説明

不良検査装置及びPTP包装機

【課題】PTPシートの製造過程におけるピンホールの検出検査に関し、検査精度の飛躍的な向上を図ることのできる不良検査装置、及び、PTP包装機を提供する。
【解決手段】錠剤投入後に検査を行う第2不良検査装置21Bは、照明装置22B、カメラ23B及び画像処理装置24B等を備えている。容器フィルム3のポケット部にピンホールが存在する場合、照明装置22Bから容器フィルム3に対し照射された光は、ピンホールを通過して錠剤に照射される。そして、錠剤5の表面で乱反射した光がカメラ23Bにより撮像される。これに基づき、画像処理装置24Bにより錠剤表面の明暗が判別され、ピンホールが検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTPシートの製造に際し用いられる不良検査装置、及び、該不良検査装置を備えたPTP包装機を含む技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
PTPシートは、錠剤等が充填されるポケット部が形成された包装用フィルムと、その包装用フィルムにポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。
【0003】
包装用フィルムは、合成樹脂材料等により形成されるのが一般的であるが、防湿性等の向上のため、アルミニウムなどにより形成されることもある。しかし、アルミニウム製の包装用フィルムは樹脂製に比べ伸びにくいため、ポケット部の成形時等において、当該ポケット部等にピンホールと呼ばれる孔があくことがある。このため、アルミニウム製の包装用フィルムによりPTPシートを製造する際には、ポケット部の成形後、錠剤等が充填される前段階にピンホールを検出するピンホール検査を実施する。
【0004】
かかるピンホール検査は、例えば図8に示すように、照明手段70からPTPシート71に対し光を照射し、ピンホールを通過する透過光をカメラ72により撮像して行うのが一般的である。
【0005】
ところが、従来の検査方法では、照明手段70に相対向するポケット部75の底部75aやシート部76に存在するピンホール80A,80Bを通過する光H1,H2を検出することは可能であるが、ポケット部75の側面部75bに存在するピンホール80Cを通過する光H3に関しては、十分な光量がカメラ72に達しないため、検出することは困難であった。
【0006】
その中でも、成形時に大きく負荷のかかるポケット部75の底部75aと側面部75bとが交わる角部75cには、他の部位よりもピンホールが形成されやすく、その発生頻度も高い。そのため、従来の検査方法では、ポケット部75の角部75cに存在するピンホール80Dを通過する光H4が検出されずに、良品と判別されるPTPシートが数多く発生するおそれがあった。
【0007】
そこで、近年では、魚眼レンズをポケット部へ近づけたり、ミラーをポケット内部に挿入したりして、ポケット部の側面部に開いたピンホールを検出する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−67947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特開平2−67947号公報に記載された魚眼レンズやミラーを用いる方法では、ポケット部の数分だけ魚眼レンズやミラー等を設けなければならない。しかも、検査の都度、魚眼レンズをポケット部の略中央部に配置したり、ミラーをポケット部内に挿入する必要がある。製造時におけるPTPシートは高速かつ連続して搬送されるとともに、当該PTPシート上には非常多くのポケット部が形成されるため、実際の製造過程において前記方法を採用することは現実的ではない。
【0009】
また、近年では、アルミ成形技術の進歩により、ポケット部の側面部の垂直方向に対する傾きθ(図8参照)を10度以下程度まで小さくすることも可能となってきているため、ポケット部の側面部に存在するピンホールを検出することがさらに困難となってきている。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、PTPシートの製造過程におけるピンホールの検出検査に関し、検査精度の飛躍的な向上を図ることのできる不良検査装置、及び、PTP包装機を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0012】
手段1.搬送される帯状かつ不透明の包装用フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容された後、前記ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムがシール状態で取着されるPTPシートの製造過程において用いられる不良検査装置であって、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容された後段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な照明手段と、
