説明

一次放射器及びアンテナ装置

【課題】電波の周波数に依らずに、副反射鏡の径を大きくすることなく、回転対称な放射特性を得ることができるとともに、副反射鏡の背面への不要な電波の放射を抑圧することができるようにする。
【解決手段】副反射鏡2の中心部分3が円錐形状を成しており、円形導波管1の軸と平行な方向の縦溝4が円錐形状を成している中心部分3の周囲に円筒状に形成され、その副反射鏡2の外周部分5が円形導波管1側に突き出るように、中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分5に至る部分が傾斜構造6を成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、円形導波管の開口部から放射された電波を反射する副反射鏡を備えている一次放射器と、その一次放射器から放射された電波を反射する主反射鏡を備えているアンテナ装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアンテナ装置では、導波管の開口部から放射された電波を反射する円板状の副反射鏡を導波管の開口部と正対する位置に配置し、その副反射鏡により反射された電波を反射する主反射鏡を副反射鏡と正対する位置に配置するようにしている。
導波管の開口部から放射された電波の放射特性は、電気壁である導波管壁の影響を受けて歪みを生じる。
そこで、従来のアンテナ装置では、回転対称な放射特性を形成するために、その副反射鏡の反射面に、電波の周波数の4分の1波長に相当する深さの溝を施すようにしている。
【0003】
これにより、ほぼ回転対称な放射特性が得られるため、高利得化、低交差偏波化や低サイドローブ化が図られる。
ただし、電波の周波数によっては、回転対称な放射特性を得るため、あるいは、副反射鏡の背面への不要な電波の放射を抑圧するために、数多くの溝を施す必要がある場合があり、この場合には、副反射鏡の径方向が大きくなる。
副反射鏡の径方向が大きくなると、主反射鏡に反射された電波の多くが副反射鏡に当ってしまうため、サイドローブレベルの上昇と利得劣化の原因になる。
【0004】
そのため、小さい副反射鏡で回転対称な放射特性を実現して、副反射鏡の背面への不要な電波の放射を抑圧する必要があることに鑑み、中心部より周辺部が下がっている傘状の副反射鏡を用いている一次放射器が開発されている。
また、円形導波管の軸と平行な方向の溝のほかに、その軸と垂直な方向の溝を反射面に施すことにより、高利得化や低サイドローブ化を図っている一次放射器が開発されている(以下の特許文献1を参照)。
いずれの方式の一次放射器でも、4分の1波長に相当する深さの溝を反射面に施している。
【0005】
前者の傘状の副反射鏡では、溝の表面に沿って電波が伝搬するため、副反射鏡の背面への電波の漏洩を抑圧するためには、副反射鏡の径を大きくする必要がある。
後者の円形導波管の軸に平行な方向の溝と垂直な方向の溝を反射面に施す方式では、副反射鏡の背面への電波の漏洩を抑圧することができるが、放射特性の回転対称性が劣化する。
【0006】
即ち、電波の偏波方向に平行な溝では、溝の手前で電波が反射するのに対して、電波の偏波方向に垂直な溝では、溝の奥で電波が反射する。このように,電波の偏波方向と溝の方向の関係により、電波の反射する位置が異なる。つまり、電波の偏波方向に平行な面(E面)と偏波方向に垂直な面(H面)とでは、溝構造での反射位置が異なる。
円形導波管の軸に平行な溝では、E面とH面の反射位置が軸方向で異なるが、径方向では同じになるため、軸方向の電磁界分布の回転対称性は維持される。一方、円形導波管の軸に垂直な溝では、E面とH面の反射位置が径方向で異なるため、軸方向の回転対称性が崩れて、放射特性の回転対称性が劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2006/064536(図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の一次放射器は以上のように構成されているので、円形導波管の軸と平行な方向と垂直な方向の溝を反射面に施すことで、高利得化や低サイドローブ化を図ることができる。しかし、円形導波管の軸と垂直な方向の溝では、E面とH面の反射位置が径方向で異なるため、軸方向の回転対称性が崩れて、放射特性の回転対称性が劣化してしまう課題があった。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、電波の周波数に依らずに、副反射鏡の径を大きくすることなく、回転対称な放射特性を得ることができるとともに、副反射鏡の背面への不要な電波の放射を抑圧することができる一次放射器及びアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るアンテナ装置の一次放射器は、開口部から電波を放射する円形導波管と、その円形導波管の開口部と正対する位置に配置され、その円形導波管の開口部から放射された電波を反射する円板状の副反射鏡とを備え、その副反射鏡の中心部分が円錐形状を成しており、その円形導波管の軸と平行な方向の溝が円錐形状を成している上記中心部分の周囲に円筒状に形成され、その副反射鏡の外周部分が円形導波管側に突き出るように、上記中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分が傾斜構造を成しているようにしたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、副反射鏡の中心部分が円錐形状を成しており、円形導波管の軸と平行な方向の溝が円錐形状を成している上記中心部分の周囲に円筒状に形成され、その副反射鏡の外周部分が円形導波管側に突き出るように、上記中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分が傾斜構造を成しているように構成したので、電波の周波数に依らずに、副反射鏡の径を大きくすることなく、回転対称な放射特性を得ることができるとともに、副反射鏡の背面への不要な電波の放射を抑圧することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態2によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態5によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態6によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態6によるアンテナ装置を示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態7によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態8によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態9によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態10によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態11によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図14】図13における一次放射器の一部を拡大している構成図である。
