説明

一体型データ収集システムを有するハンドヘルド電子的物品監視(EAS)デバイス検出器/消去器

有効電子的物品監視(EAS)デバイスを探し、EASデバイスの有効/失効状態を管理し、且つEASデバイスにより引き起こされた警報事象に関する情報を記録する携帯型コードレスハンドヘルドデバイス。このデバイスはEASタグ又はラベルの存在を検出するEAS検出器と、検出された有効EASラベルの有効/失効状態を操作する状態マニュピレータと、警報事象に関連するデータを収集する少なくとも一つのデータ収集器と、収集されたデータを記憶するメモリとを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の参照
本願は、米国特許仮出願第60/654,095号(2005年2月18日出願、発明の名称"Mobile Alarm Management With Integrated EAS Tag Detection, Deactivation and Capture")に基づく優先権を主張しており、当該仮出願の内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【発明の背景】
【0002】
1.技術分野
本発明は、電子的物品監視(EAS)デバイスを検出及び失効化するためのハンドヘルド携帯型デバイスに関し、特に一体型データ収集及び警報事象記録システムを有するハンドヘルドEAS失効デバイスに関する。
【0003】
2.関連技術の背景
電子的物品監視(EAS)デバイス警報記録の従来の方法は、検出点(例えば店舗の出入り口)近傍における手作業の記録(例えば紙面の記録)又は電子的記録(例えば記録ターミナル)に頼っている。通例、EASデバイスは監視対象商品に貼り付けられ若しくは配置されたタグ又はラベルである。EAS警報が起きると、係員は顧客に働きかけて、警報を惹起しているEASデバイスを探し出し、EASデバイスを失効して警報の原因を記録せねばならない。殆どの場合、顧客は幾つかの商品用バッグを携えているので、警報を起しているEASデバイスを伴う商品を探すことは容易でない。
【0004】
従業者は顧客にEAS監視システムへ戻るように指示して、各バッグを個別にEAS監視システムに置いて、有効EASデバイスを有するバッグを探す。有効化EASデバイスを包含するバッグが見つかったならば、バッグ内の各商品を検査して、原因であるEASデバイスを探さねばならない。同一のEASデバイスのこの二次警報は記録する必要のある付加的な警報を発生する。商品へ取り付けられたEASデバイスが発見されたならば、これは失効装置にて失効させねばならず、その失効装置は清算所に配置されるのが通例である。最後に、従業員は警報を記録して全ての関連する警報の詳細を収集せねばならない。この処理は時間を要し、非効率的なものとなる。更に、顧客の店舗からの退出を不必要に遅らせるので、顧客の満足化問題をもたらす。
【0005】
上述のように、或る警報記録システムは紙面記録から電子的記録へ移行している。店舗従業員は、店舗の入口か出口の近傍に配置された固定ターミナルを用いて各警報を電子的に記録するのが通例である。一つの従来例では、独立型の携帯型EASデバイス検出及び失効装置が用いられている。しかしながら、このようなシステムはEAS警報に応答する検出及び失効部分に対処するのみである。更に、EASデバイス検出、失効処理、警報記録の処理に関連したデータ収集は依然として非効率的であり、時間を要する。従ってEAS警報に関連した検出、失効、及びデータ収集をより効率的に扱う方法に対する要請がある。
【0006】
発明の概要
以下の簡単な概要は本発明の幾つかの観点の基本的概観を与える。この概要は広範な概観を示すものではない。この概要は、本発明の主要な若しくは重要な要素を特定することや本発明の目的を描き出すことを意図したものではない。この概要は請求された要件の目的を決定することに付与するように用いることを意図したものではない。その目的は、以下のより詳細な説明の前に技術に関連した幾つかの単純化された概念を提示することである。
【0007】
本発明の実施形態は、作動中のデバイスを探して、そのデバイスの有効/失効状態を管理する携帯型デバイスを採用することにより公知のEASシステムにおける一つ又は複数の欠陥を解消する。有効電子物品監視(EAS)デバイスを探し、EASデバイスの有効/失効状態を管理し、且つEASデバイスにより引き起こされた警報事象に関連する情報を記録する携帯型でコードレスのハンドヘルドデバイスを開示する。このデバイスは、EASタグ又はラベルの存在を検出するEAS検出器と、検出された有効EASラベルの有効/失効状態を操作する状態マニュピレータと、警報事象に関連したデータを収集する少なくとも一つのデータ収集デバイスと、収集データの記憶のためのメモリとを含む。
