三次元造形物の情報表示装置
【課題】 この発明は、三次元造形物を手で触れつつ手で触れている位置など所望の位置の情報を表示できるようにし、特に視覚障害者に豊富な情報を提供できるようにすることを課題とするものである。
【解決手段】 この発明の三次元造形物の情報表示装置は、有意の三次元造形物1に位置情報を記録したICタグ2を装着した基礎媒体と、情報選択手段5と、各ICタグに記録された位置情報に関連づけて、前記三次元造形物のICタグが装着された位置に関連する表示情報を記録した情報記録手段4と、インターフェース手段とで構成する。前記情報選択手段で前記ICタグに記録された位置情報を読み取り、前記情報記録手段に送信し、情報記録手段において受信したデータに対応する表示情報を検索し、検索された表示情報を前記インターフェース手段から出力するようにする。
【解決手段】 この発明の三次元造形物の情報表示装置は、有意の三次元造形物1に位置情報を記録したICタグ2を装着した基礎媒体と、情報選択手段5と、各ICタグに記録された位置情報に関連づけて、前記三次元造形物のICタグが装着された位置に関連する表示情報を記録した情報記録手段4と、インターフェース手段とで構成する。前記情報選択手段で前記ICタグに記録された位置情報を読み取り、前記情報記録手段に送信し、情報記録手段において受信したデータに対応する表示情報を検索し、検索された表示情報を前記インターフェース手段から出力するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、立体地図や人体模型などの三次元造形物に手で触れながら、三次元造形物の個々の位置に関する情報をディスプレー、スピーカーなどのインターフェイス手段から取得できるようにした、三次元造形物の情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICチップやタッチセンサを紙などの情報が表示された媒体に装着し、媒体に表示された情報以外の情報をモニタなどに表示できるようにした装置は種々提案されている。
【特許文献1】特開2000−285203号公報
【0003】
上記特許文献に開示された発明は、ICチップ入りペーパを用いた情報伝達方法に関するものであって、情報を紙に表示すると共に、別の情報を紙に埋め込んだICチップに記録し、ICチップに記録された情報をリーダライタによって読み出し、これを出力装置に出力するようにしたものである。
この発明においては、出力装置から出力される情報はICチップに記録された情報である。すなわち、出力装置から出力される情報は、全て予めICチップに記録しておかなければならない。ICチップの記憶容量は自ずから限界があるために、情報量が制約される他、情報を変更するためにはICチップ毎にリーダライタによって記録を更新しなければならない。
【特許文献2】特開2002−182555号公報
【0004】
上記特許文献に開示された発明は、情報出力装置を有する地球儀に関するものであって、地球儀本体に多数のタッチセンサを配設し、タッチセンサに触れることによりタッチセンサの地図上の位置が指定位置情報として情報出力装置に送られ、情報出力装置に記録された前記指定位置情報に対応する情報がディスプレイに表示されるようにしたものである。
この発明においては、情報は情報出力装置に記録しておくので、情報量の制約はなく、また情報の更新も容易である。しかしながら、タッチセンサを用いるものであるから、地球儀本体と情報出力装置とは信号線によって接続しなければならない。
【0005】
上記以外にも種々の提案がなされているが、いずれも平面的な媒体(上記地球儀も世界地図が表されている部分に凹凸がないという意味で平面的ということができる。)にICチップなどを埋め込んだものであって、三次元造形物を手で触れその形状を理解しつつ、手で触れている位置など所望の位置の情報を音声、文字又は画像として取得できるようにしたものは存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、三次元造形物を手で触れつつ手で触れている位置など所望の位置の情報を表示できるようにし、特に視覚障害者に豊富な情報を提供できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の三次元造形物の情報表示装置は、有意の三次元造形物にICタグを装着した基礎媒体と、情報選択手段と、情報記録手段と、インターフェース手段とで構成する。前記ICタグの装着は、三次元造形物に埋め込む構造、三次元造形物の表面又は裏面にICタグを装着するための孔を多数形成し、前記孔の全て又は一部にICタグを着脱自在に装着する構造などが考えられる。
前記ICタグには前記三次元造形物の当該ICタグが装着された位置を特定するデータを記録し、前記情報記録手段には各ICタグに記録された位置を特定するデータに関連づけて、前記三次元造形物のICタグが装着された位置に関連する表示情報を記録する。そして、前記情報選択手段で前記ICタグに記録された情報を読み取りICタグに記録された位置を特定する情報を前記情報記録手段に送信し、情報記録手段において受信したデータに対応する表示情報を検索し、検索された表示情報を前記インターフェース手段から出力するようにする。
【0008】
前記「有意の三次元造形物」とは、立体地図、都市模型におけるビル、人体模型など「情報との関係で意味を持つ三次元造形物」をいう。そして、「三次元」とは触覚によって形状を認識できるものであることを意味するものであって、地図上で道路や鉄道を示すための僅かに隆起又は窪んだ線や点字も、ここでいう「三次元」に含まれる。
前記「情報選択手段」の代表例はリーダ・ライターである。リーダ・ライタ−はペン型でもよいが、指に取り付けられる構造とすることにより、三次元造形物に触れながら情報を取得するというこの発明の目的に一層叶うものとなる。
前記「情報記録手段」の代表例はCD−ROMなどの記録媒体、コンピュータ、ネットワークサーバであり、ICタグの位置情報に基づき対応する情報を検索する機能を備えたものであれば限定はない。
前記情報選択手段と情報記録手段との接続は、有線でも無線でもよい。
前記「インターフェース手段」の代表例はモニターとスピーカーであるが、視覚障害者の利用においてはスピーカまたはイヤホン、ヘッドホンがより重要である。
【0009】
請求項2の発明は、三次元造形物を複数に分割して基盤上に装着し、分割された個々の部位は基盤から分離可能としたものである。このような構成とすることにより、三次元造形物を手にとって、手でくまなく触れることが容易であり、造形を深く理解することができる。
