説明

不溶物が混在する車用バンパーの粉砕物を原料とする車内装用樹脂組成物及びその成形物

【課題】 本発明は、被膜などの樹脂硬化物、砂状の無機物、植物片、金属片などの不溶性の不純物が混在する自動車用バンパーの粉砕物を用いて、バンパーに混在する塗膜などの不溶性の不純物を除去することなく、外観の優れる、再調色された車用の内装用に利用可能な樹脂組成物の提供することを目的とする。
【解決手段】 不溶物を0.1〜10重量%混在している車用バンパーの粉砕物(A)、結晶性ポリプロピレン(B)、エラストマー(C)、無機フィラー(D)及び光遮蔽性顔料(E)とを、特定の割合で混合し加熱溶融して得られる樹脂組成物であり、該樹脂組成物に混在する不溶物の大きさが20メッシュスクリーンを通過するものであることを特徴とする自動車内装用樹脂組成物を提供すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂硬化物や金属などの不溶物を有する車用バンパーの粉砕物から得られる剛性に優れ、衝撃性に優れ、流動性に優れる車内装用樹脂組成物と、この組成物から得られる成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への負担を減らすために、自動車部品や家電部品などによって代表される合成樹脂製品の合成樹脂材料への再利用が求められており、多くの企業が、そのような合成樹脂材料の有効な再利用を検討している。合成樹脂製品の合成樹脂材料への再利用は一般に、その合成樹脂製品の多くが熱可塑性樹脂から形成されていることから、合成樹脂製品を粉砕して粉砕物とし、この粉砕物を加熱溶融した後、粒状物として利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、エチレン−プロピレン共重合ゴムの割合が10乃至40重量%で変性されたポリプロピレン樹脂からなる塗装廃プラスチック部品に、高密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂及び低密度ポリエチレン樹脂を配合して行うことを特徴とする塗装済樹脂の再利用方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、(A)基板が芳香族ポリカーボネート樹脂である不用の光学式情報記録媒体から回収された芳香族ポリカーボネート樹脂であり、且つ本文中に規定する方法で測定された該回収芳香族ポリカーボネート樹脂中の異物が0.01〜0.1重量%である回収芳香族ポリカーボネート樹脂90〜30重量%(a成分)及び(B)無機顔料10〜70重量%(b成分)の合計100重量%よりなる着色マスター用樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−281846号公報
【特許文献2】特開2000−281846号公報
【特許文献3】特開2000−327896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、環境への負担を減らすために、自動車用バンパーの再利用が求められており、多くの企業が有効な再利用を検討している。
自動車用バンパーは、樹脂表面に樹脂硬化物の塗膜を有しているため、再利用にあたり、塗膜の除去を行う必要があった。
また、自動車用バンパーは、黒色に着色されているため、再利用における用途が黒色樹脂成形物あるいは灰色樹脂成形物に限られていた。
さらに自動車用バンパーの回収時に、樹脂表面に植物片や金属片などの不溶性の不純物が付着又は混在が考えられ、再利用には、これら不純物を除去する必要があった。
【0007】
本発明は、被膜などの樹脂硬化物、砂状の無機物、植物片、金属片などの不溶性の不純物が混在する自動車用バンパーの粉砕物を用いて、バンパーに混在する塗膜などの不溶性の不純物を除去することなく、外観の優れる、再調色された車用の内装用に利用可能な樹脂組成物の提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、少量の樹脂硬化物などの不溶性の不純物が混在している再生対象の自動車用バンパーの粉砕物に、結晶性ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー、無機フィラー及び光遮蔽性顔料を混合して加熱溶融して得られる樹脂組成物が、優れた剛性と、優れた衝撃強度と、優れた流動性を有し、優れた外観を示す樹脂成形物であることを見いだした。
さらに、自動車用バンパーの色調を変えた有彩色の再生樹脂が得られることを見いだした。
【0009】
本発明は、不溶物を0.1〜10重量%混在している車用バンパーの粉砕物(A)、結晶性ポリプロピレン(B)、エラストマー(C)、無機フィラー(D)及び光遮蔽性顔料(E)とを、下記の割合で混合し加熱溶融して得られる樹脂組成物であり、該樹脂組成物に混在する不溶物の大きさが20メッシュスクリーンを通過するものであることを特徴とする自動車内装用樹脂組成物を提供すること。
(A)車用バンパーの粉砕物:10〜75重量%、
(B)結晶性ポリプロピレン:10〜75重量%、
(C)エラストマー:0〜10重量%、
(D)無機フィラー:0〜20重量%、
(E)光遮蔽性顔料:0.1〜10重量%。
但し、[A+B+C+D+E]の合計は、100重量%である。
【0010】
