説明

ロールシュリンクラベル、およびそれを用いてなるラベル付き容器

【課題】接着物を糊残りなく手剥がしすることができるとともに、熱アルカリ水溶液により基体から接着物を容易且つ糊残りなく剥がすことのできるロールシュリンクラベルを提供すること。
【解決手段】容器の外周に巻きつけて装着するロールシュリンクラベルであって、
厚みが10〜50μmの基材フィルムと、その面上に設けられた、降温時における110℃の粘度が0.1Pa・s以上20Pa・s以下、昇温時における115℃の粘度が1,000Pa・s以上10,000Pa・s以下であり、かつ、130℃の粘度が100Pa・s以上1,000Pa・s以下であるホットメルト粘着剤から形成される粘着層とからなることを特徴とするロールシュリンクラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールシュリンクラベル、およびそれを用いてなるラベル付き容器、さらにはその製造方法に関する。本発明のロールシュリンクラベルは、清涼飲料水、調味料,洗剤,シャンプー,食用油,化粧品,医薬品などに使用されているガラスビン,PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルに好ましく用いられる。
【背景技術】
【0002】
近年、PETボトルの生産量と共に飲料用としてのPETボトルの使用量も伸びている。使用されたPETボトルはゴミとして排出されるが、そのゴミの量をなるべく増やさないように、また資源としてリサイクルできるように再生資源利用促進法でリサイクルシステムが整ってきている。PETボトルのリサイクルでは、使用後集められたPETボトルを8mm角ペレットにカッティングし、熱アルカリ(85〜90℃1.5%NaOH)水溶液に約15分間漬けてラベルを剥離した後、水洗・乾燥・風選によりラベルを取り除き、PETのペレットを再生している。
【0003】
このようなことから、PETボトルのラベルは、ストレッチラベル、シュリンクラベル、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(特許文献1,2)を用いたロールラベルなどがある。ストレッチラベルは、伸ばして離すと元に戻る輪ゴムの原理を利用するものである。つまり、胴状ラベルを伸ばしてペットボトルにかぶせ離してラベルを元に戻し、巻きつけて使用する。しかしながら、ストレッチラベルは、そのラベルの復元力も小さくデザイン性を重視した凸凹PETボトル(異型ボトル)には使用できなかった。シュリンクラベルは、予め筒状になったラベルをラベラーでカッティングしながらPETボトルにラベルをかぶせ、ヒーターや蒸気の熱で収縮させ、これによりフィルムを容器にすき間なく密着させる。しかし、この方式は、ラベルを予め筒状に加工する必要があるためコストが多くかかってしまう問題があった。また、筒状のラベルをボトルにかぶせ易くするため、ある程度のラベルの厚みが要求され、コストの問題があった。さらに、30℃以上の温度になるとシュリンクラベルが縮んで皺が発生し上手く被せる事が出来なくなり、ラベルの保存時の湿度を調整する必要があるため、取り扱い性が容易でなかった。一方、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤を用いたロールラベルは、デザイン性を重視した凸凹PETボトル(異型ボトル)には使用できない問題点が有った。
【0004】
特許文献3には、ロールシュリンクラベルにUV(Ultraviolet)硬化型ホットメルト型接着剤/またはUV接着剤を用いることが提案されているが、UV硬化型接着剤はUV照射量のコントロールが難しく、アルカリ分散しない為PETボトルリサイクル推進協議会自主規制に適合しなかった。また、さらにラベラーの構造が複雑になったり、ラベラーの価格が高くなるなどの問題が発生していた。さらに、UV硬化型ホットメルト型接着剤は、皮膚刺激性があり作業者の皮膚に付いたり、ホットメルトであるため過熱した蒸気が皮膚に付いたりすると過敏な人はアレルギー反応を起こし、作業者への安全性に関する問題があった。
【0005】
ホットメルト粘着剤を用いた場合、ホットメルト粘着剤の塗工時に加熱したホットメルト粘着剤あるいはホットメルトヘッドがシュリンクラベル(すなわち基材フィルム)に接触してもシュリンクラベルはシュリンクせず、しかし、ボトルに巻付けた後、シュリンクトンネルを通した時はシュリンクラベルが充分にシュリンクし、かつホットメルト粘着剤の貼合わせ部分がずれないことが必要になる。しかしながら、従来のホットメルト粘着剤は、塗工適性が良く、かつシュリンクトンネルを通しても接着部がずれたりしないホットメルト粘着剤はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−220244号公報
【特許文献2】特許第4278704号公報
【特許文献3】特開2008−145498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ラベルを剥がした後、ラベルやホットメルト粘着剤のPETボトルへの再付着がないロールシュリンクラベル付き容器を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の目的は、接着物を糊残りなく手剥がしすることができるとともに、熱アルカリ水溶液により基体から接着物を容易且つ糊残りなく剥がすことのできる、リサイクル適性に優れたロールシュリンクラベルを提供することである。
【0009】
PETボトルのリサイクルを行うために、PETボトルリサイクル推進協議会では、関係団体や各省庁とともに、PETボトルに関するさまざまな法整備、ガイドラインの策定を進めてきた。PETボトルのラベルについては、‘指定PETボトルの自主設計ガイドライン’を創り自主規制を行っている。この自主規制ではストレッチラベルやシュリンクラベルにするか、OPP(延伸ポリプロピレン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、PETフィルムなどのフィルムまたは紙ラベルを用いて、かつ熱水剥離、熱アルカリ剥離いずれかの方法でラベルが剥離しなければならなくなった。
