説明

不良カプセルの除去機構

【課題】逆転不良カプセルを比較的簡単な機構により確実に排出除去することができる不良カプセルの除去機構を提供することを目的とする。
【解決手段】カプセルポケット21の一端側を、カプセルキャップの径よりも幅狭のキャップ挟持部211aとすると共に、カプセルポケット21を横切るスクレーパ挿入溝にスクレーパを挿入し、逆転不良カプセルのキャップ部が上記キャップ挟持部211aに嵌入し、所定個所でカプセルポケットから排出せずに更に搬送して、上記スクレーパにより掻き出すことを特徴とする不良カプセルの除去機構を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル充填機やカプセルシール機、更にはカプセルの外観検査装置などにおいて、キャップ側が一定方向を向いた横倒状態のカプセルをカプセルポケットに収容して搬送する場合にキャップ側が逆方向を向いた逆転横倒状態のカプセルを除去する不良カプセルの除去機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空カプセルに医薬等の内容物を充填するカプセル充填機、カプセル内に医薬等を充填したカプセル剤やカプセル状食品などのカプセル充填物にバンドシールを施すカプセルシール機、空カプセルや上記カプセル充填物の外観検査を行うカプセル外観検査機では、連続的に供給される空カプセル又はカプセル充填物(以下、これらを単に「カプセル」と総称する)をカプセルポケット内に収容して搬送し、その搬送中に内容物の充填を行い、又はバンドシールを施し、或いは外観検査を行う方法が採られている。
【0003】
また、これらの機器においては、ランダムに供給されるカプセルをすべて一定の姿勢に姿勢制御して、内容物を充填する充填機構部、カプセルのキャップとボディーとの境界部分にバンドシールを施すバンドシール機構部、又はカプセルをカメラで撮影して外観不良を検出する検査機構部へと搬送供給する必要があり、このためこれらの機器には、ホッパー等からカプセルを上記充填機構部、バンドシール機構部又は検査機構部へと安定的に搬送すると共に、その搬送中にランダムに供給されるすべてのカプセルを一定方向を向いた状態に方向規制するカプセル供給装置が設けられている。
【0004】
例えば、カプセル充填機の場合、通常キャップとボディーとを仮結合させた空カプセルをキャップを上にした正立状態で搬送し、その搬送中に空カプセルをキャップとボディーとに分離してボディーに内容物を充填し、再びキャップとボディーとを結合することにより、カプセル充填物を製造するように構成されており、このためホッパー等からランダムに供給される空カプセルをキャップを上にした正立状態に方向規制して、充填機構部へと安定的に供給するカプセル供給部が必要となる。
【0005】
このようなカプセル充填機のカプセル供給部としては、図13に示したように、供給ドラム1、方向規制ドラム2及び移送ドラム3の3つの搬送ドラムを用い、各ドラム間で受け渡しながらカプセル搬送すると共に、その搬送中にランダムに供給されるカプセルを、キャップを上にした正立状態に姿勢制御する供給機構が知られている。以下、この供給機構について簡単に説明する。なお、本明細書において、ドラム状の搬送器に保持された空カプセルについて上下とは、ドラムの外周側を上、中心側を下とした上下であり、「正立状態」とはキャップがドラムの外周側にありボディーをドラムの中心側に向けてドラムの直径方向に沿って保持された状態をいい、また「倒立状態」とはボディーがドラムの外周側にありキャップをドラムの中心側に向けてドラムの直径方向に沿って保持された状態をいい、更に「直立状態」とは、キャップ及びボディーの方向にかかわらずドラムの直径方向に沿って保持された状態をいう。
【0006】
即ち、図13中参照符号1は、キャップAとボディーBとを仮結合させた空カプセルABを直立状態で収容する多数の供給ポケットが周方向に沿って整列形成された供給ドラムであり、ホッパーhからランダムに供給される空カプセルを供給ポケット11内に直立状態で収容保持して搬送し、これを方向規制ドラム2の方向規制ポケット21に受け渡すようになっている。
【0007】
方向規制ポケット21は、空カプセルを横倒状態で収容し得る上部211と、該上部211の一端部と連通したカプセルのボディーのみが進入し得る底部212とから構成されており、この方向規制ポケット21にボディーB側から進入した空カプセルABは、そのボディーB部分が方向規制ポケット21の底部212内にまで進入して正立状態で方向規制ポケット21内に完全に収容され、この状態でドラム2の回転により搬送される。一方、キャップA側から方向規制ポケット21内に進入した空カプセルAB’は底部212内にまで進入できずにそのボディーB側が方向規制ドラム2の外周面から突出した倒立状態で一旦収容され、ドラム2の回転により突出した上記ボディーB部分が方向規制ガイド体22に当接して横倒しになり、キャップAをドラム2の回転方向に向けた横倒状態で方向規制ポケット21の上部211内に収容されて、この状態で搬送される。そして、正立状態の空カプセルAB及び横倒状態の空カプセルAB’は、移送ドラム3の移送ポケット31へと受け渡される。
【0008】
移送ドラム3の移送ポケット31は空カプセルを直立状態で収容するようになっており、上記方向規制ポケット21に正立状態で収容された空カプセルABはそのままキャップA側から移送ポケット31内に進入して倒立状態で該移送ポケット31内に収容され、また方向規制ポケット21の上部211内に横倒状態で収容された空カプセルAB’もキャップAを回転方向前方に向けた横倒状態となっているので、そのキャップA側から移送ポケット31内に進入して倒立状態で該移送ポケット31内に収容される。このように移送ポケット31に収容された空カプセルはすべて倒立状態となる。そして、移送ドラム3の回転により搬送され、すべての空カプセルABがキャップAを上にした正立状態で移送ポケット31から排出され、空カプセルの分離,内容物充填、再結合等を行うカプセル充填機構部へと供給されるようになっている。
