説明

ワーク移載装置

【課題】給材位置からアライメント位置に移載されるワークを、一連の移載動作に影響を与えることなくアライメントすることができるワーク移載装置を提供する。
【解決手段】ファイバーセンサー35a〜35dを有するラベルアライメント部24を設け、ロボットアーム27の先端の吸着ユニット23をラベルアライメント部24上で斜め方向にスキャンさせ、検出信号が取得されたときの座標を記憶する。ファイバーセンサー35a〜35dのうち、3点のファイバーセンサーの検出信号が取得されたら、この3点の座標に基づいて、ズレ量を求め、貼り付け座標の補正値を算出し、この補正値に基づいて、貼り付け座標を補正しながら、ラベル12をテープカートリッジ11に貼着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばラベル等の矩形のワークを、所定の移動軌跡に基づいて、給材位置から被アライメント部材のアライメント位置に位置決め状態で移載するワーク移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のワーク移載装置として、液晶表示装置のガラス基板に偏光フィルム(ラベル)を貼付するラベル貼付装置が知られている(特許文献1参照)。このラベル貼付装置では、供給リールから繰出されたラベルシートに、吸着ヘッドを臨ませてラベル(偏光フィルム)を引き剥がすようにしてピックアップし、ラベルの端部をセンサーにより検出する。続いて、この検出結果に基づいて、ラベルを位置補正し、水平に移動させてガラス基板に貼付する。
この場合、センサーは、X軸方向に並んだ3つの反射型センサーと、3つの反射型センサーからY軸方向に離れた1つの反射型センサーと、から成る4つの反射型センサーを有している。吸着ヘッドを移動させるヘッド移動手段(ラベルシート剥離手段とスライダとから成る)は、吸着ヘッドを介して、ラベルをセンサーの直上に移動させ、ここでラベルの1の辺を、X軸方向に並んだ2つの反射型センサーに臨ませ、1の辺を2つの反射型センサーが同時に検出するように、ラベルのθ方向の位置ズレを補正する。続いて、ラベルをX軸方向に移動させ、もう1つの反射型センサーで1の辺の直交する辺を検出して、X軸方向の位置ズレを補正する。この状態からさらにラベルをY軸方向に移動させ、Y軸方向に離れた1つの反射型センサーで1の辺を検出して、Y軸方向の位置ズレを補正する。これにより、偏光フィルム(ラベル)を、ガラス基板の所定の位置に位置決め状態で貼付できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−22676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のラベル貼付装置では、ラベルのピックアップ位置と貼付位置との移動途中において、吸着ヘッドに吸着されたラベルをθ方向、X方向およびY方向に移動させながらセンサーによりこれを検出し、ラベルの位置および姿勢を補正する必要があり、ラベルの位置補正に時間がかかる問題があった。
【0005】
本発明は、給材位置からアライメント位置に移載されるワークを、一連の移載動作に影響を与えることなくアライメントすることができるワーク移載装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワーク移載装置は、第1の辺と、第1の辺に交わる第2の辺を有するワークを、所定の移動軌跡に基づいて、給材位置から被アライメント部材のアライメント位置に移載するワーク移載手段と、第1の辺の離間した2箇所および第2の辺の1箇所を検出する、3つの検出部を有するワーク検出手段と、3つの検出部により検出されるワークの基準座標データーを含むアライメント座標データーを生成する座標データー生成手段と、アライメント座標データーによりワーク移載手段を制御し、ワークを、第1の辺および第2の辺が、ほぼ同時に3つの検出部を通過するようにワークを移動させた後、アライメント位置に移載する制御手段と、を備え、座標データー生成手段は、3つの検出部が検出したワークの検出座標データーに基づいて、アライメント座標データーを補正することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、座標データー生成手段は、3つの検出部が検出したワークの検出座標データーに基づいて、アライメント座標データーを補正するようにしている。このため、ワーク移載手段により、ワークをワーク検出手段上で所定方向に一回スキャンさせるだけで、アライメント位置に対しワークをアライメントすることができる。すなわち、移載動作の過程でワークのアライメントを行うことができ、ワークをアライメント位置に位置決め状態で載置することができる。
