ロール紙の梱包構造
【課題】輸送コストを維持しつつコアレスロール紙を保持することのできるロール紙の梱包構造を提供する。
【解決手段】軸部分が中空部R1となっており巻芯を有さないコアレスロール紙Rを梱包するための構造である。ロール紙Rを収納するための外箱2と、外箱2内に嵌合するような外形を有し、外箱2内の底面に配置される下基台部材3と、外箱2内に嵌合するような外形を有し、下基台部材3との間でロール紙Rを挟持するよう外箱2内であって下基台部材3の上方に取り外し可能に固定される上基台部材4と、下基台部材3と上基台部材4との間を延びて下基台部材3及び上基台部材4に両端部が取り外し可能に固定され、ロール紙Rの中空部R1の内径と合致するような外径を有する棒状部材5と、を備えている。下基台部材3及び上基台部材4は、ロール紙Rと対向する領域の外周縁部よりも一回り大きい円周を画定するように、切り込み37、47が形成されている。
【解決手段】軸部分が中空部R1となっており巻芯を有さないコアレスロール紙Rを梱包するための構造である。ロール紙Rを収納するための外箱2と、外箱2内に嵌合するような外形を有し、外箱2内の底面に配置される下基台部材3と、外箱2内に嵌合するような外形を有し、下基台部材3との間でロール紙Rを挟持するよう外箱2内であって下基台部材3の上方に取り外し可能に固定される上基台部材4と、下基台部材3と上基台部材4との間を延びて下基台部材3及び上基台部材4に両端部が取り外し可能に固定され、ロール紙Rの中空部R1の内径と合致するような外径を有する棒状部材5と、を備えている。下基台部材3及び上基台部材4は、ロール紙Rと対向する領域の外周縁部よりも一回り大きい円周を画定するように、切り込み37、47が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙の梱包構造に関するものであり、より詳細には巻芯を有さないコアレスロール紙の梱包構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、業務用プリンタなどの記録装置にロール紙が用いられているが、コスト削減や省資源化などからの要求により、例えば特許文献1に示されるような、巻芯を省略したコアレスロール紙が普及している。このようなコアレスロール紙は巻芯がないため、従来から使用されてきた梱包構造、すなわちロール紙を収納する外箱内に設置された保持部材によってロール紙の巻芯を両端から保持するというな梱包構造(例えば、特許文献2)を用いることができない。そこで、コアレスロール紙の梱包構造として、コアレスロール紙の両端部において外周面を保持する保持部材を外箱内に設置するという梱包構造が考えられる。
【特許文献1】実公平7−42766号公報
【特許文献2】特開平7−69341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような、保持部材がロール紙の外周面を保持するタイプの梱包構造では、その保持する部分の強度を保つために、巻芯を保持するタイプの保持部材に比べて大きくする必要があり、その結果、保持部材が設置される外箱も大きくなり、輸送コストが増加するという問題が発生する。
【0004】
そこで、本発明は、輸送コストを維持しつつ、コアレスロール紙を保持することのできる、ロール紙の梱包構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るロール紙の梱包構造は、上記課題を解決するためになされたものであり、軸部分が中空部となっており巻芯を有さないコアレスロール紙を梱包するための構造であって、ロール紙を収納するための外箱と、前記外箱内に嵌合するような外形を有し、前記外箱内の底面に配置される下基台部材と、前記外箱内に嵌合するような外形を有し、前記下基台部材との間でロール紙を挟持するよう前記外箱内であって前記下基台部材の上方に取り外し可能に固定される上基台部材と、前記下基台部材と上基台部材との間を延びて前記下基台部材及び上基台部材に両端部が固定されるとともに前記下基台部材及び上基台部材の少なくとも一方と取り外し可能であり、ロール紙の中空部の内径と合致するような外径を有する棒状部材と、を備え、前記下基台部材及び上基台部材は、ロール紙と対向する領域の外周縁部に沿うように、または前記外周縁部よりも一回り大きい円周を画定するように、切り込みが形成されている。
【0006】
この構成によれば、外箱内に嵌合するような外形を有して外箱内に取り外し可能に固定された下基台部材及び上基台部材に、棒状部材がその両端部を固定されている。この棒状部材は、ロール紙の中空部の内径と合致するような外径を有しているため、ロール紙の中空部に棒状部材を挿入するようにロール紙を外箱内に収納することによって、ロール紙を外箱内に固定することができる。このように、棒状部材によってロール紙を固定しているため、下基台部材や上基台部材でロール紙の外周面を保持する必要がなく、その結果、下基台部材や上基台部材の大きさを小さくすることができる。また、下基台部材及び上基台部材は上下よりロール紙を挟持しているが、下基台部材及び上基台部材のロール紙と対向する領域の外周縁部に沿うよう、もしくは外周縁部より一回り大きい円周を画定するように切り込みが形成されている。このように切り込みによって画定された領域の外周縁部は凹みやすくなっているため、外箱内に収納されたロール紙が上下方向に移動しようとした場合や、ロール紙の上面又は下面のエッジ部分を基点としてロール紙が傾くような動きをした場合であっても、これらロール紙の動きを吸収して、各基台部材と接しているロール紙の上面や下面又はこれらのエッジ部分にかかる圧力を緩和することができる。
【0007】
なお、上記棒状部材の「ロール紙の中空部の内径と合致するような外径」とは、棒状部材の外径と中空部の内径とが全く同一の寸法である必要はなく、棒状部材の外径と中空部の内径との差は±0.3〜1mm、好ましくは±0.3〜0.5mm以内であればよい。また、下基台部材や上基台部材は、外箱内に嵌合するような外形を有しているが、この「嵌合するような外形」とは、下基台部材や上基台部材の外形が、外箱の横断面の寸法と全く同一の寸法である必要はなく、下基台部材や上基台部材が外箱内で安定して水平方向に固定されていれば、多少の隙間があってもよい。さらには、上記切り込みは、ロール紙と対向する領域の外周縁部に沿うように、または外周縁部よりも一回り大きい円周を画定するように形成されているが、この「一回り大きい円周」とは、梱包されるロール紙の直径よりも0.05〜5mm程度大きい円周のことをいう。
【0008】
上記梱包構造は種々の構成をとることができるが、例えば、上記切り込みを断続的に形成することが好ましい。このように構成することで、基台部の切り込みに囲まれた部分とその他の部分とが一体的に形成されるので各基台部材の取り扱いが容易となる。また切り込みを入れることにより切り込み部分から落下する際にかかる力の逃げ道となり、それ以外の部分は接合されているので、強度が増し、落下した際にも変形しない。
【0009】
また、上記下基台部材及び上基台部材の少なくとも一方は、棒状部材の外径と合致するような内径を有する凹部が形成されており、その凹部内に棒状部材の端部が挿入されているように構成されていることが好ましい。このように、棒状部材と各基台部とを別々に形成することで、これらを容易に製造することができる。また、棒状部材を各基台部の凹部に差し込むだけで固定できるため、棒状部材を各基台部に容易に固定することができる。
