説明

ワイヤソー切断装置及びワイヤソー切断方法並びに切断装置付き自走機械

【課題】コンクリート等の被削物付近が従来の切断装置を設置し得ない狭い場所であっても、自走機械のブームアームの自由な移動によって所定の場所にワイヤソー駆動装置を移動可能に設置しうる切断装置、及びワイヤソー式と円板式との切断機が交互に必要な場合に好適な一つの駆動源をアタッチメントとして取り替えて作業に使える構造の切断装置を提案する。
【解決手段】旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム52作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けたワイヤソー切断装置を前提とし、アーム先端に取り外し可能にワイヤソー駆動装置を設けた基台を取り付け、基台とアーム先端とは直交及び又は任意の角度に軸芯に対し回動転可能に設けてワイヤソー駆動装置のワイヤソーの駆動シーブの回転面を直交又は任意に変更可能にしたワイヤソー切断装置、及び円板型切断装置とワイヤソー型切断装置を交換可能にした切断装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤソーを用いてコンクリート構造物等を切断する際に適用して好適なワイヤソー切断装置と方法及び円板回転ソーとワイヤソーとを兼用する切断装置付き自走機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤソーを用いてコンクリート構造物を切断することは一般に行われている。エンドレスのワイヤソーは駆動源と案内プーリと被切断物との間を連通して摩擦により切断するが、切断するにつれてワイヤソーは徐々に緩んでくるので、従来は、緩み量を解消するために案内シーブ等の位置を適切に調整して一定の緊張状態を保持している。
ところで被削物の環境が平坦な場所とは限らないため、従来はワイヤソー切断装置をクローラ装置に載置した構造がある(特許文献1)。
【0003】
このような公知の装置は、クローラ機構のため平坦でない地面においても移動に些ほど困難はない。そしてワイヤソー切断装置をクローラ装置に対して移動可能に構成することによりワイヤソーの緩みを解消している。
【0004】
しかし、例えばコンクリート被削物の周囲にクローラ装置を設置できないほどに狭い場所にあっては、クローラ装置の設置位置を、遠い場所又は上側にその都度設置せざるを得ない場合は、ワイヤソー装置のワイヤソーを別の案内シーブを多く設置しなければならない。そのため段取りに時間がかかり、費用も嵩張る欠点がある。
【0005】
ところで、従来のワイヤソー切断装置では、切断終期にはワイヤソーが切り口が徐々に狭くなってワイヤソーに対する曲げストレスが急激に発生する。そのためワイヤソーに無理な応力が掛かり、最悪には切断の虞れが生ずる。そこで従来はそのようなストレスの緩和策として、ワイヤソーの切断箇所の前後にガイドシーブ等を取り付けて急激な曲がりを発生させないようにワイヤソーをガイドシーブで案内して緩和する等の手段を講じている。

しかし、このような手段は切削場所に充分なスペースがあれば可能であるが、スペースがない場合は実現が困難となる欠点を有する。
【0006】
ところで、コンクリート二次製品を用いて構築する工事現場には大小多くの二次製品が現場のサイズに合わせて切断する必要がある。小型のものにもワイヤソー切断機を使用すると設置場所が必要になってむしろ切断作業の効率が悪くなる。そこで円板切断機械が必要になる。しかし従来はワイヤソー式と円板式と夫々独自の駆動源が備えられているので、現場にてワイヤソーと円板による切断の双方が必要になった場合は対応ができない。また現場では土砂の掘削も必要になる。このように小規模現場では多くの専用機械を導入するには予算が嵩むとかスペースがないといった問題もある。
【0007】
【特許文献1】特開平7−189502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる点に鑑み、クローラ装置を具備したバックホー等のように旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械の作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けることにより、例えばコンクリート等の被削物付近が従来の切断装置を設置し得ない狭隘な場所であっても本発明装置のアームの自由な移動によって所定の場所に駆動装置を移動可能に設置することができる切断装置を提案することを主たる課題とする。
【0009】