【図15】この発明の実施の形態12によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図16】図15における一次放射器の一部を拡大している構成図である。
【図17】この発明の実施の形態13によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図18】図17における一次放射器の一部を拡大している構成図である。
【図19】この発明の実施の形態14によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
【図20】図19における一次放射器の一部を拡大している構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図である。
図1において、円形導波管1は開口部1aから電波を放射する円形の導波管である。
副反射鏡2は円形導波管1の開口部1aと正対する位置に配置され、円形導波管1の開口部1aから放射された電波を反射する円板状の反射鏡である。
【0014】
副反射鏡2の中心部分3は円錐形状を成しており、副反射鏡2の中心部分3に照射された電波は放射状に反射される(図中、矢印の方向)。
縦溝4は円形導波管1の軸と平行な方向の溝であり、縦溝4は円錐形状を成している中心部分3の周囲に円筒状に形成されている。
図1の一次放射器では、副反射鏡2の外周部分5が円形導波管1側に突き出るように、中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分5に至る部分が傾斜構造6を成している。
【0015】
図2はこの発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
主反射鏡7は副反射鏡2と正対する位置に配置され、副反射鏡2により反射された電波を反射する反射鏡である。
図2の図面はデフォルメしているため、主反射鏡7の径方向の大きさが、副反射鏡2の径方向の大きさとあまり変わらないが、実際には、主反射鏡7の径方向は、副反射鏡2の径方向の大きさの数倍の大きさである。
【0016】
次に動作について説明する。
円形導波管1の開口部1aから放射された電波は、円形導波管1の開口部1aと正対する位置に配置されている副反射鏡2に反射される。
このとき、円形導波管1の開口部1aから放射された電波の大部分は、円錐形状を成している中心部分3に反射され、電波は主反射鏡7の方向に向かうが、中心部分3の周囲には、電波の周波数の4分の1波長に相当する深さの縦溝4が形成されているため、高利得化や低サイドローブ化などが図られる。
【0017】
また、中心部分3の周囲に形成されている縦溝4は、円形導波管1の軸と平行な方向の溝であるため、電波の偏波方向に平行な面(E面)の反射位置と、偏波方向に垂直な面(H面)の反射位置とが、円形導波管1の軸方向で異なるが、径方向では同じになるため、軸方向の電磁界分布の回転対称性は維持される。
即ち、円形導波管1の軸と垂直な方向の溝では、E面とH面の反射位置が径方向で異なるため、軸方向の回転対称性が崩れて、放射特性の回転対称性が劣化するが、図1の一次放射器では、円形導波管1の軸と平行な方向の溝(縦溝4)だけが中心部分3の周囲に形成されていて、円形導波管1の軸と垂直な方向の溝が形成されていないので、軸方向の回転対称性が崩れて、放射特性の回転対称性が劣化することはない。
【0018】
図1の一次放射器のように、副反射鏡2の外周部分5が円形導波管1側に突き出ておらず、副反射鏡が傘状の形状を成している場合、溝の表面に沿って電波が伝搬するため、副反射鏡の背面への電波の漏洩を抑圧するには、副反射鏡の径を十分に大きくする必要がある。
しかし、図1の一次放射器では、副反射鏡2の外周部分5が円形導波管1側に突き出るように、中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分5に至る部分が傾斜構造6を成しているため、径が小さい副反射鏡2でも、副反射鏡2の背面への不要な電波の放射を抑圧することができる。
【0019】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、副反射鏡2の中心部分3が円錐形状を成しており、円形導波管1の軸と平行な方向の縦溝4が円錐形状を成している中心部分3の周囲に円筒状に形成され、その副反射鏡2の外周部分5が円形導波管1側に突き出るように、中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分5に至る部分が傾斜構造6を成しているように構成したので、電波の周波数に依らずに、副反射鏡の径を大きくすることなく、回転対称な放射特性を得ることができるとともに、副反射鏡2の背面への不要な電波の放射を抑圧することができる効果を奏する。
【0020】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
コルゲーション8は同心円状の凹凸であり、円形導波管1の外壁1bの一部に形成されている。
なお、図3には主反射鏡が表記されていないが、図2に示す主反射鏡7が図3の一次放射器に実装されていてもよい。
【0021】
次に動作について説明する。
円形導波管1の開口部1aから放射された電波は、円形導波管1の開口部1aと正対する位置に配置されている副反射鏡2に反射される。
このとき、副反射鏡2により反射された電波の一部は、円形導波管1の表面である外壁1bに沿って伝搬するので、主反射鏡7と副反射鏡2の間で多重反射を生じることがある。
この実施の形態2では、この多重反射を抑圧するために、円形導波管1の外壁1bの一部にコルゲーション8を形成している。
【0022】
なお、コルゲーション8は、金属の溝構造とし、その溝の深さは副反射鏡2の縦溝4と同様に4分の1波長程度とすればよい。