本発明の好ましい実施の態様を次に記載する。以下の本発明の好ましい実施の態様は複数組み合わせることが出来る。
1:光遮蔽性成分が、有彩色顔料単独、有彩色顔料と黒色顔料との組み合わせ、有彩色顔料と白色顔料との組み合わせ、もしくは有彩色顔料、黒色顔料そして白色顔料の組み合わせであって、得られる再生樹脂が有彩色である。
2:車内装用樹成形物は、曲げ弾性率が1700MPa以上、アイゾットが40J/m以上、MFRが15g/10分以上であることを特徴とする請求項1に記載の車内装用樹脂組成物。
3:樹脂組成物に混合する(C)エラストマーは、0〜10重量%(但し、0重量%を除く)であることがこのましい。
4:樹脂組成物に混合する(D)無機フィラーは、0〜20重量%(但し、0重量%を除く)であることがこのましい。
5:樹脂組成物に混合する(C)エラストマーは、0〜10重量%(但し、0重量%を除く)であり、(D)無機フィラーが、0〜20重量%(但し、0重量%を除く)であることがこのましい。
【0011】
本発明の樹脂組成物より、射出成形などの成形物を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車内装用樹脂組成物は、被膜などの樹脂硬化物、砂状の無機物、植物片、金属片などの不溶性の不純物が混在する自動車用バンパーの粉砕物を用いて、バンパーに混在する塗膜などの不溶性の不純物を除去することなく、外観の優れる樹脂を得ることができる。
本発明の車内装用樹脂組成物は、優れた剛性と、優れた衝撃強度と、優れた流動性を有した樹脂成形物を製造できる。
本発明の車内装用樹脂組成物は、バンパーの色相と異なるグレイ、ブルー、グリーン、パープル、レッド、ブラウン、アイボリーなどに再着色した樹脂を得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の車内装用樹脂組成物は、不溶物を0.1〜10重量%混在している車用バンパーの粉砕物(A)、結晶性ポリプロピレン(B)、エラストマー(C)、無機フィラー(D)、及び光遮蔽性顔料(E)とを、特定の割合で混合し加熱溶融して得られる。
【0014】
本発明において、
不溶物を0.1〜10重量%混在している車用バンパーの粉砕物(A)、結晶性ポリプロピレン(B)、エラストマー(C)、無機フィラー(D)及び光遮蔽性顔料(E)とを、下記の割合で混合し加熱溶融して得られる樹脂組成物であり、該樹脂組成物に混在する不溶物の大きさが20メッシュスクリーンを通過するものであることを特徴とする自動車内装用樹脂組成物を提供すること。
(A)車用バンパーの粉砕物:10〜75重量%、好ましくは20〜70重量%、さらに好ましくは25〜65重量%、特に好ましくは30〜60重量%であり、下限値未満の場合には衝撃強度が悪化し、上限値を超える場合には剛性が低く、車用内装材として機械的特性が不足するため好ましくない。
(B)結晶性ポリプロピレン:10〜75重量%、好ましくは20〜70重量%、さらに好ましくは25〜65重量%、特に好ましくは30〜60重量%、であり、下限値未満の場合には剛性が低下し、上限値を超える場合には衝撃強度が悪化し、車用内装材として機械的特性が不足するため好ましくない。
(C)エラストマー:0〜10重量%、好ましくは0〜10重量%(0重量%を除く)、さらに好ましくは1〜10重量%であり、上限値を超える場合には剛性が低下し、車用内装材として機械的特性が不足するため好ましくない。
(D)無機フィラー:0〜20重量%、好ましくは0〜20重量%(0重量%を除く)、さらに好ましくは1〜18重量%、特に好ましくは1〜14重量%であり、上限値を超える場合には衝撃強度が悪化し、車用内装材として機械的特性が不足すると推定されるため好ましくない。
(E)光遮蔽性顔料:0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%、さらに好ましくは1〜6重量%、特に好ましくは1.2〜5重量%であり、下限値未満の場合には所望する色調品を得ることが難しく、塗膜など不溶物が成形品の表面に現れ、外観に優れた成形品を得ることが難しく、上限値を超える場合には衝撃強度が悪化し、車用内装材として機械的特性が不足すると推定されるため好ましくない。
但し、[A+B+C+D+E]の合計は、100重量%である。
【0015】
不溶物の混在している車用バンパーの粉砕物(A)において、混在する不溶物量は、車用バンパーの粉砕物100重量%に対し、0.1〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%であり、さらに好ましくは0.1〜3重量%であり、特に好ましくは0.1〜2重量%である。
【0016】