前記照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理手段とを備え、
前記画像処理手段は、前記画像信号から得た画像データに基づき、前記ポケット部に収容された錠剤の表面の明暗を判別することにより、前記ポケット部に存在するピンホールを検出可能に構成されていることを特徴とする不良検査装置。
【0013】
上記手段1によれば、搬送される帯状かつ不透明の包装用フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容された後、ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムがシール状態で取着されるPTPシートの製造過程において、不良検査装置によるピンホール検出検査が行われる。
【0014】
ポケット部にピンホールが存在する場合、照明手段から照射された光は、当該ピンホールを通過する。この場合、ポケット部に錠剤が収容されている状態では、ピンホールを通過した光は錠剤に照射される。そして、錠剤表面で乱反射(反射・拡散等)した光が撮像手段により撮像される。その結果、画像処理手段は、撮像手段から出力される画像信号から得た画像データに基づき、錠剤表面の明暗を判別することによりピンホールの有無を判別することができる。
【0015】
つまり、本手段のように錠剤収容後に透過照明を利用してピンホール検出検査を行うことにより、従来検出が困難であったポケット部側面のピンホールを検出することが可能となる。
【0016】
なお、ポケット部の深さ、錠剤の大きさ、ポケット部の側面部におけるピンホールの形成位置などの関係によっては、ピンホールを通過した光が錠剤に照射されず、ピンホールを検出できないことも懸念される。しかし、上記従来技術でも述べたように、ピンホールの多くは、ポケット部の底部と側面部とが交わる角部に形成されやすいため、多くの場合、例えばポケット部に比べ錠剤が比較的小さい場合でも問題なく、ピンホールを通過した光は錠剤に照射される。従って、本手段の検査装置を用いたピンホール検出検査は、ポケット部や錠剤の種類に関係なく幅広く対応でき、汎用性が高い。
【0017】
しかも、高速かつ連続して搬送され、多くのポケット部が形成されるPTPシートに対応した高速な処理が可能である。
【0018】
以下の手段2でも同様であるが、ピンホールを通過した光、ひいてはこれに基づく錠剤等の明暗は、例えば(1)輝度を計測する、(2)二値化又は多値化処理を行う、(3)差分処理を行う等して判別することができる。そして、これらの処理により得られた値を基に、当該値が許容範囲を超える部分、すなわち明るい部分があるか否かにより、ピンホールの有無を判別することができる。
【0019】
手段2.搬送される帯状かつ不透明の包装用フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容された後、前記ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムがシール状態で取着されるPTPシートの製造過程において用いられる不良検査装置であって、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容された後段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な照明手段と、
前記照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理手段とを備え、
前記画像処理手段は、前記画像信号から得た画像データに基づき、前記包装用フィルムを通過しかつ前記ポケット部に収容された錠剤の表面に反射した光を検出することにより、前記ポケット部に存在するピンホールを検出可能に構成されていることを特徴とする不良検査装置。
【0020】
上記手段2によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。錠剤の表面に反射した光は、ポケット部の内面(側面部など)において再度反射する場合もある。従って、上記手段2では、ポケット部の内面に反射した光を検出することで、間接的に、錠剤の表面に反射した光を検出してもよい。特に、ピンホールを通過した光が、錠剤表面のうち、ポケット部の底面側に面した部位に照射され反射した場合などにおいては、ポケット部の内面に反射した光として検出される場合が多い。なお、錠剤が収容されていない状態でも、ピンホールを通過した光がポケット部の内面に反射する可能性もあるが、この場合、ピンホールから反射面までの距離が比較的長くなるため、光の分散量が大きくなり、結果的に撮像手段に十分な光量が達しない場合が多い。この点、本手段のように、錠剤収容後に検出を行う場合、錠剤とポケット部の内面との間隔が狭くなるため、ポケット部の内面に反射した光を検出する場合でも、十分な光量を得ることができる。
【0021】
