説明

三巻縫い装置及び三巻縫い方法

【課題】布地の端縁を高い精度で3枚重ねして三巻縫いすることができ、作業性に優れている。布地の端縁を折返し幅が等しい完全な三巻状態で縫製して三巻部分の厚さを均一にして製品品質を向上する。布地の表側から三巻縫いすることができ、製品の外観を良好にする。
【解決手段】テーブル本体11の一方側にて第2折返し板19上に載置され、かつ第1折返し板15上に対して端縁が第1及び第2支持板13・17間の幅で位置出しされた状態で載置され、吸引手段21による吸引により第1支持板13の先端に沿って折り目が形成された状態でセットされた布地端縁を、第2折返し板19側へ移動する第1折返し板15により上記折り目にて折返した後に、該状態にて第2折返し板19を第1折返し板15側へ移動して3枚重ね状態に折返して仮三巻状態に形成し、該状態で布地移送手段により移送される布地の仮三巻部分をミシンにより直線縫いして三巻縫いする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッターシャツのポケット、ボタンが縫着される下前身頃、ボタンホールが形成される上前身頃やタオルの端縁、ハンカチーフの端縁等のような各種の布地端縁を三枚重ねにして縫製する三巻縫い装置及び三巻縫い方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した各種布地の端縁を三枚重ねにして縫製する三巻縫いを行うには、例えば特許文献1に示すように三巻縫い用の針板に、他端側が受け板の送り側縁部に形成した切欠き部よりも上方に突出し、その突出側端部に送り方向から見て略渦巻き状で、送り方向に向けて徐々に小径となる巻回部を有した三巻ガイドを針落ち位置の直前に取付け、該三巻ガイドにより布地を針板の針落ち位置直前にて三巻き状態に巻回しながら縫製している。
【0003】
上記三巻ガイドを使用した縫製の具体的方法としては、非特許文献1に示すように布地の端縁を予め三つ折りにし、必要に応じてしごいて折癖をつけた後に3〜4針、直線縫いして三巻ガイドに絡めた状態で内側へ捻じるようにして縫製して三巻縫いを行っている。
【0004】
しかし、上記のように三巻ガイドを使用した三巻縫い縫製にあっては、三巻ガイドに絡めた状態で内側へ捻じるように作業しなければならず、高い熟練度が要求されるため、熟練度が低い作業者にあっては、高い精度で三巻縫いできなかった。また、布地端縁の折返し幅が、他の折返し幅に比べて幅狭になる不完全な三巻状態でしか縫製できなかった。このため、三巻縫製部分においては、布厚が不均一になって製品品質が悪い問題を有している。更に、上記の三巻ガイドを使用して三巻縫いする場合には、布地の裏側からしか縫製できず、製品の表側には下糸によるミシン目が現れることにより製品の外観が悪い問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−300174号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Web Site http://www.34craft.com/misinnkiso/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、三巻ガイドを使用した三巻縫い縫製にあっては、高い熟練度が要求されるため、熟練度が低い作業者にあっては、高い精度で三巻縫いできない点にある。また、布地端縁の折返し幅が、他の折返し幅に比べて幅狭になる不完全な三巻状態でしか縫製できないため、三巻縫製部分の布厚が不均一になって製品品質が悪い点にある。更に、三巻ガイドを使用して三巻縫いする場合には、布地の裏側からしか縫製できず、製品の表側には下糸によるミシン目が現れて製品の外観品質を悪くする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1は、テーブル本体の一方側にて先端相互が布地の折返し幅に一致する間隔を設けて配置避けた第1及び第2支持板上に、互いに近づく方向へ移動された際に上記折返し幅で先端部が重なり合って布地の端縁を上記折返し幅で3枚重ね状に折返す第1及び第2折返し板と、上記第1及び第2折返し板を互いに近づく方向及び遠ざかる方向へ移動するそれぞれの作動部材と、互いに遠ざかる方向へ移動された第1及び第2折返し板間のテーブル面にセットされた布地を吸引して第1支持板の先端に沿って折り目を形成する吸引手段と、上記第1及び第2折返し板により端縁が3枚重ね状に折返された布地をテーブル本体の他方側へ移送する布地移送手段と、上記布地移送手段により移送される布地端縁を端から上記折返し幅をおいた個所にて直線状に縫製して三巻縫いするミシンと、上記布地移送手段によりテーブル本体の他方側へ移送された布地を集積する三巻布地集積手段とを備え、テーブル本体の一方側にて第2折返し板上に載置され、かつ第1折返し板上に対して端縁が第1及び第2支持板間の幅で位置出しされた状態で載置され、吸引手段による吸引により第1支持板の先端に沿って折り目が形成された状態でセットされた布地端縁を、第2折返し板側へ移動する第1折返し板により上記折り目にて折返した後に、該状態にて第2折返し板を第1折返し板側へ移動して3枚重ね状態に折返して仮三巻状態に形成し、該状態で布地移送手段により移送される布地の仮三巻部分をミシンにより直線縫いして三巻縫いすることを最も主要な特徴とする。
【0009】
請求項6は、テーブル本体の一方側にセットされた布地の端縁をテーブル面に吸着して折り目を形成した状態で第1折返し板を移動して該端縁を上記折り目にて所定幅で折り返した後、折り返された端縁に対して第2折返し板を移動して他の地を第1折返し板側へ折り返して端縁が3枚重ねの仮三巻部分を形成する工程と、仮三巻部分が形成された布地を移送しながら該仮三巻部分を縫製して三巻縫いする工程と、三巻縫いされてテーブル本体の他方側へ移送された布地を集積する工程とからなることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、熟練度が低い作業者であっても、布地の端縁を高い精度で3枚重ねして三巻縫いすることができ、作業性に優れている。また、布地の端縁を折返し幅が等しい完全な三巻状態で縫製して三巻部分の厚さを均一にして製品品質が向上することができる。更に、布地の表側から三巻縫いすることができ、製品の外観を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】三巻縫い装置の平面図である。
【図2】三巻縫いの正面図である。
【図3】仮三巻形成手段の説明図である。
【図4】布地移送手段の説明図である。
【図5】三巻布地集積手段の部の説明図である。
【図6】布地端縁のセット状態を示す説明図である。
【図7】第1折返し板の移動による布地端縁の折返しし状態を示す説明図である。
【図8】第2折返し板の移動による布地端縁の折返し状態を示す説明図である。
【図9】押圧部材による仮三巻部分の押圧状態を示す説明図である。
【図10】加熱圧締手段による三巻部分のホットプレス状態を示す説明図である。
【図11】テーブル本体から布地を取出す際の説明図である。
【図12】布地の集積状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
テーブル本体の一方側にて第2折返し板上に載置され、かつ第1折返し板上に対して端縁が第1及び第2支持板間の幅で位置出しされた状態で載置され、吸引手段による吸引により第1支持板の先端に沿って折り目が形成された状態でセットされた布地端縁を、第2折返し板側へ移動する第1折返し板により上記折り目にて折返した後に、該状態にて第2折返し板を第1折返し板側へ移動して3枚重ね状態に折返して仮三巻状態に形成し、該状態で布地移送手段により移送される布地の仮三巻部分をミシンにより直線縫いして三巻縫いすることを最良の実施形態とする。
【実施例1】
【0013】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至図5に示すように、三巻縫い方法を具体化する三巻縫い装置1は、仮三巻形成手段3、仮三巻部分が形成された布地をミシン5側へ移送する布地移送手段7と、三巻縫いされた布地を加熱圧締して集積する三巻布地集積手段9から構成される。
【0014】
仮三巻形成手段3は、テーブル本体11上にて長手方向へ延出し、後述する三巻の折返し幅に一致する間隔をおいて相対配置された第1及び第2支持板13・17上を互いに近づく方向及び互いに遠ざかる方向へ移動するように支持される第1及び第2折返し板15・19と、テーブル本体11の下面にそれぞれ設けられ、上記第1及び第2折返し板15・19を互いに近づく方向及び遠ざかる方向へ移動するエアーシリンダ等の作動部材27・29と、上記第1及び第2支持板13・17間におけるテーブル本体11の下面に形成された吸引孔11aから空気を吸引して折り目を形成する吸引手段21から構成される。
