説明

ワーク搬送装置、バックアップ機構およびワーク搬送システム

【課題】ワークが位置決め状態でワーク処理装置へ移載されるように、ワークを搬送する。
【解決手段】略方形の平面形状を有するワークWを搬送するベルトコンベア31と、ベルトコンベア31に臨むワーク処理装置への移載のために、ベルトコンベア31により搬送されてきたワークWを拾い上げるバックアップ機構32と、から成るワーク搬送装置21において、ベルトコンベア31は、ワークWを、その一部をはみ出させた状態で載置し且つこの状態で搬送する搬送ベルト41を備え、バックアップ機構32は、搬送ベルト41により搬送されてきたワークWのはみ出し部分Waが、搬送方向に対し左右略対称に突き当たる停止ストッパ51と、停止ストッパ51により停止したワークWを下方からリフトアップするワークステージ52と、ワークステージ52を昇降させる昇降機構53とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアに臨むワーク処理装置への移載のためのバックアップ機構を備えたワーク搬送装置、バックアップ機構およびワーク搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトコンベアによって搬送されてきたワークをストッパに突き当てることにより、ワークを搬送方向に位置決めした状態で搬送ベルト上で停止させるワーク搬送装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平6−305557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ベルトコンベアにより搬送されてきたワークを、ベルトコンベアに臨むワーク処理装置へ移載する場合には、吸着ヘッドやチャックハンド等を備えたワーク移載装置が用いられる。従来のワーク搬送装置では、ワークを搬送ベルト上で停止させるため、ワーク移載装置によりワークが搬送ベルト上でピックアップされることになる。しかしながら、搬送ベルトは、その性質上、合成ゴム等の弾性体で構成されているため、吸着開始時やチャック開始時等、移載開始時にワークが位置ズレしやすく、ワークを位置ズレさせることなくピックアップすることが困難であった。このため、ワークを位置決めした状態で停止できたとしても、ワーク処理装置へ位置決めした状態で給材するためには、ワーク移載装置にワークを載置するステージや位置決め機構等を設けなければならず、装置の大型化やコスト増大の要因となり、問題であった。
【0004】
本発明は、ワークが位置決め状態でワーク処理装置へ移載されるように、ワークを搬送することができるワーク搬送装置、バックアップ機構およびワーク搬送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のワーク搬送装置は、略方形の平面形状を有するワークを搬送するベルトコンベアと、ベルトコンベアに臨むワーク処理装置への移載のために、ベルトコンベアにより搬送されてきたワークを拾い上げるバックアップ機構と、から成るワーク搬送装置において、ベルトコンベアは、ワークを、その一部をはみ出させた状態で載置し且つこの状態で搬送する搬送ベルトを備え、バックアップ機構は、搬送ベルトにより搬送されてきたワークのはみ出し部分が、搬送方向に対し左右略対称に突き当たる停止ストッパと、停止ストッパにより停止したワークを下方からリフトアップするワークステージと、ワークステージを昇降させる昇降機構と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、バックアップ機構の停止ストッパにより、ワークが搬送方向に位置決めされた状態で搬送ベルト上で停止する。さらに、昇降機構により上昇するワークステージが停止したワークをリフトアップすることで、ワークが位置決めされた状態でワークステージ上に載置される。このため、移載開始時にワークが位置ズレしやすい搬送ベルトからではなく、ワークステージからワークを移載可能となる。したがって、ワークステージ上で位置決めされているワークは、その位置決め状態を維持したまま、ワーク処理装置に移載される。つまり、ワークが位置決め状態でワーク処理装置へ移載されるように、ワークを搬送することができる。
【0007】
この場合、搬送ベルトは、ワークが両側部をはみ出させた状態で載置される単一のもので構成され、停止ストッパおよびワークステージは、それぞれ搬送ベルトの両側に位置する一対のもので構成されていることが好ましい。