多重反射を抑圧するためには、円形導波管1の主反射鏡7に近い側(図中、下側)だけにコルゲーション8を形成すればよい。
ただし、コルゲーション8は4分の1波長程度の深さがあるため、コルゲーション8を形成するには、円形導波管1の壁厚部を、ある程度厚くする必要がある。
このため、円形導波管1の開口部1a付近でコルゲーション8を形成していない部分と、コルゲーション8を形成している部分との間で段差が生じ、その段差の部分で反射が生じると、副反射鏡2との間で多重反射が生じる。
そこで、図3の一次放射器では、段差が生じないように、円形導波管1の形状をテーパ形状にしている。
【0023】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、円形導波管1の外壁1bの一部にコルゲーション8が形成されているように構成したので、主反射鏡7と副反射鏡2の間で生じる多重反射を防止して、多重反射によるサイドローブ劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0024】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
コルゲーション9は同心円状の凹凸であり、円形導波管1の外壁1bの全体に形成されている。
なお、図4には主反射鏡が表記されていないが、図2に示す主反射鏡7が図4の一次放射器に実装されていてもよい。
【0025】
次に動作について説明する。
円形導波管1の開口部1aから放射された電波は、円形導波管1の開口部1aと正対する位置に配置されている副反射鏡2に反射される。
このとき、副反射鏡2により反射された電波の一部は、円形導波管1の表面である外壁1bに沿って伝搬するので、主反射鏡7と副反射鏡2の間で多重反射を生じることがある。
この実施の形態3では、この多重反射を抑圧するために、円形導波管1の外壁1bの全体にコルゲーション9を形成している。
【0026】
上記実施の形態2のように、円形導波管1の外壁1bの一部にコルゲーション8を形成する場合、コルゲーション8を形成していない部分と、コルゲーション8を形成している部分との間の段差を解消するには、円形導波管1をテーパ形状にする必要があるが、この実施の形態3では、円形導波管1の外壁1bの全体にコルゲーション9を形成しているので、段差の部分を解消するために、円形導波管1の形状をテーパ形状にする必要がない。
【0027】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、円形導波管1の外壁1bの全体にコルゲーション9が形成されているように構成したので、主反射鏡7と副反射鏡2の間で生じる多重反射を防止して、多重反射によるサイドローブ劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0028】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図4と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
チョーク構造10は円形導波管1の軸と平行な方向の溝であり、チョーク構造10は円形導波管1の開口部1a付近の壁厚部に形成されている。
なお、図5には主反射鏡が表記されていないが、図2に示す主反射鏡7が図5の一次放射器に実装されていてもよい。
【0029】
次に動作について説明する。
上記実施の形態2,3では、主反射鏡7と副反射鏡2の間で生じる多重反射を防止するため、円形導波管1の外壁1bの一部又は全体にコルゲーション8,9を形成しているが、コルゲーション8,9を形成する場合、コルゲーション8,9は4分の1波長程度の深さがあるため、上述したように、円形導波管1の壁厚部を、ある程度厚くする必要がある。
【0030】
円形導波管1の壁厚部が厚くなると、円形導波管1内に戻る電波の反射特性が劣化する。また、副反射鏡2により反射された電波が円形導波管1の壁厚部で反射するため、サイドローブ特性が劣化する。
そこで、この実施の形態4では、円形導波管1の開口部1a付近の壁厚部にチョーク構造10を形成することで、サイドローブ特性の劣化を抑えている。
【0031】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、円形導波管1の開口部1a付近の壁厚部にチョーク構造10を形成するように構成したので、円形導波管1の壁厚部が厚くなっても、サイドローブ特性の劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0032】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図5と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
チョーク構造11は円形導波管1の軸と平行な方向の溝であり、チョーク構造11は円形導波管1の開口部1a付近の壁厚部に形成されている。
チョーク構造11は各溝の位置が円形導波管1の軸方向に変位している点で、図5のチョーク構造10と異なっている。
なお、図6には主反射鏡が表記されていないが、図2に示す主反射鏡7が図6の一次放射器に実装されていてもよい。
【0033】
次に動作について説明する。
上記実施の形態2,3では、主反射鏡7と副反射鏡2の間で生じる多重反射を防止するため、円形導波管1の外壁1bの一部又は全体にコルゲーション8,9を形成しているが、コルゲーション8,9を形成する場合、コルゲーション8,9は4分の1波長程度の深さがあるため、上述したように、円形導波管1の壁厚部を、ある程度厚くする必要がある。
【0034】
円形導波管1の壁厚部が厚くなると、円形導波管1内に戻る電波の反射特性が劣化する。また、副反射鏡2により反射された電波が円形導波管1の壁厚部で反射するため、サイドローブ特性が劣化する。
そこで、この実施の形態5では、円形導波管1の開口部1a付近の壁厚部にチョーク構造11を形成することで、サイドローブ特性の劣化を抑圧している。
また、この実施の形態5では、チョーク構造11における各溝の位置が円形導波管1の軸方向に変位しているため(円形導波管1の開口から離れている溝の位置ほど、図中、下方向に下げている)、円形導波管1の壁厚部での反射によるサイドローブの特性劣化を改善することができる。
【0035】
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、チョーク構造11における各溝の位置が円形導波管1の軸方向に変位しているように構成したので、円形導波管1の壁厚部での反射によるサイドローブの特性劣化を改善することができる効果を奏する。
【0036】
実施の形態6.
