説明

ロール研削用研削砥石およびロール研削方法

【課題】生産品質要求を満たすように鉄および鉄鋼ロールを研削する研削砥石であって、その研削加工中に最低限の砥石磨耗補正、プロフィール誤差補正、またはテーパー誤差補正を必要とする研削砥石である。前記研削砥石は、ボンドシステムに含まれる天然ダイアモンド、合成ダイアモンド、立方晶窒化ホウ素、およびそれらの混合物を含む一群から選択される超砥粒材から本質的に成るものであって、より長い砥石寿命を有し、且つ、望ましいロール形状を実現するために前記ロールから削除される金属材料の量を最小限にするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許明細書は、2003年12月23日に申請された米国特許仮出願第60/523,321号に対する優先権を主張するものであって、前記仮出願は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、鉄ロール研削用途に用いられる研削砥石と、望ましい形状品質になるまでロールを再研削する方法に関連する。また、本発明は、主研磨材として立方晶窒化ホウ素をボンドシステムに有する研削砥石にも関連する。
【背景技術】
【0003】
圧延は、様々な厚みのストリップ、プレート、またはシートを生産するために、鉄鋼、アルミニウム、銅、製紙などの産業で用いられる成形加工方法である。ロールは、圧延用途のニーズを満たすよう、特定の幾何公差および表面完全性の規格で様々な形(プロフィール)に形成される。一般に、ロールは、鉄、鉄鋼、超硬合金、花こう岩、またはそれらの複合材料で作られる。圧延動作において、前記ロールにはかなりの磨耗と表面性状の変化が生じるため、機械加工または研削加工、すなわち「ロール研削」によって前記ロールを定期的に再成形することにより、ロール表面からフィードラインやびびりマーク、スクラッチマークおよび/または熱劣化のような表面不整をなくし、必要な幾何公差に修復する必要がある。前記ロールの研削は、前記ロール表面を移動する研削砥石によって行われ、この研削砥石は、専用のロール研削機(オフライン)か、またはストリップ圧延ミルでの場合のように、ミルのロールスタンドに取り付けられたロール研削装置(オンライン)に取り付けられる。
【0004】
これら双方の方法に共通する問題は、金属材料の削除を最低限に抑えつつ、目に見えるフィードマーク、びびりマーク、または表面不整なしに、前記ロールを正しいプロフィールの形状にいかに修復するかである。フィードラインまたはフィードマークとは、前記ロールの1回転当たりに前記砥石が進む距離に相当する、前記ロール表面上で前記砥石の先端位置に付く跡である。びびりマークとは、前記ロールの円周上に周期的に生じる砥石車加工の接触線であって、その原因は、砥石の振れ誤差(run out error)であるか、または研削砥石の不釣り合い、スピンドル軸受け、機械構造、機械フィード軸、モータードライブ、油圧・電気的衝撃など前記研削システムの複数の振動源から生じる振動であるかのどちらかである。フィードマークとびびりマークは、前記ロールの耐用性に影響を与え、望ましくない表面性状を完成品に与えるので、両方とも前記ロールにとって好ましくないものである。前記ロールの表面不整は、研削後の前記ロール被削面のスクラッチマークおよび/または熱劣化に関連する。スクラッチマークは、前記砥石から外れた研磨粒子または研削切りくずが前記ロールの表面をランダムに削ることによって作られる。用途にもよるが、通常は前記ロールを目視検査してスクラッチマークの有無を判断し、合格または不合格とする。前記ロール表面の熱劣化は、研削加工中の過熱によるもので、研削表面またはその付近のロール材のミクロ構造を変化させる原因であり、ときには前記ロールの亀裂の原因となる。研削後の前記ロールの熱劣化は、渦電流法および超音波検査法によって検出する。
【0005】
通常、オフラインロール研削法での研削機の装備は、前記研削砥石の回転軸をワークロール回転軸と平行にして、前記回転ロール表面と接触する前記回転砥石が前記ロールの軸に沿って移動して望ましい幾何形状を作り出すように行われる。ロール研削機は、Pomini(イタリア、ミラノ)、Waldrich Siegen(ドイツ)、Herkules(ドイツ)、およびその他供給業者を含め、ロール研削業界に設備を供給する多数の販売業者が市販している。オフラインロール研削に用いられる研削砥石は、通常、1型砥石であって、前記砥石の外径表面によって研削が行われる。
【0006】
ロール研削業界で鉄および鉄鋼ロール材を研削するために一般的に用いられる研削砥石は、たとえばシェラック樹脂またはフェノール樹脂マトリックスのような有機結合された樹脂のシステムであって、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、またはそれらの混合物のような従来の研磨材と、充填材と、第2の研磨材とを有するものである。また、ロール研削業界では、超硬合金、花こう岩、または非鉄ロール材の研削に、フェノール樹脂ボンドマトリックスで作られた研削砥石の主研磨材としてダイアモンドを用いることも知られている。これまで、無機ボンドまたはビトリファイドまたはセラミックボンドの研磨砥石は、有機樹脂ボンドの砥石に比べてロール研削用途においての有用性が低かったが、これは、前者の砥石の衝撃抵抗とびびり抵抗が後者砥石と比較して低いためである。ロール研削用途においては、前記有機樹脂ボンド砥石の方が有用であることが知られているが、これは、前記砥石のEモジュラス(lGPa−12GPa)が無機ビトリファイドボンド砥石に比べて低く、後者のEモジュラス(18GPa−200GPa)がより高いためである。前記ビトリファイドボンドの従来の砥石システムに伴うもう1つの問題は、その脆性であり、それによって前記砥石の端が研削加工中に壊れ、ワークロールのスクラッチマークおよび表面不整の原因となることである。
【0007】
米国特許出願公開第20030194954A1号は、本質的に従来の研磨材から成るロール研削砥石を公開しており、前記砥石は、酸化アルミニウム研磨材または炭化ケイ素研磨材およびそれらの混合物のような従来の研磨材を、選ばれた結合材および充填材とともに凝集して作られたフェノール樹脂ボンドシステムであって、シェラック樹脂ボンドシステムよりも長い研削砥石寿命を有する。前記特許出願の中で例として示された累積研削比Gは、19のロールを研削後に2.093であり、シェラック樹脂ボンド砥石のGの2〜3倍に改良されている。前記研削比Gは、磨耗された砥石の体積と、削除されたロール材の体積との比率である。G値が高いほど、砥石寿命は長い。しかし、このように改良された研削砥石であっても、鉄鋼ロール研削による研削砥石の磨耗速度はかなり高く、前記ロールの幾何テーパー公差(TT)を維持するために前記研削サイクル中に継続的な径方向の砥石磨耗補正(WWC)が使用される。この技術分野において、テーパー公差TTは、前記ロールの一端からもう一方の端までの前記ロールの許容サイズ偏差に相当する。前記砥石の軸移動の機能として、前記研削砥石のフィード軸を前記ロール表面に連続的に移動することによりWWCが行われる。ロール研削においてWWCが必要であれば、精度の高い機械制御が必要となり、且つ、前記研削サイクルがさらに複雑化する。
【0008】
従来の研磨材を採用した先行技術の研削砥石には、第2の欠点がある。前記ロール研削加工中、前記砥石は急速に磨耗するので、一般に0.025mm未満とされる望ましい許容範囲内のロールプロフィールとテーパーを得るには、複数の研削パスが修正のために必要となる。このような追加的な研削を行うことにより、高価なロール材が削除され、ロールの耐用期間が短縮される。一般に、先行技術において従来の研磨材を使った場合、ロール規格を満たすTT/WWCの比率は0.5〜5である(TTおよびWWCは一貫した単位で表される)。TT対WWCの比率の増加は、ロールの耐用期間を最大限に引き延ばすので、前記ロール研削加工の効率を向上するために特に望ましいことである。
【0009】
修正のために行う研削に伴う第3の欠点は、サイクル時間の増長により、前記加工の生産性が下がることである。また、前記有機樹脂ボンド砥石の磨耗が速まることによって必要となる頻繁な砥石交換により、生産時間が失われる。さらに、従来の研磨砥石の第4の欠点は、前記砥石の有効砥石直径が、前記砥石の耐用期間全体を通して一般に36〜24インチ(914〜610mm)減少することであり、これを補うために、研削軸ヘッドの片持ち梁作用が大きくなることである。片持ち梁作用が継続的に増すと、前記研削システムの剛性が継続的に変化し、前記ロール研削加工の不整合の原因となる。