前記基盤は、平板なものでもよいが、上方が開口した枠状体として、開口部に三次元造形物を装着するようにすることもできる。
【0010】
請求項4の発明は、基盤を上方が開口した枠状体とし、この枠状体にICタグを取り付ける孔を設けたものである。ICタグのアンテナは三次元造形物の裏面に近接させることが好ましい。そのための構造として、枠状の基盤にスポンジ板等の弾性板を装着し、この弾性板の上にICタグを装着するための孔を設けたICタグ装着板を重ねて配設し、前記孔にICタグを装着し、ICタグを前記スポンジ板によって三次元造形物側に押し上げるようにする構造(請求項5)、ICタグの下端にコイルバネなどの弾性部材と取り付けてICタグを上方へ押し上げる構造などが考えられる。
この発明においては、ICタグには三次元造形物上の位置を特定する情報を記録させてもよいが、基盤における位置を特定する情報を記録させてもよい。
前記ICタグの孔は、多数蜂の巣状に形成しても、必要な位置にのみスポット的に設けてもよい。
【0011】
上記各発明には、情報内容選択手段を付加し、この情報内容選択手段の選択情報に基づき情報記録手段における検索情報の範囲が変更されるようにすることもできる(請求項6)。
この情報内容選択手段は、キーボード、マウスなどの入力装置と検索プログラムで構成される。
例えば、立体地図によって「山」の情報を得ようとするときには、情報内容選択手段の入力装置によって「山」を選択する。この操作により「山」に対応するICタグに近接して「川」に対応するICタグが配置されている場合、「川」に対応するICタグの情報を読み取っても検索プログラムにおいて「川」に対応するICタグからの位置情報ははじかれ、情報は表示されない。
また、一つのICタグに関連づけて山の情報と川の情報とを記録しておき、情報内容選択手段によって「山」を選択して「山」の情報のみを表示するようにすることもできる。
なお、この情報内容選択手段については実施例において詳説する。
【0012】
上記三次元造形物としては立体地図又は人体模型が代表的である。そして、情報選択手段は、指先に装着可能なリーダライターとすることが好ましい
【発明の効果】
【0013】
この発明において、有意の三次元造形物の表面又は裏面にICタグを装着するための深孔を多数形成し、前記深孔の全て又は一部にICタグを装着して基礎媒体を構成し、又は三次元造形物の基盤にICタグを装着し、前記ICタグには前記三次元造形物の当該ICタグが装着された位置を特定する情報を記録し、表示情報は情報記録手段に記録するものとしたので、リーダライターなどの情報選択手段で三次元造形物の表面に触れることにより、該当する位置に関する情報をインターフェースに表示することができる。
【0014】
上記において、ICタグには位置を特定する情報を記録し、その位置情報に基づき情報記録手段に記録された情報を検索することとしてあるので、情報量に制約がない。また情報の更新の際にもICタグの情報を変更する必要はないので、情報更新が極めて容易である。尤も、必要によりリーダライターによってICタグに記録する情報を更新することも可能である。
【0015】
また、三次元造形物又は基盤に多数のICタグ装着用の孔を設けた場合は、必要とする位置に適宜ICタグを装着することができるので、用途に応じてICタグを差し替えることにより同一の三次元造形物を種々の用途に使用することができる。そして、ICタグは孔に装着するので、差し替えが容易であり、かつ高密度にICタグを配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下実施例を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は三次元造形物を日本の立体地図1としたものである。この立体地図1は、北海道、東北地方、関東地方、中部地方、近畿地方、中国地方、四国、九州に分割して形成してあり、それぞれ三次元CADデータに基づく合成樹脂の積層造形により細密に形成され、ボード10に配置してある。
立体地図1の裏面側にはピン型ICタグ2を装着するための深孔3が多数等間隔で形成してある。前記深孔3は立体地図の表面に接触させたリーダ・ライターによりICタグが印加されるように構成する。このように、孔3を多数等間隔で設けることにより、いずれの地方の立体地図も同じ設定で孔開け作業を行うことができ効率的である。なお、立体地図1の表面に地名などを表示することが通常であるが、視覚障害者の利用のためには必須ではない。
【0018】
ピン型ICタグ2はアンテナ付であって、そのICチップにはICタグ毎に固有のアドレス情報が記録されており、このアドレスが後に述べる情報記録装置に記録された表示情報とリンクするようにする。
前記ICタグ2をそのアドレスがリンクする表示情報に対応する位置に形成された前記立体地図1上の深孔3に装着する。例えば、ICタグ2のアドレスがリンクする表示情報が札幌市に関するものであれば立体地図上の札幌市の位置に設けられた深孔に装着し、リンクする表示情報が天塩川に関するものであれば立体地図上の天塩川の位置に設けられた深孔に装着する。
【0019】
図3中符号4はパソコンであり、情報記録手段とインターフェース手段とを備えたものである。
パソコン4の情報記録装置には、前記ICタグ2のアドレスに対応させて、地理情報が画像データ及び音声データとして記録されており、ICタグのアドレスがパソコンに入力されると検索プログラムが起動してアドレスに対応する地理情報が画像としてモニタに表示されると共に、音声としてスピーカから出力されるようにしてある。この場合、MPGの音ファイルにリンクさせるなど、プログラム上で画像データと音声データとをリンクさせることが好ましい。
【0020】
前記パソコン4への情報の記録や情報の更新は、キーボードやスキャナーを使用して直接入力する方法、予め作成したデータをCD-ROM等に記録し、そのデータをコピーする方法等がある。
CD−ROMなどの運搬可能な媒体にデータを記録することにより、多数の情報記録装置におけるデータを容易に更新することができる。したがって、この発明の装置の使用者が全国に分布している場合であっても、CD-ROM等を使用者に頒布することによりデータを更新することができ、使用者は常に最新の情報を利用することができる。
