説明

ワークの移送方法および工作機械並びに加工ライン

【課題】工作機械の構成を複雑化させることなく、ワークを容易に移送する。
【解決手段】2つのコラム7a,7bの主軸6a,6bにワーク2を把持するための把持爪(移送用ホルダー)35,35をそれぞれ装着した後に、コラム7a,7bをワーク2の移送方向両側に移動させて2つの把持爪35,35でワーク2を移送方向両側から挟むように把持し、2つのコラム7a,7bをワーク2とともにその移送方向へと移動させ、把持爪35,35によるワーク2の把持を解除した後に、2つのコラム7a,7bのうち、ワーク2の移送方向に位置するコラム7bを移送方向に移動させながら把持爪35を傾動させてワーク2をその移送方向に押し込むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド上に、ワークを載置するためのテーブルと、工具を着脱可能に装着する主軸を移動可能に備え前記ワークの移送方向に沿って移動可能に設けられた2つのコラムとが設けられた工作機械でワークを移送するワークの移送方法および工作機械並びにこれを用いた加工ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の複雑な加工を要するワークに対して、複数の工作機械を併設してラインを構成することがある。この場合、隣り合う工作機械間でワークを搬送する必要があるが、従来は、隣り合う工作機械間にワークの搬送装置を設け次工程の工作機械に搬送するようになっていた。しかし、搬送装置を別途設けることは、工作機械の部品点数や設置スペースの増加を招き、コストアップの要因となっていた。そこで、例えば、特許文献1に示すような
工作機械が考案されていた。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、主軸頭に把持装置を装着して、ワークの搬送を搬送方向の主軸頭の移動機構を利用して行うことで、特別な搬送装置を設ける必要がないため、簡易な構成を実現している。
【特許文献1】特開平5−301140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、主軸頭に把持装置を装着しているため、把持装置を昇降させたり、ワークを把持したりするための駆動機構が別途必要となり、さらに改善の余地が残されていた。
【0005】
そこで、本発明は前記の問題を解決するために案出されたものであって、工作機械の構成を複雑化させることなく、ワークを容易に移送することができるワークの移送方法および工作機械並びに加工ラインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、ベッド上に、ワークを載置するためのテーブルと、ワークの移送方向に並設され少なくともワークの移送方向に個別に移動可能な2つのコラムを有し、前記2つのコラムにはそれぞれ工具を着脱可能に装着する主軸を回転自在に支持した主軸ヘッドを搭載し、2つのコラムの主軸に装着した工具によってワークを順次または同時に加工する工作機械において前記ワークを移送する移送方法であって、前記2つのコラムのうち少なくとも一方のコラムの主軸に対しワークを移送するための移送用ホルダーを装着し、前記移送用ホルダーを前記ワークに係合した状態で、少なくとも前記コラムの移動によりワークを移送方向に移送することを特徴とするワークの移送方法である。
【0007】
前記方法によれば、2つのコラムの主軸にそれぞれ装着された移送用ホルダーで係合した状態で、コラムの移動によってワークを移送するので、別途に移送装置を設ける必要はないので、工作機械の構成の複雑化を防止でき、コストアップや設置スペースの増加を抑えることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記2つのコラムの主軸に対しそれぞれ前記移送用ホルダーを装着し、前記移送用ホルダーは、前記ワークを把持するための把持爪を有し、前記2つのコラムの移動により、前記移送用ホルダーを、前記ワークを挟持する方向に移動させて、2つの前記移送用ホルダーの前記把持爪で前記ワークを移送方向両側から挟むように把持し、前記ワークを把持した状態で前記2つのコラムを移送方向下流側へ同時に移動させることにより、前記ワークを移送することを特徴とする請求項1に記載のワークの移送方法である。
【0009】
前記方法によれば、2つのコラムの主軸にそれぞれ装着された移送用ホルダーが把持爪を有して構成されており、この把持爪でワークを両側から挟みこむように把持しているので、構成を単純化できるとともに、ワークが大きく重量が重い場合であっても安定した状態で容易に移送することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記主軸ヘッドは、前記コラムに対して上下方向に移動可能に設けられており、前記移送用ホルダーを装着した2つの主軸ヘッドの上下方向の移動により、前記ワークを上下方向に移動させて、上下移動も含めたワーク搬送を行うことを特徴とする請求項2に記載のワークの移送方法である。
【0011】
前記方法によれば、主軸ヘッドの上下方向の移動を利用して、ワークを上下方向に移動させているので、専用の移動機構を別途設けることなく、ワークの移送方向を多様にすることができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記2つのコラムのうちいずれか一方のコラムの前記主軸に前記移送用ホルダーを装着し、前記移送用ホルダーが装着されたコラムの移動により、前記移送用ホルダーに前記ワークをその移送方向に押し込む方向へ移動させる動作をさせ、あるいは前記主軸の回動により、前記移送用ホルダーを傾動させて、前記ワークをその移送方向に押し込んで移動させることを特徴とする請求項1に記載のワークの移送方法である。
【0013】
ここで、ワークをその移送方向に押し込む動作とは、移送方向上流側から移送されたワークを上流側から2つの把持爪で挟持可能な位置まで引き寄せる動作と、2つの把持爪でワークを挟持して移送方向下流側に移送した後にそのワークを下流側に押し出す動作をいう。
【0014】
前記方法によれば、隣り合う工作機械との距離が長い場合でも、ワークを隣り合う工作機械との間で受け取り、受け渡しが可能となる。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記移送用ホルダーは、前記ワークを把持して回転させるための姿勢変換機構を有し、前記主軸に装着した前記移送用ホルダーにより前記ワークを移送方向両側より把持して、前記主軸と直交する軸を中心に回転させて前記ワークを姿勢変換させることを特徴とする請求項1に記載のワークの移送方法である。
【0016】
前記方法によれば、ワークの向きや角度を調整できるので、ワーク加工の効率化を図ることができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記姿勢変換機構は、前記移送用ホルダーを装着した前記主軸の回転により、姿勢変換動作させることを特徴とする請求項5に記載のワークの移送方法である。
【0018】
前記方法によれば、姿勢変換機構を駆動させる駆動源を別途設ける必要がないので、工作機械が複雑化するのを防止できる。
【0019】
請求項7に係る発明は、ベッド上に、ワークを載置するためのテーブルと、ワークの移送方向に並設され少なくともワークの移送方向に個別に移動可能な2つのコラムを有し、前記2つのコラムにはそれぞれ工具を着脱可能に装着する主軸を回転自在に支持した主軸ヘッドを搭載し、2つのコラムの主軸に装着した工具によってワークを順次または同時に加工する工作機械において、前記2つのコラムのうち少なくとも一方のコラムの主軸に対しワークを移送するための移送用ホルダーを装着し、前記移送用ホルダーを前記ワークに係合した状態で、少なくとも前記コラムの移動によりワークを移送方向に移送可能に構成したことを特徴とする工作機械である。
【0020】
前記構成によれば、ワークを、2つのコラムの主軸にそれぞれ装着された移送用ホルダーで係合した状態で、コラムの移動によって移送するので、別途に移送装置を設ける必要はなくなり、構成の複雑化を防止でき、コストアップや設置スペースの増加を抑えることができる。
【0021】
請求項8に係る発明は、前記移送用ホルダーは、前記ワークを把持するための把持爪を有し、前記2つのコラムの前記主軸に対しそれぞれ前記移送用ホルダーを装着し、前記2つの移送用ホルダーの前記把持爪により前記ワークを移送方向両側から挟むように把持して、前記ワークを移送可能に構成したことを特徴とする請求項7に記載の工作機械である。