図7はこの発明の実施の形態6によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
縦溝12は円形導波管1の軸と平行な方向の溝であり、縦溝12は副反射鏡2の外周部分に円筒状に形成されている。
図7の一次放射器では、副反射鏡2の外周部分が円形導波管1側に突き出るように、中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分に形成されている縦溝12に至る部分が傾斜構造6を成している。
【0037】
図8はこの発明の実施の形態6によるアンテナ装置を示す構成図であり、図7の一次放射器に対して、主反射鏡7が実装されている。
図8の図面はデフォルメしているため、主反射鏡7の径方向の大きさが、副反射鏡2の径方向の大きさとあまり変わらないが、実際には、主反射鏡7の径方向は、副反射鏡2の径方向の大きさの数倍の大きさである。
【0038】
次に動作について説明する。
円形導波管1の開口部1aから放射された電波は、円形導波管1の開口部1aと正対する位置に配置されている副反射鏡2に反射される。
このとき、円形導波管1の開口部1aから放射された電波の大部分は、円錐形状を成している中心部分3に反射され、電波は主反射鏡7の方向に向かうが、中心部分3の周囲には、電波の周波数の4分の1波長に相当する深さの縦溝4が形成されており、かつ、副反射鏡2の外周部分には、電波の周波数の4分の1波長に相当する深さの縦溝12が形成されているため、高利得化や低サイドローブ化などが図られる。
【0039】
また、中心部分3の周囲に形成されている縦溝4及び副反射鏡2の外周部分に形成されている縦溝12は、円形導波管1の軸と平行な方向の溝であるため、E面の反射位置と、H面の反射位置とが、円形導波管1の軸方向で異なるが、径方向では同じになるため、軸方向の電磁界分布の回転対称性は維持される。
即ち、円形導波管1の軸と垂直な方向の溝では、E面とH面の反射位置が径方向で異なるため、軸方向の回転対称性が崩れて、放射特性の回転対称性が劣化するが、図7の一次放射器では、円形導波管1の軸と平行な方向の溝(縦溝4,縦溝12)だけが副反射鏡2に形成されていて、円形導波管1の軸と垂直な方向の溝が形成されていないので、軸方向の回転対称性が崩れて、放射特性の回転対称性が劣化することはない。
【0040】
図7の一次放射器のように、副反射鏡2の外周部分5が円形導波管1側に突き出ておらず、副反射鏡が傘状の形状を成している場合、溝の表面に沿って電波が伝搬するため、副反射鏡の背面への電波の漏洩を抑圧するには、副反射鏡の径を十分に大きくする必要がある。
しかし、図7の一次放射器では、副反射鏡2の外周部分5が円形導波管1側に突き出るように、中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分に形成されている縦溝12に至る部分が傾斜構造6を成しているため、径が小さい副反射鏡2でも、副反射鏡2の背面への不要な電波の放射を抑圧することができる。
【0041】
なお、外周部分に形成されている縦溝12は、主に副反射鏡2の背面への不要な電波の放射を抑圧するために設けられており、副反射鏡2の径方向が大きくなると、主反射鏡7に反射された電波の多くが副反射鏡2に当ってしまうため、サイドローブレベルの上昇と利得劣化の原因となる。
そのため、副反射鏡2の径はできるだけ小さくする必要があり、特に、主反射鏡7が小さい場合には、その影響が顕著となる。
この実施の形態6では、副反射鏡2の背面への不要な電波の放射を十分に抑圧するために縦溝12を副反射鏡2の外周部分に形成しているが、主反射鏡7が小さい等の場合には、上記実施の形態1のように、縦溝12を副反射鏡2の外周部分に形成せずに(図1を参照)、副反射鏡2の径を小さくしてもよい。
【0042】
以上で明らかなように、この実施の形態6によれば、副反射鏡2の中心部分3が円錐形状を成しており、円形導波管1の軸と平行な方向の縦溝4が円錐形状を成している中心部分3の周囲に円筒状に形成されるとともに、円形導波管1の軸と平行な方向の縦溝12が副反射鏡2の外周部分に形成され、その副反射鏡2の外周部分が円形導波管1側に突き出るように、中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分に形成されている縦溝12に至る部分が傾斜構造6を成しているように構成したので、電波の周波数に依らずに、副反射鏡の径を大きくすることなく、回転対称な放射特性を得ることができるとともに、副反射鏡2の背面への不要な電波の放射を抑圧することができる効果を奏する。
【0043】
実施の形態7.