【0008】
この構成によれば、一対の停止ストッパを左右に極力離間させて設けることができる。このため、一対の停止ストッパにより、ワークを精度良く位置決めすることができる。
【0009】
またこの場合、搬送ベルトは、ワークが跨ぐように載置される左ベルトおよび右ベルトを有し、停止ストッパおよびワークステージは、左右両ベルトの間隙に配設されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、左右両ベルトの間隙に配設されたワークステージに、ワークの左右方向の中央部分が載置される。このため、大形のワークであっても、ワークステージ上で、ワークの左右方向中央部分が下方に撓むことがなく、ワーク処理装置へのワークの移載を適切に行わせることができる。
【0011】
これらの場合、ワークステージは、ワークを吸着する吸着機構を有していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、吸着機構により、ワークステージ上に対してワークを不動に吸着載置することができる。このため、載置したワークが位置ズレすることを確実に防止することができる。
なお、吸着機構に代えて、ワークステージの表面を摺動抵抗の高い材料で構成してもよい。
【0013】
これらの場合、停止ストッパは、ワークステージに取り付けられていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、停止ストッパとワークステージとの位置関係が変わることがないため、ワークがワークステージに対して一定の位置に停止する。したがって、ワークをワークステージ上に精度良く位置決めすることができる。
【0015】
これらの場合、バックアップ機構は、停止ストッパにより停止したワークを、左右方向から挟持して左右方向に位置決めする位置決め機構を、さらに備えていることが好ましい。
また、バックアップ機構は、停止ストッパに搬送されてゆくワークの両側面をガイドして、ワークを左右方向に位置決めする搬送ガイドを、さらに備えていることが好ましい。
【0016】
これらの構成によれば、位置決め機構または搬送ガイドにより、搬送ベルト上でワークが左右方向に位置決めされる。このため、ワークが、搬送方向に加えて左右方向に位置決めされた状態でワークステージに載置される。したがって、ワークが搬送方向および左右方向に位置決めした状態でワーク処理装置へ移載されるように、ワークを搬送することができる。
【0017】
これらの場合、昇降機構を支持すると共に、昇降機構を介してワークステージを搬送方向に進退させる進退機構を、さらに備えていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、進退機構により、ワークステージ上に載置されたワークを、搬送方向に移動することができる。このため、ワークの種類等に応じて、搬送方向の任意の位置にワークを適宜移動させることができ、ワーク処理装置へのワークの移載を適切に行わせることができる。さらに、ワークステージを、ベルトコンベアの搬送終端部よりも搬送方向下流側に位置させることも可能となる。
【0019】
本発明のバックアップ機構は、上記したワーク搬送装置に備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、ワークを位置決め状態でワーク処理装置へ移載可能にワークを搬送することができるワーク搬送装置を実現することができる。
【0021】
本発明のワーク搬送システムは、上記したワーク搬送装置の複数台を、上下方向に複数段に亘って配設すると共に、各バックアップ機構を各ベルトコンベアの搬送終端部に配設したワーク搬送システムにおいて、複数のバックアップ機構は、ワーク処理装置へのワークの移載のために同一高さ位置にワークをリフトアップ可能に構成され、複数のベルトコンベアの複数の搬送終端部は、各バックアップ機構のリフトアップのための上方スペースが確保されるように、階段状に配設されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、リフトアップのための上方スペースを設けたことで、各バックアップ機構により、上段のベルトコンベアと干渉することなく、位置決めされたワークが同一高さ位置にリフトアップされる。このため、簡易な構成により、複数のワークを一括してワーク処理装置に移載することが可能となる。
【0023】