【0010】
その他多数の先行技術として、欧州特許EP03444610号、EP0573035号、米国特許第5,569,060号公報、米国特許第6,220,949号公報は、オンラインロール研削法を開示している。日本国特許JP06226606A号は、オフラインのロール研削アパレータスと操作を開示しており、ロールの研削に平型ディスクフェース砥石(カップ型砥石)6A2型が使用されている。このタイプの研削システムにおける研削砥石軸はワークロール軸に対し垂直であるので、前記砥石軸の側面(作業面)はロールの外周表面と摩擦を生じる滑り接触で一定の力により圧迫される。この設計では、前記砥石スピンドル軸をわずかに傾けることによって、前記ワークロール表面との接触が前記砥石の先行面で起きるようにする。この方法での研削砥石は、前記ワークロールのトルクの作用により受動的に駆動されるか、研削スピンドルモーターによって能動的に駆動される。
【0011】
別の先行技術を参照すると、欧州特許EP0344610号は、オンラインロール研削に用いられる、一体化された2つの環状研磨部材を有するカップ型砥石を開示しており、前記砥石は酸化アルミニウム、炭化ケイ素、CBN、またはダイアモンド研磨材を有するものであって、有機または無機のボンドシステムのような2つの異なるボンドシステムを、各々の研磨部材がそれぞれ持つものである。前記ビトリファイドボンド研磨層(より高いEモジュラス、19.7−69GPaを有する)は内側の環状部材であって、外側の環状部材は、前記砥石の欠けおよび亀裂を防ぐよう、有機樹脂ボンドシステム(より低いEモジュラスであり1−9.8GPa)で作られている。異なるボンドシステムである前記2つの部材の研削砥石磨耗速度が同一ではないので、前記ロールの研削中に、プロフィール誤差、びびりマーク、スクラッチマークが頻繁に生じる可能性がある。
【0012】
米国特許第5,569,060号公報および第6,220,949号公報は、前記ワークロールを研削中に前記圧延ミルスタンドで発生する激しい振動を吸収するよう、異なる柔軟な砥石本体設計としたカップ型・フェノール樹脂ボンドCBN砥石を開示している。ここで使用されている柔軟な砥石本体設計では、研削加工中、前記砥石面とロール表面の間の接触力は、前記作業砥石面に沿って均一な接触を実現するよう、典型的に一定の強度(前記研削砥石面の幅1mm当たり30〜50kgfの間)で制御される。
【0013】
このタイプの柔軟な砥石設計は、日本国公開特許JP06226606A号に開示されているオフライン研削法にも適用されている。カップ型研削砥石を用いて一定の砥石屈曲または一定の砥石負荷で研削する場合、材料削除率は、前記砥石の鋭度と、被削ロール材のタイプとに依存する。ミル稼動でのワークロールの磨耗は常に均一とは限らないので、前記ワークロールの磨耗が大きい(0.010mmより大きい)と、前記カップ砥石面と前記ロール面の間に不均等な接触が生じ、非常に問題となる場合がある。この結果、不均等な砥石磨耗が生じ、その作業面に沿った前記砥石の切削能力または鋭度が影響を受け、その軸方向の長さに沿って前記ワークロールの金属材料が不均等に削除される原因となり、結果的に、加工中にプロフィール誤差とびびりが生じる。
【0014】
そこで、カップ型CBN研削砥石での安定した研削加工を可能にするには、前記ロールの磨耗量が大きくなる前に、前記ロールの研削と前記表面の不整修正が頻繁に行われる。この方法を採ることによって、TT/WWC比は、前記オフライン研削法に用いられる従来の1型研磨砥石と比較して、10より高くなり得るものと考えられる。しかし、カップ型砥石設計の制限要因は、前記ロール軸沿いの、凸クラウン、凹クラウン、または連続値プロフィールなど様々な形状のロールを研削する場合に、TT/WWC比を10より高く維持することが非常に困難であることである。
【0015】
オフラインロール研削法とオンラインロール研削法は、異なる運動配置と研削加工戦略と共に、ワークロールおよびバックアップロールの表面加工のための2つの異なる方法を提供するものである。前記オフライン法で使用される研削物は、その砥石の耐用期間を通し、単一のワークロール材規格の研削に使用されることもあるが、より多くの場合、鉄、高速度鋼(HSS)、高クロム合金鋼等、複数のワークロール材規格に使用される。これに対し、前記オンライン砥石は、その砥石の耐用期間を通し、前記オンライン砥石のスタンドで使用される単一のワークロール材規格のみを研削する。このように、カップ型プラーナディスク砥石(6A2型)と1型研削砥石の適用方法は大きく異なるので、カップ型プラーナディスク砥石(6A2型)設計の作成に用いられる研削砥石規格および砥石製造法を、そのまま1型研削砥石に採用することはできない。
【0016】
前述したように、ミルロールの研削において、びびりマークとフィードマークを残さないように研削することは極めて重要である。日本国特許JP11077532号は、びびりなしにロールを研削するための装置を開示している。この装置の研削スピンドルヘッドとロールスタンドに取り付けられている振動センサーは、研削加工中の振動レベルを常時監視し、研削砥石とロールの回転速度を調整することにより、びびり振動レベルをしきい値未満に抑える。しかしながら、この方法では、前記研削砥石の回転速度と前記ロールの回転速度の速度比を一定に保つことが要求されるので、良質なロールを研削するためには複雑さが増す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
単一の砥石規格を用いて様々なプロフィール形状と鉄材規格のワークロールを研削したときに、TT/WWC比が10より高くなるような、より優秀で簡易なロール研削法が必要である。また、ロールの質を向上し、それによってロール工場およびストリップミルの総経費を削減するよう、より長い研削砥石寿命を有する研削砥石が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上述の問題の1若しくはそれ以上を解決することを目的とするものである。本発明の実施形態は、ホットストリップミルおよびコールドストリップミルで使用される広範な種類の鉄ロール材(鉄、鋼合金等)およびロール形状を研削するための改良された研削砥石と簡易化された研削法とを含むものである。1つの実施形態において、前記研削砥石は、立方晶窒化ホウ素(CBN)をボンドシステムに有するものであって、より長い研削寿命を有するものであって、TT/WWC比は10を大きく上回り、且つ前記ロールは目に見えるフィードマークとびびりマークを実質的に有さないものである。別の実施形態において、2mm未満の最低研削量が磨耗した被削ロール径から削除されるように、前記CBN研削砥石を適用する方法を提供することにより、加工後のロールで望ましい形状規格と見た目の規格を実現する。本発明の別の実施形態において、びびりマークおよびフィードマークのないロールを研削するようにCBN研削砥石を適用する方法により、振動レベルを監視する必要も一定の速度比を維持する必要もなく、研削砥石速度および/またはロール速度を変動させることができる。
【0019】
1つの実施形態において、本発明は、65SHC(スクレロスコープによるショア硬度)より高い硬度であり少なくとも最小直径10インチ及び少なくとも長さ2フィートの鉄ロールを研削する方法に関連するものである。この実施形態において、前記方法は次の工程を含む。a)機械スピンドルに前記研削砥石を取り付け、前記研削砥石の回転軸とロール回転軸が互いに平行になるか、または25度未満の傾斜となるように前記研削砥石の回転軸と前記ロール回転軸の間の角度を設定する工程と、b)回転する砥石を、回転するロール表面に接触させ、前記ロールの軸方向の全長に亘って前記砥石を移動させ、TT/WWC比が10より高くなるようにする工程と、c)前記ロール表面を研削することによって、前記ロールを、目に見えるフィードマークおよびびびりマークが実質的にないものにする工程。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、65SHC(スクレロスコープによるショア硬度)より高い硬度の鉄ロールを研削する方法に関連するものであって、前記方法は、天然ダイアモンド、合成ダイアモンド、立方晶窒化ホウ素、または他の材料であって、ヌープ硬度が3000KHNより高い材料から成る一群から選択される超砥粒材である主研磨材と、ヌープ硬度が3000KHN未満である副研磨材とから成る、無機ビトリファイドボンドシステムまたは樹脂ボンドシステムの研削砥石を用いて前記ロールを研削する工程を含むものであって、前記工程における研削は、1.25ミクロメートル未満であるロール表面粗さRaに対しTT/WWC比を10より高く維持することによって行われる。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、その主研磨材は、ビトリファイドボンドシステムまたは樹脂ボンドシステムにおける、15〜50体積%の立方晶窒化ホウ素(CBN)である。
