説明

並進的な自由度を有する伝動装置ユニット

本発明は、特に車両ホイール(1)に用いられる伝動装置ユニット(5)に関する。当該伝動装置ユニット(5)は、入力ピニオン(13)を備えた入力軸(11)と、該入力軸に対して平行な、出力歯車(15)を備えた出力軸(16)とを有しており、入力軸(11)と出力軸(16)とは、互いに並進的(9)に運動可能である。当該伝動装置ユニットはプラネタリ歯車(14)によりすぐれており、該プラネタリ歯車(14)は入力ピニオン(13)と出力歯車(15)とに噛み合っている。プラネタリ歯車(14)は、第1のプラネタリキャリヤ(19)と第2のプラネタリキャリヤ(20)とに共通である1つのプラネタリキャリヤ軸線(21)に支承されており、第1のプラネタリキャリヤ(19)は、入力軸(11)に対して同軸的に支承されており、第2のプラネタリキャリヤ(20)は、出力軸(16)に対して同軸的に支承されている。当該伝動装置ユニットは、最小限の所要構成スペースにおいて、入力部と出力部との間の並進的な分離を可能にする。たとえば、ホイールハブモータを、駆動されるホイールのバウンド運動に関してホイールサスペンションから分離することが可能となり、これにより、ホイールサスペンションの、ばね支持されていない質量が減じられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の、特に車両ホイールを駆動するための、入力軸と出力軸とを備えた伝動装置ユニットであって、入力軸と出力軸とが、互いに並進的に運動可能である形式のものに関する。
【0002】
入力軸が出力軸に対して相対的に並進的に可動となるような、駆動トルクを伝達するための伝動装置ユニット、つまり入力軸と出力軸とが互いにほぼ平行に移動され得ると同時にトルク伝達が行われるような伝動装置ユニットは公知である。冒頭で述べた形式の伝動装置ユニットの例は、ホイールサスペンションに設けられたハーフシャフトもしくはカルダンシャフト、あるいはまたチェーンまたはベルトを備えた特殊なパワートレーンである。
【0003】
しかし、並進的な運動自由度を有する、このような公知の伝動装置ユニットは、一方では手間がかかり、他方では両軸の互いに相対的な並進可動性を実現するためにかなりの規模の構成スペースを必要とする。さらに、この公知の伝動装置ユニットは、力伝達エレメント(ベルト、チェーン、カルダンジョイント)の長さ補償のための手段が講じられない場合には、構成に応じて、両軸の運動の特定の運動特性に制限されているが、しかしこのような長さ補償のための手段も、やはり付加的な構造的手間を意味する。
【0004】
自動車のホイールを駆動するためのこのような伝動装置ユニットの使用事例では、まず、パワートレーンとホイールサスペンション/ホイールガイドとから成る総合システムが考えられる。この場合、ホイールサスペンションは通常、多数のリンク、たとえばトレーリングアーム(Laengslenker)、セミトレーリングアーム(Schraeglenker)、コントロールアーム(Querlenker)またはピボットビームアクスルもしくはカップルドビームアクスル(Verbundlenker)を有している。
【0005】
所属のパワートレーンは自動車において通常、フランジ締結された変速伝動装置または自動変速機を備えた内燃機関と、1つまたは2つの入力軸と、ホイールに通じた所属のハーフシャフトを備えた1つまたは複数のディファレンシャルとを有している。これらの構成アッセンブリは、特にこれらの構成アッセンブリがホイールガイドリンクならびにハーフシャフトを有している場合には、つまりこれらの構成アッセンブリがホイールサスペンションに対応されなければならない場合には、自動車のホイールの範囲においてかなりの構成スペースを占めるので、この構成スペースはもはや別の目的のためには利用され得なくなり、ひいては乗客、荷物あるいはまた技術的な構成アッセンブリのために提供されているスペースを減少させてしまう。
【0006】
この場合、コンベンショナルなパワートレーンに含まれている構成アッセンブリ、特にホイールガイドリンクおよび入力軸を任意に小さくしたり、短くしたりすることはできない。なぜならば、これによってホイールのバウンド運動時における不都合な運動学的特性が生ぜしめられてしまうからである。
