ワイヤレスマイクロフォンシステム
【課題】簡易な構成で第三者の受信機による傍受を抑制することのできるワイヤレスマイクロフォンシステムを提供する。
【解決手段】このシステムは、音声信号とこの音声信号を処理するための付加情報とを含む送信信号を送信するマイクロフォンと、送信信号を受信するとともに同送信信号を付加情報に基づいて音声信号を処理するワイヤレス受信機とを備える。そして、マイクロフォンおよびワイヤレス受信機に予め設定されている通常ユニークワードUWNを用いて通信する通常通信モードと、通常ユニークワードUWNと異なる秘話ユニークワードUWXをマイクロフォンに設定するとともに同秘話ユニークワードUWXをマイクロフォンからワイヤレス受信機に送信する秘話設定モードと、秘話設定モードによりマイクロフォンおよびワイヤレス受信機に設定された秘話ユニークワードUWXを用いて通信する秘話通信モードとを有する。
【解決手段】このシステムは、音声信号とこの音声信号を処理するための付加情報とを含む送信信号を送信するマイクロフォンと、送信信号を受信するとともに同送信信号を付加情報に基づいて音声信号を処理するワイヤレス受信機とを備える。そして、マイクロフォンおよびワイヤレス受信機に予め設定されている通常ユニークワードUWNを用いて通信する通常通信モードと、通常ユニークワードUWNと異なる秘話ユニークワードUWXをマイクロフォンに設定するとともに同秘話ユニークワードUWXをマイクロフォンからワイヤレス受信機に送信する秘話設定モードと、秘話設定モードによりマイクロフォンおよびワイヤレス受信機に設定された秘話ユニークワードUWXを用いて通信する秘話通信モードとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号とこの音声信号を処理するための付加情報とを含む送信信号を送信するマイクロフォンと、送信信号を受信するとともに同送信信号を付加情報に基づいて音声信号を処理するワイヤレス受信機とを備え、マイクロフォンが送信信号を送信するとともにワイヤレス受信機が同送信信号を受信することにより通信するワイヤレスマイクロフォンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記ワイヤレスマイクロフォンシステムに関連する技術として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
同文献の通信装置では、子機と親機との間で、暗号キーとしての拡散符号系列を用いてスペクトラム拡散通信を行う。これにより、干渉性を向上させるとともに信号の秘話性を高めている。子機が使用する拡散符号系列は、子機が親機の載置箇所に置かれて子機の端子と親機のチャージ端子とが接触するときに、親機から子機に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−298362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて無線信号の傍受を抑制する要求が高まっている。例えば、会議などにおいてワイヤレスのマイクロフォンが使われているが、会議内容が外部に漏れることは好ましくないため、このような要求が強い。そこで、マイクロフォンの電波の傍受を抑制するために送信信号を拡散符号系列等により暗号化することが考えられる(特許文献1参照)。しかし、マイクロフォンおよびワイヤレス受信機に、暗号キーを受け渡すための双方向通信装置を付加する必要があり、構造が複雑になる。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で第3の受信機による傍受を抑制することのできるワイヤレスマイクロフォンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、音声信号とこの音声信号を処理するための付加情報とを含む送信信号を送信するマイクロフォンと、前記送信信号を受信するとともに同送信信号を前記付加情報に基づいて前記音声信号を処理するワイヤレス受信機とを備え、前記マイクロフォンが前記送信信号を送信するとともに前記ワイヤレス受信機が同送信信号を受信することにより通信するワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンおよび前記ワイヤレス受信機に予め設定されている前記付加情報としての通常付加情報を用いて通信する通常通信モードと、前記通常付加情報と異なる秘話付加情報を前記マイクロフォンに設定するとともに、この秘話付加情報を前記マイクロフォンから前記ワイヤレス受信機に送信する秘話設定モードと、前記秘話設定モードにより前記マイクロフォンおよび前記ワイヤレス受信機に設定された前記付加情報としての秘話付加情報を用いて通信する秘話通信モードとを有することを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、秘話設定モードにおいて秘話付加情報をマイクロフォンからワイヤレス受信機に送信し、秘話通信モードにおいて秘話付加情報に基づいて通信をする。秘話通信モードのときは、通常通信モードのときに用いる通常付加情報とは異なる秘話付加情報を用いて通信するため、マイクロフォンからの送信信号が第三者のワイヤレス受信機により傍受されることを抑制することができる。また、音声信号を暗号化する技術のように暗号鍵をマイクロフォン側とワイヤレス側で互い交換する構成ではないため、簡易な構成とすることができる。
【0008】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンは、前記通常付加情報を前記音声信号に付加した通常送信信号と、前記秘話付加情報を前記音声信号に付加した秘話送信信号と、前記通常付加情報を前記秘話付加情報に付加した秘話設定送信信号とを送信する送信部を備え、前記ワイヤレス受信機は、前記通常送信信号と、前記秘話送信信号と、前記秘話設定送信信号とを受信する受信部を備え、前記通常通信モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記通常送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記通常送信信号を受信するモードであり、前記秘話設定モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記秘話設定送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記秘話設定送信信号を受信するモードであり、前記秘話通信モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記秘話送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記秘話送信信号を受信するモードであることを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、通常送信信号、秘話送信信号、秘話設定送信信号を個別の送信部により送信するのではなく、1つの送信部を介して送信するため、マイクロフォンの構成を簡略にすることができる。また、より確実に第三者による傍受を防ぐことができる。
【0010】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンは、前記秘話設定モードのとき、前記秘話設定モード開始の後、設定時間にわたって前記秘話設定送信信号を送信するとともに、同秘話設定送信信号に含まれる前記秘話付加情報を保存し、前記秘話通信モードのとき、保存した前記秘話付加情報を用いて前記秘話送信信号を形成し、この秘話送信信号を送信するものであり、前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードのとき、前記マイクロフォンからの前記秘話設定送信信号を受信した場合、同秘話設定送信信号に含まれる前記秘話付加情報を保存し、前記秘話通信モードのとき、保存されている前記秘話付加情報を用いて前記秘話送信信号を処理することを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、ワイヤレス受信機は、マイクロフォンが秘話設定送信信号の送信中において、秘話設定送信信号を受信したとき秘話付加情報を保存する。すなわち、マイクロフォンからの秘話設定送信信号を受信しないときは、ワイヤレス受信機が秘話設定モードのときであっても秘話付加情報を保存する処理を行なわないため、誤信号が秘話付加情報として保存されることを抑制することができる。これにより、より確実に第三者による傍受を防ぐことができる。
【0012】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンは、前記秘話設定モードに設定されるたびに前記秘話付加情報をランダムに形成し、形成された前記秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を形成するものであり、前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードに設定されているとき、前記秘話付加情報の受信に成功するたびに、新たに受信した前記秘話付加情報により保存されている前記秘話付加情報を更新し、同秘話付加情報を用いて、前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を処理することを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、マイクロフォンは、秘話設定モードに設定されるたびに秘話付加情報をランダムに形成して、第三者が秘話付加情報を予測することを困難なものとする。これにより、第三者による傍受をさらに抑制することができる。
【0014】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンは、複数個の前記秘話付加情報を記憶し、前記秘話設定モードに設定されるたびに、複数個の前記秘話付加情報のうちのいずれか1つをランダムに選択して、選択した前記秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を形成するものであり、前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードに設定されているとき、前記秘話付加情報の受信に成功するたびに、新たに受信した前記秘話付加情報により保存されている前記秘話付加情報を更新し、同秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を処理することを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、マイクロフォンは、秘話設定モードに設定されるたびに、記憶された複数個の秘話付加情報のうちからランダムに選択するため、第三者が秘話付加情報を予測することを困難なものとする。これにより、第三者による傍受をさらに抑制することができる。
【0016】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンと前記ワイヤレス受信機とは、それぞれ前記秘話設定モードに設定するための操作部を備え、前記マイクロフォンと前記ワイヤレス受信機とは、それぞれの前記操作部における操作に対応して前記秘話設定モードに設定され、前記ワイヤレス受信機は、前記操作部における操作が継続している間に限り前記秘話設定送信信号を受信することを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、ワイヤレス受信機は、操作部における操作が継続している間に限り秘話設定送信信号を受信する。このため、操作部の操作を中止したときは、秘話設定送信信号の受信を停止することができる。このような秘話設定送信信号の受信期間を短くする操作は次の場合に用いられる。例えば、他のマイクロフォンを用いて、第三者がダミーの秘話付加情報を送信することにより、秘話設定を妨害することが行なうことが考えられる。この場合、操作部の操作期間を短くして、このような妨害を受けることを抑制することができる。これにより、より確実に第三者による傍受を防ぐことができる。
【0018】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記付加情報は、前記音声信号を検出するためのユニークワードであり、前記通常送信信号は、前記通常付加情報としての通常ユニークワードを前記音声信号に付加したものとし、前記秘話送信信号は、前記通常ユニークワードと異なる前記付加情報としての秘話ユニークワードを前記音声信号に付加したものとし、前記秘話設定送信信号は、前記通常ユニークワードを前記秘話ユニークワードに付加したものとすることを要旨とする。
【0019】
この発明によれば、秘話設定モードのとき、マイクロフォンから秘話送信信号を送信することにより、秘話ユニークワードを同マイクロフォンからワイヤレス受信機に受け渡す。そして、秘話通信モードのとき秘話ユニークワードを用いて通信をする。このため、簡易な構成で、マイクロフォンからの送信信号が第三者のワイヤレス受信機により傍受されることを抑制することができる。
【0020】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンは、前記付加情報としての鍵情報により前記音声信号を暗号化して暗号音声信号を形成するとともに、前記鍵情報を前記暗号音声信号に付加して送信するものであり、前記通常送信信号は、前記通常付加情報としての通常鍵情報を前記暗号音声信号に付加したものとし、前記秘話送信信号は、前記通常鍵情報と異なる秘話鍵情報を前記暗号音声信号に付加したものとし、前記秘話設定送信信号は、前記通常鍵情報を前記秘話鍵情報に付加したものとすることを要旨とする。
【0021】
この発明によれば、秘話設定モードのとき、マイクロフォンから秘話送信信号を送信することにより、秘話鍵情報を同マイクロフォンからワイヤレス受信機に受け渡す。そして、秘話通信モードのとき秘話鍵情報を用いて通信をする。このように音声信号を暗号化しているため、マイクロフォンからの送信信号が第三者のワイヤレス受信機により傍受されることをさらに抑制することができる。
【0022】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンの前記秘話設定モードが終了してから送信禁止期間が経過するまでの間は、前記秘話設定モードの実行を禁止することを要旨とする。
【0023】
秘話設定モードの終了後に同設定モードを設定することを許容すると、秘話付加情報を含む送信信号を送信し続けることもできるようになる。この秘話付加情報を傍受する目的で、第三者がワイヤレス受信機を用いることも想定される。第三者はワイヤレス受信機を受信状態として待機することを想定したとき、秘話付加情報を含む送信信号の送信時間を長くすることは、その分だけ、秘話付加情報が傍受されるおそれが高くなる。これに対して、本発明では、秘話設定モードが終了してから送信禁止期間が経過するまでの間は秘話設定モードを実行することを禁止しているため、第三者による秘話付加情報の傍受の機会を少なくすることができる。
【0024】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記ワイヤレス受信機の秘話設定モードが終了してから受信禁止期間が経過するまでの間は、前記秘話設定モードの実行を禁止することを要旨とする。
【0025】
秘話付加情報を傍受することを目的として第三者がこのワイヤレス受信機を用いることを想定する。すると、第三者は、ワイヤレス受信機の秘話設定モードが解除された直後に同設定モードを実行する操作を行い、第三者がワイヤレス受信機を秘話設定モードの状態に維持して待機すると考えられる。このような操作により、秘話付加情報が傍受されるおそれが生じる。この点、本発明では、秘話設定モードが終了してから受信禁止期間が経過するまで秘話設定モードを設定することを禁止する。このため、秘話設定モードを連続して維持することが困難となるため、秘話付加情報が傍受されることを抑制することができる。
【0026】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記ワイヤレス受信機が、前記秘話設定モードで、前記マイクロフォンからの送信信号を受信しない非受信回数が設定回数連続して発生したとき、前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作を無効とすることを要旨とする。
【0027】
マイクロフォンの秘話設定モードのときにワイヤレス受信機を秘話設定モードにすればマイクロフォンからの送信信号を受信することができるため、正規の使用者であれば、ワイヤレス受信機を同設定モードにする操作は通常1回で済む。そうすると、マイクロフォンからの送信信号の非受信が連続して発生しているときは、通常の操作を行っていないと推定することができる。すなわち、第三者が傍受を目的としてワイヤレス受信機を使用している可能性が大きいと予測される。このような点を考慮して、本発明では、マイクロフォンからの送信信号を受信しないことが設定回数連続して発生したとき、秘話設定モードとする操作を無効とする。これにより、第三者がワイヤレス受信機を使用し続けることが困難となるため、マイクロフォンからの送信信号が傍受されることを抑制することができる。
【0028】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作が設定時間内に設定回数行われたとき、その後に行われる前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作を無効とすることを要旨とする。
【0029】
第三者がワイヤレス受信機を用いて秘話付加情報を傍受することを意図したとき、ワイヤレス受信機を秘話設定モードの状態に維持するために、秘話設定モードにする操作を連続して行うことが考えられる。これに対して、本発明では、秘話設定モードとする操作を連続して行ったときその後に行われる操作を無効とする。これにより、秘話設定モードにする操作を連続して行うことを困難なものとすることができるため、秘話付加情報が傍受されることを抑制することができる。
【0030】
(13)請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンが前記秘話設定モードのとき、かつ前記ワイヤレス受信機の受信する受信信号が基準受信レベルよりも小さいとき、前記受信信号の処理を行わないことを要旨とする。
【0031】
第三者が秘話付加情報を傍受するとき、正規の使用者のマイクロフォンから正規のワイヤレス受信機までの距離よりも遠いところで傍受すると考えられる。すなわち通常の操作により秘話設定モードに設定する場合と比較して、傍受するために用いられているワイヤレス受信機の受信レベルは小さいと考えられる。このような事情を考慮し、本発明では、ワイヤレス受信機の受信する受信信号が基準受信レベルよりも小さいとき、受信信号の処理を行わない。これにより、第三者がワイヤレス受信機を用いて秘話付加情報を傍受することを困難にすることができる。
【0032】
(14)請求項14に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンが、前記秘話設定モードにおいて送信信号を送信するときの電波強度を、前記通常通信モードにおいて送信信号を送信するときの電波強度よりも小さくすることを要旨とする。
【0033】
この発明によれば、秘話設定モードにおける送信信号の到達距離が、通常通信モードにおける送信信号の到達距離よりも短くなる。これにより、第三者がワイヤレス受信機により秘話ユニークワードを含む送信信号を受信することを困難とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステムについて、その概略構成を示す模式図。
【図2】同実施形態のマイクロフォンについて、その内部構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態のワイヤレス受信機について、その内部構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態のマイクロフォンにより送信される送信信号の信号形式を示す模式図。
【図5】同実施形態の通常通信モード、秘話設定モードおよび秘話通信モードについて、マイクロフォンおよびワイヤレス受信機のユニークワードの関係を示すテーブル。
【図6】同実施形態のワイヤレス受信機において実行される「送信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【図7】同実施形態のワイヤレス受信機において実行される「受信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【図8】同実施形態のマイクロフォンの送信状態とワイヤレス受信機の受信状態との関係を示すタイミングチャート。