【0009】
ここで、空カプセルABが上記供給ドラム1の供給ポケット11から方向規制ドラム2の方向規制ポケット21に移し替えられる際、ボディーB側から方向規制ポケット21に進入する正立状態であっても、何らかの理由によりそのボディーB部分が方向規制ポケット21の底部212に進入せずに、ボディーBを回転方向に向けた逆転横倒状態で方向規制ポケット21の上部211に収容されてしまったり、空カプセルABがキャップAを上にした正立状態でそのキャップA部分がドラム周面から突出した状態になり方向規制ガイド体22により横倒しされてボディーBを回転方向に向けた逆転横倒状態になってしまうことがある。このような逆転横倒カプセルがそのボディーB側から移送ドラム3の移送ポケット31に移されると、全てがボディーB側を上にした倒立状態でなければならない移送ドラム3に保持された空カプセル中に、キャップAを上にした正立状態の空カプセルが混入することとなり、この逆転カプセルがカプセル充填部へと供給されると、カプセル内に内容物が充填されずに空カプセルのまま製品のカプセル充填物中に混入する虞がある。
【0010】
従来、このようなボディーB又はキャップA単独の結合不良カプセルや上記逆転不良カプセルについては、上記ドラム1,2,3による搬送中に各種センサによって検出し、これを適宜な手段により除去することにより対応しているが、センサによる不良カプセルの検出、検出した不良カプセルをその他の正常なカプセルから分離除去するための制御などを行うために、複雑な機構により非常に煩雑な操作を要するばかりでなく、このようなセンサによる検出除去には限界があり、その検出除去率は必ずしも満足し得るものではない。
【0011】
なお、本発明に関連する先行技術文献としては、例えば下記のものが挙げられる。
【特許文献1】特公平02−051820号公報
【特許文献2】実願平01−053284号(実開平02−143941号)のマイクロフィルム
【特許文献3】特開昭55−035995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、逆転不良カプセルを比較的簡単な機構により確実に排出除去することができる不良カプセルの除去機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するため、搬送ドラムの外周面に形成されたカプセルを横倒状態で収容し得るカプセルポケット内に、キャップ側を一定方向に向けた横倒状態でカプセルを収容保持し、これをドラムの回転により搬送し、所定の回転角度でカプセルポケットから排出して他の搬送器等に受け渡す際に、キャップ側が逆方向を向いた逆転横倒状態で上記カプセルポケット内に収容された逆転不良カプセルを除去することにより、上記他の搬送器等に受け渡すカプセル群中に逆方向を向いた逆転不良カプセルが混入することを防止するための機構であって、カプセルのボディー側が収容されるカプセルポケット一端側を、カプセルのボディーの径よりも幅広で、かつカプセルのキャップの径よりも幅狭のキャップ挟持部とすると共に、搬送ドラムの外周面にカプセルポケットを横切るスクレーパ挿入溝をドラムの周方向に沿って形成し、かつ上記他の搬送器等への受け渡し個所よりもドラムの回転方向下流側に存して先端部を上記スクレーパ挿入溝内に挿入したスクレーパを配設し、キャップが逆方向を向いた上記逆転横倒状態のカプセルが上記カプセルポケットに収容された場合に、カプセルのキャップ部がキャップポケットの上記キャップ挟持部に嵌入して容易に抜け出せない状態として、上記他の搬送器等への受け渡し個所でカプセルポケットから排出せずに更にドラムの回転方向下流側へと搬送し、上記スクレーパによりこれをカプセルポケットから掻き出すことによりカプセルポケットから回収除去することを特徴とする不良カプセルの除去機構を提供する。
【0014】
即ち、本発明の不良カプセル除去機構は、搬送ドラムの外周面に形成されたカプセルポケットに、カプセルのキャップ側を一定方向に向けた横倒状態で収容し搬送して、所定の回転角度でカプセルを排出して他の搬送器等へ受け渡す際に、上記カプセルポケット内にキャップ側が逆方向を向いた逆転横倒状態で収容された逆転不良カプセルを上記他の搬送器等に受け渡すことなくカプセルポケットから排出除去して回収するものであり、カプセルのボディー側が収容されるべき上記カプセルポケットの一端側がカプセルのキャップよりも幅狭のキャップ挟持部となっているため、キャップが逆方向を向いた逆転横倒状態の逆転不良カプセルはそのキャップ部分がこのキャップ挟持部に押し込められて容易にはカプセルポケットから抜け出ない状態となり、この逆転不良カプセルは、上記所定回転角度で他の搬送器等に受け渡されずに通過して更に搬送され、搬送ドラムの回転方向下流側でスクレーパにより強制的にカプセルポケットから掻き出され、回収されるものである。
【0015】
従って、この不良カプセル除去機構によれば、カプセルポケット内に収容されたカプセルが、所定方向を向いた正常な横倒状態のカプセルであるのか、逆方向を向いた横倒状態の逆転不良カプセルであるのかを検出したり、検出された逆転不良カプセルを選択的に排出除去する複雑な機構を必要とせず、逆転不良カプセルは、なんらの操作を施す必要なく自動的に他の搬送器等へと受け渡すことができない状態となってこの搬送器等への受け渡し箇所を通過し、正常なカプセルは搬送されることのない、搬送器等への受け渡し箇所よりも搬送方向下流側の所定箇所で上記スクレーパにより自動的にカプセルポケットから強制除去されるものである。よって、複雑な機構や煩雑な制御等を要することなく、簡単かつ確実に逆転不良カプセルを排出除去することができるものである。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の不良カプセルの除去機構によれば、逆転不良カプセルを比較的簡単な機構により確実かつ自動的に排出除去することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態及び実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例につき図面を参照して説明する。