図9はこの発明の実施の形態7によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図7及び図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図9の一次放射器では、図3の一次放射器と同様に、円形導波管1の外壁1bの一部にコルゲーション8が形成されている。
なお、図9には主反射鏡が表記されていないが、図8に示す主反射鏡7が図9の一次放射器に実装されていてもよい。
【0044】
次に動作について説明する。
円形導波管1の開口部1aから放射された電波は、円形導波管1の開口部1aと正対する位置に配置されている副反射鏡2に反射される。
このとき、副反射鏡2により反射された電波の一部は、円形導波管1の表面である外壁1bに沿って伝搬するので、主反射鏡7と副反射鏡2の間で多重反射を生じることがある。
この実施の形態7では、この多重反射を抑圧するために、円形導波管1の外壁1bの一部にコルゲーション8を形成している。
【0045】
なお、コルゲーション8は、上記実施の形態2と同様に、金属の溝構造とし、その溝の深さは4分の1波長程度とすればよい。
多重反射を抑圧するためには、円形導波管1の主反射鏡7に近い側(図中、下側)だけにコルゲーション8を形成すればよい。
ただし、コルゲーション8は4分の1波長程度の深さがあるため、コルゲーション8を形成するには、円形導波管1の壁厚部を、ある程度厚くする必要がある。
このため、円形導波管1の開口部1a付近でコルゲーション8を形成していない部分と、コルゲーション8を形成している部分との間で段差が生じ、その段差の部分で反射が生じると、副反射鏡2との間で多重反射が生じる。
そこで、図9の一次放射器では、段差が生じないように、円形導波管1の形状をテーパ形状にしている。
【0046】
以上で明らかなように、この実施の形態7によれば、円形導波管1の外壁1bの一部にコルゲーション8が形成されているように構成したので、主反射鏡7と副反射鏡2の間で生じる多重反射を防止して、多重反射によるサイドローブ劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0047】
実施の形態8.
図10はこの発明の実施の形態8によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図7及び図4と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図10の一次放射器では、図4の一次放射器と同様に、円形導波管1の外壁1bの全体にコルゲーション9が形成されている。
なお、図10には主反射鏡が表記されていないが、図8に示す主反射鏡7が図10の一次放射器に実装されていてもよい。
【0048】
次に動作について説明する。
円形導波管1の開口部1aから放射された電波は、円形導波管1の開口部1aと正対する位置に配置されている副反射鏡2に反射される。
このとき、副反射鏡2により反射された電波の一部は、円形導波管1の表面である外壁1bに沿って伝搬するので、主反射鏡7と副反射鏡2の間で多重反射を生じることがある。
この実施の形態8では、この多重反射を抑圧するため、上記実施の形態3と同様に、円形導波管1の外壁1bの全体にコルゲーション9を形成している。
【0049】
上記実施の形態7のように、円形導波管1の外壁1bの一部にコルゲーション8を形成する場合、コルゲーション8を形成していない部分と、コルゲーション8を形成している部分との間の段差を解消するには、円形導波管1をテーパ形状にする必要があるが、この実施の形態8では、円形導波管1の外壁1bの全体にコルゲーション9を形成しているので、段差の部分を解消するために、円形導波管1の形状をテーパ形状にする必要がない。
【0050】
以上で明らかなように、この実施の形態8によれば、円形導波管1の外壁1bの全体にコルゲーション9が形成されているように構成したので、主反射鏡7と副反射鏡2の間で生じる多重反射を防止して、多重反射によるサイドローブ劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0051】
実施の形態9.
図11はこの発明の実施の形態9によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図10及び図5と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
なお、図11には主反射鏡が表記されていないが、図8に示す主反射鏡7が図11の一次放射器に実装されていてもよい。
【0052】
次に動作について説明する。
上記実施の形態7,8では、主反射鏡7と副反射鏡2の間で生じる多重反射を防止するため、円形導波管1の外壁1bの一部又は全体にコルゲーション8,9を形成しているが、コルゲーション8,9を形成する場合、コルゲーション8,9は4分の1波長程度の深さがあるため、上述したように、円形導波管1の壁厚部を、ある程度厚くする必要がある。
【0053】
円形導波管1の壁厚部が厚くなると、円形導波管1内に戻る電波の反射特性が劣化する。また、副反射鏡2により反射された電波が円形導波管1の壁厚部で反射するため、サイドローブ特性が劣化する。
そこで、この実施の形態9では、上記実施の形態4と同様に、円形導波管1の開口部1a付近の壁厚部にチョーク構造10を形成することで、サイドローブ特性の劣化を抑圧している。
【0054】
以上で明らかなように、この実施の形態9によれば、円形導波管1の開口部1a付近の壁厚部にチョーク構造10を形成するように構成したので、円形導波管1の壁厚部が厚くなっても、サイドローブ特性の劣化を抑えることができる効果を奏する。
【0055】
実施の形態10.