【0010】
PETボトルからのラベルの剥離方法は、PETボトルリサイクル推進協議会が出している‘指定PETボトルの自主規制ガイドライン’による。すなわち、熱アルカリ剥離試験は、ラベル、印刷等を施したボトルをカッティングして作ったペレットを90℃の1.5%NaOH水溶液中にペレット濃度10%(重量比)で浸漬し、15分間ゆっくり撹拌する。次いで、フィルターで濾過しペレットの目視観察を行う。ラベルが剥離し、印刷インキ、接着剤等がボトルに残らない時は熱アルカリ剥離(リサイクル)適性ありと判断する。
【0011】
本発明は、PETボトルリサイクル推進協議会が出している‘指定PETボトルの自主設計ガイドライン’に適した清涼飲料水や調味料などのPETボトルの紙及びOPP胴巻きラベル用として好適な、ホットメルト粘着剤を使用したロールシュリンクラベルで、ラベル使用時冷却などを行う際水の中に入れてもラベルは剥離しないが、回収後ボトルをペレットにして熱アルカリ水溶液に漬けるとPETボトルから簡単にラベルは剥離し、再度PETボトルに付着せず、凸凹PETボトル(異型ボトル)にも使用できるロールシュリンクラベルを提供する。
【0012】
本発明は、シュリンクラベル基材に直接ホットメルト粘着剤を塗工しても基材がシュリンクせず、容器に巻き付けた後、シュリンクトンネルを通した際にはラベルが適切にシュリンクして容器外周に固定され、さらに接着面などにズレまたは剥がれが発生しないロールシュリンクラベルを提供する。
【0013】
また、本発明は、さらに、上記特性を有するロールシュリンクラベルを用いてなるラベル付き容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以下の内容に関する。
[1]容器の外周に巻きつけて装着するロールシュリンクラベルであって、
厚みが10〜50μmの基材フィルムと、その面上に設けられた、降温時における110℃の粘度が0.1Pa・s以上20Pa・s以下、昇温時における115℃の粘度が1,000Pa・s以上10,000Pa・s以下であり、かつ、130℃の粘度が100Pa・s以上1,000Pa・s以下であるホットメルト粘着剤から形成される粘着層とからなることを特徴とするロールシュリンクラベル。
【0015】
[2]基材フィルムの、一方の端部(I)に粘着層が設けられ、相対するもう一方の端部(II)に粘着層がないことを特徴とする上記のロールシュリンクラベル。
[3]端部(I)は、巻きつけ後の、基材フィルム自身の他の部位との固定部であることを特徴とする上記のロールシュリンクラベル。
【0016】
[4]ホットメルト粘着剤が、
軟化点が110℃以上140℃以下のポリエチレンワックスおよび軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックスを含むことを特徴とする上記のロールシュリンクラベル。
【0017】
[5]ホットメルト粘着剤は、熱可塑性エラストマー、粘着付与剤および合成オイルを含む上記のロールシュリンクラベル。
【0018】
[6]ホットメルト粘着剤は、粘着剤の合計100重量%中、
軟化点が110℃以上140℃以下のポリエチレンワックス5〜15重量%、
軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックス10〜20重量%、
熱可塑性エラストマー10〜20重量%、
粘着付与剤25〜40重量%、および、
合成オイル20〜40重量%を含む上記のロールシュリンクラベル。
【0019】
[7]基材フィルムが、MD方向一軸延伸フィルムであることを特徴とする上記のロールシュリンクラベル。
【0020】
[8]上記のロールシュリンクラベルが、容器の外周に装着されてなるラベル付き容器。
【0021】
[9]厚みが10〜50μmの基材フィルムと、その面上に設けられた、ホットメルト粘着剤から形成される粘着層とからなるロールシュリンクラベルを、鉛直に配置されたシリンダーの周囲に巻き付け、前記粘着層を基材フィルム自身の他の部位に貼り付けることにより、円周状のラベルを製造する第1の工程:
シリンダーを抜き出し、上記円周状のラベル内に円筒状の容器を挿入する第2の工程:
次いで、熱収縮処理を施し、上記円周状のラベルを容器の周囲に装着する第3の工程:を含むラベル付き容器の製造方法であって、
前記ホットメルト粘着剤は、
降温時における110℃の粘度が0.1Pa・s以上20Pa・s以下、昇温時における115℃の粘度が1,000Pa・s以上10,000Pa・s以下であり、かつ、130℃の粘度が100Pa・s以上1,000Pa・s以下である、
ことを特徴とする、ラベル付き容器の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、ロールシュリンクラベルを剥がした後、容器に再付着することがない。
【0023】
また、本発明のロールシュリンクラベルは、凸凹の(異型)ボトルに使用でき、容器を使用するに際してラベルは剥離することはないが、使用後、容器をリサイクルするにあたって、8mm角のペレットにして90℃の1.5%NaOH水溶液中にて15分間簡単に攪拌する事でPETボトルからラベルは剥離し、ラベルやホットメルト粘着剤のPETボトルへの再付着はない。
【0024】
さらに、本発明のロールシュリンクラベルは、PETボトルリサイクル推進協議会が出している‘指定PETボトルの自主規制ガイドライン’の熱アルカリ水によるラベルの剥離要件、および手剥がしにより糊残りなく剥離できるという要件を満たすことから、PETボトル用のラベルとして好ましく利用することができる。
【0025】
さらに、ロールシュリンクラベルをPETボトルから手剥がしした際にホットメルト粘着剤がPETボトルに残らない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明におけるホットメルト粘着剤の粘度の温度依存性を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のロールシュリンクラベルについて、更に詳細に説明する。
【0028】