また本発明は、ワイヤソー式と円板式との切断機が交互に必要な場合に使用して好適な一つの駆動源をアタッチメントとして取り替えて作業に使える構造の切断装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用端側にワイヤソー駆動装置を取り付けたことを特徴とするワイヤソー切断装置である。
【0011】
本発明は、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けたワイヤソー切断装置において、
アーム先端に取り外し可能にワイヤソー駆動装置を設けた基台を取り付け、基台とアーム先端とは直交及び又は任意の角度に軸芯に対し回動転可能に設けてワイヤソー駆動装置のワイヤソーの駆動シーブの回転面を直交及び又は任意に変更可能にしたことを特徴とするワイヤソー切断装置である。
【0012】
本発明は、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けたワイヤソー切断装置において、
アーム先端に取り外し可能にワイヤソー駆動装置を設けた基台を取り付け、基台とアーム先端とは直交及び又は任意の角度に軸芯に対し回動可能に設けてワイヤソー駆動装置のワイヤソーの駆動シーブの回転面を直交及び又は任意に変更可能にし、ワイヤソー駆動装置の駆動源に油圧モータを用い、その油圧源は上記自走機械から取り出すことを特徴とするワイヤソー切断装置である。
【0013】
本発明は更に、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用端側にワイヤソー駆動装置を取り付けてワイヤソーで被切削体を切断する方法である。
【0014】
本発明は更に、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けてワイヤソーで切断する方法において、
アーム先端に取り外し可能にワイヤソー駆動装置を設けた基台を取り付け、基台とアーム先端とは直交及び又は任意の角度に軸芯に対し回動転可能に設けてワイヤソー駆動装置のワイヤソーの駆動シーブの回転面を直交及び又は任意に変更可能にしたワイヤソー油圧駆動装置を用い、駆動シーブの角度に応じて任意の角度に設定してワイヤソーを駆動し、ワイヤソーが緩んだとき上記ブームアームを運転席から微少に操作して油圧制御してワイヤソーの緩みを解消することを特徴とするワイヤソー切断方法である。
【0015】
本発明は更に、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側に、ワイヤソー切断装置と円板切断装置とを取替可能に接続すると共に、上記自走機械内の油圧駆動源により夫々の切断装置内の油圧モータを回転駆動するように構成し、回転制御及びブームアームの操作も上記自走機械内の運転席から行うようにしたことを特徴とする切断装置付き自走機械である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用端側にワイヤソー駆動装置を取り付けたので、ワイヤソー駆動装置にワイヤソーを取り付けて被切削体に掛け渡して切断することができることは勿論、ワイヤソー切断装置自体にはワイヤソー駆動源とワイヤソー移動制御部を設けることなく、簡素化できるので、自走機械のアタッチメントとして用いることができ、保管にも省スペースとなる。
【0017】
本発明はまた、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けたワイヤソー切断装置において、
アーム先端に取り外し可能にワイヤソー駆動装置を設けた基台を取り付け、基台とアーム先端とは直交及び又は任意の角度に軸芯に対し回動可能に設けてワイヤソー駆動装置のワイヤソーの駆動シーブの回転面を直交及び又は任意に変更可能にしたので、
ワイヤソー駆動装置にワイヤソーを取り付けて被切削体に掛け渡して切断することができ、ワイヤソー切断装置自体にはワイヤソー駆動源とワイヤソー移動制御部を設けることなく、簡素化できるので、自走機械のアタッチメントとして用いることができ、保管にも省スペースとなることは勿論、ワイヤソー駆動装置自体がワイヤソー切断面に対し、任意の角度を変更できるため、斜め切断も可能となり、柔軟性のある切断装置を提供できる。
【0018】
本発明は更に、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けたワイヤソー切断装置において、
アーム先端に取り外し可能にワイヤソー駆動装置を設けた基台を取り付け、基台とアーム先端とは直交及び又は任意の角度に軸芯に対し回動可能に設けてワイヤソー駆動装置のワイヤソーの駆動シーブの回転面を直交及び又は任意に変更可能にし、ワイヤソー駆動装置の駆動源に油圧モータを用い、その油圧源は上記自走機械から取り出すように構成したので、