この場合、複数のベルトコンベアは、相互に異なるワークを搬送し、ワーク処理装置は、相互に異なる複数のワークを相互に位置決めして処理するものであることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、相互に異なる複数のワークは、相互に位置決め(プリアライメント)された状態で、ワーク処理装置に移載される。このため、ワーク処理装置において、複数のワークを容易且つ確実に位置決め(本アライメント)することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係るワーク搬送システムを適用した基板接合システムについて説明する。この基板接合システムは、液晶パネルのモジュール製造ラインに組み込まれており、パネル基板と、フレキシブル基板(FPC)とを圧着・接合する接合装置に対し、パネル基板およびフレキシブル基板を給材するものである。
【0026】
図1および図2に示すように、基板接合システム1は、パネル基板WPおよびフレキシブル基板WFを接合する接合装置2(ワーク処理装置)と、給材パレット(図示省略)に収容された各基板W(パネル基板WPおよびフレキシブル基板WF)を、接合装置2に向けて搬送する2台のワーク搬送装置21(ベルトコンベア31)から成る給材側のワーク搬送システム3と、1台のベルトコンベアから成り、接合装置2で接合したパネル基板WPおよびフレキシブル基板WF(接合パネルP)を次の工程に向けて搬送する除材側コンベア4と、ワーク搬送システム3の搬送開始部に設けられ、各基板Wを給材パレットから各ワーク搬送装置21に移載するための移載ロボット(図示省略)と、2台のワーク搬送装置21の搬送終端部に設けられ、搬送されてきた基板Wを接合装置2に移載するワーク移載装置5とから構成されている。さらに、基板接合システム1には、パソコン等で構成され、システム全体を統括制御する制御装置6(図6参照)が組み込まれている。
【0027】
なお、搬送されるパネル基板WPおよびフレキシブル基板WFは、いずれも略方形の平面形状を有している。すなわち、パネル基板WPは、それぞれ長方形のガラス基板等で構成されたアレイ基板Aと、その周縁部がはみ出すように表面に貼り合せたカラーフィルタ基板CFとから成り、フレキシブル基板WFは短冊状のポリイミドフィルム等で構成されている。そして、カラーフィルタ基板CFからはみ出たアレイ基板Aの周縁部に、フレキシブル基板WFの一端部が接合される。
【0028】
接合装置2は、図示しないが、パネル基板WPおよびフレキシブル基板WFを画像認識等により相互に位置決めするアライメント装置と、予めフレキシブル基板WF(あるいはパネル基板WP)に貼着した異方性導電フィルム(ACF)を介して熱圧着する圧着装置とを有し、ワーク移載装置5により移載されたパネル基板WPとフレキシブル基板WFとを相互に位置決め(アライメント)した後、熱圧着により端子接合するものである。
【0029】
ワーク移載装置5は、パネル基板WPおよびフレキシブル基板WFのワーク搬送システム3から接合装置2への移載(給材)を行うと共に、接合後のパネル基板WPおよびフレキシブル基板WF(接合パネルP)の接合装置2から除材側コンベア4への移載(除材)を行うものであって、各基板Wを上側から吸着する吸着ヘッド11と、吸着ヘッド11を昇降させ、後述する吸着パッド16を各基板Wに対して離接させる離接機構12と、離接機構12を介して吸着ヘッド11のL字部材15(後述する)を回動する回動機構13とを有している。なお、2台のワーク搬送装置21の搬送終端部と、接合装置2と、除材側コンベア4の搬送開始部とは、吸着ヘッド11の回動方向に等ピッチ(略90°)で設けられている。
【0030】
吸着ヘッド11は、離接機構12に接続された基部17と、基部17から延在する給材部18および除材部19とにより平面視略「L」字状に形成されたL字部材15と、L字部材15の下面に取り付けられた4個の吸着パッド16とを有している。L字部材15は、基部17を中心に、給材部18がワーク搬送装置21に臨む位置と、接合装置2に臨む位置との間で回動自在に構成されている。4個の吸着パッド16は、図示しないが、吸引駆動をON/OFF切換え可能に構成されたエアー吸引装置(真空ポンプ等)に連なっており、給材部18および除材部19に2個ずつ設けられている。
【0031】