【0010】
また、上基台部材上に載置され、内部に被収納物を収納する収納箱をさらに備えており、これら収納箱及び内部に収納された被収納物の自重によって上基台部材を下基台部材側に押さえることができる。本発明では、下基台部材と上基台部材と間にロール紙を収納するが、被収納物が収納された収納箱を上基台部材上に載置して上基台部材を下基台部材側に押さえることによって、下基台部材と上基台部材との間でロール紙を堅固に挟持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輸送コストを維持しつつ、コアレスロール紙を保持することのできる、ロール紙の梱包構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るロール紙の梱包構造の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係るロール紙の梱包構造を示す正面断面図、図2は本実施形態に係る棒状部材が取り付けられた下基台部材の斜視図、図3は本実施形態に係る下基台部材の折り畳み前の状態(a)及び折り畳み後の状態(b)を示す平面図、図4は、本実施形態に係る上基台部材の折り畳み前の状態(a)及び折り畳み後の状態(b)を示す平面図、図5は、本実施形態に係る上基台部材の斜視図である。
【0013】
図1に示すように、梱包構造1は、直方体状の外箱2を備えており、この外箱2内の底面上に下基台部材3が設置されている。この下基台部材3上にロール紙Rが配置され、そのロール紙Rの上に上基台部材4が設置されることで、下基台部材3と上基台部材4とによってロール紙Rを挟持している。このロール紙Rは、軸部分に巻芯を有していない、いわゆるコアレスロール紙である。棒状部材5は、このロール紙Rの空洞部R1内に挿入されるとともに、下端部が下基台部材3の中央部に形成された凹部31に挿入され、上端部が上基台部材4の中央部に形成された凹部41に挿入されている。このように、棒状部材5はロール紙Rを保持するとともに、下端部が下基台部材3に、上端部が上基台部材4に取り外し可能に固定されている。上基台部材4上にはインクリボン(被収納物)Tを収納した収納箱6が設置されている。
【0014】
上記梱包構造1を構成する各部材の詳細について説明すると、まず、外箱2は、段ボールなどによって直方体状に構成され、いわゆる段ボール箱として構成されており、その上面はフラップ21aを折り曲げることによって開閉可能であり、底面はフラップ21bを折り曲げることによって開閉可能である。なお、図1のようにロール紙Rを梱包した状態では、上面及び底面のフラップ部21a、21bはともに閉められており、ガムテープなどの接着テープを貼ることによって、その閉められた状態で保持されている。
【0015】
この閉鎖された外箱2の底面に、下基台部材3が設置されている。図1及び図2に示すように、この下基台部材3は、平面視矩形状であり、外箱2の横断面形状とほぼ合致するような外形を有している。また、下基台部材3の中央部には凹部31が形成されており、この凹部31内に棒状部材5の下端部が挿入されている。ここで、棒状部材5の外径は基台部31の凹部31の内径とほぼ同一の寸法であるため、棒状部材5の下端部を凹部31内に挿入した状態では、その下端部は凹部31内に嵌合されて固定されている。
【0016】
図3(a)に示すように、下基台部材3は、外箱2の横断面形状とほぼ合致するような外形を有する第1基台部32及び第2基台部33によって構成されている。第1基台部32はその中央部に第1の貫通穴311が形成されており、また第2基台部33も同様に中央部に第2の貫通穴312が形成されている。これら第1及び第2の貫通穴311、312は同一の形状となっており、その内径は、棒状部材5の外径と同一の寸法となっている。そして、第1基台部32には、第1の貫通穴311を中心とした円周を画定するように切り込み37が断続的に形成されている。この切り込み37によって画定された円周の直径は、梱包するロール紙Rの直径と同じか、もしくはそれよりも一回り大きく形成されている。より好ましくは、この切り込み37によって画定される円周は、梱包されるロール紙Rの直径よりも0.05〜5mm程度大きい直径であることが好ましく、0.1〜3mm程度大きい直径であることがより好ましい。また、第1基台部32と第2基台部33とは、一体的に形成されており、例えば一枚の段ボールや発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡スチロールなどによって形成することができる。そして、第1基台部32と第2基台部33との間には、裏まで貫通するように切り込みを入れることでI字状の切り込み線34が形成されている。このI字状の切り込み線34は、縦方向に延びる縦切り込み線341と、縦切り込み線341の上端及び下端に連結された横方向に延びる横切り込み線342a、342bとから構成されている。そして、横切り込み線342aの右端及び左端のそれぞれから下基台部材3の上端まで延びる折り曲げ線35aが形成されるとともに、横切り込み線342bの右端及び左端からのそれぞれからは下基台部3の下端まで延びる折り曲げ線35bが形成されている。この横切り込み線342a及び折り曲げ線35aによって、第1基台部32と第2基台部33とを連結する連結部36aが画定されており、横切り込み線342b及び折り曲げ線35bによって、第1基台部32と第2基台部33とを連結する連結部36bが画定されている。この各連結部36a、36bの幅は、第1基台部32と第2基台部33の厚みを合計した寸法とほぼ同一とすることが好ましい。
【0017】
この下基台部材3は、I字状の切り込み線34及び折り曲げ線35a、35bによって、第1基台部32が第2基台部33に対して谷折りできるようになっている。すなわち、図3(a)にあるような折り曲げられていない状態から、第1基台部32を第2基台部33上に重なるように谷折りする(図2及び図3(b))。このように第2基台部33上に第1基台部32が重なるように折り曲げられた状態では、第1の貫通穴311と第2の貫通穴312とが重なり、この第1及び第2の貫通穴311,312とによって凹部31が構成されている。そして、このように折り曲げられた状態で、下基台部材3は外箱2内に設置されている。
【0018】
図1及び図2に戻って説明を続けると、このように構成された下基台部材3の凹部31に棒状部材5の下端部が挿入することで棒状部材5が下基台部材3に取り外し可能に固定されている。この棒状部材5は、円筒状に形成されており、その外径はロール紙Rの中空部R1の内径とほぼ同一の寸法に形成されている。好ましくは、棒状部材5の外径は、ロール紙Rの中空部R1の内径との差を±0.3〜1.0とし、より好ましくは、±0.3〜0.5mmとする。このように棒状部材5の外径がロール紙Rの中空部R1の内径とほぼ同一の寸法に形成されているため、ロール紙Rの中空部R1内に棒状部材5を挿入すると、ロール紙Rは棒状部材5によって保持される。また、棒状部材5は、梱包されるロール紙Rの軸方向の長さよりも長くなるよう形成されている。詳細には、棒状部材5は、ロール紙Rの軸方向の長さと、下基台部材3の凹部31の深さと、上基台部材4の凹部41の深さと、を合計した長さとすることが好ましいが、少なくともロール紙Rの軸方向の長さと下基台部材3の凹部31の深さとを合計した長さよりも長くしていればよい。このような長さとすることで、棒状部材5は、ロール紙Rの中空部R1内に挿入した状態でその両端部がロール紙Rの上面及び下面からそれぞれ突出している。このロール紙Rから突出した棒状部材5の両端部を各基台部材3,4の凹部31,41内に挿入することで、棒状部材5を各基台部材3,4に取り外し可能に固定することができる。なお、この棒状部材5の材質は紙とすることが好ましい。また紙以外に、プラスティック部材としてはアクリロ.ニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)とすることが好ましい。