【0007】
しかし、パワートレーンもしくは自動車駆動装置における開発は、ますますハイブリッドコンセプト志向を強めている。ハイブリッドコンセプトには、特にシリーズ型ハイブリッドも包含されている。シリーズ型ハイブリッドの場合、内燃機関と駆動ホイールとの間にもはや機械的な結合が存在しない。その代わりに、シリーズ型ハイブリッドでは、内燃機関が、たとえば発電機を駆動するようになっており、発電機は駆動ホイールに結合された電気モータに電気を供給する。同様の配置構成は純然たる電気車両においても採用され得る。この場合、エネルギは内燃機関により供給されるのではなく、電気的なエネルギ蓄え器により供給される。また、シリーズ型ハイブリッドと電気車両との間の種々の混合変化形も考えられ、既に存在している。
【0008】
伝動装置ユニットのために必要とされるコンポーネントの点数ならびに該コンポーネントの所要構成スペースおよび質量をできるだけ小さく保持するために、このような車両コンセプトにおいては、電気的な走行モータを直接にホイールに対応させ、かつできるだけホイールの近くに、もしくはホイールハブモータとしてホイール自体に収納することが部分的に試みられている。こうして、コンベンショナルなパワートレーンの大部分を不要にすることができるか、もしくはエネルギ発生器と自動車のホイールハブモータとの間の、容易にかつフレキシブルに敷設され得る電気的な線路により代えることができる。
【0009】
付加的に既に、ホイールサスペンション自体をも、所属のばね/ダンパユニットと共にホイールリムの内室に収納するか、もしくはホイールのすぐ近傍に収納し、これにより、従来コンベンショナルなホイールサスペンションにおいて公知のリンク構造のために必要とされている構成スペースを節約してなお一層多くの構成スペースを獲得する努力も成されている。
【0010】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第69806444号明細書に基づき、ホイールのリム内に組込み可能なホイールサスペンションが公知である。このホイールサスペンションでは、付加的にたとえば電気的な駆動モータも、少なくとも部分的にホイールリムの内室に収納され得る。しかし、この公知のホイールサスペンションでは、電気的な駆動モータが、それぞれホイールキャリヤに固くフランジ締結されている。それゆえに、駆動モータの質量が、ホイールサスペンションのばね支持されていない質量に加算されなければならない。自動車のホールハブ駆動装置のために使用可能となる電気モータは所要の性能に基づき、かなりの質量を有しているので、これによってホイールサスペンションのばね支持されていない質量は著しく増大され、これにより乗り心地が著しく損なわれる恐れがある。
【0011】
さらに、欧州特許出願公開第0270521号明細書には、入力ピニオンを備えた入力軸と、出力歯車を備えた出力軸とを有する伝動装置ユニットが既に開示されている。この場合、入力軸の軸線と出力軸の軸線とは互いに平行に延びている。両軸線は互いに対して並進的に運動可能である。さらに、プラネタリ歯車が設けられている。このプラネタリ歯車は入力歯車および出力歯車と噛み合っていて、プラネタリキャリヤ軸線に沿って支承されている。このプラネタリキャリヤ軸線は第1のプラネタリキャリヤと第2のプラネタリキャリヤとに共通であり、この場合、第1のプラネタリキャリヤは入力軸に対して同軸的に支承されており、第2のプラネタリキャリヤは出力軸に対して同軸的に支承されている。この構成において欠点となるのは、入力軸と出力軸とが両軸の長手方向で互いにオーバラップしているので、両軸線の互いに相対的な並進的な運動時に、両軸線が、ある程度の最小間隔を置いて互いの傍らを通って運動しなければならず、その結果、比較的大きな構成スペースが必要とされるという不都合が生じることである。
【0012】
このような技術背景に鑑み、本発明の課題は、公知先行技術の上で述べた欠点を克服する、特に車両ホイール(ただし必ずしも車両ホイールに限定されるわけではない)のための伝動装置ユニットを提供することである。特に、当該伝動装置ユニットは入力軸と出力軸との間の並進的な分離を可能にすると同時に、できるだけ小さな構成スペースしか占めないことが望まれる。こうして、特に、ホイールのバウンド運動に関してホイールハブモータをホイールサスペンションから分離し、こうしてホイールサスペンションのばね支持されていない質量を著しく減少させることが可能となることが望まれる。