【0022】
1つの実施形態において、本発明は、目に見えるびびりマークおよびフィードマークのないロールを研削するための方法に関連するものであって、前記研削砥石の回転速度と前記ロール回転速度のうちの少なくとも1つは、1〜30秒間に振幅において1〜40%の量で変動する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
簡潔にわかりやすく例示するために、本発明の1実施形態を参照することによって本発明の要旨を説明する。加えて、以下の説明には、本発明を完全に理解するための数多くの具体的な詳細が含まれている。ただし、当業者であれば、これらの具体的な詳細に限定されずに本発明が実行可能であることを理解するあろう。その他の例においては、本発明を不必要に難解にしないために、周知の方法および構造についての詳細な説明は割愛した。
【0024】
本明細書および添付の請求項に用いられる単数形の「1」、「ある」、「前記」は複数形の参照も包含するが、それが用いられている文脈からそれが複数を参照しないことが明らかである場合は、この限りではない。特に否定しない限り、本明細書に用いられている全ての技術用語および科学用語は、当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書で説明されているものと類似若しくは同等の任意の方法を、本発明の実施形態の実施または試験に用いることが可能であるが、以下に、本発明の好ましい方法について説明する。本明細書にて言及される全ての出版物および参照文献は、参照によりここに組み込まれる。本明細書に含まれる何ものも、先行発明によるそのような開示を先行する権利が本発明にないと認めるものと解釈されるべきではない。
【0025】
本明細書に含まれる使用方法は、既存の状況の改善のための予防的使用と修正的使用を意図するものである。本明細書において、「約」という用語は、それが用いられている数字を挟んで前後10%を意味する。したがって、約50%という場合、45%〜55%の範囲を意味する。本明細書に説明する本発明をよりよく理解するために、以下にその詳細な説明を記す。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、ロール研削用途のための改良研削砥石は、たとえばビトリファイドまたはセラミックボンドシステムのような無機ボンドの研削砥石を含むものであって、その主研磨材として、たとえば立方晶窒化ホウ素のような超砥粒材を使用するものである。
【0027】
ビトリファイドボンドシステム 本発明の一部の実施形態に使用されるビトリファイドボンドシステムとしては、たとえば、当業者には周知の改良機械強度を特徴とする、従来の溶融酸化アルミニウムまたはMCA(焼結ゾルゲル・アルファ・アルミナとも呼ばれる)研磨グリットとともに用いられるボンドが含まれ、それらは、たとえば、米国特許第5,203,886号公報、第5,401,284号公報、第5,863,308号公報、第5,536,283号公報に記述されているようなものであり、これらは参照によりここに組み込まれる。
【0028】
本発明の1つの実施形態において、前記ビトリファイドボンドシステムは、本質的に無機材料から成るものであって、前記無機材料としては、粘土、カオリン、ケイ酸ナトリウム、アルミナ、炭酸リチウム、五水ホウ砂、十水ホウ砂またはホウ酸、ソーダ灰、フリント、ウォラストナイト、長石、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、および無機ビトリファイドボンドの製造に使用されたことのあるその他の材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
別の実施形態では、フリットを前記ガラス質ボンド原材料と組み合わせて用いるか、または前記原材料の代わりに用いる。第2の実施形態では、前述の組み合わせのボンド材料は、次に挙げる酸化物を含む。Si0、A1、Na0、P、Li0、K0、B。別の実施形態では、それらは、CaO、MgO、BaO等アルカリ土類酸化物、およびZnO、Zr0、F、CoO、Mn0、Ti0、Fe、Bi、および/またはそれらの組み合わせを含む。さらにまた別の実施形態において、前記ボンドシステムは、アルカリホウケイ酸ガラスを有する。
【0030】
本発明の1つの実施形態において、前記ボンドシステムは、酸化リン、酸化ホウ素、シリカ、アルカリ、酸化アルカリ、アルカリ土類酸化物、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸塩水和物、アルミン酸塩、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、酸炭化物、および/またはそれらの組み合わせおよび/またはそれらの誘導体の最適化された内容物を含むことができるものであって、酸化物の適正な比率を維持することによって、強度の高い強靭な(たとえば亀裂の広がりに対する抵抗力がある)低温ボンドとなる。
【0031】
別の実施形態において、前記ボンドシステムは前記CBN砥粒を用いた少なくとも2つの非晶質ガラス相を有するものであり、それによって、前記ボンドベースの機械強度は向上する。本発明の別の実施形態において、前記超砥粒砥石は、たとえばホウケイ酸塩ガラス、長石、その他のガラス組成物等であるガラスフリットのような無機材料を約10〜40体積%有する。
【0032】
適切なガラスボンドの組成は、オハイオ州クリーブランド市のFerroCorpなどが市販している。
【0033】
超砥粒成分 前記超砥粒材料としては、当業者に既知の適切な任意の超砥粒材料を選ぶことができる。超砥粒材料とは、最低限約3000kg/mm、好ましくは最低限約4200kg/mmのヌープ硬度を有するものである。そのような材料としては、合成ダイアモンド、天然ダイアモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN)、およびそれらの混合物が含まれる。選択的に、前記超砥粒材料に、ニッケル、銅、チタニウム、または他の任意の磨耗抵抗性または伝導性金属であって前記超砥粒結晶に沈着可能なコーティングを施すことができる。コーティングされた超砥粒CBN材料は、様々な業者から市販されており、たとえばオハイオ州Worthington市のDiamond Innovations,Inc.(商標名 Borazon CBN)、Element Six(商標名 ABN)、昭和電工(商標名 SBN)などが市販している。
【0034】
1つの実施形態において、前記超砥粒材料は単結晶またはミクロ結晶のCBN粒子であるか、または前記2つのタイプのCBNまたは異なる強靭性のCBNの組み合わせである(たとえば、国際公開特許第WO03/043784A1号公報を参照)。本発明の1つの実施形態において、前記超砥粒材料は、グリットサイズが約60/80メッシュサイズ〜約400/500メッシュサイズのCBNを含む。さらに別の実施形態において、前記超砥粒成分は、グリットサイズが約80/100メッシュサイズから約22〜36ミクロンのサイズ(700/800メッシュサイズと同等)までの範囲のCBNまたはダイアモンドを有する。
【0035】