まず、本発明のロールシュリンクラベルは、容器の外周に巻きつけて装着するロールシュリンクラベルであって、基材フィルムと、その面上に設けられた、当該基材フィルム同士を接着するホットメルト粘着層とからなることを特徴とする。
【0029】
上記のロールシュリンクラベルの基材フィルムとしては、例えば、延伸ポリエステル系フィルム、延伸ポリスチレン系フィルム、延伸ポリオレフィン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、延伸ポリエステル−ポリスチレン共押出しフィルムまたは発泡ポリスチレン系フィルムが挙げられる。または不織布と前記フィルムとの積層フィルムであってもよい。なお、延伸フィルムは、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよく、一軸延伸フィルムの場合は縦一軸延伸であっても横一軸延伸であってもよい。ただし、予めシュリンクラベルを筒状にして容器に装着し、次いで熱収縮処理を行うシュリンクラベルでは、横一軸延伸フィルムが好適であるのに対し、本願発明のロールシュリンクラベルは、シュリンクラベルとして使用する場合であっても、横一軸延伸フィルムに限定されるものでなく、横一軸延伸、縦一軸延伸、二軸延伸フィルムのいずれをも好適に使用することができる。
【0030】
本発明においては、基材フィルムとして、MD(Machine Direction)方向一軸延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0031】
基材フィルムの、延伸方向に対する熱収縮率は、本発明のラベルがロールシュリンクラベルとしての効果を奏するに、5〜85%であることが好ましい。なお、本発明における熱収縮率とは、100℃の温水による熱収縮率であって、延伸方向の熱収縮率が下記式に従うものとする。従って、縦一軸延伸フィルムの場合には、収縮方向は、フィルム流れ方向であるため、流れ方向に対する熱収縮率が5〜85%であり、横一軸延伸フィルムの場合はフィルム幅方向に収縮するため、フィルム幅方向に対する熱収縮率が5〜85%となる。なお、二軸延伸フィルムの場合には、いずれかの延伸方法に対して熱収縮率が上記範囲内であることが好ましい。
熱収縮率(%)=(加熱前の寸法−加熱後の寸法)/(加熱前の寸法)×100
なお、基材フィルム層の厚みは、特に限定されないが、耐熱性、剛性、機械適性、外観等を損なわない範囲で適宜選択され、10〜50μm程度が好ましい。ロールシュリンクラベルでは、ラベルの厚みが薄くても使用できるため、経済性を考慮すると、さらに好ましくは10〜30μmである。
【0032】
更に、上記の基材フィルムには、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤を添加してもよい。また、基材フィルム層の表面には、印刷性を向上させるため、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などの慣用の表面処理を施してもよい。
【0033】
なお、上記基材フィルムは、上記フィルムの単層に限定されず、2種類以上のフィルムの積層フィルムであってもよく、更に、これらのフィルムに酸化珪素、酸化アルミニウムもしくはアルミニウム等の蒸着膜を設けてもよい。積層フィルムの厚さとしては、10〜300μm程度に形成されるものが好ましい。
【0034】
また、本発明に用いられる容器は、清涼飲料水、調味料、洗剤、シャンプー、食用油、化粧品、医薬品などに使用されているガラス瓶などのガラス容器やPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルなどのプラスチック容器や紙容器などが挙げられる。本発明のラベルはPETボトル容器に使用されることがボトルのリサイクルの観点から望ましいがその他のプラスチック容器,ガラス容器,紙用に使用することもできる。
【0035】
本発明におけるホットメルト粘着剤は、降温時110℃の粘度が0.1Pa・s以上20Pa・s以下であり、昇温時の115℃の粘度が1,000Pa・s以上10,000Pa・s以下である。降温時110℃の粘度が0.1Pa・s未満の場合塗工量が不安定になり、20Pa・sより高い場合ホットメルト粘着剤の塗工時に、スリットコーターでホットメルト粘着剤が擦れたり、糸曳きが発生する。
【0036】
昇温時115℃の粘度が1,000Pa・s未満のホットメルト粘着剤を用いた場合、シュリンク温度でのホットメルト粘着剤の接着力が低くなり、シュリンク適性(ラベルをPETボトルに貼りつけたシュリンク前の容器を90℃に温調した湯浴に3秒間漬け、ラベルがずれたり、剥離するか評価)はなく、接着面がずれたり、剥がれたりする。10,000Pa・sを超える場合、ホットメルト粘着剤のタックが低下し、ラベル同士の接着性が低下して剥がれ易くなる。
【0037】
また、ホットメルト粘着剤の、昇温時130℃の粘度は100Pa・s以上1,000Pa・s以下である。
【0038】
昇温時130℃の粘度が100Pa・s未満の場合、シュリンクトンネルを通した時にラベルが剥がれることがある。1,000Pa・sより高い場合、ホットメルト粘着剤の塗工時に、スリットコーターでホットメルト粘着剤が擦れたり、糸曳きが発生する。
【0039】
ここに、上記降温時および昇温時の粘度は、具体的には、レオメーターによって測定されるものである。レオメーターにより、粘度の温度依存性が容易に測定可能である。
【0040】
より具体的には、本発明においては、動的粘度粘弾性測定装置 Rheosol−G3000(株式会社 ユービーエム社製)によった。
【0041】
さらに、本発明における粘着剤の粘度挙動について、図面に基づいて説明する。
【0042】
図1は、本発明におけるホットメルト粘着剤のレオメーターにおける粘度挙動を示す模式図である。
【0043】
高温(図1においては、130℃以上)の状態から粘着剤を冷却していくと、1の経路を辿って、2つの変曲点A,Bを示して粘度は上昇する。次いで、低温(図1においては、80℃以下)の状態から加熱していくと、2の経路を辿って、すなわち、降温時とは異なった経路を辿って、4つの変曲点C,D,E,Fを示して粘度が低下する。このように、降温時と昇温時の粘度挙動が異なり、それらの差が大きいことが、本発明におけるホットメルト粘着剤の特徴でもある。
