説明

一方向回転器

【課題】往復流を一方向の回転に変えるのに、現在では主にウェルズタービンが波力発電などに使われている。しかし、ウェルズタービンが特殊な翼配置のために効率が約40パーセントと言われている。
【解決手段】往復流をもっと簡単な器械で、もっと効率良く一方向の回転に変えることで、波力発電やその他の発電の効率を上昇させる。回転体2の両側にそれぞれ、両側の中央ストッパー8のそれぞれ反対側に位置するバルブ6を取り付ける。そして往流の流れが回転体の流れる側の反対側を復流が逆に流れることで結局は回転体2を同じ方向に回転させる。そこで往復流を一方向の回転に変えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ウェルズタービンの様な往復流を一方向の回転に変える器
械を、簡単な構造でしかも効率良く達成する器械に関するも
のである。
【背景技術】
【0002】
ウェルズタービンは往復流を一方向の回転に変える器械と
してよく知られており、波力発電その他に広く使用されている。
【0003】
また、回転軸の周りの回転翼の凹面側に常に圧力流体が
流れる様にして、反対側では閉じることが出来る様にして往
復流を一方向の回転にして発電する発明もある。
【0004】
しかし、ウェルズタービンでは特殊な翼配置のために、定常
流中での効率は約40%位と言われている。また、回転軸の
周りの回転翼の凹面側に常に圧力流体が流れる様にした発
明では、圧力流体が大きな圧力の時には、回転翼が所定角
に達するとそれ以上開かない構造にはなっているが、そのた
め構造がやや複雑になってしまい、果たして長期間安定して
使用できるのかにやや不安が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-120499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、往復流を一方向の回転に変え
るのを、ウェルズタービンの様な特殊な翼配置にしないで、効
率の良い器械を簡単な構造で作る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
パイプの中に往復流が流れる様にして、その中に球状回転
体を入れる。その両側にそれぞれ反対側に動くバルブを取り
付けて、往流と復流の流れをそれぞれ球状回転体の反対側
を流れる様にすることで、往流と復流を結局は一方向の回転
に変える。
【0008】
まず、パイプを使用した場合にはパイプの中に球状回転体
を入れる。この球状回転体の外周部には羽根を設けておく。
この球状回転体の両側に、球状回転体の外周部より少し大
きい、球状回転体の外周部を、往復流の通路を残して覆うカ
バーをパイプに取り付ける。そのカバーの中央の外側に、楕
円の半分形バルブの軸を取り付ける。更にその外側のパイ
プの中央にストッパーを取り付けて、球状回転体の両側の楕
円の半分形バルブの位置がそれぞれ中央のストッパーの反
対側になる様にする。
【0009】
こうする事で、往流の時には球状回転体の上側を右に流れ
て、球状回転体を右回転させる。逆に復流の時には球状回
転体の下側を左に流れて、同じく球状回転体を右回転させ
る。そこで往復流を一方向の回転に変えることになる。
【0010】
次に、ダクトを使用した場合にはダクトの中に円柱状回転体
を入れる。この円柱状回転体の外周部には羽根を設けてお
く。この円柱状回転体の両側に、円柱状回転体の外周部より
少し大きい、円柱状回転体の外周部を、往復流の通路を残
して覆うカバーをダクトに取り付ける。そのカバーの中央の外
側に、長方形バルブの軸を取り付ける。更にその外側のダク
トの中央にストッパーを取り付けて、円柱状回転体の両側の
長方形バルブの位置がそれぞれ中央のストッパーの反対側
になる様にする。
【0011】
こうする事で、往流の時には円柱状回転体の上側を右に流
れて、円柱状回転体を右回転させる。逆に復流の時には円柱
状回転体の下側を左に流れて、同じく円柱状回転体を右回転
させる。そこで往復流を一方向の回転に変えることになる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の往復流を一方向の回転に変える器械は、羽根
付きの球状回転体とカバーとバルブとストッパーと言う、非常
に簡単な構造から出来ているので製造がし易い。また、羽根
付き球状回転体の回転とバルブの単純な動きで構成されて
いるので、ほとんど故障しない。
【0013】
また、往復流の往流も復流もほとんどが羽根付き球状回転
体の回転力に変えられるので非常に効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1はパイプを使った実施例1の断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0015】
往復流を一方向の回転に変えると言う目的を、球状回転体
の両側のバルブで、往流の時と復流の時にそれぞれ球状回
転体の反対側に流れを変えることで往復流を一方向の回転
に変える。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1のパイプを使用した場合の断面
図である。1はパイプ、2は球状回転体、3は羽根、4は球状
回転体2の回転軸をそれぞれ表す。5は球状回転体カバー、
6は楕円の半分形バルブ、7はその軸、8は中央ストッパー、
9はパイプ側ストッパーをそれぞれ表す。
