入を補助することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収容空間を構成する収容室内部に発生した塵埃等を外部空間に対して迅速且つ効率的に排除することが可能となる。従って、収容室から微小空間内部への塵埃等の流出を効果的に防止し、微小空間内部の清浄度を高いレベルで維持管理することが可能となる。また、本発明によれば、例えば特許文献1に示されるファン等の排気系を無くすることが可能となる。従って、ファンの異常等を監視する必要性、或いはファンのメンテナンス等が無くなり、ロードポート装置の保守管理等に関するコストの削減効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るロードポート装置に関して、ポッドを載置した状態にあるものを側面から見た状態を示す概略構成図である。
【図2A】図1に示すロードポート装置であって、ポッドを取り除いた状態を図1に占めず矢印2A方向から見た状態を示す図である。
【図2B】図2Aに示す状態にあるロードポート装置を側面から見た状態を示す図である。
【図2C】図2Bに示すロードポート装置を矢印2C方向から見た状態を示す図である。
【図3】本実施形態に係るロードポート装置において、ドアが最下端に位置した状態にある時の第一の排気開口部との位置関係を模式的に示す図である。
【図4】本実施形態に係るロードポート装置において、連通開口部と第一の排気開口部及び第三の排気開口部との位置関係を模式的に示す図である。
【図5A】本発明の第二の実施形態に係るロードポート装置を図2Aと同様の様式にて示す正面図である。
【図5B】本発明の第二の実施形態に係るロードポート装置を図2Bと同様の様式にて示す側面図である。
【図5C】本発明の第二の実施形態に係るロードポート装置を図2Cと同様の様式にて示す底図である。
【図6A】本発明の第三の実施形態に係るロードポート装置を図2Aと同様の様式にて示す正面図である。
【図6B】本発明の第三の実施形態に係るロードポート装置を図2Bと同様の様式にて示す側面図である。
【図6C】本発明の第三の実施形態に係るロードポート装置を図2Cと同様の様式にて示す底図である。
【図7A】従来のロードポート装置における収容室内での気体の流れを模式的に示す図である。
【図7B】本発明の一実施形態に係るロードポート装置における収容室内での気体の流れを模式的に示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るロードポート装置を用いた半導体処理装置の実施例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係るロードポート装置の要部についての概略構成を示す。より詳細には、同図は、前述した載置台、ドア、開口部、ドア駆動機構、開口部が構成された微小空間の一部を構成する壁、ドアの駆動機構を収容する収容室、及びこれらに付随する構成を側方から見た状態の部分透視図である。また、図2Aはポッドを取り除いた状態でロードポート装置を図1における矢印2A方向から見た状態の概略構成を示す図であり、図2Bはポッドを取り除いた状態での図1と同様に該ロードポート装置を側面から見た図であり、図2Cは該ロードポート装置を図2Bにおける矢印2C方向から見た状態の概略構成を示す図である。更に、図3は、図1と同様に該ロードポートを側面から見た状態であって、ドアが最下端に位置した際の後述する第一の排気開口部との位置関係を示す図である。また、図4は、図1における矢印2Aと同様の方向から第一の排気開口部等を見た場合の個々の構成の位置関係を模式的に示す図である。
【0016】
ここで、ロードポートに対して載置されるポッド及び該ポッドに収容されるウエハについて先に述べる。ポッド2における本体2aの内部には、被処理物たるウエハ1を内部に収めるための空間が形成されている。本体2aは、水平方向に存在するいずれか一面に開口を有する略箱状の形状を有する。また、ポッド2は、本体2aの開口2bを密閉するための蓋4を備えている。本体2aの内部に水平に保持されたウエハ1を鉛直方向に重ねる為の複数の段を有する棚(不図示)が配置されており、ここに載置されるウエハ1各々はその間隔を一定としてポッド2内部に収容される。ウエハ1は本発明における被収容物に、ポッド2は収容容器たるポッドに、本体2aは基本的な形状が箱体であることから略箱上の形状を有するとして定義される本体に、また、ポッド2の開口2bは基本形状が矩形であることから略矩形状として定義される開口に対応する。
【0017】
本発明に係るロードポート装置51は、載置台53、ドア6、ロードポートの開口部として機能する開口部10、ドアの駆動機構60、開口部が構成された微小空間(図8に関連して後述する搬送室52)を構成する一部材たる壁11を含む。本発明においては、壁11を基準として、ドア6、微小空間等を壁11の一方の側に配置される構成として定義する。微小空間はドア6等を包含する構成として定義される。また、載置台53、ドア駆動機構60における主たる駆動系、後述する収容室45は、壁11の他方の側に存在する構成として定義する。載置台53は、実際にポッド2が載置され、且つ載置されたポッドを開口部10方向に向けて接近或いは離間させる動作が可能な、上部に平坦面を有する可動プレート54を含む。可動プレート54の平坦面表面には位置決めピン54aが埋設されており、ポッド本体2a下面に設けられた位置決め凹部(不図示)に当該位置決めピン54aが嵌合することにより、ポッド2と可動プレート54との位置関係が一義的に決定される。
【0018】
壁11に設けられた開口部10は、可動プレート54上で位置決めされたポッド2が該プレートによって開口部10に最も接近させられた際に、ポッド開口2bを閉鎖する蓋4が嵌まり込む大きさ、即ち蓋4の矩形外形より一回り大きな矩形状とされている。なお、可動プレート54がポッド2を停止させる位置は、ドア6がポッド2の蓋4をポッド本体2aから取り外し可能な位置であれば良い。ここで、壁11は、一方の側に微小空間が配置され、且つ他方の側に外部空間が配置されるように、これら空間を分離確定する作用を呈する。また、開口部10は、微小空間と外部空間とを連通させる。ドア6は、ドアアーム42を介してドア開閉機構60に支持されており、不図示の蓋保持機構によって蓋4の保持が可能となっている。
【0019】
ドア駆動機構60は、ドア6を、開口部10を略閉鎖する位置、及び該開口部10を完全に開放し且つ不図示のロボット(図8参照)が該開口部10を介してポッド2内部に対するウエハ1の挿脱が可能となる退避位置たる開放位置、の間での移動を可能とする。ドア6は、不図示の固定部材を介してドアアーム42の一端に対して回動可能に連結されている。ドアアーム42の他端は、エアー駆動式のシリンダ57の一部であるロッド41の先端部に対して、枢軸40を介して、当該枢軸40に対して回転可能に支持されている。ドアアーム42の該一端と該他端との間には、貫通穴が設けられている。当該穴と、ドアアーム42等のドア開閉を行う構成を昇降させる可動部56により支持、固定される固定部材43の穴とを不図示のピンが貫通することにより、支点61が構成されている。従って、シリンダ57の駆動によるロッド41の伸縮に応じて、ドアアーム42は支点61を中心に回動可能となる。これら各種部材により、ドア駆動機構60が構成されている。
【0020】
ドア駆動機構60は、支点61を中心に、開口部10を閉鎖するドア6を回転させ、開口部10よりドア6を一旦離間させ、その後ウエハ搬送の妨げとならない下方の退避位置(開放位置)に降下させる。即ち、ドア駆動機構60は、蓋4を保持したドア6を例えば5〜10°等の所定の角度範囲で回動することで、ポッド本体2aから蓋4を一旦分離する。また、これらシリンダ57等は、ドアを所定の角度範囲で回動させる回動機構として作用する。その後、可動部材56が下方に移動することによってドア6も下方に移動し、ウエハの搬送の妨げとならない下方の所定の蓋開放、ドア退避位置にて停止する。この停止位置は、便宜上本発明ではドア6の開放位置として定義する。なお、このシリンダロッド41、固定部材43等、ドア駆動機構60の一部であるがドアアーム42を介してドア6を間接的に支持する構成であって、後述する連通開口部35を貫通する諸部材を、本発明では便宜上ドア支持部分と定義して、ドア駆動機構60の主要部とは分離された構成として取り扱う。
【0021】
可動部56は鉛直方向に移動し、該可動部の上下動に伴ってドア6の昇降動作が実施される。この可動部56、シリンダ57の本体部、等、発塵の可能性のある可動部材は、極力微小空間外部に配置される。具体的には、可動部56の動作方向に延在し、ドアアーム42を支持する必要最小限の部材が貫通可能な幅を有する連通開口部35が、壁11に対し設けられている。即ち、連通開口部35は、収容室45内の空間と微小空間とを連通させる機能を有する。シリンダロッド41等はこの連通開口部35を介してドアアーム42に連結されている。また、微小空間外部に配置される可動部56等は、微小空間とは独立して設けられる収容室45内に配置される。即ち、ドア6の開閉及び昇降を実施するドア駆動機構60の構成要素の主たる駆動部は収容室45内に配置され、収容室45は壁11に設けられた連通開口部35を介して微小空間に連通される。即ち、収容室45は、壁11に対してポッド2が載置される載置台53と同じ側であって、該載置台53より鉛直下方に配置される。
【0022】