データの更新に伴い新たな位置を特定する必要が生じた場合(例えば火山活動で新しい山ができた場合、従来注目されていなかった地域が注目されるようになり地図上に表示する必要が生じた場合など)には、ICタグを追加する必要が生ずる。その場合は、追加するICタグを前記CD−ROMと共に頒布し、使用者が所定の位置の孔にICタグを装着することができる。使用者によりICタグを正確な位置に装着させるために、立体地図の裏面には各深孔に近接して番号又は記号を表示しておくことが好ましい。
【0021】
図中符号5はリーダ・ライターである。このリーダ・ライターは通常のペン型でもよいが、図3に示すように指に装着できる態様のものが好まし。図3において、リーダ・ライター5の本体に指に装着するためのリング6が取り付けてあり、リーダ・ライター5は付け爪様のアンテナ部5aと腕時計様のドライバ部5bとで構成してある。
前記アンテナ部5aは指に装着できるようにしてある。このときアンテナ部5aは使用者の爪の上に位置し、その先端部は指先から僅かに突出する程度とし、指の立体地図への触感がそのままICタグの選択につながるようにしてある。また、前記ドライバ部5bはバンドによって腕に固定できるようにしてある。
【0022】
前記検索プログラムには検索情報選択機能が付加されており、キーボード、マウス、タッチパネルなどからの入力によって検索される情報を絞り込むことができるようにしてある。
例えば、数字キー1に対して「山」、2に対して「川」、3に対して「半島・岬」、4に対して「平野」、5に対して「都市」を割り当て、例えばキー1(山)を選択した場合は、山に関する情報にリンクされるICチップのアドレスのみが検索対象として絞り込まれ、山以外の情報にリンクされるアドレスは検索対象からはじかれるようにしてある。
【0023】
以下上記実施例の装置の使用方法及び作動を、視覚障害者の教育に使用する場合を例として説明する。
指導者が複数のブロックに別れた立体地図1を、日本列島を構成するように並べる。この状態で学習者は立体地図1に手で触れて日本列島の全体形状を把握すると共に、その授業時間における学習テーマの地域(例えば北海道)が日本列島のどの位置にあるのかを理解する。
次いで、学習者は学習テーマの地域のブロックを手に取り、指で触れることにより一層具体的にその地域の地形を理解する。
【0024】
地形を把握した後、学習者はリーダ・ライター5を指及び腕に装着してICタグ2にアンテナ部5aを近接させて情報を取得する。情報はモニタに画像・文字が表示され、スピーカーから音が出力される。
このとき、検索情報選択手段を用い、「都市」を選択しておくと、札幌市の情報を得ようとして間違えて石狩川の情報に対応するICタグにリーダ・ライターを接触させたときには情報は表示されない。すなわち、雑音に触れることなく効率的に学習を進めることができる。
【0025】
図4は応用的な使用例を示すものである。
情報記録手段に問題を記録しておき、キーボード又はICタグボード6からの入力により問題の分野を選択できるようにしてある。例えば「山」を選択すると山に関する問題が順次表示される。
問題7はモニタとスピーカーから出力される。
学習者はスピーカーから出力される音声で問題を聞き、解答となる位置のICタグにリーダ・ライター5を近接させる。いずれのICタグが選択されたかはそのアドレスによってコンピュータに入力され、プログラムにより正誤判定がなされ、正解または誤りの表示8がモニター及びスピーカーから出力される。
【0026】
この実施例によれば、従来極めて困難であった視覚障害者への地理教育を、効率よく行うことができる。
【実施例2】
【0027】
図5に示す実施例2は請求項4の発明に係るものである。
上方が開口した枠体状の基盤31は複数に区画されている。北海道の地図を表す図面においては、中央に北海道をかたどった区画32が形成してあり、その周囲に島嶼部に対応する複数の区画32aが形成してある。そして、各区画の開口部に対応する地図を表した立体地図33、33aが装着してある。
【0028】
前記基盤31の底板には筒状のICタグ装着部34が多数設けてあり、このICタグ装着部の孔にICタグ2が装着してある。このICタグ2の上端のアンテナから立体地図の表面までの距離は、リーダライタによる読み取りが可能な距離とする。
前記ICタグ装着部34は、立体地図における都市、山、川、など情報を表示する必要のある部位に対応した位置に設けるが、情報内容選択手段を併用する場合は、一つのICタグに複数の情報を担当させることが可能であるので、ICタグのアンテナの能力を勘案して最小限度の数のICタグを装着し得るようにすることができる。
例えば、一つのICタグの位置情報に関連づけて、パソコン(情報記録手段)に都市「旭川」と山「大雪山」との情報を記録する。このとき、情報内容選択手段によって「山」情報のみが検索されるようにセットすれば、地図の該当部にリーダライターが触れたとき、「山」情報、すなわち大雪山の情報のみが出力され、「都市」情報のみが検索されるようにセットすれば、「都市」情報、すなわち「旭川」の情報のみが出力される。
【0029】
このように、枠状の基盤と立体地図とを組み合わせる構成とすると、ICタグをきれいに格納することができると共に、ICタグの装着作業において立体地図を分離することができるので作業が容易であり、かつ立体地図を破損するおそれがない。また、海や島嶼部分を立体地図として表しやすい。
【0030】
図6,図7は、スポンジ板を用いたICタグの取付け構造の例を示すものである。
平面視方形の枠体41にスポンジ板42を装着し、このスポンジ板42の上面にICタグ装着用の孔43を縦横に整列させて多数形成したICタグ装着板44を載置し、その上にガイド板45を載置し、前記枠体41の開口部に立体地図の装着枠46を載置して基盤を構成し、前記装着枠46に立体地図47を嵌め込む。
前記ガイド板45には、ICタグを装着すべき位置にガイド孔48が設けてあり、ガイド孔48に近接して当該ガイド孔に装着すべきICタグの番号などを記載してある。そして、組立時にはガイド板に表示された番号などに対応するICタグをガイド孔48を介してICタグ装着板44の孔43に装着する。
【0031】
前記孔43には底が設けてなく、ICタグはスポンジ板42によって支持される。前記立体地図47の裏面は表面側の凹凸にしたがって凹凸が形成されており、前記スポンジ板42は、立体地図47の裏面の最も深く凹入した部分でICタグ2の上端が立体地図の裏面に当接する厚さとしてある。したがって、孔43に装着された全てのICタグはスポンジ板42に押し上げられてその上端が立体地図47の裏面に当接する。