【0008】
本発明の様々な実施の形態をより良く理解するには、添付の図面を斟酌しながら以下の詳細な説明を参照することであり、図において同様な参照符号は同様な構成要素を示す。
【0009】
詳細な説明
説明の単純化及び容易化のために、本発明をその様々な実施例に関連付けて説明する。しかしながら、当業者には本発明の特徴及び利点は様々な形態に実施できることが理解されよう。従って本明細書に説明された実施例は、例示のために示したものであって、限定 を意図したものでないことに留意されたい。
【0010】
図1乃至図5に示す実施例においては、全体的に符号21で示される携帯型デバイスが開示され、これは有効状態の電子物品監視デバイス(electronic article surveillance system:EAS)25を探して、このEASデバイスの有効/失効状態を管理する。当業者には明らかであるように、通例はEASデバイス25は一つ又は二つの状態、即ち有効及び失効にある。店舗におけるアイテム29に配されたEASデバイス25は通常は有効状態に設定されて、当該アイテムが購入されていないことを示す指標としての機能を果たし、それが例えば店舗の出口で検出された際に警報を引き起こす。対照的に、購入されたアイテム29に対応するEASデバイス25は、例えば精算所において失効されるので、そのアイテムは警報を引き起こさない。当業者には容易に理解されるように、このようなEASデバイス25の有効及び失効状態の管理は重要であり、且つ小売業の潜在的に時間を要する部分である。EASデバイス25は倉庫補完などの他の在庫システムにも容易に適用可能である。
【0011】
このようなEASデバイス25の管理を支援するために、携帯型デバイス21は有効EASデバイス(図1参照)の存在を検出する検出器35を含む。このような検出器35は代表的な店舗設定、例えば店舗出口におけるEAS警報の発生の際に店舗係員が顧客に働きかけて携帯型デバイス21によりEASデバイス25の失効を促進して店舗から退出させる設定に有益である。検出器35は、顧客が購入したアイテム29を、精算所ではなく、店舗出口にて店舗係員に迅速に走査させることを可能とする。購入したアイテム29を走査することにより、店舗係員は、EASデバイスを含んでいそうな各アイテムを失効するように試みるのではなく、何れのアイテムが有効EASデバイス25を依然として包含しているかを容易に判断できる。
【0012】
一つの実施形態では、例えば、検出器35はRFIDラベル検出器であり、これは検出器の作動範囲内のRFIDラベルの形態にある有効EASデバイス25を検出する。検出器25は音響磁気的又は電磁的タグ検出器とすることもできる。この検出器35により、有効EASデバイス25は、アイテム群の中から、又は容器(例えばギフトボックス又は買い物バッグ)を介して、或いは衣服(例えばコートの内側)を介して容易に検出することができる。当業者はEASデバイス25を通常は店舗の入口又は出口に位置しているEAS検出器(例えば検出台)の近傍を通過させるか、或いはハンドヘルドEAS検出デバイスを用いるEASデバイスの検出に精通している。従ってそのようなデバイスの操作については、ここでは詳述しない。
【0013】
図1、図2、及び図4を参照すると、携帯型デバイス21は、有効EASデバイス25の検出を知らせる検出インジケータ39を更に備えてもよい。一例では、検出インジケータ39は、有効EASデバイスの検出を示す可視的インジケータ(例えばディスプレイ39A上の書き込みメッセージ)及び可聴的インジケータ(例えばスピーカー39Bからのオーディオサウンド)の少なくとも一方を含む。倉庫保管の例では携帯型デバイス21は各アイテム29を配送する前か或いは店舗の棚に配置される前に各アイテム29が有効EASデバイス25でタグ付けされているか否かを判定するのに用いてもよい。店舗の例では、検出インジケータ39は使用者が幾つかのアイテム29を一度に走査している間に使用者に警報を与えることができるので、使用者は有効EASデバイス25が検出されたか否かを確認するために各アイテムの走査を中断する必要はない。
【0014】
本発明の態様によれば携帯型デバイス21は、検出された有効EASデバイス25の有効/失効状態を操作する状態マニュピレータ45を含む(図1参照)。上述したように、EASデバイス25は代表的には一つ又は二つの状態、即ち有効及び失効で存する。状態マニュピレータ45は検出されたEASデバイス25の状態を変化させる能力がある。一つの例では、状態マニュピレータ45は、検出された有効EASデバイス25を失効させる消去器である。