ワーク搬送システム3により搬送されてきたパネル基板WPおよびフレキシブル基板WFのピックアップと、接合装置2からの接合パネルPのピックアップとは、同時に行われる。すなわち、L字部材15を回動させ、L字部材15の給材部18をワーク搬送システム3(後述するバックアップ機構32)に臨ませると共に、除材部19を接合装置2に臨ませる。そして、L字部材15を下降させ、給材部18の2個の吸着パッドにより、後述する移載位置にリフトアップされた接合前のパネル基板WPおよびフレキシブル基板WFを吸着すると共に、除材部19の2個の吸着パッド16により、接合装置2により接合した接合パネルPを吸着する。この吸着状態を維持したまま、L字部材15を上昇させることで、基板Wのピックアップが行われる。
【0032】
同様に、接合装置2へのパネル基板WPおよびフレキシブル基板WFの載置(プレイス)と、除材側コンベア4への接合したパネル基板WPおよびフレキシブル基板WFの載置とは、同時に行われる。すなわち、上記のように基板Wのピックアップが行われた後、L字部材15を回動させ、L字部材15の給材部18を接合装置2に臨ませると共に、除材部19を除材側コンベア4に臨ませる。そして、L字部材15を下降し、給材部18の2個の吸着パッドの吸着を解除することで、接合前のパネル基板WPおよびフレキシブル基板WFが接合装置2に載置されると共に、除材部19の2個の吸着パッド16の吸着を解除することで、接合パネルPが除材側コンベア4に載置される。
【0033】
このようにしてワーク搬送システム3から接合装置2への移載が行われることで、後述するように、各ワーク搬送装置21において位置決め(プリアライメント)された状態で搬送されてきたパネル基板WPおよびフレキシブル基板WFを、その位置決め状態を維持したまま、接合装置2に移載することができる。
【0034】
なお、ワーク搬送システム3により搬送されてきたパネル基板WPおよびフレキシブル基板WFは、給材部18の先端側の吸着パッド16(給材先端パッド16a)によりパネル基板WPが吸着され、給材部18の基端側の吸着パッド16(給材基端パッド16b)によりフレキシブル基板WFが吸着される。同様に、接合装置2により接合されたパネル基板WPおよびフレキシブル基板WFは、除材部19の先端側の吸着パッド16(除材先端パッドc)によりパネル基板WPが吸着され、除材部19の基端側の吸着パッド16(除材基端パッドd)によりフレキシブル基板WFが吸着される。
【0035】
ワーク搬送システム3は、2台のワーク搬送装置21を、省スペース化を図るべく、上下方向に2段に亘って配設すると共に、2台のワーク搬送装置21の各ベルトコンベア31の搬送終端部が、基板Wを移載するための上方スペース22が確保されるように、階段状に配設したものである。すなわち、2台のワーク搬送装置21のうち、上段の搬送装置(上段搬送装置21A)のベルトコンベア31の搬送終端部は、下段の搬送装置(下段搬送装置21B)のベルトコンベア31の搬送終端部に対し、搬送方向の上流側に位置している。
【0036】
各ワーク搬送装置21は、基板Wを搬送するベルトコンベア31と、ベルトコンベア31に臨む上記の接合装置2への移載のために、ベルトコンベア31により搬送されてきた基板Wを拾い上げるバックアップ機構32と、搬送終端部まで搬送された基板Wを検出する検出センサ33(図3および図4参照)と、検出センサ33の結果に基づいて装置全体を制御するコントローラ34とから構成されている。
【0037】
上段搬送装置21Aは、パネル基板WPおよびフレキシブル基板WFのうちの一方の基板(例えばパネル基板WP)を搬送し、下段搬送装置21Bは、他方の基板(例えばフレキシブル基板WF)を搬送するようになっている。なお、後述するように、上段搬送装置21Aと下段搬送装置21Bとは、一部構成が異なっているが、両者を略同様に構成してもよい。
【0038】
各ベルトコンベア31は、各基板Wを、その一部をはみ出させた状態で載置し、且つこの状態で搬送する搬送ベルト41と、搬送ベルト41が掛け渡された駆動プーリー42および従動プーリー43と、駆動プーリー42に接続した搬送モータ44(図6参照)とで構成されている。
【0039】
図3ないし図5に示すように、搬送ベルト41は、上段搬送装置21Aでは、パネル基板WPが両端部をはみ出させた状態で載置される単一のもので構成されている。そのため、パネル基板WPは、左右方向の中央部が搬送ベルト41に載置され、パネル基板WPの両端部が搬送ベルト41からはみ出したはみ出し部分Wa(両端はみ出し部分WPa)となっている。他方、下段搬送装置21Bでは、フレキシブル基板WFが跨ぐように載置される左ベルト41Lおよび右ベルト41Rを有している。そのため、フレキシブル基板WFは、左右両長辺部分が左右両ベルト41L,41Rに載置され、フレキシブル基板WFの左右方向の中央部が搬送ベルト41からはみ出したはみ出し部分Wa(中央はみ出し部分WFa)となっている。