このように、ICタグの上端が立体地図の裏面に当接するので、立体地図の表面にあるリーダライターとICタグの上端との距離はほぼ一定となり、リーダライターによりICタグの情報を正確に読み取ることができる。
【実施例3】
【0032】
図8は三次元造形物を都市模型11としたものである。具体的には新宿西口を表したものであるが、基盤上に三次元積層造形で形成されたビル模型が配置してあり、大規模なビル12は基盤から取り外せるようにしてある。
主要なビルの表面にはICタグ2を装着するための深孔3が設けてあり、各深孔にICタグ2が装着してある。深孔3は、ビルの屋上部分には縦孔として構成し、各階に対応ずる部分には横孔として構成する。そして、屋上部分に形成した縦孔に装着するICタグはビル全体の情報とリンクさせ、各階に対応する横孔に装着したICタグは各階の情報とリンクさせる。
【0033】
情報記録装置には、各ICタグのアドレスに対応させて、ビル名の情報、ビル内の施設名・入居企業名などのビル内情報が画像・文字データとして記録してあり、各ICタグをリーダライターで印加することにより対応するデータがモニターに表示されると共にスピーカから出力されるようにしてある。
この例においても、検索情報選択機能を備えることにより、ビル名情報の表示とビル内情報の表示を切り替えるようにすることができる。
【実施例4】
【0034】
図9は三次元造形物を人体模型21としたものである。
合成樹脂製とした人体模型21の表面に深孔3が多数形成してあり、ツボの情報、筋肉の情報、臓器・血管の情報にリンクさせたピン型ICタグ2がそれぞれ所定の位置の深孔3に装着してあり、人体模型21の表面はゴム、ウレタンなどの弾力性のある樹脂で被覆してある。
【0035】
情報記録装置には、各ICタグのアドレスに対応させて、ツボの名称やそのツボを刺激することによる効果などツボの情報、筋肉の名称や筋肉の働きなどの筋肉の情報、臓器・血管の名称やその機能などの臓器・筋肉の情報が画像・文字データとして記録してあり、各ICタグをリーダライターで印加することにより対応するデータがモニターに表示されると共にスピーカから出力されるようにしてある。
この例においても、検索情報選択機能を備えることにより、ツボの情報、筋肉の情報、臓器・血管の情報の表示を切り替えるようにすることができる。
この実施例によれば、人体模型に指で触れながら、各部位の名称や機能に関する情報を音声で知ることができる。したがって、特に盲人への鍼灸施術の指導などに効果を発揮することができる。
【0036】
図10は人体模型21を解剖タイプとしたものであり、脳22や臓器が個別部品として組み込まれており、脳22や各臓器にICタグ2が装着してある。したがって、脳22などを取りだして指で触れることによて、対応する情報を取得することができる、
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明によれば、有意の三次元造形物にICタグを装着したので、指で三次元造形物の形状を認識しつつ、現に指で触れている部分の情報を取得することができるものであって、立体形状の認識と情報とを結びつけた新たな情報取得手段として有意義なものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明実施例1の概略図
【図2】同じく一部拡大背面図
【図3】同じくシステムの概要を示す説明図
【図4】同じく使用例を示す説明図
【図5】この発明実施例2の斜視図
【図6】ICタグをスポンジ板で支持した例の分解斜視図
【図7】同じく断面図
【図8】この発明実施例2の都市模型の概略図
【図9】この発明実施例3の人体模型の概略図
【図10】同じく解剖模型の概略図
【符号の説明】
【0039】
1 立体地図
2 ICタグ
3 孔
4 パソコン
5 リーダ・ライター
5a アンテナ部
5b ドライバ部
6 ICタグボード
11 都市模型
12 ビル
21 人体模型
31 基盤
32 区画
33 立体地図
34 ICタグ装着部
41 枠体
42 スポンジ板
43 孔
44 ICタグ装着板
45 ガイド板
46 装着枠
47 立体地図
48 ガイド孔
7 脳
【技術分野】
【0001】
この発明は、立体地図や人体模型などの三次元造形物に手で触れながら、三次元造形物の個々の位置に関する情報をディスプレー、スピーカーなどのインターフェイス手段から取得できるようにした、三次元造形物の情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICチップやタッチセンサを紙などの情報が表示された媒体に装着し、媒体に表示された情報以外の情報をモニタなどに表示できるようにした装置は種々提案されている。
【特許文献1】特開2000−285203号公報
【0003】
上記特許文献に開示された発明は、ICチップ入りペーパを用いた情報伝達方法に関するものであって、情報を紙に表示すると共に、別の情報を紙に埋め込んだICチップに記録し、ICチップに記録された情報をリーダライタによって読み出し、これを出力装置に出力するようにしたものである。
この発明においては、出力装置から出力される情報はICチップに記録された情報である。すなわち、出力装置から出力される情報は、全て予めICチップに記録しておかなければならない。ICチップの記憶容量は自ずから限界があるために、情報量が制約される他、情報を変更するためにはICチップ毎にリーダライタによって記録を更新しなければならない。
【特許文献2】特開2002−182555号公報
【0004】
上記特許文献に開示された発明は、情報出力装置を有する地球儀に関するものであって、地球儀本体に多数のタッチセンサを配設し、タッチセンサに触れることによりタッチセンサの地図上の位置が指定位置情報として情報出力装置に送られ、情報出力装置に記録された前記指定位置情報に対応する情報がディスプレイに表示されるようにしたものである。
この発明においては、情報は情報出力装置に記録しておくので、情報量の制約はなく、また情報の更新も容易である。しかしながら、タッチセンサを用いるものであるから、地球儀本体と情報出力装置とは信号線によって接続しなければならない。
【0005】