【0015】
上記第2支持板17は、第1折返し板15が第2支持板17の端縁に近づく方向へ移動した第1折返し板15に対して第2折返し板19が重なり合うのを可能にするため、第1支持板13より若干高さを設ける厚さからなる。
上記吸引手段21は、第2支持板17に相対する第1支持板13の端縁に沿ったテーブル本体11に形成された開口11bと第1及び第2支持板13・17間のテーブル本体11に形成された多数の吸引孔11aを覆う吸引ボックス21a及び該吸引ボックス21aに接続されるブロア等の排気装置(図示せず)により構成される。該吸引手段21は、吸引孔11aに比べて開口11bから大容量の空気を吸引することにより第1及び第2折返し板15.19上にセットされた布地31を、第1支持板13の長手方向端縁に沿って強力に吸引して折目を形成する。
【0016】
上記第2折返し板19には、圧縮空気供給源(図示せず)に接続された複数個の空気噴射孔20が、長手方向に対して適宜の間隔をおき、圧縮空気を第1折返し板15側へ噴射するように設けられる。各空気噴射孔20から噴射される圧縮空気は、上記第2折返し板19との協働により後述する布地31を前方へ折り返して反転させる。
【0017】
第1折返し板15上には、第2折返し板19に相対する端縁から上記第1及び第2支持板13・17間の間隔をおいた個所にて長手方向へ延出する定規面を有した定規板18が取り付けられている。該定規板18は、布地31をセットする際に、布地31の端を定規面に一致させることにより布地31を定規出しする。また、三巻縫い装置1には、第2支持板17に相対する第1支持板13の端に沿ったテーブル面上に可視光色のレーザ光を直線状に照射するレーザマーキング手段(図示せず)が設けられ、布地31をセットする際に、布地31を照射されたレーザ光に一致させて位置出する。レーザマーキング手段によるレーザ光の照射は、特に直線模様(ストライプ)を有した布地31を位置出しするのに有効である。
【0018】
上記テーブル本体11の長手方向中央部には、ミシン5が配置され、該ミシン5は、布地移送手段7により移送される布地31の端縁に形成された仮三巻部分を長手方向へ直線状に縫製して三巻縫いを行う。上記ミシン5は、従来公知の構造であるため、その詳細については説明を省略する。
【0019】
上記布地移送手段7は、ミシン5の上方に位置するように立設された取付けフレーム32の前端部に設けられ、長手方向へ布地31の移送距離の約1/2の長さで延出する第1移送フレーム33と、該第1移送フレーム33に対して長手方向へ延出するように取れ付けられたガイドレール35に長手方向へ移動するように支持された走行体37と、該走行体37に取付けられ、上記第1移送フレーム33に対して長手方向へ延出して設けられたラックギャ39に出力軸のピニオンギャが噛合う数値制御可能な第1電動モータ41と、上記走行体37に設けられた直線ガイド部材43に対して長手方向へ移動可能に支持されたガイドレール45が設けられ、布地31の長手方向に一致する長さの第2移送フレーム47と、上記走行体37に取付けられ、上記第2移送フレーム47に対して長手方向へ延出して設けられたラックギャ49に出力軸のピニオンギャが噛合う数値制御可能な第2電動モータ51とから構成される倍速構造からなる。
【0020】
なお、布地移送手段7を上記構造の倍速機構としたが、布地31の移送距離に一致する水平長さの水平フレームに対して布地31に一致する水平長さの保持フレームを水平方向へ移動するように設けた等速機構であってもよい。
【0021】
上記第2移送フレーム47の長手方向両端部には、揺動支持部材50が揺動するように軸支され、該揺動支持部材50には、揺動アーム53が上下方向へ移動するように支持される。各揺動支持部材50には、ロッドが第2移送フレーム47の長手方向両端部に取り付けられたエアーシリンダ、電磁ソレノイド等の揺動作動部材55が連結され、該揺動作動部材55の作動により揺動支持部材50が垂直位置と図示する前方位置へ揺動される。また、各揺動支持部材50に支持された揺動アーム53は、エアーシリンダ、電磁ソレノイド等の押圧作動部材(図示せず)が連結され、該押圧作動部材により後述する押圧板57をテーブル面に近接する位置と上方へ離間した位置の間で上下動させる。