【0040】
バックアップ機構32は、各ベルトコンベア31の搬送終端部に配設されており、搬送ベルト41より搬送されてきた基板Wのはみ出し部分Waが突き当たる停止ストッパ51と、停止ストッパ51により停止した基板Wを下方からリフトアップするワークステージ52と、ワークステージ52を昇降させる昇降機構53と、昇降機構53を介して基板Wを搬送方向に進退させる進退機構54と、停止ストッパ51により停止した基板Wを左右方向に位置決めする位置決め機構55と、これらを支持するベースプレート56とを有している。
【0041】
停止ストッパ51は、基板Wのはみ出し部分Waが、左右略対象に突き当たるように構成され、基板Wが突き当たった際に回転ブレしないようになっている。これにより、基板Wが搬送方向に位置決めされた状態で、搬送ベルト41上で停止する。
【0042】
停止ストッパ51は、上段搬送装置21Aでは、単一の搬送ベルト41の両側に位置する一対のもので構成されている。すなわち、一対の停止ストッパ51は、合成ゴム等により円柱状にそれぞれ形成され、後述する左右一対のワークステージ52のそれぞれ搬送方向上流側端部に取り付けられ、ワークステージ52の表面から突出している。これにより、一対の停止ストッパ51を左右に極力離間させて設けることができ、パネル基板WPを精度良く位置決めすることができる。他方、下段搬送装置21Bでは、左右両ベルト41L,41Rの間隙に配設された一対のもので構成されている。すなわち、一対の停止ストッパ51は、合成ゴム等により円柱状にそれぞれ形成され、後述するように左右両ベルト41L,41R間に設けられたワークステージ52の上流側端部に取り付けられ、ワークステージ52の表面から突出している。
【0043】
また、停止ストッパ51は、ワークステージ52に取り付けられていることで、ワークステージ52の昇降や進退に伴って移動するようになっている。このため、停止ストッパ51とワークステージ52との位置関係が変わることがなく、基板Wをワークステージ52に対して一定の位置に停止させることができる。したがって、基板Wをワークステージ52上に精度良く位置決めすることができる。もちろん、停止ストッパ51を、固定的に設けてもよく、例えば、ベースプレート56に固定し、ベースプレート56に対して一定の位置に停止するようにしてもよい。
【0044】
なお、停止ストッパ51は、基板Wのはみ出し部分Waが左右略対象に突き当たるものであればよく、例えば下段搬送装置21Bの場合、左右に延在する停止面を有するものを左右両ベルト41L,41Rの間隙に配設し、フレキシブル基板WFの中央はみ出し部分WFaが左右略対称に面で突き当たるようにしてもよい。
【0045】
ワークステージ52は、上記の停止ストッパ51を立設すると共に、図示省略したが、載置された基板Wを吸着する吸着機構を有している。吸着機構は、ワークステージ52に形成した環状の吸着溝と、吸着溝に連なり、吸引駆動をON/OFF切換え可能に構成されたエアー吸引装置(図示省略)とから構成されている。これにより、ワークステージ52に載置された基板Wを不動に吸着載置できるようになっている。
【0046】
ワークステージ52は、上段搬送装置21Aでは、それぞれ搬送ベルト41の両側に位置する一対のもので構成され、一対のワークステージ52は、昇降機構53により昇降する略「U」字状の昇降部材61の左右上端部にそれぞれ支持されている。そのため、パネル基板WPは、左右両長辺部分が左右一対のワークステージ52に載置される。
【0047】
他方、下段搬送装置21Bでは、ワークステージ52は左右両ベルト41L,41Rの間隙に配設されており、ブロック状の昇降部材61に支持されている。そのため、フレキシブル基板WFは、左右方向の中央部がワークステージ52に載置される。このため、大形のフレキシブル基板WFであっても、ワークステージ52上でフレキシブル基板WFの左右方向中央部が下方に撓むことがなく、ワーク移載装置5による接合装置2への移載を適切に行うことができる。
【0048】