【0013】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する伝動装置ユニットにより解決される。本発明の有利な実施態様は請求項2以下に記載されている。
【0014】
自体公知の形式で、本発明による伝動装置ユニット(特に自動車のホイールを駆動するために適しているが、ただし必ずしもこれに限定されるものではない)は、入力軸と、該入力軸に対して平行な方向に配置された出力軸とを有している。この場合、入力軸には入力ピニオンが配置されており、出力軸には出力歯車が配置されている。やはり自体公知の形式で、入力軸と出力軸とは互いに平行に、もしくはその各回転軸線に対して直角の方向に互いに偏心的に運動可能であり、これによりこうして入力軸と出力軸との間の並進的な移動もしくは間隔変化を補償することができると同時にトルク伝達を行うことができる。
【0015】
しかし、本発明によれば、当該伝動装置ユニットは、入力ピニオンとも出力歯車とも噛み合っているプラネタリ歯車によりすぐれている。このためには、プラネタリ歯車が1つのプラネタリキャリヤ軸線に沿って支承されており、この場合、このプラネタリキャリヤ軸線は第1のプラネタリキャリヤと第2のプラネタリキャリヤとに共通である。第1のプラネタリキャリヤは入力軸に対して同軸的に支承されており、第2のプラネタリキャリヤは出力軸に対して同軸的に支承されている。
【0016】
しかし、本発明によれば、当該伝動装置ユニットは、出力軸が、並進的な運動を描くようになっており、該並進的な運動時に入力軸と出力軸とが、端面側で互いの傍らを通って運動可能であり、所定の相対位置で入力軸と出力軸とが、互いに同軸的に位置決めされていることを特徴としている。
【0017】
このことは言い換えれば、プラネタリ歯車が、その共通のプラネタリキャリヤ軸線によって互いに連結されている両プラネタリキャリヤによって常時、プラネタリ歯車が入力ピニオンとも出力歯車とも永続的に噛み合うように案内されることを意味している。入力軸に対して同軸的に支承されている第1のプラネタリキャリヤにより、プラネタリ歯車は入力ピニオンと噛み合ったままとなり、この場合、出力軸に対して同軸的に支承されている第2のプラネタリキャリヤにより、プラネタリ歯車は出力歯車と噛み合ったままとなる。
【0018】
すなわち、たとえばコンベンショナルな遊星歯車伝動装置とは異なり、本発明による伝動装置ユニットでは、サンギヤ(太陽歯車)におけるプラネタリキャリヤの中央の懸吊部を中心としたプラネタリキャリヤの回転は行われない。それどころか、本発明による伝動装置ユニットのプラネタリキャリヤは、入力軸の回転軸線をも、出力軸の回転軸線をも中心としたプラネタリ歯車の調整された旋回運動を保証すると同時に、プラネタリ歯車と入力ピニオンとの永続的な噛合いも、プラネタリ歯車と出力歯車との永続的な噛合いも保証するために働く。
【0019】
こうして、本発明によれば、入力ピニオンを備えた入力軸と、出力歯車を備えた出力軸とを、互いに対して並進的に平行移動させることができるという利点が得られる。この場合、入力ピニオンと出力歯車とは、端面側で互いの傍らを通って運動可能であり、それと同時に、プラネタリ歯車を用いた入力ピニオンと出力歯車との間のトルク結合は維持され、かつ永続的に保証されている。
【0020】
この場合、本発明による伝動装置ユニットを極めてコンパクトに形成することができるので特に有利である。なぜならば、本発明による伝動装置ユニットは原理的に、たとえばコンベンショナルな遊星歯車伝動装置と同様にほとんどスペースを必要としないからである。したがって、並進的な自由度、たとえばハーフシャフトもしくはカルダンシャフトを有する公知先行技術に基づいて公知のパワートレーンに比べて、本発明を用いると、公知の解決手段の所要構成スペースの数分の一にしか相当しない、著しく減じられた所要構成スペースが達成される。
【0021】