手段3.搬送される帯状かつ不透明の包装用フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容された後、前記ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムがシール状態で取着されるPTPシートの製造過程において用いられる不良検査装置であって、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容される前段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な第1照明手段と、
前記第1照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた第1撮像手段と、
前記第1撮像手段から出力される画像信号を処理する第1画像処理手段と、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容された後段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な第2照明手段と、
前記第2照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた第2撮像手段と、
前記第2撮像手段から出力される画像信号を処理する第2画像処理手段とを備え、
前記第1画像処理手段は、前記第1撮像手段から出力される画像信号から得た画像データに基づき、前記包装用フィルムの明暗を判別することにより、少なくとも前記ポケット部の底部及び当該ポケット部の領域外のシート部に存在するピンホールを検出可能に構成され、
前記第2画像処理手段は、前記第2撮像手段から出力される画像信号から得た画像データに基づき、前記ポケット部に収容された錠剤の表面の明暗を判別することにより、少なくとも前記ポケット部の側面部に存在するピンホールを検出可能に構成されていることを特徴とする不良検査装置。
【0022】
上記手段3によれば、上記手段1の作用効果に加え、錠剤収容後に検査を行うことのできないポケット部の底部のピンホール検出検査を行うことができる。つまり、錠剤収容前後にピンホール検出検査を行うことにより、シート全体の検査を行うことができ、検査精度がさらに向上する。
【0023】
手段4.搬送される帯状かつ不透明の包装用フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容された後、前記ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムがシール状態で取着されるPTPシートの製造過程において用いられる不良検査装置であって、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容される前段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な第1照明手段と、
前記第1照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた第1撮像手段と、
前記第1撮像手段から出力される画像信号を処理する第1画像処理手段と、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容された後段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な第2照明手段と、
前記第2照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた第2撮像手段と、
前記第2撮像手段から出力される画像信号を処理する第2画像処理手段とを備え、
前記第1画像処理手段は、前記第1撮像手段から出力される画像信号から得た画像データに基づき、前記包装用フィルムを通過した光を検出することにより、少なくとも前記ポケット部の底部及び当該ポケット部の領域外のシート部に存在するピンホールを検出可能に構成され、
前記第2画像処理手段は、前記第2撮像手段から出力される画像信号から得た画像データに基づき、前記包装用フィルムを通過しかつ前記ポケット部に収容された錠剤の表面に反射した光を検出することにより、少なくとも前記ポケット部の側面部に存在するピンホールを検出可能に構成されていることを特徴とする不良検査装置。
【0024】
上記手段4によれば、上記手段1〜3と同様の作用効果が奏される。
【0025】
手段5.前記第2照明手段は、光を拡散する拡散手段を備えていることを特徴とする手段4に記載の不良検査装置。
【0026】
上記手段5によれば、拡散光をフィルムに照射することにより、ポケット部の側面部に存在するピンホールを光が通過しやすくなるため、より確実に当該ピンホールを検出することができる。
【0027】
手段6.手段1乃至5のいずれかに記載の不良検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0028】
上記手段6のように、不良検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において不良品を効率的に除外できる等のメリットが生じる。
【0029】
手段7.前記包装用フィルムに前記ポケット部を成形するにあたり、当該ポケット部の底部がポケット部外側に向け凸となる形状とするポケット部成形手段を備えたことを特徴とする手段6に記載のPTP包装機。