図1及び図2Aに示すように、収容室45は、壁11と向かい合う正面壁47a、下部(ドア6の昇降軸に沿った下方)を閉鎖する下部壁47b、上部を閉鎖する上部壁47c及び一対の側壁47dより構成される。正面壁47aには、正面壁47aを貫通して設けられ、収容室45内部の気体が外部空間に流出可能となる第一の排気開口部37が設けられている。第一の排気開口部37は、正面壁47aの上部であって、連通開口部35と部分的に対向する位置に配置されている。即ち、第一の排気開口部37は、可憐通開口部35に対して少なくとも一部が正対するように配置される。本実施形態において、第一の排気開口部37は上下方向に延在し、壁11に平行に並置される複数のスリットより構成されており、図4に示すように、該スリットは連通開口部35の幅に対応する領域に配置されている。また、スリットの形成範囲の上端は正面壁47aの加工可能な上端に対応し、下端は降下して最下端に位置するドア6の下端面よりも更に下方となる位置に設けられている。即ち、水平面内にて降下したドア6の下端面と第一の排気開口部37のスリット下端部との水準を比較した場合、該スリット下端部が下方に位置することとしている。なお、図4には、参考として、収容室45内においてドア駆動機構60の占める領域を二点鎖線にて示している。
【0023】
微小空間内部には、該微小空間の上部に配置されたファンによるダウンフローが形成されており、微小空間内部の圧力を外部空間よりも高く維持している。上述した位置に第一の排気開口部37を配置することによって、微小空間内>収容室内なる圧力関係によって連通開口部35を介して微小空間から収容室45に流入した気体は、大きな乱流を形成することなく外部空間に流出する。即ち連通開口部35と第一に排気開口部37との少なくとも一部分を正対させることにより、この正対部分を主たる気体流路として確保し、滑らかな気体の流出経路を確保することが可能となる。また、ドア6の最下端よりも第一の排気開口部48のスリットの下端を配置させることによって、ドア6に当たって収容室内部に向きを変えられたダウンフローの一部を該スリットより部分的に流出させることが可能となる。このようなダウンフローから得られる気流は流れが速く、スリットから外部空間に流れ出す際に周囲の気体を巻き込む効果が期待され、これによってより効果的に収容室45内部の気体の除去、置換を行うことが可能となると考えられる。また、例えば、ポッド2に対するウエハ1の挿脱を行う場合、ドア6は、ダウンフローに対して所定に回転角度に応じた仰角を有して退避位置に存在する。このため、圧力差に加え、微小空間のダウンフローの向きを収容室45内に導く作用を呈し、収容室45内部の塵埃等をより積極的に外部空間に排除する効果が得られる。従って、ドア6が開放位置に移動し、停止した状態にあるときに、ドア6が連通開口35と少なくとも一部が対向する位置となるようにドアの移動範囲が設定されることが好ましい。
【0024】
本実施形態では、図2Cに示されるように、下部壁47bに対して第二の排気開口部38が形成される。第二の排気開口部38は、鉛直方向に垂直であって壁11に対して平行に延在し、水平面内に並置される複数のスリットより構成される。第二の排気開口部38は、下部壁47bにおける加工可能な全域に配置される。本発明においては、空中に滞留する塵埃が微小空間内に流出すること、更にはウエハが移動する領域に至ること、を最も避ける必要がある。従って、収容室45内部においても上部から下部に向かう気流が主たる気体の流れとなることが好ましい。このため、正面壁47aに配置されるスリット(本形態では第一の排気開口部37)の開口面積の総和は、下部壁47bに配置されるスリット(第二の排気開口部38)の開口面積の総和と同等或いは常に小さく設定されることが好ましい。これにより、収容室45内部での気体の流れを上部から下部に向かうものを主体的とすることが可能となる。また、更に、正面壁47aの下部領域に第一の排気開口部を設けないことによって、収容室45内の空間において上部から下部に向かう気流をより積極的に生成することが可能となる。なお、第二の排気開口部38が設けられる下部壁47bは、本発明において、ドア6が開口部10を開放した(即ちドア6が開放位置にある)状態にあって前記ドア駆動機構60が最も接近する位置にある収容室45の壁としても定義される。
【0025】
また、本形態において、外部空間から収容室45内への気体の逆流、及び収容室45内から微小空間内への気体の逆流も、塵埃の不適切な拡散の観点から認められない。このため、各空間の圧力において、微小空間>収容室>外部空間の関係が常に満たされる必要がある。以上の観点から収容室45から外部空間に通じるスリットの開口面積の総和は、連通開口部35の開口面積と同等或いは常に小さく設定されることが好ましい。先にも述べたように、本発明では、正面壁47aの下部領域に第一の排気開口を設けないことによって、このような差圧関係の確立の容易化を図り、且つ収容室下方領域にて第二の排気開口部に向かう気流の流れを主体的なものとすることを図っている。以上の関係を満たすことによって、連通開口部35からスリットを経て外部空間に至る気流が収容室内の上部から下部の概ね全域で生成されることとなり、当該収容室45内のドア駆動機構60に係る構成、更には部分的に連通開口部35から微小空間側に突出する構成から生じる塵埃は、効果的に外部空間に排除されることとなる。
【0026】
また、本実施形態では、正面壁47aにおける第一の排気開口部37の上部両脇に、各々第一の排気開口部37に隣接するように第三の排気開口部39が配置されている。第三の排気開口部39は、水平方向であって壁11と平行な方向に延在し、各々鉛直方向に並置される複数のスリットによって構成される。当該第三の排気開口部39は、図4に示すように、正面壁47aにおいて、連通開口部35の上端部(点線35a)よりも上方となる位置に設けられる。即ち、鉛直面を基準とした時に、第三の排気開口部39は連通開口部35より上方に位置することとなる。連通開口部35より収容室45内部に流入する気体は流入後流れ方向から垂直な所謂上下左右方向に拡散し、流れの幅が広がる。この気流における広がった部分は、正面壁47aにおける第一の排気開口部37が形成されていない部分にあたり、収容室45内部に渦を形成する。収容室45内部では概ね上方から下方に至る気流が形成されているためにこの渦自体も下方に移動し、最終的には第二の排気開口部38から外部空間に流出する。しかし、連通開口部35の上方に形成される空間に存在する気体に関しては、該連通開口部35から流入する気体のために、下方への速やかな移動が妨げられその位置に滞留する恐れがある。当該領域に対応する収容室45内の空間を、本発明では気体滞留領域として定義する。本実施形態の如く、この気体の滞留領域に対応する位置、即ち連通開口部35の上方、に第三の排気開口部39を配置することによって、この滞留気体を該第三の排気開口部39を介して速やかに外部空間に流出されることが可能となる。
【0027】
ここで、本発明の一実施形態に係るロードポート装置における排塵方法は、上述した実施形態に係るロードポート装置を用いることとし、以下の工程を実施することによって効果的な塵埃の除去を図っている。即ち、気流に関する第一のステップとして、微小空間上部に配置されたファンフィルタユニットより微小空間内に清浄気体の導入を図る。これにより、微小空間内における上部から下部に向かう気体の流れであるダウンフローを生成する。また、この気体の導入によって、微小空間内部の圧力の所定の高圧力での維持を図っている。次の第二のステップとして、連通開口部35を介して微小空間と連通する収容室45内部に対して微小空間からの清浄気体の流入を図る。この気体流入は、連通開口部35(及び収容室45に付随する各排気開口部との関係)によって微小空間内と収容室45内との間で設けられる第一の圧力差に基づき、該ダウンフローから得られる。ダウンフローからの得られる清浄気体の流入によって収容室45内部は外部空間に対して更に第二の圧力差分の高い圧力となる。第三のステップでは、この圧力差を利用して、更に各排気開口部を用いた収容室45から外部空間に至る気体の流れを生成する。当外気体の流れによって、収容室45内に生じる、或いは微小空間側から当該収容室45内に持ち込まれた塵埃を外部空間に除去する。以上の除去方法の利用によって、ロードポート装置内部での微小な塵埃等の効果的な除去が可能となる。
【0028】
次に、本発明の第二の実施形態について述べる。図5A〜5Cは、第二の実施形態に係るロードポート装置の概略構成を示す図であって、各々図2A〜2Cと同様の様式によって当該構成を示す図である。なお、以下の説明においては、第一の実施形態と異なる部分についてのみ述べることとし、同一の構成要素等については図中同一の参照符号を用いることにより、その詳細な説明は省略する。本実施形態でも、第一の排気開口部37を第一の実施形態の場合と同様に上下方向に延在するスリットによって構成することとしている。しかし、スリット形成領域の幅を正面壁47aの幅の加工可能な領域の全域としている。また、これに伴って、第三の排気開口部39が無くされている。また、下部壁47bに設けられる第二の排気開口部38であるスリットの形成領域の範囲を広げている。当該構成とすることによって、微小空間−収容室45−外部空間の差圧を確保することが難しくなる反面、収容室45上部での気体の滞留状態の抑制或いは低減と、上方から下方に向かう気流のより確実な生成という効果が得られる。
【0029】
続いて、本発明の第三の実施形態について述べる。図6A〜6Cは、第二の実施形態に係るロードポート装置の概略構成を示す図であって、各々図2A〜2Cと同様の様式によって当該構成を示す図である。なお、以下の説明においては、第一の実施形態と異なる部分についてのみ述べることとし、同一の構成要素等については図中同一の参照符号を用いることにより、その詳細な説明は省略する。本実施形態では、第一の排気開口部37及び第二の排気開口部38の形成領域は第二の実施形態における形成領域と同一としている。しかし、本実施形態では、スリットではなく孔によって排気開口部を形成することとしている。即ち、第一及び第二の排気開口部を有する壁を所謂パンチングメタル等によって構成している。排気開口部をスリット形状とすることによって、気体が当該スリットを経る際に層流を形成することとなり、より速い流れで以って外部空間への気体の流れを生じさせる効果が期待できる。本実施形態の場合、このような効果は期待できない半面、より広い範囲に排気開口として作用する孔を形成することが可能となり、広い範囲からの気体の流出を為すことが可能となるという効果が得られる。
