説明

ローラー式搬送装置

【課題】複数の被搬送材の間に移動速度の違いが生じず、また、被搬送材に疵が発生することもない搬送装置を提供する。
【解決手段】円柱状ローラー8と、そのローラーの駆動軸7に回転自在に取り付けられていて円筒状ローラー8とは独立に回転する鍔9とを備えることを特徴とするローラー式搬送装置。この装置では、鍔9が自在に回転するので鍔に接触する被搬送材11の移動速度の低下がなく、全ての被搬送材が同じ移動速度で搬送される。従って、搬送後の被搬送材端部の不揃いが解消される。また、被搬送材の表面疵の発生も防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材、管材等を搬送するためのローラー式の搬送装置であって、多数の被搬送材が同じ移動速度で搬送される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1から図3までは、通常のローラー式搬送装置を示す模式的な断面図である。長尺の棒材や管材(以下、これらを総称して「被搬送材」という)の搬送には、図1に示すようなフラットローラー1と縦ローラー2とを組み合わせた装置、図2に示すようなフラットローラー1とサイドガイド3とを組み合わせた装置、あるいは図3に示すようなローラーと鍔が一体になった鍔付きローラー4が使用される。なお、これらの図において、5は被搬送材であり、便宜的に断面が円形のものを示したが、断面形状は円形に限らない。
【0003】
上記のような搬送装置のうちの図1および図2の装置では、搬送中に縦ローラー2またはサイドガイド3に接触する被搬送材が、接触抵抗によって徐々に遅れてしまう。したがって、搬送後に被搬送材の端部の位置が不揃いになってしまう。一方、図3に示した鍔付きローラーでは、図4に示すように、鍔の周速の方が胴部の周速よりも大きいので、鍔に接触する被搬送材が徐々に先行して、この場合も多数の被搬送材の端部の不揃いが生じる。
【0004】
上記のような接触抵抗や搬送速度の相違は、被搬送材とサイドガイドとの間のすべりや、被搬送材相互のすべりに起因する表面疵発生の原因にもなる。また、図1に示したようなフラットローラー1と縦ローラー2の組合せでは、それぞれのローラーを同一断面に配置できないため、より広い設置スペースが必要になるだけでなく、部品点数が多いために保守管理にも手間がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記の諸問題を解決することにあり、具体的な目的は、複数の被搬送材を搬送する場合でも被搬送材の間に移動速度の違いが生じず、また、被搬送材に疵が発生することもなく、しかも、構造が比較的簡単で限られたスペースにも設置が可能な搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は「円柱状ローラーと、そのローラーの駆動軸に回転自在に取り付けられていて円筒状ローラーとは独立に回転する鍔とを備えることを特徴とするローラー式搬送装置」を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の搬送装置を用いれば、多数の被搬送材を同じ移動速度で搬送することができる。また、被搬送材の表面疵の発生も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図5は、本発明の搬送装置の一例を示す模式的な断面図である。図示のとおり、この搬送ローラーは、軸受6で支えられた駆動軸7によって回転させられるローラー8を有する。そして、このローラー8に接して鍔9が取り付けられている。鍔9は、軸受10によって駆動軸7の周りで自由に回転できる。即ち、駆動軸7およびローラー8の回転とは無関係に自由に回転できるように取り付けられている。
【0009】
被搬送材11、12は、ローラー8の回転によって搬送される。そのとき、ローラー8の両端にある被搬送材11は、鍔10によって脱落が防止される。また、鍔10が回転自在であるから、その鍔に接触した被搬送材11の移動速度が減じられることがなく、被搬送材12と同じ速度で移動する。即ち、全ての被搬送材が同じ速度で搬送される。
【0010】
上記の構造の搬送装置によれば、多数の被搬送材の同時搬送においても、搬送終了後にはそれらの端部が不揃いになることがない。また、前述した接触抵抗や移動速度の相違に基づく疵の発生も防止される。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明の搬送装置は、図1に示したようなフラットローラーと縦ローラーとからなるものに比較してコンパクトであるから、狭い空間にも設置できる。しかも、多数の被搬送材を同じ移動速度で搬送できるので、搬送後の被搬送材の不揃いがなく、また、搬送中に被搬送材の表面に疵が発生することもない。本発明は、品質のよい棒材や管材等の生産に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の搬送装置の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】従来の搬送装置の他の一例を示す模式的な断面図である。
【図3】従来の鍔付きローラーを備えた搬送装置を示す模式的な断面図である。
【図4】図3に示した搬送装置の周速の違いを説明する図である。
【図5】本発明の搬送装置の一例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1、8:ローラー、2:縦ローラー、3:サイドガイド、4:鍔付きローラー、
5、11、12:被搬送材、6、10:軸受、7:駆動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状ローラーと、そのローラーの駆動軸に回転自在に取り付けられていて円筒状ローラーとは独立に回転する鍔とを備えることを特徴とするローラー式搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−223682(P2007−223682A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43571(P2006−43571)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】