不溶物を0.1〜10重量%混在している車用バンパーとしては、自動車から回収された使用済みのバンパー、バンパー生産工程での不具合により使用できなくなった工程ロスによる回収バンパーなどを挙げることができる。使用済みのバンパー及び回収バンパーであれば特に制限されることはないが、好ましくは、結晶性プロピレン系樹脂、エラストマー、無機フィラー及び顔料を含むものである。例えば、結晶性プロピレン系樹脂40〜90重量%及びエラストマー10〜60重量%と無機フィラー0〜30重量%、結晶性プロピレン系樹脂及びエラストマーを除く他の樹脂成分0〜20重量%の樹脂成分を含む回収バンバーを用いることが出来る。回収バンパーは、カーボンブラック、二酸化チタンなどの顔料を含むものを再生処理対象とすることができ、特にカーボンブラックと二酸化チタンとを含むものを再生処理対象とすることができる。回収バンパーは、プラスチック成分(樹脂成分+エラストマー成分)100重量部に対し、カーボンブラックを2重量部以下、さらに好ましくは1.5重量部以下、より好ましくは1重量部以下、特に好ましくは0.6重量部以下の量で含有する物を用いることが出来る。また、回収バンパーは、プラスチック成分(樹脂成分+エラストマー成分)100重量部に対し、カーボンブラックを除く顔料を1.5重量部以下、さらに好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、特に好ましくは0.3重量部以下含む物を用いることが出来る。回収バンパーは、プラスチック成分(樹脂成分+エラストマー成分)100重量部に対し、タルクなどのフィラーを50重量部以下、さらに好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、特に好ましくは20重量部以下含む物を用いることが出来る。回収バンパーは、ASTM・D1238(温度230℃、比重2.16kg)で測定したメルトフローレート(MFR)が、好ましくは1〜100g/10分、さらに好ましくは3〜70g/10分、特に好ましくは5〜50g/10分の熱可塑性樹脂を樹脂材料とするものを用いることが出来る。
【0017】
不溶物を0.1〜10重量%混在している車用バンパーの粉砕物は、
(1)車用バンパーの表面に付設されている硬化樹脂成形物被膜(例、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッドメラミン樹脂、アクリルメラミン樹脂などの塗膜を、熱、光(紫外線を含む)、硬化触媒などを用いて硬化性樹脂を硬化させた硬化樹脂成形物)を含む車用バンパーの粉砕物、
(2)長辺の長さが1.5mm以下の砂状無機物、植物片、金属片、樹脂分解物、金属酸化物などの不溶物が混在する車用バンパーの粉砕物である。
【0018】
車用バンパーの粉砕物は、直径が通常30mm以下、好ましくは1〜30mm、さらに好ましくは1〜25mm、より好ましくは1〜20mm、特に好ましくは1〜12mmとなるように粉砕した粉砕品である。また、車用バンパーの粉砕物を加熱押出機などを用いて、溶融し、ペレット状にした物もまた、車用バンパーの粉砕物と同様に利用できる。
【0019】
車用バンパーの粉砕物は、その溶融成形物のL*が20〜37、a*が−1.00〜0.40、及びb*が−1.50〜0.50となるような黒又は灰色の粉砕物であることが好ましく、さらにその溶融成形物のL*が23〜28、a*が−0.70〜0.10、及びb*が−1.20〜0.20となる粉砕物が好ましい。
【0020】
車用バンパーの粉砕物に含まれる塗膜などの不溶物は、不溶物の70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上が、塗膜などの不溶物の長辺の大きさ7mm以下、好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、特に好ましくは1.3mm下であることが、再生樹脂組成物の生産性に優れ、外観に優れた成形物を得られるために好ましい。
【0021】
本発明により得られる樹脂組成物又は成形物に含まれる塗膜などの不溶物は、不溶物の70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上が塗膜などの不溶物であり、塗膜などの不溶物の長辺の大きさが3mm以下、さらに好ましくは2mm以下、より好ましくは1.3mm以下、特に好ましくは1.0mm以下であることが衝撃強度等機械的特性に優れ、外観に優れた成形物を得られるために好ましい。
【0022】
光遮敵性顔料としては、黒色顔料、白色顔料及び有彩色顔料を用いることができる。これらの顔料は2種以上配合することができる。光遮敵性顔料として特に、カーボンブラック及び二酸化チタンから選ばれる顔料を少なくとも1種配合することが、色調を変えた有彩色の再生樹脂を得るために好ましい。
【0023】
白色顔料としては、二酸化チタン(酸化チタン)、鉛白、酸化亜鉛をあげることができる。特に好ましいのは二酸化チタンである。
【0024】
二酸化チタンとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えば塩素法や硫酸法で製造したものを用いることが出来る。塩素法で製造した物が好ましい。粒子形状は特に制限されないが、正方晶系、ルチル型、アナターゼ型などを用いることが出来、特に正方晶系及びルチル型が好ましい。平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、特に好ましくは0.2〜0.3μmが、分散性、取扱性及び作業性に優れるため好ましい。二酸化チタンのDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは5〜40(cc/100g)、さらに好ましくは8〜30(cc/100g)、より好ましくは10〜20(cc/100g)、特に好ましくは12〜18(cc/100g)である。
【0025】