【0008】
この場合、ワーク移載手段の両側にそれぞれ給材位置が設けられ、ワーク移載手段は、ワークをそれぞれ給材位置からアライメント位置に交互に移載し、ワーク検出手段は、第1の辺を検出する2つの検出部を共有して、3つの検出部を線対称位置に2組有し、座標データー生成手段は、アライメント座標データーを2組生成することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、ワーク検出手段には、第1の辺を検出する2つの検出部を共有して、3つの検出部を線対称位置に2組有しているので、ワーク移載手段の両側にそれぞれ給材位置が設けた場合に、どちらの側でもワーク検出手段を使用することができ、ワーク検出において汎用性を確保することができる。
【0010】
また、各検出部が、ファイバーセンサーであることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、検出部としてファイバーセンサーを用いているので、コストダウンを図ることができる。
【0012】
さらに、ワークが、矩形のラベルであり、被アライメント部材が、ラベルが貼着されるカートリッジであることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、カートリッジにラベルを貼着する際に、高い精度で且つ効率的にラベルの貼着を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係るラベル貼着装置(ワーク移載装置)において被貼着対象物となるテープカートリッジの斜視図である。
【図2】ラベル貼着装置において、テープカートリッジにラベルを貼着するときの工程の説明する斜視図である。
【図3】実施形態に係るラベル貼着装置の模式図である。
【図4】ラベル貼着装置における吸着ユニットの斜視図である。
【図5】ラベル貼着装置の制御系の機能ブロック図である。
【図6】ラベル貼着装置における左側アライメント動作の説明図である。
【図7】ラベル貼着装置における右側アライメント動作の説明図である。
【図8】ラベル貼着装置の動作を説明するフローチャートである。
【図9】ラベル貼着装置の補正動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るワーク移載装置を適用したラベル貼着装置について説明する。このラベル貼着装置は、テープ印刷装置に装着されるテープカートリッジについて、吸着したラベルをテープカートリッジのラベル貼着部に移載し、位置決め状態で貼着するものである。
【0016】
図1は、ラベル12を貼着したテープカートリッジの外観斜視図であり、同図に示すように、テープカートリッジ11は、上ケースおよび下ケースから成るカートリッジケース13内に、図示しないが、印刷テープ、インクリボンおよびプラテンを収容して、構成されている。テープカートリッジ11がラベル印刷装置に装着されると、テープカートリッジ11内において、印刷テープとインクリボンとが重ね合わされ、サーマルヘッドによりインクリボンに塗布されたインクが熱で溶融され、印刷テープに熱転写による印刷が実施される。このようなテープカートリッジ11を製品化して販売する場合、テープカートリッジ11のラベル貼着部である浅溝15に、メーカー名やテープ種類、品質等の情報を表示するためのラベル12が貼着される。
【0017】
図2は、テープカートリッジ11に矩形のラベル12を貼着するときの工程を示すものである。
図2(a)に示すように、テープカートリッジ11のカートリッジケース13には、上面および左右側面を囲むように、浅溝15が配設されている。この浅溝15の形状はラベル12に対応しており、その大きさ(幅および長さ)は、ラベル12より僅かに大きく形成されている。テープカートリッジ11にラベル12を貼着する場合、図2(a)に示すように、テープカートリッジ11の上面の浅溝15に対向して、矩形のラベル12が配置される。ラベル12の裏面には、粘着剤が塗布されており、テープカートリッジ11の上面の浅溝15内に、ラベル12が押し当てられて、貼着される。
【0018】
次に、図2(b)に示すように、ラベル12の両端がテープカートリッジ11の両側面に沿って折り曲げられ、テープカートリッジ11の両側面に押し当てられて、浅溝15内に貼着される。
