説明

一体型ダンパー用のリニアドライブ

リニアドライブ機構を備える一体型ダンパーを有するハウジングアセンブリが提供される。一実施形態では、ハウジングアセンブリは入口及び出口を有するハウジングを備える。ダンパーがハウジング内に配置され、入口を通ってハウジングに流入する流れを規制するように位置決め可能である。リニアドライブ機構はダンパーに動作可能に結合され、ハウジングから離間した位置と入口を閉鎖する位置との間でダンパーを直線移動させるようになっている。リニアドライブ機構はダンパーを回転させずにダンパーを直線移動させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年10月24日出願の米国仮特許出願第60/729,644号からの利益を主張し、その全体が参照により援用される。
【0002】
本発明は大まかに、一体型ダンパーを有するハウジングアセンブリに関し、より詳細には、リニアドライブ機構を備える一体型ダンパーを有する、エアフィルタ用のハウジングアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の記載]
クリーンルームが多くの産業において汚染抑制のために且つ製品歩留まりを高めるために用いられている。複数のフィルタ(典型的にはクリーンルームの天井に取り付けられている)は、クリーンルームにおいて行われる作業(activities)の清浄度要件に基づいて選択される所定の効率でクリーンルームに流入する空気から粒子を取り除くように構成されている。フィルタ内に配置されている濾過媒体に粒子が付着する(load)ため、フィルタを通る空気流は、フィルタ全域の圧力低下が増すにつれて減る。フィルタは限界の圧力低下に達すると通常交換される。
【0004】
他の用途において、フィルタの交換は、時間又はクリーンルーム内で行われるプロセスに基づいてスケジューリングされる。例えば、多くの薬学的及びバイオテクノロジーのクリーンルームにおいて、フィルタの周期的な交換は、規則的仕様又はオーナー仕様を満たす必要がある。フィルタの効率的な交換を容易にするために、フード(ハウジング)は通常、フィルタを容易に取り外して交換することができるクリーンルーム天井に取り付けられる。
【0005】
室内側で交換可能なフィルタを備えるダクト供給フード(Ducted supply hoods)が、薬学的用途において、クリーンルーム製造及びプロセス領域並びに実験室領域への供給空気を清浄にするのに一般的に用いられる。これらのフードの大半は、フードからフィルタを取り外す必要なく空気流を利用者(customer)に調整させる調整可能なダンパーを備える。ダンパーの最も一般的なタイプは、ギロチン式、対向翼式(opposed blade)及びバタフライ式である。これらのダンパーは、完全に閉じるとフードへの空気の流れを本質的に停止する。多くの場合では、閉じたダンパーからの漏洩は、流量に関しては無視することができる程度であるが、クリーンルームの汚染に関して考慮すると重大である。
【0006】
これらのタイプのダンパーはシールを与えない(すなわち、非漏洩(leak-free)又は気密(bubble-tight)ではない)ため、クリーンルームの完全な隔離が要求される汚染除去プロセスになると不十分である。例えば、薬学的設備において設置されているフィルタのルーチン試験及び確認の際、1つ又は複数のフィルタに損傷、漏洩、及び/又は交換の必要性が見られる可能性がある。技術者がそのフィルタをフードから取り外すと、クリーンルームと、取り外されたフィルタの上流の汚染プレナム及び供給ダクトとの間の「シール」が破断する。新しいフィルタが設置されると、これらの2つの領域間の「シール」が復元するが、クリーンルームは既に、プレナム及び供給ダクトの汚染領域からクリーンルームに流入する空気及び粒子によって汚染されている。したがって、設備所有者は、クリーンルーム運転を再開する前に室内全体の汚染除去プロセスを行わなければならない。このことは、非常に時間がかかると共にコストがかかるプロセスである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、シール性能が向上したフィルタハウジングアセンブリが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態は概して、リニアドライブ機構を備える一体型ダンパーを有するハウジングアセンブリを備える。一実施の形態では、ハウジングアセンブリは、入口及び出口を有するハウジングを備える。ダンパーがハウジング内に配置され、入口を通ってハウジングに流入する流れを調整するように位置決め可能である。リニアドライブ機構は、ダンパーに動作可能に組み合わされ、ハウジングから離間した位置と入口を閉鎖する位置との間でダンパーを直線移動させるようになっている。リニアドライブ機構は、ダンパーを回転させずにダンパーを直線移動させるように構成される。
【0009】