【0030】
図7A及び7Bを用いて、本発明の作用等について以下に述べる。図7A及び図7Bは、図2Aと同様の様式にてロードポート装置及び微小空間より外部空間へいたる気流の流れを模式的に示す図であって、図7Aは従来の構成、図7Bは本発明に係る装置の構成を示している。なお、微小空間内には、当該空間上部に配置されたファンによってダウンフロー65が形成されている。ダウンフロー65は微小空間下部に設けられる不図示のダウンフロー排出経路からも排出されるが、圧力の関係、及びドア6或いはこれが保持する蓋4により流れの方向が一部変えられることにより連通開口部35を介して収容室45内部にも流れ込む。従来の構成からなるロードポート装置においては、収容室45の下部に排気用のファンが配置されるだけであり、図7Bに示すような第一の排気開口部37及び第二の排気開口部38は設けられていない。
【0031】
このため、連通開口部35から収容室45内部に流れ込んだダウンフロー65は収容室45の上部空間では第一の渦67を形成し、更に当該第一の渦67によって流れ方向が塞がれることで、下方に向かった気流もファン69以外の部分において下部壁によって流れが妨げられて第二の渦68を形成する。ファン69は部分的な気体の排気しか為し得ず、従って収容室45内に存在する第一の渦67及び第二の渦68によって塵埃は室内で巻き上げられ、微小室内への流れ出る可能性が生じてしまう。図7Bに示すように、本発明では、正面壁47a及び下部壁47bにおける渦を形成する可能性のある部分に各々第一の排気開口部37及び第二の排気開口部38を形成している。これにより、このような第一の渦67及び第二の渦68が形成される蓋然性を低下させ、収容室45内から外部空間に至る気体の流れを安定的に形成し、当該収容室45内の塵埃を速やかに排除することが可能となる。
【0032】
なお、上述した実施形態では、例えば下部壁47bに対する第二の排気開口部38の形成領域を、加工可能な範囲の全域或いは全域と定義している。単純に収容室45の下部領域或いは空間において下方に向かう気流が主体とするためには、下部壁47bを無くして当該壁が存在する部分を開放することが好ましい。しかし、実際には上述したように微小空間−収容室45−外部空間において所定の圧力差を維持する必要があり、且つ単純に上部ファンの送風能力を大きくして微小空間側の圧力を高くすることも、困難である。このため、第二の排気開口部38はある程度の排気抵抗を有することが必然となり、この排気抵抗、即ち第二の排気開口部38の開口面積の総和、及び該開口部を構成する個々の開口の形状、大きさ等は、微小空間の大きさ、上部ファンの容量、微小空間等に供給されるパージ用の窒素量といった因子に応じて適宜改変されることを要する。従って、本明細書において規定する全域は、第二の排気開口部38が収容室45内の収容空間の下部領域の全域において下方に向かう気流が主体となることを可能とする領域と解釈することを要する。
【0033】
また、この解釈は正面壁47aに設けられる第三の排気開口部39の形成範囲についても同様であり、収容室45の上部領域或いは空間に形成される可能性のある滞留気体について、その滞留領域に応じた範囲として解釈されることを要する。また、上述した実施形態では、排気開口部を複数のスリット或いは孔によって構成する例を示したが、本発明の態様はこれらに限定されない。具体的には所謂メッシュ等により構成する、或いはスリット、孔、メッシュ等を組み合わせる様式、スリット或いは孔であってもその形成密度を場所により異ならせる、或いはその大きさを異ならせることとしても良い。即ち、連通開口部35、第一の排気開口部37、第二の排気開口部38、及び第三の排気開口部39が、微小空間−収容室−外部空間に至る不可逆的な気体の流れを構成するように、各空間の圧力において、微小空間>収容室>外部空間の関係が常に満たすようにこれらの開口面積の総和が満たされていれば良い。また、正面壁47a及び下部壁47bに限定されず、上部壁47c及び側壁47dに対しても収容室45内部から外部空間に連通する貫通孔等を形成し、収容室45を構成する壁の全域或いは任意の位置に排気開口部を設ける構成とすることも可能である。この場合であっても、貫通孔の密度、大きさ、形状等を形成位置に応じて変化させ、前述した差圧関係、正面壁47aの上部での連通開口部35から収容室45に導入される基体の部分的且つ直接的な排出、下部壁47bによる収容室45内での概ね上部から下部に向かう気流の形成、及び開口部の面積の総和の関係、が満足されれば、当該貫通孔の形成位置は上述した実施形態の配置のみに限定されない。
【実施例】
【0034】
次に、上記実施形態に係るロードポート装置を実際に使用した半導体処理装置の概略構成について説明する。図8は、所謂ミニエンバイロメント方式に対応した半導体ウエハ処理装置50の概略構成を示す図である。半導体ウエハ処理装置50は、主にロードポート装置(FIMSシステム、蓋開閉装置)51、搬送室(微小空間)52、および処理室59から構成されている。それぞれの接合部分は、ロードポート側の壁11、及び処理室側壁62により区画されている。半導体ウエハ処理装置50における搬送室52では塵を排出して高清浄度を保つ為、その上部に設けられたファンフィルタユニット63により搬送室52の上方から下方に向かって空気流(ダウンフロー)を発生させている。なお、ファンフィルタユニット63は、ファンと共にフィルタを併設し、塵埃等を除去した外気を搬送室52内に導入することを可能としている。また、搬送室52の下面には不図示のダウンフローの排出経路が設けられる。更に、微小空間52とロードポート装置との間に配置されるドア6と同様に、処理室59との間にも不図示の第二の開口部及び該第二の開口部を閉鎖する第二のドアが配置される。
【0035】
また、ロードポート装置51は前述した収容室45を有し、処理室59側においても、不図示の第二のドアのための第二の収容室48が配置される。以上の構成により、ドア等を駆動する装置より発生した塵埃は、微小空間52−収容室−外部空間へと向かう流れによって、常に外部空間に排出されることになる。ロードポート部51上には、シリコンウエハ等(以下、単にウエハと呼ぶ)の保管用容器たるポッド2が載置台53上に据え付けられる。先にも述べたように、搬送室52の内部はウエハ1を処理する為に高清浄度に保たれており、更にその内部には搬送機構において実際にウエハを保持可能なロボット55が設けられている。このロボット55によって、ウエハはポッド2内部と処理室59の内部との間を移送される。処理室59には、通常ウエハ表面等に薄膜形成、薄膜加工等の処理を施すための各種機構が内包されているが、これら構成は本発明と直接の関係を有さないためにここでの説明は省略する。
【0036】
以上の構成からなるロードポート装置を用いることによって、収容空間を構成する収容室内部に発生した塵埃等を外部空間に対して迅速且つ効率的に排除することが可能となる。また、収容室内部に発生した重力の影響を殆ど受けないレベルの微小な塵埃に関しても、微小空間への移動を効果的に抑制し、より高集積化した半導体装置の製造プロセスに対しても十分な清浄環境を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1:ウエハ、 2:ポッド、 2a:ポッド本体、 2b:ポッド開口部、 4:蓋、 6:ドア、 10:開口部、 11:壁、 35:連通開口部、 37:第一の排気開口部、 38:第二の排気開口部、 39:第三の排気開口部、 40:枢軸、 41:シリンダロッド、 42:ドアアーム、 43:固定部材、 45:収容室、 47a:正面壁、 47b:下部壁、 47c:上部壁、 47d:側壁、 48:第二の収容室、 50:半導体処理装置、 51:ロードポート装置、 52:搬送室(微小空間)、 53:載置台、 54:可動プレート、 54a:位置決めピン、 55:ロボット、 56:可動部材、 57:シリンダ、 60:ドア駆動機構、 61:支点、 62:処理室側壁、 63:ファンフィルタユニット、 65:ダウンフロー、 67:第一の渦、 68:第二の渦、 69:ファン
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセス等において、ポッドと呼ばれる密閉型の搬送容器の内部に保持されたウエハを半導体処理装置間にて移載する際に用いられる所謂FIMS(Front-Opening Interface Mechanical Standard)システム、即ちロードポート装置に関する。より詳細には、該ロードポート装置内部に配置される所謂微小空間の清浄度レベルを従来より向上させる、或いは高いレベルで安定的に清浄度を維持できるロードポート装置及び該ロードポート装置内部より塵埃を除去する排塵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスは、以前は半導体ウエハを取り扱う部屋内部を高清浄化した所謂クリーンルーム内において行われていた。しかし、ウエハサイズの大型化への対処と、クリーンルームの維持管理に要するコスト削減の観点と、から、このような方式は見直されてきた。その結果、近年では各処理装置の内部、ポッド、及び該ポッドより各処理装置への基板の受け渡しを行う微小空間、のみを高清浄状態に保つことで、プロセスを通じての清浄度の管理を行う手法が一般的となっている。
【0003】