【0022】
前記構成によれば、2つのコラムの主軸にそれぞれ装着された移送用ホルダーが把持爪を備えて構成されて、この把持爪でワークを両側から挟みこむように把持しているので、構成を単純化できるとともに、ワークが大きく重量が重い場合であっても安定した状態で容易に移送することができる。
【0023】
請求項9に係る発明は、前記主軸ヘッドは、前記コラムに対して上下方向に移動可能に設けられ、前記移送用ホルダーを装着した2つの主軸ヘッドの上下方向の移動により、前記ワークを上下方向に移動させて、上下移動も含めたワーク搬送を可能に構成したことを特徴とする請求項8に記載の工作機械である。
【0024】
前記構成によれば、主軸ヘッドの上下方向の移動を利用して、ワークを上下方向に移動させているので、専用の移動機構を別途設けることなく、簡単な構成でワークの移送方向を多様にすることができる。
【0025】
請求項10に係る発明は、前記移送用ホルダーは、前記ワークを把持して回転させるための姿勢変換機構を有し、前記主軸に装着した前記移送用ホルダーにより前記ワークを移送方向両側より把持して、前記主軸と直交する軸を中心に回転させて前記ワークを姿勢変換可能に構成したことを特徴とする請求項7に記載の工作機械である。
【0026】
前記構成によれば、ワークの向きや角度を調整できるので、ワーク加工の効率化を図ることができる。
【0027】
請求項11に係る発明は、前記姿勢変換機構は、前記移送用ホルダーを装着した前記主軸の回転により、姿勢変換動作させることを特徴とする請求項10に記載の工作機械である。
【0028】
前記構成によれば、姿勢変換機構を駆動させる駆動源を別途設ける必要がないので、工作機械が複雑化するのを防止できる。
【0029】
請求項12に係る発明は、複数の工具を収納するとともに任意の工具を選択して前記コラムの主軸に対して前記工具を交換可能にした工具マガジンをさらに備え、前記移送用ホルダーは、前記工具マガジンに収容可能に構成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の工作機械である。
【0030】
前記構成によれば、主軸における工具と把持爪との交換を自動的に行うことができ、加工および移送工程の効率化を図ることができる。
【0031】
請求項13に係る発明は、複数の工具を収納するとともに任意の工具を選択して前記コラムの主軸に対して前記工具を交換可能にした工具マガジンをさらに備え、前記移送用ホルダーは、前記工具マガジンとは別に設置された移送用ホルダー専用収容部に収容可能に構成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の工作機械である。
【0032】
前記構成によれば、工具マガジンにより多くの工具を収納することができ、多様な加工を行うことができるとともに、形状や大きさによって工具マガジンで収容不能な移送用ホルダーを好適に使用することができる。
【0033】
請求項14に係る発明は、前記テーブルの側方には、前記移送用ホルダーによって把持された前記ワークを載置および搬送するためのワーク搬送手段が設けられていることを特徴とする請求項7乃至請求項13のいずれか1項に記載の工作機械である。
【0034】
前記構成によれば、ワークの移送方向にワークを押し込む際に、ワークがローラコンベアなどのワーク搬送手段上を移動するので、ワークを摺動させることなく円滑に移送することができる。
【0035】
請求項15に係る発明は、前記テーブルは、水平方向に回転可能なターンテーブルまたは垂直方向に傾斜可能なチルトテーブルにて構成されたことを特徴とする請求項7乃至請求項14のいずれか1項に記載の工作機械である。
【0036】
前記構成によれば、ワークの向きや角度を調整できるので、ワーク加工の効率化を図ることができる。
【0037】
請求項16に係る発明は、請求項7乃至請求項15のいずれか1項に記載の工作機械を複数並設して構成したことを特徴とする加工ラインである。
【0038】
前記構成によれば、2つのコラムの主軸にそれぞれ装着された移送用ホルダーで係合した状態で、コラムの移動によってワークを移送するので、別途に移送装置を設ける必要はないので、工作機械の構成の複雑化を防止でき、簡単な構成でコストアップや設置スペースの増加を抑えることができる加工ラインを提供することができる。
【0039】
請求項17に係る発明は、ベッド上にコラムが1つの1ヘッド型工作機械をライン上に含むことを特徴とする請求項16に記載の加工ラインである。
【0040】
前記構成によれば、種々の工作機械を設置できるので、多様な加工を行うことができる。
【0041】
請求項18に係る発明は、請求項7乃至請求項15のいずれか1項に記載の工作機械のマシン幅と、前記1ヘッド型工作機械のマシン幅とを等しくしたことを特徴とする請求項17に記載の加工ラインである。
【0042】
前記構成によれば、本発明に係る工作機械と1ヘッド型工作機械との配置スペースを同じにすることができるので、配置レイアウトを容易に設計したり、工作機械の配置を部分的に変更したりすることができる。
【0043】
請求項19に係る発明は、前記複数並設された工作機械間に、傾動自在のアームの先端の保持部で前記ワークを保持して移送させるアーム型ワーク移送装置を設け、前記ワークの工作機械間搬送を行うようにしたことを特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載の加工ラインである。
【0044】
前記構成によれば、ワークの移送方向の自由度が高まり、治具や移送の設計制約を低減することができる。
【0045】
請求項20に係る発明は、前記複数並設された工作機械の各テーブルの上方において、前記複数の工作機械を跨ぐように設けられたガントリー型のフレームに沿って移動する把持部でワークを把持して移送させるガントリー型ワーク移送装置を設け、前記ワークの工作機械間搬送を行うようにしたことを特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載の加工ラインである。
【0046】
前記構成によれば、請求項19に係る発明と同様に、ワークの移送方向の自由度が高まり、治具や移送の設計制約を低減することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、工作機械の構成を複雑化させることなく、ワークを容易に移送することができるといった優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明に係るワークの移送方法および工作機械の最良の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
図1は本発明に係る工作機械の最良の実施形態を示した正面図、図2は本発明に係る工作機械の最良の実施形態を示した側面図、図3は本発明に係る工作機械の最良の実施形態を示した平面図、図4は本発明に係る工作機械に設けられる把持爪(移送用ホルダー)を示した斜視図である。
【0050】
まず、本実施形態に係る工作機械の構成について説明する。
【0051】
なお、本実施形態においては、本発明に係る工作機械の一例として、2つのコラムを有する横型のマシニングセンタについて説明するが、これに限定されるものではなく、縦型のマシニングセンタであっても同様である。また、3軸方向の取り方は種々あるが、本実施形態においては、図1に示すように、ワークがコラムの手前に配置される面を正面とし、正面から見た場合の左右方向(ワークの搬送方向)をX軸とし、前後方向(紙面表裏方向)をZ軸とし、上下方向をY軸とする。本実施形態では、移送用ホルダーが把持爪を有して構成された場合を例に挙げて説明する。
【0052】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る工作機械1は、ワーク2を加工する際にこのワーク2を載置するためにベッド3上に設けられたテーブル4と、工具5を着脱可能に装着する主軸6をY軸方向(上下方向)に移動可能に備えたコラム7が複数(本実施形態では2つ)設けられている。また、工作機械1は、コラム7ごとに設けられた主軸6をワーク2に対して、図1の左右方向に移動させるX軸移動機構10と、図1の紙面表裏方向に移動させるZ軸移動機構20(図2および図3参照)と、上下方向に移動させるY軸移動機構30とを備えている。
【0053】