【0030】
上記手段7によれば、ポケット部の底部が外側に向け凸となるため、収容される錠剤がポケット部の周縁部よりも中央部に載置されやすくなる。つまり、錠剤がポケット部の側面部と接触しにくくなり、両者間に隙間が形成されやすくなる。その結果、ポケット部の側面部に存在するピンホールを偏りなくより確実に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、不良検査装置をPTP包装機に装備することによって、PTP包装機においてPTPシートの不良が検査される。
【0032】
図2(a),(b)に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた包装用フィルムとしての容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルムとしての密封用フィルム4とを有している。
【0033】
本実施形態における容器フィルム3及び密封用フィルム4は、例えばアルミニウムによって構成され、光透過性を有していない不透明なものである。
【0034】
各ポケット部2には被充填物としての錠剤5が1つずつ収容されている。本実施形態では、図6等に示すように、ポケット部2の底部2aが下側に向け凸となるように略円弧状に膨出している。また、ポケット部2の側面部2bの垂直方向に対する傾きθが約10度に設定されている。
【0035】
図1に示すように、PTP包装機7は、錠剤5を容器フィルム3に自動的に包装するものである。具体的には、帯状のアルミニウムフィルムをフィルム送りロール9とテンションロール10,11とで、ポケット部成形手段としての成形装置13に送り込み、錠剤5充填用のポケット部2をアルミニウムフィルムに成形する。そして、アルミニウムフィルムにポケット部2の成形された容器フィルム3が、充填装置14の下まで送られてくると、充填装置14が各ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する。
【0036】
但し、本実施形態におけるPTP包装機7は、容器フィルム3を、アルミニウム製のみならず、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の比較的硬質で所定の剛性を有する熱可塑性樹脂材料によっても製造可能に構成された包装機(兼用機)である。そのため、成形装置13の上流側において加熱装置12を備えている。勿論、アルミニウム製の容器フィルム3を成形する場合には加熱装置12は使用されない。
【0037】
一方、帯状に形成された密封用フィルム4は、テンションロール16,17を介してフィルム受けロール18の方へと案内されている。フィルム受けロール18には、加熱ロール19が圧接可能となっており、該加熱ロール19の外周面には、僅かに凸状に形成された格子状の線(図示略)が設けられている。そして、両ロール18,19間に、容器フィルム3及び密封用フィルム4が送り込まれるようになっている。両フィルム3,4が、両ロール18,19間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3に密封用フィルム4が取着される。これによって、錠剤5が各ポケット部2に充填された長尺状のPTPフィルム20が製造される。
【0038】
さて、本実施形態における不良検査装置は、容器フィルム3の不良を検査するためのものであり、第1不良検査装置21Aと第2不良検査装置21Bとから構成される。そして、容器フィルム3の移送経路に沿って、第1不良検査装置21Aが充填装置14の上流側に、第2不良検査装置21Bが充填装置14の下流側にそれぞれ配置されている。
【0039】
不良検査装置21A,21Bは、容器フィルム3に存在するピンホールの検出を主目的とする検査を行うものである。
【0040】
より詳しくは、第1不良検査装置21Aは、ポケット部2の底部2aやシート部3a(図6等参照)等に存在するピンホールの検出を主目的とする検査(以下、便宜上「錠剤投入前検査」と称する。)を行うものである。第2不良検査装置21Bは、ポケット部2の側面部2bや当該側面部2bと底部2aとが交わる角部2c(図6等参照)等に形成されたピンホールの検出を主目的とする検査(以下、便宜上「錠剤投入後検査」と称する。)を行うものである。
【0041】
上記検査を経て、容器フィルム3に密封用フィルム4が取着された後、PTPフィルム20は、図示しない打抜装置によってPTPシート1単位に裁断される。なお、第1不良検査装置21A又は第2不良検査装置21Bによって不良品判定された場合、その不良品判定となったPTPシートは、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0042】
さて、PTP包装機7の概略は以上のとおりであるが、以下においては図4に基づき、不良検査装置21A,21Bについてより具体的に説明する。
【0043】
第1不良検査装置21Aは、第1照明手段としての照明装置22A、第1撮像手段としてのカメラ23A、第1画像処理手段としての画像処理装置24A、モニタ25A及びキーボード26A等を備えている。