【0015】
他の実施の形態では、状態マニュピレータ45は消去器と再生器との両方としてもよい。この代替的な実施形態では、EASデバイス25の状態は、有効から失効へ或いは失効から有効へ操作される。失効から有効へ状態を操作する能力は、アイテム29におけるEASデバイス25が、そのアイテムの出荷及び/又は販売の前に有効化することが要求される倉庫保管例においては特に有益である。当業者は、例えば受動的接触失効デバイス又は電子的失効デバイス、及び本明細書では具体的な名前を挙げない他のデバイスの使用によるEASデバイス25の有効化及び失効化に精通している。従って、このようなデバイスの操作はここでは詳述しない。
【0016】
携帯型デバイス21は、検出されたEASデバイス25に関連したデータを収集する少なくとも一つのデータ収集デバイス55を含む(図1参照)。データ収集デバイス55は、以下のうちの少なくとも一つを収集する。即ち(i)有効EASデバイス25の検出の時間、(ii)検出器35が有効EASデバイスを検出した場所(例えば店舗又は倉庫内)、(iii)有効EASデバイスに関連する識別子、(iv)検出された有効EASデバイスに対応するアイテム29に関連した識別子(例えば統一商品コード(UPC))、(V)アイテムを包含するリストに対応する識別子(例えばレシートのバーコード)、(vi)有効状態のEASデバイスについての原因を識別する識別子、及び(vii)取引場所に対応する識別子である。他の形式のデータも本発明の目的を逸脱することなく収集できる。
【0017】
データ収集デバイス55は様々な形態を採ることができ、これは手動データ入力デバイス、バーコードスキャナー、ラジオ周波数識別(RFID)タグリーダーの少なくとも一つを含むが、それらに限定されるものではない。例えばバーコードスキャナーは、走査したアイテムに対応するSKU(最小在庫管理単位)コードを収集できる。他の例においては、RFIDタグリーダーはRFIDタグに関連したデータを収集する。手動データ入力デバイスの場合、幾つかのデバイスが本発明の目的の範囲内として意図されており、これは、キーボード、単独のボタン又はボタン群、タッチスクリーン、ジョイスティック、及びスタイラスを含む。他のデバイスも本発明の目的から逸脱することなく用いることができる。図1乃至4の実施例においては、キーパッド57は手動データ入力のために含められている。任意の手動データ入力デバイスを本発明の目的から逸脱することなく用いることができる。他のデータ収集デバイスは、手動データ入力を必要とするのではなく、データを自動的に収集する。例えば、検出器35が有効EASデバイス25を検出すると、携帯型デバイス21のRFIDタグリーダーは、アイテム29に対応するRFIDタグからデータを自動的に集める。
【0018】
図5は携帯型デバイス21の構成要素の一例を概略的に示す。デバイス21はメモリ手段153に接続されたプロセッサ150を含んでもよい。このプロセッサ150には組み込み型オペレーティングシステム、例えばMicrosoft Windows CE等を持たせることができる。デバイス121はEASモジュール156を含んでもよく、これは特定の形式のEASシステムの操作のために選択して構成することができる。EASモジュール156は、有効EASデバイスの存在を検出する検出器151を包含することができる。当技術分野ではよく知られているように、検出器151には、例えば呼び掛け信号を送信する送信器と警報パターンの検出のための受信器とを包含させることができる。EASモジュールには状態マニュピレータ、例えば消去器152を含めてもよく、これは有効EASデバイスを失効状態にするように操作可能である。消去器152は例えば接触消去器又は近接消去器の何れにもすることができ、本発明はそれに限定されるものではない。再利用可能なEASラベルを利用した実施の形態では、状態マニュピレータは組み合わせEASデバイス再生器/消去器とすることもできる。
【0019】
上述のように、携帯型デバイス21は少なくとも一つの一体型データ収集デバイス155を含んでもよい。データ収集デバイス155はEASデバイスにより引き起こされた警報事象に関連するデータを集めるために用いることができる。その集められたデータはメモリ153に記憶されて、電子的警報事象ログを与える。
【0020】
携帯型デバイス21は適宜なI/Oデータ送信手段157を包含することができ、これは記録された警報事象データを中央サーバーへ送信することができる。使用の第1のモードにおいては、データはメモリ153に記憶されてサーバーへ周期的にダウンロードされる。使用の第2のモードにおいては、データは実時間でリモートサーバーへ送信できる。本発明の実施では、データはデバイス21のメモリ153に保存して同時にリモートサーバーへ送信することができる。