本発明はさしあたり、プラネタリ歯車への入力ピニオンおよび出力歯車の同時の噛合いが保証されている限りは、入力ピニオンと出力歯車とが具体的にどのように形成されているのかとは無関係に実現され得る。たとえば、出力歯車は同じくピニオンであってよい。その場合、このピニオンは入力ピニオンに対してほぼ平行に配置されていて、入力ピニオンと同様にプラネタリ歯車と噛み合っている。この場合、入力ピニオンの噛合いも、出力歯車の噛合いも、入力ピニオンとプラネタリ歯車との間ならびに出力ピニオンとプラネタリ歯車との間の連結された両プラネタリキャリヤによって保証されている。
【0022】
しかし、本発明の特に有利な実施態様では、出力ピニオンがリングギヤとして形成されている。したがって、特に本発明のこの実施態様は、一見すると、遊星歯車伝動装置に近い。この場合、入力ピニオンは遊星歯車伝動装置のサンギヤに相当し、プラネタリ歯車は遊星歯車伝動装置のプラネタリピニオンに相当し、出力歯車は遊星歯車伝動装置のリングギヤに相当している。しかし、遊星歯車伝動装置とは異なり、本発明による伝動装置ユニットにおけるプラネタリ歯車は1つのプラネタリキャリヤによって案内されるのではなく、2つの(場合によっては標準の)プラネタリキャリヤによって案内され、この場合、第1のプラネタリキャリヤは入力軸に対して同軸的に(有利には直接に入力軸に)支承されており、第2のプラネタリキャリヤは出力軸に対して同軸的に(有利には直接に出力軸に)支承されており、そして両プラネタリキャリヤは、プラネタリ歯車の軸線と整合する共通のプラネタリキャリヤ軸線を有している。
【0023】
出力歯車としてリングギヤを使用する本発明の実施態様は、伝動装置ユニットがこうして、本発明によればもともと既にそうであったよりもさらに一層コンパクトに形成され得るという点で特に有利である。それと同時に、リングギヤ内で提供されている運動空間内での入力ピニオンの自由な並進可動性に基づき、入力軸と出力軸との、可能となる並進的な相対運動の最大化が得られる。
【0024】
原理的には、本発明は、歯車の噛合いが保証されている限りは、サイズや、入力ピニオンとプラネタリ歯車と出力歯車との間の歯数比とは無関係に実現され得る。しかし、本発明の特に有利な実施態様では、第1のプラネタリキャリヤと第2のプラネタリキャリヤとが、同一の作用半径を有している。このことは言い換えれば、入力軸とプラネタリ歯車の軸線との間の間隔が、出力軸とプラネタリ歯車の軸線との間の間隔と一致していること、すなわちプラネタリ歯車の軸線と入力軸との間隔が、プラネタリ歯車と出力軸との間隔に等しくなることを意味する。
【0025】
このような実施態様は、こうして入力軸と出力軸との間に最大の軸線オフセットもしくは入力軸と出力軸との間の最大の並進運動自由度が達成される点で有利である。さらに、別の決定的な利点として、本発明による伝動装置ユニットの運動自由度の枠内では、ジオメトリック(幾何学的)な理由から、入力軸と出力軸との間の任意の並進運動によって入力軸と出力軸との間に回転数誤差が誘発されることはないことが挙げられる。このことは、伝動装置ユニットの、この場合には同じ作用半径を有しているプラネタリキャリヤが、並進運動時に基本的に同じ角度量だけ旋回させられることに関連している。これにより、誘発された回転角度もしくは回転数誤差は、伝動装置ユニットの内部でしか発生せず、しかも外部に対しては完全に補償される。
【0026】
本発明のさらに別の特に有利な実施態様では、両プラネタリキャリヤが、それぞれ2つの支承部を有する旋回レバーとして形成されている。このような実施態様も、本発明による伝動装置ユニットの特にコンパクトな構成のために役立つ。したがって、このような実施態様では、プラネタリキャリヤの機能が、伝動装置ユニットのプラネタリ歯車を入力軸ならびに出力軸に結合させるか、もしくは入力軸と出力軸とに対して相対的に旋回可能に支承し、かつそれと同時にプラネタリ歯車と入力ピニオンとの間ならびにプラネタリ歯車と出力歯車との間の適正な間隔、ひいては歯の噛合いを保証するという役目に減じられている。
【0027】
本発明の実現はさしあたり、入力軸と出力軸との間での並進的な相対運動可能性の構造的な実現とは無関係である。伝動装置ユニットの並進的な相対運動可能性は、ホイールサスペンションにおける使用事例では、たとえば自体公知のリンク機構によって実現され得る。
【0028】