昇降機構53は、昇降部材61を介してワークステージ52を昇降させるものであって、後述する進退機構54に支持された正面視「L」字状の支持部材60と、支持部材60に対して上下方向にスライド自在に昇降部材61を支持する昇降スライダ62と、支持部材60に設けられ、昇降部材61の移動を案内する左右一対の昇降ガイド63と、昇降部材61に螺合した昇降ボールねじ64と、コントローラ34に接続されると共に、昇降ボールねじ64の一端に連結した正逆回転可能な昇降モータ65とで構成されている。そして、コントローラ34からの制御を受けて、ワークステージ52を上下方向の任意の位置に移動できるようになっている。
【0049】
進退機構54は、昇降機構53の支持部材60を介してワークステージ52を進退させるものであって、ベースプレート56上で支持部材60をスライド自在に支持する進退スライダ66と、ベースプレート56上に設けられ、進退スライダ66の移動を案内する左右一対の進退ガイド67と、支持部材60に螺合した進退ボールねじ68と、コントローラ34に接続されると共に、進退ボールねじ68の一端に連結した正逆回転可能な進退モータ69とで構成されている。そして、コントローラ34からの制御を受けて、ワークステージ52を搬送方向の任意の位置に移動できるようになっている。
【0050】
これにより、例えば、基板Wのサイズが異なる場合でも、吸着パッド16が基板Wの中心(重心)に臨むように、ワークステージ52を搬送方向に適宜移動させることができる。さらに、ワークステージ52を、各ベルトコンベア31の搬送終端部よりも搬送方向下流側に位置させることも可能となる。
【0051】
位置決め機構55は、上段搬送装置21Aでは、搬送ベルト41の左右両側に位置して、相互に対向して設けられた一対のガイド機構71により構成されている。各ガイド機構71は、パネル基板WPの左右両側面に当接するガイドプレート72と、ガイドプレート72を左右方向に進退させるガイド駆動部73とで構成されている。ガイド駆動部73は、エアーシリンダー等から成り、コントローラ34によりエアー供給をON/OFF切り替えすることで、駆動制御されている。そして、一対のガイド機構71により、各ガイドプレート72をパネル基板WPに向けて左右両側から移動させ、左右方向からパネル基板WPを挟持することにより、パネル基板WPを左右方向に位置決めするようになっている。
【0052】
一方、下段搬送装置21Bでは、左右両ベルト41L,41Rのそれぞれ外側に設けられ、一対の停止ストッパ51に搬送されていくフレキシブル基板WFの両側面をガイドして、フレキシブル基板WFを左右方向に位置決めする一対の搬送ガイド75により構成されている。
【0053】
検出センサ33は、発光素子および受光素子から成る光センサ等で構成され、各ベルトコンベア31の搬送終端部に設けられている。各ベルトコンベア31に搬送されてきた基板Wを検出し、その検出結果をコントローラ34に出力するようになっている。
【0054】
図6に示すように、コントローラ34(PLC等)は、制御装置6からの制御を受けると共に、検出センサ33の検出結果に基づいて、ベルトコンベア31の搬送モータ44や、バックアップ機構32の昇降モータ65、進退機構54の進退モータ69、および一対のガイド機構71のガイド駆動部73を制御している。これにより、ベルトコンベア31の搬送や、バックアップ機構32のワークステージ52の昇降・進退動作、および一対のガイド機構のガイド動作が制御されている。
【0055】
図7を参照して、バックアップ機構32による一連のリフトアップ動作について説明する。ワーク搬送システム3のうち上段搬送装置21Aのバックアップ機構32は、搬送されてきたパネル基板WPを、一対の停止ストッパ51により搬送方向に位置決めする。このとき、検出センサ33によりパネル基板WPが検出され、ベルトコンベア31の搬送が停止される(図7(a)参照)。さらに、バックアップ機構32は、停止したパネル基板WPを、一対のガイド機構71により左右方向に位置決め(センタリング)する(図7(b)参照)。
【0056】
一方、下段搬送装置21Bのバックアップ機構32は、一対の搬送ガイド75により左右方向に案内されながら搬送されてきたフレキシブル基板WFを、一対の停止ストッパ51により搬送方向に位置決めする(図7(a)参照)。このとき、検出センサ33によりフレキシブル基板WFが検出され、ベルトコンベア31の搬送が停止される。
【0057】
