説明

ロール洗浄装置

【課題】ロールからベアリングを取り外すことなく洗浄できるロール洗浄装置を提供する。
【解決手段】上面が開口して、左右一対のベアリング16,16を支持するベアリング支持部17,17が載置されると共に、水が入った外洗浄槽18と、外洗浄槽18の水に浸され、かつ、上面が開口してロール12の下部が浸されるように有機溶剤が入った内洗浄槽20と、外洗浄槽18の底面に配された超音波振動子と、回転軸14に連結され、ロール12を回転させるモータ26とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビアロール等のロール洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、グラビアロールや印刷ロール等を洗浄する場合には、例えば、洗浄液供給ノズルからロールに対し洗浄液を吹き付けてその外周面を洗浄する洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−122191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような洗浄装置においては、ロールを回転支持するベアリングとそれを支持するベアリング支持部をロールの回転軸から取り外して洗浄する必要がある。もし、ベアリングとベアリング支持部を取り外さないと、吹き付けられた洗浄液でベアリング支持部で支持されたベアリングが腐食するからである。また、ロールの外径が、ベアリング支持部の外径より小径であるときは、ベアリングとベアリング支持部を付けたまま、ロールの洗浄液に漬けたままの洗浄がより難しくなる。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、ロールからベアリングを取り外すことなく洗浄できるロール洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ロールの左右両側から突出した回転軸に左右一対のベアリングがそれぞれ取り付けられた状態で、前記ロールを洗浄するロール洗浄装置であって、上面が開口して前記左右一対のベアリングがそれぞれ載置されると共に、第1の洗浄液が入った外洗浄槽と、前記外洗浄槽の前記第1の洗浄液に浸され、かつ、上面が開口して前記ロールの下部が浸されるように第2の洗浄液が入った内洗浄槽と、前記外洗浄槽の底面に配された超音波振動子と、前記回転軸に連結され、前記ロールを回転させるモータと、を有することを特徴とするロール洗浄装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロールからベアリングを取り外すことなく洗浄できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例のロール洗浄装置10について図1に基づいて説明する。
【0009】
このロール洗浄装置10は、印刷ロール、グラビアロール等の表面がインク等によって汚れた場合に、その汚れを洗浄するものである。洗浄されるロール12は、ロール12の左右両端部から回転軸14,14が突出し、これら回転軸14,14には、左右一対のベアリング16,16が、ベアリング支持部17によって取り付けられている。また、ロール12の外径は、ベアリング16及びベアリング支持部17の外径よりも小さい寸法である。
【0010】
(1)ロール洗浄装置10の構造
ロール洗浄装置10は、ステンレス製の外洗浄槽18と、ステンレス製の内洗浄槽20の二重構造となっている。
【0011】
外洗浄槽18の上面は開口し、外洗浄槽18の左右両側面の上端に、ロール12の左右一対のベアリング支持部17,17が載置されて固定される。外洗浄槽18内部には、第1の洗浄水である水が満たされ、また、外洗浄槽18の底面には超音波振動子22が配され、水の中を上方に向かって超音波を放射させる。
【0012】
内洗浄槽20は、外洗浄槽18の水内部にその下部が浸されるように配置されている。内洗浄槽20の上面は開口し、ロール12の回転軸14が、内洗浄槽20の左右両側面の上端に接触しないように配され、これにより回転軸14が回転自在となっている。内洗浄槽20内部には、ロール12を洗浄するための第2の洗浄水である有機溶剤が入っており、ロール12を内洗浄槽20に水平方向に載置したときに、ロール12の下部が有機溶剤に浸される。また、外洗浄槽18の水の液面高さは、内洗浄槽20の有機溶剤の液面高さよりも低い位置にある。
【0013】
ロール12の一方の回転軸14には、カップリング24を介してモータ26が連結されている。このモータ26は、ロール12を所定速度で回転させる。
【0014】
内洗浄槽20の上方、すなわち、ロール12の上方には軸方向(左右方向)にレール28が配されている。レール28の下部には、左右方向にアクチュエータで移動するブラシ30が設けられている。ブラシ30の下面にはブラシ毛32が植毛されている。ブラシ30が、レール28の下部を左右方向に移動することにより、ブラシ30のブラシ毛32が、回転するロール12の上部を洗浄する。
【0015】
超音波振動子22から内洗浄槽20の底面までの距離は、例えば約2〜3cmであり、内洗浄槽20の底面からロール12の下面までの距離は、例えば2〜3cmである。また、ロール12の外径としては、例えば4〜6cmであり、ベアリング16の外径としては、約6〜8cmである。ロール12の軸方向の長さは、例えば1.2〜1.3mである。