【0019】
図3は、テープカートリッジ11の上面にラベル12を貼着する(図2(a)の状態)ためのラベル貼着装置10を模式的に示したものである。このラベル貼着装置10は、ラベル12をワークとし、テープカートリッジ11を被アライメント部材とし、吸着ユニット23によりラベル貼着用ロボット21を使って、ラベル12をラベル供給ユニット22の位置(給材位置)からテープカートリッジ11の上面の浅溝15の位置(アライメント位置)に移載し、この浅溝15に貼着するものである。
【0020】
ラベル貼着装置10は、テープカートリッジ11を搬送するカートリッジ搬送部20と、ラベル12を移載するラベル貼着用ロボット21と、ラベル12をテープに貼着して供給する左右一対のラベル供給ユニット22と、移載のためにラベル12を吸着する吸着ユニット23と、ラベル12をアライメントするラベルアライメント部24(ワーク検出手段)と、を備えている。
【0021】
カートリッジ搬送部20は、生産時において、ラベル12を貼着するテープカートリッジ11を所定の方向に搬送する。ラベル貼着用ロボット21は、ロボットアーム27を有し、ラベル12を、ラベル供給ユニット22からピックアップし、テープカートリッジ11の上面(浅溝15)に貼付する。ラベル貼着用ロボット21は、ロボットアーム27を介して、その先端に設けた吸着ユニット23を、X方向、Y方向、Z方向に自在に移動可能な3軸ロボットで構成されている。なお、請求項に言う「ワーク移載手段」は、ラベル貼着用ロボット21と吸着ユニット23とで構成されている。
【0022】
図4に示すように、吸着ユニット23は、アーム取付部31と、ラベル吸着部32とを有している。アーム取付部31は、ロボットアーム27の先端に、吸着ユニット23を取り付ける部分であり、チャック機構で構成されている。ラベル吸着部32は、その裏面に、ラベル12を真空吸着する部分であり、図外の真空配管に接続されている。なお、吸着ユニット23のラベル吸着部32の裏側に吸着されるラベル12の位置は、後に説明するように、ラベルアライメント部24のファイバーセンサー35a〜35dにより検出される。このとき、ラベル吸着部32の裏側を例えばつや消しの黒にすることで、ファイバーセンサー35a〜35dでの誤検出を防止するようにしている。また、ラベル12の裏側をラベルアライメント部24で検出するため、ラベル12の色や柄等に左右されることがない。
【0023】
一対のラベル供給ユニット22には、図示の左側のラベル供給ユニット22aと、図示の右側のラベル供給ユニット22bとから成り、左右のラベル供給ユニット22a,22bは、ラベル貼着用ロボット21を中心に左右対称に配設されている。各ラベル供給ユニット22a,22bは、複数のラベル12が台紙(テープ)に貼られたラベルテープを巻回したラベルリール25が備えられている。ラベルリール25から繰出されたラベルテープに、上記の吸着ユニット23が臨み、ラベル12を台紙から引き剥がすようにしてピックアップ(吸着)する。この場合、繰出されたラベルテープの斜行や幅方向に位置ズレが想定されるため、ピックアップ後、ラベル12の位置検出と位置補正を実施するようにしている。
【0024】
ラベルアライメント部24は、吸着ユニット23に吸着されたラベル12の位置および角度のズレ量を検出し、ラベル貼着用ロボット21における貼付け座標の補正値を求めるために設けられている。ラベルアライメント部24は、4つのファイバーセンサー35a〜35dを有している。詳細は後述するが、この4つのファイバーセンサー35a〜35dのうち、左側のラベル供給ユニット22aから吸着(ピックアップ)したラベル12は、3つのファイバーセンサー35a、35b、35cのより検出され、右側のラベル供給ユニット22bから吸着したラベル12は、3つのファイバーセンサー35a、35b、35dにより検出される。すなわち、ラベルアライメント部24には、ファイバーセンサー35a、35bを兼用して、左用および右用の2組のファイバーセンサー35a〜35dが設けられている。
【0025】
テープカートリッジ11の上面にラベル12を貼着する場合には、先ず、ラベル貼着用ロボット21は、ロボットアーム27に設けた吸着ユニット23をラベル供給ユニット22のピックアップ位置(給材位置)に移動させ、ラベル12をラベルテープから引き剥がすようにして吸着ユニット23の裏面に吸着させる。ここで、ラベル貼着用ロボット21は、図示しないセンサーの位置検出により、ラベル12を吸着した吸着ユニット23を所定の給材ホーム位置に移動させ、この給材ホーム位置から貼付け座標データー(アライメント座標データー)に基づいて、ラベル12(吸着ユニット23)移動を開始する。