【図9】本発明の第2実施形態のマイクロフォンにおいて実行される「送信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【図10】本発明の第3実施形態のワイヤレス受信機において実行される「受信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の第4実施形態のワイヤレス受信機において実行される「受信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【図12】同実施形態のマイクロフォンの送信状態とワイヤレス受信機の受信状態との関係を示すタイミングチャート。
【図13】本発明の第5実施形態のワイヤレス受信機において実行される「受信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、ワイヤレスマイクロフォンシステム1は、送信信号SAを送信する送信システム2と、送信信号SAを受信する受信システム3とを備える。
【0036】
送信システム2は、複数本のマイクロフォン10から構成されている。マイクロフォン10は、音声信号を通常の方法で送信する通常通信モードMDAと、第三者に再生されにくい信号にして音声信号を送信する秘話通信モードMDCと、秘話通信モードMDCにより通信を可能とするための設定を行う秘話設定モードMDBとを有する。
【0037】
受信システム3は、マイクロフォン10からの送信信号SAを受信するワイヤレスアンテナ4と、同アンテナ4からの信号を混合する混合器5と、混合器5からの信号を復調するワイヤレス受信機30と、ワイヤレス受信機30からの信号を混成するミキサ6と、ミキサ6からの信号を増幅するアンプ7と、アンプ信号を再生するスピーカ8と備える。なお、ワイヤレス受信機30は、マイクロフォン10の各モードに対応する通常通信モードMDAと、秘話通信モードMDCと、秘話設定モードMDBとを有する。
【0038】
マイクロフォン10および受信システム3は複数のチャンネルを有する。送信システム2のチャンネル構成と受信システム3のチャンネル構成は一致し、送信システム2のチャンネルと受信システム3のチャンネルとは1対1に対応する。マイクロフォン10の送信信号SAを受信システム3により受信するには、両者の使用するチャンネルを同じものに設定する。複数のマイクロフォン10を使用するときは、複数のチャンネルが同時に使用される。
【0039】
マイクロフォン10は、音声を検出するヘッド部11と、各種設定を行う操作部12と、ヘッド部11からの信号および設定されたチャンネルに基づいて送信信号SAを形成する信号処理部13と、この信号処理部13により形成された送信信号SAを送信する送信部14とを備える。送信信号SAは、音声デジタル信号SD(音声信号)と、ワイヤレス受信機30が音声デジタル信号SDの位置を同定するために用いるユニークワードUWとを含む。
【0040】
操作部12には、送信チャンネルCHXを設定する送信チャンネル設定部12Aと、通常通信モードMDAおよび秘話通信モードMDCおよび秘話設定モードMDBを切り替える切替スイッチ12Bとが設けられている。
【0041】
図2に示すように、信号処理部13には、ヘッド部11からの信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路21と、A/D変換回路21により形成されたデジタル信号に基づいて中間送信信号SCを形成する信号形成部22と、中間送信信号SCを増幅して送信信号SAを形成する増幅回路23とが設けられている。さらに、信号処理部13には、ユニークワードUWを形成する演算部27と、ユニークワードUWを記憶する記憶部28とが設けられている。記憶部28には、通常通信モードMDAで用いられるユニークワード(以下、「通常ユニークワードUWN」)が記憶されている。
【0042】
信号形成部22には、A/D変換回路21の信号を所定規格に準拠した信号に変換するとともに変換後の信号にユニークワードUWを付加する信号処理回路24と、信号処理回路24の信号をFM変調するFM変調回路25と、FM変調信号とキャリア周波数とに基づいて中間送信信号SCを形成する中間信号形成回路26とが設けられている。
【0043】
中間信号形成回路26には、PLL回路(位相同期ループ回路)が設けられている。PLL回路は、FM変調回路25により変調された信号とキャリア周波数とに基づいて安定した中間送信信号SCを形成する。キャリア周波数としては、操作部12により設定された送信チャンネルCHXに対応する周波数が用いられる。送信チャンネルCHXの設定の変更によりキャリア周波数が変更される。
【0044】
演算部27は、上記モードが切り替えられたとき、各モードに対応するユニークワードUWを信号処理回路24に与える。これにより、信号処理回路24に各モードに対応した形式の信号を形成させる。また、秘話設定モードMDBのとき、演算部27は乱数を形成して新たなユニークワード(以下、「秘話ユニークワードUWX」)を形成し、これを記憶部28に保存する。また、秘話設定モードMDBのとき、演算部27は増幅回路23のゲインを通常通信モードMDAのときのゲインよりも低い値に設定する。これにより、演算部27は、秘話設定モードMDBのときの電波強度を通常通信モードMDA時の電波強度よりも小さくする。
【0045】
図3を参照して、ワイヤレス受信機30について説明する。
ワイヤレス受信機30は、受信チャンネルCHYを設定する操作部40と、各受信チャンネルCHYに対応して設けられた受信部50とを備える。なお、ワイヤレス受信機30は、複数の受信ユニットの組み合わせにより構成されている。
【0046】
操作部40は、ワイヤレス受信機30の本体部の正面部に設けられている(図1参照)。操作部40には、受信チャンネルCHYを設定するための受信チャンネル設定部41と、通常通信モードMDA、秘話通信モードMDC、および秘話設定モードMDBを切り替える切替スイッチ42と、受信結果を表示する表示部45と、秘話設定モードMDBのときに受信部50を受信状態とする受信ボタン46とが設けられている。
【0047】
受信チャンネル設定部41には、受信グループGRを設定する第1受信設定部43と、グループ内の特定の受信チャンネルCHYを設定する第2受信設定部44とが設けられている。第1受信設定部43には、受信グループGRを選択する第1選択ボタン43Aと、選択された受信グループGRを表示するグループ表示部43Bとが設けられている。第2受信設定部44は、受信チャンネルCHYを選択する第2選択ボタン44Aと、選択された受信チャンネルCHYを表示するチャンネル表示部44Bとが設けられている。
【0048】
図3に示すように、受信部50は、混合器5からの信号を復調する復調器51と、復調器51からの復元信号SBからユニークワードUWを検出するUW検出部52と、復元信号SBを処理して音声デジタル信号SDを取り出す信号処理回路53と、音声デジタル信号SDをアナログ信号に変換するD/A変換回路54とを備える。さらに、受信部50は、操作部40の操作に基づいて信号処理回路53に指令を出す演算部55と、演算部55からの信号を記憶する記憶部56とを備える。記憶部56には、通常通信モードMDAで用いられる通常ユニークワードUWNが記憶されている。
【0049】
演算部55は、各モードに応じて次の制御を行う。
通常通信モードMDAのとき、演算部55は、同モードで用いられる通常ユニークワードUWNを記憶部56から読み出し、この通常ユニークワードUWNを信号処理回路53に与える。
【0050】
また、ワイヤレス受信機30が秘話設定モードMDBのとき、送信信号SAから秘話ユニークワードUWXを取り出し、この秘話ユニークワードUWXを記憶部56に保存する。秘話通信モードMDCに設定されたとき、演算部55は、秘話ユニークワードUWXを信号処理回路53に与える。
【0051】
また、ワイヤレス受信機30が秘話通信モードMDCに設定されている場合において、混合器5からの信号(受信信号)が基準受信レベルよりも小さいとき、演算部55は、当該信号の処理を禁止する。
【0052】
信号処理回路53は、UW検出部52により検出されたユニークワードUWと、演算部55から与えられるユニークワードUWとを照合し、その一致度合いを検出する。一致度合いが所定値よりも大きいときは、両者は一致するとみなして、復元信号SBから音声デジタル信号SDを取り出す。一方、一致度合いが所定値以下のとき、両者は一致しないとみなして、復元信号SBから音声デジタル信号SDを取り出さず、音声デジタル信号SDの再生を行わない。
【0053】
表示部45は、秘話設定モードMDBのときに秘話ユニークワードUWXを含む送信信号SA(以下、「秘話設定送信信号SAX」)を受信しなかった旨を表示する。例えば、秘話設定送信信号SAXが受信されなかったときは、赤色に点滅し、秘話設定送信信号SAXが受信されたときは、青色に点灯する。
【0054】
図4を参照して、各モードの送信信号SAの信号形式を説明する。
図4(A)に示すように、通常通信モードMDAのときの送信信号(通常送信信号SAU)は、通常ユニークワードUWNと、音声デジタル信号SDとを含む形式とされる。すなわち、通常送信信号SAUは、ワイヤレス受信機30が通常モードに設定されているとき、ワイヤレス受信機30により受信される。
【0055】
図4(B)に示すように、秘話設定モードMDBのときの送信信号SAすなわち秘話設定送信信号SAXは、通常ユニークワードUWNと、秘話ユニークワードUWXとを含む形式とされる。すなわち、この秘話設定送信信号SAXは、秘話ユニークワードUWXをワイヤレス受信機30に伝えるための信号とされている。
【0056】
図4(C)に示すように、秘話通信モードMDCのときの送信信号SA(秘話送信信号SAY)は、秘話ユニークワードUWXと、音声デジタル信号SDとを含む形式とされる。すなわち、秘話送信信号SAYは、ワイヤレス受信機30に秘話ユニークワードUWXが設定されていなければ、同受信機30により受信されない。
【0057】
図5を参照して、各モードにおける通信状態について説明する。
(A)通常の方法でワイヤレスマイクロフォンシステム1を使うときは、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30を通常通信モードMDAに設定する。このとき、マイクロフォン10とワイヤレス受信機30には、共通の通常ユニークワードUWNが設定されている。このため、マイクロフォン10からの送信信号SAがワイヤレス受信機30により受信される。すなわち、通常ユニークワードUWNに基づいて送信信号SAから音声信号が取り出される。なお、各マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30には、通常ユニークワードUWNがユニークワードUWの初期値として設定されている。
【0058】
(B)マイクロフォン10の送信信号SAが第三者に傍受されることを考慮してワイヤレスマイクロフォンシステム1を使うとき、秘話通信モードMDCとする前に、次の設定作業を行う。すなわち、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBとする。この設定作業を行う時点では、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30には通常ユニークワードUWNが設定されている。つまり、マイクロフォン10からの送信信号SAがワイヤレス受信機30により受信可能となっている。マイクロフォン10から秘話設定送信信号SAXを送信することにより、秘話ユニークワードUWXをワイヤレス受信機30に渡すことができる。
【0059】
(C)マイクロフォン10の送信信号SAが第三者に傍受されることを考慮してワイヤレスマイクロフォンシステム1を使うとき、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30を秘話通信モードMDCに設定する。上記秘話ユニークワードUWXの受け渡しが成功している場合、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30には、共通の秘話ユニークワードUWXが設定されている。このため、マイクロフォン10からの送信信号SAがワイヤレス受信機30により受信され、同秘話ユニークワードUWXに基づいて送信信号SAから音声信号が取り出すことができる。
【0060】
(D)マイクロフォン10のユニークワードUWが秘話ユニークワードUWXに設定される一方、ワイヤレス受信機30のユニークワードUWが通常ユニークワードUWNに設定されているとき、次のようになる。すなわち、両者のユニークワードUWが一致しないため、マイクロフォン10からの送信信号SAから音声デジタル信号SDが取り出されず、送信信号SAが再生されず、音声が出力されない。
【0061】
図6を参照して、マイクロフォン10が実行する「送信秘話設定処理」の手順について説明する。
操作部12の切替スイッチ12Bが秘話設定モードMDBに切り替えられたとき、ステップS110において、マイクロフォン10が秘話設定モードMDBに設定される。このとき、ステップS120において、演算部27が乱数を形成し、この乱数に基づいて秘話ユニークワードUWXを形成する。そして、ステップS130において秘話設定モードMDBに維持されているか否か判定される。同判定において肯定されるとき、ステップS140において、秘話設定送信信号SAXが送信されるとともに、秘話ユニークワードUWXが記憶部28に保存される。なお、記憶部28に保存されている秘話ユニークワードUWXは、送信秘話設定処理の実行のたびに新たに形成される秘話ユニークワードUWXに更新される。
【0062】
そして、ステップS150において、秘話設定送信信号SAXの送信開始からの経過時間TXが設定期間TA(送信設定期間)以下にあるか否か判定され、この判定で肯定判定されたとき、秘話設定送信信号SAXの送信が維持される。一方、ステップS150において否定判定されたとき、すなわち経過時間TXが設定期間TAを超えた旨判定されたとき、「送信秘話設定処理」が終了する。なお、ステップS130において切替スイッチ12Bが秘話設定モードMDBにない旨判定されたときも、「送信秘話設定処理」が終了する。
【0063】
図7を参照して、ワイヤレス受信機30が実行する「受信秘話設定処理」の手順について説明する。
ステップS210において、操作部40の切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられ、かつ受信ボタン46が押されたとき、ワイヤレス受信機30が秘話設定モードMDBに設定される。このとき、ステップS220において、秘話設定送信信号SAXを受信したか否か判定される。この判定が肯定されるとき、ステップS230において秘話設定送信信号SAXから秘話ユニークワードUWXを取り出し、この秘話ユニークワードUWXが記憶部56に保存される。なお、記憶部56に保存される秘話ユニークワードUWXは、受信秘話設定処理の実行において秘話設定送信信号SAXの受信が成功するたびに、受信した秘話ユニークワードUWXに更新される。秘話設定送信信号SAXの受信が成功したか否かは、例えば、秘話設定送信信号SAXの信号強度が閾値レベル以上であるか否かにより判定される。そして、受信秘話設定処理の実行中において秘話設定送信信号SAXの信号強度が閾値レベル未満のとき、秘話ユニークワードUWXとしての処理は実行されない。
【0064】
一方、ステップS220において否定判定されたとき、すなわち秘話設定送信信号SAXを受信しない旨判定されたとき、ステップS240において秘話設定モードMDBに切替スイッチ42が切り替えられたときから起算して経過時間TYが設定期間TB(受信設定期間)以下であるか否か判定される。ステップS240において肯定判定されるとき、すなわち経過時間TYが設定期間TB以下であるとき、秘話設定送信信号SAXを受信する受信状態が維持される。一方、ステップS240において否定判定されるとき、すなわち経過時間TYが設定期間TAを超えた旨判定されたとき、ステップS250において秘話設定送信信号SAXが受信されなかった旨を表示部45に表示する。
【0065】
図8を参照して、秘話設定モードMDBのワイヤレス受信機30が秘話設定送信信号SAXを受信することができる受信可能期間TCについて説明する。
マイクロフォン10において、切替スイッチ12Bが秘話設定モードMDBに切り替えられたとき、設定期間TAにわたって秘話設定送信信号SAXが送信される。一方、ワイヤレス受信機30において、切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられ、かつ受信ボタン46が押されたとき、設定期間TBにわたって秘話設定送信信号SAXを受信することができる受信状態となる。受信状態のときに、秘話設定送信信号SAXを受信したとき、秘話設定送信信号SAXから秘話ユニークワードUWXを取り出し、この秘話ユニークワードUWXを記憶部56に保存する。
【0066】
したがって、実質的にワイヤレス受信機30が秘話設定送信信号SAXを受信することができる受信可能期間TCは、秘話設定送信信号SAXが送信されている期間とワイヤレス受信機30が受信状態となっている期間とが重なっている期間に限られる。
【0067】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、ワイヤレスマイクロフォンシステム1は、通常通信モードMDAと、秘話設定モードMDBと、秘話通信モードMDCとを有する。通常通信モードMDAは、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30に予め設定されている付加情報としての通常ユニークワードUWN(通常付加情報)を用いて通信する。秘話設定モードMDBは、通常ユニークワードUWNと異なる秘話ユニークワードUWX(秘話付加情報)をマイクロフォン10に設定するとともに、秘話ユニークワードUWXをマイクロフォン10からワイヤレス受信機30に送信する。秘話通信モードMDCでは、秘話設定モードMDBによりマイクロフォン10およびワイヤレス受信機30に設定された付加情報としての秘話ユニークワードUWXを用いて通信する。
【0068】
この構成によれば、秘話設定モードMDBにおいて秘話ユニークワードUWXをマイクロフォン10からワイヤレス受信機30に送信し、秘話通信モードMDCにおいて秘話ユニークワードUWXに基づいて通信をする。秘話通信モードMDCのときは、通常通信モードMDAのときに用いる通常ユニークワードUWNとは異なる秘話ユニークワードUWXを用いて通信するため、マイクロフォン10からの送信信号SAが第三者のワイヤレス受信機により傍受されることを抑制することができる。また、音声信号を暗号化する技術のように暗号鍵をマイクロフォン側とワイヤレス側で互い交換する構成ではないため、簡易な構成とすることができる。
【0069】
(2)本実施形態では、マイクロフォン10は、通常ユニークワードUWNを音声信号に付加した通常送信信号SAUと、秘話ユニークワードUWXを音声信号に付加した秘話送信信号SAYと、通常ユニークワードUWNを秘話ユニークワードUWXに付加した秘話設定送信信号SAXとを送信する送信部14を備えている。ワイヤレス受信機30は、通常送信信号SAUと、秘話送信信号SAYと、秘話設定送信信号SAXとを受信する受信部50を備えている。
【0070】
そして、通常通信モードMDAでは、マイクロフォン10が送信部14を通じて通常送信信号SAUを送信するとともに、ワイヤレス受信機30が受信部50で通常送信信号SAUを受信する。秘話設定モードMDBでは、マイクロフォン10が秘話設定送信信号SAXを送信するとともに、ワイヤレス受信機30が受信部50で秘話設定送信信号SAXを受信する。秘話通信モードMDCでは、マイクロフォン10が送信部14を通じて秘話送信信号SAYを送信するとともに、ワイヤレス受信機30が受信部50で秘話送信信号SAYを受信する。
【0071】
この構成によれば、通常送信信号SAU、秘話送信信号SAY、秘話設定送信信号SAXを個別の送信部14により送信するのではなく、1つの送信部14を介して送信するため、マイクロフォン10の構成を簡略にすることができる。
【0072】
(3)本実施形態では、マイクロフォン10は、秘話設定モードMDBのとき、秘話設定モードMDB開始の後、設定時間にわたって秘話設定送信信号SAXを送信するとともに、同秘話設定送信信号SAXに含まれる秘話ユニークワードUWXを保存する。秘話通信モードMDCのとき、保存した秘話ユニークワードUWXを用いて秘話送信信号SAYを形成し、この秘話送信信号SAYを送信する。
【0073】