上記以外にも種々の提案がなされているが、いずれも平面的な媒体(上記地球儀も世界地図が表されている部分に凹凸がないという意味で平面的ということができる。)にICチップなどを埋め込んだものであって、三次元造形物を手で触れその形状を理解しつつ、手で触れている位置など所望の位置の情報を音声、文字又は画像として取得できるようにしたものは存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、三次元造形物を手で触れつつ手で触れている位置など所望の位置の情報を表示できるようにし、特に視覚障害者に豊富な情報を提供できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の三次元造形物の情報表示装置は、有意の三次元造形物にICタグを装着した基礎媒体と、情報選択手段と、情報記録手段と、インターフェース手段とで構成する。前記ICタグの装着は、三次元造形物に埋め込む構造、三次元造形物の表面又は裏面にICタグを装着するための孔を多数形成し、前記孔の全て又は一部にICタグを着脱自在に装着する構造などが考えられる。
前記ICタグには前記三次元造形物の当該ICタグが装着された位置を特定するデータを記録し、前記情報記録手段には各ICタグに記録された位置を特定するデータに関連づけて、前記三次元造形物のICタグが装着された位置に関連する表示情報を記録する。そして、前記情報選択手段で前記ICタグに記録された情報を読み取りICタグに記録された位置を特定する情報を前記情報記録手段に送信し、情報記録手段において受信したデータに対応する表示情報を検索し、検索された表示情報を前記インターフェース手段から出力するようにする。
【0008】
前記「有意の三次元造形物」とは、立体地図、都市模型におけるビル、人体模型など「情報との関係で意味を持つ三次元造形物」をいう。そして、「三次元」とは触覚によって形状を認識できるものであることを意味するものであって、地図上で道路や鉄道を示すための僅かに隆起又は窪んだ線や点字も、ここでいう「三次元」に含まれる。
前記「情報選択手段」の代表例はリーダ・ライターである。リーダ・ライタ−はペン型でもよいが、指に取り付けられる構造とすることにより、三次元造形物に触れながら情報を取得するというこの発明の目的に一層叶うものとなる。
前記「情報記録手段」の代表例はCD−ROMなどの記録媒体、コンピュータ、ネットワークサーバであり、ICタグの位置情報に基づき対応する情報を検索する機能を備えたものであれば限定はない。
前記情報選択手段と情報記録手段との接続は、有線でも無線でもよい。
前記「インターフェース手段」の代表例はモニターとスピーカーであるが、視覚障害者の利用においてはスピーカまたはイヤホン、ヘッドホンがより重要である。
【0009】
請求項2の発明は、三次元造形物を複数に分割して基盤上に装着し、分割された個々の部位は基盤から分離可能としたものである。このような構成とすることにより、三次元造形物を手にとって、手でくまなく触れることが容易であり、造形を深く理解することができる。
前記基盤は、平板なものでもよいが、上方が開口した枠状体として、開口部に三次元造形物を装着するようにすることもできる。
【0010】
請求項4の発明は、基盤を上方が開口した枠状体とし、この枠状体にICタグを取り付ける孔を設けたものである。ICタグのアンテナは三次元造形物の裏面に近接させることが好ましい。そのための構造として、枠状の基盤にスポンジ板等の弾性板を装着し、この弾性板の上にICタグを装着するための孔を設けたICタグ装着板を重ねて配設し、前記孔にICタグを装着し、ICタグを前記スポンジ板によって三次元造形物側に押し上げるようにする構造(請求項5)、ICタグの下端にコイルバネなどの弾性部材と取り付けてICタグを上方へ押し上げる構造などが考えられる。
この発明においては、ICタグには三次元造形物上の位置を特定する情報を記録させてもよいが、基盤における位置を特定する情報を記録させてもよい。
前記ICタグの孔は、多数蜂の巣状に形成しても、必要な位置にのみスポット的に設けてもよい。
【0011】
上記各発明には、情報内容選択手段を付加し、この情報内容選択手段の選択情報に基づき情報記録手段における検索情報の範囲が変更されるようにすることもできる(請求項6)。
この情報内容選択手段は、キーボード、マウスなどの入力装置と検索プログラムで構成される。
例えば、立体地図によって「山」の情報を得ようとするときには、情報内容選択手段の入力装置によって「山」を選択する。この操作により「山」に対応するICタグに近接して「川」に対応するICタグが配置されている場合、「川」に対応するICタグの情報を読み取っても検索プログラムにおいて「川」に対応するICタグからの位置情報ははじかれ、情報は表示されない。
また、一つのICタグに関連づけて山の情報と川の情報とを記録しておき、情報内容選択手段によって「山」を選択して「山」の情報のみを表示するようにすることもできる。
なお、この情報内容選択手段については実施例において詳説する。
【0012】
上記三次元造形物としては立体地図又は人体模型が代表的である。そして、情報選択手段は、指先に装着可能なリーダライターとすることが好ましい
【発明の効果】
【0013】
この発明において、有意の三次元造形物の表面又は裏面にICタグを装着するための深孔を多数形成し、前記深孔の全て又は一部にICタグを装着して基礎媒体を構成し、又は三次元造形物の基盤にICタグを装着し、前記ICタグには前記三次元造形物の当該ICタグが装着された位置を特定する情報を記録し、表示情報は情報記録手段に記録するものとしたので、リーダライターなどの情報選択手段で三次元造形物の表面に触れることにより、該当する位置に関する情報をインターフェースに表示することができる。
【0014】
上記において、ICタグには位置を特定する情報を記録し、その位置情報に基づき情報記録手段に記録された情報を検索することとしてあるので、情報量に制約がない。また情報の更新の際にもICタグの情報を変更する必要はないので、情報更新が極めて容易である。尤も、必要によりリーダライターによってICタグに記録する情報を更新することも可能である。
【0015】
また、三次元造形物又は基盤に多数のICタグ装着用の孔を設けた場合は、必要とする位置に適宜ICタグを装着することができるので、用途に応じてICタグを差し替えることにより同一の三次元造形物を種々の用途に使用することができる。そして、ICタグは孔に装着するので、差し替えが容易であり、かつ高密度にICタグを配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下実施例を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は三次元造形物を日本の立体地図1としたものである。この立体地図1は、北海道、東北地方、関東地方、中部地方、近畿地方、中国地方、四国、九州に分割して形成してあり、それぞれ三次元CADデータに基づく合成樹脂の積層造形により細密に形成され、ボード10に配置してある。