別の実施の形態では、ハウジングアセンブリは、入口及び出口を有するハウジングを備える。ダンパーが、ハウジング内に配置されると共に、入口を開閉する位置間を直線移動可能である。当該ダンパーは閉位置にあるときに入口に広がる非平面形状を有する。ダンパーの回転を抑制する手段が設けられる。
【0010】
別の実施の形態では、ハウジングアセンブリは、入口ポート、出口ポート、及びバグイン/バグアウト(bag in/bag out)フィルタアクセスポートを有する。フィルタ受け入れ機構がハウジング内に配置され、ハウジング内に設置されているフィルタを介して入口ポート及び出口ポート間に流れるガスを導くように構成される。第1のダンパーは、ハウジング内に配置され、入口ポートを開閉する位置間で移動可能である。第2のダンパーはまた、ハウジング内に配置されると共に、出口ポートを開閉する位置間で移動可能である。第1のダンパーを回転させずに、開閉位置間で第1のダンパーを移動させるように構成される機構がハウジング内に設けられ、第1のダンパーは開位置にあるときにハウジングから離間している。
【0011】
本発明の教示は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を考慮することによって容易に理解することができる。
【0012】
理解し易くするために、可能な場合は複数の図面に共通の同一の要素を示すのに同一の参照符号を用いている。一実施形態の要素及び特徴をさらなる詳述はせずに他の実施形態に有益に組み込むことができることが意図される。
【0013】
しかしながら、添付図面は本発明の例示的な実施形態を示しているにすぎず、ゆえに、本発明の範囲を限定するものと考えられなく、そのため、他の同等の効果的な実施形態も許容し得ることに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[装置の選択された実施形態]
図1は、リニアダンパーセンブリ130を有するフィルタハウジングアセンブリ100の一実施形態の断面図である。ハウジングアセンブリ100は、室内側で交換可能なフィルタモジュールとして図1では示されている。しかし、本発明の利益及び特徴は、用途の中でも特に、クリーンルーム、環境及び汚染制御、空気調節、加熱及び通気システムの用途において堅調な流れ制御が望まれている、汚染ハウジング、フィルタディフューザ、ダンパーモジュール、及び他の装置に組み込まれ得ることが意図される。
【0015】
ハウジングアセンブリ100は概して、入口104及び出口106を有するハウジング102を含む。入口104及び出口106は、ハウジング102を貫いて形成され、ハウジング102を経て経路付けされるダクト110(仮想線(in phantom)で示す)を通してガスを流すことが可能である。入口104は、ハウジング102にダクト110を連結し易くするようにカラー112によって画定されている。フィルタ要素108は、出口106に配置され、入口104と出口106との間に流れるガスをフィルタ要素108に通す方法でハウジング102にシール連結される。フィルタ要素108は、例えばクリップ120又は締結具によって、任意の適した方法でハウジング102内に保持され得る。
【0016】
図1に示す実施形態では、ハウジング102はフィルタ要素108をシール嵌合する内側フランジ114を有する。一実施形態では、フランジ114は、フィルタ要素108に連結されたシール118をシール嵌合する刃縁116を有する。シール118は、代替的にハウジング102に連結し得る。シール118は、ジェルのような流体シール、ガスガスケット、又はハウジング102とフィルタ要素108との間にシールを与えるのに適した他の材料であってもよい。ディフューザ用途におけるように、フィルタ要素108はハウジング102に対し、注封、結合、接着、又は恒久的に連結され得ることも意図される。
【0017】
ダンパーアセンブリ130は、ハウジング102内において入口104とフィルタ要素108との間に配置される。ダンパーアセンブリ130は概して、ダンパーディッシュ(damper dish)132、リニアドライブ機構136、及びブラケット144を有する。ブラケット144は、ハウジング102に組み合わされる。ブラケット144は概して、ディッシュ132及びリニアドライブ機構136をハウジング102内に支持すると共に位置決めする。リニアドライブ機構136は入口104を開閉するようにディッシュ132を直線移動させるように構成される。
【0018】
再び図1を参照すると、リニアドライブ機構136は、ディッシュ132を回転させずに直線移動させるのに適した任意のアクチュエータとすることができる。例えば、リニアドライブ機構136は、特に、パワースクリュー、ソレノイド、電気モータ、空圧シリンダ、油圧シリンダ(hydraulic cylinder)、又はカム、シザーアクチュエータ(scissor actuator)、リニアアクチュエータとすることができる。図1に示す実施形態では、アクチュエータ138は、ラック138及びギア140を有する。ラック138は締結具134によってディッシュ132に組み合わされる。ディッシュ132は、他の適した締結方法によってラック138に組み合わされてもよいことが意図される。ディッシュ132とラック138との間に垂直な向きを確実にするために、ディッシュ132はラック138の平坦な端に着座する平坦な中央セクション162を有する。