【0017】
この様に構成したので、図1の左から往流が来ると、往流
に押されて楕円の半分形バルブ6が、パイプ1の内壁に取り
付けてあるパイプ側ストッパー9に押し付けられて往流をせき
止める。せき止められた往流は、パイプ1内の上側を右に流
れて球状回転体のカバー5とパイプ1の内側を高速で流れ、
そのまま反対側の球状回転体のカバー5とパイプ1の内側を
抜ける。この時羽根3と球状回転体2とその回転軸4を高速
で右回転させる。球状回転体2などをを高速回転させた往流
は、そのまま反対側の楕円の半分形バルブ6を反対側の中
央ストッパー8に押し付けて、パイプ1の内側と楕円の半分形
バルブ6の間を高速で抜けてパイプ1の中央へ流れて行く。
【0018】
復流の時には往流の時と全く反対の事が起こり、右から復
流が球状回転体2の下側を左に流れて、同じく球状回転体2
を右回転させる。
【0019】
図1の実線の矢印は往流の流れを示し、実線の曲線の矢
印は球状回転体2の回転方向を示し、実線で描いた楕円の
半分形バルブ6がこの時の位置である。次に点線の矢印は
復流の流れを示し、点線の曲線の矢印は球状回転体2の回
転方向を示す。同じく、点線で描いた楕円の半分形バルブ6
は復流の時の位置をそれぞれ表す。
【0020】
実線の曲線の矢印と点線の曲線の矢印はともに右回りに
回転しているので、往流と復流は同じ右回りに回転するこ
とになるので、往復流を一方向の回転に変えられる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
パイプを使った場合には、簡単な構造で往復流を効率の良
い一方向の回転に変えられるので波力発電に適している。ダ
クトを使った場合には、潮の干満を利用した発電や、小川や
用水路での発電に利用でき、照明や電気自動車の充電など
にも利用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 パイプ
2 球状回転体
3 羽根
4 回転軸
5 球状回転体カバー
6 楕円の半分形バルブ
7 軸
8 中央ストッパー
9 パイプ側ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復流の流れるパイプの中にパイプの内径よりほんの少し
だけ小さい直径の球状回転体を入れる。この球状回転体は
球体の外周部に多数の羽根を有するもので、中心には回転
軸を設けて発電機などを回すようにしてある。球状回転体の
両側に、球状回転体の外周部より少し大きい球状回転体カ
バーを取り付ける。この球状回転体カバーは往復流の通路
を残してパイプに取り付ける。その球状回転体カバーの中央
の外側に、楕円の半分形バルブの軸を取り付け、更にその
外側のパイプの中央に、中央ストッパーを取り付ける。そして、
球状回転体の両側の楕円の半分形バルブの位置がそれぞ
れ中央ストッパーの反対側になる様に取り付ける。更に、楕
円の半分形ストッパーがパイプの内側に接する部分にそれぞ
れパイプ側ストッパーを設ける。こうする事で例えば左から往
流が来れば、左側の楕円の半分型バルブがパイプ側ストッパ
ーに押し付けられて往流をせき止める。その往流が球状回
転体カバーの往復流の通路を抜けて、球状回転体の上側を
通って球状回転体を右回転させた後、反対側の楕円の半分
形バルブを反対側の中央ストッパーに押し付けながら右側
に流れ出す。次に復流の場合には全く逆の動作が行われて、
今度は球状回転体の下側を右から左に流れて、やはり球状
回転体を右回転させるので、往復流を一方向の回転に変え
ることを特徴とする一方向回転器。
【請求項2】
往復流の流れるダクトの中に、ダクトの内側よりほんの少し
だけ小さい直径の円柱状回転体を入れる。この円柱状回転
体は円柱の外周部に多数の羽根を有するもので、中心には
回転軸を設けて発電機などを回すようにしてある。円柱状回
転体の両側に、円柱状回転体の外周部より少し大きい円柱
状回転体カバーを取り付ける。この円柱状回転体カバーは往
復流の通路を残してダクトに取り付ける。その円柱状回転体
カバーの中央の外側に、長方形バルブの軸を取り付け、更に
その外側のダクトの中央に、中央ストッパーを取り付ける。そ
して、円柱状回転体の両側の長方形バルブの位置がそれぞ
れ、中央ストッパーの反対側になる様に取り付ける。更に、長
方形ストッパーがダクトの内側に接する部分にそれぞれダク
ト側ストッパーを設ける。こうする事で例えば左から往流が来
れば、左側の長方形バルブがダクト側ストッパーに押し付け
られて往流をせき止める。その往流が円柱状回転体カバーの
往復流の通路を抜けて、円柱状回転体の上側を通って円柱
状回転体を右回転させた後、反対側の長方形バルブを反対
側の中央ストッパーに押し付けながら右側に流れ出す。次に
復流の場合には全く逆の動作が行われて、今度は円柱状回
転体の下側を右から左に流れて、やはり円柱状回転体を右
回転させるので、往復流を一方向の回転に変えることを特徴
とする一方向回転器。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−127613(P2011−127613A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2011−39624(P2011−39624)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(706001237)
【Fターム(参考)】