上述したポッドは、ウエハを内部に収容し且つ一側面にウエハ挿脱用の開口を有する本体部と、該開口を閉鎖してポッド内部を密閉空間とする蓋と、から構成される。該微小空間は、前述したポッドの開口と対向可能な開口部と、該開口部と向かい合い半導体処理装置側に配置される第二の開口部と、を有する。ロードポート装置は、この開口部が形成された隔壁となる部材即ち壁と、該開口部を閉鎖するドアと、該ドアの動作を司るドア駆動機構と、ポッドが載置される載置台と、から構成される。載置台は、ポッドの開口と開口部とを向かい合わせるようにポッドを支持可能であり、且つポッドと共に蓋をドアと近接或いは離間させる。ドアは、ドア駆動機構によってポッドの蓋を保持可能であり、蓋を保持した状態で開口部と第二の開口部との間の空間から下方に退避させられる。なお、微小空間内にはロボットが配置され、該ロボットは開口部−ポッド開口を介してポッド内部に対する侵入及び退避が可能であって、第二の開口部も介して該ポッド内部と該半導体処理装置との間でウエハの移載を行う。
【0004】
ここで、通常、ウエハを収容した状態でのポッドの内部は、所謂乾燥窒素等の高清浄に管理された気体により満たされており、汚染物質、酸化性のガス等のポッド内部への侵入を防止している。しかし、ポッドの蓋を取り外して内部のウエハを取り出す際には、ポッド内部と前述した微小空間とは連通した状態となる。このため、微小空間からのポッド内部の汚染を防止するために、微小空間の上部には所謂ファン及びフィルタが配置されており、該微小空間内部に所謂塵埃、パーティクル、等を管理した清浄空気を導入し、これら塵等によるポッド内部の汚染を極力防ぐこととしている。また、微小空間上部に配置されたファンを介して微小空間への外気の導入を為すことによって微小空間内に上部から下部に流れるダウンフローを形成している。このダウンフローによって、微小空間の下方に配置された各種駆動機構から発生する塵、パーティクル、等が微小空間内の上部を搬送されるウエハに付着する、或いはポッド内部にまで侵入する、といった事態の防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−167284号公報
【特許文献2】特許第3983219号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロードポート装置において、ドアを駆動するドア駆動機構は、種々の部材が摺動、動作することによってドアの駆動を行っている。このため、このような動作によって発生する塵は、極力微少空間の外部に排除することが好ましい。このため、特許文献2に開示するように、主たる駆動機構は微小空間の外部に設けられた駆動機構用の収容空間内に配置している。当該収容空間と微小空間とは、必要最小限の大きさに設定された長穴等によって連通されている。駆動機構はこの長穴等を介してドアを支持し、且つ微小空間内でのドアの動作を行う。また、特許文献1に開示されるように、当該収容空間の下部にファン等の強制的な排気機構を配置し、当該収容空間において発生した塵埃を強制的に外部空間に排除することでこのような塵が微小空間に至ることを防止する構成も案出されている。
【0007】
ここで、昨今の半導体における高集積化及び高機能化に伴って、配線幅及び配線間距離等はより細く狭くなってきている。従って、これに伴って、半導体製造時に問題視される塵埃についても、従来は問題視されなかったサイズのものも考慮しなければならなくなってきている。このような微細な塵埃の挙動は、例えば重力の影響を殆ど受けない等、従来のものとは大きく異なる。このため、例えば特許文献2に開示する構成のようにファンを用いて収容空間内部を強制的に排気したとしても、ファン近傍に存在した気体とその気体中に浮遊している微小な塵埃しか効果的に排除することができなくなる可能性がある。また、ファンによる気体の吸引力の及ぶ範囲はそれほど大きくなく、ファンから離れた位置に浮遊する微細な塵埃の浮遊方向に対しても大きな影響を及ぼすことは困難と推定される。更に、微小空間内の清浄度の維持と、ドア開閉時の微小空間内部の気体の挙動の安定化の観点から、微小空間内は外部空間に対して気圧をやや高めに維持する必要がある。従って、ファンの能力を上げることで微小な塵埃の排除効率を高めることは、この圧力維持を困難とすることから事実上実施することができない。このため、ドア駆動機構から生じる空間滞在時間の非常に大きな微小な塵埃等を効果的に除去する構成或いは方法の提供が求められている。
【0008】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであって、ドア駆動機構等から生じる恐れのある微小な塵埃を微小空間及び収容空間の外部に効果的に排除することが可能となるロードポート装置を提供することを目的とする。また、本発明は、ロードポート装置内、即ち微小空間等の内部に滞留する塵埃等を効果的に排除する、ロードポート装置の排塵方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るロードポート装置は、蓋と蓋により閉鎖される開口を一側面に有し且つ内部に被収容物を収容する本体部とからなるポッドより、蓋の挿脱を為して開口を開閉することにより被収容物の本体部に対する挿脱を可能とするロードポート装置であって、一方の側に微小空間を且つ他方の側に外部空間を確定して微小空間と外部空間とを連通させる開口部を有する壁と、壁の一方の側にあって、開口部を閉鎖し、蓋を保持可能なドアと、ポッドの開口を壁に対する他方の側において開口部と相対可能の位置に支持する載置台と、ドアを前記開口部の閉鎖位置と開放位置との間を移動させるドア駆動機構であって、他方の側にて動作して、ドアを支持するドア支持部によってドアを一方の側にて支持するドア駆動機構と、他方の側に配置されてドア駆動機構を収容する収容室と、ドア支持部分が貫通可能な、壁に形成されて収容室と微小空間とを連通させる連通開口部と、を有し、収容室は、連通開口部と対向する正面壁に設けられて収容室と外部空間とを連通させる第一排気開口部と、ドアが開口部を開放した状態においてドア駆動機構が最も接近する位置に配置される収容室の下部壁に設けられて収容室と外部空間とを連通させる第二の排気開口部と、を有し、一方の側でドアを包含して構成される微小空間、収容室、及び外部空間の順で各々内部の圧力が低くなるように差圧が設定され、第一の排気開口部及び第二の排気開口部を介した収容室から外部空間への気体の流れは差圧に基づいて生成されることを特徴としている。
【0010】
なお、上述するロードポート装置において、第一の排気開口部は、連通開口部と少なくとも一部が正対することが好ましい。また、正面壁において収容室内における上部の気体滞留領域に存在する気体が流出可能な位置に配置される第三の排気開口部を更に有することがより好ましい。更に、ドア駆動機構はドアを所定の角度範囲で回動させる回動機構を更に有し、ドアは回動状態で開放位置に移動した状態において、連通開口部を介して第一の排気開口部と正対することがより好ましい。また、第二の排気開口部は、収容室の下部において気体の滞留領域を形成しないように全域に設けられることがより好ましい。
【0011】
また、本発明に係るロードポート装置における排塵方法は、蓋と蓋により閉鎖される開口を一側面に有し且つ内部に被収容物を収容する本体部とからなるポッドより、蓋の挿脱を為して開口を開閉することにより被収容物の本体部に対する挿脱を可能とするロードポート装置においてロードポート装置内に発生する塵埃を外部空間に除去するロードポート装置の排塵方法であって、ロードポート装置は、一方の側に微小空間を且つ他方の側に外部空間を確定して微小空間と外部空間とを連通させる開口部を有する壁と、壁の一方の側にあって開口部を閉鎖し、蓋を保持可能なドアと、ポッドの開口を壁に対する他方の側において開口部と相対可能の位置に支持する載置台と、ドアを開口部の閉鎖位置と開放位置との間を移動させるドア駆動機構であって、他方の側にて動作して、ドアを支持するドア支持部分によってドアを一方の側で支持するドア駆動機構と、他方の側に配置されてドア駆動機構を収容する収容室と、ドア支持部分が貫通可能な、壁に形成されて収容室と微小空間とを連通させる連通開口部と、を有し、収容室は、連通開口部と対向する正面壁に設けられて収容室と外部空間とを連通させる第一排気開口部と、ドアが開口部を開放した状態においてドア駆動機構が最も接近する位置に配置される収容室の下部壁に設けられて収容室と外部空間とを連通させる第二の排気開口部と、を有するロードポート装置において、一方の側においてドアを包含して構成される微小空間に対し、微小空間内に気体を導入して上部に上部から下方に向かうダウンフローを形成し、ダウンフローによって収容室に対して第一の圧力差だけ内部圧力の高くなった微小空間より第一の圧力差を利用して連通開口部より収容室に気体を導入し、気体の導入により外部空間に対して第二の圧力差だけ内部圧力の高くなった収容室より第二の圧力差を利用して、第一の排気開口部及び第二の排気開口部を介した収容室から外部空間への気体の流れを生成し、気体の流れによって収容室内に発生した塵埃の外部空間への排除を為すことを特徴としている。
【0012】
なお、上述したロードポート装置の排塵方法において、ドア駆動機構はドアを所定の角度範囲で回動させる回動機構を更に有し、ドアは回動状態で開放位置に移動した状態においてダウンフローの流れ方向の向きを連通開口部方向に変えて収容室内への気体の導入を補助することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収容空間を構成する収容室内部に発生した塵埃等を外部空間に対して迅速且つ効率的に排除することが可能となる。従って、収容室から微小空間内部への塵埃等の流出を効果的に防止し、微小空間内部の清浄度を高いレベルで維持管理することが可能となる。また、本発明によれば、例えば特許文献1に示されるファン等の排気系を無くすることが可能となる。従って、ファンの異常等を監視する必要性、或いはファンのメンテナンス等が無くなり、ロードポート装置の保守管理等に関するコストの削減効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るロードポート装置に関して、ポッドを載置した状態にあるものを側面から見た状態を示す概略構成図である。