【0022】
また、上記揺動アーム53の先端部(下部)には、布地31の長手方向長さより長い水平長さで、後述する仮三巻部分を押圧する押圧板57が設けられる。ミシン5の針位置に応じた押え板57の前後方向中間部には、図示する左右方向へ延出する針溝57aが形成され、該針溝57aを通過するミシン針により仮三巻部分が縫製される。
【0023】
テーブル本体11の図示する前側には、三巻布地集積手段9が配置される。該三巻布地集積手段9は、加圧圧体63と集積フレーム67及び取出しフレーム69から構成される。即ち、集積位置へ移動した押圧板57の後方に応じたテーブル本体11には、左右一対の取付け軸部材59が設けられ、これら取付け軸部材59間に設けられた取付け板61には、布地31の長手方向長さに応じた水平長さの加熱圧締体63がガイド軸64により上記テーブル面に圧接する下方位置と離間する上方位置の間で昇降するように支持される。そして上記加熱圧締体63は、取付け盤61に設けられたエアーシリンダ等の上下部材65のロッドが取付けられ、該上下部材65の作動により昇降される。上記加熱圧締体63には、面状ヒータ等の電熱部材が内蔵され、布地31に対する圧接面を所要の温度に加熱させる。
【0024】
また、上記加熱圧締体63に応じたテーブル本体11には、正面が横向きコ字形で、上部に布地31の長手方向幅に対応する長さの集積バー67aを有した左右一対の第1揺動アーム67の下部が揺動するように支持される。該揺動アーム67には、テーブル本体11に設けられたエアーシリンダ等の第1揺動作動部材69のロッドが連結され、該第1揺動作動部材69の作動により第1揺動アーム67がテーブル本体11に近づく位置と遠ざかる位置の間で往復揺動される。
【0025】
上記第1揺動アーム67の長手方向中間部には、先端部に上記集積バー67aと一致する取出しバー71aを有した第2揺動アーム71の下部が揺動するように支持される。該第2揺動アーム71には、テーブル本体11に設けられたエアーシリンダ等の第2揺動作動部材73のロッドが連結され、該第2揺動作動部材73の作動により第1揺動アーム67に対して第2揺動アーム71が近づく位置と遠ざかる位置の間で往復揺動される。なお、上記第1揺動アーム67の集積バー67aには、ゴム(発泡ゴム)等の摩擦体(図示せず)が取付けられ、集積37aに掛渡し状態で集積された三巻縫いされた布地31が滑脱するのを防止する。
【0026】
次に、上記三巻縫い装置1による布地31端縁の三巻縫い作用及び三巻縫い方法を説明すると、先ず、作業者は、端縁が三巻縫いされるカッターシャツのポケット、ボタンが縫着される下前身頃や、タオル、ハンカチーフ等の布地31を第2折返し板19上に載せた状態で、その前端を第1折返し板15上における定規板18の定規面に押し当てて定規出しした状態でセットする。なお、布地31を完全三巻で縫製するには、第1及び第2支持板13・17の相互間隔と上記出し幅を一致させる必要がある。
【0027】
このとき、第1及び第2支持板13・17間に位置する布地31の一部は、吸引孔11aから吸引される空気によりテーブル面上に吸着されて保持されると共に開口から吸引される大量の空気により強力に吸引されて第1支持板13の端に沿って折り目を形成するように保持される。(図6参照)
【0028】
次に、上記の状態でスタートスイッチ(図示せず)が操作されると、作動される作動部材27により第1折返し板15が第2折返し板19へ向かって移動し、布地31の前端縁を上記折り目に沿って第1及び第2支持板13・17間の幅で折り返す。このとき、布地31の前端縁には、第1支持板13の先端に沿って折り目が形成されているため、第1折返し板15の移動に伴って前端縁を第2支持板17側へ確実、かつ高い精度で直線状に折り返すことができる。(図7参照)
【0029】
次に、上記状態にて作動される作動部材29により第2折返し板19を第1折返し板15側へ移動して布地31を、上記第1折返し板15により折返された先端に沿って第1支持板13側へ折り返して布地31の前端縁を3枚重ねの仮三巻状に形成する。このとき、前方に対する第2折返し板19の移動に伴って空気噴射孔20から圧縮空気を噴射して第2折返し板19側の布地31を第1支持板13側へ反転させながら折り返す。また、布地31を第1支持板13側へ折り返す際には、移動した第1折返し板15の前端により折り目を形成することができ、高い精度で直線状に折り返すことができる。(図8参照)