【0019】
図1に示す実施形態では、ギア140はピニオンギアであるが、一つ又は複数の別のギアを用いてもよい。ピニオンギア140はシャフト152に組み合わされる。ピニオンギア140のサイズは、ラック138の所定のストロークを与えるように、且つ、所定の作動力を与えるように選択され得る。一実施形態では、ピニオンギア140の回転向きを制御できるように、そしてそれによってラック138及びディッシュ132の位置を制御できるように、シャフト152が、ハウジング102を貫いて延びる。シャフト152は、シャフト152とピニオンギア140との間の運動の効率的な伝達を確実にする、ピニオンギア140とのキー又は他の適した接続部を有し得る。一実施形態では、ラック138及びピニオンギア140の噛み合い歯は、ラック138が前進する際にディッシュ132の回転を防止する平らなねじ山及びねじ溝(flat crests and trenches)を有する。同様に構成されているピニオンギア140と共に、ラック138の平らなねじ山及びねじ溝が図5に示される。リニアドライブ機構は、ディッシュ132の回転を防止する他の構成を有し得ることが意図され、適合された保持構造部(keyed retaining features)、トラック、複数の軸受ガイド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
ラック138は、ブラケット144に組み合わされている一組のブッシュ142の間で摺動可能に取り付けられる。ブッシュ142は、DELRIN(登録商標)又は真鍮等の任意の適した軸受材料から成り得る。ブッシュ142は代替的にローラ軸受であってもよい。ラック138は、より長いか又はより短い作動ストロークを与えるように交換されてもよく、それに応じて、ディッシュ132と入口104との間にオリフィス領域を設定する。
【0021】
図1に示す実施形態では、ブラケット144は、2つのタブ148が延びているラック支持体146を有する。ブッシュ142は、ディッシュ132の運動及び向きの制御を高めるように離間関係でタブ148内に取り付けられる。ラック支持体146は、ハウジング102の対向する壁間に延びる1つ又は複数のクロスバー150に連結される。クロスバー150は、ハウジング102に溶接されるか、リベット締めされるか、又は締結されてもよい。
【0022】
ディッシュ132は概して、ディッシュ132の外周166に隣接して位置するシールセクション164を有する円錐面160を有する。シールセクション164は、入口104を通して空気流をシールし易くする方法でハウジング102及び/又はカラー112に嵌合する。図1に示す実施形態では、シールセクション164は、シール170が内部に配置されているチャネル168を有する。シール170は、カラー112又はハウジング102の一方から延びるリップ172と嵌合するように構成される。シール170は、ガスケット、ブラダー、又は流体シールであってもよい。シール170はカラー112又はハウジング102に連結され、ディッシュ132とシール嵌合するように構成され得ることも意図される。上述したラック138及びピニオンギア140によるディッシュ132の非回転により、ディッシュ132及びリップ170が嵌合する際のシールのせん断が防止され、それにより、シールの寿命及び性能が延びる。入口104をシールしている間にリニアドライブ機構136がディッシュ132を回転させない限り、ディッシュ132は、閉位置から離間すると回転し得ることが意図される。
【0023】
図2は、ハウジング102を貫いて延びるシャフト152を示す、ハウジング102の部分断面図を示す。シャフト152の周りのハウジングアセンブリ100からの漏洩を防止するために、ブッシュ202がハウジング102を貫いて形成される穴204の周りをシール可能に締結して、シャフト152の通過を容易にする。ブッシュ202は、任意の適した方法によってハウジング102にシールされ得る。図2に示す実施形態では、ブッシュ202はハウジング102に連続溶接される。
【0024】
軸受206はブッシュ202にプレス嵌めされ、シャフト152を嵌合して回転し易くする。シール208が、ブッシュ202とシャフト152との間の空気漏洩を防止するためにブッシュ202の一端に設けられる。シール208はOリング、カップシール、ガスケット、流体シール、又はシャフト152の周り及びハウジング102の穴204からのガスの漏洩を防止するのに適した他のシールであってもよい。
【0025】