立体地図1の裏面側にはピン型ICタグ2を装着するための深孔3が多数等間隔で形成してある。前記深孔3は立体地図の表面に接触させたリーダ・ライターによりICタグが印加されるように構成する。このように、孔3を多数等間隔で設けることにより、いずれの地方の立体地図も同じ設定で孔開け作業を行うことができ効率的である。なお、立体地図1の表面に地名などを表示することが通常であるが、視覚障害者の利用のためには必須ではない。
【0018】
ピン型ICタグ2はアンテナ付であって、そのICチップにはICタグ毎に固有のアドレス情報が記録されており、このアドレスが後に述べる情報記録装置に記録された表示情報とリンクするようにする。
前記ICタグ2をそのアドレスがリンクする表示情報に対応する位置に形成された前記立体地図1上の深孔3に装着する。例えば、ICタグ2のアドレスがリンクする表示情報が札幌市に関するものであれば立体地図上の札幌市の位置に設けられた深孔に装着し、リンクする表示情報が天塩川に関するものであれば立体地図上の天塩川の位置に設けられた深孔に装着する。
【0019】
図3中符号4はパソコンであり、情報記録手段とインターフェース手段とを備えたものである。
パソコン4の情報記録装置には、前記ICタグ2のアドレスに対応させて、地理情報が画像データ及び音声データとして記録されており、ICタグのアドレスがパソコンに入力されると検索プログラムが起動してアドレスに対応する地理情報が画像としてモニタに表示されると共に、音声としてスピーカから出力されるようにしてある。この場合、MPGの音ファイルにリンクさせるなど、プログラム上で画像データと音声データとをリンクさせることが好ましい。
【0020】
前記パソコン4への情報の記録や情報の更新は、キーボードやスキャナーを使用して直接入力する方法、予め作成したデータをCD-ROM等に記録し、そのデータをコピーする方法等がある。
CD−ROMなどの運搬可能な媒体にデータを記録することにより、多数の情報記録装置におけるデータを容易に更新することができる。したがって、この発明の装置の使用者が全国に分布している場合であっても、CD-ROM等を使用者に頒布することによりデータを更新することができ、使用者は常に最新の情報を利用することができる。
データの更新に伴い新たな位置を特定する必要が生じた場合(例えば火山活動で新しい山ができた場合、従来注目されていなかった地域が注目されるようになり地図上に表示する必要が生じた場合など)には、ICタグを追加する必要が生ずる。その場合は、追加するICタグを前記CD−ROMと共に頒布し、使用者が所定の位置の孔にICタグを装着することができる。使用者によりICタグを正確な位置に装着させるために、立体地図の裏面には各深孔に近接して番号又は記号を表示しておくことが好ましい。
【0021】
図中符号5はリーダ・ライターである。このリーダ・ライターは通常のペン型でもよいが、図3に示すように指に装着できる態様のものが好まし。図3において、リーダ・ライター5の本体に指に装着するためのリング6が取り付けてあり、リーダ・ライター5は付け爪様のアンテナ部5aと腕時計様のドライバ部5bとで構成してある。
前記アンテナ部5aは指に装着できるようにしてある。このときアンテナ部5aは使用者の爪の上に位置し、その先端部は指先から僅かに突出する程度とし、指の立体地図への触感がそのままICタグの選択につながるようにしてある。また、前記ドライバ部5bはバンドによって腕に固定できるようにしてある。
【0022】
前記検索プログラムには検索情報選択機能が付加されており、キーボード、マウス、タッチパネルなどからの入力によって検索される情報を絞り込むことができるようにしてある。
例えば、数字キー1に対して「山」、2に対して「川」、3に対して「半島・岬」、4に対して「平野」、5に対して「都市」を割り当て、例えばキー1(山)を選択した場合は、山に関する情報にリンクされるICチップのアドレスのみが検索対象として絞り込まれ、山以外の情報にリンクされるアドレスは検索対象からはじかれるようにしてある。
【0023】
以下上記実施例の装置の使用方法及び作動を、視覚障害者の教育に使用する場合を例として説明する。
指導者が複数のブロックに別れた立体地図1を、日本列島を構成するように並べる。この状態で学習者は立体地図1に手で触れて日本列島の全体形状を把握すると共に、その授業時間における学習テーマの地域(例えば北海道)が日本列島のどの位置にあるのかを理解する。
次いで、学習者は学習テーマの地域のブロックを手に取り、指で触れることにより一層具体的にその地域の地形を理解する。
【0024】
地形を把握した後、学習者はリーダ・ライター5を指及び腕に装着してICタグ2にアンテナ部5aを近接させて情報を取得する。情報はモニタに画像・文字が表示され、スピーカーから音が出力される。
このとき、検索情報選択手段を用い、「都市」を選択しておくと、札幌市の情報を得ようとして間違えて石狩川の情報に対応するICタグにリーダ・ライターを接触させたときには情報は表示されない。すなわち、雑音に触れることなく効率的に学習を進めることができる。
【0025】
図4は応用的な使用例を示すものである。
情報記録手段に問題を記録しておき、キーボード又はICタグボード6からの入力により問題の分野を選択できるようにしてある。例えば「山」を選択すると山に関する問題が順次表示される。
問題7はモニタとスピーカーから出力される。
学習者はスピーカーから出力される音声で問題を聞き、解答となる位置のICタグにリーダ・ライター5を近接させる。いずれのICタグが選択されたかはそのアドレスによってコンピュータに入力され、プログラムにより正誤判定がなされ、正解または誤りの表示8がモニター及びスピーカーから出力される。
【0026】
この実施例によれば、従来極めて困難であった視覚障害者への地理教育を、効率よく行うことができる。
【実施例2】
【0027】
図5に示す実施例2は請求項4の発明に係るものである。
上方が開口した枠体状の基盤31は複数に区画されている。北海道の地図を表す図面においては、中央に北海道をかたどった区画32が形成してあり、その周囲に島嶼部に対応する複数の区画32aが形成してある。そして、各区画の開口部に対応する地図を表した立体地図33、33aが装着してある。
【0028】