本発明の1つの実施形態において、前記超砥粒材料は、最低限30のもろさ指数を有する。第2の実施形態において、前記超砥粒材料は、最低限45のもろさ指数を有する。第3の実施形態において、前記超砥粒材料は、最低限65のもろさ指数を有する。前記もろさ指数とは、強靭性の尺度であって、研削中のグリットの破砕抵抗を決定するために有用である。前記もろさ指数値は、もろさ試験の後にスクリーンに残されたグリットの百分率である。この手順は、高頻度、低負荷の衝撃試験を含むもので、超砥粒グリットの製造業者は、前記グリットの強靭性を測るためにこの手順を用いている。値が大きいほど強靭性は高い。
【0036】
本発明の1つの実施形態において、前記研削砥石は、約10〜約60体積%の超砥粒材料を有するものである。第2の実施形態において、その主研磨材は、ビトリファイドボンドシステムまたは樹脂ボンドシステムにおける、約20〜約40体積%の立方晶窒化ホウ素(CBN)である。
【0037】
本発明の超砥粒成分として使用可能な材料としては、たとえば米国オハイオ州Worthington市のDiamond Innovations,Incが市販するBORAZON(登録商標)CBN 1型のグレード1000、400、500、550が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
多孔性成分 本発明の一部の実施形態における前記研削砥石の組成は、約10〜約70体積%の多孔性を含むものである。1つの実施形態において、多孔性は約15〜約60体積%である。別の実施形態において、多孔性は約20〜約50体積%である。
【0039】
前記多孔性は、前記材料の天然のパッキング密度が与える天然の間隔と、たとえば空洞ガラスビーズ、胡桃の殻を摩砕したもの、プラスチック材料または有機化合物のビーズ、気泡ガラス粒子とバブルアルミナ、細長い砥粒、繊維、およびそれらの組み合わせなど従来の孔誘発媒体との両方によって形成される。
【0040】
その他の成分 本発明の1つの実施形態では、第2の研磨砥粒を用いることによって約0.1〜約40体積%の多孔性を提供し、第2の実施形態では最高35体積%を実現する。使用する第2の研磨砥粒としては、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、フリント、ガーネット砥粒、および/またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
これらのボンドを含む研削砥石の製造では、フリットまたは生の粉末結合成分に、少量の有機結合剤を成形または加工助剤として追加する場合がある。これらの結合剤は、デキストリンおよびその他のタイプの接着剤、水またはエチレングリコールのような液体成分、粘度調整剤またはPH調整剤、混合助剤を含むことができる。結合剤の使用は、前記研削砥石の均一性を向上し、焼成前またはグリーンプレス後の砥石および焼成後の砥石の構造的な質を向上する。前記結合剤は、ほとんど全てが焼成中に燃え尽きるので、仕上がり後のボンドまたは研磨ツールの一部とはならない。
【0042】
超砥粒砥石本体の作成プロセス ガラスボンド砥石の製作プロセスは当業者には周知のものである。本発明の1つの実施形態において、前記ガラスボンドCBN研磨層の製造は、セラミック支持層を使う場合も使わない場合もあり、コールドプレス焼結法か、またはホットプレス焼結法のいずれかによって行われる。
【0043】
前記コールドプレス法の1つの実施形態では、前記ガラスボンド砥石混合物を鋳型でコールドプレスして前記砥石の形にした後、前記成形品をキルンまたは炉で焼成してガラスを完全に焼結する。
【0044】
前記ホットプレス法の1つの実施形態では、前記ガラスボンド砥石混合物を鋳型に入れ、圧力と温度の両方を同時に加えることによって、焼結砥石を生産する。1つの例では、成形のためのプレスにかかる負荷は、約25トン〜約150トンである。前記焼結条件は、前記ガラスフリットの化学、前記研磨層の幾何、前記砥石の望ましい硬度に依存し、約600℃〜約1100℃である。前記ビトリファイドボンドCBN研磨層は、砥石本体のコアに結合または接着された連続リムまたは断片リム製品とすることができる。
【0045】
前記砥石のコアの材料としては、金属(たとえばアルミニウム合金、鉄鋼)または非金属(たとえばセラミック、有機樹脂ボンドまたは複合材料)が可能であって、前記材料に、活性または機能的ガラスボンドCBN研磨層リムまたは断片をエポキシ接着剤で取り付けるか、または接着する。前記コアの材料の選択は、ANSIコードS2.19の最低グレードG−1を満たすよう、研削機スピンドルに使用可能な最大砥石重量、最大稼動砥石速度、びびりなしの研削に適した最大砥石硬度、砥石バランスの要求を考慮して行う。
【0046】
使用される典型的な金属材料は、中炭素合金鋼またはアルミニウム合金である。径方向および軸方向の振れが0.0005"未満(<0.0125mm)となるように前記金属製コア本体を機械加工し、前記本体を十分に洗浄することにより、前記ビトリファイドボンドCBN研磨層を前記本体に結合または接着させる。
【0047】
非金属の砥石本体材料は、高分子材料で孔を処置した酸化アルミニウムおよび/または炭化ケイ素研磨材を含む有機樹脂ボンドまたは無機ガラスボンドを有することによって、前記コアが水または研磨冷却剤を吸収しないための抵抗性を有することができる。前記非金属のコア材料は、有機樹脂ボンド研削砥石または無機ガラスボンド研削砥石と同じ方法で製造することができるが、研削砥石表面としては適用されない点がそれらと異なる。
【0048】
前記ガラスボンドCBN研磨層を、エポキシ接着剤を用いて前記非金属コアに取り付けた後、前記研削砥石をその用途に適した正しい幾何とサイズに仕上げることができる。1つの例では、前記のように製作された砥石を砥石の設計サイズに仕上げ、60m/秒までの速度試験を行い、ANSIのS2.19コードのG−1若しくはそれ以上となるよう動的に釣合わせた。次に、本発明の研削砥石を使い、Waldrich Siegen、Pomini、Herkules等が製造するようなロール研削機でのオフライン研削法により研削を行った。
【0049】
この例では、前記ビトリファイドCBN研削砥石は、砥石アダプタに取り付けられ、前記研削スピンドルに固定される。次に、前記砥石を回転ダイアモンドディスクでツルーイングし、前記砥石の径方向の振れが0.005mm未満となるようにした。次に、45m/秒という最大稼動速度にて前記機械スピンドル上で前記研削砥石の動的釣り合いをとり、不釣り合い振幅が0.5μm未満となるようにした。前記研削砥石の不釣り合い振幅は、0.3μm未満が好ましい。
【0050】
超砥粒研削砥石 本発明の1つの実施形態では、前記研削砥石研磨層は図1が示すような設定で用いられており、前記図は砥石の断面図を示しており、その環状外周(リング形)はビトリファイドボンドシステムを有するものであって、単一の部材を形成するよう、その支持層として、たとえば、ビトリファイド酸化アルミニウムまたは非セラミック材料のような無機基材に焼結されたCBN研磨材のような超砥粒組成を有するものである。
【0051】
前記支持層12を無機材料または有機材料で作られた別の部材とし、そこに前記CBN研磨層を接着剤で固定することもできる。前記CBN層自体、または12と前記CBN層は、断片として設計することも、連続リム部材とすることも可能であり、接着層13によって前記砥石コア(14)に結合される。本発明の1つの実施形態では、断片から作られた研磨層砥石設計を用いている。
【0052】
前記砥石コア14は金属または高分子材料を有するものであって、前記接着性結合層13は有機または無機結合材料を有するものである。別の実施形態において、前記支持層12のない前記研削砥石を作ることができる。
【0053】
本発明のその他の実施形態では、前記超砥粒砥石部材を、図2A〜2Fが示すように、角を丸めたもの、角をクラウンにしたもの(凸クラウンまたは凹クラウン)、円筒状砥石またはテーパー砥石等、異なる砥石設定で作ることができる。これらの設定は、ツルーイングか、または前記研磨断片を表1が示すようなサイズの望ましい形状に成形することによって実現することができる。
【0054】
【表1】

【0055】
本発明の1つの実施形態において、前記研削砥石CBN研磨部材は、図3が示すような設定とし、無機ビトリファイドボンドシステムまたは有機樹脂ボンドシステムの研磨層に異なる超砥粒組成を有する、マルチセクション砥石を使用することができる。マルチセクション砥石の使用は、前記砥石の複数のセクション111、112、113により示されており、異なる幅のセクションを使用することもできる。前記セクションの幅は、砥石の全幅(W)の2%から最高40%までが可能である。