シャフト152は、ハウジングアセンブリ100の外に位置する終端250を有する。終端250は概して、シャフト152に対する回転運動を生じ易くする駆動構造部252を有する。一実施形態では、駆動構造部252は、シャフト152の側面に形成される平坦部である。他の適した駆動構造部としては、六角頭、ローレット面(knurled surface)、キーウェイ、スロット等が挙げられるがこれらに限定されない。終端250がハウジング102の側から延びている様子が示されているが、駆動構造部252はハウジング100の出口側から等、他の位置からアクセス可能であり得ることが意図される。
【0026】
図3〜図4を参照すると、ピニオンギア140に近接したシャフト152の内端は第2の軸受304によって支持される。第2の軸受304はラック支持体146から延びるタブ302内に配置される。第2の軸受304は軸受206と同様とすることができる。
【0027】
動作の際、シャフト152は選択的に回転してピニオンギア140を回転させる。回転しているピニオンギア140がラック138を前進させ、それにより、ディッシュ132を直線移動させる。ディッシュ132の移動は入口104によって画定された開口の平面に対してほぼ垂直であるため、シール170がリップ172と均一に嵌合し、それにより、シールの均一性及び性能が高まる。さらに、ディッシュ132が入口104を通ってハウジング102に流入する(又は流出する)流れに対して中心に維持されるため、ディッシュ132とリップ172との間に画定される流れオリフィスが均一になり、したがって、フィルタ要素108を通って均一な流れが促進される。ディッシュ132は、図8及び図9では入口104を閉じる位置及び入口104から離間した位置で例示的に図示されている。リップ172からのディッシュ132の間隔は、フィルタ要素108を介して所望の空気流量を提供するように選択され得る。
【0028】
図6は、汚染ハウジングアセンブリ600の一実施形態の断面図である。本発明から利益を受けられる汚染ハウジングアセンブリは、Camfil Farr, Inc.(ニュージャーシー州リバーデイル所在)から入手可能である。
【0029】
一実施形態では、ハウジングアセンブリ600は、入口604、出口606、及び少なくとも1つのアクセスポート608を有するハウジング602を有する。入口604及び出口606は、ハウジング602を貫いて形成され、ハウジング602を通って流れるガスを導くように配置される。アクセスポート608は、例えば、フィルタ交換、隣接して組み合わされたハウジング内に配置されたフィルタの走査等のために、ハウジング602の内部へのアクセスを可能にするように構成される。
【0030】
ハウジング602は、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、又は他の適した材料等、金属から作製されてもよい。ハウジング602は中を流れるガスとハウジング602の外側の周囲との間に圧力障壁を形成する構造を有する。図6に示す実施形態では、ハウジング602は、連続溶接金属シートから作製される中空矩形体である。
【0031】
ハウジング602はさらに、ハウジングアセンブリ600内に配置されているフィルタ要素616とシール嵌合するシールフランジ614を有する。リンク機構620がハウジング602に設けられ、フランジ614とシール嵌合する位置とフランジ614から離れる位置との間でフィルタ要素616を移動させるように構成される。上述のシール170のようなシール(図示せず)がフィルタ要素616とフランジ164との間に配置されて、流れがフィルタ要素616を迂回しないようにする。
【0032】
アクセスポート608が、ハウジング602からフィルタ要素616を取り外し易くするように構成され、ドア622によって選択的にシールされる。アクセスポート608は、ハウジングの内部にアクセスするのに、且つ/又はフィルタ要素616を取り出して交換するのに用いられるバッギングリング(a bagging ring)(図示せず)によって囲まれている。
【0033】
汚染ハウジング600の少なくとも一端は、リニアダンパーアセンブリ130を有する。リニアダンパーアセンブリ130は上述した通りである。図6に示す実施形態では、外部アクチュエータ690はハウジング602の外側のダンパーアセンブリ130のシャフト152に組み合わされる。外部アクチュエータ690は、シャフト152の回転を制御するのに適した任意の装置又は物体とすることができる。一実施形態では、外部アクチュエータ690はホイールである。代替的に、外部アクチュエータ690は特に、モータ、空圧シリンダ、油圧シリンダ、又はレバーとすることができることが意図される。
【0034】
図7は、ダンパーアセンブリ130を有するハウジングアセンブリ700の一実施形態を示す。ハウジング700は、アクセスポート608を有する構成であってもよく又は有さない構成であってもよい。ハウジングアセンブリ700は、スタンドアロン型ダンパー(遮断及び/又は流れ制御)として、又は特に汚染システム内のアクセスポートとして利用され得る。ダンパーアセンブリ130は、ハウジングアセンブリ700を通る流れを制御するために、上記の実施形態を参照しながら説明したように動作し得る。
【0035】
寿命サイクル試験