【図2A】図1に示すロードポート装置であって、ポッドを取り除いた状態を図1に占めず矢印2A方向から見た状態を示す図である。
【図2B】図2Aに示す状態にあるロードポート装置を側面から見た状態を示す図である。
【図2C】図2Bに示すロードポート装置を矢印2C方向から見た状態を示す図である。
【図3】本実施形態に係るロードポート装置において、ドアが最下端に位置した状態にある時の第一の排気開口部との位置関係を模式的に示す図である。
【図4】本実施形態に係るロードポート装置において、連通開口部と第一の排気開口部及び第三の排気開口部との位置関係を模式的に示す図である。
【図5A】本発明の第二の実施形態に係るロードポート装置を図2Aと同様の様式にて示す正面図である。
【図5B】本発明の第二の実施形態に係るロードポート装置を図2Bと同様の様式にて示す側面図である。
【図5C】本発明の第二の実施形態に係るロードポート装置を図2Cと同様の様式にて示す底図である。
【図6A】本発明の第三の実施形態に係るロードポート装置を図2Aと同様の様式にて示す正面図である。
【図6B】本発明の第三の実施形態に係るロードポート装置を図2Bと同様の様式にて示す側面図である。
【図6C】本発明の第三の実施形態に係るロードポート装置を図2Cと同様の様式にて示す底図である。
【図7A】従来のロードポート装置における収容室内での気体の流れを模式的に示す図である。
【図7B】本発明の一実施形態に係るロードポート装置における収容室内での気体の流れを模式的に示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るロードポート装置を用いた半導体処理装置の実施例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係るロードポート装置の要部についての概略構成を示す。より詳細には、同図は、前述した載置台、ドア、開口部、ドア駆動機構、開口部が構成された微小空間の一部を構成する壁、ドアの駆動機構を収容する収容室、及びこれらに付随する構成を側方から見た状態の部分透視図である。また、図2Aはポッドを取り除いた状態でロードポート装置を図1における矢印2A方向から見た状態の概略構成を示す図であり、図2Bはポッドを取り除いた状態での図1と同様に該ロードポート装置を側面から見た図であり、図2Cは該ロードポート装置を図2Bにおける矢印2C方向から見た状態の概略構成を示す図である。更に、図3は、図1と同様に該ロードポートを側面から見た状態であって、ドアが最下端に位置した際の後述する第一の排気開口部との位置関係を示す図である。また、図4は、図1における矢印2Aと同様の方向から第一の排気開口部等を見た場合の個々の構成の位置関係を模式的に示す図である。
【0016】
ここで、ロードポートに対して載置されるポッド及び該ポッドに収容されるウエハについて先に述べる。ポッド2における本体2aの内部には、被処理物たるウエハ1を内部に収めるための空間が形成されている。本体2aは、水平方向に存在するいずれか一面に開口を有する略箱状の形状を有する。また、ポッド2は、本体2aの開口2bを密閉するための蓋4を備えている。本体2aの内部に水平に保持されたウエハ1を鉛直方向に重ねる為の複数の段を有する棚(不図示)が配置されており、ここに載置されるウエハ1各々はその間隔を一定としてポッド2内部に収容される。ウエハ1は本発明における被収容物に、ポッド2は収容容器たるポッドに、本体2aは基本的な形状が箱体であることから略箱上の形状を有するとして定義される本体に、また、ポッド2の開口2bは基本形状が矩形であることから略矩形状として定義される開口に対応する。
【0017】
本発明に係るロードポート装置51は、載置台53、ドア6、ロードポートの開口部として機能する開口部10、ドアの駆動機構60、開口部が構成された微小空間(図8に関連して後述する搬送室52)を構成する一部材たる壁11を含む。本発明においては、壁11を基準として、ドア6、微小空間等を壁11の一方の側に配置される構成として定義する。微小空間はドア6等を包含する構成として定義される。また、載置台53、ドア駆動機構60における主たる駆動系、後述する収容室45は、壁11の他方の側に存在する構成として定義する。載置台53は、実際にポッド2が載置され、且つ載置されたポッドを開口部10方向に向けて接近或いは離間させる動作が可能な、上部に平坦面を有する可動プレート54を含む。可動プレート54の平坦面表面には位置決めピン54aが埋設されており、ポッド本体2a下面に設けられた位置決め凹部(不図示)に当該位置決めピン54aが嵌合することにより、ポッド2と可動プレート54との位置関係が一義的に決定される。
【0018】
壁11に設けられた開口部10は、可動プレート54上で位置決めされたポッド2が該プレートによって開口部10に最も接近させられた際に、ポッド開口2bを閉鎖する蓋4が嵌まり込む大きさ、即ち蓋4の矩形外形より一回り大きな矩形状とされている。なお、可動プレート54がポッド2を停止させる位置は、ドア6がポッド2の蓋4をポッド本体2aから取り外し可能な位置であれば良い。ここで、壁11は、一方の側に微小空間が配置され、且つ他方の側に外部空間が配置されるように、これら空間を分離確定する作用を呈する。また、開口部10は、微小空間と外部空間とを連通させる。ドア6は、ドアアーム42を介してドア開閉機構60に支持されており、不図示の蓋保持機構によって蓋4の保持が可能となっている。
【0019】
ドア駆動機構60は、ドア6を、開口部10を略閉鎖する位置、及び該開口部10を完全に開放し且つ不図示のロボット(図8参照)が該開口部10を介してポッド2内部に対するウエハ1の挿脱が可能となる退避位置たる開放位置、の間での移動を可能とする。ドア6は、不図示の固定部材を介してドアアーム42の一端に対して回動可能に連結されている。ドアアーム42の他端は、エアー駆動式のシリンダ57の一部であるロッド41の先端部に対して、枢軸40を介して、当該枢軸40に対して回転可能に支持されている。ドアアーム42の該一端と該他端との間には、貫通穴が設けられている。当該穴と、ドアアーム42等のドア開閉を行う構成を昇降させる可動部56により支持、固定される固定部材43の穴とを不図示のピンが貫通することにより、支点61が構成されている。従って、シリンダ57の駆動によるロッド41の伸縮に応じて、ドアアーム42は支点61を中心に回動可能となる。これら各種部材により、ドア駆動機構60が構成されている。
【0020】
ドア駆動機構60は、支点61を中心に、開口部10を閉鎖するドア6を回転させ、開口部10よりドア6を一旦離間させ、その後ウエハ搬送の妨げとならない下方の退避位置(開放位置)に降下させる。即ち、ドア駆動機構60は、蓋4を保持したドア6を例えば5〜10°等の所定の角度範囲で回動することで、ポッド本体2aから蓋4を一旦分離する。また、これらシリンダ57等は、ドアを所定の角度範囲で回動させる回動機構として作用する。その後、可動部材56が下方に移動することによってドア6も下方に移動し、ウエハの搬送の妨げとならない下方の所定の蓋開放、ドア退避位置にて停止する。この停止位置は、便宜上本発明ではドア6の開放位置として定義する。なお、このシリンダロッド41、固定部材43等、ドア駆動機構60の一部であるがドアアーム42を介してドア6を間接的に支持する構成であって、後述する連通開口部35を貫通する諸部材を、本発明では便宜上ドア支持部分と定義して、ドア駆動機構60の主要部とは分離された構成として取り扱う。
【0021】
可動部56は鉛直方向に移動し、該可動部の上下動に伴ってドア6の昇降動作が実施される。この可動部56、シリンダ57の本体部、等、発塵の可能性のある可動部材は、極力微小空間外部に配置される。具体的には、可動部56の動作方向に延在し、ドアアーム42を支持する必要最小限の部材が貫通可能な幅を有する連通開口部35が、壁11に対し設けられている。即ち、連通開口部35は、収容室45内の空間と微小空間とを連通させる機能を有する。シリンダロッド41等はこの連通開口部35を介してドアアーム42に連結されている。また、微小空間外部に配置される可動部56等は、微小空間とは独立して設けられる収容室45内に配置される。即ち、ドア6の開閉及び昇降を実施するドア駆動機構60の構成要素の主たる駆動部は収容室45内に配置され、収容室45は壁11に設けられた連通開口部35を介して微小空間に連通される。即ち、収容室45は、壁11に対してポッド2が載置される載置台53と同じ側であって、該載置台53より鉛直下方に配置される。
【0022】
図1及び図2Aに示すように、収容室45は、壁11と向かい合う正面壁47a、下部(ドア6の昇降軸に沿った下方)を閉鎖する下部壁47b、上部を閉鎖する上部壁47c及び一対の側壁47dより構成される。正面壁47aには、正面壁47aを貫通して設けられ、収容室45内部の気体が外部空間に流出可能となる第一の排気開口部37が設けられている。第一の排気開口部37は、正面壁47aの上部であって、連通開口部35と部分的に対向する位置に配置されている。即ち、第一の排気開口部37は、可憐通開口部35に対して少なくとも一部が正対するように配置される。本実施形態において、第一の排気開口部37は上下方向に延在し、壁11に平行に並置される複数のスリットより構成されており、図4に示すように、該スリットは連通開口部35の幅に対応する領域に配置されている。また、スリットの形成範囲の上端は正面壁47aの加工可能な上端に対応し、下端は降下して最下端に位置するドア6の下端面よりも更に下方となる位置に設けられている。即ち、水平面内にて降下したドア6の下端面と第一の排気開口部37のスリット下端部との水準を比較した場合、該スリット下端部が下方に位置することとしている。なお、図4には、参考として、収容室45内においてドア駆動機構60の占める領域を二点鎖線にて示している。