【0044】
同様に、第2不良検査装置21Bは、第2照明手段(照明手段)としての照明装置22B、第2撮像手段(撮像手段)としてのカメラ23B、第2画像処理手段(画像処理手段)としての画像処理装置24B、モニタ25B及びキーボード26B等を備えている。
【0045】
まずは、照明装置22A,22Bについて詳細に説明する。本実施形態における照明装置22A,22Bは、容器フィルム3のポケット部2突出側に設けられており(図6等参照)、面発光が可能となっている。
【0046】
照明装置22Bの断面図である図3から分かるとおり、照明装置22A,22Bの内部には、LED実装基板28が設けられ、LED実装基板28には光源としての赤外光LED28aが多数配列されている。さらに、照明装置22Bに関しては、容器フィルム3と平行に延びる拡散手段としての拡散板27を有している。従って、本実施形態では、照明装置22Aからは、赤外光が容器フィルム3に対し略直交に照射されるのに対し、照明装置22Bからは、赤外光が拡散して容器フィルム3に対し一部斜めに照射される。尚、赤外光の波長としては、760nm〜1100nm程度であることが望ましく、より好ましくは850nm〜950nmである。
【0047】
また、図6等に示すように、各カメラ23A,23Bは、それぞれ前記容器フィルム3を介して各照明装置22A,22Bとは反対側に設けられており、各照明装置22A,22Bから照射される光のうち、容器フィルム3を透過した光を撮像可能となっている。本実施形態では、各カメラ23A,23Bとして、少なくとも赤外光に感度のあるモノクロCCDカメラが採用されている。
【0048】
そして、各カメラ23A,23Bによって撮像された画像データは、各カメラ23A,23B内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で各画像処理装置24A,24Bに入力されるようになっている。
【0049】
各画像処理装置24A,24Bは、それぞれ各カメラ23A,23Bに対応した画像メモリ41A,41B、マスキング手段42A,42B、二値化手段43A,43B、判定用メモリ44A,44B、検査結果及び統計データメモリ45A,45B、カメラタイミング制御手段46A,46B、並びに、CPU及び入出力インターフェース47A,47Bなどから構成され、後述するような画像データの処理や、不良判定(各検査)等を実施可能なっている。
【0050】
各カメラ23A,23Bで撮像された画像データは、デジタル信号に変換された後、それぞれ対応する各画像メモリ41A,41Bに記憶される。また、各画像データは、検査時において、各マスキング手段42A,42Bによりマスキング処理が行われた後、再度各画像メモリ41A,41Bに記憶され、同様に、各二値化手段43A,43Bにより二値化された後、再度各画像メモリ41A,41Bに記憶される。
【0051】
各CPU及び入出力インターフェース47A,47Bは、各種処理プログラムを各判定用メモリ44A,44Bの記憶内容などを使用しつつ実行するとともに、PTP包装機7に制御信号を送出し又はPTP包装機7から動作信号などの各種信号を送受信するためのものである。これによって、例えば、PTP包装機7の不良シート排出機構などを制御することができるようになっている。また、CPU及び入出力インターフェース47A,47Bは、各モニタ25A,25Bに表示データを送出する機能をも有する。かかる機能により、各種画像データや検査結果などを、各モニタ25A,25Bに表示させることができるようになっている。さらに、CPU及び入出力インターフェース47A,47Bは、キーボード26A,26Bからのデータを入力する機能をも有する。
【0052】
検査結果及び統計データメモリ45A,45Bは、画像データに関する座標等のデータ、検査結果データ、及び、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの検査結果データや統計データは、CPU及び入出力インターフェース47A,47Bの制御に基づき、適宜各モニタ25A,25Bに表示させることができる。また、これらの検査結果データや統計データに基づいてCPU及び入出力インターフェース47A,47BがPTP包装機7に制御信号を送出することもできる。
【0053】
カメラタイミング制御手段46A,46Bは、各カメラ23A,23Bが撮像する画像データを、各画像メモリ41A,41Bに取り込むタイミングを制御するものである。かかるタイミングはPTP包装機7に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて制御され、容器フィルム3を所定量送るごとに各カメラ23A,23Bによるシート単位(例えば打ち抜かれるPTPシート単位)で撮像が行われる。
【0054】
次に、上記不良検査(ピンホール検出検査)の手順について図5のフローチャート等に従って説明する。なお、本実施形態では、錠剤投入前検査及び錠剤投入後検査における手順は同様であるため、図5を用いて併せて説明する。
【0055】