ワイヤソー駆動装置にワイヤソーを取り付けて被切削体に掛け渡して切断することができ、ワイヤソー切断装置自体にはワイヤソー駆動源とワイヤソー移動制御部を設けることなく、簡素化できるので、自走機械のアタッチメントとして用いることができ、保管にも省スペースとなることは勿論、ワイヤソー駆動装置自体がワイヤソー切断面に対し、任意の角度を変更できるため、斜め切断も可能となり、柔軟性のある切断装置を提供でき、更に油圧モータの採用によって低騒音のため工事の際の騒音を低減できる。
【0019】
本発明は更に、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用端側にワイヤソー駆動装置を取り付けてワイヤソーで被切削体を切断する方法としたので、
例えば暗渠工事でコンクリート管を埋設する際、埋設設置後合わせ面の修正等が発生した場合に、付近には従来のコンクリートの切断装置を設置できるスペースが確保できない事態であっても、自走機械のブームアーム先端に切断装置を設けた自走機械が平坦な高い位置に設置して地下部にあるコンクリート管までブームアームを下げてワイヤソーを掛け渡すことができるため、段取りに時間を要せず、比較的短時間で切断が可能となる。
【0020】
本発明は更に、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けてワイヤソーで切断する方法において、
アーム先端に取り外し可能にワイヤソー駆動装置を設けた基台を取り付け、基台とアーム先端とは直交及び又は任意の角度に軸芯に対し回動転可能に設けてワイヤソー駆動装置のワイヤソーの駆動シーブの回転面を直交及び又は任意に変更可能にしたワイヤソー油圧駆動装置を用い、駆動シーブの角度に応じて任意の角度に設定してワイヤソーを駆動し、ワイヤソーが緩んだとき上記ブームアームを運転席から微少に操作して油圧制御してワイヤソーの緩みを解消するようにしたので、
例えば暗渠工事でコンクリート管を埋設する際、設置後合わせ面の修正等が発生した場合に、付近には従来のコンクリートの切断装置を設置できるスペースが確保できない事態であっても、自走機械のブームアーム先端に切断装置を設けた自走機械が平坦な高い位置に設置して地下部にあるコンクリート管までブームアームを下げてワイヤソーを掛け渡すことができるため、段取りに時間を要せず、比較的短時間で切断が可能となることは勿論、駆動シーブの回転面の調節によって最適な回転面を確保できるため、駆動シーブとワイヤソーとの摩耗を低減して駆動トルクの減少を回避することができる。
【0021】
本発明は更に、旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側に、ワイヤソー切断装置と円板切断装置とを取替可能に接続すると共に、上記自走機械内の油圧駆動源により夫々の切断装置内の油圧モータを回転駆動するように構成し、回転制御及びブームアームの操作も上記自走機械内の運転席から行うようにしたので、
大小のコンクリート二次製品の切断をする際に、小型のコンクリート製品の切断には円板タイプの切断装置を自走機械に取り付け、大型のコンクリート製品の切断にはワイヤソー型の切断装置を自走機械に取り付けることによって、柔軟な対応が可能となる。またワイヤソー型切断装置と円板型切断装置を備えておけば、いずれか一方の刃が消耗又は事故で破断した場合に工事が中断することなく、上記切断装置を適切に交換して直ちに作業を再開できる。
【実施例1】
【0022】
図1及び図2は、本発明装置の一実施例の平面図及び側面図であって、10はバックホーブラケットを示す。このブラケット10は上側が自走機械例えばバックホーのアーム先端のピン取り付け孔の位置と一致するように横方向に穿設した支軸用ピン孔11が2カ所設けられ、下側がワイヤソー駆動装置を支持するためのブラケット12であり、双方はネジ13によって締結されている。
【0023】
20はワイヤソー駆動装置を示し、これは基台21に駆動モータとしての油圧モータ22、油圧制御用バルブ23,ワイヤソー駆動用メインガイドシーブ24を回転支持するピローユニット25等が載置されている。
【0024】
ブラケット10の下側と基台21とは、図1に示すように、ネジ21aによりネジ止めされ、方向が固定化されたブラケット10に対し、基台20側が軸芯に対し回転可能になるように取り付け孔が穿設され、例えば90度間隔の孔を円周上に4カ所、又は45度間隔の孔を8カ所のように適宜必要とする角度に設定可能にネジ止め可能に構成される。角度は必要に応じて任意の角度に設定しうる。14はブラケット10と基台20とを接続するためのセンターボルトを示す。
【0025】
油圧モータ22はブラケット10を介して接続されたバックホー内の油圧ポンプから配管を配設して接続され、回転駆動される。回転制御はバックホーの運転席に設けたバルブの操作によって行われる。油圧モータ22の駆動力はVベルトを介してピローユニット25の回転軸26に取り付けたVベルトプーリに回転力が伝達され、回転軸26にはメインガイドシーブ24が固定されて回転駆動される。メインガイドシーブ24には、ワイヤにダイヤモンドを固定化した公知のワイヤソーが巻き付けられ、油圧モータ22の回転駆動によってワイヤソーが駆動力を得て被切削体に対し切断加工が可能となる。