【0019】
棒状部材5が挿入されたロール紙Rを、下基台部材3とで挟持するように、ロール紙R上に上基台部材4が設置されている。この上基台部材4は、図4及び図5に示すように、上述した下基台部材3と同一の形状をしており、外箱2の横断面形状とほぼ合致するような外形を有する第1基台部42と第2基台部43とから構成されている。
【0020】
図4(a)に示すように、第1基台部42の中央部には棒状部材5の外径とほぼ同一の内径を有する第1の貫通穴411が形成されており、第2基台部43の中央部にも同様の内径を有する第2の貫通穴412が形成されている。そして、第1基台部42には、上述した下基台部材3に形成された切り込み37と同様の切り込み47が形成されている。第1基台部42と第2保持部材43とは一体的に形成されており、第1基台部42と第2基台部43との間には、縦切り込み線441と横切り込み線442a、442bとからなるI字状の切り込み線44と、折り曲げ線45a、45bとが形成されている。これら横切り込み線442a及び折り曲げ線45aによって連結部46aが形成されており、また、横切り込み線442b及び折り曲げ線45bによって連結部46bが形成されている。この各連結部46a、46bによって第1基台部42と第2基台部43とが連結されている。
【0021】
そして、I字状の切り込み線44及び折り曲げ線45a、45bによって、第1基台部42が第2基台部43に対して谷折りできるようになっている。すなわち、図4(a)にあるような折り曲げられていない状態から、第1基台部42を第2基台部43上に重なるように谷折りする(図4(b)及び図5)。このように折り曲げられた状態で上基台部材4は外箱2内に設置される。なお、このように折り曲げられた状態では、第1基台部42の第1の貫通穴411と第2基台部43の第2の貫通穴412とが重なり、この第1及び第2の貫通穴411,412とによって凹部41が構成されている。
【0022】
以上のように構成された上基台部材4を外箱2内に設置し、凹部41内に棒状部材5の上端部を挿入することで、棒状部材5の外径と凹部41の内径とがほぼ同一の寸法であるため、棒状部材5の上端部が凹部41内に嵌合して取り外し可能に固定される。このように棒状部材5の上端部を固定した上基台部材4上には、図6から図8に示すようなインクリボンなどを収納するための収納箱6が設置されている。図6は、本実施形態に係る収納箱の平面図、図7は収納箱の斜視図、図8はインクリボンが収納された収納箱の正面断面図である。図6及び図7に示すように、収納箱6は、内部にインクリボンTを収納できるように直方体状に形成された箱本体部61と、箱本体部61の側面から外方に延びる4つの羽根部62とから構成されている。収納箱6は、図1の左右方向には羽根部62によって外箱2内に嵌合しており、図1の奥行き方向には箱本体部61によって外箱2内に嵌合している。なお、このように収納箱6は外箱2内に嵌合しており水平方向には固定されているが、垂直方向には収納箱6及びインクリボンTの自重によって移動可能となっている。この箱本体部61内にはインクリボンTが包装シート8によって包装された状態で収納されている。より詳細には、図8に示すように、インクリボンTは、供給ロール部T1と巻取ロール部T2とから構成されている。この供給ロール部T1と巻取ロールT2との間には緩衝シート7が介在されており、この状態で、包装シート8がインクリボンT全体を覆っている。なお、この包装シート8は、インクリボンTを保護できるような材質であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、ポリエチレンや発泡ポリエチレン等を使用することが好ましい。ポリエチレンとしてはミラーマット、発泡ポリエチレンとしてはエアーキャップ(登録商標)等を使用することができる。また、この収納箱6は、本実施形態ではインクリボンを収納するために使用しているが、特にインクリボンを収納することに限定されるものではなく、その他のものを収納してもよい。
【0023】
次に、上述したロール紙の梱包構造1を使用した梱包方法について図面を参照しつつ説明する。まず、図1に示すように、外箱2を準備し、フラップ21bを閉じた状態でガムテープを貼って底面を形成する。そして、下基台部材3を外箱2内に挿入し、下面が外箱2の底面に接するまで下基台部材3を押し込む。このように、下基台部材3を外箱2内に設置したとき、下基台部材3の基台部31の外形は外箱2の底面の形状に合致しているので、下基台部材3は外箱2内に嵌合されて固定されている。なお、下基台部材3は、外箱2内に設置されたとき、切り込み37が形成された第1基台部32が上方、すなわちロール紙R側を向いている。
【0024】
続いて、梱包対象のロール紙Rを準備し、その中空部R1内に棒状部材5挿入し、この棒状部材5が挿入されたロール紙Rを外箱2内に収納する。このとき、ロール紙Rの中空部R1から突出した棒状部材5の下端部が下基台部材3の凹部31内に挿入されるようにロール紙Rを外箱2内に収納する。このように下基台部材3及び棒状部材5によって保持されたロール紙Rの上端から突出した棒状部材5の上端部に凹部41が挿入されるように上基台部材4を外箱2内に設置する。なお、上基台部材4を外箱2内に設置したとき、切り込み47が形成された第1基台部42が下方、すなわちロール紙R側を向いている。上基台部材4の外形は、外箱2の横断面形状とほぼ同一の形状であるため、上基台部材4は外箱2内に嵌合されて固定される。さらに、この外箱2内に嵌合固定された上基台部材4の凹部41の内径は、棒状部材5の外径とほぼ同一の寸法であるため、棒状部材5の上端部は上基台部材4の凹部41内に嵌合して取り外し可能に固定される。
【0025】