【0044】
本発明におけるホットメルト粘着剤は、熱可塑性エラストマー、粘着付与剤および合成オイルを含むことが好ましい。
【0045】
本発明における熱可塑性エラストマーとしてはスチレン系ポリマーが挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーは一般的にポリスチレンブロックとゴム中間ブロックとを有し、ポリスチレン部分が物理的架橋(ドメイン)を形成して橋掛け点となり、中間のゴムブロックは製品にゴム弾性を与える。中間のソフトセグメントにはポリブタジエン(B)、ポリイソプレン(I)及びポリオレフィンエラストマー(エチレン・プロピレン、EP)があり、ハードセグメントのポリスチレン(S)との配列の様式によって、直鎖状(リニアタイプ)及び放射状(ラジカルタイプ)とに分かれる。
前記した好ましいスチレン系エラストマーの中でも、本発明では、スチレン/ブタジエンブロック共重合体(S−B、ジブロック)、(S−B−S、トリブロック)、スチレン/イソプレンブロック共重合体(S−I,ジブロック),(S−I−S、トリブロック)、及びスチレン/ブタジエン−イソプレンブロック共重合体(S−B・I、ジブロック)、(S−B/I−B、トリブロック)ならびにこれらブロック共重合体の水添物、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SBS)の水添物、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体の水添物(SEPS)、また、カルボン酸変性した上記記載のスチレン系エラストマー、更には、スチレンブロックの中のスチレンのほかにスチレンとα―メチルスチレンなどの芳香族系ビニル化合物の共重合体も例示される。より好ましくは、熱安定性(熱分解し難い)観点から、スチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(SEBS)である。
【0046】
本発明における熱可塑性エラストマーの溶融粘度(熱可塑性エラストマー濃度25重量%トルエン溶液の、25℃におけるB型粘度計での測定粘度)が1Pa・s以上10Pa・s以下であることが好ましい。熱可塑性エラストマーの溶融粘度が1Pa・s未満の場合、シュリンク温度でのホットメルト粘着剤の接着力が低くなり、シュリンク適性(ラベルをPETボトルに貼りつけたシュリンク前の容器を90℃に温調した湯浴に3秒間漬け、ラベルがずれたり、剥離するか評価)はなく、接着面がずれたり、剥がれたりする。10Pa・sより高い場合、ホットメルト粘着剤の塗工時に、スリットコーターでホットメルト粘着剤が擦れたり、糸曳きが発生する。
【0047】
本発明における熱可塑性エラストマーは、ホットメルト粘着剤の凝集力を高くする為に用いられ、粘着剤の合計100重量%中、10重量%以上20重量%以下であることが望ましい。10重量%未満では凝集力が小さく、シュリンク温度でのホットメルト粘着剤の接着力が低くなり、シュリンク適性(ラベルをPETボトルに貼りつけたシュリンク前の容器を90℃に温調した湯浴に3秒間漬け、ラベルがずれたり、剥離するか評価)はなく、接着面がずれたり、剥がれたりする。20重量%より多いと、ホットメルト粘着剤の塗工時に、スリットコーターでホットメルト粘着剤が擦れたり、糸曳きが発生する。
【0048】
本発明に用いられる粘着付与剤としては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、キシレン樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、フェノール−変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、酸変性ロジン樹脂、水素添加されたロジン樹脂、水素添加されたロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水素添加されたテルペン樹脂などが挙げられる。粘着付与樹脂は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
【0049】
本発明に用いられる粘着付与剤は、シュリンクラベル同士またはシュリンクラベル及びシュリンクラベルの印刷面との接着性を向上させる為に用いられる。本発明に用いられる粘着付与剤は、ホットメルト粘着剤の合計100重量%中、25重量%以上40重量%以下であることが望ましい。25重量%未満では接着性が悪く、シュリンク適性(ラベルをPETボトルに貼りつけたシュリンク前の容器を90℃に温調した湯浴に3秒間漬け、ラベルがずれたり、剥離するか評価)はなく、接着面が剥がれる。40重量%より多くなると接着剤の凝集力がなくなり、同様にシュリンク適性がなくなる。
【0050】
本発明における合成オイルとしては、ゴムや熱可塑性エラストマー等の可塑剤として一般的に使用されるオイル、いわゆる石油精製等において生産されるプロセスオイルであり、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルに大別される。プロセスオイルは、芳香族環・ナフテン環・パラフィン鎖の混合物であり、一般に全炭素中の芳香族炭素が30重量%以上のものを芳香族系、ナフテン環炭素が35〜45重量%のものをナフテン系、パラフィン鎖炭素が50重量%以上のものをパラフィン系と分類している。パラフィン系原油を蒸留・水素化改質・溶剤抽出・溶剤脱ロウなどを行うことによりパラフィン系オイル、芳香族系オイルなどに分離される。ナフテン系原油も蒸留・溶剤抽出などを行うことによりナフテン系オイル、芳香族系オイルなどに分離される。本発明においては、手剥がし時の糊残り性の観点から、合成オイルは、好ましくは、ナフテン系オイル、パラフィン系オイルである。市販品としては、出光興産(株)から“ダイアナフレシア”、“ダイアナプロセスオイル”などの商品名で、また富士興産(株)から“フッコール ニューフレックス”、“フッコール フレックス”などの商品名で種々のグレードのものが市販されている。合成オイルは、本発明において、低温時の接着力を低下させないために用いられるものである。