上述した一体型リニアダンパーアセンブリを有するハウジングアセンブリは、作製されたピニオンギアとラック(両方ともステンレス鋼から作製される)との間に何らかの著しい又は不適当な量の摩耗が生じるかどうかを判定するために、且つ、ラック及びダンパーシャフトを支持するのに用いられる青銅ブッシュ内に何らかの著しい又は不適当な量の摩耗が生じるかどうかを判定するために試験された。
【0036】
試験設定
一高さ×一幅の汚染ハウジングを一体型リニアダンパーアセンブリに応じるように変更した。一体型ダンパーアセンブリは12インチ(304.8ミリメートル)直径のステンレス鋼ディッシュを用いた。中間デュロメータシリコーンスポンジガスケット(durometer silicone sponge gasket)を鋳型を用いて手動で切断した。RTVをディッシュのチャネルの底面に配置した。ガスケットをチャンネル内に着座させ、ガスケットをチャンネル内に保持するのにRTVを接着剤として用いた。ディッシュに対して最小限の接着でシールを試験するために、スポンジガスケットの縁はチャンネル内にシールしなかった。
【0037】
ダンパーアクチュエータは、通常、従来の平坦なブレードダンパーに使用される、キーウェイを有する3/4インチ(約19.05ミリメートル)径のステンレス鋼シャフトを含んだ。ピニオンギアは1/4インチ(約6.35ミリメートル)厚の304ステンレス鋼から作製した。3つのギア部を互いの上にスタックし、約3/4インチ厚に単一のギアを形成するようにキーウェイを整合して一緒に溶接した。ラックは、20mm径の304ステンレス鋼シャフトから製造した。ラックは直線状に移動し、所定位置に保持され、ブラケットに組み合わされた青銅ブッシュを用いて整合された。また、青銅ブッシュを、ダンパーシャフトを保持及び整合するように支持部材内に設けて、ラックとのギア歯の適正な噛み合いを確実にするようにした。
【0038】
入口の境界を定める(circumscribing)12インチ(304.8mm)径の304ステンレス鋼カラーから延びるリップを用いて、入口の境界を定める刃縁を形成した。カラーは、ハウジングの上流フランジに連続溶接される11ゲージ304ステンレス鋼の一部に連続溶接された。
【0039】
ダンパーアセンブリに連結されたアクチュエータがピニオンギアを回すように回転する際、ラックは入口に向かって直線的に前進する。ラックは、ハウジングのエンドプレート内に取り付けられた刃縁に向かってステンレス鋼ディッシュを押す。ディッシュの外周のシリコーンガスケットが刃縁に対しシールした。一実施形態では、ラックの歯の平坦な形状がシャフトの歯の平坦な形状と嵌合することにより、シャフトの回転が実質的に防止される。
【0040】
試験設備及び器具
●スプリングリターンを用いるElomatic350シリーズ空気圧式アクチュエータ
○型:ESO350.U2A03B.27K0
○製造番号:22221100020
●ボール弁及び静圧接続を用いるブランクオフプレート(Blank-off Plate)
●OMRONタイマー:
○型:H3CR−F8300
●Dwyerフレックス管(Flex-Tube)マノメータ:
●Gast真空ポンプ
【0041】
試験手順
ダンパーはCFW−1000 CFW−10003、Revision 3: Pressure Decay/Structural Capability/Bubble Leak Testingに従って発泡試験した。一体型ダンパーを有する汚染ハウジングを、カートとボール弁を有する封止板との上に配置し、静圧ポートを、刃縁としても働く入口カラーの対向端に取り付けた。このスペースは、ダンパーが刃縁から押し離れるように加圧した。この圧力はU字形チューブマノメータによって測定され、このマノメータは、加圧スペースと周囲圧との差圧読み取り値を与える。石鹸水を入口リングの刃縁とシール中のシリコーンガスケットとの間の接触面に噴霧した。視覚的検査を5分間行って気密(すなわち漏洩のない状態)を保証した。
【0042】
概して、気密ダンパーは>+10インチ(約25.4センチメートル)(w.g.)(2.50kPa)の水量ゲージで発泡漏れ試験した。場合によっては、>+15インチ(約38.1センチメートル)w.g.(3.74kPa)の気密が必要とされる。この試験の際、リニアダンパーは>18インチ(約45.72センチメートル)よりも大きいw.g.(4.48kPa)で試験した。
【0043】
最初の発泡試験後、動力及び圧縮空気をアクチュエータに供給し、ダンパーを開閉位置間でサイクルさせた。発泡試験を、上述の方法を用いて5,000、10,000、及び15,000サイクルを上回るサイクル後に行った。視覚的な観察を試験全体を通して行って、シール及び作動機構の耐久性に関して迅速に繰り返されるサイクルの効果を判定した。
【0044】
結果
サイクル試験の結果は以下の通りである:
【0045】
表1:サイクル試験結果
【表1】

【0046】