【0021】
例えばデータ送信はデバイス21を適宜な従来の交信リンクを用いて送信先サーバーへ直接に電子的に接続することにより達成され、その交信リンクは以下を含むが、それらに限定されるものではない。即ち、電話線、IEEE1284(パラレルポート)、イーサネット、例えばUSB及びUSB2.0のようなユニバーサルシリアルバスポート、IEEE1394(ファイアーワイヤー)、IrDA規格(赤外線データ協会)、光ファイバー等である。従来のポート及びケーブルコネクタ構成はデバイス21と送信先デバイスとの間の交信リンクを確立するために用いることができる。本発明はデバイス21用のドッキングポートも含めることができ、これは係合に際して交信リンクを起動するように構成されている。デバイス21は、記憶されたデータを有する取り外し自在なフラッシュメモリカードを含んでもよく、これは他のデバイスへ物理的に移送することができる。データは後述するように、無線データ送信手段を用いてLANへ送信することもできる。
【0022】
再び図1乃至図5を参照すると、携帯型デバイス21は携帯型ハウジング65を更に備えてもよい。検出器35、状態マニュピレータ45、及びデータ収集デバイス55の各々は、携帯型ハウジング65上に搭載できる。一例では、デバイス21の携帯型ハウジング65は、例えば図1乃至図4に図示するハンドル69によって使用者の手持ち型とする形状及び寸法にしてもよい。他の例では、携帯型デバイス21を片手のみによる手持ち型とする形状及び寸法にすることにより、使用者の他方の手でアイテム29の操作又は他の関連する(例えばキーパッド57を用いる)作業をなすようにすることができる。携帯型ハウジング65は本発明の要旨を逸脱することなく事実上任意の形態を採ることができる。ハウジング65には、携帯型デバイス21の内部部品を保護しつつ、このハウジングを通過する信号の伝達を促進するように窓71(図3参照)を設けてもよい。
【0023】
携帯型デバイス21は好ましくはコードレスであり、基部75(図1参照)を更に備えてもよい。携帯型ハウジング65を取り外し自在に基部75へ取り付けて、使わないときにはハウジングを保管するようにしてもよい。この基部75は携帯型デバイスの内部バッテリのための充電器としての役割、或いは、例えば携帯型デバイス21からネットワーク(後述する)へのバッチダウンロードのために、携帯型デバイスとネットワークとの間の接続点としての役割を果たす。携帯型デバイス21は、ハウジング65(図3参照)上に搭載されたコネクタ77を介して基部75と交信する。携帯型デバイス21は、使用者による有効な使用者認証があると基部75からハウジング65を解除し、無効な使用者認証についてはハウジングを基部へ固定する認証システム81を更に備えてもよい。認証システム81は事実上任意の形態を採ることができ、これはスワープバッジカードシステム、近接型バッジカードシステム、及びパスワード保護システムのうちの少なくとも一つを含むことができるが、それに限定されるものではない。
【0024】
携帯型デバイス21は、携帯デバイスとネットワーク89(例えばローカルエリアネットワーク(LAN))との間の通信を与えるネットワークアクセスプロバイダ85を更に含んで、データをネットワークへ送信して、このネットワークからデータを受信するようにしてもよい(図1参照)。更にLAN89を広域ネットワーク91(WAN)へ接続して、このWANへアクセスするクライアントコンピュータへデータの更なる通信をなすようにしてもよい。図1に図示する例では、ネットワークアクセスプロバイダ85はワイアレスネットワークアクセスプ ロバイダとすることができる。ワイアレスネットワークプロバイダ85によれば、データ収集デバイス55により収集されたデータは実際に無線で任意の無線技術により転送され、その無線技術は以下を含むがそれらに限定されるものではない。即ち、WiFi(例えば802.11b,802.11a,802.11g),Bluetooth,GSM(グローバル システム フォー モバイル コミュニケーションズニ),GPRS(ゼネラル・パケット・ラジオ・サービス),2.5G(エンハンスドGSM),3G(第三世代モバイル電話技術)及び他の技術である。無線ネットワークアクセスプロバイダ85によれば、携帯型デバイス21は小売業者の店舗内の実時間通信及び戦略決定のための有線又は無線ネットワーク(例えばLAN)に直接に接続してもよい。小売店舗の例では無線ネットワークは携帯型デバイス21を使用者の店舗の事実上何れの場所でも使用可能にして、非効率的で不正確な紙面の記録に代わって、出口におけるEAS警報処理を迅速化して、購入時に顧客をより迅速に移動させて、小売店舗の操業を評価して改善するためのデータを与える。