しかし、本発明のさらに別の有利な実施態様では、伝動装置ユニットが、付加的に設けられたリニアガイドもしくは直動案内によりすぐれている。リニアガイドによって、入力軸と出力軸との間のリニアな、つまり線状の並進相対運動が保証され、そして入力軸と出力軸との間の運動自由度は、相応して、所望の並進的な運動に限定されている。このようなリニアガイドは、該リニアガイドが、特にホイールサスペンションにおけるリンク機構と比べて、最小限の構成スペースしか要求しないという点で特に有利である。
【0029】
特にこのような背景を考慮して、本発明のさらに別の有利な実施態様では、当該伝動装置ユニットが、ホイール駆動装置として形成されていて、ホイールリムに組み込まれており、それと同時に出力歯車が、直接にホイールハブに結合されている。当該伝動装置ユニットがこの場合、ホイールハブ駆動装置として形成されていて、直接に駆動モータに結合されていると有利である。
【0030】
こうして、極めてコンパクトなホイールハブ駆動装置を形成することができる。このホイールハブ駆動装置はさしあたり、ハーフシャフトやチェーン伝動装置のような汎用の駆動要素が必要となることなしに、駆動されるホイールの鉛直方向のバウンド運動が、損なわれずに可能となるという大きな利点を有している。それどころか、本発明による伝動装置ユニットはこの実施態様では、駆動されるホイールの自由な、特に鉛直方向のバウンド運動を可能にする。それと同時に、ホイールの、ホイールハブ内に突入している入力軸は、ホイールの鉛直方向の運動に従動するのではなく、鉛直方向において位置固定されていてよい。したがって、入力軸は、たとえば直接に車両シャーシに支承され得るか、もしくは直接にアクスル駆動装置またはホイール駆動装置に結合され得る。
【0031】
さらに、本発明による伝動装置ユニットが、直接に接続された駆動モータを備えたホイール駆動装置として構成されている場合には、次のような大きな利点が得られる。すなわち、駆動モータは、たとえば直接にホイールハブに配置されているけれども、ホイールハブもしくはホイールキャリヤに固く結合されている必要はなく、ホイールのバウンド運動に関してこのホイールから完全に分離されて配置され得る。このことは言い換えれば、本発明による伝動装置ユニットを有するホイール駆動装置の駆動モータが、特にボディ固定もしくはシャーシ固定に配置され得るのに対して、駆動されるホイールは、この駆動装置によって影響を与えられることなくそのバウンド運動を実施し得ることを意味する。こうして、公知先行技術に基づき公知のホイールハブ駆動装置、すなわち駆動モータが、ホイールサスペンションのばね支持されていない質量に常時加算されてしまうようなホイールハブ駆動装置の持つ欠点が取り除かれる。これにより、本発明によれば、汎用のホイールサスペンションと比較可能なばね弾性的なサスペンション快適性を提供するホイールハブ駆動装置を形成することが可能となる。
【0032】
ホイールハブ駆動装置の駆動モータとしては、原理的には任意のモータを使用することができる。この場合、たとえばハイドロリックモータも考えられる。特に本発明による伝動装置ユニットが、電気駆動装置もしくはハイブリッド駆動装置を備えた乗用車の領域において使用されることに鑑み、本発明のさらに別の有利な実施態様では、ホイールハブ駆動装置の駆動モータが電気モータである。
【0033】
こうして、極めてコンパクトな電気式のホイールハブ駆動装置が得られる。この電気式のホイールハブ駆動装置は、たとえばバッテリもしくはジェネレータを備えた内燃機関によって発生させられた電流によって給電され得る。この場合、ホイールハブ駆動装置はさらに、前記リニアガイドを有していてよく、このリニアガイドによってホイールの鉛直方向のバウンド運動をハンドリングすることができる。全体的には、こうして、自動車の駆動装置やサスペンションを含めて、自動車の駆動されるホイールのための所要構成スペースを、コンベンショナルなパワートレーンおよびホイールサスペンションにおいて必要とされる構成スペースの数分の一にまで減少させることができる。
【0034】
この場合、駆動モータのモータ軸が、直接に当該伝動装置ユニットの入力軸を形成しており、伝動装置ユニットの入力ピニオンが、直接に前記モータ軸に配置されていると有利である。こうして、駆動モータを直接に、駆動されるホイールに配置するか、もしくは駆動モータおよびリムの形状およびサイズに応じて、ホイールリムの内部に配置することができる。