続いて、両バックアップ機構32の昇降機構53(図5参照)により、パネル基板WPの表面と、フレキシブル基板WFの表面とが、同一高さ位置となるように、リフトアップする。すなわち、上段搬送装置21Aのバックアップ機構32は、一対のワークステージ52を上昇させ、ベルトコンベア31からパネル基板WPを受け取って、これを一対のワークステージ52上に吸着載置すると共に、パネル基板WPを所定の高さ位置までさらに上昇させる。同様に、下段搬送装置21Bのバックアップ機構32は、ワークステージ52を上昇させ、ベルトコンベア31からフレキシブル基板WFを受け取って、これをワークステージ52上に吸着載置すると共に、フレキシブル基板WFを所定の高さ位置までさらに上昇させる。このとき、下段搬送装置21Bのワークステージ52は、上記のワーク移載装置5の給材基端パッド16bが臨む移載位置に位置している(図7(c)参照)。
【0058】
さらに、上段搬送装置21Aのバックアップ機構32は、進退機構54(図5参照)によりワークステージ52を搬送方向の下流側に前進させる。これにより、下段搬送装置21Bのワークステージ52も、ワーク移載装置5の給材先端パッド16aが臨む移載位置に位置する(図7(d)参照)。なお、これにより、載置したパネル基板WPが、下段搬送装置21Bのワークステージ52に載置されたフレキシブル基板WFに近づくことになるため、両基板Wを近接した状態で、接合装置2に移載することができる。したがって、接合装置2において、アライメント処理のための画像認識を簡易且つ適切に行うことができる。
【0059】
このように、本実施形態のワーク搬送システム3では、リフトアップ(接合装置2への移載)のための上方スペース22を設けたことで、下段搬送装置21Bのバックアップ機構32が、上段搬送装置21Aのベルトコンベア31と干渉することなく、フレキシブル基板WFをリフトアップすることができる。
【0060】
次に、ワーク移載装置5の吸着ヘッド11により、リフトアップされたパネル基板WPおよびフレキシブル基板WFが吸着される。このとき、パネル基板WPおよびフレキシブル基板WFは、ワークステージ52に吸着載置されているため、吸着ヘッド11の吸着開始により、位置ズレすることがない。そして、吸着ヘッド11が各基板Wを吸着したら、各ワークステージ52の吸着を解除する。以後、上述したようにして、パネル基板WPおよびフレキシブル基板WFが接合装置2に移載される。
【0061】
これによれば、各ベルトコンベア31の搬送終端部まで搬送された基板Wを、任意の移載位置にリフトアップすることが可能となるため、接合装置2への基板Wの移載を適切に行うことができる。しかも、パネル基板WPとフレキシブル基板WFとが同一高さ位置にリフトアップされているため、ワーク移載装置5を複雑な構成にせずとも、パネル基板WPとフレキシブル基板WFとを一括して接合装置2に移載することができる。
【0062】
また、パネル基板WPとフレキシブル基板WFとは、相互に位置決め(プリアライメント)された状態で、接合装置2に移載される。すなわち、ワーク移載装置5が、基板Wが位置ズレしやすい搬送ベルト41からではなく、ワークステージ52から基板Wをピックアップする。このため、ワークステージ52上で位置決めされている基板Wは、その位置決め状態を維持したまま、接合装置2に移載される。したがって、接合装置2において、パネル基板WPとフレキシブル基板WFとを容易且つ確実に位置決め(本アライメント)することができる。
【0063】
以上のように、本実施形態のワーク搬送装置21によれば、基板Wが位置決め状態で接合装置2へ移載されるように、基板Wを搬送することができる。また、本実施形態のワーク搬送システム3によれば、省スペース化を図りつつ、2台のベルトコンベア31によりそれぞれ接合装置2に移載可能なように基板Wを搬送することができる。なお、ワーク搬送システム3を構成するワーク搬送装置21の台数は任意であって、搬送するワークの種類数等に応じた台数を使用することが可能である。例えば、3種類のワークを搬送する場合には、3台のワーク搬送装置21を上下方向に3段に亘って配設して構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るワーク搬送装置を適用した基板接合システムの正面図である。
【図2】基板接合システムの平面図である。
【図3】ワーク搬送装置のうち上段搬送装置のバックアップ機構廻りの平面図である。
【図4】ワーク搬送装置のうち下段搬送装置のバックアップ機構廻りの平面図である。
【図5】バックアップ機構の正面図である。
【図6】ワーク搬送装置のブロック図である。
【図7】バックアップ機構による基板のリフトアップ動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