【0056】
研削性能を最大限にするよう、その他の実施形態において、前記砥石設定(図2A〜2Fが示す設定)の組み合わせを、異なるメッシュサイズまたはもろさ指数の超砥粒組成など、最適化された様々な変数を有するマルチセクション砥石と組み合わせることができる。
【0057】
前記メッシュサイズおよび研磨剤濃度の変化は、前記砥石の異なるセクションの相対弾性モジュラスに影響を与える。したがって、一部の用途においては、異なるメッシュサイズのCBN、前記砥石の外側セクションの濃度、異なるセクション幅の使用を最適化する、および/またはそれらのバランスをとることによって、びびりマーク、フィードマーク、および/または複雑な外形を研削する能力という点で最良の性能を実現することができる。本発明の1つの実施形態において、より高いCBNまたはダイアモンドの濃度を有する研削砥石の使用は、より優れた表面仕上げとより長い寿命を提供するが、びびりマークを起こしやすくする場合がある。
【0058】
本発明の研削砥石の適用 本発明の1つの実施形態において、CBN砥石を用い、TT/WWC比が10より高くなるよう、CNC駆動の研削機で、クラウンロールプロフィール、または前記ロールの軸沿いに異なる振幅と周期を持つ連続値プロフィール等、異なるロールプロフィール形状のロールを研削する。
【0059】
CBN砥石を使用する本発明の方法と原則を、たとえば樹脂ボンドCBN砥石など無機ビトリファイドボンド以外のボンドシステムに適用し、同様のロール研削を結果として実現することもできるものと理解されるべきである。
【0060】
別の実施形態において、先行技術の研削砥石と同一の砥石規格および砥石幾何を有するビトリファイドCBN砥石を用い、先行技術の同等の研削砥石での場合と同様に、ロール材の変化またはロールプロフィール形状の変化に合わせて前記砥石をツルーイングする必要なしに、異なるプロフィール形状を有する異なるワークロール材(鉄ロール、高クロム鋼ロール、鍛造HSSロール、鋳造HSSロール材等)をランダムに研削する。
【0061】
本発明の実施例の研削砥石は、ストリップミルのワークロールの研削に使用可能であって、一般に前記ワークロールは610mmより長く、直径は少なくとも250mmである。前記ワークロールには様々な形状があり、たとえば、直円筒、クラウン外形、およびその他の、前記ロール軸沿いの複雑な多項式外形などである。前記ワークロールの研削には、一般に、0.025mm未満の形状プロフィール公差、長さ1mm当たり15ナノメートルのテーパー公差、0.006mm未満の真円度誤差といった厳しい公差が要求され、1.25ミクロン未満の表面仕上げRaであること、目に見えるびびりマーク、フィードマーク、前記ロール材の熱劣化がないこと、前記ロール表面にスクラッチマークやヒートクラックのようなその他の表面不整がないことが要求される。第2の実施形態において、前記表面仕上げRaは、5ミクロン未満である。第3の実施形態において、前記表面仕上げRaは、3ミクロン未満である。
【0062】
さらに別の実施形態では、ビトリファイドボンドCBN砥石を用いて、識別可能なびびりマークおよびフィードマークがないようにワークロール材を研削する。びびりの抑制は、前記機械内で前記砥石の動的釣り合いをとることによって、および研削中に前記システムにおいて共鳴周波数と調波が生成されないように研削パラメータを選択することによって行われる。前記ロール表面のフィードマークの削除は、各研削パスで前記研削砥石のトラバース速度を変動させることによって、および/または各研削パスの材料削除速度を変動させることによって行われる。
【0063】
別の実施形態において、前記ロールびびりの抑制は、研削加工中の前記ビトリファイドボンドCBN砥石および/またはワークロールの回転速度の振幅と周期に、制御された変動を生じさせることによって行われるものであって、この場合の前記研削砥石速度と前記ロール速度の比率は一定ではない。
【0064】
図4Aおよび4Bは、各々、有機樹脂ボンドシステムにおいて従来の酸化アルミニウムおよび/または炭化ケイ素を有する先行技術の砥石と、本発明の実施形態のCBNボンド研削砥石との研削サイクルの相違を示す。
【0065】
図4Aが示すように、ポジションA1で前記ロール表面Rに接触する研削砥石Wは、A2の深さまで進み(砥石径方向末端のインフィードEI=A1−A2に相当する)、前記ロールの軸沿いに横断し、前記ロールのもう一方の端にあるポジションB1へ進む。同等の先行技術の砥石はA2からB1へ進む間に継続的に磨耗するので、砥石磨耗補正(WWC)を前記研削砥石ヘッドスライドに加えることによって砥石半径の減少を補うものであるが、前記ワークロール沿いに削除される金属材料の正味量は前記末端インフィード量EIと同等になる。ツールパスT1は、適用される前記砥石磨耗補正を図示しており、その強度はA2−B2と等しい。ポジションB1に到達すると、前記研削砥石はツールパスT2沿いに砥石磨耗補正を得て、さらにポジションB2へ進み、ポジションA3へと横断する。このように、前記砥石は、前記ワークロールが最終的な幾何公差に仕上がるまで往復する。先行技術のロール研削では、ロールテーパー公差を0.025mmとするためのTT/WWC比は、一般に0.25〜5である。
【0066】
図4Bは、ビトリファイドボンドCBN砥石を使用する本発明の1つの実施形態であり、砥石磨耗補正はゼロまたは最小、すなわち前記ロールの長さ1mm当たり1ナノメートル未満である。前記ロール表面Rと接触する研削砥石Wは、末端インフィード量EI=A1−A2を与えられ、前記ロールの軸沿いに横断してポジションB1へ進む。図が示すように、本発明の研削砥石は、前記ワークロールの軸沿いの金属材料を、前記末端インフィード量EIに相当する量だけ均一に削除するので、ツールパスT1は直線であり、砥石磨耗補正は必要ないか、必要であってもごくわずかである。砥石ポジションB1にて、前記研削砥石はさらに前記ロール表面へ入り、ポジションB2へ進み、前記ロールを横断してポジションA3へ進む。ツールパスT2はT1と平行であって、砥石磨耗補正は行われない。このプロセスは、前記ワークロールの磨耗量が削除され、望ましいワークロール形状が達成されるまで繰り返される。この実施形態におけるTT/WWC比は10より高い。
【0067】
ロールテーパー公差を0.025mmとするための本発明の1つの実施形態において、TT/WWC比は10より高い(米国公開特許第20030194954号に開示されているような3未満という比率との比較)。本発明の第2の実施形態では、TT/WWC比は25より高い。さらに本発明の第3の実施形態において、TT/WWC比は50より高い。
【0068】
ロール研削作業の1つの実施形態において、前記研削機スピンドル上の前記研削砥石を、動作速度0.5μm未満の不釣り合い振幅と動的に釣り合わせる。前記動作速度は20m/秒〜60m/秒である。本発明の超砥粒砥石は、鉄鋼、アルミニウム、銅、製紙工業で使用されるような65SHCを越す硬度の鉄および鉄鋼(鉄材一般)ロールのホットまたはコールドロール研削に選択的に使用可能である。前記研削砥石の回転軸と前記ロールの回転軸とが成す角度は、好ましくは約25度以下であって、選択的にほぼ0度とするが、他の角度も可能である。前記砥石を、直線ロール、クラウンロール、連続値プロフィールロールなど異なる外形の研削ロールに使用し、幾何公差およびサイズ公差を満たしてTT/WWC比を10より高くすることが可能である。
【0069】
たとえばCBNである前記超砥粒材料の極めて高い磨耗抵抗は、削除される金属材料の量を、確実に(応用)理論上の金属材料の削除量と非常に近いものとする。したがって、本発明の1つの実施形態において、CBN研削砥石を使用したロール研削で削除される金属材料の量の設定は、失われるロール材を最低限にしつつ、同時にそのロールプロフィール公差を実現するように行われる。これを実現するには、削除される前記ロール金属材料を、前記ロールの初期磨耗プロフィールと前記ロールの径方向の振れに基づいて設定する。
【0070】