【0035】
本発明のさらに別の特に有利な実施態様では、当該伝動装置ユニットが、ホイールキャリヤ内に配置されており、このホイールキャリヤはそれと同時に伝動装置ハウジングとしても形成されている。これにより、ホイールハブ駆動装置として形成された伝動装置ユニットの特にコンパクトでかつ頑丈な構成が達成され、この場合、伝動装置ユニットの歯車は、伝動装置ハウジングとして形成されたホイールキャリヤの内室に配置される。
【0036】
この場合、リニアガイドの軸受けブシュのための軸受けハウジングは、たとえば前記ホイールキャリヤと一体に形成されているか、または直接に前記ホイールキャリヤに結合されていてよい。こうして、ホイールキャリヤは、ホイールの案内および支承ならびに本発明による伝動装置ユニットのカプセル封入の役割を引き受けるだけでなく、ホイールサスペンションの可動部分をも形成する。言い換えれば、このことは、たとえばリニアガイドの滑り面または軸受けブシュが配置されているリニアガイドの軸受けハウジングが、ホイールキャリヤと一体に形成されているか、または直接にホイールキャリヤに結合され得ることを意味する。このことは、ホイールサスペンションのねじれ剛性的でかつ軽量の構造を可能にする。
【0037】
特に本発明による伝動装置ユニットに直接にフランジ締結された駆動モータを考慮して、駆動モータの軸側と伝動装置ユニットとの間に弾性的なベローズが設けられていると有利である。こうして、ホイールのバウンド時に発生する、ホイールおよび伝動装置ユニットと、車両シャーシに配置された駆動モータとの間の相対運動を補償することができる。この場合、モータの入力軸および伝動装置ユニットは同時に、環境影響に対して保護されている。
【0038】
当業者にとっては、前記説明に基づき、本発明の運動学的な原理が歯車伝動装置に限定されるものではないことが判る。このような背景に鑑み、伝動装置ユニットが歯車の代わりに摩擦車を有することも考えられる。その場合、これらの摩擦車の直径比は、伝動装置ユニットの歯車の歯数比に対して特に比例して選択され得る。
【0039】
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ホイールハブ駆動装置に組み込まれた、本発明による伝動装置ユニットの1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した伝動装置ユニットを備えたホイールハブ駆動装置を、駆動モータが取り外された状態で示す斜視図である。
【図3】図1および図2に示したホイールハブ駆動装置の伝動装置ユニットの一部を拡大して示す、図1および図2に相当する斜視図である。
【図4】図1〜図3に示した伝動装置ユニットを備えたホイールハブ駆動装置の断面図である。
【図5】図1〜図4に示した伝動装置ユニットを備えたホイールハブ駆動装置を、ホイールが完全にリバウンドされた状態(伸び行程)で示す側面図である。
【図6】図1〜図5に示した伝動装置ユニットを備えたホイールハブ駆動装置を、ホイールがニュートラルのばね伸縮状態に位置する状態で示す、図5に相当する図である。
【図7】図1〜図6に示した伝動装置ユニットを備えたホイールハブ駆動装置を、ホイール部分的にバウンドされた状態(縮み行程)で示す、図5および図6に相当する図である。
【0041】
図1には、ホイールハブ駆動装置として形成されているか、もしくはホイールハブ駆動装置に組み込まれている、本発明による伝動装置ユニットの1実施形態が図示されている。
【0042】
図1には、タイヤ2とリム3とを備えた車両ホイール1ならびに伝動装置ユニット5と駆動モータ6とを備えたホイールハブ駆動装置4が図示されている。図示のホイールハブ駆動装置4はさらに、ホイールサスペンションとして、概略的にのみ描かれたリニアガイドを備えている。このリニアガイドは、図示の実施形態では2つのガイドロッド7と2つの軸受けハウジング8とを有している。軸受けハウジング8はガイドブシュとして働くか、もしくはガイドブシュを有していて、したがってガイドロッド7に沿って鉛直方向にスライド式に昇降運動する。同じくホイールサスペンションに所属のばね/ダンパユニットは、図面を見易くする目的で図示されていない。