さらに続いて、インクリボンTを、包装シート8で覆うように包装して収納箱6の箱本体部61内に収納する。そして、このような状態でインクリボンTが収納された収納箱6を外箱2内に収納し、収納箱6を外箱2内の上基台部材4上に載置する。この状態で収納箱6は、箱本体部61及び4本の羽根部62によって外箱2内に嵌合されるため、外箱2内の水平方向には移動できないよう固定されている。また、収納箱6を外箱2内に収納したとき、収納箱6及びこの内部に収納されたインクリボンTの自重によって、上基台部材4は下基台部材3側に押さえられるため、下基台部材3と上基台部材4とでロール紙Rをしっかりと挟持することができる。このように下基台部材3と上基台部材4とでロール紙Rを挟持した状態では、各基台部材3、4の切り込み37,47によって囲まれた領域内にロール紙Rの下面及び上面が収まるように構成されている。そして、最後に外箱2のフラップ21aを閉じてガムテープを貼ることで、外箱2の上面を閉鎖する。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、まず、ロール紙Rの中空部R1内に棒状部材5を挿入し、この棒状部材5の下端部を下基台部材3で、上端部を上基台部材4で固定しているため、ロール紙Rを外箱2内に固定することができる。このようなにロール紙Rの外周面を保持してロール紙Rを固定する必要がないため、下基台部材3及び上基台部材4の大きさを小さくすることができる。また、各基台部材3,4は、切り込み37,47が形成されていることで、この切り込み37,47によって画定された領域内の外周縁部は凹みやすくなっている。このため、ロール紙Rが上下方向に移動しようとした場合や、ロール紙Rが上面又は下面のエッジ部分を基点として傾斜するような動きをしようとした場合であっても、そのロール紙Rの動きを吸収して、ロール紙Rの上面及び下面や、エッジ部分にかかる圧力を緩和することができ、ひいてはロール紙Rのエッジ部分の変形を防止することができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、各基台部材3,4ともに、凹部31,41が貫通穴となっているが、図9に示すように、凹部31,41は貫通穴でなくてもよい。
【0028】
また、上記実施形態では、下基台部材3又は上基台部材4と、棒状部材5とは別体として形成されているが、例えば下基台部材3と棒状部材5とを一体として形成したり、もしくは上基台部材4と棒状部材5とを一体として形成することもできる。
【0029】
また、上記実施形態では、下基台部材3や上基台部材4は一枚の段ボールを折り曲げた構成を取っているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、これら各基台部材3,4を折り曲げていない構成とすることもできる。この場合、各基台部材3、4は、凹部31、41内で棒状部材5を十分に固定できるような厚さを有していることが好ましい。
【0030】
また、上記実施形態では、梱包方法として、ロール紙Rの中空部R1内に棒状部材5を挿入してからロール紙Rを外箱2内に収納しているが、特にこの順序に限定される物でなく種々の順序をとることができる。例えば、外箱2内に設置された下基台部材3の凹部31内にまず棒状部材5の下端部を挿入し、その後、この棒状部材5が中空部R1内に挿入されるようにロール紙Rを外箱2内に収納することもできる。その他にも例えば、下基台部材3上にまずロール紙Rを設置し、下基台部材3の凹部31とロール紙Rの中空部R1とが一致するようにセットし、それから棒状部材5をロール紙Rの中空部R1内に挿入して、さらにそのまま棒状部材5の下端部を下基台部材3の凹部31内に挿入することもできる。
【0031】
また、上記実施形態では、包装シート8は、インクリボンTを覆っているのみであるが、例えば図10に示すように、一旦インクリボンTを覆い、余った部分を丸めた状態にしインクリボンTに隣接するような状態で収納箱6内に収納することもできる。
【0032】
また、上記実施形態では、上基台部材4上に収納箱6を載置し、収納箱6及びその内部のインクリボンTの自重で上基台部材4を下基台部材3側に押さえることによって、下基台部材3と上基台部材4とでロール紙Rを堅固に挟持しているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、上基台部材4の寸法を、外箱2内に堅固に嵌り上下方向の移動が妨げられるような寸法とすることによって、下基台部材3と上基台部材4とでロール紙Rを堅固に挟持するような位置に上基台部材4を固定することができる。この場合は、収納箱6及びその内部のインクリボンTによって上基台部材4を下基台部材3側に押さえつける必要がないため、収納箱6を省略し、その分だけ外箱2の高さを低くすることもできる。
【0033】
また、図11に示すように、各基台部材3,4の側面に半円状などの形状をした切欠部を形成することもできる。このように切欠部が形成されていることで、作業者が指を入れて各基台部材3,4を外箱2から取り出し易くし、作業性を向上させることができる。
【0034】
また、上記実施形態では、各基台部材3,4には切り込み37,47が断続的に形成されているが、これを連続的に形成したり、または、いわゆるミシン目線のようにもっと細かく断続的に形成することもできる。また、上記実施形態では、切り込み37,47は、第1基台部32、42を貫通するように形成されているが、いわゆるハーフカットとして、第1基台部32,42を貫通しないような切り込みとして形成することもできる。
【0035】
また、上記実施形態では、棒状部材5の上端は、上基台部材4の上面と面一の状態にあるが、上基台部材4の上面から突出するような長さであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るロール紙の梱包構造の実施形態を示す正面断面図である。
【図2】本実施形態に係る下部保持部材を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る下部保持部材の基台部の折り畳み前(a)及び折り畳み後(b)を示す平面図である。
【図4】本実施形態に係る上基台部材の折り畳み前(a)及び折り畳み後(b)を示す平面図である。
【図5】本実施形態に係る上基台部材を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係る収納箱を示す平面図である。
【図7】本実施形態に係る収納箱を示す斜視図である。
【図8】本実施形態に係る包装シートによって包装されたインクリボンが収納された収納箱の正面断面図である。
【図9】本発明に係るロール紙の梱包構造の他の実施形態を示す正面断面図である。
【図10】他の実施形態に係る包装シートによって包装されたインクリボンが収納された収納箱の正面断面図である。
【図11】別の実施形態に係る下基台部材(上基台部材)の折り畳み前(a)及び折り畳み後(b)を示す平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 梱包構造
2 外箱
3 下基台部材
31 凹部
37 切り込み
4 上基台部材
41 凹部
47 切り込み
5 棒状部材
6 収納箱
R ロール紙
R1 中空部
T インクリボン(被収納物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙の梱包構造に関するものであり、より詳細には巻芯を有さないコアレスロール紙の梱包構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、業務用プリンタなどの記録装置にロール紙が用いられているが、コスト削減や省資源化などからの要求により、例えば特許文献1に示されるような、巻芯を省略したコアレスロール紙が普及している。このようなコアレスロール紙は巻芯がないため、従来から使用されてきた梱包構造、すなわちロール紙を収納する外箱内に設置された保持部材によってロール紙の巻芯を両端から保持するというな梱包構造(例えば、特許文献2)を用いることができない。そこで、コアレスロール紙の梱包構造として、コアレスロール紙の両端部において外周面を保持する保持部材を外箱内に設置するという梱包構造が考えられる。
【特許文献1】実公平7−42766号公報