同図に示すように、「検査ルーチン」において、まずステップS101では、検査対象たる一シートあたりの容器フィルム3の検査濃淡画像を取得する。
【0056】
ステップS102においては、ステップS101において取得した濃淡画像データを所定の閾値を基準に二値化し、当該二値化画像データを画像メモリ41A(又は41B)に格納する。
【0057】
続くステップS103では、ステップS102で取得した二値化画像データに塊処理を行う。この処理により、所定の閾値を超える輝度を有する画素部分が画定される。なお、錠剤投入後検査の際には、当該検査がポケット部領域内のみの検査であるため、検査対象外となるシート部領域に事前にマスキングを施す処理が行われることとしてもよい。
【0058】
そして、ステップS104において塊の有無を判別する。ここで、一シートあたりの領域に塊なしと判定された場合には、ステップS105において良品判定を行い、本処理を終了する。一方、塊ありと判定された場合には、ステップS106において不良品判定を行い、本処理を一旦終了する。これらの検査結果は、モニタ25やPTP包装機7(不良シート排出機構を含む)に出力される。
【0059】
以上詳述したように、本実施形態では、錠剤5の投入前後においてピンホール検出検査が行われる。
【0060】
図6に示すように、錠剤投入前検査では、照明装置22Aから容器フィルム3に対し赤外光が略直交して照射される。そして、ポケット部2の底部2aやシート部3aにピンホール50A,50Bが存在する場合には、当該ピンホール50A,50Bを通過した透過光G1,G2がカメラ23Aにより撮像される。カメラ23Aから得た画像データに基づき、画像処理装置24Aでは、容器フィルム3の明暗が判別され、ピンホール50A,50Bが検出される。
【0061】
一方、錠剤投入後検査では、図7に示すように、照明装置22Bから赤外光が拡散して容器フィルム3に対し照射される。そして、ポケット部2の側面部2bや角部2cにピンホール50C,50Dが存在する場合には、当該ピンホール50C,50Dを通過した透過光G3,G4が錠剤5に照射される。そして、錠剤5の表面で乱反射(反射・拡散等)し、これがカメラ23Bにより撮像される。カメラ23Bから得た画像データに基づき、画像処理装置24Bでは、錠剤5の表面の明暗が判別され、ピンホール50C,50Dが検出される。
【0062】
このように錠剤投入後に透過照明を利用してピンホール検出検査を行うことにより、従来検出が困難であったポケット部2の側面部2bや角部2cのピンホール50C,50Dを検出することが可能となる。さらに、高速かつ連続して搬送され、多くのポケット部2が形成される容器フィルム3に対応してピンホール検出検査をより高速に行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、ポケット部2の底部2aが下側に向け凸となるように略円弧状に膨出している。このため、収容される錠剤5がポケット部2の周縁部よりも中央部に載置されやすくなる。つまり、錠剤5がポケット部2の側面部2bと接触しにくくなり、両者間に隙間が形成されやすくなる。その結果、ポケット部2の側面部2bや角部2cのピンホール50C,50Dを偏りなくより確実に検出することが可能となる。
【0064】
以上説明した実施形態において、例えば、次のように構成の一部を適宜変更して実施することも可能である。勿論、以下において例示しない他の変更例も当然可能である。
【0065】
(a)上記実施形態では、ポケット部2に収容される錠剤の態様例として平錠である錠剤5を例示しているが、錠剤の種類はこれに限られるものではなく、例えばカプセル錠やレンズ錠等であってもよい。
【0066】
(b)上記実施形態では、錠剤投入前検査及び錠剤投入後検査の双方を行う構成となっているが、少なくとも錠剤投入後検査のみを実施する構成としてもよい。ピンホールの多くは、ポケット部2の角部2cに形成されやすいため、錠剤投入後検査においてシート部3aを併せて検査すれば、ほぼシート全体を検査したこととなるため、このような構成でも十分に機能を果たすことができる。但し、検査精度を高める上でも、錠剤投入後に検査を行うことのできないポケット部2の底部2aの検査を行い、シート全体の検査を行うことができる上記実施形態の構成とすることがより好ましい。
【0067】
(c)上記実施形態では、容器フィルム3や錠剤5の明暗を判別するにあたり、検査濃淡画像を二値化する処理を行っているが、これに限らず、輝度を計測したり、多値化処理や差分処理等を行うことにより、錠剤5等の明暗を判別する構成としてもよい。
【0068】
(d)上記実施形態では、アルミニウム製の容器フィルム3に対しピンホール検出検査を行う構成となっているが、これに限らず、上記実施形態の検査方法は、樹脂フィルム等でも透光性の乏しいものなら適用できる。
【0069】
(e)上記実施形態では、光源として赤外光を照射可能な赤外光LED28aを採用しているが、例えば可視光を照射可能な光源を採用することとしてもよい。また、容器フィルム3が樹脂フィルムでUVカットのものであれば、青色光や紫外光を使用すれば検査しやすくなる。
【0070】