【0025】
図6に図示される本発明の他の実施例は、全体的に101で示され、アイテム29の少なくとも一つの容器103内に位置する既に検出された有効EASデバイス25(図1参照)を携帯型デバイス21により特定して失効する方法を含む。方法は、107において携帯型デバイス21により少なくとも一つの容器103を走査して、有効EASデバイス25が、走査された容器内に位置しているか否かを判定する段階を含む。この方法は、111において有効EASデバイス25を包含する少なくとも一つの容器103を特定する段階を更に含むことができる。有効EASデバイス25を有する容器を特定する(111)少なくとも一つの容器103の走査107は、買物バッグ、ショッピングカート、ショッピングコンテナ、保管容器、運搬具、及び貯蔵庫のうちの少なくとも一つの走査を含む。ここに列記していない他の容器107も本発明の主旨の範囲内にあることが意図されている。小売店舗領域における一例では、従業員は速やかに携帯型デバイス21を用いて顧客のバッグを走査して(107)、警報の原因となっている一つ又は複数のアイテム29を包含するバッグを迅速に特定する。容器103の走査(107)が有効EASデバイス25の位置に依存しないのであれば、顧客の所持品、例えば財布、ハンドバッグ、ポケット、又は上着も保安要員が走査して有効EASデバイスが他の場所にあるか否かを判断できる。更に一般的には保安要員は、例えば紛れ込んだ品や盗難商品を特定するために、携帯型デバイス21を用いて任意の個数のアイテムを走査して有効EASデバイス25の位置を判定する。
【0026】
この方法には、119において、少なくとも一つの特定された容器103内に包含されたアイテム29を携帯型デバイス21で個別に走査して、特定された容器内の何れのアイテムが有効EASデバイス25に関係しているかを判断する段階を更に含めてもよい。この方法は更に、125において、有効EASデバイス25を特定する段階を含んでもよい。小売店舗の例では、従業者は顧客のバッグ103内の複数のアイテム29を有効EASデバイス25が特定されるまで個別に走査(119)する。この方法は、131において、特定されたEASデバイス25を携帯型デバイス21により失効することを更に含む。この方法には、137において、携帯型デバイス21により有効EASデバイス25に関連するデータを収集する段階を更に含めてもよい。収集される(137)と、そのデータはネットワーク89、91へ実時間(データが集められたとき)又はバッチ(例えば携帯型デバイス21が基部75へ接続されたとき)で送られる。
【0027】
図6に示す本発明の他の実施形態においては、少なくとも一つの各アイテム(例えば少なくとも一つの容器130内のアイテム)に対応する既に検出された少なくとも一つの有効EASデバイス25を携帯型デバイス21で特定するための全体的に符号201で示す方法が開示される。この方法201は、207において、一つ又は複数のアイテムのうちの少なくとも一つに対応した在庫リストの識別子を携帯型デバイス21へロードする段階を含む。一つの例では、在庫リストの識別子をロードする(207)ことは、同じく207において、アイテム29に対応した在庫リストのバーコード識別子を走査する段階を含む。小売店舗の例では、このロード(207)又は走査は、購入されたアイテム29のリストについての領収書に対応したバーコードの走査としてもよい。
【0028】
この方法は、215において、携帯型デバイス21からネットワーク(例えばLAN89)へ識別子を送り、221において、ネットワークから携帯型デバイスで一つ又は複数の既に検出されたEASデバイス25に対応した在庫リストに関連する一つ又は複数のアイテム29の少なくとも一つについてのリストを受け取る段階を含む。小売店舗の例に戻ると、一つ又は複数のアイテムのうちの少なくも一つのアイテムのリストは、顧客が購入したアイテムのリストであり、その購入アイテムはそれらに対応したEASデバイス25を有しているので、従業者は有効EASデバイスを有する可能性が高いアイテムへ労力を絞り込むことができる。即ち、この方法は、(i)227において、リスト中の何れのアイテムが一つ又は複数のEASデバイスに対応しているか否かを判定するように、リスト内の特定された一つ又は複数のアイテム29の個別走査する段階、及び(ii)233において、リストにおける一つ又は複数のアイテムが一つ又は複数のEASデバイスに対応しているならば、一つ又は複数の有効EASデバイスを特定する段階を更に含む。
【0029】