図1ないし図3に示すように、コラム7の前方(図1における手前側)には、テーブル4がベッド3上に配置されている。テーブル4には、ワーク2を保持する保持機構(図示せず)が設けられており、ワーク2の加工時にこれを固定するようになっている。テーブル4の周囲には、ホッパ状の傾斜面9が形成されており、加工時の切り屑を集めて下方に排出するように構成されている。
【0054】
テーブル4の後方には、2つのコラム7a,7b(以下、2つのコラムを合わせて符号「7」と記載する場合がある)が立設されている。2つのコラム7a,7bはX軸方向に沿って並んで配置されている。コラム7a(7b)は、X軸サドル16と、このX軸サドル16の上部にZ軸方向に移動可能に設けられたZ軸サドル17と、このZ軸サドル17の前面にY軸方向に移動可能に設けられた主軸ヘッド18とを備えて構成されている。主軸ヘッド18は、Z軸に沿って水平方向前方に延出して設けられており、主軸ヘッド18の内部前方には主軸6a(6b)(以下、2つの主軸を合わせて符号「6」と記載する場合がある)が回転可能に設けられている。主軸ヘッド18の内部後方には、主軸6a(6b)を回転させる主軸モータ(図示せず)が設けられている。
【0055】
2つのコラム7a,7bのうち一方(図1中、左側)のコラム7aの主軸6aは、他方(図1中、右側)のコラム7bの主軸6bよりも大径となるように構成されている。本実施形態においては、例えば、主軸6の呼び径は、大径の主軸6aが#40、小径の主軸6bが#30となっている。なお、主軸の形状は一例であって、主軸端の形状はテーパ形状に限られるものではなく、ストレート形状等の他の形状であってもよく、主軸を交換可能に構成されており、BT、KM、HSK等、種々の工具把持部形状に対応可能となっている。また、主軸6a,6bの呼び径も#50等の他の寸法を採用してもよいのは勿論である。
【0056】
図1および図3に示すように、X軸サドル16,16の下方には、各コラム7a,7bをおのおのX軸方向に移動させるX軸移動機構10が設けられている。X軸移動機構10は、X軸方向に互いに平行に配置される一対のボールねじ11,11と、このボールねじ11,11にそれぞれ螺合するナット12,12と、ボールねじ11,11を回転させる駆動モータ13,13と、ボールねじ11,11と平行に配置されたX軸ガイド14,14とを備えている。ボールねじ11,11の端部は、カップリング(図示せず)によりそれぞれ駆動モータ13,13の出力軸と一体に回転可能に固定されている。ナット12,12は、各ボールねじ11,11にそれぞれ一つずつ螺合しており、2つのコラム7a,7bのX軸サドル16,16にそれぞれ一つずつ固定されている。したがって、一方の駆動モータ13の駆動によって一方のボールねじ11が回転すると、その回転にともなって一方のナット12が、一方のコラム7a(7b)とともにボールねじ11の長手方向(X軸方向)に移動する。このとき、コラム7a(7b)のX軸サドル16は、ボールねじ11と平行に配置された直線状のX軸ガイド14,14に移動可能に支持されているので、移動方向に案内され円滑に移動する。このようにコラム7a,7bが個別に移動することによって、主軸6a,6bもX軸方向に個別に移動する。
【0057】
図2に示すように、各コラム7a,7bのX軸サドル16の上部には、各Z軸サドル17を各々Z軸方向に移動させるZ軸移動機構20,20(図2および図3参照)がそれぞれ設けられている。Z軸移動機構20は、Z軸方向に延びて配置されるボールねじ21と、このボールねじ21に螺合するナット22と、ボールねじ21を回転させる駆動モータ23と、ボールねじ21と平行に配置されたZ軸ガイド24,24とを備えている。ボールねじ21は、Z軸サドル17の下部に固定されており、このボールねじ21はカップリング(図示せず)を介して駆動モータ23に接続されている。ナット22は、ボールねじ21に螺合しており、X軸サドル16の上部に固定されている。したがって、駆動モータ23の駆動によってボールねじ21が回転すると、その回転にともなってボールねじ21が、Z軸サドル17とともにZ軸方向に移動する。このとき、Z軸サドル17は、ボールねじ21と平行に配置された直線状のZ軸ガイド24,24に移動可能に支持されているので、移動方向に案内され円滑に移動する。このようにZ軸サドル17が移動することによって、主軸6もZ軸方向に移動する。
【0058】
図1および図2に示すように、Z軸サドル17の前部には、内部前方に主軸6が設けられた各主軸ヘッド18を各々Y軸方向(上下方向)に移動させるY軸移動機構30,30が設けられている。Y軸移動機構30は、Y軸方向に延びて配置されるボールねじ31と、このボールねじ31に螺合するナット32と、ボールねじ31を回転させる駆動モータ33と、ボールねじ31と平行に配置されたY軸ガイド34,34とを備えている。ボールねじ31は、カップリング(図示せず)を介して駆動モータ33に接続されている。Y軸サドル48は主軸ヘッド18に固定されている。ナット32は、ボールねじ31に螺合しており、Y軸サドル48に固定されている。したがって、駆動モータ33の駆動によってボールねじ31が回転すると、その回転にともなってナット32が、主軸ヘッド18とともにボールねじ31の長手方向(Y軸方向)に移動する。このとき、Y軸サドル48は、ボールねじ31と平行に配置された直線状のY軸ガイド34,34に移動可能に支持されているので、移動方向に案内され円滑に移動する。このようにY軸サドル48が移動することによって、主軸ヘッド18および主軸6もY軸方向(上下方向)に移動する。
【0059】
なお、本実施形態では、X軸移動機構10、Z軸移動機構20およびY軸移動機構30は、ボールねじ11,21,31によるナット12,22,32の送り機構と、可動部をガイドするX軸ガイド14,Z軸ガイド24,Y軸ガイド34とを組み合わせて構成されているが、これに限定されるものではなく、油圧機構やリニアモータによる移動機構を採用することもできる。
【0060】
また、本実施形態では、直交する3軸方向に移動する移動機構を備えた工作機械1について説明したが、3軸に限定する趣旨ではなく、少なくとも3軸を備えたものであればよく、直交する3軸方向に移動する移動機構の他に、テーブル4が回転するものや主軸ヘッド18の首振り機構を備えたものであってもよいのは勿論である。
【0061】
ところで、本発明は、2つのコラム7a,7bの主軸6a,6bに、ワーク2を移送方向両側から挟むように把持して移送するための移送用ホルダーをそれぞれ着脱可能に装着したことを特徴とする。移送用ホルダーは、把持爪35,35を有して構成されている。
【0062】
図4に示すように、把持爪35は、その基端側に主軸6a,6bへの装着部36を備えるとともに、先端部にワーク2の下方に挿入されて下面に係止する係止部37を備えている。
【0063】
装着部36は、他の工具5の装着部分と同様の形状を呈している。装着部36は、本実施形態では、主軸6への挿入部36aがテーパ形状となっており、装着される大径の主軸6aおよび小径の主軸6bに応じた形状に形成されている。これによって、把持爪35は、後記する工具マガジン8a,8bにも装着可能となり、収容可能となるように構成されている。なお、装着部36の形状は一例であって、ストレート形状等の他の形状であってもよく、主軸6a,6bの形状に応じて、BT、KM、HSK等、種々の工具形状に選択的に構成される。また、装着部36の寸法も、主軸6a,6bの寸法に応じて適宜選択される。
【0064】
装着部36には、前方に所定長さ延出して屈曲するロッド状のアーム部38が繋がっており、アーム部38の先端に係止部37が形成されている。アーム部38は、ワーク2を把持可能な強度を有している。一対の把持爪35は、ワーク2を両側から挟むように把持するように構成されているので、アーム部38は、ワーク2の略半分の荷重を把持できる強度をそれぞれ有していればよい。係止部37は、平面状に形成されており、ワーク2を載置可能な強度と大きさ(長さおよび幅)を有している。一対の把持爪35は、ワーク2を両側から挟むように把持するように構成されているので、係止部37は、一対でワーク2を係止して持ち上げる強度を有していればよい。係止部37は、ワーク2の幅(Z軸方向)に近いZ軸方向長さ(例えば、ワーク2のZ軸方向長さの3分の2以上の長さ)を有しており、ワーク2を安定して支持できるように構成されている。
【0065】
図1ないし図3に示すように、ベッド3上で、テーブル4のX軸方向側部には、把持爪35,35で把持されてコラム7a,7bの移動に伴って移動されたワーク2が載置されるワーク搬送手段としてのローラコンベア40が設けられている。ローラコンベア40は、ローラ41がZ軸方向に沿って配置されており、ワーク2をその移送方向(X軸方向)に移動させるように構成されている。ローラコンベア40の上面は、テーブル4の上面と略同じ高さとなるように構成されている。なお、ローラコンベア40は、図7に示すように、複数配列された工作機械のうち、最も移送方向上流側に位置する工作機械には、ベッドの下流側のみに設けられていればよく、中間部に設けられる工作機械には、ベッドの上流側および下流側の両側に設けられ、最も移送方向下流側に位置する工作機械には、ベッドの上流側にのみ設けられていればよい。なお、最も移送方向上流側あるいは下流側に位置する工作機械であっても、ローラコンベアをベッドの上流側および下流側の両側に設けてもよいのは勿論である。
【0066】
図1に示すように、コラム7の前部上方には、複数の工具5および把持爪35を収納するとともに任意の工具5または把持爪35を選択してコラム7に供給する工具マガジン8が設けられている。本実施形態では、2つのコラム7a,7bごとに、工具マガジン8a,8bがそれぞれ設けられている。なお、本実施形態では、コラム7a,7bと同数の工具マガジン8a,8bが設けられているが、これに限られるものではない。図示しないが、2つ以上の複数のコラムに対して、共用の1つの工具マガジンを設けるようにしてもよい。
【0067】
2つの工具マガジン8a,8b(以下、2つの工具マガジンを合わせて符号「8」と記載する場合がある)は、ベッド3上に設けられたフレーム47に取り付けられ、コラム7a,7bの前部上方にそれぞれ配置されており、コラム7a,7bで使用される加工用の工具5等が収納されている。
【0068】
工具マガジン8a(8b)は、上下方向に所定の間隔をあけて配置された一対のスプロケット25,25と、このスプロケット25,25に架け渡された無端チェーン26と、この無端チェーン26の外周側に複数設けられた工具把持部27,27,27・・・とを備えている。一方(本実施形態では上方)のスプロケット25には、駆動モータ28(図2参照)が設けられており、スプロケット25を回転させることで、無端チェーン26および工具把持部27,27,27・・・が回動し、所望の工具を工具交換位置29に移動させるように構成されている。
【0069】
ここで、大径の主軸6aを備えたコラム7aの上方に位置する工具マガジン8aの工具把持部27には、大径用の工具5に対応可能な大径用工具把持部27aが用いられており、大径工具が収容されるようになっている。一方、小径の主軸6bを備えたコラム7bの上方に位置する工具マガジン8bの工具把持部27には、小径用の工具5に対応可能な小径用工具把持部27bが用いられており、小径工具が収容されるようになっている。
【0070】
なお、本実施形態では、工具マガジン8は、チェーンタイプのものであるがこれに限られるものではない。例えば、円盤タイプ等、他の方式であってもよく、収納する工具の形状や数量、スペース効率等を考慮して適宜設定される。
【0071】
工具5を交換するに際しては、コラム7を適宜移動させて主軸6を工具マガジン8の下部の工具交換位置29に移動させて、使用済み工具を空の工具把持部27に受け渡して把持させる。その後、所望の工具を把持した工具把持部27を工具交換位置29まで移動させて、主軸6に装着する。これらの各部の動作は、図示しない制御部に格納された制御プログラムによりワーク2の加工工程に対応して適宜指令される。
【0072】
ここで、工具マガジン8には、種々の工具5等が収容されている。具体的には、フライス、ドリル、タップやエンドミル等の工具の他に、ワーク2を移送するための把持爪35が、工具把持部27,27,27・・・に把持されている。これらの工具のうち、比較的大きい加工トルクがかかるフライスや大径の工具は、大径用工具把持部27aを有する工具マガジン8aに収容されている。一方、比較的小さい加工トルクしかかからない小径の工具は、小径用工具把持部27bを有する工具マガジン8bに収容されている。
【0073】
このように、2つのコラム7a,7bごとに工具マガジン8a,8bをそれぞれ設けているので、両方のコラム7a,7bで工具交換を行う場合であっても待ち時間がない。すなわち、かかる工作機械1によれば、比較的時間がかかる工具交換を同時に並行して行うことができるので、工具交換時の時間ロスが発生せず、加工工程全体のサイクルタイムを短縮することができ、加工効率を高めることができる。さらに、本実施形態では、工具マガジン8a,8bに把持爪35も収容しているので、工具5と把持爪35の交換を自動で効率よく行うことができる。
【0074】
また、かかる工作機械1は、2つのコラム7a,7bのうち一方のコラム7aの主軸6aは、他方のコラム7bの主軸6bよりも大径となるように構成され、大径の主軸6aを備えるコラム7aに対応する工具マガジン8aは、他方の工具マガジン8bに収容される工具5よりも、大径の工具5を収容するようになっているので、加工目的や使用工具に応じてコラム7a,7bのそれぞれで適切な加工を行うことができ、さらなる加工効率の向上および加工の選択肢の幅を広げることができる。また、加工種類に応じて、工具5を使い分けることもできるので、工具マガジン8a,8bごとで工具5の種類および大きさを統一でき、工具5を効率よく収容することができる。
【0075】
次に、前記構成の工作機械1によってワーク2を移送する方法を説明しながら、かかる工作機械1およびワークの移送方法の作用について説明する。
【0076】
本実施形態に係る工作機械1でワーク2を隣接する工作機械(図示せず)に移送するに際しては、図1に示すように、まず、工具マガジン8a,8bから各コラム7a,7bの主軸6a,6bに、把持爪35,35をそれぞれ装着させる。そして、各コラム7a,7bを移動させて、把持爪35,35をワーク2の両側(X軸方向)の上方位置に移動させる。このとき、把持爪35,35は、下方が互いに離反するように主軸6a,6bをそれぞれ回転させておき、正面視ハ字状を呈するようにしておく。ここで、把持爪35,35の係止部37,37間の距離は、ワーク2のX軸方向長さよりも若干大きくなるようにしておく。その後、主軸6a,6bを下降させて、把持爪35,35をテーブル4上まで移動させる。このとき、テーブル4のクランプ装置(図示せず)を作動させて、ワーク2をテーブル4上で所定高さ浮上させる。そして、係止部37が互いに近接するように、主軸6a,6bをそれぞれ回転させて、係止部37をワーク2の底面とテーブル4との隙間に挿入させる。
【0077】
その後、図5に示すように、一対の把持爪35,35でワーク2を把持した状態で、2つのコラム7a,7bの主軸6a,6bを同時に上昇させてワーク2を持ち上げる。このとき、ワーク2は、両側の係止部37,37に載置されて係止されることとなるが、係止部37が適度な強度および大きさを有しており、さらに両側から支持されることで、安定して把持されることとなる。
【0078】
ワーク2を持ち上げた後は、図6に示すように、2つのコラム7a,7bを同時にワーク2の移送方向へと移動させて、ワーク2をローラコンベア40の上方位置へと移送する。そして、2つのコラム7a,7bの主軸6a,6bを同時に下降させてワーク2をローラコンベア40上に載置する。その後、各把持爪35,35の下方が互いに離反するように主軸6a,6bをそれぞれ回転させて、把持爪35を傾動させることで、係止部37,37をワーク2の下面から引き抜く。さらにその後、主軸6a,6bを上昇させて、ワーク2から把持爪35,35を離反させる。
【0079】
その後、各コラム7a,7bをワーク2の移送方向上流側へと移動させて、ローラコンベア40上に載置されたワーク2よりも移送方向上流側へ把持爪35,35を移動させる。そして、移送方向下流側のコラム7bの主軸6bを下降させて、把持爪35をワーク2の移送方向上流側位置に移動させる。その後、図7に示すように、コラム7bを移送方向へと移動させるとともに把持爪35を移送方向へと傾動させて、コラム7bの主軸6bに装着された把持爪35の背面(移送方向下流側面)で、ワーク2をローラコンベア40上で移送方向へと押し込む(押し出す)。このとき、ワーク2はローラコンベア40上に載置されているので、把持爪35の背面で押し込むだけで、円滑に移送される。ここで、隣接する工作機械1’(図7参照)上では、移送方向上流側のコラム7’aの把持爪35’をローラコンベア40上に位置させておき、ワーク2が移動しすぎるのを防止するストッパとして機能させることができる。なお、ワーク2を押し込むに工程は、コラム7bの移動の動作のみ、または把持爪35の傾動の動作のみで行うようにしてもよい。
【0080】