【0026】
移動を開始したラベル貼着用ロボット21は、吸着ユニット23をラベルアライメント部24の位置に移動させ、ラベルアライメント部24の位置で、吸着ユニット23の裏面とラベルアライメント部24とを対向させ、非接触な状態で斜め方向に移動(以下、スキャンと称する)させる。これにより、ラベル12の位置および角度が検出され、ラベル12の位置および角度のズレ量が求められる。そして、この位置および角度のズレ量に基づいて、貼付け座標の補正値が求められる。なお、このことについては後に詳述する。
【0027】
続いて、ラベル貼着用ロボット21は、吸着ユニット23をカートリッジ搬送部20上のテープカートリッジ11の浅溝15の位置(アライメント位置)に移動させる。そして、この移動の過程で、ラベル貼着用ロボット21は、補正後の貼付け座標に基づいて、吸着ユニット23のラベル12の姿勢をテープカートリッジ11に対して貼着姿勢となるように微調整する。最後に、吸着ユニット23が下降して、ラベル12をテープカートリッジ11の浅溝15に押し当てるようにして貼着する。このように、ラベル貼着用ロボット21は、ピックアップしたラベル12を、ラベルアライメント部24上を通過する移動軌跡でテープカートリッジ11まで停止することなく移動させるが、この移動過程で、ラベルアライメント部24の検出結果に基づいて、ラベル12を位置補正するようにしている。
【0028】
図5は、ラベル貼着用ロボット21の制御系の機能ブロック図であり、同図に示すように、この制御系は、アーム制御部51を有し、アーム制御部51は、アーム駆動部52を介して制御信号を送り、ロボットアーム27の動きを制御している。また、ロボットアーム27の先端には、吸着ユニット23が取り付けられており、吸着ユニット23の裏面にラベル12が吸着されている。
【0029】
ラベルアライメント部24は、左右線対称に、2つのY軸方向のファイバーセンサー35aおよび35bと、2つのX軸方向のファイバーセンサー35cおよび35dとが設けられている。Y軸方向のファイバーセンサー35aおよび35bは、ラベル12の先行する一方の長辺を検出するものであり、X方向のファイバーセンサー35cおよび35dは、ラベル12の先行する一方の短辺を検出するものである。この場合、吸着ユニット23の吸着されたラベル12が斜め方向にスキャンされ、各ファイバーセンサー35a〜35d上を通過すると、ファイバーセンサー35a〜35dから検出信号が出力される。
【0030】
ファイバーセンサー35a〜35dの検出信号は、座標取得部53a〜53dにそれぞれ送られる。座標取得部53a〜53dは、ラベル12がラベルアライメント部24に対向させて斜め方向にスキャンされたときに、ファイバーセンサー35a〜35dからそれぞれ検出信号に基づいて、ロボットアーム27の現在位置の座標を取得する。座標取得部53a〜53dで取得された検出座標データーは、座標データー生成部54に送られる。座標データー生成部54には、検出座標データーに対応する基準座標データーを含む貼付け座標データーが記憶されており、座標データー生成部54は、座標取得部53a〜53dからの現在位置の検出座標データーに基づいて、貼付け座標の補正値が算出し、貼付け座標データーを補正する。
【0031】
そして、座標データー生成部54で補正された貼付け座標データーは、アーム制御部51に送られる。アーム制御部51は、座標データー生成部54で補正した貼付け座標データーに基づいて、アーム駆動部52によりロボットアーム27の動きを制御し、吸着ユニット23(ラベル12)をテープカートリッジ11の位置に移動させる過程でラベル12を位置補正する。
【0032】
次に、図6および図7を参照して、上記のラベル12の位置補正について詳細に説明する。図6は、左側のラベル供給ユニット22aからラベル12をピックアップした場合であり、図7は、右側のラベル供給ユニット22bからラベル12をピックアップした場合である。左側のラベル供給ユニット22aからラベル12をピックアップした場合には、左側の給材ホーム位置から右カーブを描いてラベル供給ユニット22上を通過しテープカートリッジ11に至る移動軌跡となり、右側のラベル供給ユニット22bからラベル12をピックアップした場合には、右側の給材ホーム位置から左カーブを描いてラベル供給ユニット22上を通過しテープカートリッジ11に至る移動軌跡となる(図4参照)。
【0033】