図12はこの発明の実施の形態10によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図10及び図6と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
なお、図12には主反射鏡が表記されていないが、図8に示す主反射鏡7が図12の一次放射器に実装されていてもよい。
【0056】
次に動作について説明する。
上記実施の形態7,8では、主反射鏡7と副反射鏡2の間で生じる多重反射を防止するため、円形導波管1の外壁1bの一部又は全体にコルゲーション8,9を形成しているが、コルゲーション8,9を形成する場合、コルゲーション8,9は4分の1波長程度の深さがあるため、上述したように、円形導波管1の壁厚部を、ある程度厚くする必要がある。
【0057】
円形導波管1の壁厚部が厚くなると、円形導波管1内に戻る電波の反射特性が劣化する。また、副反射鏡2により反射された電波が円形導波管1の壁厚部で反射するため、サイドローブ特性が劣化する。
そこで、この実施の形態10では、円形導波管1の開口部1a付近の壁厚部にチョーク構造11を形成することで、サイドローブ特性の劣化を抑圧している。
また、この実施の形態10では、チョーク構造11における各溝の位置が円形導波管1の軸方向に変位しているため(円形導波管1の開口から離れている溝の位置ほど、図中、下方向に下げている)、円形導波管1の壁厚部での反射によるサイドローブの特性劣化を改善することができる。
【0058】
以上で明らかなように、この実施の形態10によれば、チョーク構造11における各溝の位置が円形導波管1の軸方向に変位しているように構成したので、円形導波管1の壁厚部での反射によるサイドローブの特性劣化を改善することができる効果を奏する。
【0059】
実施の形態11.
上記実施の形態1〜10における一次放射器やアンテナ装置では、副反射鏡2の中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分5に至る部分が傾斜構造6を成しているものを示したが、一次放射器やアンテナ装置において、その傾斜構造の形状が、円形導波管1と反対側に凹形状の4分の1円弧が、円形導波管1の軸を中心として回転された形状であるように形成されていてもよい。
図13はこの発明の実施の形態11によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図12と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
また、図14は図13における一次放射器の一部を拡大している構成図である。
【0060】
この実施の形態11では、図13及び図14に示すように、副反射鏡2の中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分5に至る部分の傾斜構造6aの形状を、円形導波管1と反対側に凹形状の1/4円弧を、円形導波管1の軸に沿って回転した形状であるようにしている。図14において、13は1/4円弧の中心点である。ただし、傾斜構造6aを1/4円弧で接続するためには、傾斜角が45度に限定される。
【0061】
傾斜構造6aを上記の形状とすることにより、電磁界が円形導波管1の開口部1aから離れた位置に強く分布することになる。つまり、円形導波管1の開口部1aによる電磁界の散乱の影響を小さくすることができるため、円形導波管1の開口部1aの影響が大きいE面での近軸サイドローブを改善することができる。この際、電磁界の回転対称性が劣化するため、交差偏波が劣化することがある。
【0062】
実施の形態12.
上記実施の形態1〜10における一次放射器やアンテナ装置では、副反射鏡2の中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分5に至る部分が傾斜構造6を成しているものを示したが、一次放射器やアンテナ装置において、その傾斜構造の形状が、円形導波管1と反対側に凸形状の4分の1円弧が、円形導波管1の軸を中心として回転された形状であるように形成されていてもよい。
図15はこの発明の実施の形態12によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図12と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
また、図16は図15における一次放射器の一部を拡大している構成図である。
【0063】
この実施の形態12では、図15及び図16に示すように、副反射鏡2の中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分5に至る部分の傾斜構造6bの形状を、円形導波管1と反対側に凸形状の1/4円弧を、円形導波管1の軸に沿って回転した形状であるようにしている。ただし、傾斜構造6bを1/4円弧で接続するためには、傾斜角が45度に限定される。
【0064】
傾斜構造6bを上記の形状とすることにより、電磁界が円形導波管1の開口部1a付近に強く分布することになる。円形導波管1による散乱の影響で円形導波管1の外壁1b付近(主反射鏡7の中心付近)では電磁界が弱くなっている。
傾斜構造6bを上記の形状とすることにより、主反射鏡7の中心付近の電磁界強度を強くすることができ、近軸サイドローブを改善することができる。
ただし、E面では円形導波管1の開口の影響で散乱されるため、E面での近軸サイドローブが劣化することがある。また、電磁界の回転対称性が劣化するため、交差偏波が劣化することがある。
【0065】
実施の形態13.