ワイヤレス受信機30は、秘話設定モードMDBのとき、マイクロフォン10からの秘話設定送信信号SAXを受信した場合、同秘話設定送信信号SAXに含まれる秘話ユニークワードUWXを保存する。そして、秘話通信モードMDCのとき、保存されている秘話ユニークワードUWXを用いて秘話送信信号SAYを処理する。
【0074】
この構成によれば、ワイヤレス受信機30は、マイクロフォン10が秘話設定送信信号SAXの送信中において、秘話設定送信信号SAXを受信したとき秘話ユニークワードUWXを保存する。すなわち、マイクロフォン10からの秘話設定送信信号SAXを受信しないときは、ワイヤレス受信機30が秘話設定モードMDBのときであっても秘話ユニークワードUWXを保存する処理を行なわないため、誤信号が秘話ユニークワードUWXとして保存されることを抑制することができる。
【0075】
(4)本実施形態では、マイクロフォン10は、秘話設定モードMDBに設定されるたびに秘話付加情報をランダムで形成し、形成された秘話ユニークワードUWXを用いて秘話設定送信信号SAXおよび秘話送信信号SAYを形成する。ワイヤレス受信機30は、秘話設定モードMDBに設定されているとき、秘話ユニークワードUWXの受信に成功するたびに、新たに受信した秘話ユニークワードUWXにより、保存されている秘話ユニークワードUWXを更新する。そして、この秘話ユニークワードUWXを用いて秘話設定送信信号SAXおよび秘話送信信号SAYを処理する。
【0076】
この構成によれば、マイクロフォン10は、秘話設定モードMDBに設定されるたびに秘話付加情報をランダムに形成して、第三者が秘話ユニークワードUWXを予測することを困難なものとする。これにより、第三者による傍受をさらに抑制することができる。
【0077】
(5)本実施形態では、通常通信モードMDAと秘話通信モードMDCとを区別して通信可能とする付加情報として、音声信号を検出するためのユニークワードUWを用いている。そして、通常送信信号SAUは、通常付加情報としての通常ユニークワードUWNを音声信号に付加したものとしている。秘話送信信号SAYは、通常ユニークワードUWNと異なる付加情報としての秘話ユニークワードUWXを音声信号に付加したものとしている。秘話設定送信信号SAXは、通常ユニークワードUWNを秘話ユニークワードUWXに付加したものとしている。
【0078】
この構成によれば、秘話設定モードMDBのとき、マイクロフォン10から秘話送信信号SAYを送信することにより、秘話ユニークワードUWXを同マイクロフォン10からワイヤレス受信機30に受け渡す。そして、秘話通信モードMDCのとき秘話ユニークワードUWXを用いて通信をする。このため、簡易な構成で、マイクロフォン10からの送信信号が第三者のワイヤレス受信機により傍受されることを抑制することができる。
【0079】
(6)本実施形態では、マイクロフォン10が秘話設定モードMDBのとき、かつワイヤレス受信機30の受信する受信信号が基準受信レベルよりも小さいとき、受信信号の処理を行わない。
【0080】
第三者が秘話ユニークワードUWX(秘話付加情報)を傍受するとき、正規の使用者のマイクロフォン10から正規のワイヤレス受信機30までの距離よりも遠いところで傍受すると考えられる。すなわち、通常の操作により秘話設定モードMDBに設定する場合と比較して、傍受するために用いられているワイヤレス受信機30の受信レベルは小さいと考えられる。このような事情を考慮して、上記構成では、ワイヤレス受信機30の受信する受信信号が基準受信レベルよりも小さいとき、受信信号の処理を行わない。これにより、第三者がワイヤレス受信機30を用いて秘話ユニークワードUWXを傍受することを困難にすることができる。
【0081】
(7)本実施形態では、マイクロフォン10が秘話設定モードMDBにおいて秘話設定送信信号SAXを送信するときの電波強度を、通常通信モードMDAにおいて通常送信信号SAUを送信するときの電波強度よりも小さくする。
【0082】
この構成によれば、秘話ユニークワードUWXを含む秘話設定送信信号SAXの到達距離が、通常ユニークワードUWNを含む通常送信信号SAUの到達距離よりも短くなる。このため、第三者がワイヤレス受信機30により秘話ユニークワードUWXを傍受することを困難とすることができる。
【0083】
(第2実施形態)
図9を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステム1は、第1実施形態の構成に対して次の変更を加えたものとなっている。すなわち、第1実施形態では、マイクロフォン10において切替スイッチ12Bを秘話設定モードMDBに切り替えたときから起算して設定期間TAの経過後に、秘話設定送信信号SAXの送信が停止される。この直後、秘話設定送信信号SAXの再送信を行うときは、切替スイッチ12Bを一旦通常通信モードMDAに変更し次いで秘話設定モードMDBに戻すことにより、再送信することができる。すなわち、秘話設定モードMDBを連続して繰り返すことができる。しかし、このような操作を許容すると、仮に第三者がワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBにして待機する場合、秘話設定送信信号SAXを受信する可能性が増大する。このような点を考慮し、本実施形態では、マイクロフォン10について、秘話設定送信信号SAXを連続して送信することができないように制御している。以下、この変更にともない生じる前記第1実施形態の構成からの詳細な変更について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0084】
操作部12の切替スイッチ12Bが秘話設定モードMDBに切り替えられたとき、ステップS310において秘話設定送信信号SAXの送信が禁止されている期間(以下、「送信禁止期間TD」)にあるか否か判定される。この判定が肯定されるときは、「送信秘話設定処理」が終了する。
【0085】
ステップS310において否定判定されるとき、すなわち送信禁止期間TD以外のとき、ステップS320〜ステップS360の処理が行われる。この一連のステップは、第1実施形態のステップS110〜ステップS150の処理と同様であり、設定期間TAにわたって秘話設定送信信号SAXが送信される。そして、ステップS360において、否定判定すなわち経過時間TXが設定期間TAを超えた旨判定されたとき、またはステップS340において否定判定されたときすなわち秘話設定モードMDBにないとき、送信禁止期間TDが開始される。すなわち、この後、切替スイッチ12Bを一旦通常通信モードMDAに変更し次いで秘話設定モードMDBに戻す操作を行っても、送信禁止期間TDが経過するまでは、「送信秘話設定処理」が実行されない。
【0086】
本実施形態によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜前記(3)および前記(5)および前記(9)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(6)本実施形態では、マイクロフォン10の秘話設定モードMDBが終了してから送信禁止期間TDが経過するまでの間は、秘話設定モードMDBの実行を禁止する。
【0087】
秘話設定モードMDBの終了後に同設定モードを設定することを許容すると、秘話ユニークワードUWX(秘話付加情報)を含む秘話設定送信信号SAXを送信し続けることもできるようになる。仮に、秘話ユニークワードUWXを傍受する目的で、第三者がワイヤレス受信機30を用いることを想定する。この場合、第三者は、ワイヤレス受信機30を受信状態として待機すると考えられる。すると、秘話ユニークワードUWXの送信時間を長くすることは、その分だけ、第三者が秘話ユニークワードUWXを傍受する可能性が高くなる。これに対して、上記構成では、秘話設定モードMDBが終了してから送信禁止期間TDが経過するまでの間は秘話設定モードMDBを実行することを禁止しているため、仮に第三者が傍受の目的でワイヤレス受信機30を受信状態にして待機している場合でも、第三者による秘話ユニークワードUWXの傍受の機会を少なくすることができる。
【0088】
(第3実施形態)
図10を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステム1は、第1実施形態の構成に対して次の変更を加えたものとなっている。すなわち、第1実施形態では、ワイヤレス受信機30において切替スイッチ42を秘話設定モードMDBに切り替え、かつ受信ボタン46を押したとき、秘話設定モードMDBとなる。そして、受信ボタン46を押したときから起算して設定期間TAが経過したとき秘話設定モードMDBが終了する。この直後、秘話設定送信信号SAXの再受信を行うときは、受信ボタン46を押すことにより、ワイヤレス受信機30を再び受信状態とすることができる。すなわち、秘話設定モードMDBを連続して繰り返すことができる。しかし、このような操作を許容すると、マイクロフォン10から送信される秘話ユニークワードUWXを取得するために第三者がワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBの状態を維持するとき、秘話ユニークワードUWXが第三者に取得されるおそれがある。このような点を考慮し、本実施形態では、ワイヤレス受信機30について秘話設定送信信号SAXを連続して受信することができない制御を行っている。以下、この変更にともない生じる前記第1実施形態の構成からの詳細な変更について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0089】
操作部40の切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられ、かつ受信ボタン46が押されたとき、ステップS410において秘話設定送信信号SAXの受信が禁止されている期間(以下、「受信禁止期間TE」)にあるか否かが判定される。この判定が肯定されるときは、「受信秘話設定処理」が終了する。
【0090】
ステップS410において否定判定されるとき、すなわち送信禁止期間TD以外のときは、ステップS420〜ステップS460の処理が行われる。この一連のステップは、第1実施形態のステップS210〜ステップS250の処理と同様である。すなわち、秘話設定送信信号SAXの受信処理が行われる。そして、ステップS460において秘話設定送信信号SAXが受信されなかった旨が表示部45に表示されたとき、またはステップS440において秘話ユニークワードUWXが保存されたとき、ステップS470において受信禁止期間TEが開始される。すなわち、この後、受信ボタン46が押されても、受信禁止期間TEが経過するまでは、「受信秘話設定処理」が実行されない。
【0091】
本実施形態によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜前記(3)および前記(5)および前記(9)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(7)本実施形態では、ワイヤレス受信機30の秘話設定モードMDBが終了してから受信禁止期間TEが経過するまでの間は、秘話設定モードMDBの実行を禁止する。
【0092】
秘話ユニークワードUWX(秘話付加情報)を傍受することを目的として第三者がこのワイヤレス受信機30を用いることを想定する。すると、第三者は、ワイヤレス受信機30の秘話設定モードMDBが解除された直後に同設定モードを実行する操作を行い、第三者がワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBの状態に維持して待機すると考えられる。このような操作により、秘話ユニークワードUWXが傍受されるおそれが生じる。この点、上記構成では、秘話設定モードMDBが終了してから受信禁止期間TEが経過するまで秘話設定モードMDBを設定することを禁止する。このため、秘話設定モードMDBを連続して維持することが困難となるため、秘話ユニークワードUWXが傍受されることを抑制することができる。
【0093】
(第4実施形態)
図11および図12を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステム1は、第1実施形態の構成に対して次の変更を加えたものとなっている。すなわち、第1実施形態では、ワイヤレス受信機30において切替スイッチ42を秘話設定モードMDBに切り替え、かつ受信ボタン46を押したとき、秘話設定モードMDBとなる。また、受信ボタン46を押したときから設定期間TAが経過したときに秘話設定モードMDBが終了する。仮に、秘話設定送信信号SAXの受信を失敗したときは、受信ボタン46を押すことにより、ワイヤレス受信機30を再び受信状態とすることができる。しかし、このような操作を制限なく許容すると、マイクロフォン10から送信される秘話ユニークワードUWXを取得するために第三者がワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBの設定を繰り返したとき、秘話設定送信信号SAXを第三者に取得されるおそれが高くなる。このような点を考慮し、本実施形態では、秘話設定送信信号SAXの受信の失敗(非受信)が所定回数以上繰り返されたとき、その後、秘話設定モードMDBに設定することができない制御を行っている。以下、この変更にともない生じる前記第1実施形態の構成からの詳細な変更について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0094】
操作部40の切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられ、かつ受信ボタン46が押されたとき、ステップS510において、処理時前までにおいて秘話設定送信信号SAXを受信することができなかった回数(以下、「非受信回数KX」)が設定回数KAよりも小さいか否か判定される。この判定が否定されるときは、「受信秘話設定処理」が終了する。なお、秘話設定送信信号SAXを受信することができなかった回数は、後述するステップS570の工程によりカウントされる。
【0095】
ステップS510において肯定判定されるとき、すなわち非受信回数KXが設定回数KAよりも小さいとき、ステップS520〜ステップS560の処理が行われる。この一連のステップは、第1実施形態のステップS210〜ステップS250の処理と同様である。そして、ステップS560において秘話設定送信信号SAXが受信されなかった旨を表示部45に表示する処理がされたとき、非受信回数KXに1を加算する。
【0096】
図12を参照して、非受信回数KXに基づいて秘話設定モードMDBの設定を禁止する処理を行わない場合と、非受信回数KXに基づいて秘話設定モードMDBの設定を禁止する処理を行う場合とを比較して、受信可能期間TCが形成される頻度について説明する。
【0097】
図12(A)は、非受信回数KXに関係なく秘話設定モードMDBの設定を禁止しない場合において、受信ボタン46を繰り返し押して秘話設定モードMDBの設定を繰り返したとき、偶然に、マイクロフォン10の秘話設定送信信号SAXの送信期間とワイヤレス受信機30の受信期間とが重なった状態を示す。
【0098】
第三者が秘話設定送信信号SAXを受信しようとするとき、秘話設定モードMDBの設定を繰り返す。例えば、同図に示されるように、受信ボタン46を繰り返し押すことにより、ワイヤレス受信機30を断続的に受信状態とする。これにより、マイクロフォン10の秘話設定送信信号SAXの送信期間とワイヤレス受信機30の受信期間とが重なる機会(受信可能期間TC)を増える。同図の場合、受信ボタン46を押すことを4回行ったとき、受信可能期間TCが設けられたことを示している。
【0099】
図12(B)は、非受信回数KXが3回を超えたときに秘話設定モードMDBの設定を禁止する場合において、受信ボタン46を断続的に押して、秘話設定モードMDBの設定を繰り返したとき、マイクロフォン10の秘話設定送信信号SAXの送信期間とワイヤレス受信機30の受信期間とが重なる期間(受信可能期間TC)が回避されたことを示す。
【0100】
第三者が秘話設定送信信号SAXを受信しようとするとき、秘話設定モードMDBの設定を繰り返す。例えば、同図に示されるように、受信ボタン46を繰り返し押すことにより、ワイヤレス受信機30を断続的に受信状態とする。しかし、同図では、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBにすることを3回行って、このうち秘話設定送信信号SAXを受信することを3回非受信となっているため、その後、秘話設定モードMDBに設定することが禁止される。このため、この後に行われた受信ボタン46の押す操作は無効とされて、ワイヤレス受信機30が秘話設定モードMDBにならない。このため、その後、秘話設定送信信号SAXが送信されたとしても、ワイヤレス受信機30により受信されない。
【0101】
本実施形態によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜前記(3)および前記(5)および前記(9)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(8)本実施形態では、秘話設定送信信号SAXを受信しない非受信の回数(非受信回数KX)が設定回数KA連続して発生したとき、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBとする操作を無効とする。
【0102】
マイクロフォン10の秘話設定モードMDBのときにワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBにすれば秘話設定送信信号SAXを受信することができるため、正規の使用者であれば、ワイヤレス受信機30を同設定モードにする操作は通常1回で済む。そうすると、秘話ユニークワードUWXを受信しない非受信が連続して発生しているときは、通常の操作を行っていないと推定することができる。すなわち、第三者が傍受を目的としてワイヤレス受信機30を使用している可能性が大きいと予測される。このような点を考慮して、上記構成では、秘話設定送信信号SAXを受信しないことが設定回数KA連続して発生したとき、秘話設定モードMDBとする操作を無効とする。これにより、第三者がワイヤレス受信機30を使用し続けることが困難となるため、秘話ユニークワードUWXが傍受されることを抑制することができる。
【0103】
(第5実施形態)
図13を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステム1は、第1実施形態の構成に対して次の変更を加えたものとなっている。すなわち、第1実施形態では、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBにしたときに、受信ボタン46を繰り返し連続して押すことにより、実質的に秘話設定モードMDBを延長することが可能となっている。しかし、このような操作を許容すると、マイクロフォン10から送信される秘話ユニークワードUWXを取得するために第三者がワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBの長時間維持することを可能とする。このため、秘話設定送信信号SAXを第三者に取得されるおそれが高まる。このような点を考慮し、本実施形態では、ワイヤレス受信機30を受信ボタン46の連続して受信ボタン46を押すことにより秘話設定モードMDBの期間が長くなること抑制する制御を行っている。以下、この変更にともない生じる前記第1実施形態の構成からの詳細な変更について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0104】
操作部40の切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられ、受信ボタン46が押されたとき、ステップS610において、同処理の開始時刻が保存され、また、前回の「受信秘話設定処理」の開始からの時間間隔TZを計算する。なお、時間間隔TZは、前回「受信秘話設定処理」の開始時刻と今回「受信秘話設定処理」の開始時刻との差として求められる。
【0105】
ステップS620において時間間隔TZが設定時間TFより小さいか否か判定される。この判定が肯定されるとき、「受信秘話設定処理」が終了する。すなわち、秘話設定送信信号SAXを受信する処理が禁止される。
【0106】
ステップS620において否定判定されるとき、すなわち設定時間TF内に受信ボタン46が連続して押されていないとみなされるとき、ステップS630〜ステップS670の処理が行われる。この一連のステップは、第1実施形態のステップS210〜ステップS250の処理と同様である。
【0107】