したがって、座標データー生成部54には、左側のラベル供給ユニット22aからラベル12をピックアップした場合の貼付け座標データー(左側基準テーターを含む)と、右側のラベル供給ユニット22bからラベル12をピックアップした場合の貼付け座標データ(右側基準テーターを含む)と、が用意されている。
左側の貼付け座標データーは、左側の移動軌跡を構成するものであり、左側の給材ホーム位置からの吸着ユニット23(ラベル12)の、X軸方向およびY軸方向の移動量と経過時間、θ方向の回転等に基づいて、左側の給材ホーム位置の座標と、最終目標位置である貼着位置(浅溝15)の座標と、中間目標位置であるファイバーセンサー35a,35b,35c位置のそれぞれの座標とで規定されている。同様に、右側の貼付け座標データーは、右側の移動軌跡を構成するものであり、右側の給材ホーム位置の座標と、最終目標位置である貼着位置(浅溝15)の座標と、中間目標位置であるファイバーセンサー35a,35b,35d位置のそれぞれ座標とで規定されている。
【0034】
図6に示すように、ラベル12をピックアップしたラベル貼着用ロボット21は、左側の給材ホーム位置においてラベル12を右上がりに傾ける。すなわち、ラベル貼着用ロボット21は、長辺がX軸方向に沿う状態でラベル12をピックアップし、給材ホーム位置においてラベル12を半時計回りに僅かに回転させる。この状態で、左側の移動軌跡に倣ってラベル12を搬送し(ラベル12は平行移動となる)、ラベルアライメント部24の直上を、同図示の矢印方向に通過させる。ここで、ファイバーセンサー35a,35b,35cによりラベル12が検出され、このときのX軸方向およびY軸方向の移動量と経過時間により、ファイバーセンサー35a,35b,35cに対応するラベル12の座標が取得される。詳細は後述するが、ここでラベル12に位置ズレが生じている場合には、ラベル12の搬送を続行しながら、ラベル12の位置補正を行い、さらに長辺がY軸方向に沿うようにラベル12を半時計回り回転させて、テープカートリッジ11の直上部に搬送する。
【0035】
図6(a)は、左側においてラベル12が位置ズレを生ずることなくピックアップされた場合であり、この場合には、ラベルアライメント部24を通過するラベル12は、先ずその長辺がファイバーセンサー35bにより検出され、続いて右側の短辺がファイバーセンサー35cにより検出され、最後に長辺がファイバーセンサー35aにより検出される。この場合には、ファイバーセンサー35a,35b,35cに対応するラベル12の検出座標は、左側の基準座標(中間目標位置)と合致することになる。なお、実施形態のものは、ラベルアライメント部24に設けたファイバーセンサー35a〜35dの配置や移動方向等に基づいて、上記の検出順となっているが、ファイバーセンサー35a,35b,35cが同時に検出する配置としてもよい。また、ラベル12を矢印方向(スキャン方向)斜めに移動させることにより、ラベル12が位置ズレしていても、これをファイバーセンサー35a,35b,35cで確実に検出できるようにしている。
【0036】
図6(b)は、ラベル12が位置ズレした状態でピックアップされた場合であり、この場合には、ラベルアライメント部24を通過するラベル12は、先ずその長辺がファイバーセンサー35aにより検出され、続いて右側の短辺がファイバーセンサー35cにより検出され、最後に長辺がファイバーセンサー35bにより検出される。この場合には、ファイバーセンサー35a,35b,35cに対応するラベル12の検出座標は、左側の基準座標とは合致せず、座標データー生成部54において、それぞれの位置ズレ量が算定される。すなわち、ファイバーセンサー35a,35bにより取得した座標により、Y軸方向の位置ズレ量とθ方向の位置ズレ量が算定され、ファイバーセンサー35cによりX軸方向の位置ズレ量が算定される。そして、この算定結果に基づいて、左側の貼付け座標データーが補正される。
【0037】
図7に示すように、ラベル12をピックアップしたラベル貼着用ロボット21は、右側の給材ホーム位置においてラベル12を左上がりに傾ける。すなわち、ラベル貼着用ロボット21は、長辺がX軸方向に沿う状態でラベル12をピックアップし、給材ホーム位置においてラベル12を時計回りに僅かに回転させる。この状態で、右側の移動軌跡に倣ってラベル12を搬送し(ラベル12は平行移動となる)、ラベルアライメント部24の直上を、同図示の矢印方向に通過させる。ここで、ファイバーセンサー35a,35b,35dによりラベル12が検出され、このときのX軸方向およびY軸方向の移動量と経過時間により、ファイバーセンサー35a,35b,35dに対応するラベル12の座標が取得される。ここでラベル12に位置ズレが生じている場合には、ラベル12の搬送を続行しながら、ラベル12の位置補正を行い、さらに長辺がY軸方向に沿うようにラベル12を時計回り回転させて、テープカートリッジ11の直上部に搬送する。