図1,2は、本発明にかかる不良カプセルの除去機構を備えた供給部5を有するカプセル充填機であり、供給部5によってキャップとボディーとを仮結合した空カプセル(以下、単に「空カプセル」という)をキャップを上にした正立状態で連続的に供給し、この空カプセルを充填機構部7の搬送器で正立状態のまま搬送し、その搬送中にキャップとボディーとに分離し、内容物充填装置6によりボディー内に内容物を充填した後、再びキャップとボディーとを結合させてカプセル充填物を製造し、装置から排出回収するものである。
【0018】
上記供給部5は、図1に示されているように、ホッパーh内に収容された空カプセルをキャップを上にした正立状態とボディーを上にした倒立状態とが混在した直立状態で連続的に供給する供給ドラム1と、該供給ドラム1から受け取った空カプセルを方向規制する方向規制ドラム(搬送ドラム)2と、方向規制ドラム2から空カプセルをすべてボディーを上にした倒立状態で受け取り、下方へと搬送する移送ドラム3、該移送ドラム3から受け取った正立状態の空カプセルを充填機構部7の搬送器に設けられたカプセルポケットに装填するマガジン4とを具備している。
【0019】
上記供給ドラム1には、図5に示すように、空カプセルを直立状態で収容することができる供給ポケット11が周面部に周方向に沿って21個ずつ2列形成されており、供給ドラム1が図1中反時計回りに回転することにより、上記ホッパーhに貯留された空カプセルABがこの供給ポケット11に順次収容されるようになっている。
【0020】
この供給ポケット11は、ホッパーhから空カプセルが入り易いようにその開口部の一部が回転方向に広がった形状に形成されていると共に、供給ドラム1の径方向内側近傍に供給ドラム1の軸方向に沿って形成された吸引/吹き出し穴112と連通した状態となっており、図5(B)に示されているように、1つの吸引/吹き出し穴112が、供給ドラム11の幅方向に沿って並んだ二つの供給ポケット11,11と連通し、供給ドラム1の一側面に開放されている。また、この供給ポケット11は、その下部に、供給ドラム11の外側面に開放したカプセル排出空間部13と連通する不良カプセル排出窓131が設けられている。
【0021】
一方、図4に示されているように、この供給ドラム1を回転可能に支持している支柱pと該供給ドラム1との間には、第1給排気ブロック1aが配設されており、この給排気ブロック1aの前面側(供給ドラム1側)には、図3,4に示されているように、3つの吸引路112a,112b,13aと1つの圧空路112cが設けられており、吸引路112a,112bと上記吸引/吹き出し穴112とが一致した状態にあっては、供給ポケット11内が吸引され、圧空路112cと上記吸引/吹き出し穴112とが一致した状態にあっては、供給ポケット11内に空気が吹き出すようになっている。また、図4,6に示されているように、供給ドラム1を挟んで第1給排気ブロック1aの反対側には、上記吸引路13aと対向して吸引路13bを有する小吸気ブロック1bが配設されており、この小吸気ブロック1bの吸引路13b及び第1給排気ブロック1aの吸引路13aと上記カプセル排出空間部13とが一致した状態にあっては、供給ポケット11内がその側面側から吸引されるようになっている。
【0022】
また、図1,3に示されているように、この供給ドラム1の上下方向中間部から下側にかけてカプセルの抜け落ちを防止する左右ガイド体14,14がドラム周面に沿って設けられており、供給ドラム1の真下部分において、両ガイド体14,14間にカプセル排出用の間隙が設けられている。
【0023】
上記方向規制ドラム2は、上記供給ドラム1よりも小径に形成されており、供給ドラム1の下側にその周面が近接した状態に配設され、供給ドラム1と同一の周面速度で供給ドラム1と反対方向(図1,3中時計回り方向)に回転するようになっている。この方向規制ドラム2の周面部には、図7に示すように、1組が3個×2列の合計6個の方向規制ポケット21からなる3組の方向規制部がそれぞれ周方向に沿って等間隔ずつ離間して設けられている。これら方向規制ポケット21は、図8に示されているように、キャップAとボディーBとを仮結合させた空カプセルABを方向規制ドラム2の幅方向に沿って横倒状態に収容することができる略長楕円形状の上部211と、該上部211の一端部に連通していると共に、空カプセルABのキャップ部分Aは進入不可能でありボディー部分Bのみが進入可能な径に設定された底部212とから構成されている。
【0024】
この方向規制ポケット21の上記底部212は、図8(A)に示されているように、方向規制ドラム2の径方向内側近傍に形成された吸引/吹き出し穴23と連通した状態となっており、1つの吸引/吹き出し穴23が方向規制ドラム2の幅方向に沿って並んだ2つの方向規制ポケット21,21と連通し、方向規制ドラム2の一側面に開放されている。そして、図4に示されているように、この方向規制ドラム2を支持している支柱pと該方向規制ドラム2との間には、上記供給ドラム1の場合と同様に、第2給排気ブロック2aが配設されており、この給排気ブロック2aの前面側(方向規制ドラム2側)には、図3,4に示されているように、吸引路231及び圧空路232が設けられており、吸引路231と上記吸引/吹き出し穴23とが一致した状態にあっては、方向規制ポケット21内が吸引され、圧空路232と上記吸引/吹き出し穴23とが一致した状態にあっては、方向規制ポケット21内に空気が吹き出すようになっている。
【0025】