1つの実施形態において、前記ロール研削加工は、可能な最高の研削砥石速度で稼動しつつ、粗圧延と仕上げの両方のパスの間に不利な砥石の不釣り合いを引き起こさないように設定されるものであって、たとえば、最高直径30"のCBN砥石では、18m/秒〜60m/秒の研削砥石速度である。30"〜40"の直径を有するCBN研削砥石の別の実施形態では、前記ロール研削機の機械設計および安全制限に基づき、研削砥石速度は45m/秒に制限される。30"を越す直径のCBN研削砥石を用いるロール研削機のさらに別の実施形態では、研削速度は45m/秒より高く設定される。その作業(ロール)速度は、トラバース速度が最大限となるように選択される。仕上げパスで前記研削砥石速度とトラバース速度を下げることによって、フィードマークおよびびびりマークがなく表面粗度の要求を満たすロール表面を実現することができる。
【0071】
1つの実施形態において、前記超砥粒砥石を使用したロール研削に使用される作業速度は、18m/分から最高200m/分である。無機ビトリファイドボンドシステムにCBNを有する研削砥石の別の実施形態では、研削比(G)に関する砥石性能は、チルド鋳鉄から高速度鋼ロールまでのロール材の組み合わせの研削では35〜1200である。これを、酸化アルミニウムを用いる先行技術の典型的な研削比(G)である0.5〜2.093と比較する。前記ロール研削加工は、前記ロールを高速で複数パスを使って横断する(トラバース研削)か、または遅いトラバース速度を使う深い切り込みの単一パス(クリープフィード研削)によって行われる。ロール研削にクリープフィード研削法を用いることにより、サイクル時間を大幅に短縮することができる。
【0072】
前記ロール研削作業の1つの実施形態において、磨耗した前記ロールを正しい外形幾何にするために前記ワークロールから削除される金属材料の量は最小限であり、前記ロール直径で削除される金属材料は約0.2mm未満(これにロール磨耗が加わる)であって、これに対し、有機樹脂ボンドで酸化アルミニウムを用いる先行技術の砥石では、0.25mm(これにロール磨耗が加わる)以上が削除される。好ましくは、金属材料の削除は約0.1mm未満、約0.05mm未満、さらにより好ましくは約0.025mm未満である。これにより、ホットストリップミルで新しいロールと交換する前に使用可能な有効ロールが少なくとも20%増すことになる。
【0073】
本発明の別の実施形態において、表面の質の向上を実現することが可能であって、これは、研削加工中に、前記研削砥石回転数振幅および周期を制御することによってびびりマークおよび/またはフィードマークをなくすことによって、および/または前記ワークロール回転数振幅および周期を制御することによって達成される。
【0074】
本発明のさらに別の実施形態では、本発明のビトリファイドCBN研削砥石を使用するロール研削作業を、最小限のプロフィール誤差補正およびテーパー補正で、若しくはそれらをなしに実行することができる。補正が必要な場合は、プロフィール誤差補正およびテーパー補正は、前記機械のロール不整合または前記機械システムの温度変化または前記機械に取り付けたときの軸方向および径方向の振れなどその他のロール誤差を補正するためだけに適用される。
【0075】
実施例 次に、本発明を例証するために実施例を提供するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。一部の実施例において、本発明の無機ビトリファイドボンドCBNの1つの実施形態の研削性能を、生産ロール研削工場で使用される従来の研磨材(酸化アルミニウム、または酸化アルミニウムと炭化ケイ素の混合物を主研磨材とするもの)の研削砥石の中でも最新技術を採用している代表的な市販のものと比較する。
【0076】
試験砥石のデータ:実施例1および2では、比較用砥石C1は1A1型砥石であって、直径32"、幅4"、穴12"である。なお、従来の研磨材のロール研削砥石の有効最小直径は、一般に、24"である。
【0077】
この実施例の砥石は奥行き30"、幅3.4"、高さ12"であって、1/8"厚の有効CBN層を有するものであり、アルミニウムのコアにCBN研磨層の断片を結合する設計である。オハイオ州Worthington市のDiamond Innovations,Inc.の配合仕様に合わせて作られた3つの市販ビトリファイドCBN研削砥石を、この実施例の砥石の評価に用いた。
【0078】
CNB−1:Borazon CBN1型、低濃度、中ボンド硬度
CBN−2:Borazon CBN1型、高濃度、高ボンド硬度
CBN−3:Borazon CBN1型、高濃度、高ボンド硬度
前記実施例のビトリファイドCBN砥石を、ロータリーダイアモンドディスクでツルーイングし、次の条件下で、径方向の振れを0.002mm未満(一部では0.001mm未満)とした。
【0079】
装置:1/2HPロータリー駆動ドレッサー
砥石の種類:1A1型金属ボンドダイアモンド砥石
ダイアモンドの種類:オハイオ州Worthington市のDiamondInnovations,Inc製MBS−950
砥石の種類:6.0"(OD)x0.1"(幅)
砥石速度:>18m/秒
ドレス速度比:1方向0.5
リード/回転:0.127mm/回転
インフィード/パス:0.002mm/パス
ツルーイング後、前記ビトリファイドCBN砥石を、45m/秒の砥石速度、0.5μm(好ましくは0.3μm未満)の不釣り合い振幅にて、研削スピンドル上で動的に釣り合わせる。
【0080】
前記比較用砥石C−1は、業界の標準的な方法に従い、シングルポイント・ダイアモンドツールでツルーイングする。前記比較用砥石も、本発明の試験用前記ビトリファイドCBN砥石と同一に釣り合わせる。
【0081】
実施例1−鉄ロールの研削性能:本実施例では、ロール研削比較試験は、100HPのWaldrich Siegen CNCロール研削機を用い、研削砥石回転軸がロール回転軸に対して本質的に平行となり、その角度が約25度未満となるようにして行われる。前記鉄ロールのサイズは奥行き760mm、長さ1850mmである。研削中、5体積%の濃度の水溶性合成冷却剤を適用する。前記冷却剤の流速および圧力の条件は、本評価に使用する前記従来の砥石と前記ビトリファイドCBN砥石とに同一の条件とする。前記硬化鉄ロールは、0.23mmの径方向磨耗量を有するものであって、これを、研削作業によって、そのテーパー公差が0.025mm未満となり、外形公差が0.025mmとなるように修正する必要がある。前記比較用従来の砥石と前記ビトリファイドCBNの研削条件は、砥石速度、トラバース速度、作業速度、パス当たりの切り込みにおいてほぼ同等である。その研削結果を、下記表2にまとめる。
【0082】
【表2】

【0083】
前記表が示すように、この実施例の研削砥石であるCBN−1、CBN−2、CBN−3の研削比Gは、先行技術の前記比較用砥石C−1の38倍から381倍という、非常に高いものである。また、前記ロールを規格に合わせて研削する場合、CBN研削砥石のTT/WWC比は、前記比較用砥石のそれの400倍である。
【0084】
また、前記表が示すように、CBN砥石の砥石幅単位当たりの最大研削力は、前記比較用砥石より35%低い。また、前記結果は、前記ロールを望ましい幾何形状に修正するために前記CBN砥石を使用した場合に削除する必要のある金属材料が、前記先行技術の比較用砥石に比べて50%少ないことを示している。このように、削除される金属材料が減少すると、前記鉄ロールの有効耐用期間が50%増し、前記ロールミルにとっての大幅なコスト節減となる。
【0085】
実施例2−鍛造HSSロールの研削性能:この実施例では、実施例1の砥石と同一の砥石を用いて、前記ロールの軸沿いに複雑な多項式外形を有する鍛造HSSワークロールを研削する。
【0086】
前記砥石のツルーイングは行わず、同一の研削機で前記硬化鉄ロールを研削後、前記砥石を同じ条件で引き続き用いる。前記HSSワークロールは0.030mmの初期径方向磨耗を有するものであって、前記ロールを、テーパー公差および形状プロフィール公差が0.025mm未満となるように研削する必要がある。前記比較用砥石と前記ビトリファイドCBN砥石の両方とも、砥石速度、作業速度、トラバース速度、切り込みの深さに関して同等の研削条件である。使用されるHSSロールのサイズは、奥行き760.5mm、長さ1850mmである。
【0087】
研削条件および結果を下記表3に示す。
【0088】
【表3】

【0089】