本実施形態によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜前記(3)および前記(5)および前記(9)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(9)本実施形態では、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBとする操作が設定時間TF内に2回(設定回数、最初の操作を含む)行われたとき、その後に行われるワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBとする操作を無効とする。
【0108】
第三者がワイヤレス受信機30を用いて秘話ユニークワードUWX(秘話付加情報)を傍受することを意図したとき、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBの状態に維持するために、秘話設定モードMDBにする操作を連続して行うことが考えられる。これに対して、本構成では、秘話設定モードMDBとする操作を連続して行ったときその後に行われる操作を無効とする。これにより、秘話設定モードMDBにする操作を連続して行うことを困難なものとすることができるため、秘話ユニークワードUWXが傍受されることを抑制することができる。
【0109】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0110】
・上記第1実施形態では、秘話設定モードMDBのとき、演算部27は、乱数を形成して新たなユニークワード(以下、「秘話ユニークワードUWX」)を形成する。これに対して、次にように秘話ユニークワードUWXを形成することもできる。
【0111】
具体的には、マイクロフォン10の記憶部28には、複数個の秘話ユニークワードUWXが予め記憶される。そして、マイクロフォン10は、秘話設定モードMDBに設定されるたびに、複数個の秘話ユニークワードUWXのうちのいずれか1つをランダムで選択して、選択した秘話ユニークワードUWXを用いて秘話設定送信信号SAXおよび秘話送信信号SAYを形成する。一方、ワイヤレス受信機30は、秘話設定モードMDBに設定されているとき、秘話ユニークワードUWXの受信に成功するたびに、新たに受信した秘話ユニークワードUWXにより前の秘話ユニークワードUWXを更新する。そして、この秘話ユニークワードUWXを用いて秘話設定送信信号SAXおよび秘話送信信号SAYを処理する。
【0112】
この構成によれば、マイクロフォン10は、秘話設定モードMDBに設定されるたびに、記憶された複数個の秘話ユニークワードUWXのうちからランダムに選択するため、第三者が秘話ユニークワードUWXを予測することを困難なものとする。これにより、第三者による傍受をさらに抑制することができる。
【0113】
・上記第1実施形態では、秘話設定送信信号SAXを送信するときの電波強度を通常通信モードMDA時の電波強度よりも小さくする。一方、このような制御に代えて、秘話設定送信信号SAXを送信するときの電波強度を通常通信モードMDA時の電波強度よりも大きくする、または同じ大きさにすることもできる。この場合には、秘話設定送信信号SAXを送信する期間を短くして、第三者からの秘話設定送信信号SAXが傍受されるおそれのある期間を短くしてもよい。
【0114】
・上記第1実施形態では、受信ボタン46が押されたときに秘話設定モードMDBが開始し、この開始後、設定期間TBを経過したとき秘話設定モードMDBが終了する。すなわち、秘話設定モードMDBが維持される時間は一定期間とされている。一方、このような制御に代えて、マイクロフォン10とワイヤレス受信機30とは、それぞれの操作部12,40における操作に対応して秘話設定モードMDBに設定され、ワイヤレス受信機30は、操作部40における操作が継続している間に限り秘話設定送信信号SAXを受信する。
【0115】
具体的には、受信ボタン46が押されている間は秘話設定モードMDBが維持されるように制御することもできる。このような制御によれば、ワイヤレス受信機30が秘話設定送信信号SAXを受信するまで、秘話設定モードMDBを維持することができるため、使用者の使用の便宜を向上することができる。
【0116】
また、秘話設定モードMDBを維持する期間を長くすることとは逆に、当該期間を短くすることもできる。すなわち、ワイヤレス受信機30は、秘話設定モードMDBのとき、受信ボタン46が押されている間すなわち操作部40で操作されている間に限り、秘話設定送信信号SAXを受信する構成となっているため、操作部40の操作を中止することにより、秘話設定送信信号SAXの受信を停止することができる。
【0117】
このような操作は、次の場合に役立つ。例えば、使用にかかるワイヤレスマイクロフォンシステム1に備え付けていない別のマイクロフォン10を用いて、第三者が同マイクロフォン10を秘話設定モードMDBにしてダミーの秘話設定送信信号SAXを送信することにより、秘話設定を妨害することが行なうことが想定される。しかし、このような妨害操作が行なわれるときでも、ワイヤレス受信機30の操作部40の操作期間を任意に短くすることにより、このような妨害を受けることを抑制することができる。
【0118】
・上記第1実施形態では、傍受対策として、音声信号に付加する付加情報を用いている。すなわち、秘話通信モードMDCにおいて、通常通信モードMDAに使用するユニークワードUWとは異なるユニークワードUWを用いることにより、第三者による傍受を抑制する。一方、このような構成に代えて、音声信号に付加する付加情報としての暗号鍵を、両モード間で変更することにより、第三者による傍受を抑制することもできる。
【0119】
具体的には、(1)通常通信モードMDAでは、音声信号を送信するとき、まず音声信号を通常の暗号鍵(通常鍵情報KEN)により暗号化し、暗号化した音声信号(以下、「暗号音声信号」)に通常鍵情報KENを付加して、通常送信信号SAUとして送信する。通常鍵情報KENは、予めマイクロフォン10およびワイヤレス受信機30に保存しておく。ワイヤレス受信機30が暗号音声信号を受信したとき、同通常鍵情報KENを用いて暗号音声信号を取り出すととともに通常鍵情報KENを用いて暗号音声信号を復号する。
【0120】
(2)秘話設定モードMDBでは、通常鍵情報KENとは異なる暗号鍵情報(以下、「秘話鍵情報KEX」)を形成する。そして、秘話鍵情報KEXを送信するとき、まず秘話鍵情報KEXを通常鍵情報KENにより暗号化して暗号化秘話鍵情報KEXXを形成し、暗号化秘話鍵情報KEXXに通常鍵情報KENを付加して秘話設定送信信号SAXとして送信する。ワイヤレス受信機30が秘話設定送信信号SAXを受信したとき、通常鍵情報KENを用いて暗号化秘話鍵情報KEXXを取り出すととともに、さらに通常鍵情報KENを用いて暗号化秘話鍵情報KEXXを復号して秘話鍵情報KEXを得る。そして、この秘話鍵情報KEXを記憶部56に保存する。
【0121】
(3)秘話通信モードMDCでは、音声信号を送信するときに、まず音声信号を秘話鍵情報KEXにより暗号化し、暗号音声信号に秘話鍵情報KEXを付加して、秘話送信信号SAYとして送信する。ワイヤレス受信機30が秘話送信信号SAYを受信したとき、秘話鍵情報KEXを用いて暗号化した音声信号を取り出すととともに、秘話鍵情報KEXを用いて暗号音声信号を復号する。
【0122】
なお、上記変形例では、(1)通常通信モードMDAにおいて、音声信号を通常鍵情報KENにより暗号化しているが、この暗号化を行なわないで、通常の通信を行なってもよい。
【0123】
上記構成によれば、秘話設定モードMDBのとき、マイクロフォン10から秘話送信信号SAYを送信することにより、秘話鍵情報KEXを同マイクロフォン10からワイヤレス受信機30に受け渡す。そして、秘話通信モードMDCのとき、秘話鍵情報KEXを用いて通信をする。このように、秘話通信モードMDCのとき、音声信号を暗号化し、かつ通常通信モードMDAのときとは異なる秘話鍵情報KEXを用いて通信するため、マイクロフォン10からの送信信号が第三者のワイヤレス受信機により傍受されることをさらに抑制することができる。
【0124】
・上記第2実施形態では、マイクロフォン10について秘話設定送信信号SAXを連続して送信することができないように制御しているが、このような制御に代えて、秘話設定送信信号SAXを連続して送信する操作を所定回数まで許容することもできる。例えば、秘話設定送信信号SAXを送信する操作を3回連続して行うことを許容し、4回以上連続して行うことは禁止する制御を行う。このような制御の場合、仮に使用者の誤操作により、秘話設定送信信号SAXのワイヤレス受信機30による受信が失敗したときでも、その直後に、再度マイクロフォン10から秘話設定送信信号SAXを送信することができる。
【0125】
・上記第3実施形態では、秘話設定モードMDBにおける一連の処理が終了したとき、受信禁止期間TEを開始する。これにより、秘話設定送信信号SAXを連続して受信することができない制御を行っているが、このような制御に代えて、次のような制御を行うことができる。すなわち、「受信秘話設定処理」が実行される都度、受信禁止期間TEを開始する代わりに、「受信秘話設定処理」の実行が所定回数行われたとき、受信禁止期間TEを開始するようにしてもよい。
【0126】
・上記第4実施形態では、秘話設定送信信号SAXの受信の失敗(非受信)が所定回数以上繰り返されたとき、その後、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBに設定することができない制御を行っている。一方、この制御に代えて、秘話設定送信信号SAXの受信の失敗が連続して発生したときに、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBに設定することを禁止してもよい。なお、この場合の受信の失敗の連続とは、第1回目の受信の失敗と、この失敗に続く第2の受信の失敗との間に、受信の成功例がない場合を示す。
【0127】
・上記第5実施形態では、受信ボタン46が押された後、設定時間TF内に再度受信ボタン46が押されたとき、秘話設定モードMDBが終了する。これにより、第三者が連続的に受信ボタン46を押してワイヤレス受信機30の受信状態を延長する行為を抑制する。一方、この制御に代えて、またはこの制御に加えて、切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられたときを起算時として設定時間TF内に、再度切替スイッチ42が秘話設定モードMDBとされる操作が行われたとき、秘話設定モードMDBを終了する制御を行ってもよい。このような制御によれば、秘話設定モードMDBから他のモードに一旦切替、その後、秘話設定モードMDBと変更することにより、秘話設定送信信号SAXを受信する受信状態を維持することを抑制することができる。
【0128】
・上記各実施形態では、音声デジタル信号SDの位置を同定するために用いるユニークワードUWに対して、通常ユニークワードUWNおよび秘話ユニークワードUWXを使い分けている。このような方法に代えて、この種のユニークワードUWとは別に、音声デジタル信号SDに新たなパラメータ(ユニークワード)を設け、このパラメータが第1実施形態の通常ユニークワードUWNおよび秘話ユニークワードUWXに切り替えられる構成とすることもできる。例えば、通常通信モードの送信信号は、通常ユニークワードUWNと新たなユニークワード(以下、「新ユニークワードUWA」)と音声デジタル信号とを含めて構成される。秘話設定モードの送信信号は、通常ユニークワードUWNと新ユニークワードUWAと秘話ユニークワードUWXとを含めて構成される。秘話通信モードの送信信号は、秘話ユニークワードUWXと新ユニークワードUWAと音声デジタル信号とを含めて構成される。なお、ここでの新ユニークワードUWAは、送信信号内の音声デジタル信号や秘話ユニークワードが格納されている位置を同定するために用いられる。
【符号の説明】
【0129】
1…ワイヤレスマイクロフォンシステム、2…送信システム、3…受信システム、4…ワイヤレスアンテナ、5…混合器、6…ミキサ、7…アンプ、8…スピーカ、10…マイクロフォン、11…ヘッド部、12…操作部、12A…送信チャンネル設定部、12B…切替スイッチ、13…信号処理部、14…送信部、21…A/D変換回路、22…信号形成部、23…増幅回路、24…信号処理回路、25…FM変調回路、26…中間信号形成回路、27…演算部、28…記憶部、30…ワイヤレス受信機、40…操作部、41…受信チャンネル設定部、42…切替スイッチ、43…第1受信設定部、43A…第1選択ボタン、43B…グループ表示部、44…第2受信設定部、44A…第2選択ボタン、44B…チャンネル表示部、45…表示部、46…受信ボタン、50…受信部、51…復調器、52…UW検出部、53…信号処理回路、54…D/A変換回路、55…演算部、56…記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号とこの音声信号を処理するための付加情報とを含む送信信号を送信するマイクロフォンと、送信信号を受信するとともに同送信信号を付加情報に基づいて音声信号を処理するワイヤレス受信機とを備え、マイクロフォンが送信信号を送信するとともにワイヤレス受信機が同送信信号を受信することにより通信するワイヤレスマイクロフォンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記ワイヤレスマイクロフォンシステムに関連する技術として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
同文献の通信装置では、子機と親機との間で、暗号キーとしての拡散符号系列を用いてスペクトラム拡散通信を行う。これにより、干渉性を向上させるとともに信号の秘話性を高めている。子機が使用する拡散符号系列は、子機が親機の載置箇所に置かれて子機の端子と親機のチャージ端子とが接触するときに、親機から子機に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−298362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて無線信号の傍受を抑制する要求が高まっている。例えば、会議などにおいてワイヤレスのマイクロフォンが使われているが、会議内容が外部に漏れることは好ましくないため、このような要求が強い。そこで、マイクロフォンの電波の傍受を抑制するために送信信号を拡散符号系列等により暗号化することが考えられる(特許文献1参照)。しかし、マイクロフォンおよびワイヤレス受信機に、暗号キーを受け渡すための双方向通信装置を付加する必要があり、構造が複雑になる。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で第3の受信機による傍受を抑制することのできるワイヤレスマイクロフォンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、音声信号とこの音声信号を処理するための付加情報とを含む送信信号を送信するマイクロフォンと、前記送信信号を受信するとともに同送信信号を前記付加情報に基づいて前記音声信号を処理するワイヤレス受信機とを備え、前記マイクロフォンが前記送信信号を送信するとともに前記ワイヤレス受信機が同送信信号を受信することにより通信するワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンおよび前記ワイヤレス受信機に予め設定されている前記付加情報としての通常付加情報を用いて通信する通常通信モードと、前記通常付加情報と異なる秘話付加情報を前記マイクロフォンに設定するとともに、この秘話付加情報を前記マイクロフォンから前記ワイヤレス受信機に送信する秘話設定モードと、前記秘話設定モードにより前記マイクロフォンおよび前記ワイヤレス受信機に設定された前記付加情報としての秘話付加情報を用いて通信する秘話通信モードとを有することを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、秘話設定モードにおいて秘話付加情報をマイクロフォンからワイヤレス受信機に送信し、秘話通信モードにおいて秘話付加情報に基づいて通信をする。秘話通信モードのときは、通常通信モードのときに用いる通常付加情報とは異なる秘話付加情報を用いて通信するため、マイクロフォンからの送信信号が第三者のワイヤレス受信機により傍受されることを抑制することができる。また、音声信号を暗号化する技術のように暗号鍵をマイクロフォン側とワイヤレス側で互い交換する構成ではないため、簡易な構成とすることができる。
【0008】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンは、前記通常付加情報を前記音声信号に付加した通常送信信号と、前記秘話付加情報を前記音声信号に付加した秘話送信信号と、前記通常付加情報を前記秘話付加情報に付加した秘話設定送信信号とを送信する送信部を備え、前記ワイヤレス受信機は、前記通常送信信号と、前記秘話送信信号と、前記秘話設定送信信号とを受信する受信部を備え、前記通常通信モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記通常送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記通常送信信号を受信するモードであり、前記秘話設定モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記秘話設定送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記秘話設定送信信号を受信するモードであり、前記秘話通信モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記秘話送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記秘話送信信号を受信するモードであることを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、通常送信信号、秘話送信信号、秘話設定送信信号を個別の送信部により送信するのではなく、1つの送信部を介して送信するため、マイクロフォンの構成を簡略にすることができる。また、より確実に第三者による傍受を防ぐことができる。
【0010】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンは、前記秘話設定モードのとき、前記秘話設定モード開始の後、設定時間にわたって前記秘話設定送信信号を送信するとともに、同秘話設定送信信号に含まれる前記秘話付加情報を保存し、前記秘話通信モードのとき、保存した前記秘話付加情報を用いて前記秘話送信信号を形成し、この秘話送信信号を送信するものであり、前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードのとき、前記マイクロフォンからの前記秘話設定送信信号を受信した場合、同秘話設定送信信号に含まれる前記秘話付加情報を保存し、前記秘話通信モードのとき、保存されている前記秘話付加情報を用いて前記秘話送信信号を処理することを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、ワイヤレス受信機は、マイクロフォンが秘話設定送信信号の送信中において、秘話設定送信信号を受信したとき秘話付加情報を保存する。すなわち、マイクロフォンからの秘話設定送信信号を受信しないときは、ワイヤレス受信機が秘話設定モードのときであっても秘話付加情報を保存する処理を行なわないため、誤信号が秘話付加情報として保存されることを抑制することができる。これにより、より確実に第三者による傍受を防ぐことができる。
【0012】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンは、前記秘話設定モードに設定されるたびに前記秘話付加情報をランダムに形成し、形成された前記秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を形成するものであり、前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードに設定されているとき、前記秘話付加情報の受信に成功するたびに、新たに受信した前記秘話付加情報により保存されている前記秘話付加情報を更新し、同秘話付加情報を用いて、前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を処理することを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、マイクロフォンは、秘話設定モードに設定されるたびに秘話付加情報をランダムに形成して、第三者が秘話付加情報を予測することを困難なものとする。これにより、第三者による傍受をさらに抑制することができる。