この方法は、251において、リストには特定されていない任意の一つ又は複数のアイテム29を個別走査して、リストにはないアイテムが一つ又は複数の有効EASデバイスに対応しているか否か、リストにおけるアイテムが一つ又は複数の有効EASデバイスに対応するものとして特定されていないか否かを判定する。換言すれば、リストにおけるアイテム29の走査が有効EASデバイスに対応するアイテムを特定しないのであれば、保安要員は顧客の管理の下に、リストには含まれていない他のアイテムを走査することができる。この付加的な走査は、清算係がたまたま偶然に走査しなかったアイテムと、「馴れ合い」即ち一つ又は複数のアイテムに課金しないことにより清算係が手助けする窃盗の手口のために清算係が走査しなかったアイテムとの何れも特定することができる。更に、リストには特定されていない一つ又は複数のアイテムが各有効EASデバイスに対応しているならば、保安要員は、253において、一つ又は複数の有効EASデバイスを特定してもよい。これは、支払いがなされていない特定のアイテム29を保安要員に特定させて、顧客が当該アイテムの購入をなすようにすることができる。この方法は更に、245において、携帯型デバイスにより一つ又は複数の特定されたEASデバイスに関連するデータの収集を含む。これは、走査されていないアイテムの特定、アイテムの走査を履行しなかった清算係員、走査の不履行が生じた店舗、その他を含め、任意の数のデータを含むことができる。このようなデータを時間をかけて追尾することにより、アイテムの走査の不履行に起因する在庫損失の単独又は複数の要因を特定し、これに対処することができる。
【0030】
この方法は更に、241において、携帯型デバイス21により一つ又は複数の特定されたEASデバイス25の失効に関連するデータの収集を含む。上述しなかった小売店舗の例では、失効241は、有効タグを失効化させるので、顧客は警報を伴わずに店舗を出ることができ、収集245は、アイテム29、顧客、又は本発明の他の任意の観点に関するデータを収集する。
【0031】
当業者は本明細書に図示及び説明した方法の実行又は実施の順序は、特に断らない限り必須要件ではないことに留意されたい。従って本発明は、方法の要素を特に指定しない限りは任意の順序で実行でき、この方法は本明細書に開示されたものよりもより少ない或いはより多くの要素を含んでもよいことを理解されたい。
【0032】
本発明の様々な実施例の変形例及び変更例を本発明の要旨を逸脱することなくなせることに留意されたい。また本発明の要旨は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるように解釈すべきものではなく、上述の開示事項を斟酌した添付の請求項のみに依存することにも留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の有効EAデバイスを探す携帯型デバイスの概略図である。
【図2】図2は図1の携帯型デバイスの斜視図である。
【図3】図3は図2の携帯型デバイスの前面図である。
【図4】図4は図2の携帯型デバイスの上面図である。
【図5】図5は図1の携帯型デバイスの一実施形態の部品の概略図である。
【図6】図6は本発明の方法のフローチャートである。
【図7】図7は本発明の他の方法のフローチャートである。
【0034】
各図中、同様な参照符号は同様な要素を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的物品監視(EAS)デバイスの有効/失効状態を管理し、前記EASデバイスにより引き起こされた警報事象に関する情報を記録する携帯型デバイスであって、
電子的物品監視デバイスの存在を検出する検出器と、
前記検出された有効電子物品監視デバイスの有効/失効化状態を操作する状態マニュピレータと、
警報事象に関係したデータを収集する少なくとも一つのデータ収集デバイスと、
メモリー手段と、
収集データを前記メモリー手段に記憶させる手段とを備える携帯型デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型デバイスにおいて、前記データ収集デバイスが、手動データ入力デバイスと、バーコードスキャナーと、ラジオ周波数識別タグリーダーとのうちの少なくとも一つを含む携帯型デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯型デバイスにおいて、前記手動データ入力デバイスが、キーパッドと、単独のボタン又はボタン群と、タッチスクリーンと、ジョイスティックと、スタイラスとのうちの少なくとも何れかを含む携帯型デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯型デバイスにおいて、前記状態マニュピレータが、前記検出された有効電子的物品監視デバイスを失効化する消去器である携帯型デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の携帯型デバイスにおいて、携帯型ハウジングを更に備え、前記検出器、前記状態マニュピレータ、前記データ収集デバイスは前記携帯型ハウジング上に搭載されている携帯型デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯型デバイスにおいて、前記携帯型デバイスは使用者の手持ち型になるように形状付け及び寸法付けされている携帯型デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の携帯型デバイスにおいて、前記有効電子的物品監視デバイスの検出を表示する検出インジケータを含む携帯型デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯型デバイスにおいて、前記検出インジケータが、前記有効電子的物品監視デバイスの検出を示す可視的インジケータと可聴インジケータとのうちの少なくとも一方を含む携帯型デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の携帯型デバイスにおいて、前記データ収集デバイスが自動的にデータを収集する携帯型デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の携帯型デバイスにおいて、前記データ収集デバイスが、前記有効電子的物品監視デバイスの検出の時間、前記検出器が前記有効電子的物品監視デバイスを検出した場所、前記有効電子的物品監視デバイスに関連した識別子、前記検出された有効電子的物品監視デバイスに対応したアイテムに関連した識別子、前記アイテムを包含するリストに関連した識別子、前記有効電子的物品監視デバイスの有効状態についての理由を特定する識別子、及び販売場所に対応する識別子のうちの少なくとも一つを収集する携帯型デバイス。
【請求項11】
請求項2に記載の携帯型デバイスにおいて、前記バーコードスキャナーが店舗のレジスタレシートに印刷されたバーコードからデータを収集する携帯型デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の携帯型デバイスにおいて、前記バーコードスキャナーが店舗のレジスタレシートに印刷されたバーコードからデータを収集し、そのバーコードは、前記有効電子的物品監視デバイスに対応した識別子、前記検出された有効電子的物品監視デバイスに対応したアイテムに関連した識別子、前記アイテムを包含するリストに対応した識別子、及び販売場所に対応する識別子のうちの少なくとも一つを含む携帯型デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載の携帯型デバイスにおいて、ネットワークアクセスプロバイダを更に備え、このプロバイダは前記携帯型デバイスとネットワークとの間の通信を与えてデータを前記ネットワークへ送り、前記ネットワークからデータを受け取らせる携帯型デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の携帯型デバイスにおいて、前記ネットワークアクセスプロバイダは無線ネットワークアクセスプロバイダである携帯型デバイス。
【請求項15】
請求項13に記載の携帯型デバイスにおいて、基部を更に備え、前記ハウジングは不使用時には保管のために前記基部へ解除自在に取り付け可能であり、前記デバイスは認証システムを更に備え、この認証システムは、ユーザーによる正規ユーザー認証の際には前記ハウジングを前記基部から解放し、無効なユーザー認証では前記ハウジングを前記基部へ固定する携帯型デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の携帯型デバイスにおいて、前記認証システムはスワープバッジカードシステム、近接バッジカードシステム、及びパスワード保護システムのうち、少なくとも一つを備える携帯型デバイス。
【請求項17】
一つ又は複数の容器内に位置する既に検出された有効電子的物品監視デバイスを携帯型デバイスで特定して失効する方法であって、
少なくとも一つの容器を携帯型デバイスにより走査して、有効電子的物品監視デバイスが当該走査された容器内に位置しているか否かを判断する段階と、
前記有効電子的物品監視デバイスを包含する少なくとも一つの容器を特定する段階と、
少なくとも一つの特定された容器内に包含されたアイテムを前記携帯型デバイスで個々に走査して、この特定された容器内の何れのアイテムが前記有効電子的物品監視デバイスに対応しているかを判別する段階と、