その後、隣接する工作機械1’の移送方向上流側のコラム7’aの把持爪35’で、ローラコンベア40上のワーク2を移送方向へ押し込んだ(引き寄せた)後、コラム7’a,7’bの主軸6’a,6’bに装着された把持爪35’,35’で把持して、テーブル4’上に移送して載置する。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、2つのコラム7a,7bの主軸6a,6bにそれぞれ装着された把持爪35,35でワーク2を移送方向の両側から挟みこむように把持しているので、ワーク2の重量を二つのコラム7a,7bで分担して支持することができる。また、ワーク2の大きさに応じて、各コラム7a,7bの位置を調整することができ、適度な支点間距離でワーク2を把持することができる。したがって、ワーク2が大きく重量が重い場合であっても安定した状態で容易に移送することができる。また、コラム7a,7bおよび主軸6a,6bの移動によってワーク2を移送するので、把持爪35,35以外に別途に移送装置を設ける必要はなく、工作機械1の製造コストのアップや設置スペースの増加を抑えることができる。
【0082】
また、工作機械1には、工具マガジン8a,8bがさらに設けられており、把持爪35は、工具マガジン8a,8bに収容可能に構成されているので、主軸6a,6bにおける工具5と把持爪35との交換を自動的に行うことができる。したがって、加工および移送工程の効率化を図ることができる。
【0083】
また、把持爪35,35の装着部36,36は主軸6a,6bに着脱可能に構成されており、工具マガジン8a,8bに収容可能であるので、把持爪35,35の装着機構や収容場所を別途設ける必要がない。また、把持爪35を既存の工作機械1にも適用することができる。
【0084】
さらに、把持爪35,35は、ワーク2の下方に挿入されて下面に係止する係止部37,37を備えているので、係止部37,37でワーク2の重量を確実に支持することができ、移送の安定度をさらに高めることができる。
【0085】
さらに、ベッド3の側部にローラコンベア40が設けられているので、ワーク2の移送方向下流側に位置するコラム7bを移送方向に移動させながら把持爪35を傾動させてワーク2をその移送方向に押し込む際に、ワーク2がローラコンベア40上を移動するので、ワーク2を摺動させることなく円滑に移送することができる。
【0086】
以上、本発明の最良の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、前記実施形態では、把持爪35の係止部37は平板状に形成されているがこれに限られるものではない。例えば、摩擦係数の高い樹脂やゴム等の部材をアーム部の垂直部分の内側に設けて係止部とし、ワークの側面を係止部で両側から挟みこんで把持するようにしてもよい。また、本実施形態の係止部37は、ワーク2の下面に挿入されてワーク2を係止するものであるが、ワーク2の側面に段差や凹部がある場合には、その段差や凹部に係止するような構造であってもよい。
【0087】
さらに、本実施形態では、把持爪35のアーム部38は直角に屈曲して、その先端に係止部37が直交するように形成されているが、これに限られるものではなく、アーム部の屈曲角度やアーム部と係止部との交差角度は、ワークの形状に応じて設定されるものである。
【0088】
また、本実施形態では、ローラコンベア40は、駆動機能を有していないが、モータやチェーン等を設けて、ローラコンベア40自体でワーク2を搬送可能な構造としてもよい。このようにすれば、工作機械間の距離が長い場合であってもワーク2を搬送することが可能となる。また、ワーク搬送手段は、ローラコンベア40に限られるものではなく、ベルトコンベア等、他の搬送手段を採用することも可能である。
【0089】
さらに、本実施形態では、2つのコラム7a,7bの主軸6a,6bが、それぞれ径の違う構造となっているが、これに限られるものではなく、2つの主軸が同径であってもよいのは勿論である。
【0090】
また、移送用ホルダーの形状や大きさによっては、例えば、工具マガジン8a,8bに収容が困難な場合は、図7の右側のA部に仮想的に示すように、移送用ホルダーを工具マガジン8a,8bに収容せず、別途に設けた移送用ホルダー専用収容部8’に収容しておくようにしてもよい。なお、図7の実施形態では、移送用ホルダー専用収容部8’は設けられていないが、設けてもよい。この場合も、コラム7a,7bの主軸6a,6bの移動により、移送用ホルダーの移送用ホルダー専用収容部8’への装着を自動で行う。移送用ホルダー専用収容部8’は、フレーム47の上部に設けられており、移送用ホルダーを把持する工具把持部8’aと、この工具把持部8’aをフレーム47に固定するためのブラケット8’bとを備えて構成されている。工具把持部8’aは、下側に向いて開口するように配置され、少なくとも移送用ホルダーの個数以上設けられている(本実施形態では2個)。このようにすれば、工具マガジン8a,8bの収容スペースが減ることがなく、より多くの工具5を収納することができ、多様な加工を行うことができるとともに、形状や大きさによって工具マガジン8a,8bで収容不能な移送用ホルダーを好適に収容・使用することができる。なお、移送用ホルダー専用収容部は、前記のようにフレーム47に固定する形態に限られるものではなく、独立したマガジンを設けて、回転可能に設けてもよい。
【0091】
また、テーブルは各コラム7a,7bに対応して2個設けたタイプとし、両テーブル間を前記した移送方法と同様な移送方法でワーク搬送するようにしてもよい。
【0092】
以下に、テーブルを2個設けた実施形態を説明する。図8は本発明に係る工作機械の第二の実施形態を示した正面図、図9は本発明に係る工作機械の第二の実施形態を示した平面図である。
【0093】
図8および図9に示すように、かかる実施形態では、図1の実施形態のテーブル4に代えて、水平方向に回転するターンテーブル50をベッド3上に載置したことを特徴とする。ターンテーブル50は、上端が円盤状に形成されており、内蔵されたモータおよびウォームギヤ(図示せず)等の機構によって回転するインデックステーブルが採用されており、ワーク2を、工具5に対して所望の角度に精度良く対向させるようになっている。ターンテーブル50は、ワーク2の移送方向(図8の左右方向)に沿って二つ設けられており、各ターンテーブル50,50はそれぞれ独立して回転可能に構成されている。なお、その他の構成については、図1の実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0094】
ターンテーブル50,50間のワーク2の移動は、コラム7a,7bの主軸6a,6bに把持爪35,35をそれぞれ装着し、2つのコラム7a,7bを、ワーク2を挟持する方向に移動させて、2つの把持爪35,35でワーク2を移送方向両側から挟むように把持し、ワーク2を把持した状態で2つのコラム7a,7bを移送方向下流側へ同時に移動させることにより行う。なお、隣り合う工作機械51,51間のワーク2の移動は、後記するアーム型ワーク移送装置62(図13参照)やガントリー型ワーク移送装置92(図17参照)などの移送装置を用いて行う。
【0095】
以上のような構成の工作機械51によれば、ターンテーブル50によってワークの向きや角度を自由に調整できるので、ワーク2の側面の全面を加工することができる。したがって、ワーク2の加工範囲を広くすることができ、加工の効率化を図ることができる。さらに、本実施形態ではターンテーブル50が二つ並んで設けられているので、二つのワーク2を同時に加工することができ、加工時間の短縮を図ることができる。そして、各ターンテーブル50は、個別に回転することができるので、それぞれ別工程の加工を行うことができる。なお、かかる工作機械51では、両方のテーブルがターンテーブル50となっているが、これに限られるものではない。例えば、固定式テーブル、ターンテーブルおよび後記するチルトテーブルを適宜選択して組み合わせるようにしてもよい。
【0096】
また、工作機械51は、2つのコラム7a,7bが移動可能な外側フレームの外枠寸法からなるマシン幅が、ベッド上にコラムが1つの1ヘッド型工作機械(図示せず)のマシン幅と同等となるように構成されている。このような構成によれば、本実施形態に係る工作機械51と1ヘッド型工作機械との配置スペースを同じにすることができるので、配置レイアウトを容易に設計したり、工作機械の配置を部分的に変更して交換したりすることができる。
【0097】
図10は本発明に係る工作機械の第三の実施形態を示した側面図である。
【0098】