2…接合装置 3…ワーク搬送システム 21…ワーク搬送装置 22…上方スペース 31…ベルトコンベア 32…バックアップ機構 41…搬送ベルト 41L…左ベルト 41R…右ベルト 51…停止ストッパ 52…ワークステージ 53…昇降機構 54…進退機構 55…位置決め機構 71…ガイド機構 75…搬送ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略方形の平面形状を有するワークを搬送するベルトコンベアと、
前記ベルトコンベアに臨むワーク処理装置への移載のために、前記ベルトコンベアにより搬送されてきたワークを拾い上げるバックアップ機構と、から成るワーク搬送装置において、
前記ベルトコンベアは、前記ワークを、その一部をはみ出させた状態で載置し且つこの状態で搬送する搬送ベルトを備え、
前記バックアップ機構は、
前記搬送ベルトにより搬送されてきた前記ワークのはみ出し部分が、搬送方向に対し左右略対称に突き当たる停止ストッパと、
前記停止ストッパにより停止したワークを下方からリフトアップするワークステージと、
前記ワークステージを昇降させる昇降機構と、を備えていることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトは、前記ワークが両側部をはみ出させた状態で載置される単一のもので構成され、
前記停止ストッパおよび前記ワークステージは、それぞれ前記搬送ベルトの両側に位置する一対のもので構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記搬送ベルトは、前記ワークが跨ぐように載置される左ベルトおよび右ベルトを有し、
前記停止ストッパおよび前記ワークステージは、前記左右両ベルトの間隙に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記ワークステージは、前記ワークを吸着する吸着機構を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記停止ストッパは、前記ワークステージに取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
前記バックアップ機構は、前記停止ストッパにより停止した前記ワークを、左右方向から挟持して左右方向に位置決めする位置決め機構を、さらに備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項7】
前記バックアップ機構は、前記停止ストッパに搬送されてゆく前記ワークの両側面をガイドして、前記ワークを左右方向に位置決めする搬送ガイドを、さらに備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項8】
前記昇降機構を支持すると共に、前記昇降機構を介して前記ワークステージを搬送方向に進退させる進退機構を、さらに備えていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のワーク搬送装置に備えることを特徴とするバックアップ機構。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれかに記載のワーク搬送装置の複数台を、上下方向に複数段に亘って配設すると共に、前記各バックアップ機構を前記各ベルトコンベアの搬送終端部に配設したワーク搬送システムにおいて、
前記複数のバックアップ機構は、前記ワーク処理装置への前記ワークの移載のために同一高さ位置に前記ワークをリフトアップ可能に構成され、
前記複数のベルトコンベアの複数の搬送終端部は、前記各バックアップ機構のリフトアップのための上方スペースが確保されるように、階段状に配設されていることを特徴とするワーク搬送システム。
【請求項11】
前記複数のベルトコンベアは、相互に異なる前記ワークを搬送し、
前記ワーク処理装置は、相互に異なる複数の前記ワークを相互に位置決めして処理するものであることを特徴とする請求項10に記載のワーク搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−238238(P2007−238238A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61273(P2006−61273)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】