【0014】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンは、複数個の前記秘話付加情報を記憶し、前記秘話設定モードに設定されるたびに、複数個の前記秘話付加情報のうちのいずれか1つをランダムに選択して、選択した前記秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を形成するものであり、前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードに設定されているとき、前記秘話付加情報の受信に成功するたびに、新たに受信した前記秘話付加情報により保存されている前記秘話付加情報を更新し、同秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を処理することを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、マイクロフォンは、秘話設定モードに設定されるたびに、記憶された複数個の秘話付加情報のうちからランダムに選択するため、第三者が秘話付加情報を予測することを困難なものとする。これにより、第三者による傍受をさらに抑制することができる。
【0016】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンと前記ワイヤレス受信機とは、それぞれ前記秘話設定モードに設定するための操作部を備え、前記マイクロフォンと前記ワイヤレス受信機とは、それぞれの前記操作部における操作に対応して前記秘話設定モードに設定され、前記ワイヤレス受信機は、前記操作部における操作が継続している間に限り前記秘話設定送信信号を受信することを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、ワイヤレス受信機は、操作部における操作が継続している間に限り秘話設定送信信号を受信する。このため、操作部の操作を中止したときは、秘話設定送信信号の受信を停止することができる。このような秘話設定送信信号の受信期間を短くする操作は次の場合に用いられる。例えば、他のマイクロフォンを用いて、第三者がダミーの秘話付加情報を送信することにより、秘話設定を妨害することが行なうことが考えられる。この場合、操作部の操作期間を短くして、このような妨害を受けることを抑制することができる。これにより、より確実に第三者による傍受を防ぐことができる。
【0018】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記付加情報は、前記音声信号を検出するためのユニークワードであり、前記通常送信信号は、前記通常付加情報としての通常ユニークワードを前記音声信号に付加したものとし、前記秘話送信信号は、前記通常ユニークワードと異なる前記付加情報としての秘話ユニークワードを前記音声信号に付加したものとし、前記秘話設定送信信号は、前記通常ユニークワードを前記秘話ユニークワードに付加したものとすることを要旨とする。
【0019】
この発明によれば、秘話設定モードのとき、マイクロフォンから秘話送信信号を送信することにより、秘話ユニークワードを同マイクロフォンからワイヤレス受信機に受け渡す。そして、秘話通信モードのとき秘話ユニークワードを用いて通信をする。このため、簡易な構成で、マイクロフォンからの送信信号が第三者のワイヤレス受信機により傍受されることを抑制することができる。
【0020】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンは、前記付加情報としての鍵情報により前記音声信号を暗号化して暗号音声信号を形成するとともに、前記鍵情報を前記暗号音声信号に付加して送信するものであり、前記通常送信信号は、前記通常付加情報としての通常鍵情報を前記暗号音声信号に付加したものとし、前記秘話送信信号は、前記通常鍵情報と異なる秘話鍵情報を前記暗号音声信号に付加したものとし、前記秘話設定送信信号は、前記通常鍵情報を前記秘話鍵情報に付加したものとすることを要旨とする。
【0021】
この発明によれば、秘話設定モードのとき、マイクロフォンから秘話送信信号を送信することにより、秘話鍵情報を同マイクロフォンからワイヤレス受信機に受け渡す。そして、秘話通信モードのとき秘話鍵情報を用いて通信をする。このように音声信号を暗号化しているため、マイクロフォンからの送信信号が第三者のワイヤレス受信機により傍受されることをさらに抑制することができる。
【0022】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンの前記秘話設定モードが終了してから送信禁止期間が経過するまでの間は、前記秘話設定モードの実行を禁止することを要旨とする。
【0023】
秘話設定モードの終了後に同設定モードを設定することを許容すると、秘話付加情報を含む送信信号を送信し続けることもできるようになる。この秘話付加情報を傍受する目的で、第三者がワイヤレス受信機を用いることも想定される。第三者はワイヤレス受信機を受信状態として待機することを想定したとき、秘話付加情報を含む送信信号の送信時間を長くすることは、その分だけ、秘話付加情報が傍受されるおそれが高くなる。これに対して、本発明では、秘話設定モードが終了してから送信禁止期間が経過するまでの間は秘話設定モードを実行することを禁止しているため、第三者による秘話付加情報の傍受の機会を少なくすることができる。
【0024】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記ワイヤレス受信機の秘話設定モードが終了してから受信禁止期間が経過するまでの間は、前記秘話設定モードの実行を禁止することを要旨とする。
【0025】
秘話付加情報を傍受することを目的として第三者がこのワイヤレス受信機を用いることを想定する。すると、第三者は、ワイヤレス受信機の秘話設定モードが解除された直後に同設定モードを実行する操作を行い、第三者がワイヤレス受信機を秘話設定モードの状態に維持して待機すると考えられる。このような操作により、秘話付加情報が傍受されるおそれが生じる。この点、本発明では、秘話設定モードが終了してから受信禁止期間が経過するまで秘話設定モードを設定することを禁止する。このため、秘話設定モードを連続して維持することが困難となるため、秘話付加情報が傍受されることを抑制することができる。
【0026】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記ワイヤレス受信機が、前記秘話設定モードで、前記マイクロフォンからの送信信号を受信しない非受信回数が設定回数連続して発生したとき、前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作を無効とすることを要旨とする。
【0027】
マイクロフォンの秘話設定モードのときにワイヤレス受信機を秘話設定モードにすればマイクロフォンからの送信信号を受信することができるため、正規の使用者であれば、ワイヤレス受信機を同設定モードにする操作は通常1回で済む。そうすると、マイクロフォンからの送信信号の非受信が連続して発生しているときは、通常の操作を行っていないと推定することができる。すなわち、第三者が傍受を目的としてワイヤレス受信機を使用している可能性が大きいと予測される。このような点を考慮して、本発明では、マイクロフォンからの送信信号を受信しないことが設定回数連続して発生したとき、秘話設定モードとする操作を無効とする。これにより、第三者がワイヤレス受信機を使用し続けることが困難となるため、マイクロフォンからの送信信号が傍受されることを抑制することができる。
【0028】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作が設定時間内に設定回数行われたとき、その後に行われる前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作を無効とすることを要旨とする。
【0029】
第三者がワイヤレス受信機を用いて秘話付加情報を傍受することを意図したとき、ワイヤレス受信機を秘話設定モードの状態に維持するために、秘話設定モードにする操作を連続して行うことが考えられる。これに対して、本発明では、秘話設定モードとする操作を連続して行ったときその後に行われる操作を無効とする。これにより、秘話設定モードにする操作を連続して行うことを困難なものとすることができるため、秘話付加情報が傍受されることを抑制することができる。
【0030】
(13)請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンが前記秘話設定モードのとき、かつ前記ワイヤレス受信機の受信する受信信号が基準受信レベルよりも小さいとき、前記受信信号の処理を行わないことを要旨とする。
【0031】
第三者が秘話付加情報を傍受するとき、正規の使用者のマイクロフォンから正規のワイヤレス受信機までの距離よりも遠いところで傍受すると考えられる。すなわち通常の操作により秘話設定モードに設定する場合と比較して、傍受するために用いられているワイヤレス受信機の受信レベルは小さいと考えられる。このような事情を考慮し、本発明では、ワイヤレス受信機の受信する受信信号が基準受信レベルよりも小さいとき、受信信号の処理を行わない。これにより、第三者がワイヤレス受信機を用いて秘話付加情報を傍受することを困難にすることができる。
【0032】
(14)請求項14に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、前記マイクロフォンが、前記秘話設定モードにおいて送信信号を送信するときの電波強度を、前記通常通信モードにおいて送信信号を送信するときの電波強度よりも小さくすることを要旨とする。
【0033】
この発明によれば、秘話設定モードにおける送信信号の到達距離が、通常通信モードにおける送信信号の到達距離よりも短くなる。これにより、第三者がワイヤレス受信機により秘話ユニークワードを含む送信信号を受信することを困難とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステムについて、その概略構成を示す模式図。
【図2】同実施形態のマイクロフォンについて、その内部構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態のワイヤレス受信機について、その内部構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態のマイクロフォンにより送信される送信信号の信号形式を示す模式図。
【図5】同実施形態の通常通信モード、秘話設定モードおよび秘話通信モードについて、マイクロフォンおよびワイヤレス受信機のユニークワードの関係を示すテーブル。
【図6】同実施形態のワイヤレス受信機において実行される「送信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【図7】同実施形態のワイヤレス受信機において実行される「受信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【図8】同実施形態のマイクロフォンの送信状態とワイヤレス受信機の受信状態との関係を示すタイミングチャート。
【図9】本発明の第2実施形態のマイクロフォンにおいて実行される「送信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【図10】本発明の第3実施形態のワイヤレス受信機において実行される「受信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の第4実施形態のワイヤレス受信機において実行される「受信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【図12】同実施形態のマイクロフォンの送信状態とワイヤレス受信機の受信状態との関係を示すタイミングチャート。
【図13】本発明の第5実施形態のワイヤレス受信機において実行される「受信秘話設定処理」の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、ワイヤレスマイクロフォンシステム1は、送信信号SAを送信する送信システム2と、送信信号SAを受信する受信システム3とを備える。
【0036】
送信システム2は、複数本のマイクロフォン10から構成されている。マイクロフォン10は、音声信号を通常の方法で送信する通常通信モードMDAと、第三者に再生されにくい信号にして音声信号を送信する秘話通信モードMDCと、秘話通信モードMDCにより通信を可能とするための設定を行う秘話設定モードMDBとを有する。
【0037】
受信システム3は、マイクロフォン10からの送信信号SAを受信するワイヤレスアンテナ4と、同アンテナ4からの信号を混合する混合器5と、混合器5からの信号を復調するワイヤレス受信機30と、ワイヤレス受信機30からの信号を混成するミキサ6と、ミキサ6からの信号を増幅するアンプ7と、アンプ信号を再生するスピーカ8と備える。なお、ワイヤレス受信機30は、マイクロフォン10の各モードに対応する通常通信モードMDAと、秘話通信モードMDCと、秘話設定モードMDBとを有する。
【0038】
マイクロフォン10および受信システム3は複数のチャンネルを有する。送信システム2のチャンネル構成と受信システム3のチャンネル構成は一致し、送信システム2のチャンネルと受信システム3のチャンネルとは1対1に対応する。マイクロフォン10の送信信号SAを受信システム3により受信するには、両者の使用するチャンネルを同じものに設定する。複数のマイクロフォン10を使用するときは、複数のチャンネルが同時に使用される。
【0039】
マイクロフォン10は、音声を検出するヘッド部11と、各種設定を行う操作部12と、ヘッド部11からの信号および設定されたチャンネルに基づいて送信信号SAを形成する信号処理部13と、この信号処理部13により形成された送信信号SAを送信する送信部14とを備える。送信信号SAは、音声デジタル信号SD(音声信号)と、ワイヤレス受信機30が音声デジタル信号SDの位置を同定するために用いるユニークワードUWとを含む。
【0040】
操作部12には、送信チャンネルCHXを設定する送信チャンネル設定部12Aと、通常通信モードMDAおよび秘話通信モードMDCおよび秘話設定モードMDBを切り替える切替スイッチ12Bとが設けられている。
【0041】
図2に示すように、信号処理部13には、ヘッド部11からの信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路21と、A/D変換回路21により形成されたデジタル信号に基づいて中間送信信号SCを形成する信号形成部22と、中間送信信号SCを増幅して送信信号SAを形成する増幅回路23とが設けられている。さらに、信号処理部13には、ユニークワードUWを形成する演算部27と、ユニークワードUWを記憶する記憶部28とが設けられている。記憶部28には、通常通信モードMDAで用いられるユニークワード(以下、「通常ユニークワードUWN」)が記憶されている。
【0042】
信号形成部22には、A/D変換回路21の信号を所定規格に準拠した信号に変換するとともに変換後の信号にユニークワードUWを付加する信号処理回路24と、信号処理回路24の信号をFM変調するFM変調回路25と、FM変調信号とキャリア周波数とに基づいて中間送信信号SCを形成する中間信号形成回路26とが設けられている。
【0043】
中間信号形成回路26には、PLL回路(位相同期ループ回路)が設けられている。PLL回路は、FM変調回路25により変調された信号とキャリア周波数とに基づいて安定した中間送信信号SCを形成する。キャリア周波数としては、操作部12により設定された送信チャンネルCHXに対応する周波数が用いられる。送信チャンネルCHXの設定の変更によりキャリア周波数が変更される。
【0044】
演算部27は、上記モードが切り替えられたとき、各モードに対応するユニークワードUWを信号処理回路24に与える。これにより、信号処理回路24に各モードに対応した形式の信号を形成させる。また、秘話設定モードMDBのとき、演算部27は乱数を形成して新たなユニークワード(以下、「秘話ユニークワードUWX」)を形成し、これを記憶部28に保存する。また、秘話設定モードMDBのとき、演算部27は増幅回路23のゲインを通常通信モードMDAのときのゲインよりも低い値に設定する。これにより、演算部27は、秘話設定モードMDBのときの電波強度を通常通信モードMDA時の電波強度よりも小さくする。
【0045】
図3を参照して、ワイヤレス受信機30について説明する。
ワイヤレス受信機30は、受信チャンネルCHYを設定する操作部40と、各受信チャンネルCHYに対応して設けられた受信部50とを備える。なお、ワイヤレス受信機30は、複数の受信ユニットの組み合わせにより構成されている。
【0046】
操作部40は、ワイヤレス受信機30の本体部の正面部に設けられている(図1参照)。操作部40には、受信チャンネルCHYを設定するための受信チャンネル設定部41と、通常通信モードMDA、秘話通信モードMDC、および秘話設定モードMDBを切り替える切替スイッチ42と、受信結果を表示する表示部45と、秘話設定モードMDBのときに受信部50を受信状態とする受信ボタン46とが設けられている。
【0047】
受信チャンネル設定部41には、受信グループGRを設定する第1受信設定部43と、グループ内の特定の受信チャンネルCHYを設定する第2受信設定部44とが設けられている。第1受信設定部43には、受信グループGRを選択する第1選択ボタン43Aと、選択された受信グループGRを表示するグループ表示部43Bとが設けられている。第2受信設定部44は、受信チャンネルCHYを選択する第2選択ボタン44Aと、選択された受信チャンネルCHYを表示するチャンネル表示部44Bとが設けられている。
【0048】
図3に示すように、受信部50は、混合器5からの信号を復調する復調器51と、復調器51からの復元信号SBからユニークワードUWを検出するUW検出部52と、復元信号SBを処理して音声デジタル信号SDを取り出す信号処理回路53と、音声デジタル信号SDをアナログ信号に変換するD/A変換回路54とを備える。さらに、受信部50は、操作部40の操作に基づいて信号処理回路53に指令を出す演算部55と、演算部55からの信号を記憶する記憶部56とを備える。記憶部56には、通常通信モードMDAで用いられる通常ユニークワードUWNが記憶されている。
【0049】
演算部55は、各モードに応じて次の制御を行う。
通常通信モードMDAのとき、演算部55は、同モードで用いられる通常ユニークワードUWNを記憶部56から読み出し、この通常ユニークワードUWNを信号処理回路53に与える。
【0050】
また、ワイヤレス受信機30が秘話設定モードMDBのとき、送信信号SAから秘話ユニークワードUWXを取り出し、この秘話ユニークワードUWXを記憶部56に保存する。秘話通信モードMDCに設定されたとき、演算部55は、秘話ユニークワードUWXを信号処理回路53に与える。
【0051】
また、ワイヤレス受信機30が秘話通信モードMDCに設定されている場合において、混合器5からの信号(受信信号)が基準受信レベルよりも小さいとき、演算部55は、当該信号の処理を禁止する。
【0052】
信号処理回路53は、UW検出部52により検出されたユニークワードUWと、演算部55から与えられるユニークワードUWとを照合し、その一致度合いを検出する。一致度合いが所定値よりも大きいときは、両者は一致するとみなして、復元信号SBから音声デジタル信号SDを取り出す。一方、一致度合いが所定値以下のとき、両者は一致しないとみなして、復元信号SBから音声デジタル信号SDを取り出さず、音声デジタル信号SDの再生を行わない。
【0053】
表示部45は、秘話設定モードMDBのときに秘話ユニークワードUWXを含む送信信号SA(以下、「秘話設定送信信号SAX」)を受信しなかった旨を表示する。例えば、秘話設定送信信号SAXが受信されなかったときは、赤色に点滅し、秘話設定送信信号SAXが受信されたときは、青色に点灯する。
【0054】
図4を参照して、各モードの送信信号SAの信号形式を説明する。
図4(A)に示すように、通常通信モードMDAのときの送信信号(通常送信信号SAU)は、通常ユニークワードUWNと、音声デジタル信号SDとを含む形式とされる。すなわち、通常送信信号SAUは、ワイヤレス受信機30が通常モードに設定されているとき、ワイヤレス受信機30により受信される。
【0055】
図4(B)に示すように、秘話設定モードMDBのときの送信信号SAすなわち秘話設定送信信号SAXは、通常ユニークワードUWNと、秘話ユニークワードUWXとを含む形式とされる。すなわち、この秘話設定送信信号SAXは、秘話ユニークワードUWXをワイヤレス受信機30に伝えるための信号とされている。
【0056】