図10に示すように、かかる実施形態では、図1の実施形態のテーブル4に代えて、垂直方向に傾動するチルトテーブル52をベッド3上に載置したことを特徴とする。チルトテーブル52は、ワーク2の移送方向に延びる回転軸52aを有しており、この回転軸52aに軸支されたテーブル本体52bが、モータ(図示せず)などの駆動手段によって、ワーク2の移送方向に直交する方向に傾動するようになっている。チルトテーブル52も、ターンテーブル50と同様に、ワーク2の移送方向に沿って二つ設けられており、各チルトテーブル52(一方のみ図示)はそれぞれ独立して傾動可能に構成されている。なお、その他の構成については、図1の実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0099】
チルトテーブル52間のワーク2の移動は、図8の実施形態と同様に、一対のコラム7b(一方のみ図示)の主軸6b(一方のみ図示)に把持爪35(一方のみ図示)をそれぞれ装着し、2つのコラム7bを、ワーク2を挟持する方向に移動させて、2つの把持爪35でワーク2を移送方向両側から挟むように把持し、ワーク2を把持した状態で2つのコラム7bを移送方向下流側へ同時に移動させることにより行う。なお、隣り合う工作機械53間のワーク2の移動は、後記するアーム型ワーク移送装置62(図13参照)やガントリー型ワーク移送装置92(図17参照)などの移送装置を用いて行う。
【0100】
以上のような構成の工作機械53によれば、チルトテーブル52によってワーク2の主軸6に対する垂直方向の角度を自由に調整できるので、ワーク2の加工角度を調整することができる。したがって、ワーク2の加工範囲を広くすることができ、加工の効率化を図ることができる。さらに、本実施形態ではチルトテーブル52が二つ並んで設けられているので、二つのワーク2を同時に加工することができ、加工時間の短縮を図ることができる。そして、各チルトテーブル52は、個別に傾動することができるので、それぞれ別工程の加工を行うことができる。
【0101】
図11は本発明に係る工作機械の主軸に装着されるワークの姿勢変換機構を有する移送用ホルダーを示した斜視図、図12は本発明に係る工作機械の主軸に装着されるワークの姿勢変換機構を有する移送用ホルダーの把持機構と姿勢変換機構を説明するための模式的断面図である。
【0102】
図11に示したワーク2の移送用ホルダー55は、他の工具と同様に、主軸6(図12参照)に選択的に装着されるものであって、使用しないときは工具マガジンに収容される。移送用ホルダー55は、ワーク2を把持して回転させる装置であって、ワーク2(図12参照)を押圧して把持する把持機構56と、主軸6の回転力を利用してワーク2を垂直方向に回転する姿勢変換機構57と、を備えたタイプを使用している。
【0103】
移送用ホルダー55は、シャンク部55aと、ホルダ部55bと、を備え、ワーク2を把持した状態で主軸6をY軸駆動機構(図示せず)により上方へ移動させてリフトアップし、主軸6の回転によりワーク2を垂直方向に360°回転できるように構成されている。
【0104】
図12に示すように、把持機構56は、一例として、油圧等の流体圧力を利用して把持する機構を採用し、ピストン56aおよびシリンダ56bと、ピストンをワーク2の開放側に付勢するばね56cと、ワーク2をベアリング56eを介して回転自在に把持するホルダプレート56dと、流路L1と、を備えて構成されている。かかる構成により、図示しない制御バルブを介して流路L1に圧力流体を供給してワーク2を把持し、圧力流体の供給を停止しばね56cの付勢力を作用させてワーク2を開放する。
【0105】
姿勢変換機構57は、主軸6の回転力を、シャンク部55aを介して主軸6から、かさ歯車57bおよび入力軸57aを介して減速機57cに伝達し、減速機57cの出力軸57dに連結された回転板57eを回転して、ワーク2を垂直方向に回転できるように構成されている。
【0106】
かかる構成により、図12に示すように、水平方向の出力軸57dを中心として垂直方向に回転させてワークWの角度を変えることができる。このため、ワークWの上下面を反転させることもでき、多様な加工に対応することが可能となる。また、この移送用ホルダー55を用いれば、ワーク2を把持してコラムを移動させることで、ワーク2を隣りのテーブルへ移送することも可能となる。
【0107】
図13は本発明に係る加工ラインの最良の実施形態を示した正面図、図14はアーム型ワーク移送装置のワーク受取状態を示した正面図、図15はアーム型ワーク移送装置のワーク移送状態を示した正面図、図16はアーム型ワーク移送装置のワーク引渡状態を示した正面図である。
【0108】
図13に示すように、本実施形態の加工ライン61は、図8に示した実施形態の工作機械51を複数並設することで構成されており、隣り合う工作機械51,51間にアーム型ワーク移送装置62が設けられている。
【0109】
図14に示すように、アーム型ワーク移送装置62は、傾動自在のアームの先端の保持部でワークを保持して移送させるものである。具体的には、アーム型ワーク移送装置62は、工作機械51,51間の所定位置に設けられた支持部材63に一端(基端側)が支持された第1の4節リンク64と、この第1の4節リンク64の他端(先端側)に一端が(基端側)が支持された第2の4節リンク65と、この第2の4節リンク65の他端(先端側)に支持されワーク2を保持してそのワークを移送するためのワーク移送部67と、第1の4節リンク64の回動に伴なって第2の4節リンク65を反対方向に回動させるための回動機構68とを備えている。
【0110】
アーム型ワーク移送装置62は、支持部材63となるフレーム63aが、工作機械51,51の側面から延出して設けられた支持台51a上に固定されている。フレーム63aの前面(図13中手前側)には、第1の4節リンク64が昇降可能に支持されている。第1の4節リンク64は、基端側の一端に設けられた軸支部材71と、この軸支部材71にそれぞれ軸支された第1回動アーム72a,第2回動アーム72bと、これら第1回動アーム72aの先端部と第2回動アーム72bの先端部とを接続する接続部材73から構成されている。第2の4節リンク65は、前記した接続部材73と、この接続部材73にそれぞれ軸支された第1支持アーム74a,第2支持アーム74bと、第1支持アーム74aの先端部と第2支持アーム74bの先端部に架け渡される保持部材75から構成されている。
【0111】
第1の4節リンク64の軸支部材71は、フレーム63aに設けられ鉛直方向に延びる一対のレール63bに支持されており、鉛直方向に延びるボールネジ63cの回転によって、レール63bに沿って昇降するように構成されている。なお、ボールネジ63cには、これを回転させるための駆動モータ63dが接続されている。
【0112】
軸支部材71の前面には、第1回動アーム72aおよび第2回動アーム72bがその基端部(下端部)において、支軸76a,76bを介して回動可能に支持されている。第1回動アーム72aおよび第2回動アーム72bの先端部(上端部)には、第1支持アーム74aの基端部(上端部)と第2支持アーム74bの基端部(上端部)が、連動軸77a,77bを介して回動可能に支持されている。軸支部材71上には駆動手段としても駆動用モータ(図示せず)が配設され、その駆動用モータが第1回動アーム72aの支軸76aに連結されている。この駆動用モータの回転にしたがって、第1回動アーム72a、第2回動アーム72bおよび接続部材73、すなわち、第1の4節リンク64が連動して回動することとなる。
【0113】
第1回動アーム72aの基端部には、係合突起78aが延出されて形成されている。この係合突起78aは、第1の4節リンク64が図中右側の所定位置まで回動したときに、第2回動アーム72bの基端部に係合して、第1の4節リンク64がそれ以上右側に回動しないように回動範囲が規制される。また、軸支部材71の前面で、支軸76aの斜め上方には、突起78bが形成されており、第1の4節リンク64が図中左側の所定位置まで回動したときに、第1回動アーム72aの背面が突起78bに係合して、第1の4節リンク64がそれ以上左側に回動しないように回動範囲が規制される。
【0114】
接続部材73には、第1の4節リンク64の回動に伴なって第2の4節リンク65を反対方向に回動させるための回動機構68が設けられている。回動機構68は、連動軸77a,77bと、これら連動軸77a,77b間に設けられた連動ギヤ(図示せず)とで構成されており、第1の4節リンク64の回動に伴なって、第2の4節リンク65を反対方向に同等の角度回動させるように構成されている。
【0115】