【0030】
次に、上記状態にて第1及び第2電動モータ41・51を駆動して第1移送フレーム33に対して走行体37を、また走行体37に対して第2移送フレーム47をそれぞれ仮三巻形成手段側へ移動して押圧板57を互いに近づく方向へ移動された第1及び第2折返し板15・19の上方へ位置させた後、該状態にて作動部材27・29をそれぞれ復動して第1及び第2折返し板15・19をそれぞれの待機位置へ戻すと共に第1及び第2折返し板15・19を戻すタイミングとほぼ同期したタイミングまたは若干遅延したタイミングで押圧作動部材を作動して押圧板57を下方へ移動して仮三巻部分の布地31を押圧させる。(図9参照)
【0031】
次に、第1及び第2電動モータ41・51を復動して押圧板57をミシン5側へ移動してテーブル面上へ押圧された布地31をミシン5の針位置方向へ滑走させながらミシン駆動し、上記押圧板57の針溝57aを通過するミシン針により布地31の仮三巻部分の図示する前側端縁を直線状に縫製させる。
【0032】
そして上記押圧板57の移動に伴って仮三巻部分が縫製されて三巻縫いされた布地31が三巻布地集積手段9側へ移送されると、押圧作動部材を復動して押圧板57を上方へ移動して三巻部分に対する押圧を解除させた後、揺動作動部材55を作動して押圧板57を図示する前側へ揺動して布地31の三巻部分から押圧板57を退避させる。また、押圧板57を退避させるタイミングで上下部材65を作動して加熱圧締体63を下降して布地31の仮三巻部分を所要の時間の間、加圧及び加熱して三巻部分をホットプレスさせる。(図10参照)
【0033】
なお、布地31における三巻部分のホットプレス時においては、復動された第1及び第2揺動作動部材69・73により第1及び第2揺動アーム67・71は、集積バー67a及び取出しバー71aが互いに近接した状態でテーブル本体11におけるテーブル面の下方に位置した状態で待機している。また、布地31の三巻部分と反対側は、テーブル面の下方に位置する取出しバー71aの前面側に位置し、テーブル面から垂れ下がった状態になっている。
【0034】
次に、所定の時間が経過して三巻部分がほぼ平面状にホットプレスされると、上下部材65を復動して加熱圧締体63を上方へ移動して三巻部分の押圧状態を解除してホットプレスを終了させると共に第1及び第2揺動作動部材69・73をそれぞれ作動して第1及び第2揺動アーム67・71を前方へ一体に揺動して集積バー67a及び取出しバー71aに掛渡された布地31をテーブル本体11のテーブル面から離脱させた後(図11参照)、第1揺動作動部材69を復動して第1揺動アーム67をテーブル本体11側へ揺動させる。このとき、第2揺動作動部材73の作動状態が保たれて前方に対する第2揺度アーム71の揺動状態が保持されるため、本体テーブル11側へ揺動する第1揺動アーム67により布地31を取出しアーム71aから滑脱させて集積バー67aのみで保持させて集積する。(図12参照)
【0035】
なお、上記動作後においては、第2揺動作動部材73を復動して第2揺動アーム71をテーブル本体11におけるテーブル面の下方側へ揺動して待機位置へ戻し、集積バー67aに掛渡されて保持された布地31を取出しバー71aにより挟持して集積状態を保たせる。
【0036】
本実施例は、熟練度が低い作業者であっても布地31の端縁を短時間に三巻状態で縫製することができ、三巻縫いの作業効率を高めることができる。また、三巻部分は、折返し幅が等しい完全な三巻状態で縫製することができ、三巻部分の厚さが不均一になるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 三巻縫い装置
3 仮三巻形成手段
5 ミシン
7 布地移送手段
9 三巻布地集積手段
11 テーブル本体
11a 吸引孔
11b 開口
13 第1支持板
15 第1折返し板
17 第2支持板
18 定規板
19 第2折返し板
20 空気噴射孔
21 吸引手段
21a 吸引ボックス
27・29 作動部材
31 布地
32 取付けフレーム
33 第1移送フレーム
35 ガイドレール
37 走行体
39 ラックギャ
41 第1電動モータ
43 直線ガイド部材
45 ガイドレール
47 第2移送フレーム