表1に示すように、ダンパーは、行われた各試験では>+18インチ(約45.72センチメートル)w.g.(4.48kPa)で気密であった。ダンパーは、より高い圧力でも気密のままであると考えられる。試験は、他のプロジェクトのために実験室を使用し易くするように、失敗せずに15,260サイクル後に終了した。試験の結果後のダンパー作動用の機構の視覚的観察及び検査時に、機構の摩耗の痕跡、劣化、又は故障は全く見られなかった。また、ギア摩耗の視覚的な痕跡も全くなかった。
【0047】
試験されるダンパーアセンブリは、従来の平坦なブレードダンパー及びディッシュ型ダンパーに好ましく匹敵する。寿命の延びは、ダンパーアセンブリの設計及び構造に起因すると考えられ、その構造は、回転ブレードに比してブッシュの摩耗及び応力を低減する直線運動を利用する。さらに、直線運動及びギアの使用により、ダンパーを閉じるのに必要とされる動力が低減され、それにより、アクチュエータのコストが最小限にとどめられる。
【0048】
結論
ダンパーは、15,000を上回るサイクルで>+18インチ(約45.72センチメートル)w.g.(4.48kPa)の気密のままであることが立証され、この気密は、産業要件(10,000サイクル後に+10インチ(約25.4センチメートル)w.g.(2.50kPa)の気密)を50%上回る。15,000を上回るサイクルの後であってさえも摩耗がないことにより立証されるように、機構のロバスト性及び耐久性は、平坦なブレードダンパー及びディッシュ型ダンパーの設計の双方より優れている。
【0049】
本発明の教示を組み込んでいる各種実施形態を本明細書において示し詳細に述べたが、当業者は、これらの教示を組み込んだままで多くの他の変形形態を容易に考案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】フィルタハウジングアセンブリ内に配置されるリニアダンパーアセンブリの一実施形態の断面図である。
【図2】図1のハウジングアセンブリの部分断面図である。
【図3】ダンパーアセンブリのディッシュを直線移動させるようになっているアクチュエータの一部の上面図である。
【図4】ブッシュの側面図である。
【図5】アクチュエータのラックの部分側面図である。
【図6】汚染ハウジングアセンブリ内に配置されているリニアダンパーアセンブリの一実施形態の側面切り欠き図である。
【図7】ハウジングアセンブリ内に配置されているリニアダンパーアセンブリの別の実施形態である。
【図8】開位置にあるリニアダンパーアセンブリの一実施形態の斜視図である。
【図9】閉位置にあるリニアダンパーアセンブリの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングアセンブリであって、
入口及び出口を有するハウジングと、
前記ハウジング内に、前記入口に対して中心に位置した状態の向きに配置されるダンパーと、
前記ダンパーを回転させずに、前記入口を開閉する位置間で該ダンパーを直線移動させるリニアドライブ機構と、を備える、ハウジングアセンブリ。
【請求項2】
前記ダンパーはほぼ円錐状である、請求項1に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項3】
前記ハウジング内に配置されるフィルタ要素をさらに備える、請求項1に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジングはフィルタハウジング、汚染ハウジング、又はスタンドアロン型ダンパーの少なくとも1つである、請求項1に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項5】
前記リニアドライブ機構は、カム、シザーアクチュエータ、リニアアクチュエータ、パワースクリュー、ソレノイド、電気モータ、空圧シリンダ、油圧シリンダ、又はギアの少なくとも1つである、請求項1に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項6】
前記ダンパー及び前記ハウジングと接触すると共に、該ダンパーが前記閉位置にあるときに前記入口の気密シールを与えるシールをさらに有する、請求項1に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項7】
前記ダンパーの外周に連結されると共に、前記ハウジングとシール嵌合して、前記ダンパーが前記閉位置にあるときに前記入口の気密シールを与えるシールをさらに有する、請求項1に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項8】
前記シールは、ガスケット、流体シール、又はブラダーの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のハウジングアセブリ。
【請求項9】
前記リニアドライブ機構は、前記ダンパーに組み合わされるシャフトをさらに備え、
前記シャフトが直線方向に移動されるときに前記ダンパーの回転を防止する構造部に、前記ダンパーが嵌合されている、請求項1に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項10】
ハウジングアセンブリであって、