第1支持アーム74aと第2支持アーム74bの先端部には、保持軸79a,79bが連動軸77a,77bと同じ方向に突出して固定されている。これら保持軸79a,79b間には、保持部材75が架け渡されて相対回転可能に支持されている。保持部材75の上には、ワーク2を載置する移載部材80が設けられている。移載部材80は、レール81を介して、ワーク2の移送方向に移動可能になるように保持部材75に支持されている。移載部材80の上面には、ワーク2を支持するためのワーク支持部82が固定配置されている。移載部材80と第1支持アーム74aとの間には、第1支持アーム74aの回動に伴なって、移載部材80をワーク2の移送方向に移動させる連動機構(図示せず)が設けられている。連動機構は、保持部材75に回転可能に支持されたピニオン(図示せず)と、移載部材80に設けられたラック(図示せず)とを備えて構成されている。ラックはワーク2の移送方向に延びて配置されている。ピニオンは、第1支持アーム74aの保持軸79aと直接または間接的に連結されており、第1支持アーム74aの回動に伴なって、ピニオンが回転し、ラックを移動させるようになっている。連動機構は、第1支持アーム74aと第2支持アーム74bが右側端部に傾斜したときに、移載部材80を右側端部に移動させ(図14参照)、第1支持アーム74aと第2支持アーム74bが左側端部に傾斜したときに、移載部材80を左側端部に移動させ(図16参照)、第1支持アーム74aと第2支持アーム74bが傾動範囲の中央部で鉛直になるときに、移載部材80を中央に移動させる(図15参照)ように構成されている。すなわち、第1支持アーム74aと第2支持アーム74bが、その傾動範囲を一端から他端まで傾動すると、移載部材80は、その長さ分移動することとなる。
【0116】
図13に示すように、本実施形態では、同一の工作機械51内のターンテーブル50,50間のワーク2の移動は、コラム7a,7bの主軸6a,6bに把持爪(移送用ホルダー)35,35をそれぞれ装着し、2つのコラム7a,7bを、ワーク2を挟持する方向に移動させて、2つの把持爪35,35でワーク2を移送方向両側から挟むように把持し、ワーク2を把持した状態で2つのコラム7a,7bを移送方向下流側へ同時に移動させることにより行う。
【0117】
隣り合う工作機械51,51間でワーク2を移動するに際しては、まず、把持爪35,35でワーク2を挟持して上方に持ち上げ、そのワーク2の下方にアーム型ワーク移送装置62の移載部材80を移動させて、ワーク2をワーク支持部82の上に載置して把持する。そして、第1の4節リンク64を回動させると、これに伴なって、第2の4節リンク65が回動するとともに、移載部材80が他方の工作機械51のターンテーブル50上に移動する。その後、移載部材80のワーク支持部82上のワーク2を移送方向下流側の工作機械51の把持爪35,35で挟持する。
【0118】
なお、移送方向上流端(図13中、右側)には、ローダー83が設けられている。ローダー83は、ワーク2の最上流の加工位置までワーク2を移送するように配置されており、ローダー83上から、ワーク2が把持爪35,35で挟持されるようになっている。
【0119】
また、移送方向下流端(図13中、左側)には、アンローダー84が設けられている。下流端のアンローダー84と工作機械51との間には、アーム型ワーク移送装置62が設けられており、工作機械51から移送されたアーム型ワーク移送装置62上のワーク2は、図示しない把持装置に把持されて、アンローダー84上に移送される。
【0120】
このような構成によれば、ワーク2の移送方向の自由度が高まり、治具や移送の設計制約を低減することができる。また、アーム型ワーク移送装置62でワーク2を移送する際に、上流側の工作機械51では、次の加工工程に入ることができるので、加工効率を高くすることができる。
【0121】
図17は本発明に係る加工ラインの他の実施形態を示した正面図である。
【0122】
図17に示すように、本実施形態の加工ライン91は、図8に示した実施形態の工作機械51を複数並設することで構成されており、複数の工作機械51,51を跨ぐようにガントリー型ワーク移送装置92が設けられている。
【0123】
ガントリー型ワーク移送装置92は、複数並設された工作機械51,51のターンテーブル50,50・・・の上方において、複数の工作機械51,51を跨ぐように設けられたガントリー型のフレーム93に沿って移動する把持部94でワーク2を把持して移送させるものである。ガントリー型のフレーム93は、ワーク2の移送方向に沿って配列された工作機械51,51,51の移送方向両側に設けられた柱材93a,93aと、これら柱材93a,93a間に架け渡された梁材93bとを備えて構成されている。この梁材93bは、把持部94を備えた走行部95のガイドレールの役目を果たす。走行部95は、駆動モータ95aを備えており、駆動モータ95aの回転により、梁材93bに沿って走行する。走行部95には、上下方向に移動する一対の昇降部材96,96が設けられている。昇降部材96,96は、ワーク2の移送方向に所定間隔を空けて並設されており、それぞれ単独で昇降可能に構成されている。昇降部材96,96の下端部には、ワーク2を把持する把持部94,94がそれぞれ設けられており、昇降部材96,96が下降することで、把持部94,94をターンテーブル50,50に近接させて、ワーク2の受け渡しを行うようになっている。
【0124】
本実施形態では、同一の工作機械51内のターンテーブル50,50間のワーク2の移動は、コラム7a,7bの主軸6a,6bに把持爪35,35をそれぞれ装着し、2つのコラム7a,7bを、ワーク2を挟持する方向に移動させて、2つの把持爪35,35でワーク2を移送方向両側から挟むように把持し、ワーク2を把持した状態で2つのコラム7a,7bを移送方向下流側へ同時に移動させることにより行う。
【0125】
隣り合う工作機械51,51間でワーク2を移動するに際しては、まず、把持爪35,35でワーク2を挟持して上方に持ち上げ、そのワーク2の下方にガントリー型ワーク移送装置92の昇降部材96を下降させて、工作機械51のターンテーブル50から把持部94へとワーク2を移動させる。そして、把持部94でワーク2を把持した状態で、走行部95を走行させて、ワーク2を隣り合う工作機械51のターンテーブル50上に移送して、ターンテーブル50上に受け渡す。
【0126】
このような構成によれば、ガントリー型ワーク移送装置92の移送方向を変更することで、ワーク2の移送方向の自由度が高まり、治具や移送の設計制約を低減することができる。さらに、ガントリー型ワーク移送装置92を用いれば、隣り合う工作機械51,51間の距離を小さくすることができ、加工ライン91の設置スペースを小さくすることができる。
【0127】
なお、前記の加工ライン61,91の工作機械の形態および配置レイアウト、ワーク移送装置の形態や配置レイアウト等は一例であって、求められる加工工程に応じて、適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、加工ライン61,91は、2つのコラムを有する複数の工作機械にて構成されているが、ベッド上にコラムが1つの1ヘッド型工作機械をライン上に含むようにしてもよい。このようにすれば、種々の工作機械を設置できるので、多様な加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明に係る工作機械の最良の実施形態を示した正面図である。
【図2】本発明に係る工作機械の最良の実施形態を示した側面図である。
【図3】本発明に係る工作機械の最良の実施形態を示した平面図である。
【図4】本発明に係る工作機械に設けられる把持爪を示した斜視図である。
【図5】本発明に係るワークの移送方法を説明するための工作機械の正面図である。
【図6】本発明に係るワークの移送方法を説明するための工作機械の正面図である。
【図7】本発明に係るワークの移送方法を説明するための工作機械の正面図である。
【図8】本発明に係る工作機械の第二の実施形態を示した正面図である。
【図9】本発明に係る工作機械の第二の実施形態を示した平面図である。
【図10】本発明に係る工作機械の第三の実施形態を示した側面図である。
【図11】本発明に係る工作機械の主軸に装着されるワークの姿勢変換機構を有する移送用ホルダーを示した斜視図である。
【図12】本発明に係る工作機械の主軸に装着されるワークの姿勢変換機構を有する移送用ホルダーの把持機構と姿勢変換機構を説明するための模式的断面図である。
【図13】本発明に係る加工ラインの最良の実施形態を示した正面図である。