【0023】
微小空間内部には、該微小空間の上部に配置されたファンによるダウンフローが形成されており、微小空間内部の圧力を外部空間よりも高く維持している。上述した位置に第一の排気開口部37を配置することによって、微小空間内>収容室内なる圧力関係によって連通開口部35を介して微小空間から収容室45に流入した気体は、大きな乱流を形成することなく外部空間に流出する。即ち連通開口部35と第一に排気開口部37との少なくとも一部分を正対させることにより、この正対部分を主たる気体流路として確保し、滑らかな気体の流出経路を確保することが可能となる。また、ドア6の最下端よりも第一の排気開口部48のスリットの下端を配置させることによって、ドア6に当たって収容室内部に向きを変えられたダウンフローの一部を該スリットより部分的に流出させることが可能となる。このようなダウンフローから得られる気流は流れが速く、スリットから外部空間に流れ出す際に周囲の気体を巻き込む効果が期待され、これによってより効果的に収容室45内部の気体の除去、置換を行うことが可能となると考えられる。また、例えば、ポッド2に対するウエハ1の挿脱を行う場合、ドア6は、ダウンフローに対して所定に回転角度に応じた仰角を有して退避位置に存在する。このため、圧力差に加え、微小空間のダウンフローの向きを収容室45内に導く作用を呈し、収容室45内部の塵埃等をより積極的に外部空間に排除する効果が得られる。従って、ドア6が開放位置に移動し、停止した状態にあるときに、ドア6が連通開口35と少なくとも一部が対向する位置となるようにドアの移動範囲が設定されることが好ましい。
【0024】
本実施形態では、図2Cに示されるように、下部壁47bに対して第二の排気開口部38が形成される。第二の排気開口部38は、鉛直方向に垂直であって壁11に対して平行に延在し、水平面内に並置される複数のスリットより構成される。第二の排気開口部38は、下部壁47bにおける加工可能な全域に配置される。本発明においては、空中に滞留する塵埃が微小空間内に流出すること、更にはウエハが移動する領域に至ること、を最も避ける必要がある。従って、収容室45内部においても上部から下部に向かう気流が主たる気体の流れとなることが好ましい。このため、正面壁47aに配置されるスリット(本形態では第一の排気開口部37)の開口面積の総和は、下部壁47bに配置されるスリット(第二の排気開口部38)の開口面積の総和と同等或いは常に小さく設定されることが好ましい。これにより、収容室45内部での気体の流れを上部から下部に向かうものを主体的とすることが可能となる。また、更に、正面壁47aの下部領域に第一の排気開口部を設けないことによって、収容室45内の空間において上部から下部に向かう気流をより積極的に生成することが可能となる。なお、第二の排気開口部38が設けられる下部壁47bは、本発明において、ドア6が開口部10を開放した(即ちドア6が開放位置にある)状態にあって前記ドア駆動機構60が最も接近する位置にある収容室45の壁としても定義される。
【0025】
また、本形態において、外部空間から収容室45内への気体の逆流、及び収容室45内から微小空間内への気体の逆流も、塵埃の不適切な拡散の観点から認められない。このため、各空間の圧力において、微小空間>収容室>外部空間の関係が常に満たされる必要がある。以上の観点から収容室45から外部空間に通じるスリットの開口面積の総和は、連通開口部35の開口面積と同等或いは常に小さく設定されることが好ましい。先にも述べたように、本発明では、正面壁47aの下部領域に第一の排気開口を設けないことによって、このような差圧関係の確立の容易化を図り、且つ収容室下方領域にて第二の排気開口部に向かう気流の流れを主体的なものとすることを図っている。以上の関係を満たすことによって、連通開口部35からスリットを経て外部空間に至る気流が収容室内の上部から下部の概ね全域で生成されることとなり、当該収容室45内のドア駆動機構60に係る構成、更には部分的に連通開口部35から微小空間側に突出する構成から生じる塵埃は、効果的に外部空間に排除されることとなる。
【0026】
また、本実施形態では、正面壁47aにおける第一の排気開口部37の上部両脇に、各々第一の排気開口部37に隣接するように第三の排気開口部39が配置されている。第三の排気開口部39は、水平方向であって壁11と平行な方向に延在し、各々鉛直方向に並置される複数のスリットによって構成される。当該第三の排気開口部39は、図4に示すように、正面壁47aにおいて、連通開口部35の上端部(点線35a)よりも上方となる位置に設けられる。即ち、鉛直面を基準とした時に、第三の排気開口部39は連通開口部35より上方に位置することとなる。連通開口部35より収容室45内部に流入する気体は流入後流れ方向から垂直な所謂上下左右方向に拡散し、流れの幅が広がる。この気流における広がった部分は、正面壁47aにおける第一の排気開口部37が形成されていない部分にあたり、収容室45内部に渦を形成する。収容室45内部では概ね上方から下方に至る気流が形成されているためにこの渦自体も下方に移動し、最終的には第二の排気開口部38から外部空間に流出する。しかし、連通開口部35の上方に形成される空間に存在する気体に関しては、該連通開口部35から流入する気体のために、下方への速やかな移動が妨げられその位置に滞留する恐れがある。当該領域に対応する収容室45内の空間を、本発明では気体滞留領域として定義する。本実施形態の如く、この気体の滞留領域に対応する位置、即ち連通開口部35の上方、に第三の排気開口部39を配置することによって、この滞留気体を該第三の排気開口部39を介して速やかに外部空間に流出されることが可能となる。
【0027】
ここで、本発明の一実施形態に係るロードポート装置における排塵方法は、上述した実施形態に係るロードポート装置を用いることとし、以下の工程を実施することによって効果的な塵埃の除去を図っている。即ち、気流に関する第一のステップとして、微小空間上部に配置されたファンフィルタユニットより微小空間内に清浄気体の導入を図る。これにより、微小空間内における上部から下部に向かう気体の流れであるダウンフローを生成する。また、この気体の導入によって、微小空間内部の圧力の所定の高圧力での維持を図っている。次の第二のステップとして、連通開口部35を介して微小空間と連通する収容室45内部に対して微小空間からの清浄気体の流入を図る。この気体流入は、連通開口部35(及び収容室45に付随する各排気開口部との関係)によって微小空間内と収容室45内との間で設けられる第一の圧力差に基づき、該ダウンフローから得られる。ダウンフローからの得られる清浄気体の流入によって収容室45内部は外部空間に対して更に第二の圧力差分の高い圧力となる。第三のステップでは、この圧力差を利用して、更に各排気開口部を用いた収容室45から外部空間に至る気体の流れを生成する。当外気体の流れによって、収容室45内に生じる、或いは微小空間側から当該収容室45内に持ち込まれた塵埃を外部空間に除去する。以上の除去方法の利用によって、ロードポート装置内部での微小な塵埃等の効果的な除去が可能となる。
【0028】
次に、本発明の第二の実施形態について述べる。図5A〜5Cは、第二の実施形態に係るロードポート装置の概略構成を示す図であって、各々図2A〜2Cと同様の様式によって当該構成を示す図である。なお、以下の説明においては、第一の実施形態と異なる部分についてのみ述べることとし、同一の構成要素等については図中同一の参照符号を用いることにより、その詳細な説明は省略する。本実施形態でも、第一の排気開口部37を第一の実施形態の場合と同様に上下方向に延在するスリットによって構成することとしている。しかし、スリット形成領域の幅を正面壁47aの幅の加工可能な領域の全域としている。また、これに伴って、第三の排気開口部39が無くされている。また、下部壁47bに設けられる第二の排気開口部38であるスリットの形成領域の範囲を広げている。当該構成とすることによって、微小空間−収容室45−外部空間の差圧を確保することが難しくなる反面、収容室45上部での気体の滞留状態の抑制或いは低減と、上方から下方に向かう気流のより確実な生成という効果が得られる。
【0029】
続いて、本発明の第三の実施形態について述べる。図6A〜6Cは、第二の実施形態に係るロードポート装置の概略構成を示す図であって、各々図2A〜2Cと同様の様式によって当該構成を示す図である。なお、以下の説明においては、第一の実施形態と異なる部分についてのみ述べることとし、同一の構成要素等については図中同一の参照符号を用いることにより、その詳細な説明は省略する。本実施形態では、第一の排気開口部37及び第二の排気開口部38の形成領域は第二の実施形態における形成領域と同一としている。しかし、本実施形態では、スリットではなく孔によって排気開口部を形成することとしている。即ち、第一及び第二の排気開口部を有する壁を所謂パンチングメタル等によって構成している。排気開口部をスリット形状とすることによって、気体が当該スリットを経る際に層流を形成することとなり、より速い流れで以って外部空間への気体の流れを生じさせる効果が期待できる。本実施形態の場合、このような効果は期待できない半面、より広い範囲に排気開口として作用する孔を形成することが可能となり、広い範囲からの気体の流出を為すことが可能となるという効果が得られる。