入口及び出口を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されると共に、前記入口を開閉する位置間を直線移動可能であるダンパーであって、閉位置にあるときに前記入口に広がる非平面形状を有するダンパーと、
前記ダンパーの回転を抑制する手段と、を備える、ハウジングアセンブリ。
【請求項11】
前記抑制する手段は、
前記ハウジングに組み合わされると共に、該ハウジングに相対する向きに固定される第1の構造部と、
前記ダンパーに相対する向きに固定される第2の構造部と、をさらに備え、
前記第2の構造部は、回転させずに直線移動させる方法で前記第1の構造部と嵌合する、請求項10に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項12】
前記抑制する手段は、平らなねじ山及びねじ溝を有する嵌合ねじ部材をさらに含む、請求項10に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項13】
前記抑制する手段は、
前記ダンパーに組み合わされると共に、非円形断面を有するシャフトと、
前記シャフトを囲むと共に、該シャフトの形状と嵌合するシャフト受け入れ穴を有する、軸受又はガイドと
をさらに含む、請求項10に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項14】
ハウジングアセンブリであって、
入口ポート、出口ポート、及びバグイン/バグアウトフィルタアクセスポートを有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されると共に、前記ハウジング内に設置されているフィルタを介して前記入口ポート及び前記出口ポート間に流れるガスを導くように構成される、フィルタ受け入れ機構と、
前記ハウジング内に配置されると共に、前記入口ポートを開閉する位置間で移動可能である第1のダンパーと、
前記ハウジング内に配置されると共に、前記出口ポートを開閉する位置間で移動可能な第2のダンパーと、
前記ハウジング内に配置されると共に、前記第1のダンパーを回転させずに、前記開閉位置間で前記第1のダンパーを移動させるように構成される機構と、を備え、
前記第1のダンパーは、前記開位置にあるときに前記ハウジングから離間している、ハウジングアセンブリ。
【請求項15】
前記ダンパーはほぼ円錐状である、請求項14に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項16】
前記機構は、カム、シザーアクチュエータ、リニアアクチュエータ、パワースクリュー、ソレノイド、電気モータ、空圧シリンダ、油圧シリンダ、又はギアの少なくとも1つである、請求項14に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項17】
前記第1のダンパー及び前記ハウジングと接触すると共に、該第1のダンパーが前記閉位置にあるときに前記入口の気密シールを与えるシールをさらに有する、請求項14に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項18】
前記第1のダンパーの外周に連結されると共に、前記ハウジングとシール嵌合して、前記第1のダンパーが前記閉位置にあるときに前記入口の気密シールを与えるシールをさらに有する、請求項14に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項19】
前記シールは、ガスケット、流体シール、又はブラダーの少なくとも1つをさらに含む、請求項18に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項20】
前記機構は、前記ダンパーに組み合わされるシャフトをさらに備え、
前記シャフトが直線方向に移動したときに前記ダンパーの回転を防止する構造部に、前記ダンパーが嵌合されている、請求項14に記載のハウジングアセンブリ。
【請求項21】
前記第1のダンパーは、非平面形状を有し、
前記非平面形状は、前記第1のダンパーが前記閉位置にあるときに、前記入口に広がる、請求項14に記載のハウジングアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−512830(P2009−512830A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537885(P2008−537885)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/041519
【国際公開番号】WO2007/050626
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(508043501)カムフィル ファー,インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】