【図14】アーム型ワーク移送装置のワーク受取状態を示した正面図である。
【図15】アーム型ワーク移送装置のワーク移送状態を示した正面図である。
【図16】アーム型ワーク移送装置のワーク引渡状態を示した正面図である。
【図17】本発明に係る加工ラインの他の実施形態を示した正面図である。
【符号の説明】
【0129】
1 工作機械
2 ワーク
3 ベッド
6 主軸
6a 主軸
6b 主軸
7 コラム
7a コラム
7b コラム
8 工具マガジン
8a 工具マガジン
8b 工具マガジン
35 把持爪(移送用ホルダー)
36 装着部
37 係止部
50 ターンテーブル
51 工作機械
52 チルトテーブル
53 工作機械
55 移送用ホルダー
57 姿勢変換機構
61 加工ライン
62 アーム型ワーク移送装置
91 加工ライン
92 ガントリー型ワーク移送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド上に、ワークを載置するためのテーブルと、ワークの移送方向に並設され少なくともワークの移送方向に個別に移動可能な2つのコラムを有し、前記2つのコラムにはそれぞれ工具を着脱可能に装着する主軸を回転自在に支持した主軸ヘッドを搭載し、2つのコラムの主軸に装着した工具によってワークを順次または同時に加工する工作機械において前記ワークを移送する移送方法であって、
前記2つのコラムのうち少なくとも一方のコラムの主軸に対しワークを移送するための移送用ホルダーを装着し、前記移送用ホルダーを前記ワークに係合した状態で、少なくとも前記コラムの移動によりワークを移送方向に移送する
ことを特徴とするワークの移送方法。
【請求項2】
前記2つのコラムの主軸に対しそれぞれ前記移送用ホルダーを装着し、
前記移送用ホルダーは、前記ワークを把持するための把持爪を有し、前記2つのコラムの移動により、前記移送用ホルダーを、前記ワークを挟持する方向に移動させて、2つの前記移送用ホルダーの前記把持爪で前記ワークを移送方向両側から挟むように把持し、
前記ワークを把持した状態で前記2つのコラムを移送方向下流側へ同時に移動させることにより、前記ワークを移送する
ことを特徴とする請求項1に記載のワークの移送方法。
【請求項3】
前記主軸ヘッドは、前記コラムに対して上下方向に移動可能に設けられており、
前記移送用ホルダーを装着した2つの主軸ヘッドの上下方向の移動により、前記ワークを上下方向に移動させて、上下移動も含めたワーク搬送を行う
ことを特徴とする請求項2に記載のワークの移送方法。
【請求項4】
前記2つのコラムのうちいずれか一方のコラムの前記主軸に前記移送用ホルダーを装着し、
前記移送用ホルダーが装着されたコラムの移動により、前記移送用ホルダーに前記ワークをその移送方向に押し込む方向へ移動させる動作をさせ、あるいは前記主軸の回動により、前記移送用ホルダーを傾動させて、前記ワークをその移送方向に押し込んで移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載のワークの移送方法。
【請求項5】
前記移送用ホルダーは、前記ワークを把持して回転させるための姿勢変換機構を有し、
前記主軸に装着した前記移送用ホルダーにより前記ワークを移送方向両側より把持して、前記主軸と直交する軸を中心に回転させて前記ワークを姿勢変換させる
ことを特徴とする請求項1に記載のワークの移送方法。
【請求項6】
前記姿勢変換機構は、前記移送用ホルダーを装着した前記主軸の回転により、姿勢変換動作させる
ことを特徴とする請求項5に記載のワークの移送方法。
【請求項7】
ベッド上に、ワークを載置するためのテーブルと、ワークの移送方向に並設され少なくともワークの移送方向に個別に移動可能な2つのコラムを有し、前記2つのコラムにはそれぞれ工具を着脱可能に装着する主軸を回転自在に支持した主軸ヘッドを搭載し、2つのコラムの主軸に装着した工具によってワークを順次または同時に加工する工作機械において、
前記2つのコラムのうち少なくとも一方のコラムの主軸に対しワークを移送するための移送用ホルダーを装着し、前記移送用ホルダーを前記ワークに係合した状態で、少なくとも前記コラムの移動によりワークを移送方向に移送可能に構成した
ことを特徴とする工作機械。
【請求項8】
前記移送用ホルダーは、前記ワークを把持するための把持爪を有し、
前記2つのコラムの前記主軸に対しそれぞれ前記移送用ホルダーを装着し、前記2つの移送用ホルダーの前記把持爪により前記ワークを移送方向両側から挟むように把持して、前記ワークを移送可能に構成した
ことを特徴とする請求項7に記載の工作機械。
【請求項9】
前記主軸ヘッドは、前記コラムに対して上下方向に移動可能に設けられ、
前記移送用ホルダーを装着した2つの主軸ヘッドの上下方向の移動により、前記ワークを上下方向に移動させて、上下移動も含めたワーク搬送を可能に構成した
ことを特徴とする請求項8に記載の工作機械。
【請求項10】
前記移送用ホルダーは、前記ワークを把持して回転させるための姿勢変換機構を有し、
前記主軸に装着した前記移送用ホルダーにより前記ワークを移送方向両側より把持して、前記主軸と直交する軸を中心に回転させて前記ワークを姿勢変換可能に構成した
ことを特徴とする請求項7に記載の工作機械。
【請求項11】
前記姿勢変換機構は、前記移送用ホルダーを装着した前記主軸の回転により、姿勢変換動作させる
ことを特徴とする請求項10に記載の工作機械。
【請求項12】
複数の工具を収納するとともに任意の工具を選択して前記コラムの主軸に対して前記工具を交換可能にした工具マガジンをさらに備え、
前記移送用ホルダーは、前記工具マガジンに収容可能に構成されている
ことを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項13】
複数の工具を収納するとともに任意の工具を選択して前記コラムの主軸に対して前記工具を交換可能にした工具マガジンをさらに備え、
前記移送用ホルダーは、前記工具マガジンとは別に設置された移送用ホルダー専用収容部に収容可能に構成されている
ことを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項14】
前記テーブルの側方には、前記移送用ホルダーによって把持された前記ワークを載置および搬送するためのワーク搬送手段が設けられている
ことを特徴とする請求項7乃至請求項13のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項15】
前記テーブルは、水平方向に回転可能なターンテーブルまたは垂直方向に傾斜可能なチルトテーブルにて構成された
ことを特徴とする請求項7乃至請求項14のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項16】
請求項7乃至請求項15のいずれか1項に記載の工作機械を複数並設して構成した
ことを特徴とする加工ライン。
【請求項17】
ベッド上にコラムが1つの1ヘッド型工作機械をライン上に含む
ことを特徴とする請求項16に記載の加工ライン。
【請求項18】
請求項7乃至請求項15のいずれか1項に記載の工作機械のマシン幅と、前記1ヘッド型工作機械のマシン幅とを等しくした
ことを特徴とする請求項17に記載の加工ライン。
【請求項19】
前記複数並設された工作機械間に、傾動自在のアームの先端の保持部で前記ワークを保持して移送させるアーム型ワーク移送装置を設け、前記ワークの工作機械間搬送を行うようにした
ことを特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載の加工ライン。
【請求項20】
前記複数並設された工作機械の各テーブルの上方において、前記複数の工作機械を跨ぐように設けられたガントリー型のフレームに沿って移動する把持部でワークを把持して移送させるガントリー型ワーク移送装置を設け、前記ワークの工作機械間搬送を行うようにした
ことを特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載の加工ライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−132584(P2008−132584A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185155(P2007−185155)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000152675)株式会社日平トヤマ (218)
【Fターム(参考)】