【0038】
図7(a)は、右側においてラベル12が位置ズレを生ずることなくピックアップされた場合であり、この場合には、ラベルアライメント部24を通過するラベル12は、先ずその長辺がファイバーセンサー35aにより検出され、続いて左側の短辺がファイバーセンサー35dにより検出され、最後に長辺がファイバーセンサー35bにより検出される。この場合には、ファイバーセンサー35a,35b,35dに対応するラベル12の検出座標は、右側の基準座標(中間目標位置)と合致することになる。
【0039】
図7(b)は、ラベル12が位置ズレした状態でピックアップされた場合であり、この場合には、ラベルアライメント部24を通過するラベル12は、先ずその長辺がファイバーセンサー35bにより検出され、続いて右側の短辺がファイバーセンサー35dにより検出され、最後に長辺がファイバーセンサー35aにより検出される。この場合には、ファイバーセンサー35a,35b,35dに対応するラベル12の検出座標は、右側の基準座標とは合致せず、座標データー生成部54において、それぞれの位置ズレ量が算定される。すなわち、ファイバーセンサー35a,35bにより取得した座標により、Y軸方向の位置ズレ量とθ方向の位置ズレ量が算定され、ファイバーセンサー35dによりX軸方向の位置ズレ量が算定される。そして、この算定結果に基づいて、左側の貼付け座標データーが補正される。
【0040】
図8および図9は、本発明の第1の実施形態に係るワーク移載装置の動作を示すフローチャートである。
図8において、アーム制御部51は、ロボットアーム27の先端の吸着ユニット23をラベル供給ユニット22の位置に移動させ(ステップS01)、吸着ユニット23により、ラベルテープから引き剥がすようにしてラベル12を吸着させる(ステップS02)。次に、ロボットアーム27を介して吸着ユニット23を給材ホーム位置に移動させ、ラベル12を傾ける(ステップS03)。次に、ロボットアーム27を介して吸着ユニット23(ラベル12)をラベルアライメント部24の位置に移動させる(ステップS04)。吸着ユニット23がラベルアライメント部24の位置に移動したら、アーム制御部51は、アライメントフラグをオンに設定し(ステップS05)、アライメント動作を行う(ステップS06)。
【0041】
アライメント動作が終了すると、アーム制御部51は、アライメントフラグをオフに設定し(ステップS07)、アライメント動作で補正されたテープカートリッジ11の貼り付け位置の座標に吸着ユニット23を補正しながら、吸着ユニット23をテープカートリッジ11の直上位置に移動させ(ステップS08)、テープカートリッジ11の所定位置(浅溝15)にラベル12を貼着する(ステップS09)。
【0042】
図9は、ステップS05でのアライメント動作の詳細を示すフローチャートである。同図において、アーム制御部51は、アライメントフラグがオンになっているかどうかを判定し(ステップS101)、アライメントフラグがオンになっていれば(ステップS101 Yes)、吸着ユニット23の斜め方向のスキャンを続行する(ステップS102)。そして、ファイバーセンサー35a,35b,35c(35d)の中で、検出信号が取得されたものがあるかどうかを判定し(ステップS103)、検出信号が取得されたセンサーがあれば(ステップS103 Yes)、検出信号が取得されたセンサーはファイバーセンサー35a〜35c(35d)の中でどれかを判定し(ステップS104)、そのときの検出座標を記憶する(ステップS105)。そして、アーム制御部51は、Y方向の2つのファイバーセンサー35aおよび35bと、X方向の1つのファイバーセンサー35cまたは35dの3点のファイバーセンサー35a,35b,35cまたは35a,35b,35dの検出信号が取得されたかどうかを判定する(ステップS106)。3点のファイバーセンサー35a,35b,35cまたは35a,35b,35dの検出信号が取得されていなければ(ステップS106 No)、ステップS102に処理が戻される。
【0043】