【0051】
本発明における合成オイルは、ホットメルト粘着剤の合計100重量%中、20重量%以上40重量%以下の割合で用いられることが好ましい。
【0052】
本発明におけるホットメルト粘着剤は、軟化点が110℃以上140℃以下のポリエチレンワックスおよび軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックスを含むことが好ましい。
【0053】
本発明における軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックスは、ホットメルト粘着剤の降温時の粘度と昇温時の粘度の差を大きくする為に用いられる。軟化点が130℃未満のポリプロピレンワックスを用いた場合、シュリンク温度でのホットメルト粘着剤の接着(凝集)力が低くなりシュリンク適性(ラベルをPETボトルに貼りつけたシュリンク前の容器を90℃に温調した湯浴に3秒間漬け、ラベルがずれたり、剥離するか評価)はなく、軟化点が165℃より高いポリプロピレンワックスを用いた場合、塗工時にホットメルト粘着剤がノズルから出なくなったり、擦れたりする。軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックスは、ホットメルト粘着剤の合計100重量%中、10重量%以上20重量%以下である。10重量%未満であるとシュリンク温度でのホットメルト粘着剤の接着力が低くなり、シュリンク適性(ラベルをPETボトルに貼りつけたシュリンク前の容器を90℃に温調した湯浴に3秒間漬け、ラベルがずれたり、剥離するか評価)はなく、20重量%より多い場合、塗工時にホットメルト粘着剤がノズルから出なくなったり、擦れたりする。
【0054】
ポリプロピレンの代表的な合成方法は、純度95%以上のプロピレンガスを触媒(チーグラー・ナッタ触媒、例えばトリエチレンアルミニュウムと三塩化チタン系)を加えた溶剤(n−ヘプタンなど)中に、30〜70℃で吹き込むと重合反応が進行する。重合後、アルコールを加え触媒を溶かして除去すると、重合体は白色の粉末状の形で得られる。重合は常圧ないし8MPaの間で行われ、製品中のイソタクチック重合物の含有量は触媒の種類、濃度、トリエチルアルミニュウムと三塩化チタンとのモル比、反応温度、時間などによって異なる。
【0055】
ポリプロピレンワックスは、三井化学(株)からハイワックスの商品名で、また三洋化成(株)よりビスコールの商品名で市販されている。
【0056】
ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスの軟化点の測定は、JIS K−2207(石油アスファルト) 6.4軟化点試験方法(環球法)に準拠して行った。
【0057】
本発明における軟化点が110℃以上140℃以下のポリエチレンワックスは、シュリンク適性を向上させる為に用いられる。軟化点が110℃未満のポリエチレンワックスを用いた場合、シュリンク温度でのホットメルト粘着剤の接着力が低くなり、シュリンク適性(ラベルをPETボトルに貼りつけたシュリンク前の容器を90℃に温調した湯浴に3秒間漬け、ラベルがずれたり、剥離するか評価)はなく、接着面がずれたり剥がれたりする。140℃よりも高い軟化点のポリエチレンワックスを用いた場合、塗工適性が悪く、塗工できなかったり擦れたりする。好ましくは、軟化点が110℃以上140℃以下のポリエチレンワックスが、ホットメルト粘着剤の合計100重量%中、5重量%以上15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上15重量%以下であることが望ましい。5重量%未満ではシュリンク適性が悪く、15重量%よりも多いと、シュリンク温度でのホットメルト粘着剤の接着力が低くなり、シュリンク適性(ラベルをPETボトルに貼りつけたシュリンク前の容器を90℃に温調した湯浴に3秒間漬け、ラベルがずれたり、剥離するか評価)はなく、接着面がずれたり剥がれたりすることがある。
【0058】
ポリエチレンの代表的な合成方法は、3種類ある。(1)高圧法:最も代表的なものはICI法で、その他BASF,du Pont法、Union Carbide法など、(2)中圧法:フィリップス法、スタンダード(インジアナ)法など、(3)低圧法:チーグラー法などである。ポリエチレンワックスは、ベーカー・ペトロライト社から“POLYWAX”、ヤスハラケミカル株式会社から“ネオワックス”、Allied Signal社から“A−Cポリエチレン”の商品名で、市販されている。
【0059】
上記の軟化点が110℃以上140℃以下のポリエチレンワックス、軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックス、熱可塑性エラストマー、粘着付与剤および合成オイルを混合してホットメルト粘着剤を作製する。例えば、混合の順番は、先ず合成オイル及び熱可塑性エラストマーを投入して加熱溶解した後粘着付与剤を投入し完全に溶解した後、最後に残りの軟化点が110℃以上140℃以下のポリエチレンワックス及び軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックスを投入してもよい。使用器具は加熱し、攪拌機はプロペラ式の攪拌翼を用いて回転数は200〜500rpmが好ましい。
【0060】
ホットメルト粘着剤全体を100としたとき、各成分の配合比(重量%)は、110℃以上140℃以下のポリエチレンワックス:軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックス:熱可塑性エラストマー:粘着付与剤:合成オイル=5〜15:10〜20:10〜20:25〜40:20〜40である。この範囲内だと凝集力を維持し、接着性が良好で、ロールシュリンクラベルを熱収縮させる時に剥がれることがない。
【0061】