【特許文献2】特開平7−69341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような、保持部材がロール紙の外周面を保持するタイプの梱包構造では、その保持する部分の強度を保つために、巻芯を保持するタイプの保持部材に比べて大きくする必要があり、その結果、保持部材が設置される外箱も大きくなり、輸送コストが増加するという問題が発生する。
【0004】
そこで、本発明は、輸送コストを維持しつつ、コアレスロール紙を保持することのできる、ロール紙の梱包構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るロール紙の梱包構造は、上記課題を解決するためになされたものであり、軸部分が中空部となっており巻芯を有さないコアレスロール紙を梱包するための構造であって、ロール紙を収納するための外箱と、前記外箱内に嵌合するような外形を有し、前記外箱内の底面に配置される下基台部材と、前記外箱内に嵌合するような外形を有し、前記下基台部材との間でロール紙を挟持するよう前記外箱内であって前記下基台部材の上方に取り外し可能に固定される上基台部材と、前記下基台部材と上基台部材との間を延びて前記下基台部材及び上基台部材に両端部が固定されるとともに前記下基台部材及び上基台部材の少なくとも一方と取り外し可能であり、ロール紙の中空部の内径と合致するような外径を有する棒状部材と、を備え、前記下基台部材及び上基台部材は、ロール紙と対向する領域の外周縁部に沿うように、または前記外周縁部よりも一回り大きい円周を画定するように、切り込みが形成されている。
【0006】
この構成によれば、外箱内に嵌合するような外形を有して外箱内に取り外し可能に固定された下基台部材及び上基台部材に、棒状部材がその両端部を固定されている。この棒状部材は、ロール紙の中空部の内径と合致するような外径を有しているため、ロール紙の中空部に棒状部材を挿入するようにロール紙を外箱内に収納することによって、ロール紙を外箱内に固定することができる。このように、棒状部材によってロール紙を固定しているため、下基台部材や上基台部材でロール紙の外周面を保持する必要がなく、その結果、下基台部材や上基台部材の大きさを小さくすることができる。また、下基台部材及び上基台部材は上下よりロール紙を挟持しているが、下基台部材及び上基台部材のロール紙と対向する領域の外周縁部に沿うよう、もしくは外周縁部より一回り大きい円周を画定するように切り込みが形成されている。このように切り込みによって画定された領域の外周縁部は凹みやすくなっているため、外箱内に収納されたロール紙が上下方向に移動しようとした場合や、ロール紙の上面又は下面のエッジ部分を基点としてロール紙が傾くような動きをした場合であっても、これらロール紙の動きを吸収して、各基台部材と接しているロール紙の上面や下面又はこれらのエッジ部分にかかる圧力を緩和することができる。
【0007】
なお、上記棒状部材の「ロール紙の中空部の内径と合致するような外径」とは、棒状部材の外径と中空部の内径とが全く同一の寸法である必要はなく、棒状部材の外径と中空部の内径との差は±0.3〜1mm、好ましくは±0.3〜0.5mm以内であればよい。また、下基台部材や上基台部材は、外箱内に嵌合するような外形を有しているが、この「嵌合するような外形」とは、下基台部材や上基台部材の外形が、外箱の横断面の寸法と全く同一の寸法である必要はなく、下基台部材や上基台部材が外箱内で安定して水平方向に固定されていれば、多少の隙間があってもよい。さらには、上記切り込みは、ロール紙と対向する領域の外周縁部に沿うように、または外周縁部よりも一回り大きい円周を画定するように形成されているが、この「一回り大きい円周」とは、梱包されるロール紙の直径よりも0.05〜5mm程度大きい円周のことをいう。
【0008】
上記梱包構造は種々の構成をとることができるが、例えば、上記切り込みを断続的に形成することが好ましい。このように構成することで、基台部の切り込みに囲まれた部分とその他の部分とが一体的に形成されるので各基台部材の取り扱いが容易となる。また切り込みを入れることにより切り込み部分から落下する際にかかる力の逃げ道となり、それ以外の部分は接合されているので、強度が増し、落下した際にも変形しない。
【0009】
また、上記下基台部材及び上基台部材の少なくとも一方は、棒状部材の外径と合致するような内径を有する凹部が形成されており、その凹部内に棒状部材の端部が挿入されているように構成されていることが好ましい。このように、棒状部材と各基台部とを別々に形成することで、これらを容易に製造することができる。また、棒状部材を各基台部の凹部に差し込むだけで固定できるため、棒状部材を各基台部に容易に固定することができる。
【0010】
また、上基台部材上に載置され、内部に被収納物を収納する収納箱をさらに備えており、これら収納箱及び内部に収納された被収納物の自重によって上基台部材を下基台部材側に押さえることができる。本発明では、下基台部材と上基台部材と間にロール紙を収納するが、被収納物が収納された収納箱を上基台部材上に載置して上基台部材を下基台部材側に押さえることによって、下基台部材と上基台部材との間でロール紙を堅固に挟持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輸送コストを維持しつつ、コアレスロール紙を保持することのできる、ロール紙の梱包構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るロール紙の梱包構造の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係るロール紙の梱包構造を示す正面断面図、図2は本実施形態に係る棒状部材が取り付けられた下基台部材の斜視図、図3は本実施形態に係る下基台部材の折り畳み前の状態(a)及び折り畳み後の状態(b)を示す平面図、図4は、本実施形態に係る上基台部材の折り畳み前の状態(a)及び折り畳み後の状態(b)を示す平面図、図5は、本実施形態に係る上基台部材の斜視図である。
【0013】
図1に示すように、梱包構造1は、直方体状の外箱2を備えており、この外箱2内の底面上に下基台部材3が設置されている。この下基台部材3上にロール紙Rが配置され、そのロール紙Rの上に上基台部材4が設置されることで、下基台部材3と上基台部材4とによってロール紙Rを挟持している。このロール紙Rは、軸部分に巻芯を有していない、いわゆるコアレスロール紙である。棒状部材5は、このロール紙Rの空洞部R1内に挿入されるとともに、下端部が下基台部材3の中央部に形成された凹部31に挿入され、上端部が上基台部材4の中央部に形成された凹部41に挿入されている。このように、棒状部材5はロール紙Rを保持するとともに、下端部が下基台部材3に、上端部が上基台部材4に取り外し可能に固定されている。上基台部材4上にはインクリボン(被収納物)Tを収納した収納箱6が設置されている。
【0014】
上記梱包構造1を構成する各部材の詳細について説明すると、まず、外箱2は、段ボールなどによって直方体状に構成され、いわゆる段ボール箱として構成されており、その上面はフラップ21aを折り曲げることによって開閉可能であり、底面はフラップ21bを折り曲げることによって開閉可能である。なお、図1のようにロール紙Rを梱包した状態では、上面及び底面のフラップ部21a、21bはともに閉められており、ガムテープなどの接着テープを貼ることによって、その閉められた状態で保持されている。