【0026】
メインガイドシーブ24には危険防止のためカバー27が設けられている。駆動ベルトにも同様にカバー28が設けられている。
【0027】
基台20の先端には、ワイヤソーのサブガイドシーブ30を支持するための支柱31が取り外し可能に延長形成されている。支柱31の先端には直交するように軸受棒32が設けられ、軸受棒32の先端にガイドシーブ30を回転支持する軸受33が設けられている。ガイドシーブ30とメインガイドシープ24とは双方の溝部が一直線になるように設定される。また各ガイドシーブ30の間隔はワイヤソーの駆動時の振動を吸収するような間隔に設定されている。
【0028】
図1及び図2に示す状態は、回転軸26が水平に支持されているため、シーブ24は垂直に位置しており、したがって、ワイヤソー40は被削物に対して垂直方向に切断が進行することになる。被削物に対して水平方向に進行させるには、ネジ21aを外して、ブラケット10に対し、基台20を90度回転ずらししてネジ21aを再度締め付けることにより可能となる。
【0029】
図3は本発明切削装置の使用例を示す図である。バックホー50のブーム51、アーム52は支軸ピンに対して自由に回転可能であるため、被切削体60に対し最適な位置にアーム先端部に設けたワイヤソー切断装置70を設置し、被切削体60にワイヤソー40を掛け渡し、他方側をメインガイドシーブ24とガイドシーブ30に掛け渡す。その際、バックホー50のブーム51、アーム52を前方に突き出すように設定しておき(図中A位置)、かつワイヤソーの弛みを解消しておく。このように初期の設定を完了してから、バックホー50の運転席内から操作して油圧モータ22を回転駆動させてワイヤソー40を高速移送させて切断を開始する。切り進んでいくと当然にワイヤソーが被切削体60に対し弛んで来て摩擦がなくなるので、ブーム51,アーム52を微少に操作して弛みを解消させる。そして最終的に切断終期になってワイヤソー40が切り進んでくるに従い、更にブーム51、アーム52を操作してバックホー50側にメインガイドシーブ24を引き寄せ操作をし(図中B位置)、垂直方向の切断完了まで続けることができる。
【0030】
したがって、バックホー50のアーム先端位置に設けたワイヤソー駆動装置によりワイヤソー切断を実現させるので、切り込み終期においてワイヤソーが急激に曲げられ、万一切断事故が発生したとしても、操作者はバックホー50の運転席内にいるので、切れたワイヤソーが飛んで直接操作者に傷害を与えることがなくなる。
【0031】
またバックホー50を移動させないでブーム51、アーム52だけの移動で被切削体の切断が完了となるが、もし切断が完了しないときは、運転席内でブーム51、アーム52と共にクローラを後方に移動させ、かつブーム51、アーム52を元の位置まで戻す(図中A位置)ことにより、再びワイヤソー切断を続行可能となる。その際、バックホー50の走行路が不安定であってもクローラの走行に支障はないので、安定したワイヤソー切断が実現できる。
【0032】
次に、図4に示すように、被切削体が地面より下(又は基準位置より下部)にある被切削体をバックホーを利用して切断する場合に、地面上の平坦部にバックホー50を設置し、ブーム51,アーム52を被切削体60のある下側まで延ばしてワイヤソー駆動切断装置を適切に設置して切断を実現することができる。ワイヤソー40で切り進んでいくと当然にワイヤソー40は弛んでくるため、ブーム51、アーム52を運転席から操作して徐々に上側に移動させることにより、ワイヤソー40の弛みを解消できる。この場合、ワイヤソー駆動切断装置は徐々に上側に移動することになるが、垂直切断のため何ら支障は発生しない。
【0033】
この場合、サブガイドシーブは取り外しておき、同様の機能のガイドシーブ35を被切削体付近に固定化することにより、ワイヤソー40の移動がスムーズになるように考慮している。
【0034】
尚、サブガイドシーブ35の位置を適切に調整設置することにより、傾斜面の切断も可能である。
【0035】
また本発明装置は、被切削体が崖下にあって周囲にバックホーを設置するスペースがない場合は、従来のワイヤソー切断機械を近傍に設置できないことが多い。この場合、であっても、崖の上の平坦部にバックホーを設置し、ブーム,アームを被切削体のある下側まで延ばしてワイヤソー駆動切断装置を設置して切断を実現することができる。ワイヤソーで切り進んでいくと当然にワイヤソーは弛んでくるため、ブーム、アームを運転席から操作して徐々に上側に移動させることにより、ワイヤソーの弛みを解消できる。この場合、ワイヤソー切断装置は徐々に上側に移動することになるが、垂直切断のため何ら支障は発生しない。