また、方向規制ポケット21の上部211は、図8(B)に示されているように、その先端側が幅狭に形成されたキャップ挟持部211aとなっている。このキャップ挟持部211aの幅wは空カプセルABのボディーBの直径よりもやや広く、キャップAの直径よりもやや狭く設定されており、この方向規制ポケット21の上部211にキャップAを該キャップ挟持部211a側に向けて収容された空カプセルABは、そのキャップA部分がこのキャップ挟持部211aに挟まれて、容易に排出されない状態に保持されるようになっている。更に、この方向規制ドラム2の外周面には、図7,8に示されているように、2本1組のスクレーパ挿入溝24が2組、ドラム2の周方向に沿って形成されており、この2組のスクレーパ挿入溝24,24はそれぞれ各方向規制ポケット21の上部211を横切っている。
【0026】
図1,3,7に示されているように、この方向規制ドラム2の周面一側部(図中右側部)から下側にかけての約1/4周部分には、上記方向規制ポケット21に収容された空カプセルABの抜け落ち防止及び方向規制を行う方向規制ガイド体22が周面に沿って設けられている。この方向規制ガイド体22には、図7(B)に示されているように、上記方向規制ポケット21に対応して2つのV字溝221,221が形成されており、両V字溝221,221間に形成された山形部分が倒立状態で方向規制ポケット21に収容された空カプセルABを横倒しにする方向規制凸部222となっている。
【0027】
更に、図1,3,7に示されているように、方向規制ドラム2の周面他側部(方向規制ガイド体22の反対側)には、4個の剣先状スクレーパ25が配設されており、その先端部が上記スクレーパ挿入溝24内に挿入されている。また、該スクレーパ25の下方には、該スクレーパ25により方向規制ポケット21の上部211から排出された空カプセルABを回収する回収缶251が配設されている。
【0028】
上記移送ドラム3は、上記方向規制ドラム2と同様に、上記供給ドラム1より小径に形成されており、上記方向規制ドラム2の下側にその周面が近接した状態に配設され、方向規制ドラム2と同一の周面速度で方向規制ドラム2と反対方向(図1中反時計回り方向)に回転するようになっている。図3,9に示されているように、この移送ドラム3の周面には、上記方向規制ドラム2と同様に、1組が3個×2列の合計6個の移送ポケット31からなる3組の移送部がそれぞれ周方向に沿って等間隔ずつ離間して設けられている。
【0029】
これら移送ポケット31は、図9,10に示したように、空カプセルABが入り易いようにその開口部の一部が移送ドラム3の幅方向に広がった形状に形成されていると共に、移送ドラム3の径方向内側近傍に形成された吸引/吹き出し穴32と連通した状態となっており、1つの吸引/吹き出し穴32が移送ドラム3の幅方向に沿って並んだ2つの移送ポケット31,31と連通し、移送ドラム3の一側面に開放されている。そして、図4,9に示されているように、この移送ドラム3を支持している支柱pと該移送ドラム3との間には、上記供給ドラム1及び方向規制ドラム2の場合と同様に、第3給排気ブロック3aが配設されており、この給排気ブロック3aの前面側(移送ドラム3側)には、図3,4,9に示されているように、吸引路321及び圧空路322が設けられており、吸引路321と上記吸引/吹き出し穴32とが一致した状態にあっては、移送ポケット31内が吸引され、圧空路322と上記吸引/吹き出し穴32とが一致した状態にあっては、移送ポケット31内に空気が吹き出すようになっている。また、図1,3,9(A)に示されているように、この移送ドラム3の周面一側部(図中左側部)から下側にかけてカプセルの抜け落ちを防止するガイド体33が周面に沿って設けられている。
【0030】
この、移送ドラム3の下側には、所定個数の空カプセルABを収容することができるマガジン4が配設されている。このマガジン4は、図3,9に示されているように、空カプセルABの外径よりやや大径の中空部である2本のカプセル供給路41を有し、上記移送ドラム3から投入された空カプセルABをこのカプセル供給路41に一旦収容して直立状態で上下方向に沿って縦列させ、この空カプセルABを順次カプセル供給路41の下端から充填機構部7へと供給するようになっている。
【0031】
このマガジン4は、上記移送ドラム3の回転により移送ポケット31がガイド体33を通過して下方に開口した時に上記カプセル供給路41の上端開口部が該移送ポケット31の開口部と対向する位置に配設されており、該カプセル供給路41は、空カプセルABが確実に進入することができるように移送ドラム3の反回転方向に向かって開口部の一部が広がった形状に形成されている。また、該マガジン4には、下端部と上部にそれぞれ一対の投受光器からなる光電センサ42a,42bが配設されており、この光電センサ42a,42bにより、カプセル供給路41内が常に監視されて、空カプセルABの有無及び大まかな個数が検知され、その結果に応じてマガジン4の下端部に配設されたシャッター43(図9参照)がエアーシリンダー44(図9(A)参照)により開閉するようになっている。
【0032】
上記供給ドラム1,方向規制ドラム2,移送ドラム3及びマガジン4を具備してなる供給部5の動作について図3,4及び10を参照して説明すると、まずホッパーhに収容されている空カプセルABが供給ドラム1の供給ポケット11に連続的に供給され収容される(図3参照)。この場合、供給ドラム1が図3中反時計回りに回転して、各供給ポケット11がホッパーhからの供給部分を通過する際、各供給ポケット11と連通した吸引/吹き出し穴112が吸引路112aと一致した状態になって供給ポケット11内が吸引され、この吸引力により確実にホッパーhから空カプセルABが供給ポケット11内に収容される。この場合、各供給ポケット11内に収容された空カプセルABは、キャップAを上にした正立状態のものとボディーBを上にした倒立状態のものとが混在した状態となっている。
【0033】