【0015】
この閉鎖された外箱2の底面に、下基台部材3が設置されている。図1及び図2に示すように、この下基台部材3は、平面視矩形状であり、外箱2の横断面形状とほぼ合致するような外形を有している。また、下基台部材3の中央部には凹部31が形成されており、この凹部31内に棒状部材5の下端部が挿入されている。ここで、棒状部材5の外径は基台部31の凹部31の内径とほぼ同一の寸法であるため、棒状部材5の下端部を凹部31内に挿入した状態では、その下端部は凹部31内に嵌合されて固定されている。
【0016】
図3(a)に示すように、下基台部材3は、外箱2の横断面形状とほぼ合致するような外形を有する第1基台部32及び第2基台部33によって構成されている。第1基台部32はその中央部に第1の貫通穴311が形成されており、また第2基台部33も同様に中央部に第2の貫通穴312が形成されている。これら第1及び第2の貫通穴311、312は同一の形状となっており、その内径は、棒状部材5の外径と同一の寸法となっている。そして、第1基台部32には、第1の貫通穴311を中心とした円周を画定するように切り込み37が断続的に形成されている。この切り込み37によって画定された円周の直径は、梱包するロール紙Rの直径と同じか、もしくはそれよりも一回り大きく形成されている。より好ましくは、この切り込み37によって画定される円周は、梱包されるロール紙Rの直径よりも0.05〜5mm程度大きい直径であることが好ましく、0.1〜3mm程度大きい直径であることがより好ましい。また、第1基台部32と第2基台部33とは、一体的に形成されており、例えば一枚の段ボールや発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡スチロールなどによって形成することができる。そして、第1基台部32と第2基台部33との間には、裏まで貫通するように切り込みを入れることでI字状の切り込み線34が形成されている。このI字状の切り込み線34は、縦方向に延びる縦切り込み線341と、縦切り込み線341の上端及び下端に連結された横方向に延びる横切り込み線342a、342bとから構成されている。そして、横切り込み線342aの右端及び左端のそれぞれから下基台部材3の上端まで延びる折り曲げ線35aが形成されるとともに、横切り込み線342bの右端及び左端からのそれぞれからは下基台部3の下端まで延びる折り曲げ線35bが形成されている。この横切り込み線342a及び折り曲げ線35aによって、第1基台部32と第2基台部33とを連結する連結部36aが画定されており、横切り込み線342b及び折り曲げ線35bによって、第1基台部32と第2基台部33とを連結する連結部36bが画定されている。この各連結部36a、36bの幅は、第1基台部32と第2基台部33の厚みを合計した寸法とほぼ同一とすることが好ましい。
【0017】
この下基台部材3は、I字状の切り込み線34及び折り曲げ線35a、35bによって、第1基台部32が第2基台部33に対して谷折りできるようになっている。すなわち、図3(a)にあるような折り曲げられていない状態から、第1基台部32を第2基台部33上に重なるように谷折りする(図2及び図3(b))。このように第2基台部33上に第1基台部32が重なるように折り曲げられた状態では、第1の貫通穴311と第2の貫通穴312とが重なり、この第1及び第2の貫通穴311,312とによって凹部31が構成されている。そして、このように折り曲げられた状態で、下基台部材3は外箱2内に設置されている。
【0018】
図1及び図2に戻って説明を続けると、このように構成された下基台部材3の凹部31に棒状部材5の下端部が挿入することで棒状部材5が下基台部材3に取り外し可能に固定されている。この棒状部材5は、円筒状に形成されており、その外径はロール紙Rの中空部R1の内径とほぼ同一の寸法に形成されている。好ましくは、棒状部材5の外径は、ロール紙Rの中空部R1の内径との差を±0.3〜1.0とし、より好ましくは、±0.3〜0.5mmとする。このように棒状部材5の外径がロール紙Rの中空部R1の内径とほぼ同一の寸法に形成されているため、ロール紙Rの中空部R1内に棒状部材5を挿入すると、ロール紙Rは棒状部材5によって保持される。また、棒状部材5は、梱包されるロール紙Rの軸方向の長さよりも長くなるよう形成されている。詳細には、棒状部材5は、ロール紙Rの軸方向の長さと、下基台部材3の凹部31の深さと、上基台部材4の凹部41の深さと、を合計した長さとすることが好ましいが、少なくともロール紙Rの軸方向の長さと下基台部材3の凹部31の深さとを合計した長さよりも長くしていればよい。このような長さとすることで、棒状部材5は、ロール紙Rの中空部R1内に挿入した状態でその両端部がロール紙Rの上面及び下面からそれぞれ突出している。このロール紙Rから突出した棒状部材5の両端部を各基台部材3,4の凹部31,41内に挿入することで、棒状部材5を各基台部材3,4に取り外し可能に固定することができる。なお、この棒状部材5の材質は紙とすることが好ましい。また紙以外に、プラスティック部材としてはアクリロ.ニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)とすることが好ましい。
【0019】
棒状部材5が挿入されたロール紙Rを、下基台部材3とで挟持するように、ロール紙R上に上基台部材4が設置されている。この上基台部材4は、図4及び図5に示すように、上述した下基台部材3と同一の形状をしており、外箱2の横断面形状とほぼ合致するような外形を有する第1基台部42と第2基台部43とから構成されている。
【0020】
図4(a)に示すように、第1基台部42の中央部には棒状部材5の外径とほぼ同一の内径を有する第1の貫通穴411が形成されており、第2基台部43の中央部にも同様の内径を有する第2の貫通穴412が形成されている。そして、第1基台部42には、上述した下基台部材3に形成された切り込み37と同様の切り込み47が形成されている。第1基台部42と第2保持部材43とは一体的に形成されており、第1基台部42と第2基台部43との間には、縦切り込み線441と横切り込み線442a、442bとからなるI字状の切り込み線44と、折り曲げ線45a、45bとが形成されている。これら横切り込み線442a及び折り曲げ線45aによって連結部46aが形成されており、また、横切り込み線442b及び折り曲げ線45bによって連結部46bが形成されている。この各連結部46a、46bによって第1基台部42と第2基台部43とが連結されている。
【0021】
そして、I字状の切り込み線44及び折り曲げ線45a、45bによって、第1基台部42が第2基台部43に対して谷折りできるようになっている。すなわち、図4(a)にあるような折り曲げられていない状態から、第1基台部42を第2基台部43上に重なるように谷折りする(図4(b)及び図5)。このように折り曲げられた状態で上基台部材4は外箱2内に設置される。なお、このように折り曲げられた状態では、第1基台部42の第1の貫通穴411と第2基台部43の第2の貫通穴412とが重なり、この第1及び第2の貫通穴411,412とによって凹部41が構成されている。
【0022】