前記HSSロールの研削では、CBN−1、CBN−2、CBN−3砥石の研削比Gは、有機樹脂ボンドの従来の研磨材を使用する前記比較用砥石C−1のそれの27倍から787倍である。規格内に前記ロールを研削するためのCBN研削砥石のTT/WWC比は、前記比較用砥石のそれの少なくとも400倍である。3つの全てのCBN砥石の砥石幅単位あたりの最大研削力は、前記比較用砥石C−1より30%低い。また、前記ビトリファイドCBN砥石では、磨耗した前記ワークロールを最終的に望ましい形状に仕上げるために必要とされる金属材料の削除が少ないことも示されている。したがって、前記HSSロール寿命を少なくともさらに35%延長することが可能であって、前記ロールミルおよび前記ロール工場にとってはロールコストの大幅な節減となる。
【0090】
この実施例が示すように、本発明の前記無機ビトリファイドボンドCBN砥石を用いると、複数のロール材を効率的に研削することが可能であって、砥石の主研磨材として従来の研磨材を含む有機樹脂ボンド砥石を用いる先行技術のものに比べ、2倍以上の砥石寿命が提供される。
【0091】
実施例3―ビトリファイドCBN砥石でのびびり抑制法:この実施例では、研削加工中の前記ビトリファイドボンドCBN砥石に、砥石回転速度の変動が与えるびびり抑制効果が示される。前記無機ビトリファイドボンドCBNシステムは、一般に、先行技術の有機樹脂ボンド砥石(Eモジュラスは1〜10GPa)に比べて高いEモジュラス(10〜200GPa)を有し、且つ本発明のCBN砥石の磨耗速度はかなり低いので、研削中の自己励起振動による機械の調波は、前記機械システムの明確な調波周波数におけるびびりマークとして前記ロールに容易に観察される。
【0092】
図5A〜5Cが示すように、出願者らは、調波振幅を一部の周波数に集中させる代わりに、より広域の周波数スペクトルの範囲に分散することによって、識別可能なびびりマークを回避できることを驚くべきことに発見した。
【0093】
1つの実施例において、圧電型加速度計を、覆いのある研削機スピンドルに取り付け、研削中に生成される振動を監視する。図5Aは、本発明のビトリファイドCBN砥石を用いて、砥石速度942rpmにてワークロールを研削したときの前記振動速度振幅と周波数を示す。前記振動振幅は、1分当たり3084、4084、5103サイクルに集中している。前記振動速度強度は、4084cpmにて最大の0.002ipsである。
【0094】
図5Bにおいて、前記研削砥石スピンドルのrpm振幅は、5秒間に10%変動している。前記図において、前記振動速度はわずかに低下し、集中せずにより広域の周波数に分散されている。
【0095】
図5Cにおいて、前記スピンドルのrpmは、5秒間に20%の振幅で変動している。前記図では、前記振動速度振幅はさらに低下して0.001ips未満になり、より広域の周波数範囲に分散されており、明確な調波は見られない。
【0096】
本発明の方法の1つの実施形態では、びびりを抑制するために、このスピンドル速度変動法を前記ビトリファイドボンドCBN砥石とともに採用している。前記スピンドル速度変動法は、前記研削加工中に、1〜30秒間に1〜40%の速度変動振幅にて適用される。前記速度変動は、前記研削砥石回転速度、前記ワークロール速度、あるいはそれら両方の速度でもって行うことができる。1つの実施例において、前記技法は、5秒間に+/−20%の振幅にての砥石回転数(rpm)変動で適用される。
【0097】
別の実施形態において、びびり抑制は、前記ワークロール速度を独立に変動させるか、またはそれを前記研削砥石速度変動と同時に行うことによって達成される。第3の実施形態では、驚くべきことに、びびり抑制は、前記スピンドル速度変動法を前記先行技術の従来の研削砥石、すなわち従来の研磨材を主に使用した研削砥石に用いることによって達成される。
【0098】
表4は、典型的な生産環境において本発明の砥石の1つの実施形態であるCBN−2を用いて行った様々な種類のロール材(鉄ロール8、鍛造HSSロール4、鋳造HSSロール4)の研削で得られた結果をまとめたものである。
【0099】
【表4】

【0100】
表4が示す結果は、この実施例における前記CBN砥石が、先行技術の前記比較用砥石よりもはるかに効率的な方法で広範な種類のロール材を研削することができる性能を持つものであることを示している。前記結果は、CBN−2を用いて前記ロールを完成ロールの規格に研削可能であること、比較用砥石C−1に比べ、研削力が30%低減され、平均的に削除される金属材料が40%以上削減されることを示している。加えて、CBN−2の研削比Gは、前記比較用砥石C−1のそれの少なくとも150倍である。
【0101】
本発明について、好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の要素の様々な変更が可能であること、および同等のものでそれらを置換可能であることを理解するであろう。本発明は、本発明を実行するための最良の形態として開示された具体的な実施形態に限定されるものではなく、添付の請求項の範囲に含まれる全ての実施形態を包含するものである。
【0102】
本明細書にて参照した全ての引用は、参照によりここに明確に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、ロール研削作業に用いられる、本発明の超砥粒砥石の1つの実施形態の断面図である。
【図2A】図2A〜2Dは、砥石設定の異なる本発明の実施形態の断面図である。
【図2B】図2A〜2Dは、砥石設定の異なる本発明の実施形態の断面図である。
【図2C】図2A〜2Dは、砥石設定の異なる本発明の実施形態の断面図である。
【図2D】図2A〜2Dは、砥石設定の異なる本発明の実施形態の断面図である。
【図2E】図2E〜2Fは、図2A〜2Dに適用可能なその他の変更を示す。
【図2F】図2E〜2Fは、図2A〜2Dに適用可能なその他の変更を示す。
【図3】図3は、複数のセクションを有する超砥粒砥石を示す、本発明の1つの実施形態の断面図である。
【図4A】図4Aおよび4Bは、有機樹脂ボンドにおいて従来の酸化アルミニウムおよび/または炭化ケイ素を採用した先行技術の研削砥石と、ビトリファイドボンドまたは樹脂ボンドCBN砥石を採用した本発明の1つの実施形態の研削サイクルとの相違を示す。
【図4B】図4Aおよび4Bは、有機樹脂ボンドにおいて従来の酸化アルミニウムおよび/または炭化ケイ素を採用した先行技術の研削砥石と、ビトリファイドボンドまたは樹脂ボンドCBN砥石を採用した本発明の1つの実施形態の研削サイクルとの相違を示す。
【図5A】図5A〜5Cは、ロール研削作業における振動速度振幅と周波数の対比を示す。
【図5B】図5A〜5Cは、ロール研削作業における振動速度振幅と周波数の対比を示す。
【図5C】図5A〜5Cは、ロール研削作業における振動速度振幅と周波数の対比を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するロール表面を有する鉄ロールを、回転する研削砥石で研削する方法であって、前記鉄ロールは65SHCより高い硬度を有し、その最小直径は少なくとも10インチで且つその長さは少なくとも2フィートであり、
a)機械スピンドルに研削砥石を取り付け、この研削砥石の回転軸とロール回転軸間の角度が約25度未満となるように設定する工程と、
b)軸のテーパー公差(TT)の径方向の砥石磨耗補正(WWC)に対する比率が10より大きくなるように維持させながら、回転するロール表面に前記回転する砥石を接触させ、前記ロールの軸方向の全長に亘って前記砥石を移動させる工程と、