この供給ドラム1の供給ポケット11に収容されたカプセルは、供給ドラム1が回転することにより供給ドラム1の下側に運ばれ、方向規制ドラム2の方向規制ポケット21に移し替えられる。この時、供給ポケット11と連通した上記吸引/吹き出し穴112が圧空路112cと一致する(図3,4参照)と共に、方向規制ポケット21と連通した吸引/吹き出し穴23が吸引路231と一致した状態となり(図3,4参照)、図10に示されているように、供給ポケット11から空気が吹き出して収容したカプセルABを押し出すと共に、方向規制ポケット21が吸引状態となってカプセルABを確実に受け取るようになっている。
【0034】
ここで、上記供給ドラム1には、21個×2列の合計42個の供給ポケット11がドラム周面部に均一に設けられているのに対し、方向規制ドラム2には1組が3個×2列の合計6個の方向規制ポケット21からなる3組の方向規制部がそれぞれ周方向に沿って等間隔ずつ離間して設けられているだけである。このため、供給ドラム1の供給ポケット11に収容された空カプセルABは3個×2列おきに6個ずつ方向規制ドラム2に移されることになり、ホッパーhから供給ドラム1に供給された空カプセルABは、供給ドラム1の1周目には方向規制ドラム2に移されることなく、再びホッパーhからの供給部を通過した後、2周目に方向規制ドラム2へと移されるようになっている。従って、ホッパーhからの供給時に供給ポケット11に空カプセルABがうまく収容されず、空の状態の供給ポケット11が生じたとしても、ホッパーhからの供給部を2回目に通過する際にこの空のポケットに空カプセルABが収容され、このため方向規制ドラム2に空の方向規制ポケット21を生じることなく、確実に空カプセルABが方向規制ドラム2に供給される。
【0035】
また、空カプセルABは、キャップAとボディーBとを容易に分離できる状態に仮結合させたものであり、キャップAとボディーBとに分離しやすく、ホッパーhには、空カプセルABがキャップAとボディーBとに分離してしまったものが存在する場合がある。このような、キャップA又はボディーBが単独で供給ドラム1の供給ポケット11内に収容されてしまった場合、本例の供給ドラム1では、ホッパーhからのカプセル供給箇所を通過した直後のブラシローラb配設箇所(図3,4参照)において、単独で供給ポケット11に収容されてしまったキャップA或いはボディーBが自動的に除去されるようになっている。
【0036】
即ち、図3,4に示されているように、上記ブラシローラbの配設箇所において、供給ポケット11に連通したカプセル排出空間部13(図4参照)が、第1給排気ブロック1aの吸引路13a又は小吸気ブロック1bの吸引路13bと一致した状態となり、供給ポケット11内が吸引されるようになっている。この時、例えば図6(B)に示されているように、供給ポケット11内にボディーBが単独で収容されていると、上記吸引路13a(もしくは13b)からの吸引力によって、ボディーBが供給ポケット11の下部に設けられた不良カプセル排出窓131を通してカプセル排出空間部13へと回転するようにして吸い出され、供給ポケット11から排出除去される。この場合、同図6(B)に示されているように、キャップAとボディーBとが結合した空カプセルABは、キャップAのみ又はボディーBのみよりもその長さがかなり長いため、供給ポケット11内に引っ掛かって供給ポケット11から不良カプセル排出窓131へと回転することができず、供給ポケット11からカプセル排出空間部13へと吸い出されてしまうことはない。
【0037】
なお、上記不良カプセル排出窓131は、その長さがカプセルABよりも短く設定され、キャップAとボディーBとが仮結合した正常な空カプセルABは排出されないようになっているが、この不良カプセル排出窓131の長さは、供給ポケット11の幅(直径)と空カプセルABの径及び長さとを考慮して、キャップA及びボディーBは回転しながら不良カプセル排出窓を通過し得るが、キャップAとボディーBとが仮結合した空カプセルABは不良カプセル排出窓へと回転し得ない長さに、適宜調整される。
【0038】
このようにして、キャップAのみ又はボディーBのみが供給ポケット11に収容された場合には直ちにそのキャップA又はボディーBが除去され、供給ドラム1により搬送されて方向規制ドラム2へと受け渡される空カプセルは、すべてキャップAとボディーBとが仮結合した空カプセルABのみであり、キャップAのみ又はボディーBのみが方向規制ドラム2へと移されることがないようになっている。なお、供給ポケット11から方向規制ポケット21へのカプセルの受け渡しは、上述のように、供給ドラム1の1回転目には行われずに2回転目で行われるようになっているので、キャップAのみ又はボディーBのみが収容され、それが除去されて空の状態となった供給ポケット11には、再びホッパーhからの供給箇所を通過する際に空カプセルABが収容されて、方向規制ドラム2へと受け渡される。
【0039】
次に、図10に示されているように、方向規制ドラム2の方向規制ポケット21にボディーB側から進入して収容された空カプセルABは、該空カプセルABのボディーBが方向規制ポケット21の底部212にまで進入し、キャップAを上(ドラムの周面側)にした正立状態で方向規制ポケット21内に完全に収容される。一方、キャップA側から方向規制ポケット21内に進入したカプセルAB’は、キャップAの径がポケット底部212の径よりも大きいために底部212にまで進入することができず、方向規制ドラム2の周面からボディーB部分を突出させた状態で方向規制ポケット21に保持される。この状態で方向規制ドラム2が回転していくことにより、ドラム周面から突出したボディーB部分が方向規制ガイド体22のV字溝221(図7(B)参照)内に進入して、方向規制凸部222(図7(B)参照)の側縁部に当接し、更に方向規制ドラム2が回転することにより、この空カプセルAB’は、ボディーB側がドラム2の幅方向外側へと押圧され、図8(A)に点線で示したように、キャップ部Aの先端を支点にして方向規制ポケット21の上部211内へと倒され、ドラム2の幅方向に沿った横倒状態で方向規制ポケット21の上部211に収容保持される。このようにして、横倒状態で方向規制ポケット21の上部211に収容された空カプセルAB’は、キャップA部分が方向規制ポケット21の底部212上に位置し、ボディーB側を外側へと向けた状態となる。