49 ラックギャ
50 揺動支持部材
51 第2電動モータ
53 揺動アーム
55 揺動作動部材
57 押圧板
59 取付け軸部材
61 取付け板
63 加熱圧締体
64 ガイド軸
65 上下部材
67 第1揺動アーム
67a 集積バー
69 第1揺動作動部材
71 第2揺動アーム
71a 取出しバー
73 第2揺動作動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル本体の一方側にて先端相互が布地の折返し幅に一致する間隔を設けて配置避けた第1及び第2支持板上に、互いに近づく方向へ移動された際に上記折返し幅で先端部が重なり合って布地の端縁を上記折返し幅で3枚重ね状に折返す第1及び第2折返し板と、
上記第1及び第2折返し板を互いに近づく方向及び遠ざかる方向へ移動するそれぞれの作動部材と、
互いに遠ざかる方向へ移動された第1及び第2折返し板間のテーブル面にセットされた布地を吸引して第1支持板の先端に沿って折り目を形成する吸引手段と、
上記第1及び第2折返し板により端縁が3枚重ね状に折返された布地をテーブル本体の他方側へ移送する布地移送手段と、
上記布地移送手段により移送される布地端縁を端から上記折返し幅をおいた個所にて直線状に縫製して三巻縫いするミシンと、
上記布地移送手段によりテーブル本体の他方側へ移送された布地を集積する三巻布地集積手段と、
を備え、テーブル本体の一方側にて第2折返し板上に載置され、かつ第1折返し板上に対して端縁が第1及び第2支持板間の幅で位置出しされた状態で載置され、吸引手段による吸引により第1支持板の先端に沿って折り目が形成された状態でセットされた布地端縁を、第2折返し板側へ移動する第1折返し板により上記折り目にて折返した後に、該状態にて第2折返し板を第1折返し板側へ移動して3枚重ね状態に折返して仮三巻状態に形成し、該状態で布地移送手段により移送される布地の仮三巻部分をミシンにより直線縫いして三巻縫いする三巻縫い装置。
【請求項2】
請求項1において、テーブル本体の他方側には、上記布地移送手段により移送された布地の三巻部分を加熱圧締する加熱圧締手段を設け、該加熱圧締手段により三巻部分をホットプレスする三巻縫い装置。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれかにおいて、第2折返し板側に第1折返し板側へ圧縮空気を噴射する空気噴射手段を設け、第2折返し板の移動により布地を折返す際に空気噴射手段から噴射される圧縮空気により布地を第1折返し板側へ反転させて折り返す三巻縫い装置。
【請求項4】
請求項1において、布地移送手段は、押圧部材を備え、テーブル面に対して三巻状にセットされた布地の三巻部分を押圧して滑走させて移送する三巻縫い装置。
【請求項5】
請求項2において、布地移送手段は、布地の移送方向と直交する方向へ揺動する押圧部材を備え、テーブル面に対して三巻状にセットされた布地の三巻部分を押圧して滑走させて移送する一方、布地の三巻部分が加熱圧締手段に位置した際には、押圧部材を布地の移送方向と直交する方向へ揺動して加熱圧締手段と非干渉とする三巻縫い装置。
【請求項6】
テーブル本体の一方側にセットされた布地の端縁をテーブル面に吸着して折り目を形成した状態で第1折返し板を移動して該端縁を上記折り目にて所定幅で折り返した後、折り返された端縁に対して第2折返し板を移動して他の地を第1折返し板側へ折り返して端縁が3枚重ねの仮三巻部分を形成する工程と、
仮三巻部分が形成された布地を移送しながら該仮三巻部分を縫製して三巻縫いする工程と、
三巻縫いされてテーブル本体の他方側へ移送された布地を集積する工程と、
からなる三巻縫い方法。
【請求項7】
請求項6において、三巻縫いされた布地を集積する際に、布地の三巻部分を加熱圧締して平面状に形成する工程を設けた三巻縫い方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−135335(P2012−135335A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287655(P2010−287655)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(391063673)株式会社友縫機械 (4)
【Fターム(参考)】