c)前記ロール表面にフィードマーク、びびりマーク、および表面不整が実質的に無い状態にしながら、前記ロール表面を5マイクロメートル未満のロール表面粗さRaに研削する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記ロールは3マイクロメートル未満のロール表面粗さRaに研削されるものである。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記ロールは1.25マイクロメートル未満のロール表面粗さRaに研削されるものである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記鉄ロール表面は前記ロール材料の熱劣化が実質的に無いものである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記TTのWWCに対する比率は、25より高いものである。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記TTのWWCに対する比率は、50より高いものである。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記鉄ロールは直径が少なくとも18インチであり、長さが少なくとも2フィートである。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記研削砥石はボンドシステム中で、天然ダイアモンド、合成ダイアモンド、立方晶窒化ホウ素、およびそれらの混合物の群から選択される、ヌープ硬度が3000KHNより高い超砥粒材料から成る層を含み、ヌープ硬度が3000KHN未満の副研磨材料を有し若しくは有さない、ものであるである。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記超砥粒材料は立方晶窒化ホウ素である。
【請求項10】
請求項9記載の方法において,前記研削砥石ボンドシステム中の前記立方晶窒化ホウ素の量は、10〜60体積%の範囲である。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、前記研削砥石ボンドシステム中の前記立方晶窒化ホウ素の量は、20〜50体積%の範囲である。
【請求項12】
請求項8記載の方法において、前記ボンドシステムは、a)粘土、長石、石灰、ホウ砂、ソーダ、ガラスフリット、フリット化された材料、およびそれらの組合せのうち少なくとも1つを有するビトリファイドボンド、およびb)フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、およびそれらの混合物のうち少なくとも1つを有する樹脂ボンドシステム、のうち1つを有するものである。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記研削砥石は、3600〜12000fpmで回転するものである。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記方法は、1つのパスまたは複数のパスで前記鉄ロールから金属材料を削除する工程をさらに有するものである。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、前記ロールから2cc/分より大きい率で材料は削除される。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、前記ロールから20cc/分より大きい率で材料は削除される。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記ロールから35cc/分より大きい率で材料は削除される。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、前記研削は、研削比が少なくとも20で実行されるものである。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記研削砥石は、前記ロールの回転軸に実質的に平行な回転軸を有するものである。
【請求項20】
請求項1記載の方法において、前記鉄ロールは、前記ロール軸沿いの凸クラウン、凹クラウン、連続値プロフィール、および多項式形状の1つから選択される表面形状を有し、研削される形状プロフィール公差が0.05mm未満である表面形状を有する回転体である。
【請求項21】
請求項1記載の方法において、前記研削砥石は、トラバース速度が少なくとも50mm/分である。
【請求項22】
請求項1記載の方法において、前記研削砥石は、最小摩耗ロール直径から約0.2mm未満の研削金属材料を削除するものである。
【請求項23】
請求項1記載の方法において、前記研削砥石は、最小摩耗ロール直径から約0.1mm未満の研削金属材料を削除するものである。
【請求項24】
請求項1記載の方法において、前記研削砥石は、最小摩耗ロール直径から約0.05mm未満の研削金属材料を削除するものである。
【請求項25】
請求項1記載の方法において、前記研削砥石は、最小摩耗ロール直径から約0.025mm未満の研削金属材料を削除するものである。
【請求項26】
請求項1記載の方法において、前記研削砥石は、プロフィール誤差補正またはテーパー誤差修正パスと共にまたは無しで、前記鉄ロールの研削を実行する。
【請求項27】
回転する鉄ロール表面を有する鉄ロールを回転する研削砥石で研削する方法であって、
a)機械スピンドルに前記研削砥石を取り付ける工程と、
b)回転するロール表面に前記回転する砥石を接触させ、前記ロールの軸方向の長さ全体に亘って前記砥石を移動させる工程と、
c)前記研削砥石の回転速度と前記ミルロール回転速度のうちの少なくとも1つ若しくは両方が、1〜30秒間に+/−1〜40%の振幅の量で変動するのを維持しながら前記ロール表面を研削する工程と、
を有する方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、前記砥石の回転数(rpm)は5秒未満の期間内で+/−20%の振幅で変動するものである。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、前記ロールは3マイクロメートル未満の表面粗さRaで研削されるものである。
【請求項30】
請求項27記載の方法において、前記ロール表面は前記ロール材料の熱劣化が実質的に無いものである。
【請求項31】
請求項27記載の方法において、前記TTのWWCに対する比率は、25より高いものである。
【請求項32】
請求項27記載の方法において、前記ロールは直径が少なくとも18インチであり、長さが少なくとも2フィートである。
【請求項33】
請求項27記載の方法において、前記研削砥石はボンドシステム中で、天然ダイアモンド、合成ダイアモンド、立方晶窒化ホウ素、およびそれらの混合物の群から選択される、ヌープ硬度が3000KHNより高い超砥粒材料から成る層を含み、ヌープ硬度が3000KHN未満の副研磨材料を有し若しくは有さない、研削砥石である。
【請求項34】
請求項33記載の方法において、前記超砥粒材料は立方晶窒化ホウ素である。
【請求項35】
請求項34記載の方法において,前記研削砥石ボンドシステムの前記立方晶窒化ホウ素の量は、10〜60体積%の範囲である。
【請求項36】
請求項33記載の方法において、前記ボンドシステムは、a)粘土、長石、石灰、ホウ砂、ソーダ、ガラスフリット、フリット化された材料、およびそれらの組合せのうち少なくとも1つを有するビトリファイドボンド、およびb)フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、およびそれらの混合物のうち少なくとも1つを有する樹脂ボンドシステム、のうち1つを有するものである。
【請求項37】
請求項27記載の方法において、前記研削砥石は、3600〜12000fpmで回転するものである。
【請求項38】
請求項27記載の方法において、前記研削は、研削比が少なくとも20で実行されるものである。
【請求項39】
請求項27記載の方法において、前記研削砥石は、前記ロールの回転軸に実質的に平行な回転軸を有するものである。
【請求項40】
請求項27記載の方法において、前記研削砥石は、最小摩耗ロール直径から0.2mm未満の金属材料を削除するものである。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2007−517675(P2007−517675A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546939(P2006−546939)
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/007071
【国際公開番号】WO2005/068099
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504174825)ダイヤモンド イノベーションズ、インク. (12)
【Fターム(参考)】