本発明の容器に使用するホットメルト粘着剤が、ロールシュリンクラベルに使用できるメカニズムについて説明する。ホットメルト粘着剤をロールシュリンクラベルに使用する場合、ホットメルト粘着剤の塗工時に、シュリンクラベルがホットメルト粘着剤及びヘッドの熱によりシュリンクしてしまう為、高温で塗工することは出来ない。ホットメルト粘着剤及びヘッドの温度を110℃以下にする必要がある。しかしながら、ホットメルト塗工機の高速(700bpm)での塗工性を考慮すると110℃でのホットメルト粘着剤の粘度が20Pa・s以下である必要がある。一方、製造されたロールシュリンクラベルを容器に装着する際のシュリンク適性を考慮すると、115℃での粘度が1,000Pa・s以上必要である。一般的なホットメルト粘着剤は、高温になると粘度が低くなる為このようなホットメルト粘着剤を得ることは出来ない。
【0062】
本発明は、ポリプロピレンワックスを用いることにより降温時と昇温時の粘度カーブが、図1の1および3の様にヒステリシスカーブを描くことを見出した。この現象は、溶融した粘着剤が、降温時直ぐに結晶化しない為に、軟化点以下になっても固化しないことを示している。すなわち、ホットメルト塗工機(ホットメルトタンク)で溶融されたホットメルト粘着剤は、ホットメルト塗工機で塗工される時は降温である為、110℃で塗工された場合に粘度が20Pa・s以下で、塗工適性は問題ない。一度、塗工されたホットメルト粘着剤は、80℃以下になると直ぐに固化する。
【0063】
得られたロールシュリンクラベルをホットメルト粘着層により、ラベル同士を固定して、容器に被せてから、シュリンク工程に入る。
【0064】
ラベルが巻きつけられた容器は、80℃〜95℃に加熱されたシュリンクトンネルを通りシュリンクラベルが収縮される為、ホットメルト粘着剤の粘度が115℃で1,000Pa・s以上必要である。ここで、シュリンクトンネル温度は80〜95℃の設定温度であるが、115℃の粘度に着目した理由は、シュリンクトンネル内の温度センサーは95℃であっても、ラベル部分に加熱された蒸気が直接あたることがあり、その場合115℃程度の温度になることがある為である。ポリプロピレンワックスを用いた、本発明におけるホットメルト粘着剤の昇温時の粘度カーブでは、115℃で1,000Pa・s以上である為、シュリンクラベルが収縮しても、接着部が剥離したり、ずれたりすることはない。
【0065】
しかしながら、ワックスとしてポリプロピレンワックスのみを使用した場合、トラブルなどにより長時間ラベラーが停止した場合、塗工機のヘッドが冷える為再稼動させた時にホットメルト粘着剤も冷えてしまっており、ホットメルト粘着剤の塗工が出来なかったり、擦れたりするなどの問題が発生した。そこで、ポリエチレンワックスを併用することにより、ホットメルト粘着剤の昇温時の粘度カーブが図1の2のよう(115℃での粘度が1,000Pa・s以上10,000Pa・s以下)になり、ラベラーが長時間停止して再稼動した時でも塗工性に問題が生じなくなることを見出した。すなわち、粘度が急激に低下する温度が、低い方へシフトしたことにより、粘着剤を再加熱した場合に、より流動性を帯びやすくなったのである。
【0066】
なお、ホットメルトタンク及びホースの温度が130℃程度に設定されている為、長期間滞留した場合、粘度が高い(昇温時1,000Pa・sを超える)ホットメルト粘着剤はヘッドから出にくくなり、ラベリング速度が高速(500本/分以上)時にホットメルト粘着剤が擦れたりする。よって、昇温時の130℃でのホットメルト粘着剤の粘度は1,000Pa・s以下であることが好ましい。
【0067】
次に、ロールシュリンクラベル付き容器の製造方法について、より具体的に説明する。
【0068】
まず、基材フィルムの一方の端部(I)に、ホットメルト粘着層を形成して、粘着層付きロールシュリンクラベルとする。なお、基材フィルムのもう一方の端部(II)には、粘着層は設けない。粘着層の形成方法は、粘着剤を直接塗工して粘着層としても、粘着層を転写して間接的に塗工してもよい。
【0069】
直接塗工する方法としては、スリット塗工、カーテンスプレー、スパイラルスプレー、ドットまたはビード方式による塗工が挙げられ、好ましくはスリット塗工である。
【0070】
接触塗布する場合は、スリット塗工を用いる場合は、塗工ヘッドの温度は110℃以上140℃以下が好ましい。上記の温度範囲内であれば、ロールシュリンクラベルのシュリンク温度より高いとしても、シュリンクラベルが熱せられる時間が少ないため、シュリンクすることなく塗工可能である。溶融タンク及びホースの温度は、120℃〜150℃が望ましい。これより低いとホットメルト粘着剤の粘度が高く塗工適性を損なうことがある。
【0071】
カーテンスプレー、スパイラルスプレー、ドットまたはビード方式では、ノズルから基材フィルムまでの距離があるので、各粘着剤が基材フィルムに到達するまでに冷える為、ロールシュリンクラベルが装着前にシュリンクするのを防ぐことが出来る。
【0072】
間接的に塗工する方法としては、ロールを用いた方法が挙げられる。ロールを用いた方法は、試験的には、例えば、ハンドアプリケータを用いてホットメルト粘着剤を離型紙に塗工した後、塗工物を必要な大きさに切り取り、基材フィルムに転写する方法などに相当する。この方法によると、塗工の際の粘着剤の温度によってロールシュリンクラベルが収縮するおそれがない。
【0073】
ロールシュリンクラベルの一端に形成した粘着層の幅が3mm以上であると、蒸気などでロールシュリンクラベルを加熱した時に粘着層の強度が不足することによりラベルが剥がれたり、ズレたりすることがない。なお、ここでいう「粘着層の幅」とは、粘着層の、ラベル巻きつけ方向における長さである。
【0074】
ホットメルト粘着剤の塗工量は下記の式で80〜150g/m2必要である。80g/m2未満の場合シュリンクさせた時にラベルが剥がれたり、ズレたりする。150g/m2より多い場合見た目が悪かったり、ボトルを手に取った時に違和感を感じる。
塗工量(g/m2)=塗工したホットメルト粘着剤の重量(g)/塗工面積(m2
次に、基材フィルムを円周状とし、ホットメルト粘着層により、基材フィルム同士を固定する。
【0075】