前記有効電子的物品監視デバイスを特定する段階と、
その特定された電子的物品監視デバイスを前記携帯型デバイスで失効する段階と、
その失効された電子的物品監視デバイスに関連するデータを前記携帯型デバイスで収集する段階とを含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記少なくとも一つ容器の前記走査は、ショッピングバッグ、ショッピングカート、ショッピングコンテナ、貯蔵容器、運搬具、及び貯蔵庫のうちの少なくとも一つを走査することを含む方法。
【請求項19】
一つ又は複数のアイテムに対応する一つ又は複数の既に検出された有効電子的物品監視デバイスを携帯型デバイスで特定する方法であって、
前記一つ又は複数のアイテムのうちの少なくとも一つに対応する在庫リストの識別子を前記携帯型デバイスへ取り込む段階と、
前記識別子を前記携帯型デバイスからネットワークへ送る段階と、
前記ネットワークから前記携帯型デバイスにて、前記一つ又は複数の既に検出された有効電子的物品監視デバイスに対応している可能性がある前記在庫リストに対応する前記一つ又は複数のアイテムのうちの少なくとも一つについてのリストを受け取る段階と、
前記リストに特定されている少なくとも一つ又は複数のアイテムを個別に走査して、前記リスト中の何れかのアイテムが前記一つ又は複数の有効電子的物品監視デバイスに対応しているか否かを判別する段階と、
前記リスト中の一つ又は複数のアイテムが前記一つ又は複数の有効電子的物品監視デバイスに対応しているならば、前記一つ又は複数の有効電子的物品監視デバイスを特定する段階とを含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記一つ又は複数の特定された電子的物品監視デバイスを前記携帯型デバイスで失効する段階と、
前記一つ又は複数の失効された電子的物品監視デバイスに関係するデータを前記携帯型デバイスにより収集する段階とを更に含む方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、在庫リストの識別子の前記取り込みは、前記アイテムに対応する前記在庫リストのバーコード識別子の走査を含む方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、在庫リストの識別子の前記取り込みは、店舗レジスタレシートに印刷されたバーコードをバーコードリーダを用いて走査して、そこからデータを収集することを含む方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法において、前記リスト中のアイテムが前記一つ又は複数の有効電子的物品監視デバイスに対応しているものとして特定されないのであれば、前記リストに特定されていない一つ又は複数のアイテムの何れかを個別に走査して、前記リストにはない何れかのアイテムが前記一つ又は複数の有効電子的物品監視デバイスに対応しているか否かを判別する段階と、
前記リストに特定されていいない一つ又は複数のアイテムが各々の有効電子的物品監視デバイスに対応しているならば、前記一つ又は複数の有効電子的物品監視デバイスを特定する段階とを含む方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記一つ又は複数の特定された有効電子的物品監視デバイスに関連するデータを前記携帯型デバイスで収集する段階を更に含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−537199(P2008−537199A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556423(P2007−556423)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/006339
【国際公開番号】WO2006/089304
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.Bluetooth
【出願人】(592192642)センサーマティック・エレクトロニクス・コーポレーション (92)
【氏名又は名称原語表記】SENSORMATIC ELECTORONICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6600 Congress Avenue,Boca Raton,Florida 33487,United State of America
【Fターム(参考)】