ステップS106で、3点のファイバーセンサー35a,35b,35cまたは35a,35b,35dの検出信号が取得されたと判定されると(ステップS106 Yes)、座標データー生成部54は、3点のファイバーセンサー35a,35b,35cまたは35a,35b,35dの検出信号が取得されたときの座標(検出座標)と、基準となる3点の位置座標(基準座標)とを比較して、貼り付け座標の補正値を算出する(ステップS107)。そして、アーム制御部51は、この補正値に基づいて、貼付け座標を補正する(ステップS108)。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、ファイバーセンサー35a〜35dを有するラベルアライメント部24が設けられ、ラベル12をラベルアライメント部24上で斜め方向にスキャンさせることで、吸着ユニット23のラベル12の吸着位置のズレ量を求め、このズレ量に基づいて、テープカートリッジ11上のラベル12の貼付け座標を補正しながら、吸着ユニット23をテープカートリッジ11上に移動させ、テープカートリッジ11上にラベル12を貼着している。これにより、テープカートリッジ11上の所定の位置にラベル12を貼着することができる。このように、ロボットアーム27を介して吸着ユニット23をラベルアライメント部24上で一回斜め方向にスキャンさせるだけで、ラベル12のアライメントが行え、高速処理が可能である。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、ラベル貼着装置10において、左右の一方にのみラベル供給ユニット22を設けるようにしてもよい。また、上述の例ではラベルアライメント部24にファイバーセンサー35a〜35dを配置しているが、これに代えて反射型のフォトセンサーを配置してもよい。
【符号の説明】
【0046】
10:ラベル貼着装置、11:テープカートリッジ、12:ラベル、15:浅溝、20:カートリッジ搬送部、21: ラベル貼着用ロボット、22,22a,22b:ラベル供給ユニット、23:吸着ユニット、24:ラベルアライメント部、27:ロボットアーム、31:アーム取付部、32:ラベル吸着部、35a〜35d:ファイバーセンサー、51:アーム制御部、52:アーム駆動部、53a〜53d:座標取得部、54:座標データー生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の辺と、前記第1の辺に交わる第2の辺を有するワークを、所定の移動軌跡に基づいて、給材位置から被アライメント部材のアライメント位置に移載するワーク移載手段と、
前記第1の辺の離間した2箇所および前記第2の辺の1箇所を検出する、3つの検出部を有するワーク検出手段と、
前記3つの検出部により検出される前記ワークの基準座標データーを含むアライメント座標データーを生成する座標データー生成手段と、
前記アライメント座標データーにより前記ワーク移載手段を制御し、前記ワークを、前記第1の辺および前記第2の辺が、ほぼ同時に前記3つの検出部を通過するように前記ワークを移動させた後、前記アライメント位置に移載する制御手段と、を備え、
前記座標データー生成手段は、前記3つの検出部が検出した前記ワークの検出座標データーに基づいて、前記アライメント座標データーを補正することを特徴とするワーク移載装置。
【請求項2】
前記ワーク移載手段の両側にそれぞれ前記給材位置が設けられ、
前記ワーク移載手段は、前記ワークをそれぞれ前記給材位置から前記アライメント位置に交互に移載し、
前記ワーク検出手段は、前記第1の辺を検出する2つの検出部を共有して、前記3つの検出部を線対称位置に2組有し、
前記座標データー生成手段は、アライメント座標データーを2組生成することを特徴とする請求項1に記載のワーク移載装置。
【請求項3】
前記各検出部が、ファイバーセンサーであることを特徴とする請求項1または2に記載のワーク移載装置。
【請求項4】
前記ワークが、矩形のラベルであり、
前記被アライメント部材が、前記ラベルが貼着されるカートリッジであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のワーク移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−103810(P2013−103810A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249408(P2011−249408)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】