具体的には、ホットメルト粘着層が設けられたロールシュリンクラベルを、鉛直に配置されたシリンダーの周囲に巻き付け、前記粘着層を基材フィルム自身の他の部位に貼り付けることにより、円周状のラベルを製造する。
【0076】
こうして得られた円周状のラベル内のシリンダーを抜き出し、ラベル内に円筒状の容器を挿入する。
【0077】
次に、容器の外周に位置するロールシュリンクラベルを、蒸気また温水などでシュリンクさせ、容器の周囲に固定させる。シュリンクの温度は、80〜95℃が好ましい。
【実施例】
【0078】
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0079】
なお、例中、単に「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ表す。また、「wt%」は「重量%」の意である。
【0080】
ホットメルト粘着剤に使用された成分は、以下の通りである。
【0081】
(ホットメルト粘着剤試作方法)
熱可塑性エラストマー
・クレイトンG1650(クレイトンポリマー社製)(以下、「G1650」と略記する。)
スチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(SEBS)
ジブロック量:0%
溶融粘度*1:8Pa・s
・クレイトンG1652(クレイトンポリマー社製)(以下、「G1652」と略記する。)
スチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロックポリマー(SEBS)
ジブロック量:0%
溶融粘度*1;1.350Pa・s
なお、溶融粘度*1は、熱可塑性エラストマー濃度25重量%トルエン溶液の25℃での溶融粘度である。溶融粘度の測定は、B型粘度計RB80L(東機産業社製)を用い、ローターNo.3を用いて適した回転数で行った。
【0082】
粘着付与剤
・ハリタックF(ハリマ化成社製)
水添ロジン
酸価:175mgKOH/g
軟化点:72℃
・YSポリスターT30(ヤスハラケミカル社製)(以下、「T30」と略す)
テルペンフェノール樹脂
軟化点:30℃
【0083】
合成オイル
・ダイアナフレシアN90 (出光興産社製)(以下、「ダイアナフレシN90」と略記す。)
パラフィン系プロセスオイル
【0084】
軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックス
・NP−030(三井化学(株)社製)
分子量5800
軟化点153℃
・NP−055(三井化学(株)社製)
分子量7000
軟化点148℃
・NP−505(三井化学(株)社製)
分子量19、000
軟化点154℃
【0085】
軟化点が110℃以上140℃以下のポリエチレンワックス
・ポリワックス1000(ベーカー・ペトロライト社製)
分子量:1000
軟化点:117℃
分散度:1.08
針入度:1.0
・ポリワックス2000(ベーカー・ペトロライト社製)
分子量:2000
軟化点:128℃
分散度:1.10
針入度:0.5
・ポリワックス3000(ベーカー・ペトロライト社製)
分子量:3000
軟化点:130℃
分散度:1.10
針入度:0.5
・ポリワックス850(ベーカー・ペトロライト社製)
分子量:850
軟化点:107℃
分散度:1.10
針入度:1.0
【0086】
<ホットメルト粘着剤の作製方法>
(製造例1)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、合成オイル:ダイアナフレシアN90を27重量部及び熱可塑性エラストマー:クレイトンG1652を14重量部及び粘着付与剤:YSポリスターT30を4重量部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130℃未満150℃超にならないように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、150℃未満の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に粘着付与剤:ハリタックFを27重量部徐々に加え、添加終了後、ポリプロピレンワックス:NP−030を16重量部及びポリエチレンワックス:ポリワックス3000を12重量部添加して、溶融均一混合物とし、冷却してホットメルト粘着剤組成物を得た。
【0087】
(製造例2〜7)
合成オイル、熱可塑性エラストマー、粘着付与剤、ポリプロピレンワックス及びポリエチレンワックスとして、下記表1に記載の成分を添加して、製造例1と同様にして、製造例2〜7のホットメルト粘着剤を作製した。
【0088】
<粘度の測定方法>
得られたホットメルト粘着剤について、プレート型レオメーターを用いて、粘度測定を行った。測定方法及び測定条件は下記の通りである。測定結果を表1に示す。
・測定装置:動的粘度粘弾性測定装置 Rheosol−G3000(株式会社 ユービーエム社製
・測定モード:温度依存性
・チャック:パラレルプレート
・波形:正弦波
・パラレル直径:19.99mm
・キャップ:1mm
・降温粘度測定開始温度:180℃ 測定終了温度: 30℃
・昇温温度測定開始温度: 30℃ 測定終了温度:180℃
・降温速度:3℃/分
・昇温速度:3℃/分
・回転幅:2Hz,3deg
【0089】
<ロールシュリンクラベルの作製方法>
上記の方法で作製したホットメルト粘着剤を離型紙に150℃に加熱したハンドアプリケーターを用いて塗工量80〜150g/m2になるように塗工を行なった。塗工物を必要な大きさに切り取り、幅60mm×長さ250mmの以下に示す基材フィルムの一方の端部に上記方法で作製したホットメルト粘着剤の塗工物を転写し2Kgのロールで1往復させて、粘着層を設けてロールシュリンクラベルを作製した。
【0090】
<基材フィルム>
使用した基材フィルムは、厚さ20μmのMD方向一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製)を使用した。
【0091】
(実施例1〜7)
<ラベル付き容器の作製方法>