(f)上記実施形態におけるPTP包装機7は、容器フィルム3を、アルミニウムのみならず、樹脂フィルムによっても製造可能な兼用機であるが、透明な樹脂フィルムによって容器フィルム3を形成する場合には、不良検査装置21A,21Bではピンホール検出検査とは異なる検査を行うこととなる。例えば、錠剤投入前の第1不良検査装置21Aでは、シート部3a上に存在する毛髪等の異物検出検査が行われ、錠剤投入後の第2不良検査装置21Bでは、錠剤5の有無、割れ、欠け等を検出する検査が行われる。
【0071】
(g)上記実施形態では、第1不良検査装置21Aと第2不良検査装置21Bとがそれぞれ独立して設けられているが、これに限らず、両不良検査装置21A,21Bが一体に設けられた構成としてもよい。この場合、例えば照明装置22A,22Bや、カメラ23A,23B等は別々に設けられるが、画像処理装置24A,24B、モニタ25A,25B及びキーボード26A,26B等が共通化される。
【0072】
(h)第1不良検査装置21Aの照明装置22Aが拡散光を照射する構成としてもよい。
【0073】
(i)上記実施形態では、ポケット部2の側面部2bの垂直方向に対する傾きθが約10度に設定されている。これに限らず、例えば0度〜30度の傾きがある側面部2bであれば、上記実施形態の検査方法がより奏効する。
【0074】
(j)上記実施形態では、ポケット部2の底部2aが下側に向け凸となるように略円弧状に膨出している。ポケット部2の形状はこれに限定されるものではない。例えばポケット部2の底部2aが平坦になった構成であってもよい。
【0075】
(k)上記実施形態では、各カメラ23A,23Bとして、少なくとも赤外光に感度のあるモノクロCCDカメラが採用されている。これに限らず、カラーカメラを採用してもよい。カラーカメラであっても上記検査は同様に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】一実施形態におけるPTP包装機等の概略構成を示す模式図である。
【図2】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPシートを示す部分拡大断面図である。
【図3】照明装置を模式的に示す部分断面図である。
【図4】不良検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】「検査ルーチン」を示すフローチャートである。
【図6】錠剤投入前検査における光路を示す模式図である。
【図7】錠剤投入後検査における光路を示す模式図である。
【図8】従来の検査における光路を示す模式図である。
【符号の説明】
【0077】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…密封用フィルム、5…錠剤、7…PTP包装機、21A,21B…不良検査装置、22A,22B…照明装置、23A,23B…カメラ、24A,24B…画像処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される帯状かつ不透明の包装用フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容された後、前記ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムがシール状態で取着されるPTPシートの製造過程において用いられる不良検査装置であって、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容された後段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な照明手段と、
前記照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理手段とを備え、
前記画像処理手段は、前記画像信号から得た画像データに基づき、前記ポケット部に収容された錠剤の表面の明暗を判別することにより、前記ポケット部に存在するピンホールを検出可能に構成されていることを特徴とする不良検査装置。
【請求項2】
搬送される帯状かつ不透明の包装用フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容された後、前記ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムがシール状態で取着されるPTPシートの製造過程において用いられる不良検査装置であって、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容された後段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な照明手段と、
前記照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理手段とを備え、
前記画像処理手段は、前記画像信号から得た画像データに基づき、前記包装用フィルムを通過しかつ前記ポケット部に収容された錠剤の表面に反射した光を検出することにより、前記ポケット部に存在するピンホールを検出可能に構成されていることを特徴とする不良検査装置。