以上のように構成された上基台部材4を外箱2内に設置し、凹部41内に棒状部材5の上端部を挿入することで、棒状部材5の外径と凹部41の内径とがほぼ同一の寸法であるため、棒状部材5の上端部が凹部41内に嵌合して取り外し可能に固定される。このように棒状部材5の上端部を固定した上基台部材4上には、図6から図8に示すようなインクリボンなどを収納するための収納箱6が設置されている。図6は、本実施形態に係る収納箱の平面図、図7は収納箱の斜視図、図8はインクリボンが収納された収納箱の正面断面図である。図6及び図7に示すように、収納箱6は、内部にインクリボンTを収納できるように直方体状に形成された箱本体部61と、箱本体部61の側面から外方に延びる4つの羽根部62とから構成されている。収納箱6は、図1の左右方向には羽根部62によって外箱2内に嵌合しており、図1の奥行き方向には箱本体部61によって外箱2内に嵌合している。なお、このように収納箱6は外箱2内に嵌合しており水平方向には固定されているが、垂直方向には収納箱6及びインクリボンTの自重によって移動可能となっている。この箱本体部61内にはインクリボンTが包装シート8によって包装された状態で収納されている。より詳細には、図8に示すように、インクリボンTは、供給ロール部T1と巻取ロール部T2とから構成されている。この供給ロール部T1と巻取ロールT2との間には緩衝シート7が介在されており、この状態で、包装シート8がインクリボンT全体を覆っている。なお、この包装シート8は、インクリボンTを保護できるような材質であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、ポリエチレンや発泡ポリエチレン等を使用することが好ましい。ポリエチレンとしてはミラーマット、発泡ポリエチレンとしてはエアーキャップ(登録商標)等を使用することができる。また、この収納箱6は、本実施形態ではインクリボンを収納するために使用しているが、特にインクリボンを収納することに限定されるものではなく、その他のものを収納してもよい。
【0023】
次に、上述したロール紙の梱包構造1を使用した梱包方法について図面を参照しつつ説明する。まず、図1に示すように、外箱2を準備し、フラップ21bを閉じた状態でガムテープを貼って底面を形成する。そして、下基台部材3を外箱2内に挿入し、下面が外箱2の底面に接するまで下基台部材3を押し込む。このように、下基台部材3を外箱2内に設置したとき、下基台部材3の基台部31の外形は外箱2の底面の形状に合致しているので、下基台部材3は外箱2内に嵌合されて固定されている。なお、下基台部材3は、外箱2内に設置されたとき、切り込み37が形成された第1基台部32が上方、すなわちロール紙R側を向いている。
【0024】
続いて、梱包対象のロール紙Rを準備し、その中空部R1内に棒状部材5挿入し、この棒状部材5が挿入されたロール紙Rを外箱2内に収納する。このとき、ロール紙Rの中空部R1から突出した棒状部材5の下端部が下基台部材3の凹部31内に挿入されるようにロール紙Rを外箱2内に収納する。このように下基台部材3及び棒状部材5によって保持されたロール紙Rの上端から突出した棒状部材5の上端部に凹部41が挿入されるように上基台部材4を外箱2内に設置する。なお、上基台部材4を外箱2内に設置したとき、切り込み47が形成された第1基台部42が下方、すなわちロール紙R側を向いている。上基台部材4の外形は、外箱2の横断面形状とほぼ同一の形状であるため、上基台部材4は外箱2内に嵌合されて固定される。さらに、この外箱2内に嵌合固定された上基台部材4の凹部41の内径は、棒状部材5の外径とほぼ同一の寸法であるため、棒状部材5の上端部は上基台部材4の凹部41内に嵌合して取り外し可能に固定される。
【0025】
さらに続いて、インクリボンTを、包装シート8で覆うように包装して収納箱6の箱本体部61内に収納する。そして、このような状態でインクリボンTが収納された収納箱6を外箱2内に収納し、収納箱6を外箱2内の上基台部材4上に載置する。この状態で収納箱6は、箱本体部61及び4本の羽根部62によって外箱2内に嵌合されるため、外箱2内の水平方向には移動できないよう固定されている。また、収納箱6を外箱2内に収納したとき、収納箱6及びこの内部に収納されたインクリボンTの自重によって、上基台部材4は下基台部材3側に押さえられるため、下基台部材3と上基台部材4とでロール紙Rをしっかりと挟持することができる。このように下基台部材3と上基台部材4とでロール紙Rを挟持した状態では、各基台部材3、4の切り込み37,47によって囲まれた領域内にロール紙Rの下面及び上面が収まるように構成されている。そして、最後に外箱2のフラップ21aを閉じてガムテープを貼ることで、外箱2の上面を閉鎖する。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、まず、ロール紙Rの中空部R1内に棒状部材5を挿入し、この棒状部材5の下端部を下基台部材3で、上端部を上基台部材4で固定しているため、ロール紙Rを外箱2内に固定することができる。このようなにロール紙Rの外周面を保持してロール紙Rを固定する必要がないため、下基台部材3及び上基台部材4の大きさを小さくすることができる。また、各基台部材3,4は、切り込み37,47が形成されていることで、この切り込み37,47によって画定された領域内の外周縁部は凹みやすくなっている。このため、ロール紙Rが上下方向に移動しようとした場合や、ロール紙Rが上面又は下面のエッジ部分を基点として傾斜するような動きをしようとした場合であっても、そのロール紙Rの動きを吸収して、ロール紙Rの上面及び下面や、エッジ部分にかかる圧力を緩和することができ、ひいてはロール紙Rのエッジ部分の変形を防止することができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、各基台部材3,4ともに、凹部31,41が貫通穴となっているが、図9に示すように、凹部31,41は貫通穴でなくてもよい。
【0028】
また、上記実施形態では、下基台部材3又は上基台部材4と、棒状部材5とは別体として形成されているが、例えば下基台部材3と棒状部材5とを一体として形成したり、もしくは上基台部材4と棒状部材5とを一体として形成することもできる。
【0029】
また、上記実施形態では、下基台部材3や上基台部材4は一枚の段ボールを折り曲げた構成を取っているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、これら各基台部材3,4を折り曲げていない構成とすることもできる。この場合、各基台部材3、4は、凹部31、41内で棒状部材5を十分に固定できるような厚さを有していることが好ましい。
【0030】
また、上記実施形態では、梱包方法として、ロール紙Rの中空部R1内に棒状部材5を挿入してからロール紙Rを外箱2内に収納しているが、特にこの順序に限定される物でなく種々の順序をとることができる。例えば、外箱2内に設置された下基台部材3の凹部31内にまず棒状部材5の下端部を挿入し、その後、この棒状部材5が中空部R1内に挿入されるようにロール紙Rを外箱2内に収納することもできる。その他にも例えば、下基台部材3上にまずロール紙Rを設置し、下基台部材3の凹部31とロール紙Rの中空部R1とが一致するようにセットし、それから棒状部材5をロール紙Rの中空部R1内に挿入して、さらにそのまま棒状部材5の下端部を下基台部材3の凹部31内に挿入することもできる。