【0030】
図7A及び7Bを用いて、本発明の作用等について以下に述べる。図7A及び図7Bは、図2Aと同様の様式にてロードポート装置及び微小空間より外部空間へいたる気流の流れを模式的に示す図であって、図7Aは従来の構成、図7Bは本発明に係る装置の構成を示している。なお、微小空間内には、当該空間上部に配置されたファンによってダウンフロー65が形成されている。ダウンフロー65は微小空間下部に設けられる不図示のダウンフロー排出経路からも排出されるが、圧力の関係、及びドア6或いはこれが保持する蓋4により流れの方向が一部変えられることにより連通開口部35を介して収容室45内部にも流れ込む。従来の構成からなるロードポート装置においては、収容室45の下部に排気用のファンが配置されるだけであり、図7Bに示すような第一の排気開口部37及び第二の排気開口部38は設けられていない。
【0031】
このため、連通開口部35から収容室45内部に流れ込んだダウンフロー65は収容室45の上部空間では第一の渦67を形成し、更に当該第一の渦67によって流れ方向が塞がれることで、下方に向かった気流もファン69以外の部分において下部壁によって流れが妨げられて第二の渦68を形成する。ファン69は部分的な気体の排気しか為し得ず、従って収容室45内に存在する第一の渦67及び第二の渦68によって塵埃は室内で巻き上げられ、微小室内への流れ出る可能性が生じてしまう。図7Bに示すように、本発明では、正面壁47a及び下部壁47bにおける渦を形成する可能性のある部分に各々第一の排気開口部37及び第二の排気開口部38を形成している。これにより、このような第一の渦67及び第二の渦68が形成される蓋然性を低下させ、収容室45内から外部空間に至る気体の流れを安定的に形成し、当該収容室45内の塵埃を速やかに排除することが可能となる。
【0032】
なお、上述した実施形態では、例えば下部壁47bに対する第二の排気開口部38の形成領域を、加工可能な範囲の全域或いは全域と定義している。単純に収容室45の下部領域或いは空間において下方に向かう気流が主体とするためには、下部壁47bを無くして当該壁が存在する部分を開放することが好ましい。しかし、実際には上述したように微小空間−収容室45−外部空間において所定の圧力差を維持する必要があり、且つ単純に上部ファンの送風能力を大きくして微小空間側の圧力を高くすることも、困難である。このため、第二の排気開口部38はある程度の排気抵抗を有することが必然となり、この排気抵抗、即ち第二の排気開口部38の開口面積の総和、及び該開口部を構成する個々の開口の形状、大きさ等は、微小空間の大きさ、上部ファンの容量、微小空間等に供給されるパージ用の窒素量といった因子に応じて適宜改変されることを要する。従って、本明細書において規定する全域は、第二の排気開口部38が収容室45内の収容空間の下部領域の全域において下方に向かう気流が主体となることを可能とする領域と解釈することを要する。
【0033】
また、この解釈は正面壁47aに設けられる第三の排気開口部39の形成範囲についても同様であり、収容室45の上部領域或いは空間に形成される可能性のある滞留気体について、その滞留領域に応じた範囲として解釈されることを要する。また、上述した実施形態では、排気開口部を複数のスリット或いは孔によって構成する例を示したが、本発明の態様はこれらに限定されない。具体的には所謂メッシュ等により構成する、或いはスリット、孔、メッシュ等を組み合わせる様式、スリット或いは孔であってもその形成密度を場所により異ならせる、或いはその大きさを異ならせることとしても良い。即ち、連通開口部35、第一の排気開口部37、第二の排気開口部38、及び第三の排気開口部39が、微小空間−収容室−外部空間に至る不可逆的な気体の流れを構成するように、各空間の圧力において、微小空間>収容室>外部空間の関係が常に満たすようにこれらの開口面積の総和が満たされていれば良い。また、正面壁47a及び下部壁47bに限定されず、上部壁47c及び側壁47dに対しても収容室45内部から外部空間に連通する貫通孔等を形成し、収容室45を構成する壁の全域或いは任意の位置に排気開口部を設ける構成とすることも可能である。この場合であっても、貫通孔の密度、大きさ、形状等を形成位置に応じて変化させ、前述した差圧関係、正面壁47aの上部での連通開口部35から収容室45に導入される基体の部分的且つ直接的な排出、下部壁47bによる収容室45内での概ね上部から下部に向かう気流の形成、及び開口部の面積の総和の関係、が満足されれば、当該貫通孔の形成位置は上述した実施形態の配置のみに限定されない。
【実施例】
【0034】
次に、上記実施形態に係るロードポート装置を実際に使用した半導体処理装置の概略構成について説明する。図8は、所謂ミニエンバイロメント方式に対応した半導体ウエハ処理装置50の概略構成を示す図である。半導体ウエハ処理装置50は、主にロードポート装置(FIMSシステム、蓋開閉装置)51、搬送室(微小空間)52、および処理室59から構成されている。それぞれの接合部分は、ロードポート側の壁11、及び処理室側壁62により区画されている。半導体ウエハ処理装置50における搬送室52では塵を排出して高清浄度を保つ為、その上部に設けられたファンフィルタユニット63により搬送室52の上方から下方に向かって空気流(ダウンフロー)を発生させている。なお、ファンフィルタユニット63は、ファンと共にフィルタを併設し、塵埃等を除去した外気を搬送室52内に導入することを可能としている。また、搬送室52の下面には不図示のダウンフローの排出経路が設けられる。更に、微小空間52とロードポート装置との間に配置されるドア6と同様に、処理室59との間にも不図示の第二の開口部及び該第二の開口部を閉鎖する第二のドアが配置される。
【0035】
また、ロードポート装置51は前述した収容室45を有し、処理室59側においても、不図示の第二のドアのための第二の収容室48が配置される。以上の構成により、ドア等を駆動する装置より発生した塵埃は、微小空間52−収容室−外部空間へと向かう流れによって、常に外部空間に排出されることになる。ロードポート部51上には、シリコンウエハ等(以下、単にウエハと呼ぶ)の保管用容器たるポッド2が載置台53上に据え付けられる。先にも述べたように、搬送室52の内部はウエハ1を処理する為に高清浄度に保たれており、更にその内部には搬送機構において実際にウエハを保持可能なロボット55が設けられている。このロボット55によって、ウエハはポッド2内部と処理室59の内部との間を移送される。処理室59には、通常ウエハ表面等に薄膜形成、薄膜加工等の処理を施すための各種機構が内包されているが、これら構成は本発明と直接の関係を有さないためにここでの説明は省略する。
【0036】
以上の構成からなるロードポート装置を用いることによって、収容空間を構成する収容室内部に発生した塵埃等を外部空間に対して迅速且つ効率的に排除することが可能となる。また、収容室内部に発生した重力の影響を殆ど受けないレベルの微小な塵埃に関しても、微小空間への移動を効果的に抑制し、より高集積化した半導体装置の製造プロセスに対しても十分な清浄環境を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1:ウエハ、 2:ポッド、 2a:ポッド本体、 2b:ポッド開口部、 4:蓋、 6:ドア、 10:開口部、 11:壁、 35:連通開口部、 37:第一の排気開口部、 38:第二の排気開口部、 39:第三の排気開口部、 40:枢軸、 41:シリンダロッド、 42:ドアアーム、 43:固定部材、 45:収容室、 47a:正面壁、 47b:下部壁、 47c:上部壁、 47d:側壁、 48:第二の収容室、 50:半導体処理装置、 51:ロードポート装置、 52:搬送室(微小空間)、 53:載置台、 54:可動プレート、 54a:位置決めピン、 55:ロボット、 56:可動部材、 57:シリンダ、 60:ドア駆動機構、 61:支点、 62:処理室側壁、 63:ファンフィルタユニット、 65:ダウンフロー、 67:第一の渦、 68:第二の渦、 69:ファン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋と前記蓋により閉鎖される開口を一側面に有し且つ内部に被収容物を収容する本体部とからなるポッドより、前記蓋の挿脱を為して前記開口を開閉することにより前記被収容物の前記本体部に対する挿脱を可能とするロードポート装置であって、
一方の側に微小空間を且つ他方の側に外部空間を確定し、前記微小空間と前記外部空間とを連通させる開口部を有する、壁と、
前記壁の前記一方の側にあって、前記開口部を閉鎖し、前記蓋を保持可能なドアと、
前記ポッドの前記開口を前記壁の前記他方の側において前記開口部と相対可能の位置に支持する載置台と、
前記ドアを前記開口部の閉鎖位置と開放位置との間を移動させるドア駆動機構であって、前記他方の側にて動作して前記ドアを支持するドア支持部によって前記ドアを前記一方の側にて支持するドア駆動機構と、
前記他方の側に配置されて前記ドア駆動機構を収容する収容室と、
前記ドア支持部分が貫通可能な、前記壁に形成されて前記収容室と前記微小空間とを連通させる連通開口部と、を有し、
前記収容室は、前記連通開口部と対向する正面壁に設けられて前記収容室と外部空間とを連通させる第一排気開口部と、前記ドアが前記開口部を開放した状態において前記ドア駆動機構が最も接近する位置に配置される前記収容室の下部壁に設けられて前記収容室と前記外部空間とを連通させる第二の排気開口部と、を有し、
前記一方の側で前記ドアを包含して構成される微小空間、前記収容室、及び前記外部空間の順で各々内部の圧力が低くなるように差圧が設定され、前記第一の排気開口部及び前記第二の排気開口部を介した前記収容室から前記外部空間への気体の流れは前記差圧に基づいて生成されることを特徴とするロードポート装置。