図4(C)に示すように、秘話通信モードMDCのときの送信信号SA(秘話送信信号SAY)は、秘話ユニークワードUWXと、音声デジタル信号SDとを含む形式とされる。すなわち、秘話送信信号SAYは、ワイヤレス受信機30に秘話ユニークワードUWXが設定されていなければ、同受信機30により受信されない。
【0057】
図5を参照して、各モードにおける通信状態について説明する。
(A)通常の方法でワイヤレスマイクロフォンシステム1を使うときは、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30を通常通信モードMDAに設定する。このとき、マイクロフォン10とワイヤレス受信機30には、共通の通常ユニークワードUWNが設定されている。このため、マイクロフォン10からの送信信号SAがワイヤレス受信機30により受信される。すなわち、通常ユニークワードUWNに基づいて送信信号SAから音声信号が取り出される。なお、各マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30には、通常ユニークワードUWNがユニークワードUWの初期値として設定されている。
【0058】
(B)マイクロフォン10の送信信号SAが第三者に傍受されることを考慮してワイヤレスマイクロフォンシステム1を使うとき、秘話通信モードMDCとする前に、次の設定作業を行う。すなわち、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBとする。この設定作業を行う時点では、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30には通常ユニークワードUWNが設定されている。つまり、マイクロフォン10からの送信信号SAがワイヤレス受信機30により受信可能となっている。マイクロフォン10から秘話設定送信信号SAXを送信することにより、秘話ユニークワードUWXをワイヤレス受信機30に渡すことができる。
【0059】
(C)マイクロフォン10の送信信号SAが第三者に傍受されることを考慮してワイヤレスマイクロフォンシステム1を使うとき、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30を秘話通信モードMDCに設定する。上記秘話ユニークワードUWXの受け渡しが成功している場合、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30には、共通の秘話ユニークワードUWXが設定されている。このため、マイクロフォン10からの送信信号SAがワイヤレス受信機30により受信され、同秘話ユニークワードUWXに基づいて送信信号SAから音声信号が取り出すことができる。
【0060】
(D)マイクロフォン10のユニークワードUWが秘話ユニークワードUWXに設定される一方、ワイヤレス受信機30のユニークワードUWが通常ユニークワードUWNに設定されているとき、次のようになる。すなわち、両者のユニークワードUWが一致しないため、マイクロフォン10からの送信信号SAから音声デジタル信号SDが取り出されず、送信信号SAが再生されず、音声が出力されない。
【0061】
図6を参照して、マイクロフォン10が実行する「送信秘話設定処理」の手順について説明する。
操作部12の切替スイッチ12Bが秘話設定モードMDBに切り替えられたとき、ステップS110において、マイクロフォン10が秘話設定モードMDBに設定される。このとき、ステップS120において、演算部27が乱数を形成し、この乱数に基づいて秘話ユニークワードUWXを形成する。そして、ステップS130において秘話設定モードMDBに維持されているか否か判定される。同判定において肯定されるとき、ステップS140において、秘話設定送信信号SAXが送信されるとともに、秘話ユニークワードUWXが記憶部28に保存される。なお、記憶部28に保存されている秘話ユニークワードUWXは、送信秘話設定処理の実行のたびに新たに形成される秘話ユニークワードUWXに更新される。
【0062】
そして、ステップS150において、秘話設定送信信号SAXの送信開始からの経過時間TXが設定期間TA(送信設定期間)以下にあるか否か判定され、この判定で肯定判定されたとき、秘話設定送信信号SAXの送信が維持される。一方、ステップS150において否定判定されたとき、すなわち経過時間TXが設定期間TAを超えた旨判定されたとき、「送信秘話設定処理」が終了する。なお、ステップS130において切替スイッチ12Bが秘話設定モードMDBにない旨判定されたときも、「送信秘話設定処理」が終了する。
【0063】
図7を参照して、ワイヤレス受信機30が実行する「受信秘話設定処理」の手順について説明する。
ステップS210において、操作部40の切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられ、かつ受信ボタン46が押されたとき、ワイヤレス受信機30が秘話設定モードMDBに設定される。このとき、ステップS220において、秘話設定送信信号SAXを受信したか否か判定される。この判定が肯定されるとき、ステップS230において秘話設定送信信号SAXから秘話ユニークワードUWXを取り出し、この秘話ユニークワードUWXが記憶部56に保存される。なお、記憶部56に保存される秘話ユニークワードUWXは、受信秘話設定処理の実行において秘話設定送信信号SAXの受信が成功するたびに、受信した秘話ユニークワードUWXに更新される。秘話設定送信信号SAXの受信が成功したか否かは、例えば、秘話設定送信信号SAXの信号強度が閾値レベル以上であるか否かにより判定される。そして、受信秘話設定処理の実行中において秘話設定送信信号SAXの信号強度が閾値レベル未満のとき、秘話ユニークワードUWXとしての処理は実行されない。
【0064】
一方、ステップS220において否定判定されたとき、すなわち秘話設定送信信号SAXを受信しない旨判定されたとき、ステップS240において秘話設定モードMDBに切替スイッチ42が切り替えられたときから起算して経過時間TYが設定期間TB(受信設定期間)以下であるか否か判定される。ステップS240において肯定判定されるとき、すなわち経過時間TYが設定期間TB以下であるとき、秘話設定送信信号SAXを受信する受信状態が維持される。一方、ステップS240において否定判定されるとき、すなわち経過時間TYが設定期間TAを超えた旨判定されたとき、ステップS250において秘話設定送信信号SAXが受信されなかった旨を表示部45に表示する。
【0065】
図8を参照して、秘話設定モードMDBのワイヤレス受信機30が秘話設定送信信号SAXを受信することができる受信可能期間TCについて説明する。
マイクロフォン10において、切替スイッチ12Bが秘話設定モードMDBに切り替えられたとき、設定期間TAにわたって秘話設定送信信号SAXが送信される。一方、ワイヤレス受信機30において、切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられ、かつ受信ボタン46が押されたとき、設定期間TBにわたって秘話設定送信信号SAXを受信することができる受信状態となる。受信状態のときに、秘話設定送信信号SAXを受信したとき、秘話設定送信信号SAXから秘話ユニークワードUWXを取り出し、この秘話ユニークワードUWXを記憶部56に保存する。
【0066】
したがって、実質的にワイヤレス受信機30が秘話設定送信信号SAXを受信することができる受信可能期間TCは、秘話設定送信信号SAXが送信されている期間とワイヤレス受信機30が受信状態となっている期間とが重なっている期間に限られる。
【0067】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、ワイヤレスマイクロフォンシステム1は、通常通信モードMDAと、秘話設定モードMDBと、秘話通信モードMDCとを有する。通常通信モードMDAは、マイクロフォン10およびワイヤレス受信機30に予め設定されている付加情報としての通常ユニークワードUWN(通常付加情報)を用いて通信する。秘話設定モードMDBは、通常ユニークワードUWNと異なる秘話ユニークワードUWX(秘話付加情報)をマイクロフォン10に設定するとともに、秘話ユニークワードUWXをマイクロフォン10からワイヤレス受信機30に送信する。秘話通信モードMDCでは、秘話設定モードMDBによりマイクロフォン10およびワイヤレス受信機30に設定された付加情報としての秘話ユニークワードUWXを用いて通信する。
【0068】
この構成によれば、秘話設定モードMDBにおいて秘話ユニークワードUWXをマイクロフォン10からワイヤレス受信機30に送信し、秘話通信モードMDCにおいて秘話ユニークワードUWXに基づいて通信をする。秘話通信モードMDCのときは、通常通信モードMDAのときに用いる通常ユニークワードUWNとは異なる秘話ユニークワードUWXを用いて通信するため、マイクロフォン10からの送信信号SAが第三者のワイヤレス受信機により傍受されることを抑制することができる。また、音声信号を暗号化する技術のように暗号鍵をマイクロフォン側とワイヤレス側で互い交換する構成ではないため、簡易な構成とすることができる。
【0069】
(2)本実施形態では、マイクロフォン10は、通常ユニークワードUWNを音声信号に付加した通常送信信号SAUと、秘話ユニークワードUWXを音声信号に付加した秘話送信信号SAYと、通常ユニークワードUWNを秘話ユニークワードUWXに付加した秘話設定送信信号SAXとを送信する送信部14を備えている。ワイヤレス受信機30は、通常送信信号SAUと、秘話送信信号SAYと、秘話設定送信信号SAXとを受信する受信部50を備えている。
【0070】
そして、通常通信モードMDAでは、マイクロフォン10が送信部14を通じて通常送信信号SAUを送信するとともに、ワイヤレス受信機30が受信部50で通常送信信号SAUを受信する。秘話設定モードMDBでは、マイクロフォン10が秘話設定送信信号SAXを送信するとともに、ワイヤレス受信機30が受信部50で秘話設定送信信号SAXを受信する。秘話通信モードMDCでは、マイクロフォン10が送信部14を通じて秘話送信信号SAYを送信するとともに、ワイヤレス受信機30が受信部50で秘話送信信号SAYを受信する。
【0071】
この構成によれば、通常送信信号SAU、秘話送信信号SAY、秘話設定送信信号SAXを個別の送信部14により送信するのではなく、1つの送信部14を介して送信するため、マイクロフォン10の構成を簡略にすることができる。
【0072】
(3)本実施形態では、マイクロフォン10は、秘話設定モードMDBのとき、秘話設定モードMDB開始の後、設定時間にわたって秘話設定送信信号SAXを送信するとともに、同秘話設定送信信号SAXに含まれる秘話ユニークワードUWXを保存する。秘話通信モードMDCのとき、保存した秘話ユニークワードUWXを用いて秘話送信信号SAYを形成し、この秘話送信信号SAYを送信する。
【0073】
ワイヤレス受信機30は、秘話設定モードMDBのとき、マイクロフォン10からの秘話設定送信信号SAXを受信した場合、同秘話設定送信信号SAXに含まれる秘話ユニークワードUWXを保存する。そして、秘話通信モードMDCのとき、保存されている秘話ユニークワードUWXを用いて秘話送信信号SAYを処理する。
【0074】
この構成によれば、ワイヤレス受信機30は、マイクロフォン10が秘話設定送信信号SAXの送信中において、秘話設定送信信号SAXを受信したとき秘話ユニークワードUWXを保存する。すなわち、マイクロフォン10からの秘話設定送信信号SAXを受信しないときは、ワイヤレス受信機30が秘話設定モードMDBのときであっても秘話ユニークワードUWXを保存する処理を行なわないため、誤信号が秘話ユニークワードUWXとして保存されることを抑制することができる。
【0075】
(4)本実施形態では、マイクロフォン10は、秘話設定モードMDBに設定されるたびに秘話付加情報をランダムで形成し、形成された秘話ユニークワードUWXを用いて秘話設定送信信号SAXおよび秘話送信信号SAYを形成する。ワイヤレス受信機30は、秘話設定モードMDBに設定されているとき、秘話ユニークワードUWXの受信に成功するたびに、新たに受信した秘話ユニークワードUWXにより、保存されている秘話ユニークワードUWXを更新する。そして、この秘話ユニークワードUWXを用いて秘話設定送信信号SAXおよび秘話送信信号SAYを処理する。
【0076】
この構成によれば、マイクロフォン10は、秘話設定モードMDBに設定されるたびに秘話付加情報をランダムに形成して、第三者が秘話ユニークワードUWXを予測することを困難なものとする。これにより、第三者による傍受をさらに抑制することができる。
【0077】
(5)本実施形態では、通常通信モードMDAと秘話通信モードMDCとを区別して通信可能とする付加情報として、音声信号を検出するためのユニークワードUWを用いている。そして、通常送信信号SAUは、通常付加情報としての通常ユニークワードUWNを音声信号に付加したものとしている。秘話送信信号SAYは、通常ユニークワードUWNと異なる付加情報としての秘話ユニークワードUWXを音声信号に付加したものとしている。秘話設定送信信号SAXは、通常ユニークワードUWNを秘話ユニークワードUWXに付加したものとしている。
【0078】
この構成によれば、秘話設定モードMDBのとき、マイクロフォン10から秘話送信信号SAYを送信することにより、秘話ユニークワードUWXを同マイクロフォン10からワイヤレス受信機30に受け渡す。そして、秘話通信モードMDCのとき秘話ユニークワードUWXを用いて通信をする。このため、簡易な構成で、マイクロフォン10からの送信信号が第三者のワイヤレス受信機により傍受されることを抑制することができる。
【0079】
(6)本実施形態では、マイクロフォン10が秘話設定モードMDBのとき、かつワイヤレス受信機30の受信する受信信号が基準受信レベルよりも小さいとき、受信信号の処理を行わない。
【0080】
第三者が秘話ユニークワードUWX(秘話付加情報)を傍受するとき、正規の使用者のマイクロフォン10から正規のワイヤレス受信機30までの距離よりも遠いところで傍受すると考えられる。すなわち、通常の操作により秘話設定モードMDBに設定する場合と比較して、傍受するために用いられているワイヤレス受信機30の受信レベルは小さいと考えられる。このような事情を考慮して、上記構成では、ワイヤレス受信機30の受信する受信信号が基準受信レベルよりも小さいとき、受信信号の処理を行わない。これにより、第三者がワイヤレス受信機30を用いて秘話ユニークワードUWXを傍受することを困難にすることができる。
【0081】
(7)本実施形態では、マイクロフォン10が秘話設定モードMDBにおいて秘話設定送信信号SAXを送信するときの電波強度を、通常通信モードMDAにおいて通常送信信号SAUを送信するときの電波強度よりも小さくする。
【0082】
この構成によれば、秘話ユニークワードUWXを含む秘話設定送信信号SAXの到達距離が、通常ユニークワードUWNを含む通常送信信号SAUの到達距離よりも短くなる。このため、第三者がワイヤレス受信機30により秘話ユニークワードUWXを傍受することを困難とすることができる。
【0083】
(第2実施形態)
図9を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステム1は、第1実施形態の構成に対して次の変更を加えたものとなっている。すなわち、第1実施形態では、マイクロフォン10において切替スイッチ12Bを秘話設定モードMDBに切り替えたときから起算して設定期間TAの経過後に、秘話設定送信信号SAXの送信が停止される。この直後、秘話設定送信信号SAXの再送信を行うときは、切替スイッチ12Bを一旦通常通信モードMDAに変更し次いで秘話設定モードMDBに戻すことにより、再送信することができる。すなわち、秘話設定モードMDBを連続して繰り返すことができる。しかし、このような操作を許容すると、仮に第三者がワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBにして待機する場合、秘話設定送信信号SAXを受信する可能性が増大する。このような点を考慮し、本実施形態では、マイクロフォン10について、秘話設定送信信号SAXを連続して送信することができないように制御している。以下、この変更にともない生じる前記第1実施形態の構成からの詳細な変更について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0084】
操作部12の切替スイッチ12Bが秘話設定モードMDBに切り替えられたとき、ステップS310において秘話設定送信信号SAXの送信が禁止されている期間(以下、「送信禁止期間TD」)にあるか否か判定される。この判定が肯定されるときは、「送信秘話設定処理」が終了する。
【0085】
ステップS310において否定判定されるとき、すなわち送信禁止期間TD以外のとき、ステップS320〜ステップS360の処理が行われる。この一連のステップは、第1実施形態のステップS110〜ステップS150の処理と同様であり、設定期間TAにわたって秘話設定送信信号SAXが送信される。そして、ステップS360において、否定判定すなわち経過時間TXが設定期間TAを超えた旨判定されたとき、またはステップS340において否定判定されたときすなわち秘話設定モードMDBにないとき、送信禁止期間TDが開始される。すなわち、この後、切替スイッチ12Bを一旦通常通信モードMDAに変更し次いで秘話設定モードMDBに戻す操作を行っても、送信禁止期間TDが経過するまでは、「送信秘話設定処理」が実行されない。
【0086】
本実施形態によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜前記(3)および前記(5)および前記(9)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(6)本実施形態では、マイクロフォン10の秘話設定モードMDBが終了してから送信禁止期間TDが経過するまでの間は、秘話設定モードMDBの実行を禁止する。
【0087】
秘話設定モードMDBの終了後に同設定モードを設定することを許容すると、秘話ユニークワードUWX(秘話付加情報)を含む秘話設定送信信号SAXを送信し続けることもできるようになる。仮に、秘話ユニークワードUWXを傍受する目的で、第三者がワイヤレス受信機30を用いることを想定する。この場合、第三者は、ワイヤレス受信機30を受信状態として待機すると考えられる。すると、秘話ユニークワードUWXの送信時間を長くすることは、その分だけ、第三者が秘話ユニークワードUWXを傍受する可能性が高くなる。これに対して、上記構成では、秘話設定モードMDBが終了してから送信禁止期間TDが経過するまでの間は秘話設定モードMDBを実行することを禁止しているため、仮に第三者が傍受の目的でワイヤレス受信機30を受信状態にして待機している場合でも、第三者による秘話ユニークワードUWXの傍受の機会を少なくすることができる。
【0088】
(第3実施形態)
図10を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステム1は、第1実施形態の構成に対して次の変更を加えたものとなっている。すなわち、第1実施形態では、ワイヤレス受信機30において切替スイッチ42を秘話設定モードMDBに切り替え、かつ受信ボタン46を押したとき、秘話設定モードMDBとなる。そして、受信ボタン46を押したときから起算して設定期間TAが経過したとき秘話設定モードMDBが終了する。この直後、秘話設定送信信号SAXの再受信を行うときは、受信ボタン46を押すことにより、ワイヤレス受信機30を再び受信状態とすることができる。すなわち、秘話設定モードMDBを連続して繰り返すことができる。しかし、このような操作を許容すると、マイクロフォン10から送信される秘話ユニークワードUWXを取得するために第三者がワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBの状態を維持するとき、秘話ユニークワードUWXが第三者に取得されるおそれがある。このような点を考慮し、本実施形態では、ワイヤレス受信機30について秘話設定送信信号SAXを連続して受信することができない制御を行っている。以下、この変更にともない生じる前記第1実施形態の構成からの詳細な変更について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0089】
操作部40の切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられ、かつ受信ボタン46が押されたとき、ステップS410において秘話設定送信信号SAXの受信が禁止されている期間(以下、「受信禁止期間TE」)にあるか否かが判定される。この判定が肯定されるときは、「受信秘話設定処理」が終了する。
【0090】