【請求項3】
搬送される帯状かつ不透明の包装用フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容された後、前記ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムがシール状態で取着されるPTPシートの製造過程において用いられる不良検査装置であって、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容される前段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な第1照明手段と、
前記第1照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた第1撮像手段と、
前記第1撮像手段から出力される画像信号を処理する第1画像処理手段と、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容された後段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な第2照明手段と、
前記第2照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた第2撮像手段と、
前記第2撮像手段から出力される画像信号を処理する第2画像処理手段とを備え、
前記第1画像処理手段は、前記第1撮像手段から出力される画像信号から得た画像データに基づき、前記包装用フィルムの明暗を判別することにより、少なくとも前記ポケット部の底部及び当該ポケット部の領域外のシート部に存在するピンホールを検出可能に構成され、
前記第2画像処理手段は、前記第2撮像手段から出力される画像信号から得た画像データに基づき、前記ポケット部に収容された錠剤の表面の明暗を判別することにより、少なくとも前記ポケット部の側面部に存在するピンホールを検出可能に構成されていることを特徴とする不良検査装置。
【請求項4】
搬送される帯状かつ不透明の包装用フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容された後、前記ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムがシール状態で取着されるPTPシートの製造過程において用いられる不良検査装置であって、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容される前段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な第1照明手段と、
前記第1照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた第1撮像手段と、
前記第1撮像手段から出力される画像信号を処理する第1画像処理手段と、
少なくとも前記ポケット部に錠剤が収容された後段階において、前記包装用フィルムに対し所定の光を照射可能な第2照明手段と、
前記第2照明手段とは前記包装用フィルムを介して反対側に設けられた第2撮像手段と、
前記第2撮像手段から出力される画像信号を処理する第2画像処理手段とを備え、
前記第1画像処理手段は、前記第1撮像手段から出力される画像信号から得た画像データに基づき、前記包装用フィルムを通過した光を検出することにより、少なくとも前記ポケット部の底部及び当該ポケット部の領域外のシート部に存在するピンホールを検出可能に構成され、
前記第2画像処理手段は、前記第2撮像手段から出力される画像信号から得た画像データに基づき、前記包装用フィルムを通過しかつ前記ポケット部に収容された錠剤の表面に反射した光を検出することにより、少なくとも前記ポケット部の側面部に存在するピンホールを検出可能に構成されていることを特徴とする不良検査装置。
【請求項5】
前記第2照明手段は、光を拡散する拡散手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の不良検査装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の不良検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【請求項7】
前記包装用フィルムに前記ポケット部を成形するにあたり、当該ポケット部の底部がポケット部外側に向け凸となる形状とするポケット部成形手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載のPTP包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−36522(P2009−36522A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198506(P2007−198506)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】