上記で作製したロールシュリンクラベルを、円周200mmの円筒状のPETボトルの胴部に被せて作製した。その時、まず粘着層によってロールシュリンクラベルの末端同士の接着を行い、PETボトルとは接着せず、円筒状のロールシュリンクラベルを被せた容器を作成した。作成した容器について、以下の試験を行い、結果を表1に示した。
【0092】
<リサイクル性試験>
ラベル付き容器を約8×8mm角に粉砕して、ラベルが付いた状態のPETボトルのペレットとした。1,000ml丸型フラスコに、1.5wt%水酸化ナトリウム水溶液360gと前記ペレット40gを入れて、250rpmで攪拌(攪拌羽:プロペラ)した。15分後フィルターで濾過し、ペレットを目視観察し、ペレットにホットメルトが付着していなければ:○、ペレットにホットメルトが付着していたら:×とした。
【0093】
<シュリンク適性試験>
上記方法で作製したラベル付き容器を90℃に加熱した湯浴に入れロールシュリンクラベルをシュリンクさせて評価した。ロールシュリンクラベルが収縮して粘着層が2mmより大きくずれたり、剥離した場合の評価は×とした。ずれの大きさが2mm以下であり、かつ、剥離しなかった場合の評価を○とした。
【0094】
<塗工適性および1時間停止後の塗工性>
ノードソン社製メルターシリーズ3400を用いて、スリットコーター方式でシュリンクラベル(東洋紡社製フィルム厚20μm)に塗工速度20〜150m/minの速度で粘着剤を塗工した。また、1時間停止させて、再度塗工させた時の適性も評価した。塗工面が擦れたり、塗工出来なかった場合×、問題なかった場合:○とした。
メルターの温度設定:140℃、ホース設定温度:140℃、ヘッド設定温度:110℃。
【0095】
(比較例1〜4)
ラベル同士を固定するための粘着剤を、表2記載の成分を配合して、製造例1と同様に作製して粘度を測定した(比較製造例1〜4)。
【0096】
次に、実施例1と同様に、ラベル付き容器を作製して各試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【符号の説明】
【0099】
1:ホットメルト粘着剤の、降温時の粘度挙動の一例。
2:ホットメルト粘着剤の、昇温時の粘度挙動の一例。
3:ポリプロピレンワックスを配合したホットメルト粘着剤の、昇温時の粘度挙動の一例。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の外周に巻きつけて装着するロールシュリンクラベルであって、
厚みが10〜50μmの基材フィルムと、その面上に設けられた、降温時における110℃の粘度が0.1Pa・s以上20Pa・s以下、昇温時における115℃の粘度が1,000Pa・s以上10,000Pa・s以下であり、かつ、130℃の粘度が100Pa・s以上1,000Pa・s以下であるホットメルト粘着剤から形成される粘着層とからなることを特徴とするロールシュリンクラベル。
【請求項2】
基材フィルムの、一方の端部(I)に粘着層が設けられ、相対するもう一方の端部(II)に粘着層がないことを特徴とする請求項1記載のロールシュリンクラベル。
【請求項3】
端部(I)は、巻きつけ後の、基材フィルム自身の他の部位との固定部であることを特徴とする請求項2記載のロールシュリンクラベル
【請求項4】
ホットメルト粘着剤が、
軟化点が110℃以上140℃以下のポリエチレンワックスおよび軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックスを含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のロールシュリンクラベル。
【請求項5】
ホットメルト粘着剤は、熱可塑性エラストマー、粘着付与剤および合成オイルを含む請求項4に記載のロールシュリンクラベル。
【請求項6】
ホットメルト粘着剤は、粘着剤の合計100重量%中、
軟化点が110℃以上140℃以下のポリエチレンワックス5〜15重量%、
軟化点が130℃以上165℃以下のポリプロピレンワックス10〜20重量%、
熱可塑性エラストマー10〜20重量%、
粘着付与剤25〜40重量%、および、
合成オイル20〜40重量%を含む請求項5に記載のロールシュリンクラベル。
【請求項7】
基材フィルムが、MD方向一軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項1ないし6いずれかに記載のロールシュリンクラベル。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれかに記載のロールシュリンクラベルが、容器の外周に装着されてなるラベル付き容器。
【請求項9】
厚みが10〜50μmの基材フィルムと、その面上に設けられた、ホットメルト粘着剤から形成される粘着層とからなるロールシュリンクラベルを、鉛直に配置されたシリンダーの周囲に巻き付け、前記粘着層を基材フィルム自身の他の部位に貼り付けることにより、円周状のラベルを製造する第1の工程:
シリンダーを抜き出し、上記円周状のラベル内に円筒状の容器を挿入する第2の工程:
次いで、熱収縮処理を施し、上記円周状のラベルを容器の周囲に装着する第3の工程:を含むラベル付き容器の製造方法であって、
前記ホットメルト粘着剤は、
降温時における110℃の粘度が0.1Pa・s以上20Pa・s以下、昇温時における115℃の粘度が1,000Pa・s以上10,000Pa・s以下であり、かつ、130℃の粘度が100Pa・s以上1,000Pa・s以下である、
ことを特徴とする、ラベル付き容器の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−230271(P2012−230271A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98874(P2011−98874)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【出願人】(711004506)トーヨーケム株式会社 (17)
【出願人】(591004881)東洋アドレ株式会社 (51)
【Fターム(参考)】