ステップS410において否定判定されるとき、すなわち送信禁止期間TD以外のときは、ステップS420〜ステップS460の処理が行われる。この一連のステップは、第1実施形態のステップS210〜ステップS250の処理と同様である。すなわち、秘話設定送信信号SAXの受信処理が行われる。そして、ステップS460において秘話設定送信信号SAXが受信されなかった旨が表示部45に表示されたとき、またはステップS440において秘話ユニークワードUWXが保存されたとき、ステップS470において受信禁止期間TEが開始される。すなわち、この後、受信ボタン46が押されても、受信禁止期間TEが経過するまでは、「受信秘話設定処理」が実行されない。
【0091】
本実施形態によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜前記(3)および前記(5)および前記(9)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(7)本実施形態では、ワイヤレス受信機30の秘話設定モードMDBが終了してから受信禁止期間TEが経過するまでの間は、秘話設定モードMDBの実行を禁止する。
【0092】
秘話ユニークワードUWX(秘話付加情報)を傍受することを目的として第三者がこのワイヤレス受信機30を用いることを想定する。すると、第三者は、ワイヤレス受信機30の秘話設定モードMDBが解除された直後に同設定モードを実行する操作を行い、第三者がワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBの状態に維持して待機すると考えられる。このような操作により、秘話ユニークワードUWXが傍受されるおそれが生じる。この点、上記構成では、秘話設定モードMDBが終了してから受信禁止期間TEが経過するまで秘話設定モードMDBを設定することを禁止する。このため、秘話設定モードMDBを連続して維持することが困難となるため、秘話ユニークワードUWXが傍受されることを抑制することができる。
【0093】
(第4実施形態)
図11および図12を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステム1は、第1実施形態の構成に対して次の変更を加えたものとなっている。すなわち、第1実施形態では、ワイヤレス受信機30において切替スイッチ42を秘話設定モードMDBに切り替え、かつ受信ボタン46を押したとき、秘話設定モードMDBとなる。また、受信ボタン46を押したときから設定期間TAが経過したときに秘話設定モードMDBが終了する。仮に、秘話設定送信信号SAXの受信を失敗したときは、受信ボタン46を押すことにより、ワイヤレス受信機30を再び受信状態とすることができる。しかし、このような操作を制限なく許容すると、マイクロフォン10から送信される秘話ユニークワードUWXを取得するために第三者がワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBの設定を繰り返したとき、秘話設定送信信号SAXを第三者に取得されるおそれが高くなる。このような点を考慮し、本実施形態では、秘話設定送信信号SAXの受信の失敗(非受信)が所定回数以上繰り返されたとき、その後、秘話設定モードMDBに設定することができない制御を行っている。以下、この変更にともない生じる前記第1実施形態の構成からの詳細な変更について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0094】
操作部40の切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられ、かつ受信ボタン46が押されたとき、ステップS510において、処理時前までにおいて秘話設定送信信号SAXを受信することができなかった回数(以下、「非受信回数KX」)が設定回数KAよりも小さいか否か判定される。この判定が否定されるときは、「受信秘話設定処理」が終了する。なお、秘話設定送信信号SAXを受信することができなかった回数は、後述するステップS570の工程によりカウントされる。
【0095】
ステップS510において肯定判定されるとき、すなわち非受信回数KXが設定回数KAよりも小さいとき、ステップS520〜ステップS560の処理が行われる。この一連のステップは、第1実施形態のステップS210〜ステップS250の処理と同様である。そして、ステップS560において秘話設定送信信号SAXが受信されなかった旨を表示部45に表示する処理がされたとき、非受信回数KXに1を加算する。
【0096】
図12を参照して、非受信回数KXに基づいて秘話設定モードMDBの設定を禁止する処理を行わない場合と、非受信回数KXに基づいて秘話設定モードMDBの設定を禁止する処理を行う場合とを比較して、受信可能期間TCが形成される頻度について説明する。
【0097】
図12(A)は、非受信回数KXに関係なく秘話設定モードMDBの設定を禁止しない場合において、受信ボタン46を繰り返し押して秘話設定モードMDBの設定を繰り返したとき、偶然に、マイクロフォン10の秘話設定送信信号SAXの送信期間とワイヤレス受信機30の受信期間とが重なった状態を示す。
【0098】
第三者が秘話設定送信信号SAXを受信しようとするとき、秘話設定モードMDBの設定を繰り返す。例えば、同図に示されるように、受信ボタン46を繰り返し押すことにより、ワイヤレス受信機30を断続的に受信状態とする。これにより、マイクロフォン10の秘話設定送信信号SAXの送信期間とワイヤレス受信機30の受信期間とが重なる機会(受信可能期間TC)を増える。同図の場合、受信ボタン46を押すことを4回行ったとき、受信可能期間TCが設けられたことを示している。
【0099】
図12(B)は、非受信回数KXが3回を超えたときに秘話設定モードMDBの設定を禁止する場合において、受信ボタン46を断続的に押して、秘話設定モードMDBの設定を繰り返したとき、マイクロフォン10の秘話設定送信信号SAXの送信期間とワイヤレス受信機30の受信期間とが重なる期間(受信可能期間TC)が回避されたことを示す。
【0100】
第三者が秘話設定送信信号SAXを受信しようとするとき、秘話設定モードMDBの設定を繰り返す。例えば、同図に示されるように、受信ボタン46を繰り返し押すことにより、ワイヤレス受信機30を断続的に受信状態とする。しかし、同図では、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBにすることを3回行って、このうち秘話設定送信信号SAXを受信することを3回非受信となっているため、その後、秘話設定モードMDBに設定することが禁止される。このため、この後に行われた受信ボタン46の押す操作は無効とされて、ワイヤレス受信機30が秘話設定モードMDBにならない。このため、その後、秘話設定送信信号SAXが送信されたとしても、ワイヤレス受信機30により受信されない。
【0101】
本実施形態によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜前記(3)および前記(5)および前記(9)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(8)本実施形態では、秘話設定送信信号SAXを受信しない非受信の回数(非受信回数KX)が設定回数KA連続して発生したとき、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBとする操作を無効とする。
【0102】
マイクロフォン10の秘話設定モードMDBのときにワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBにすれば秘話設定送信信号SAXを受信することができるため、正規の使用者であれば、ワイヤレス受信機30を同設定モードにする操作は通常1回で済む。そうすると、秘話ユニークワードUWXを受信しない非受信が連続して発生しているときは、通常の操作を行っていないと推定することができる。すなわち、第三者が傍受を目的としてワイヤレス受信機30を使用している可能性が大きいと予測される。このような点を考慮して、上記構成では、秘話設定送信信号SAXを受信しないことが設定回数KA連続して発生したとき、秘話設定モードMDBとする操作を無効とする。これにより、第三者がワイヤレス受信機30を使用し続けることが困難となるため、秘話ユニークワードUWXが傍受されることを抑制することができる。
【0103】
(第5実施形態)
図13を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステム1は、第1実施形態の構成に対して次の変更を加えたものとなっている。すなわち、第1実施形態では、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBにしたときに、受信ボタン46を繰り返し連続して押すことにより、実質的に秘話設定モードMDBを延長することが可能となっている。しかし、このような操作を許容すると、マイクロフォン10から送信される秘話ユニークワードUWXを取得するために第三者がワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBの長時間維持することを可能とする。このため、秘話設定送信信号SAXを第三者に取得されるおそれが高まる。このような点を考慮し、本実施形態では、ワイヤレス受信機30を受信ボタン46の連続して受信ボタン46を押すことにより秘話設定モードMDBの期間が長くなること抑制する制御を行っている。以下、この変更にともない生じる前記第1実施形態の構成からの詳細な変更について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0104】
操作部40の切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられ、受信ボタン46が押されたとき、ステップS610において、同処理の開始時刻が保存され、また、前回の「受信秘話設定処理」の開始からの時間間隔TZを計算する。なお、時間間隔TZは、前回「受信秘話設定処理」の開始時刻と今回「受信秘話設定処理」の開始時刻との差として求められる。
【0105】
ステップS620において時間間隔TZが設定時間TFより小さいか否か判定される。この判定が肯定されるとき、「受信秘話設定処理」が終了する。すなわち、秘話設定送信信号SAXを受信する処理が禁止される。
【0106】
ステップS620において否定判定されるとき、すなわち設定時間TF内に受信ボタン46が連続して押されていないとみなされるとき、ステップS630〜ステップS670の処理が行われる。この一連のステップは、第1実施形態のステップS210〜ステップS250の処理と同様である。
【0107】
本実施形態によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜前記(3)および前記(5)および前記(9)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(9)本実施形態では、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBとする操作が設定時間TF内に2回(設定回数、最初の操作を含む)行われたとき、その後に行われるワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBとする操作を無効とする。
【0108】
第三者がワイヤレス受信機30を用いて秘話ユニークワードUWX(秘話付加情報)を傍受することを意図したとき、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBの状態に維持するために、秘話設定モードMDBにする操作を連続して行うことが考えられる。これに対して、本構成では、秘話設定モードMDBとする操作を連続して行ったときその後に行われる操作を無効とする。これにより、秘話設定モードMDBにする操作を連続して行うことを困難なものとすることができるため、秘話ユニークワードUWXが傍受されることを抑制することができる。
【0109】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0110】
・上記第1実施形態では、秘話設定モードMDBのとき、演算部27は、乱数を形成して新たなユニークワード(以下、「秘話ユニークワードUWX」)を形成する。これに対して、次にように秘話ユニークワードUWXを形成することもできる。
【0111】
具体的には、マイクロフォン10の記憶部28には、複数個の秘話ユニークワードUWXが予め記憶される。そして、マイクロフォン10は、秘話設定モードMDBに設定されるたびに、複数個の秘話ユニークワードUWXのうちのいずれか1つをランダムで選択して、選択した秘話ユニークワードUWXを用いて秘話設定送信信号SAXおよび秘話送信信号SAYを形成する。一方、ワイヤレス受信機30は、秘話設定モードMDBに設定されているとき、秘話ユニークワードUWXの受信に成功するたびに、新たに受信した秘話ユニークワードUWXにより前の秘話ユニークワードUWXを更新する。そして、この秘話ユニークワードUWXを用いて秘話設定送信信号SAXおよび秘話送信信号SAYを処理する。
【0112】
この構成によれば、マイクロフォン10は、秘話設定モードMDBに設定されるたびに、記憶された複数個の秘話ユニークワードUWXのうちからランダムに選択するため、第三者が秘話ユニークワードUWXを予測することを困難なものとする。これにより、第三者による傍受をさらに抑制することができる。
【0113】
・上記第1実施形態では、秘話設定送信信号SAXを送信するときの電波強度を通常通信モードMDA時の電波強度よりも小さくする。一方、このような制御に代えて、秘話設定送信信号SAXを送信するときの電波強度を通常通信モードMDA時の電波強度よりも大きくする、または同じ大きさにすることもできる。この場合には、秘話設定送信信号SAXを送信する期間を短くして、第三者からの秘話設定送信信号SAXが傍受されるおそれのある期間を短くしてもよい。
【0114】
・上記第1実施形態では、受信ボタン46が押されたときに秘話設定モードMDBが開始し、この開始後、設定期間TBを経過したとき秘話設定モードMDBが終了する。すなわち、秘話設定モードMDBが維持される時間は一定期間とされている。一方、このような制御に代えて、マイクロフォン10とワイヤレス受信機30とは、それぞれの操作部12,40における操作に対応して秘話設定モードMDBに設定され、ワイヤレス受信機30は、操作部40における操作が継続している間に限り秘話設定送信信号SAXを受信する。
【0115】
具体的には、受信ボタン46が押されている間は秘話設定モードMDBが維持されるように制御することもできる。このような制御によれば、ワイヤレス受信機30が秘話設定送信信号SAXを受信するまで、秘話設定モードMDBを維持することができるため、使用者の使用の便宜を向上することができる。
【0116】
また、秘話設定モードMDBを維持する期間を長くすることとは逆に、当該期間を短くすることもできる。すなわち、ワイヤレス受信機30は、秘話設定モードMDBのとき、受信ボタン46が押されている間すなわち操作部40で操作されている間に限り、秘話設定送信信号SAXを受信する構成となっているため、操作部40の操作を中止することにより、秘話設定送信信号SAXの受信を停止することができる。
【0117】
このような操作は、次の場合に役立つ。例えば、使用にかかるワイヤレスマイクロフォンシステム1に備え付けていない別のマイクロフォン10を用いて、第三者が同マイクロフォン10を秘話設定モードMDBにしてダミーの秘話設定送信信号SAXを送信することにより、秘話設定を妨害することが行なうことが想定される。しかし、このような妨害操作が行なわれるときでも、ワイヤレス受信機30の操作部40の操作期間を任意に短くすることにより、このような妨害を受けることを抑制することができる。
【0118】
・上記第1実施形態では、傍受対策として、音声信号に付加する付加情報を用いている。すなわち、秘話通信モードMDCにおいて、通常通信モードMDAに使用するユニークワードUWとは異なるユニークワードUWを用いることにより、第三者による傍受を抑制する。一方、このような構成に代えて、音声信号に付加する付加情報としての暗号鍵を、両モード間で変更することにより、第三者による傍受を抑制することもできる。
【0119】
具体的には、(1)通常通信モードMDAでは、音声信号を送信するとき、まず音声信号を通常の暗号鍵(通常鍵情報KEN)により暗号化し、暗号化した音声信号(以下、「暗号音声信号」)に通常鍵情報KENを付加して、通常送信信号SAUとして送信する。通常鍵情報KENは、予めマイクロフォン10およびワイヤレス受信機30に保存しておく。ワイヤレス受信機30が暗号音声信号を受信したとき、同通常鍵情報KENを用いて暗号音声信号を取り出すととともに通常鍵情報KENを用いて暗号音声信号を復号する。
【0120】
(2)秘話設定モードMDBでは、通常鍵情報KENとは異なる暗号鍵情報(以下、「秘話鍵情報KEX」)を形成する。そして、秘話鍵情報KEXを送信するとき、まず秘話鍵情報KEXを通常鍵情報KENにより暗号化して暗号化秘話鍵情報KEXXを形成し、暗号化秘話鍵情報KEXXに通常鍵情報KENを付加して秘話設定送信信号SAXとして送信する。ワイヤレス受信機30が秘話設定送信信号SAXを受信したとき、通常鍵情報KENを用いて暗号化秘話鍵情報KEXXを取り出すととともに、さらに通常鍵情報KENを用いて暗号化秘話鍵情報KEXXを復号して秘話鍵情報KEXを得る。そして、この秘話鍵情報KEXを記憶部56に保存する。
【0121】
(3)秘話通信モードMDCでは、音声信号を送信するときに、まず音声信号を秘話鍵情報KEXにより暗号化し、暗号音声信号に秘話鍵情報KEXを付加して、秘話送信信号SAYとして送信する。ワイヤレス受信機30が秘話送信信号SAYを受信したとき、秘話鍵情報KEXを用いて暗号化した音声信号を取り出すととともに、秘話鍵情報KEXを用いて暗号音声信号を復号する。
【0122】
なお、上記変形例では、(1)通常通信モードMDAにおいて、音声信号を通常鍵情報KENにより暗号化しているが、この暗号化を行なわないで、通常の通信を行なってもよい。
【0123】
上記構成によれば、秘話設定モードMDBのとき、マイクロフォン10から秘話送信信号SAYを送信することにより、秘話鍵情報KEXを同マイクロフォン10からワイヤレス受信機30に受け渡す。そして、秘話通信モードMDCのとき、秘話鍵情報KEXを用いて通信をする。このように、秘話通信モードMDCのとき、音声信号を暗号化し、かつ通常通信モードMDAのときとは異なる秘話鍵情報KEXを用いて通信するため、マイクロフォン10からの送信信号が第三者のワイヤレス受信機により傍受されることをさらに抑制することができる。
【0124】
・上記第2実施形態では、マイクロフォン10について秘話設定送信信号SAXを連続して送信することができないように制御しているが、このような制御に代えて、秘話設定送信信号SAXを連続して送信する操作を所定回数まで許容することもできる。例えば、秘話設定送信信号SAXを送信する操作を3回連続して行うことを許容し、4回以上連続して行うことは禁止する制御を行う。このような制御の場合、仮に使用者の誤操作により、秘話設定送信信号SAXのワイヤレス受信機30による受信が失敗したときでも、その直後に、再度マイクロフォン10から秘話設定送信信号SAXを送信することができる。
【0125】
・上記第3実施形態では、秘話設定モードMDBにおける一連の処理が終了したとき、受信禁止期間TEを開始する。これにより、秘話設定送信信号SAXを連続して受信することができない制御を行っているが、このような制御に代えて、次のような制御を行うことができる。すなわち、「受信秘話設定処理」が実行される都度、受信禁止期間TEを開始する代わりに、「受信秘話設定処理」の実行が所定回数行われたとき、受信禁止期間TEを開始するようにしてもよい。
【0126】
・上記第4実施形態では、秘話設定送信信号SAXの受信の失敗(非受信)が所定回数以上繰り返されたとき、その後、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBに設定することができない制御を行っている。一方、この制御に代えて、秘話設定送信信号SAXの受信の失敗が連続して発生したときに、ワイヤレス受信機30を秘話設定モードMDBに設定することを禁止してもよい。なお、この場合の受信の失敗の連続とは、第1回目の受信の失敗と、この失敗に続く第2の受信の失敗との間に、受信の成功例がない場合を示す。
【0127】