有彩色顔料は、公知のものが制限なく使用でき、例えば金属の酸化物、水酸化物、硫化物、クロム酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩などの無機顔料;アゾ系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ニトロ系、ニトロソ系、アントラキノン系、キナクリドンレッド系、ベンジジン系、縮合多環系等の有機顔料などを挙げることが出来る。また、着色繊維や光沢を有する金属粒子などであってもよい。有彩色顔料の色相については特に制限がなく、黄、青、赤、緑などのいずれのものでも使用することができる。これらの顔料は二種類以上を併用することができる。
【0026】
有彩色顔料としては、弁柄、群青、コバルトブルー、チタンイエロー、鉛丹、鉛黄、紺青、硫化亜鉛、バリウム黄、コバルト青、コバルト緑等の無機顔料;キナクリドンレッド、ポリアゾイエロー、アンスラキノンレッド、アンスラキノンイエロー、ポリアゾレッド、アゾレーキイエロー、ベリレン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、イソインドリノンイエロー、ウォッチングレッド、パーマネントレッド、パラレッド、トルイジンマルーン、ベンジジンイエロー、ファーストスカイブルー、ブリリアントカーミン6B等の有機顔料、着色繊維、光沢を有する金属粒子などが挙げられ、これらの顔料は二種類以上を併用して使用することができる。
【0027】
チタンイエローの平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.5〜1.3μm、より好ましくは0,7〜1.1μm、特に0.8〜1μmのものが、分散性、取扱性、そして作業性に優れるため好ましい。チタンイエローのDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは15〜40(cc/100g)、さらに好ましくは20〜35(cc/100g)、特に好ましいのは20〜30(cc/100g)の範囲である。チタンイエローのpHは、特に制限されないが、好ましくは6〜10、特に好ましくは7〜9の範囲である。
【0028】
群青としては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。群青の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.5〜4μm、より好ましくは0.8〜3.5μm、そして特に好ましいのは1〜3μmである。これらは、分散性、取扱性及び作業性に優れるため好ましい。群青のDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは20〜50(cc/100g)、さらに好ましくは25〜40(cc/100g)、特に30〜35(cc/100g)が好ましい。群青のPHは、特に制限されないが、好ましくは5〜11、さらに好ましくは5.5〜11、特に好ましくは7〜11の範囲である。
【0029】
フタロシアニンブルーとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えばワーラー法やフタロニトリル法で製造したものを用いることが出来る。フタロシアニンブルーの粒子形状は特に制限されないが、α型、β型などを用いることが出来る。フタロシアニンブルーの平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、特に好ましくは0.1〜1μmの範囲である。
【0030】
フタロシアニングリーンとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えばワーラー法やフタロエトリル法で製造したものを用いることが出来る。フタロシアエングリーンの粒子形状は、特に制限されないが、α型、β型などを用いることが出来る。フタロシアニングリーンの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、特に好ましくは0.1〜1μmの範囲である。フタロシアニングリーンのpHは、特に制限されないが、好ましくは4〜9、さらに好ましくは4〜8の範囲である。
【0031】
弁柄としては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。弁柄の粒子形状は、特に制限されないが、等軸晶系などを用いることが出来る。弁柄の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.08〜0.4μm、特に好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。弁柄のDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは10〜50(cc/100g)、さらに好ましくは12〜40(cc/100g)、特に好ましくは15〜30(cc/100g)の範囲である。弁柄のpHは、特に制限されないが、好ましくは4〜8、さらに好ましくは5〜7の範囲である。
【0032】
キナクリドンレッドとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。キナクリドンレッドの粒子形状は、特に制限されないが、α聖、β型、γ型などを用いることが出来る。キナクリドンレッドの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、特に好ましくは0.1〜1μmの範囲である。
アンスラキノンレッドとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。アンスラキノンレッドの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、特に好ましくは0.1〜1μmが好ましい。アンスラキノンレッドのpHに制限されないが、好ましくは4〜9の範囲である。
【0033】
黒色顔料としては、カーボンブラックあるいは鉄黒などを用いることができる。黒色顔料は二種類以上を併用して使用することができる。
【0034】
カーボンブラックとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えばファーネス法やチャンネル法で製造したカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラックなどを用いることが出来る。また、カーボンブラックは酸化処理した物を用いることが出来る。カーボンブラックとしては、特にファーネス法で製造したファーネスブラックを用いることが、外観の均一性に優れ、分散性に優れ、得られる戊形物の黒色度、光沢向上の効果も大きなものとなるので好ましい。カーボンブラックの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.001〜0.3μm、さらに好ましくは0.005〜0.2μm、より好ましくは0.01〜0.1μm、特に好ましくは0.01〜0.03μmのものが、分散性、取扱性及び作業性に優れ、黒色度、光沢の向上にも高い効果を発揮するため好ましい。
【0035】
鉄黒としては、焼成法により得られる黒色の酸化鉄を用いることが出来る。鉄黒の粒子形状は、特に制限されないが、八面体などの多面体形、球状などを用いることが出来、特に八面体が好ましい。鉄黒の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.05〜0.4μm、さらに好ましくは0.15〜0.35μm、特に好ましくは0.2〜0.35μmが好ましい。鉄黒のDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは10〜80(cc/100g)、さらに好ましくは15〜50(cc/100g)、より好ましくは20〜40(cc/100g)、特に好ましいのは25〜35(cc/100g)の範囲である。鉄黒のpHは、制限されないが、好ましくは9〜11であり、特に9〜10が好ましい。
【0036】
白色顔料、黒色顔料、及び/又は有彩色顔料は、そのまま直接添加してもよく、あるいは顔料をマスターバッチ化して添加してもよい。顔料と樹脂成分を用いるマスターバッチ化技術は既に知られている。
【0037】
無機フィラーとしては、顔料を除く、無機系フィラーを用いることができる。無機系フィラーとしては、タルク、クレー、マイカ、シリカ、ケイソウ上、モスハイジ、ティスモ、ワラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ドロマイト、ドーソナイト、ケイ酸塩類、炭素繊維、ガラス(ガラス繊維を含む)、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、蛙酸カルシウム、硫化モリブテン、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなど、あるいは亜鉛、銅、鉄、鉛、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、スズ、白金、タングステン、金、マグネシウム、コバルト、ストロンチウムなどの金属及びこれらの金属酸化物、ステンレス鋼、ハンダ、真鍮などの合金、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、窒化アルミニウム、炭化チタンなどの金属系セラミックスなどの粉末、繊維状ウィスカ及び繊維などを用いることが出来る。
フィラーは、無機フィラーが好ましく、タルクが特に好ましい。また、フィラーは二種以上を併用して使用することができる。
【0038】
結晶性ポリプロピレンとしては、ASTM・D1238(温度230℃、荷重2.16kg)で測定したメルトフローレート(MFR)が好ましくは0.1〜300(g/10分)、さらに好ましくは1〜200(g/10分)、より好ましくは3〜100(g/10分)、特に好ましくは5〜80(g/10分)のものを用いることができる。
オレフィン系樹脂のプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン単独及びプロピレン系樹脂のブロック重合体の場合、プロピレンホモ部のペンダット率が95%以上が好ましく、プロピレン系樹脂のランダム重合体の場合では融点が130℃以上が好ましい。
【0039】
エラストマーとしては、明確な降伏点を有しない熱可塑性の低結晶性エラストマー叉は明確な融点及び降伏点を有しない熱可塑性の非晶性エラストマーであり、常温でゴム弾性を有するエラストマー又はゴムを用いることが出来る。
エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを用いることが出来る。
エラストマーは1種で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いることができる。
【0040】
スチレン系エラストマーとしては、ブタジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の全てを含む)及びその水添物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBSなど)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBSなど)、水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBRなど)、イソプレン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の全てを含む)及びその水添物、水添スチレン−イソプレン共重合体(SEPSなど)、水添スチレン−ビニルイソプレン共重合体(V−SEPSなど)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SISなど)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SEPSなど)、水添スチレン−ブタジエン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBCなど)等を用いることが出来る。
【0041】
ポリオレフィン系エラストマーとしては、非晶性叉は低結晶性ポリオレフィン−α−オレフィン共重合体、ポリオレフィンとオレフィン系ゴムとの混合物等を用いることが出来、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンエラストマー、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体エラストマー、エチレン・1−ブテンエラストマー(EBM、EBSなど)、エチレン・ヘキセンエラストマー、エチレン・オクテンエラストマー、プロピレン・1−ブテンエラストマーなどのエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体エラストマーやプロピレンと炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3を除く)との共重合体エラストマーなどのポリオレフィン系エラストマーなどを挙げることが出来る。
さらにポリオレフィン系エラストマーとしては、水素添加アクリロニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムなどを挙げることが出来る。
特に、エラストマーとしては、特にエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体エラストマーやプロピレンと炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3を除く)との共重合体エラストマーなどのポリオレフィン系エラストマーを好ましく用いることができる。
【0042】
ポリエステル系エラストマーとしては、ポリエステル−ポリエーテル共重合体、ポリエステル−ポリエステル共重合体等からなるエラストマーを用いることが出来る。
ポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミド−ポリエステル共重合体、ポリアミド−ポリエーテル共重合体等からなるエラストマー等を用いることが出来る。上記のエラストマーを二種以上、混合して用いてもよい。
【0043】
本発明の廃プラスチックの紛砕物の再生に際しては、必要に応して、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、増核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤などの添加剤や分散剤などを加えることが出来る。
【0044】
分散剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、金属石鹸、グリセリンエステル、ハイドロタルサイト、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどを挙げることが出来る。
【0045】
添加剤としては、フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤、HALS等の光安定剤、リン系、ハロゲン系等の難燃剤などを挙げることが出来る。
【0046】
本発明の廃プラスチック粉砕物の再生に際しては、前述のように、必要に応じて、熱可塑性樹脂、及び/又はエラストマーを添加配合することができる。添加配合する熱可塑性樹脂やエラストマーは、合成樹脂製品の樹脂材料と同じ樹脂、もしくは均等の樹脂を用いることが望ましい。