前記基盤31の底板には筒状のICタグ装着部34が多数設けてあり、このICタグ装着部の孔にICタグ2が装着してある。このICタグ2の上端のアンテナから立体地図の表面までの距離は、リーダライタによる読み取りが可能な距離とする。
前記ICタグ装着部34は、立体地図における都市、山、川、など情報を表示する必要のある部位に対応した位置に設けるが、情報内容選択手段を併用する場合は、一つのICタグに複数の情報を担当させることが可能であるので、ICタグのアンテナの能力を勘案して最小限度の数のICタグを装着し得るようにすることができる。
例えば、一つのICタグの位置情報に関連づけて、パソコン(情報記録手段)に都市「旭川」と山「大雪山」との情報を記録する。このとき、情報内容選択手段によって「山」情報のみが検索されるようにセットすれば、地図の該当部にリーダライターが触れたとき、「山」情報、すなわち大雪山の情報のみが出力され、「都市」情報のみが検索されるようにセットすれば、「都市」情報、すなわち「旭川」の情報のみが出力される。
【0029】
このように、枠状の基盤と立体地図とを組み合わせる構成とすると、ICタグをきれいに格納することができると共に、ICタグの装着作業において立体地図を分離することができるので作業が容易であり、かつ立体地図を破損するおそれがない。また、海や島嶼部分を立体地図として表しやすい。
【0030】
図6,図7は、スポンジ板を用いたICタグの取付け構造の例を示すものである。
平面視方形の枠体41にスポンジ板42を装着し、このスポンジ板42の上面にICタグ装着用の孔43を縦横に整列させて多数形成したICタグ装着板44を載置し、その上にガイド板45を載置し、前記枠体41の開口部に立体地図の装着枠46を載置して基盤を構成し、前記装着枠46に立体地図47を嵌め込む。
前記ガイド板45には、ICタグを装着すべき位置にガイド孔48が設けてあり、ガイド孔48に近接して当該ガイド孔に装着すべきICタグの番号などを記載してある。そして、組立時にはガイド板に表示された番号などに対応するICタグをガイド孔48を介してICタグ装着板44の孔43に装着する。
【0031】
前記孔43には底が設けてなく、ICタグはスポンジ板42によって支持される。前記立体地図47の裏面は表面側の凹凸にしたがって凹凸が形成されており、前記スポンジ板42は、立体地図47の裏面の最も深く凹入した部分でICタグ2の上端が立体地図の裏面に当接する厚さとしてある。したがって、孔43に装着された全てのICタグはスポンジ板42に押し上げられてその上端が立体地図47の裏面に当接する。
このように、ICタグの上端が立体地図の裏面に当接するので、立体地図の表面にあるリーダライターとICタグの上端との距離はほぼ一定となり、リーダライターによりICタグの情報を正確に読み取ることができる。
【実施例3】
【0032】
図8は三次元造形物を都市模型11としたものである。具体的には新宿西口を表したものであるが、基盤上に三次元積層造形で形成されたビル模型が配置してあり、大規模なビル12は基盤から取り外せるようにしてある。
主要なビルの表面にはICタグ2を装着するための深孔3が設けてあり、各深孔にICタグ2が装着してある。深孔3は、ビルの屋上部分には縦孔として構成し、各階に対応ずる部分には横孔として構成する。そして、屋上部分に形成した縦孔に装着するICタグはビル全体の情報とリンクさせ、各階に対応する横孔に装着したICタグは各階の情報とリンクさせる。
【0033】
情報記録装置には、各ICタグのアドレスに対応させて、ビル名の情報、ビル内の施設名・入居企業名などのビル内情報が画像・文字データとして記録してあり、各ICタグをリーダライターで印加することにより対応するデータがモニターに表示されると共にスピーカから出力されるようにしてある。
この例においても、検索情報選択機能を備えることにより、ビル名情報の表示とビル内情報の表示を切り替えるようにすることができる。
【実施例4】
【0034】
図9は三次元造形物を人体模型21としたものである。
合成樹脂製とした人体模型21の表面に深孔3が多数形成してあり、ツボの情報、筋肉の情報、臓器・血管の情報にリンクさせたピン型ICタグ2がそれぞれ所定の位置の深孔3に装着してあり、人体模型21の表面はゴム、ウレタンなどの弾力性のある樹脂で被覆してある。
【0035】
情報記録装置には、各ICタグのアドレスに対応させて、ツボの名称やそのツボを刺激することによる効果などツボの情報、筋肉の名称や筋肉の働きなどの筋肉の情報、臓器・血管の名称やその機能などの臓器・筋肉の情報が画像・文字データとして記録してあり、各ICタグをリーダライターで印加することにより対応するデータがモニターに表示されると共にスピーカから出力されるようにしてある。
この例においても、検索情報選択機能を備えることにより、ツボの情報、筋肉の情報、臓器・血管の情報の表示を切り替えるようにすることができる。
この実施例によれば、人体模型に指で触れながら、各部位の名称や機能に関する情報を音声で知ることができる。したがって、特に盲人への鍼灸施術の指導などに効果を発揮することができる。
【0036】
図10は人体模型21を解剖タイプとしたものであり、脳22や臓器が個別部品として組み込まれており、脳22や各臓器にICタグ2が装着してある。したがって、脳22などを取りだして指で触れることによて、対応する情報を取得することができる、
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明によれば、有意の三次元造形物にICタグを装着したので、指で三次元造形物の形状を認識しつつ、現に指で触れている部分の情報を取得することができるものであって、立体形状の認識と情報とを結びつけた新たな情報取得手段として有意義なものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明実施例1の概略図
【図2】同じく一部拡大背面図
【図3】同じくシステムの概要を示す説明図
【図4】同じく使用例を示す説明図
【図5】この発明実施例2の斜視図
【図6】ICタグをスポンジ板で支持した例の分解斜視図
【図7】同じく断面図
【図8】この発明実施例2の都市模型の概略図
【図9】この発明実施例3の人体模型の概略図
【図10】同じく解剖模型の概略図
【符号の説明】
【0039】
1 立体地図
2 ICタグ
3 孔
4 パソコン
5 リーダ・ライター
5a アンテナ部
5b ドライバ部
6 ICタグボード
11 都市模型
12 ビル
21 人体模型
31 基盤
32 区画
33 立体地図
34 ICタグ装着部
41 枠体