【0016】
(2)ロール洗浄装置10の動作状態
次に、ロール洗浄装置10の動作状態について図1に基づいて説明する。
【0017】
上記したように外洗浄槽18の水に内洗浄槽20を浸し、内洗浄槽20の有機溶剤にロール12を浸し、ロール12からベアリング16及びベアリング支持部17,17を取り外すことなく、ベアリング支持部17,17を外洗浄槽18の左右両側面の上端に載置して固定する。外洗浄槽18に入っている水の液面高さは、ベアリング支持部17,17の位置よりも低い位置になるようにして、ベアリング16,16とベアリング支持部17,17に水がかからないようにする。
【0018】
モータ26を回転させると、ロール12は内洗浄槽20の有機溶剤の中で所定速度で回転する。外洗浄槽18に配された超音波振動子22を振動させると、その振動が水を伝わり、さらに内洗浄槽20にある有機溶剤をも振動させて、回転するロール12の下部を振動した有機溶剤が洗浄する。一方、ロール12の上面は、左右方向に移動するブラシ30によって洗浄される。
【0019】
なお、ロール12を洗浄する時間は、ロール12の表面に付着した汚れや有機溶剤の種類によって異なり、例えば、数十分〜1日等である。
【0020】
(3)効果
本実施例によれば、ベアリング16,16とベアリング支持部17,17を取り外すことなくロール12の外周面を全て洗浄することができ、この場合に超音波振動した有機溶剤によって、ロール12の溝等に入っているインクや汚れを細かく除去することができ、また、ブラシ30によってもその汚れを除去することができる。
【0021】
また、超音波振動子22は、水が入った外洗浄槽18に配されているため、有機溶剤の悪影響を受けることがない。
【0022】
ベアリング16及びベアリング支持部17は、ロール12の外径よりも大きいが、外洗浄槽18に載置されると共に、外洗浄槽18の水の水面よりも高い位置にあるため、ベアリング16に水がかかることがなく、ベアリング16が水によって腐食することがない。また、ベアリング16及びベアリング支持部17が有機溶剤の悪影響を受けることもない。
【0023】
(4)変更例
本発明は上記各実施例に限らず、その主旨を逸脱しない限り種々に変更することができる。
【0024】
上記実施例では、外洗浄槽18に入っている第1の洗浄液は水であったが、これに限らず、超音波振動子22に悪影響を及ぼさない液体であればよい。
【0025】
上記実施例では、内洗浄槽20に入っている第2の洗浄液としては、有機溶剤を挙げたが、これに限らずロール12の表面を除去する液体であれば有機溶剤以外でもよい。
【0026】
上記実施例では、ロール12の上部をブラシ30によって洗浄したが、このブラシ30を用いず、内洗浄槽20による洗浄だけでもよい。また、ブラシ30に代えて、布等によってロール12の上部を洗浄してもよい。
【0027】
上記実施例では、ロール12の外径は、ベアリング16及びベアリング支持部17より小径であったが、ベアリング16より大きく、かつ、ベアリング支持部17より小さくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例に係るロール洗浄装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 洗浄装置
12 ロール
14 回転軸
16 ベアリング
17 ベアリング支持部
18 外洗浄槽
20 内洗浄槽
22 超音波振動子
24 カップリング
26 モータ
28 レール
30 ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールの左右両側から突出した回転軸に左右一対のベアリングがそれぞれ取り付けられた状態で、前記ロールを洗浄するロール洗浄装置であって、
上面が開口して前記左右一対のベアリングがそれぞれ載置されると共に、第1の洗浄液が入った外洗浄槽と、
前記外洗浄槽の前記第1の洗浄液に浸され、かつ、上面が開口して前記ロールの下部が浸されるように第2の洗浄液が入った内洗浄槽と、
前記外洗浄槽の底面に配された超音波振動子と、
前記回転軸に連結され、前記ロールを回転させるモータと、
を有することを特徴とするロール洗浄装置。
【請求項2】
前記ロールの外径が、前記ベアリング、又は、前記ベアリングを支持するベアリング支持部の外径よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載のロール洗浄装置。
【請求項3】
前記ロールが、グラビアロールである、
ことを特徴とする請求項1に記載のロール洗浄装置。
【請求項4】
前記ロールの上方において、前記ロールの軸方向に移動して、前記ロールの上部を洗浄する洗浄手段が配された、
ことを特徴とする請求項1に記載のロール洗浄装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−110527(P2011−110527A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271631(P2009−271631)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000240341)株式会社ヒラノテクシード (58)
【Fターム(参考)】