従って、合成樹脂製品の粉砕物の再利用に利用できる熱可塑性樹脂材料の例としては、オレフィン系樹脂(例、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン)、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、変性ポリフェエレンエーテル、ポリフェエレンスルフィドなどのポリフェニルエーテル系樹脂、ポリメタクリル酸メチルのようなポリアクリル酸系樹脂、6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロン、6・12−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリスルホンなどを挙げることができる。
【0047】
本発明に従って再生樹脂粒状物を製造する場合には、まず、原料の樹脂硬化物を有する車用バンパーの粉砕物に適量と想像される遮蔽性を有する有彩色顔料、白色顔料、もしくは黒色顔料、あるいはそれらの遮蔽性顔料の任意な組み合わせ、そして必要に応して、熱可塑性樹脂やエラストマー等を添加して、溶融混練し、次いで、直接あるいは再生樹脂粒状物を介して試験片を製造し、その色調や外観(特に、樹脂硬化物破片の目立ち易さ)を、試験機による測定にかけるか、あるいは目視により判断し、また必要に応じて、各種物性を測定して、各添加成分の種類や添加量の適否を判断する。そして、その判断に基づいて、必要に応じて、改めて添加物の添加量や添加物の種類を変えて同様な操作を行なう方法を利用して、所望の色調、外観そして物性を有する再生樹脂の成形に用いることのできる再生樹脂粒状物を得ることができる。
【0048】
なお、本発明に従って有彩色再生樹脂粒状物を製造する場合には、まず、原料の着色を有する合成樹脂製品の粉砕物に適量と想像される有彩色顔料、白色顔料と有彩色顔料、黒色顔料と有彩色顔料、あるいは白色顔料、黒色顔料及び有彩色顔料、そして必要に応じて、熱可塑性樹脂やエラストマー等を添加して、溶融混練し、次いで、直接あるいは再生樹脂粒状物を介して試験片を製造し、その色調や外観(特に、樹脂硬化物破片の目立ち易さ)を、試験機による測定にかけるか、あるいは目視により判断し、また必要に応じて、各種物性を測定して、各成分の種類や添加量の適否を判断する。そして、その判断に基づいて、必要に応じて、改めて添加物の添加量や添加物の種類を変えて同様な操作を行なう方法を利用して、所望の色調や物性を有する有彩色再生樹脂の成形に用いることのできる有彩色再生樹脂粒状物を得ることができる。
【0049】
本発明では、廃プラスチックの粉砕物と、各成分との混合方法、混合装置、混合設備については特に制限はなく、混練装置としては、公知の単軸押出機(混練機)、二軸押出機(混練機)、二軸押出機と単軸押出機(混練機)を直列に接続したタンデム型混練装置、カレンダー、バンバリーミキサー、混練ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどを用いることが出来る。
【0050】
本発明で得られた有彩色再生樹脂粒状物は、押出成形、シート成形、射出成形、射出圧縮成形、ガス注入射出成形、プロー成形、真空成型など公知の成形や成型方法を用いて、ドアトリム、インストルメントパネル、ピラー類、各種トリム類、コンソールボックスなどの車用内装部品の成形物として再使用することができる。本発明の廃プラスチックの再利用方法において、得られる成形物は、光沢面を有する成形物、絞などの凹凸や模様を有する成形物や滑らかな凹凸や模様を有する成形物などを得ることが出来る。
【0051】
本発明の車内装用樹脂組成物は、用いる特性上、
曲げ弾性率が好ましくは1700MPa以上、さらに好ましくは1800MPa以上、より好ましくは1900MPa以上、特に好ましくは2000MPa以上であり、
アイゾットが40J/m以上、さらに好ましくは45J/m以上、特に好ましくは55J/m以上であり、
MFRが15g/10分以上、さらに好ましくは16g/10分以上、より好ましくは18g/10分以上、特に好ましくは20g/10分以上である。
【実施例】
【0052】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
[評価方法]
(1)機械的特性の評価
二軸混練機で作成した再生ペレットを型締力130トンの射出成形機を用い、金型:ASTM準拠、成形温度:C1−C2−C3−C4=180−190−200−210℃、射出圧力:P1−P2−P3−P4=108−98−88−78MPa、射出速度:V1−V2−V3−V4=30−30−20−20%、スクリュウ背圧:フリー、スクリュウ回転数:60%、金型温度:40℃、サイクル:射出10秒、冷却20秒、の射出条件で10ショット連続成形し、6〜10ショットの成形物(試験片A)を採取した。
1)曲げ弾性率(MPa):ASTM・D−790に準拠した。
2)アイゾット(J/m):23℃、ASTM・D−256に準拠した。
【0054】
(2)MFRの測定:ASTM・D1238 230℃で行った。
【0055】
(3)試験片Aの絞面の外観評価方法:
二軸混練機で作成した再生ペレットを型締力130トンの射出成形機を用い、金型:角板(100×100×3mmt;片面:皮紋形状、片面:鏡面)、成形温度:C1−C2−C3−C4=180−190−200−210℃、射出圧力:P1−P2−P3−P4=108−98−88−78MPa、射出速度:V1−V2−V3−V4=30−30−20−20%、スクリュウ背圧:フリー、スクリュウ回転数:60%、金型温度:40℃、サイクル:射出10秒、冷却20秒、の射出条件で10ショット連続成形し、6〜10ショットの成形物(試験片A)を採取した。
試験片の絞面外観を、目視観察を行い3段階で評価した。
3:塗膜が日立たない、2:塗膜が目立ち難い、1:塗膜が日立つ。
【0056】
[実施例1〜3、比較例1〜4]
・使用材料
(1)再生処理対象の塗膜が混在する廃プラスチック(回収粉砕樹脂)
再生処理対象の塗膜が混在する廃プラスチックの粉砕物として、市場より回収されたポリプロピレン製の自動車バンパーの洗浄品を5〜16mmに粉砕したものを用いた。
この再生処理対象の廃プラスチックの粉砕物を二軸混練機(宇部興産社製UME40−48T)を用いて、バレル温度:220℃、処理量:60Kg/hの条件で溶融混練し、廃プラスチック製ペレットを得た。この廃プラスチック製ペレットは、約10重量%のタルクを含有するMFRが26g/10分のポリプロピレン系樹脂であった。
再生処理対象の廃プラスチック粉砕物中の塗膜量は、廃プラスチック製ペレット10gを500ccのナス形フラスコに入れ、500ccのp−キシレンを注入後、30分間沸騰・攪拌し、付着樹脂を溶解した後、直ちにアスピレーター式濾過器を用い、5A濾紙で熱濾過し濾過残渣を測定して得たところ約1.4重量%であった。廃プラスチック製ペレットは、L*が25.55であり、a*が−0.19であり、b*が−0.52であった。
【0057】
(2)顔料:
1)カーボンブラック:平均粒子径0.017μm(ファーネス法)。
2)二酸化チタン:平均粒子径0.22μm、DOP吸油量14(cc/100g)、pH5.5〜7.5。
3)チタンイエロー:平均粒子径0.91、DOP吸油量25、pH7.8。
4)弁柄:平均粒子径0.16μm、DOP吸油量23(cc/100g)、pH5〜7。
【0058】
(3)無機フィラー
1)タルクは、平均粒子径(レーザー回折法)が2.7μmのもの。
【0059】
(4)熱可塑性樹脂
1)結晶性ポリプロピレン:(ホモ)[メルトフローレート(MFR):30g/10分、ペンダント分率:96.0%]。
(5)熱可塑性エラストマー
1)エチレン−プロピレン共重合体[ムーニー粘度(ML1+4(100℃):35、エチレン含有量:72重量%)。
【0060】
(6)その他添加成分:
1)分散剤:ステアリン酸マグネシウム。
2)酸化防止剤:Irgafos168、Irganox1010。
【0061】
・再生樹脂組成物の製造:
表1に示す割合の再生処理対象の自動車バンパーの粉砕物、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、無機フィラー及び顔料と、分散剤及び酸化防止剤を、プラテック社製のブレンダーを用いてドライブレンドを行った後、混練機を用いて再生ペレットを得た。比較例1は単軸押出機(石中鉄工所社製65mm単軸押出機)を用い220℃、50Kg/時の条件でスクリーンを装着せず再生ペレットを得た。比較例2〜4、実施例1〜3では二軸混練機(宇部興産社製:UME40−48T)を用いて、バレル温度:220℃、処理量:60Kg/時の条件で、溶融混練し再生ペレットを得た。また、比較例2は混練機にスクリーンを装着せず、比較例3、4及び実施例1〜3ではブレーカープレートの前に20メッシュのスクリーンを装着して再生ペレットを得た。
得られた再生ペレットを成形後、機械的特性の評価を行い、結果を表1に示す。さらに再生ペレットの流動性を評価し,結果を表1に示す。
【0062】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不溶物を0.1〜10重量%混在している車用バンパーの粉砕物(A)、結晶性ポリプロピレン(B)、エラストマー(C)、無機フィラー(D)及び光遮蔽性顔料(E)とを、下記の割合で混合し加熱溶融して得られる樹脂組成物であり、該樹脂組成物に混在する不溶物の大きさが20メッシュスクリーンを通過するものであることを特徴とする自動車内装用樹脂組成物。
(A)車用バンパーの粉砕物:10〜75重量%、
(B)結晶性ポリプロピレン:10〜75重量%、
(C)エラストマー:0〜10重量%、
(D)無機フィラー:0〜20重量%、
(E)光遮蔽性顔料:0.1〜10重量%。
【請求項2】
車内装用樹成形物は、曲げ弾性率が1700MPa以上、アイゾットが40J/m以上、MFRが15g/10分以上であることを特徴とする請求項1に記載の車内装用樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車内装用樹脂組成物より得られる射出成形物。

【公開番号】特開2009−173947(P2009−173947A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110370(P2009−110370)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【分割の表示】特願2004−106635(P2004−106635)の分割
【原出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】