【0040】
そして、このように方向規制ドラム2の方向規制ポケット21に収容された空カプセルAB及びAB’は、図10に示されているように、移送ドラム3の移送ポケット31に移されるが、この場合も方向規制ポケット21と連通した上記吸引/吹き出し穴23が圧空路232と一致する(図3,4参照)と共に、移送ポケット31と連通した吸引/吹き出し穴32が吸引路321と一致した状態となり(図3,4参照)、図10に示されているように、方向規制ポケット21の底部212から空気が吹き出して収容したカプセルAB及びAB’を押し出すと共に、移送ポケット31が吸引状態となってカプセルAB,AB’を確実に受け取るようになっている。
【0041】
このとき、図10に示したように、ボディーB部分が方向規制ポケット21の底部212にまで進入して正立状態で方向規制ポケット21に収容されていた空カプセルABは、そのままキャップA側から移送ポケット31内に進入し、ボディーB側を上(ドラム周面側)にした倒立状態で収容される。一方、図10に点線で示したように、方向規制ポケット21の上部211に横倒状態で収容された空カプセルAB’は、方向規制ポケット21の底部212から吹き出された空気によってキャップA側から移送ポケット31へと押し出されると共に、このキャップA側から移送ポケット31内へと吸引されることにより、キャップA側から移送ポケット31内に進入し、ボディーB側を上(ドラム周面側)にした倒立状態で収容される。従って、この移送ドラム3に移された空カプセルAB,AB’は全てボディーB側を上にした倒立状態で移送ポケット31に収容される。
【0042】
ここで、空カプセルABが上記供給ドラム1の供給ポケット11から方向規制ドラム2の方向規制ポケット21に移し替えられる際、ボディーB側から方向規制ポケット21に進入する正立状態であっても、何らかの理由によりそのボディーB部分が方向規制ポケット21の底部212に進入せずに、キャップA側を外側にした逆転横倒状態で方向規制ポケット21の上部211に収容されてしまったり、空カプセルABがキャップAを上にした正立状態でそのキャップA部分がドラム周面から突出した状態になり方向規制ガイド体22により横倒しされてキャップA側を外側にした逆転横倒状態になってしまうことがある。このような逆転横倒カプセルがそのボディーB側から移送ドラム3の移送ポケット31に移されると、全てがボディーB側を上にした倒立状態でなければならない移送ドラム3に保持された空カプセル中に、キャップAを上にした正立状態の空カプセルが混入することとなってしまう。そこで、本実施例の方向規制ドラム2では、このような逆転横倒カプセルを移送ドラム3へと受け渡さずに、この方向規制ドラム2から回収除去するようになっている。
【0043】
即ち、上記逆転横倒カプセルは、キャップA側を方向規制ドラム2の外側に向けた状態で方向規制ポケット21の上部211に収容されたものであるが、この場合方向規制ポケット21の上部211は、図8(B)に示されているように、外側部分の幅wがカプセルのキャップAの径よりも小さいキャップ挟持部211aとされているため、この逆転横倒カプセルは、方向規制ガイド体22(図3参照)に押圧されて、方向規制ポケット21の上部211のキャップ挟持部211aに押し込められた状態となり、方向規制ポケット21から容易には抜け出ない状態となる。これにより、方向規制ドラム2から移送ドラム3への受け渡し時にも移送ドラム3の移送ポケット31に移動することなく、方向規制ポケット21の上部211内に保持されたままこの受け渡し部分を通過して更に搬送され、方向規制ポケット21の上部211を横切るスクレーパ挿入溝24(図7,8参照)に挿入されたスクレーパ25(図7参照)により、この反転横倒カプセルが方向規制ポケット21の上部211から掻き出され、回収缶251に回収されるものである。
【0044】
上述のようにして方向規制ドラム2から移送ドラム3に移された倒立状態の空カプセルAB及びAB’は、移送ドラム3が回転することにより下側へと移動し、図10に示されているように、移送ドラム3の下方に配設されたマガジン4のカプセル供給路41,41内にそのボディーB側から投入されて、図9に示されているように、所定個数の空カプセルABが全て正立状態で上下方向に沿って縦列し、この状態で一旦貯留され、カプセル供給路41,41の下端開口部から順次充填機構部7に供給される。
【0045】
この場合、図9に示されているように、上記マガジン4のカプセル供給路41下端開口部は、充填機の起動時にはシャッター43により閉塞されており、カプセル供給路41内に所定個数の空カプセルABが貯留され、上側の光電センサ42aが空カプセルABを検出し、所定個数の空カプセルABが貯留されていることが確認された時点で、エアシンリダー44が動作して上記シャッター43が開き、充填機構部7への空カプセルABの供給動作が始動するようになっている。
【0046】
ここで、移送ドラム3に設けられた移送ポケット31は、上述のように1組が3個×2列の合計6個の移送ポケット31からなる3組の移送ポケット群が等間隔ずつ離間して設けられているため、移送ドラム3は一定速度で連続回転しているにもかかわらず、この移送ドラム3からマガジン4のカプセル供給路41内への空カプセルABの投入は、3個×2列の合計6個の空カプセルが連続的に投入された後、所定時間をおいて次の6個が連続的に投入される動作が繰り返され、連続的な投入が間歇的に繰り返される。これに対して、マガジン4のカプセル供給路41下端開口部から充填機構部7への空カプセルの供給は、連続的に行われ、このためマガジン4のカプセル供給路41内に貯留される空カプセルABの個数が増減を繰り返しながら充填機構部7への空カプセルABの供給が行われる。
【0047】