【0031】
また、上記実施形態では、包装シート8は、インクリボンTを覆っているのみであるが、例えば図10に示すように、一旦インクリボンTを覆い、余った部分を丸めた状態にしインクリボンTに隣接するような状態で収納箱6内に収納することもできる。
【0032】
また、上記実施形態では、上基台部材4上に収納箱6を載置し、収納箱6及びその内部のインクリボンTの自重で上基台部材4を下基台部材3側に押さえることによって、下基台部材3と上基台部材4とでロール紙Rを堅固に挟持しているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、上基台部材4の寸法を、外箱2内に堅固に嵌り上下方向の移動が妨げられるような寸法とすることによって、下基台部材3と上基台部材4とでロール紙Rを堅固に挟持するような位置に上基台部材4を固定することができる。この場合は、収納箱6及びその内部のインクリボンTによって上基台部材4を下基台部材3側に押さえつける必要がないため、収納箱6を省略し、その分だけ外箱2の高さを低くすることもできる。
【0033】
また、図11に示すように、各基台部材3,4の側面に半円状などの形状をした切欠部を形成することもできる。このように切欠部が形成されていることで、作業者が指を入れて各基台部材3,4を外箱2から取り出し易くし、作業性を向上させることができる。
【0034】
また、上記実施形態では、各基台部材3,4には切り込み37,47が断続的に形成されているが、これを連続的に形成したり、または、いわゆるミシン目線のようにもっと細かく断続的に形成することもできる。また、上記実施形態では、切り込み37,47は、第1基台部32、42を貫通するように形成されているが、いわゆるハーフカットとして、第1基台部32,42を貫通しないような切り込みとして形成することもできる。
【0035】
また、上記実施形態では、棒状部材5の上端は、上基台部材4の上面と面一の状態にあるが、上基台部材4の上面から突出するような長さであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るロール紙の梱包構造の実施形態を示す正面断面図である。
【図2】本実施形態に係る下部保持部材を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る下部保持部材の基台部の折り畳み前(a)及び折り畳み後(b)を示す平面図である。
【図4】本実施形態に係る上基台部材の折り畳み前(a)及び折り畳み後(b)を示す平面図である。
【図5】本実施形態に係る上基台部材を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係る収納箱を示す平面図である。
【図7】本実施形態に係る収納箱を示す斜視図である。
【図8】本実施形態に係る包装シートによって包装されたインクリボンが収納された収納箱の正面断面図である。
【図9】本発明に係るロール紙の梱包構造の他の実施形態を示す正面断面図である。
【図10】他の実施形態に係る包装シートによって包装されたインクリボンが収納された収納箱の正面断面図である。
【図11】別の実施形態に係る下基台部材(上基台部材)の折り畳み前(a)及び折り畳み後(b)を示す平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 梱包構造
2 外箱
3 下基台部材
31 凹部
37 切り込み
4 上基台部材
41 凹部
47 切り込み
5 棒状部材
6 収納箱
R ロール紙
R1 中空部
T インクリボン(被収納物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部分が中空部となっており巻芯を有さないコアレスロール紙を梱包するための構造であって、
ロール紙を収納するための外箱と、
前記外箱内に嵌合するような外形を有し、前記外箱内の底面に配置される下基台部材と、
前記外箱内に嵌合するような外形を有し、前記下基台部材との間でロール紙を挟持するよう前記外箱内であって前記下基台部材の上方に取り外し可能に固定される上基台部材と、
前記下基台部材と上基台部材との間を延びて前記下基台部材及び上基台部材に両端部が固定されるとともに前記下基台部材及び上基台部材の少なくとも一方と取り外し可能であり、ロール紙の中空部の内径と合致するような外径を有する棒状部材と、を備え、
前記下基台部材及び上基台部材は、ロール紙と対向する領域の外周縁部に沿うように、または前記外周縁部よりも一回り大きい円周を画定するように、切り込みが形成されている、ロール紙の梱包構造。
【請求項2】
前記切り込みは、断続的に形成されている、請求項1に記載のロール紙の梱包構造。
【請求項3】
前記下基台部材及び上基台部材の少なくとも一方は、前記棒状部材の外径と合致するような内径を有する凹部が形成されており、該凹部内に前記棒状部材の端部が挿入されている、請求項1又は2に記載のロール紙の梱包構造。
【請求項4】
前記上基台部材上に載置され、内部に被収納物を収納する収納箱をさらに備えており、
前記収納箱及び内部に収納された被収納物の自重によって前記上基台部材を下基台部材側に押さえる、請求項1から3のいずれかに記載のロール紙の梱包構造。
【請求項1】
軸部分が中空部となっており巻芯を有さないコアレスロール紙を梱包するための構造であって、
ロール紙を収納するための外箱と、
前記外箱内に嵌合するような外形を有し、前記外箱内の底面に配置される下基台部材と、
前記外箱内に嵌合するような外形を有し、前記下基台部材との間でロール紙を挟持するよう前記外箱内であって前記下基台部材の上方に取り外し可能に固定される上基台部材と、
前記下基台部材と上基台部材との間を延びて前記下基台部材及び上基台部材に両端部が固定されるとともに前記下基台部材及び上基台部材の少なくとも一方と取り外し可能であり、ロール紙の中空部の内径と合致するような外径を有する棒状部材と、を備え、
前記下基台部材及び上基台部材は、ロール紙と対向する領域の外周縁部に沿うように、または前記外周縁部よりも一回り大きい円周を画定するように、切り込みが形成されている、ロール紙の梱包構造。
【請求項2】
前記切り込みは、断続的に形成されている、請求項1に記載のロール紙の梱包構造。
【請求項3】
前記下基台部材及び上基台部材の少なくとも一方は、前記棒状部材の外径と合致するような内径を有する凹部が形成されており、該凹部内に前記棒状部材の端部が挿入されている、請求項1又は2に記載のロール紙の梱包構造。
【請求項4】
前記上基台部材上に載置され、内部に被収納物を収納する収納箱をさらに備えており、
前記収納箱及び内部に収納された被収納物の自重によって前記上基台部材を下基台部材側に押さえる、請求項1から3のいずれかに記載のロール紙の梱包構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−137632(P2009−137632A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317558(P2007−317558)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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