上記実施の形態11では、傾斜構造6aの形状が、円形導波管1と反対側に凹形状の1/4円弧が、円形導波管1の軸を中心として回転された形状であるように形成されているものを示したが、円形導波管1と反対側に凹形状の円弧であって、傾斜構造の始点と終点の垂直2等分線上を中心とする円弧が、円形導波管1の軸を中心として回転された形状であるように形成されていてもよい。
図17はこの発明の実施の形態13によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図12と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
また、図18は図17における一次放射器の一部を拡大している構成図である。
【0066】
この実施の形態13では、図17及び図18に示すように、副反射鏡2の中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分5に至る部分の傾斜構造6cの形状を、円形導波管1と反対側凹形状の円弧であって、傾斜構造6cの始点と終点の垂直2等分線上を中心とする円弧を、円形導波管1の軸を中心として回転した形状であるようにしている。
【0067】
傾斜構造6cを上記の形状とすることにより、電磁界が円形導波管1の開口部1aから離れた位置に強く分布することになる。つまり、円形導波管1の開口部1aによる電磁界の散乱の影響を小さくすることができるため、円形導波管1の開口部1aの影響が大きいE面での近軸サイドローブを改善することができる。この際、電磁界の回転対称性が劣化するため、交差偏波が劣化することがある。
この実施の形態13では、上記実施の形態11と異なり、副反射鏡2の中心付近の縦溝4と副反射鏡2の外周を接続する傾斜角が45度に限定されず、また、曲率半径も自由に設定することができる。放射パターンの要求に合わせて、傾斜角や曲率半径を設定することができる。
【0068】
実施の形態14.
上記実施の形態12では、傾斜構造6bの形状が、円形導波管1と反対側に凸形状の1/4円弧が、円形導波管1の軸を中心として回転された形状であるように形成されているものを示したが、円形導波管1と反対側に凸形状の円弧であって、傾斜構造の始点と終点の垂直2等分線上を中心とする円弧が、円形導波管1の軸を中心として回転された形状であるように形成されていてもよい。
図19はこの発明の実施の形態14によるアンテナ装置の一次放射器を示す構成図であり、図において、図12と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
また、図20は図19における一次放射器の一部を拡大している構成図である。
【0069】
この実施の形態14では、図19及び図20に示すように、副反射鏡2の中心部分3の周囲に形成されている縦溝4から外周部分5に至る部分の傾斜構造6dの形状を、円形導波管1と反対側に凸形状の円弧であって、傾斜構造6dの始点と終点の垂直2等分線上を中心とする円弧を、円形導波管1の軸を中心として回転した形状であるようにしている。
【0070】
傾斜構造6dを上記の形状とすることにより、電磁界が円形導波管1の開口部1a付近に強く分布することになる。円形導波管1による散乱の影響で円形導波管1の外壁1b付近(主反射鏡7の中心付近)では電磁界が弱くなっている。
傾斜構造6dを上記の形状とすることにより、主反射鏡7の中心付近の電磁界強度を強くすることができ、近軸サイドローブを改善することができる。
ただし、E面では円形導波管1の開口の影響で散乱されるため、E面での近軸サイドローブが劣化することがある。また、電磁界の回転対称性が劣化するため、交差偏波が劣化することがある。
この実施の形態14では、上記実施の形態12と異なり、副反射鏡2の中心付近の縦溝4と副反射鏡2の外周を接続する傾斜角が45度に限定されず、また、曲率半径も自由に設定することができる。放射パターンの要求に合わせて、傾斜角や曲率半径を設定することができる。
【0071】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 円形導波管、1a 円形導波管1の開口部、1b 円形導波管1の外壁、2 副反射鏡、3 副反射鏡2の中心部分、4 縦溝、5 副反射鏡2の外周部分、6,6a,6b,6c,6d 傾斜構造、7 主反射鏡、8,9 コルゲーション、10,11 チョーク構造、12 縦溝、13 1/4円弧の中心点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部から電波を放射する円形導波管と、上記円形導波管の開口部と正対する位置に配置され、上記円形導波管の開口部から放射された電波を反射する円板状の副反射鏡とを備えたアンテナ装置の一次放射器において、
上記副反射鏡の中心部分が円錐形状を成しており、
上記円形導波管の軸と平行な方向の溝が円錐形状を成している上記中心部分の周囲に円筒状に形成され、
上記副反射鏡の外周部分が上記円形導波管側に突き出るように、上記中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分が傾斜構造を成している
ことを特徴とするアンテナ装置の一次放射器。
【請求項2】
開口部から電波を放射する円形導波管と、上記円形導波管の開口部と正対する位置に配置され、上記円形導波管の開口部から放射された電波を反射する円板状の副反射鏡とを備えたアンテナ装置の一次放射器において、
上記副反射鏡の中心部分が円錐形状を成しており、
上記円形導波管の軸と平行な方向の溝が円錐形状を成している上記中心部分の周囲に円筒状に形成されるとともに、上記円形導波管の軸と平行な方向の溝が上記副反射鏡の外周部分に円筒状に形成され、
上記副反射鏡の外周部分が上記円形導波管側に突き出るように、上記中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に形成されている溝に至る部分が傾斜構造を成している
ことを特徴とするアンテナ装置の一次放射器。
【請求項3】
円形導波管の外壁の一部に同心円状の凹凸であるコルゲーションが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のアンテナ装置の一次放射器。
【請求項4】
円形導波管の外壁の全体に同心円状の凹凸であるコルゲーションが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のアンテナ装置の一次放射器。
【請求項5】