また、上述した逆転横倒状態の空カプセルが頻繁に発生し、これを除去することにより移送ドラム3に空の移送ポケット31が比較的多く生じたり、その他の理由により移送ドラム3からマガジン4への空カプセルABの投入速度と、マガジン4から充填機構部7への空カプセル供給速度とのバランスが崩れ、マガジン4のカプセル供給路41内に貯留される空カプセルABの個数が減少し、一瞬でもカプセル供給路41内が空になると、これを下側の光電センサ42bが検知し、シャッター43(図9参照)を閉じて空カプセルABの充填機構部7への供給を停止すると共に、充填機構部7による空カプセルの搬送、分離、内容物充填、再結合、排出等の空カプセル供給以後の動作をすべて停止し、マガジン4のカプセル供給路41内に再び所定個数の空カプセルが貯留された時点で、これを上側の光電センサ42aが検知し、上記シャッター43を開いて充填機構部7への空カプセル供給を再開すると共に、上記空カプセル供給以後の動作も同時に再開させ、カプセル充填動作が再開するようになっている。
【0048】
以降、図11に示したように、上記マガジン4から空カプセルABを受け取った上記充填機構部7は、これをキャップセグメント71のキャップポケットとボディーディスク72のボディーポケットとからなるカプセルポケットに空カプセルABを正立状態で収容し、該カプセルポケット内に収容した空カプセルをキャップAとボディーBとに分離し、それぞれキャップセグメント71のキャップポケットとボディーディスク72のボディーポケットに保持して搬送し、キャップセグメント71をボディーディスク72から分離して分離不良検出器77で分離不良検査を行った後、ボディーディスク72に保持されたボディーB内に内容物充填装置6によりに内容物を充填し、再びキャップセグメント71をボディーディスク72上に接合させ、キャップAを押え板73で押さえた状態でボディーBをプランジャーピン74で押し上げることにより、キャップAとボディーBとを仮結合させ、更にキャップAを結合ローラ75で押圧してキャップAとボディーBとを完全に結合させ、得られたカプセル充填物Cをプランジャーピン74で更に押し上げてボディーディスク72及びキャップセグメント71から排出し、排出シュート76から装置外へと排出して回収するものである。そして、クリーナ78(図2参照)で、キャップセグメント71のキャップポケット及びボディーディスク72のボディーポケットが清掃され、再び供給部5から空カプセルABを受容して同様の動作が繰り返される。
【0049】
このように、本実施例のカプセル充填機は、供給部5によってキャップとボディーとを仮結合した空カプセルABをキャップAを上にした正立状態に姿勢制御して連続的に供給し、この空カプセルABを充填機構部7の搬送器で正立状態のまま搬送し、その搬送中にキャップとボディーとに分離し、内容物充填装置6によりボディーB内に内容物を充填した後、再びキャップAとボディーBとを結合させてカプセル充填物Cを製造し、装置から排出回収するものである。
【0050】
この場合、上記供給部5により空カプセルABを正立状態に姿勢制御して供給する際、キャップAとボディーBとに分離した結合不良カプセルのキャップAのみ又はボディーBのみが供給ドラム1の供給ポケット11に収容されてもこれが簡単な機構により自動的に除去され、またカプセルの向きが逆になってしまった逆転不良カプセルも簡単な機構により自動的に除去され、キャップAとボディーBとが結合した空カプセルを正立状態で確実かつ安定的に供給することができ、充填不良や搬送不良などの不都合を生じることなく、安定的にカプセル充填物Cを製造することができるものである。
【0051】
即ち、上記供給部5の供給ドラム1に設けられた結合不良カプセルを除去する除去機構によれば、供給ポケット11内に収容された空カプセルが、正常なカプセルABであるのか、キャップA又はボディーB単独の結合不良カプセルであるのかを検出する必要なく、単に全ての供給ポケット11内を上記不良カプセル排出窓131から吸引することにより、結合不良カプセルのキャップA又はボディーBのみが選択的に供給ポケット11から自動排出され、複雑な機構や煩雑な制御等を要することなく、簡単かつ確実に結合不良カプセルを排出除去することができるものである。
【0052】
また、上記供給部5の方向規制ドラム(搬送ドラム)2に設けられた逆転不良カプセルを除去する除去機構によれば、方向規制ポケット21内に収容されたカプセルが、所定方向を向いた正常な横倒状態のカプセルであるのか、逆方向を向いた横倒状態の逆転不良カプセルであるのかを検出したり、検出された逆転不良カプセルを選択的に排出除去する複雑な機構を必要とせず、逆転不良カプセルは、なんの操作を施す必要もなく自動的に移送ドラム3へと受け渡すことができない状態となってこの移送ドラム3への受け渡し箇所を通過し、正常なカプセルは搬送されることのない、移送ドラム3への受け渡し箇所よりも搬送方向下流側の所定箇所で上記スクレーパ25により自動的に方向規制ポケット21から強制除去されるものである。よって、複雑な機構や煩雑な制御等を要することなく、簡単かつ確実に逆転不良カプセルを排出除去することができるものである。
【0053】
なお、本発明の不良カプセルの除去機構は、上記実施例に限定されるものではなく適宜変更することができる。例えば、上記実施例では、空カプセルを正立状態に姿勢制御して供給するカプセル充填機の供給部に本発明の除去機構を用いた例を示したが、カプセルシール機やカプセル外観検査装置などに用いられる、カプセルを一定方向に向けた横倒状態に姿勢制御して供給する供給部に用いることもできる。この場合、例えば図12に示したように、方向規制ドラム2の方向規制ポケット21の上部211の向きを全て同じ方向とすると共に、除去機構を有さないこと以外は同様の第2方向規制ドラム30を移送ドラム3の代わりに用いて、倒立状態で供給ドラム1から供給されたカプセルAB’は第1の方向規制ドラム2により横倒状態とし、正立状態で供給ドラム1から供給されたカプセルABは第2方向規制ドラム30により横倒状態とすることにより、全てのカプセルを一定方向に方向規制した横倒状態に姿勢変換して供給するようにすればよい。なお、その他の構成は、上記実施例の供給部5と同様である。