【0036】
次に、コンクリート橋の改修・撤去作業において、ワイヤソー切断する場合は、図5に示すように、橋の下側にあたる河川敷側にバックホー50を位置して、ブーム51、アーム52を上側すなわち頭上に位置して切断装置をセットする(例えば図3のC又はD位置)。ワイヤソーが切り進んで弛んできたときは、ブーム51、アーム52を微少に操作して弛みを解消できる。この場合、従来この種の工事にあっては、大がかりな足場を組んだりして安全に特に配慮して行うため、経費が膨大になるが、本発明装置の採用により、足場の必要はなく、河川敷を特別に平坦にする作業も不要となり、従来のようなレールを設置する手数もなくなり、工事期間を短縮できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、コンクリート管の切断、コンクリート壁面の切断、地下構造物の切断、下水管の切断、トンネル壁面の切断、高速道路の路盤の切断、水中コンクリート構造物の切断、橋梁・高架橋の切断等に採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明装置の一例を示す平面図
【図2】本発明装置の一例を示す側面図
【図3】本発明方法置の一例を示す略線図
【図4】本発明方法置の他の例を示す略線図
【図5】本発明方法置の他の例を示す略線図
【符号の説明】
【0039】
10 ブラケット
22 油圧モータ
24 メインガイドシーブ
40 ワイヤソー
50 バックホー
51 ブーム
52 アーム
60 被切削体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用端側にワイヤソー駆動装置を取り付けたことを特徴とするワイヤソー切断装置。
【請求項2】
旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けたワイヤソー切断装置において、
アーム先端に取り外し可能にワイヤソー駆動装置を設けた基台を取り付け、基台とアーム先端とは直交及び又は任意の角度に軸芯に対し回動転可能に設けてワイヤソー駆動装置のワイヤソーの駆動シーブの回転面を直交及び又は任意に変更可能にしたことを特徴とするワイヤソー切断装置。
【請求項3】
旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けたワイヤソー切断装置において、
アーム先端に取り外し可能にワイヤソー駆動装置を設けた基台を取り付け、基台とアーム先端とは直交及び又は任意の角度に軸芯に対し回動可能に設けてワイヤソー駆動装置のワイヤソーの駆動シーブの回転面を直交及び又は任意に変更可能にし、ワイヤソー駆動装置の駆動源に油圧モータを用い、その油圧源は上記自走機械から取り出すことを特徴とするワイヤソー切断装置。
【請求項4】
旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用端側にワイヤソー駆動装置を取り付けてワイヤソーで被切削体を切断する方法。
【請求項5】
旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側にワイヤソー駆動装置を取り付けてワイヤソーで切断する方法において、
アーム先端に取り外し可能にワイヤソー駆動装置を設けた基台を取り付け、基台とアーム先端とは直交及び又は任意の角度に軸芯に対し回動転可能に設けてワイヤソー駆動装置のワイヤソーの駆動シーブの回転面を直交及び又は任意に変更可能にしたワイヤソー油圧駆動装置を用い、駆動シーブの角度に応じて任意の角度に設定してワイヤソーを駆動し、ワイヤソーが緩んだとき上記ブームアームを運転席から微少に操作して油圧制御してワイヤソーの緩みを解消することを特徴とするワイヤソー切断方法。
【請求項6】
旋回上下左右前後可能なブームアーム等を備えた自走機械のアーム作用側に、ワイヤソー切断装置と円板切断装置とを取替可能に接続すると共に、上記自走機械内の油圧駆動源により夫々の切断装置内の油圧モータを回転駆動するように構成し、回転制御及びブームアームの操作も上記自走機械内の運転席から行うようにしたことを特徴とする切断装置付き自走機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−123331(P2006−123331A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314334(P2004−314334)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(398021951)株式会社渋彰建設 (4)
【Fターム(参考)】