【請求項2】
前記第一の排気開口部は、前記連通開口部と少なくとも一部が正対することを特徴とする請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項3】
前記正面壁において前記収容室内における上部の気体滞留領域に存在する気体が流出可能な位置に配置される第三の排気開口部を更に有することを特徴とする請求項1或いは2の何れかに記載のロードポート装置。
【請求項4】
前記ドア駆動機構は前記ドアを所定の角度範囲で回動させる回動機構を更に有し、前記ドアは回動状態で前記開放位置に移動した状態において、前記連通開口部を介して前記第一の排気開口部と正対することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のロードポート装置。
【請求項5】
前記第二の排気開口部は、前記収容室の下部において気体の滞留領域を形成しないように全域に設けられることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のロードポート装置。
【請求項6】
蓋と前記蓋により閉鎖される開口を一側面に有し且つ内部に被収容物を収容する本体部とからなるポッドより、前記蓋の挿脱を為して前記開口を開閉することにより前記被収容物の前記本体部に対する挿脱を可能とするロードポート装置において前記ロードポート装置内に発生する塵埃を外部空間に除去するロードポート装置の排塵方法であって、
前記ロードポート装置は、
一方の側に微小空間を且つ他方の側に外部空間を確定し、前記微小空間と前記外部空間とを連通させる開口部を有する、壁と、
前記壁の一方の側にあって前記開口部を閉鎖し、前記蓋を保持可能なドアと、
前記ポッドの前記開口を前記壁に対する他方の側において前記開口部と相対可能の位置に支持する載置台と、
前記ドアを前記開口部の閉鎖位置と開放位置との間を移動させるドア駆動機構であって、前記他方の側にて動作して、前記ドアを支持するドア支持部分によって前記ドアを前記一方の側で支持するドア駆動機構と、
前記他方の側に配置されて前記ドア駆動機構を収容する収容室と、
前記ドア支持部分が貫通可能な、前記壁に形成されて前記収容室と前記微小空間とを連通させる連通開口部と、を有し、
前記収容室は、前記連通開口部と対向する正面壁に設けられて前記収容室と外部空間とを連通させる第一排気開口部と、前記ドアが前記開口部を開放した状態において前記ドア駆動機構が最も接近する位置に配置される前記収容室の下部壁に設けられて前記収容室と前記外部空間とを連通させる第二の排気開口部と、
を有するロードポート装置において、
前記一方の側において前記ドアを包含して構成される微小空間に対し、前記微小空間内に気体を導入して上部に上部から下方に向かうダウンフローを形成し、
前記ダウンフローによって前記収容室に対して第一の圧力差だけ内部圧力の高くなった前記微小空間より前記第一の圧力差を利用して前記連通開口部より前記収容室に気体を導入し、
前記気体の導入により前記外部空間に対して第二の圧力差だけ内部圧力の高くなった前記収容室より前記第二の圧力差を利用して、前記第一の排気開口部及び前記第二の排気開口部を介した前記収容室から前記外部空間への気体の流れを生成し、前記気体の流れによって前記収容室内に発生した塵埃の前記外部空間への排除を為すことを特徴とするロードポート装置の排塵方法。
【請求項7】
前記ドア駆動機構は前記ドアを所定の角度範囲で回動させる回動機構を更に有し、前記ドアは回動状態で前記開放位置に移動した状態において前記ダウンフローの流れ方向の向きを前記連通開口部方向に変えて前記収容室内への前記気体の導入を補助することを特徴とする請求項6に記載のロードポート装置の排塵方法。
【請求項1】
蓋と前記蓋により閉鎖される開口を一側面に有し且つ内部に被収容物を収容する本体部とからなるポッドより、前記蓋の挿脱を為して前記開口を開閉することにより前記被収容物の前記本体部に対する挿脱を可能とするロードポート装置であって、
一方の側に微小空間を且つ他方の側に外部空間を確定し、前記微小空間と前記外部空間とを連通させる開口部を有する、壁と、
前記壁の前記一方の側にあって、前記開口部を閉鎖し、前記蓋を保持可能なドアと、
前記ポッドの前記開口を前記壁の前記他方の側において前記開口部と相対可能の位置に支持する載置台と、
前記ドアを前記開口部の閉鎖位置と開放位置との間を移動させるドア駆動機構であって、前記他方の側にて動作して前記ドアを支持するドア支持部によって前記ドアを前記一方の側にて支持するドア駆動機構と、
前記他方の側に配置されて前記ドア駆動機構を収容する収容室と、
前記ドア支持部分が貫通可能な、前記壁に形成されて前記収容室と前記微小空間とを連通させる連通開口部と、を有し、
前記収容室は、前記連通開口部と対向する正面壁に設けられて前記収容室と外部空間とを連通させる第一排気開口部と、前記ドアが前記開口部を開放した状態において前記ドア駆動機構が最も接近する位置に配置される前記収容室の下部壁に設けられて前記収容室と前記外部空間とを連通させる第二の排気開口部と、を有し、
前記一方の側で前記ドアを包含して構成される微小空間、前記収容室、及び前記外部空間の順で各々内部の圧力が低くなるように差圧が設定され、前記第一の排気開口部及び前記第二の排気開口部を介した前記収容室から前記外部空間への気体の流れは前記差圧に基づいて生成されることを特徴とするロードポート装置。
【請求項2】
前記第一の排気開口部は、前記連通開口部と少なくとも一部が正対することを特徴とする請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項3】
前記正面壁において前記収容室内における上部の気体滞留領域に存在する気体が流出可能な位置に配置される第三の排気開口部を更に有することを特徴とする請求項1或いは2の何れかに記載のロードポート装置。
【請求項4】
前記ドア駆動機構は前記ドアを所定の角度範囲で回動させる回動機構を更に有し、前記ドアは回動状態で前記開放位置に移動した状態において、前記連通開口部を介して前記第一の排気開口部と正対することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のロードポート装置。
【請求項5】
前記第二の排気開口部は、前記収容室の下部において気体の滞留領域を形成しないように全域に設けられることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のロードポート装置。
【請求項6】
蓋と前記蓋により閉鎖される開口を一側面に有し且つ内部に被収容物を収容する本体部とからなるポッドより、前記蓋の挿脱を為して前記開口を開閉することにより前記被収容物の前記本体部に対する挿脱を可能とするロードポート装置において前記ロードポート装置内に発生する塵埃を外部空間に除去するロードポート装置の排塵方法であって、
前記ロードポート装置は、
一方の側に微小空間を且つ他方の側に外部空間を確定し、前記微小空間と前記外部空間とを連通させる開口部を有する、壁と、
前記壁の一方の側にあって前記開口部を閉鎖し、前記蓋を保持可能なドアと、
前記ポッドの前記開口を前記壁に対する他方の側において前記開口部と相対可能の位置に支持する載置台と、
前記ドアを前記開口部の閉鎖位置と開放位置との間を移動させるドア駆動機構であって、前記他方の側にて動作して、前記ドアを支持するドア支持部分によって前記ドアを前記一方の側で支持するドア駆動機構と、
前記他方の側に配置されて前記ドア駆動機構を収容する収容室と、
前記ドア支持部分が貫通可能な、前記壁に形成されて前記収容室と前記微小空間とを連通させる連通開口部と、を有し、
前記収容室は、前記連通開口部と対向する正面壁に設けられて前記収容室と外部空間とを連通させる第一排気開口部と、前記ドアが前記開口部を開放した状態において前記ドア駆動機構が最も接近する位置に配置される前記収容室の下部壁に設けられて前記収容室と前記外部空間とを連通させる第二の排気開口部と、
を有するロードポート装置において、
前記一方の側において前記ドアを包含して構成される微小空間に対し、前記微小空間内に気体を導入して上部に上部から下方に向かうダウンフローを形成し、
前記ダウンフローによって前記収容室に対して第一の圧力差だけ内部圧力の高くなった前記微小空間より前記第一の圧力差を利用して前記連通開口部より前記収容室に気体を導入し、
前記気体の導入により前記外部空間に対して第二の圧力差だけ内部圧力の高くなった前記収容室より前記第二の圧力差を利用して、前記第一の排気開口部及び前記第二の排気開口部を介した前記収容室から前記外部空間への気体の流れを生成し、前記気体の流れによって前記収容室内に発生した塵埃の前記外部空間への排除を為すことを特徴とするロードポート装置の排塵方法。
【請求項7】
前記ドア駆動機構は前記ドアを所定の角度範囲で回動させる回動機構を更に有し、前記ドアは回動状態で前記開放位置に移動した状態において前記ダウンフローの流れ方向の向きを前記連通開口部方向に変えて前記収容室内への前記気体の導入を補助することを特徴とする請求項6に記載のロードポート装置の排塵方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【公開番号】特開2011−66260(P2011−66260A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216436(P2009−216436)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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