42 スポンジ板
43 孔
44 ICタグ装着板
45 ガイド板
46 装着枠
47 立体地図
48 ガイド孔
7 脳
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有意の三次元造形物にICタグを装着した基礎媒体と、情報選択手段と、情報記録手段と、インターフェース手段とを備え、
前記ICタグには前記三次元造形物の当該ICタグが装着された部位を特定するデータが記録され、
前記情報記録手段には各ICタグに記録されたデータに関連づけて、前記三次元造形物のICタグが装着された部位に関連する情報が記録され、
前記情報選択手段によって前記ICタグを印加することによりICタグに記録されたデータを前記情報記録手段に送信し、情報記録手段において受信したデータに対応する情報を検索し、検索された情報を前記インターフェース手段から出力するようにした、
三次元造形物の情報表示装置
【請求項2】
三次元造形物は複数に分割されて基盤上に装着され、分割された個々の部位は基盤から分離可能とした、請求項1に記載に三次元造形物の情報表示装置
【請求項3】
基盤は上方が開口した枠状体とした、請求項2記載の三次元造形物の情報表示装置
【請求項4】
上方が開口した枠状の基盤の開口部に有意の三次元造形物が装着され、前記基盤にICタグを装着するための孔を多数形成し、前記孔の全て又は一部にICタグを装着した基礎媒体と、情報選択手段と、情報記録手段と、インターフェース手段とを備え、
前記ICタグには当該ICタグに対応する部位を特定するデータが記録され、
前記情報記録手段には各ICタグに記録されたデータに関連づけて、前記三次元造形物のICタグに対応する部位に関連する情報が記録され、
前記情報選択手段によって前記ICタグを印加することによりICタグに記録されたデータを前記情報記録手段に送信し、情報記録手段において受信したデータに対応する情報を検索し、検索された情報を前記インターフェース手段から出力するようにした、
三次元造形物の情報表示装置
【請求項5】
基盤に弾性板を装着し、このスポンジ板の上にICタグを装着するための孔を設けたICタグ装着板を重ねて配設し、前記孔にICタグを装着し、ICタグを前記スポンジ板によって三次元造形物側に押し上げるようにした、請求項4に記載の三次元造形物の情報表示装置
【請求項6】
情報内容選択手段が付加され、この情報内容選択手段の選択情報に基づき情報記録手段における検索情報の範囲が変更されるようにした、
請求項1ないし5の何れかに記載の三次元造形物の情報表示装置
【請求項7】
三次元造形物は立体地図又は人体模型とした、請求項1ないし6の何れかに記載の三次元造形物の情報表示装置
【請求項8】
情報選択手段は、指先に装着可能なリーダライターとした、請求項1又は4に記載の三次元造形物の情報表示装置
【請求項1】
有意の三次元造形物にICタグを装着した基礎媒体と、情報選択手段と、情報記録手段と、インターフェース手段とを備え、
前記ICタグには前記三次元造形物の当該ICタグが装着された部位を特定するデータが記録され、
前記情報記録手段には各ICタグに記録されたデータに関連づけて、前記三次元造形物のICタグが装着された部位に関連する情報が記録され、
前記情報選択手段によって前記ICタグを印加することによりICタグに記録されたデータを前記情報記録手段に送信し、情報記録手段において受信したデータに対応する情報を検索し、検索された情報を前記インターフェース手段から出力するようにした、
三次元造形物の情報表示装置
【請求項2】
三次元造形物は複数に分割されて基盤上に装着され、分割された個々の部位は基盤から分離可能とした、請求項1に記載に三次元造形物の情報表示装置
【請求項3】
基盤は上方が開口した枠状体とした、請求項2記載の三次元造形物の情報表示装置
【請求項4】
上方が開口した枠状の基盤の開口部に有意の三次元造形物が装着され、前記基盤にICタグを装着するための孔を多数形成し、前記孔の全て又は一部にICタグを装着した基礎媒体と、情報選択手段と、情報記録手段と、インターフェース手段とを備え、
前記ICタグには当該ICタグに対応する部位を特定するデータが記録され、
前記情報記録手段には各ICタグに記録されたデータに関連づけて、前記三次元造形物のICタグに対応する部位に関連する情報が記録され、
前記情報選択手段によって前記ICタグを印加することによりICタグに記録されたデータを前記情報記録手段に送信し、情報記録手段において受信したデータに対応する情報を検索し、検索された情報を前記インターフェース手段から出力するようにした、
三次元造形物の情報表示装置
【請求項5】
基盤に弾性板を装着し、このスポンジ板の上にICタグを装着するための孔を設けたICタグ装着板を重ねて配設し、前記孔にICタグを装着し、ICタグを前記スポンジ板によって三次元造形物側に押し上げるようにした、請求項4に記載の三次元造形物の情報表示装置
【請求項6】
情報内容選択手段が付加され、この情報内容選択手段の選択情報に基づき情報記録手段における検索情報の範囲が変更されるようにした、
請求項1ないし5の何れかに記載の三次元造形物の情報表示装置
【請求項7】
三次元造形物は立体地図又は人体模型とした、請求項1ないし6の何れかに記載の三次元造形物の情報表示装置
【請求項8】
情報選択手段は、指先に装着可能なリーダライターとした、請求項1又は4に記載の三次元造形物の情報表示装置
【図6】
【図9】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図10】
【図9】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図10】
【公開番号】特開2007−115227(P2007−115227A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156861(P2006−156861)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(505050382)東京カートグラフィック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(505050382)東京カートグラフィック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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