円形導波管の軸と平行な方向の溝が、上記円形導波管の開口部付近の壁厚部に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のアンテナ装置の一次放射器。
【請求項6】
円形導波管の軸と平行な方向の溝の位置が、上記円形導波管の軸方向に変位していることを特徴とする請求項5記載のアンテナ装置の一次放射器。
【請求項7】
副反射鏡の外周部分が円形導波管側に突き出るように、上記副反射鏡の中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分の傾斜構造の形状は、上記円形導波管と反対側に凹形状の4分の1円弧が、上記円形導波管の軸を中心として回転された形状であるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のアンテナ装置の一次放射器。
【請求項8】
副反射鏡の外周部分が円形導波管側に突き出るように、上記副反射鏡の中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分の傾斜構造の形状は、上記円形導波管と反対側に凸形状の4分の1円弧が、上記円形導波管の軸を中心として回転された形状であるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のアンテナ装置の一次放射器。
【請求項9】
副反射鏡の外周部分が円形導波管側に突き出るように、上記副反射鏡の中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分の傾斜構造の形状は、上記円形導波管と反対側に凹形状の円弧であって、上記傾斜構造の始点と終点の垂直2等分線上を中心とする円弧が、上記円形導波管の軸を中心として回転された形状であるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のアンテナ装置の一次放射器。
【請求項10】
副反射鏡の外周部分が円形導波管側に突き出るように、上記副反射鏡の中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分の傾斜構造の形状は、上記円形導波管と反対側に凸形状の円弧であって、上記傾斜構造の始点と終点の垂直2等分線上を中心とする円弧が、上記円形導波管の軸を中心として回転された形状であるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のアンテナ装置の一次放射器。
【請求項11】
開口部から電波を放射する円形導波管と、上記円形導波管の開口部と正対する位置に配置され、上記円形導波管の開口部から放射された電波を反射する円板状の副反射鏡と、上記副反射鏡と正対する位置に配置され、上記副反射鏡により反射された電波を反射する主反射鏡とを備えたアンテナ装置において、
上記副反射鏡の中心部分が円錐形状を成しており、
上記円形導波管の軸と平行な方向の溝が円錐形状を成している上記中心部分の周囲に円筒状に形成され、
上記副反射鏡の外周部分が上記円形導波管側に突き出るように、上記中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分が傾斜構造を成している
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項12】
開口部から電波を放射する円形導波管と、上記円形導波管の開口部と正対する位置に配置され、上記円形導波管の開口部から放射された電波を反射する円板状の副反射鏡と、上記副反射鏡と正対する位置に配置され、上記副反射鏡により反射された電波を反射する主反射鏡とを備えたアンテナ装置において、
上記副反射鏡の中心部分が円錐形状を成しており、
上記円形導波管の軸と平行な方向の溝が円錐形状を成している上記中心部分の周囲に円筒状に形成されるとともに、上記円形導波管の軸と平行な方向の溝が上記副反射鏡の外周部分に円筒状に形成され、
上記副反射鏡の外周部分が上記円形導波管側に突き出るように、上記中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に形成されている溝に至る部分が傾斜構造を成している
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項13】
副反射鏡の外周部分が円形導波管側に突き出るように、上記副反射鏡の中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分の傾斜構造の形状は、上記円形導波管と反対側に凹形状の4分の1円弧が、上記円形導波管の軸を中心として回転された形状であるように形成されていることを特徴とする請求項11または請求項12記載のアンテナ装置。
【請求項14】
副反射鏡の外周部分が円形導波管側に突き出るように、上記副反射鏡の中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分の傾斜構造の形状は、上記円形導波管と反対側に凸形状の4分の1円弧が、上記円形導波管の軸を中心として回転された形状であるように形成されていることを特徴とする請求項11または請求項12記載のアンテナ装置。
【請求項15】
副反射鏡の外周部分が円形導波管側に突き出るように、上記副反射鏡の中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分の傾斜構造の形状は、上記円形導波管と反対側に凹形状の円弧であって、上記傾斜構造の始点と終点の垂直2等分線上を中心とする円弧が、上記円形導波管の軸を中心として回転された形状であるように形成されていることを特徴とする請求項11または請求項12記載のアンテナ装置。
【請求項16】
副反射鏡の外周部分が円形導波管側に突き出るように、上記副反射鏡の中心部分の周囲に形成されている溝から上記外周部分に至る部分の傾斜構造の形状は、上記円形導波管と反対側に凸形状の円弧であって、上記傾斜構造の始点と終点の垂直2等分線上を中心とする円弧が、上記円形導波管の軸を中心として回転された形状であるように形成されていることを特徴とする請求項11または請求項12記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−66152(P2013−66152A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48076(P2012−48076)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】