【0054】
更に、方向規制を伴わずに単にカプセルを搬送する搬送器のカプセルポケットから結合不良カプセルや逆転不良カプセルを除去するための機構として用いることもできる。また更に、例えば各ドラム1,2,3に設けたポケットの形状や個数、列数、配列方法等は適宜変更することができ、その他の構成についても本発明の要旨を逸脱しない限り適宜変更して差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】供給部に本発明の一実施例にかかる不良カプセル除去機構を備えたカプセル充填機の一例を示す概略正面図である。
【図2】同カプセル充填機を示す概略平面図である。
【図3】同カプセル充填機の供給部を示す概略図である。
【図4】同供給部を示す概略断面図である。
【図5】(A),(B)は、いずれも同供給部を構成する供給ドラムを示す断面図である。
【図6】同供給ドラムに空カプセルを収容保持した状態及びその空カプセルの挙動を説明する拡大断面図である。
【図7】同供給部を構成する方向規制ドラムを示す概略図である。
【図8】(A)は同方向規制ドラムを示す拡大断面図、(B)は同方向規制ドラムに設けられた方向規制ポケットを示す拡大平面図である。
【図9】同供給部を構成する移送ドラム及びマガジンを示す断面図である。
【図10】同供給部により行われる空カプセルの姿勢制御を説明する説明図である。
【図11】同カプセル充填機による内容物充填動作を順次説明する説明図である。
【図12】本発明の一実施例にかかる不良カプセル除去機構を備えたカプセル供給部の他の例を示す概略断面図である。
【図13】従来のカプセル充填機に用いられているカプセル供給部の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0056】
1 供給ドラム
11 供給ポケット(カプセルポケット)
131 不良カプセル排出窓
2 方向規制ドラム(搬送ドラム)
21 方向規制ポケット(カプセルポケット)
211 方向規制ポケットの上部
211a キャップ挟持部
212 方向規制ポケットの底部
24 スクレーパ挿入溝
25 スクレーパ
3 移送ドラム
30 第2方向規制ドラム
31 移送ポケット
4 マガジン
5 供給部
6 内容物充填装置
7 充填機構部
AB,AB’ 空カプセル(カプセル)
A キャップ
B ボディー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ドラムの外周面に形成されたカプセルを横倒状態で収容し得るカプセルポケット内に、キャップ側を一定方向に向けた横倒状態でカプセルを収容保持し、これをドラムの回転により搬送し、所定の回転角度でカプセルポケットから排出して他の搬送器等に受け渡す際に、キャップ側が逆方向を向いた逆転横倒状態で上記カプセルポケット内に収容された逆転不良カプセルを除去することにより、上記他の搬送器等に受け渡すカプセル群中に逆方向を向いた逆転不良カプセルが混入することを防止するための機構であって、
カプセルのボディー側が収容されるカプセルポケット一端側を、カプセルのボディーの径よりも幅広で、かつカプセルのキャップの径よりも幅狭のキャップ挟持部とすると共に、搬送ドラムの外周面にカプセルポケットを横切るスクレーパ挿入溝をドラムの周方向に沿って形成し、かつ上記他の搬送器等への受け渡し個所よりもドラムの回転方向下流側に存して先端部を上記スクレーパ挿入溝内に挿入したスクレーパを配設し、キャップが逆方向を向いた上記逆転横倒状態のカプセルが上記カプセルポケットに収容された場合に、カプセルのキャップ部がキャップポケットの上記キャップ挟持部に嵌入して容易に抜け出せない状態として、上記他の搬送器等への受け渡し個所でカプセルポケットから排出せずに更にドラムの回転方向下流側へと搬送し、上記スクレーパによりこれをカプセルポケットから掻き出すことによりカプセルポケットから回収除去することを特徴とする不良カプセルの除去機構。
【請求項2】
上記カプセルポケットが、カプセルを横倒状態で収容する上部と該上部の一端部に連通しカプセルのボディーのみが進入可能な底部とからなる方向規制ポケットであり、方向規制ドラムの外周面に形成された該方向規制ポケットにボディー側から直立姿勢で進入したカプセルはそのボディー部分を上記底部にまで進入させ直立姿勢で該方向規制ポケットに収容保持してドラムの回転により搬送し、一方キャップ側から直立姿勢で進入したカプセルは上記底部にまで進入させずにボディー側をドラム外周面から突出させた状態で上記上部に直立姿勢で一旦保持し、ドラムの回転による搬送中にドラム外周面から突出した上記ボディー側をドラムの外周面に沿って配設した方向規制ガイド体で押圧してキャップが一定方向を向いた横倒状態でカプセルポケットの上部に収容することによりカプセルを姿勢変換して更に搬送し、所定回転角度で方向規制ポケットからカプセルを排出して他の搬送器等に受け渡す際に、キャップ側が逆方向を向いた逆転横倒状態で上記方向規制ポケットの上部に収容されたカプセルを上記他の搬送器等へ受け渡すことなく更にドラムの回転方向下流側へと搬送して、方向規制ポケット上部から排出して回収するものである請求項1記載の不良カプセルの除去機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−115019(P2008−115019A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2946(P2008−2946)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【分割の表示】特願平11−26707の分割
【原出願日】平成11年2月3日(1999.2.3)
【出願人】(000228110)クオリカプス株式会社 (22)
【Fターム(参考)】