・上記第5実施形態では、受信ボタン46が押された後、設定時間TF内に再度受信ボタン46が押されたとき、秘話設定モードMDBが終了する。これにより、第三者が連続的に受信ボタン46を押してワイヤレス受信機30の受信状態を延長する行為を抑制する。一方、この制御に代えて、またはこの制御に加えて、切替スイッチ42が秘話設定モードMDBに切り替えられたときを起算時として設定時間TF内に、再度切替スイッチ42が秘話設定モードMDBとされる操作が行われたとき、秘話設定モードMDBを終了する制御を行ってもよい。このような制御によれば、秘話設定モードMDBから他のモードに一旦切替、その後、秘話設定モードMDBと変更することにより、秘話設定送信信号SAXを受信する受信状態を維持することを抑制することができる。
【0128】
・上記各実施形態では、音声デジタル信号SDの位置を同定するために用いるユニークワードUWに対して、通常ユニークワードUWNおよび秘話ユニークワードUWXを使い分けている。このような方法に代えて、この種のユニークワードUWとは別に、音声デジタル信号SDに新たなパラメータ(ユニークワード)を設け、このパラメータが第1実施形態の通常ユニークワードUWNおよび秘話ユニークワードUWXに切り替えられる構成とすることもできる。例えば、通常通信モードの送信信号は、通常ユニークワードUWNと新たなユニークワード(以下、「新ユニークワードUWA」)と音声デジタル信号とを含めて構成される。秘話設定モードの送信信号は、通常ユニークワードUWNと新ユニークワードUWAと秘話ユニークワードUWXとを含めて構成される。秘話通信モードの送信信号は、秘話ユニークワードUWXと新ユニークワードUWAと音声デジタル信号とを含めて構成される。なお、ここでの新ユニークワードUWAは、送信信号内の音声デジタル信号や秘話ユニークワードが格納されている位置を同定するために用いられる。
【符号の説明】
【0129】
1…ワイヤレスマイクロフォンシステム、2…送信システム、3…受信システム、4…ワイヤレスアンテナ、5…混合器、6…ミキサ、7…アンプ、8…スピーカ、10…マイクロフォン、11…ヘッド部、12…操作部、12A…送信チャンネル設定部、12B…切替スイッチ、13…信号処理部、14…送信部、21…A/D変換回路、22…信号形成部、23…増幅回路、24…信号処理回路、25…FM変調回路、26…中間信号形成回路、27…演算部、28…記憶部、30…ワイヤレス受信機、40…操作部、41…受信チャンネル設定部、42…切替スイッチ、43…第1受信設定部、43A…第1選択ボタン、43B…グループ表示部、44…第2受信設定部、44A…第2選択ボタン、44B…チャンネル表示部、45…表示部、46…受信ボタン、50…受信部、51…復調器、52…UW検出部、53…信号処理回路、54…D/A変換回路、55…演算部、56…記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号とこの音声信号を処理するための付加情報とを含む送信信号を送信するマイクロフォンと、前記送信信号を受信するとともに同送信信号を前記付加情報に基づいて前記音声信号を処理するワイヤレス受信機とを備え、前記マイクロフォンが前記送信信号を送信するとともに前記ワイヤレス受信機が同送信信号を受信することにより通信するワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンおよび前記ワイヤレス受信機に予め設定されている前記付加情報としての通常付加情報を用いて通信する通常通信モードと、
前記通常付加情報と異なる秘話付加情報を前記マイクロフォンに設定するとともに、この秘話付加情報を前記マイクロフォンから前記ワイヤレス受信機に送信する秘話設定モードと、
前記秘話設定モードにより前記マイクロフォンおよび前記ワイヤレス受信機に設定された前記付加情報としての秘話付加情報を用いて通信する秘話通信モードとを有する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンは、前記通常付加情報を前記音声信号に付加した通常送信信号と、前記秘話付加情報を前記音声信号に付加した秘話送信信号と、前記通常付加情報を前記秘話付加情報に付加した秘話設定送信信号とを送信する送信部を備え、前記ワイヤレス受信機は、前記通常送信信号と、前記秘話送信信号と、前記秘話設定送信信号とを受信する受信部を備え、
前記通常通信モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記通常送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記通常送信信号を受信するモードであり、
前記秘話設定モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記秘話設定送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記秘話設定送信信号を受信するモードであり、
前記秘話通信モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記秘話送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記秘話送信信号を受信するモードである
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンは、前記秘話設定モードのとき、前記秘話設定モード開始の後、設定時間にわたって前記秘話設定送信信号を送信するとともに、同秘話設定送信信号に含まれる前記秘話付加情報を保存し、前記秘話通信モードのとき、保存した前記秘話付加情報を用いて前記秘話送信信号を形成し、この秘話送信信号を送信するものであり、
前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードのとき、前記マイクロフォンからの前記秘話設定送信信号を受信した場合、同秘話設定送信信号に含まれる前記秘話付加情報を保存し、前記秘話通信モードのとき、保存されている前記秘話付加情報を用いて前記秘話送信信号を処理する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項4】
請求項2または3に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンは、前記秘話設定モードに設定されるたびに前記秘話付加情報をランダムに形成し、形成された前記秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を形成するものであり、
前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードに設定されているとき、前記秘話付加情報の受信に成功するたびに、新たに受信した前記秘話付加情報により保存されている前記秘話付加情報を更新し、同秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を処理する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項5】
請求項2または3に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンは、複数個の前記秘話付加情報を記憶し、前記秘話設定モードに設定されるたびに、複数個の前記秘話付加情報のうちのいずれか1つをランダムに選択して、選択した前記秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を形成するものであり、
前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードに設定されているとき、前記秘話付加情報の受信に成功するたびに、新たに受信した前記秘話付加情報により保存されている前記秘話付加情報を更新し、同秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を処理する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンと前記ワイヤレス受信機とは、それぞれ前記秘話設定モードに設定するための操作部を備え、
前記マイクロフォンと前記ワイヤレス受信機とは、それぞれの前記操作部における操作に対応して前記秘話設定モードに設定され、
前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードのとき、前記操作部における操作が継続している間に限り前記秘話設定送信信号を受信する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記付加情報は、前記音声信号を検出するためのユニークワードであり、
前記通常送信信号は、前記通常付加情報としての通常ユニークワードを前記音声信号に付加したものとし、
前記秘話送信信号は、前記通常ユニークワードと異なる前記付加情報としての秘話ユニークワードを前記音声信号に付加したものとし、
前記秘話設定送信信号は、前記通常ユニークワードを前記秘話ユニークワードに付加したものとする
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項8】
請求項2〜6のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンは、前記付加情報としての鍵情報により前記音声信号を暗号化して暗号音声信号を形成するとともに、前記鍵情報を前記暗号音声信号に付加して送信するものであり、
前記通常送信信号は、前記通常付加情報としての通常鍵情報を前記暗号音声信号に付加したものとし、
前記秘話送信信号は、前記通常鍵情報と異なる前記付加情報としての秘話鍵情報を前記暗号音声信号に付加したものとし、
前記秘話設定送信信号は、前記通常鍵情報を前記秘話鍵情報に付加したものとする
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンの前記秘話設定モードが終了してから送信禁止期間が経過するまでの間は、前記秘話設定モードの実行を禁止する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記ワイヤレス受信機の秘話設定モードが終了してから受信禁止期間が経過するまでの間は、前記秘話設定モードの実行を禁止する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記ワイヤレス受信機が、前記秘話設定モードで、前記マイクロフォンからの送信信号を受信しない非受信回数が設定回数連続して発生したとき、前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作を無効とする
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作が設定時間内に設定回数行われたとき、その後に行われる前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作を無効とする
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンが前記秘話設定モードのとき、かつ前記ワイヤレス受信機の受信する受信信号が基準受信レベルよりも小さいとき、前記受信信号の処理を行わない
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンが、前記秘話設定モードにおいて送信信号を送信するときの電波強度を、前記通常通信モードにおいて送信信号を送信するときの電波強度よりも小さくする
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項1】
音声信号とこの音声信号を処理するための付加情報とを含む送信信号を送信するマイクロフォンと、前記送信信号を受信するとともに同送信信号を前記付加情報に基づいて前記音声信号を処理するワイヤレス受信機とを備え、前記マイクロフォンが前記送信信号を送信するとともに前記ワイヤレス受信機が同送信信号を受信することにより通信するワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンおよび前記ワイヤレス受信機に予め設定されている前記付加情報としての通常付加情報を用いて通信する通常通信モードと、
前記通常付加情報と異なる秘話付加情報を前記マイクロフォンに設定するとともに、この秘話付加情報を前記マイクロフォンから前記ワイヤレス受信機に送信する秘話設定モードと、
前記秘話設定モードにより前記マイクロフォンおよび前記ワイヤレス受信機に設定された前記付加情報としての秘話付加情報を用いて通信する秘話通信モードとを有する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンは、前記通常付加情報を前記音声信号に付加した通常送信信号と、前記秘話付加情報を前記音声信号に付加した秘話送信信号と、前記通常付加情報を前記秘話付加情報に付加した秘話設定送信信号とを送信する送信部を備え、前記ワイヤレス受信機は、前記通常送信信号と、前記秘話送信信号と、前記秘話設定送信信号とを受信する受信部を備え、
前記通常通信モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記通常送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記通常送信信号を受信するモードであり、
前記秘話設定モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記秘話設定送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記秘話設定送信信号を受信するモードであり、
前記秘話通信モードは、前記マイクロフォンが前記送信部を通じて前記秘話送信信号を送信するとともに、前記ワイヤレス受信機が前記受信部で前記秘話送信信号を受信するモードである
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンは、前記秘話設定モードのとき、前記秘話設定モード開始の後、設定時間にわたって前記秘話設定送信信号を送信するとともに、同秘話設定送信信号に含まれる前記秘話付加情報を保存し、前記秘話通信モードのとき、保存した前記秘話付加情報を用いて前記秘話送信信号を形成し、この秘話送信信号を送信するものであり、
前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードのとき、前記マイクロフォンからの前記秘話設定送信信号を受信した場合、同秘話設定送信信号に含まれる前記秘話付加情報を保存し、前記秘話通信モードのとき、保存されている前記秘話付加情報を用いて前記秘話送信信号を処理する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項4】
請求項2または3に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンは、前記秘話設定モードに設定されるたびに前記秘話付加情報をランダムに形成し、形成された前記秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を形成するものであり、
前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードに設定されているとき、前記秘話付加情報の受信に成功するたびに、新たに受信した前記秘話付加情報により保存されている前記秘話付加情報を更新し、同秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を処理する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項5】
請求項2または3に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンは、複数個の前記秘話付加情報を記憶し、前記秘話設定モードに設定されるたびに、複数個の前記秘話付加情報のうちのいずれか1つをランダムに選択して、選択した前記秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を形成するものであり、
前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードに設定されているとき、前記秘話付加情報の受信に成功するたびに、新たに受信した前記秘話付加情報により保存されている前記秘話付加情報を更新し、同秘話付加情報を用いて前記秘話設定送信信号および前記秘話送信信号を処理する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンと前記ワイヤレス受信機とは、それぞれ前記秘話設定モードに設定するための操作部を備え、
前記マイクロフォンと前記ワイヤレス受信機とは、それぞれの前記操作部における操作に対応して前記秘話設定モードに設定され、
前記ワイヤレス受信機は、前記秘話設定モードのとき、前記操作部における操作が継続している間に限り前記秘話設定送信信号を受信する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記付加情報は、前記音声信号を検出するためのユニークワードであり、
前記通常送信信号は、前記通常付加情報としての通常ユニークワードを前記音声信号に付加したものとし、
前記秘話送信信号は、前記通常ユニークワードと異なる前記付加情報としての秘話ユニークワードを前記音声信号に付加したものとし、
前記秘話設定送信信号は、前記通常ユニークワードを前記秘話ユニークワードに付加したものとする
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項8】
請求項2〜6のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンは、前記付加情報としての鍵情報により前記音声信号を暗号化して暗号音声信号を形成するとともに、前記鍵情報を前記暗号音声信号に付加して送信するものであり、
前記通常送信信号は、前記通常付加情報としての通常鍵情報を前記暗号音声信号に付加したものとし、
前記秘話送信信号は、前記通常鍵情報と異なる前記付加情報としての秘話鍵情報を前記暗号音声信号に付加したものとし、
前記秘話設定送信信号は、前記通常鍵情報を前記秘話鍵情報に付加したものとする
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンの前記秘話設定モードが終了してから送信禁止期間が経過するまでの間は、前記秘話設定モードの実行を禁止する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記ワイヤレス受信機の秘話設定モードが終了してから受信禁止期間が経過するまでの間は、前記秘話設定モードの実行を禁止する
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記ワイヤレス受信機が、前記秘話設定モードで、前記マイクロフォンからの送信信号を受信しない非受信回数が設定回数連続して発生したとき、前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作を無効とする
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作が設定時間内に設定回数行われたとき、その後に行われる前記ワイヤレス受信機を前記秘話設定モードとする操作を無効とする
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンが前記秘話設定モードのとき、かつ前記ワイヤレス受信機の受信する受信信号が基準受信レベルよりも小さいとき、前記受信信号の処理を行わない
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて、
前記マイクロフォンが、前記秘話設定モードにおいて送信信号を送信するときの電波強度を、前記通常通信モードにおいて送信信号を送信するときの電波強度よりも小さくする
ことを特徴とするワイヤレスマイクロフォンシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−124847(P2012−124847A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276024(P2010−276024)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000223182)ティーオーエー株式会社 (190)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000223182)ティーオーエー株式会社 (190)
【Fターム(参考)】
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