【0043】
駆動モータ6は車両シャーシ(図示しない)に固く結合されており、本発明による伝動装置ユニット5を備えた車両ホイール1は鉛直方向のバウンド運動9を実施し得るので、駆動モータ6と伝動装置ユニット5との間には、弾性的なベローズ10が配置されている。このベローズ10は車両ホイール1と駆動モータ6との間の相対運動時に入力軸11もしくは伝動装置ユニット5を弾性的に保護する。
【0044】
図2には、伝動装置ユニット5を分かり易くするために、駆動モータ6が取り外された状態で、図1に示したホイールハブ駆動装置が図示されている。既に図1に示した構成要素に加えて、図2には特に伝動装置ユニット5の入力軸11が見えている。伝動装置ユニット5のハウジングに設けられたスリット状の長孔12により、図2には、既に伝動装置ユニット5のハウジングに対して相対的な、もしくは駆動される車両ホイール1に対して相対的な、入力軸11の並進的な可動性9が示されている(図2の二重矢印9参照)。
【0045】
このことは、入力軸11(ならびに入力軸11と同一である軸を有する駆動モータ6)ならびにリニアガイド7,8のガイドロッド7がシャーシ固定に位置決めされていて、それに対して伝動装置ユニット5のその他の構成要素、つまり伝動装置ユニット5のハウジングならびに駆動される車両ホイール1は、鉛直方向のバウンド運動9を実施し得ることを意味している。
【0046】
図3には、図1および図2に示したホイールハブ駆動装置の伝動装置ユニット5が、ハウジングカバーなしの状態で部分拡大図で図示されている。図3には、伝動装置ユニット5の主要な構成要素、つまり入力ピニオン13、プラネタリ歯車14およびリングギヤ15として形成された出力歯車が見えている。
【0047】
入力ピニオン13は直接に駆動モータ6(図示しない)の入力軸11に固定されており、出力歯車15は直接にホイール軸線16もしくはホイールハブ17に結合されている。出力歯車15は特に図4の断面図からも判る。出力歯車15は伝動装置ハウジングとして形成されたホイールキャリヤ18によって取り囲まれる。このホイールキャリヤ18はそれと同時にリニアガイドの軸受けブシュもしくは軸受けハウジング8を形成しているか、もしくは有している。
【0048】
入力ピニオン13、プラネタリ歯車14およびリングギヤ15の他に、図3および図4には、両プラネタリキャリヤ19,20も図示されている。プラネタリキャリヤ19,20は図示の実施形態では、それぞれ2つの支承個所を備えた旋回レバーとして形成されている。第1のプラネタリキャリヤ19はモータの入力軸11に支承されており、第2のプラネタリキャリヤ20はホイール軸16に支承されている。ホイール軸16はそれと同時に出力歯車15の軸を形成している。
【0049】
プラネタリ歯車14の軸線21は、同時に両プラネタリキャリヤ19,20に共通のプラネタリキャリヤ軸線21を形成している。この場合、第1のプラネタリキャリヤ19は入力ピニオン13とプラネタリ歯車14との間の一定の間隔および歯噛合いを生ぜしめ、第2のプラネタリキャリヤ20は同じくプラネタリ歯車14とリングギヤ15との間の一定の間隔および歯噛合いを生ぜしめる。このことは、入力軸11と出力軸もしくはホイール軸16とが、図面で見て鉛直な方向において互いに対して並進的な運動9を実施し得ることを意味している(図3における二重矢印9参照)。この場合、それと同時に、3つの全ての歯車13,14,15の歯噛合い、ひいては入力軸11と出力軸16との間のトルク伝達は常時維持されている。したがって、ホイールキャリヤもしくは伝動装置ハウジング18を備えた車両ホイール1は、鉛直方向のバウンド運動9を実施することができ、入力軸11および駆動モータ6は車両シャーシに固く結合されていて、ひいては自動車のばね支持された質量に数えられる。
【0050】
3つの歯車13,14,15の図示の相対位置の場合、つまりたとえばバウンド運動の途中で入力軸11と出力軸16とが互いに正確に同軸的に位置決めされる場合、事情によってはプラネタリ歯車14の位置に関する運動学的な過少決定もしくは不足決定(kinematisch. Unterbestimmung)、すなわち過剰自由度が生じる恐れがある。このような場合、プラネタリ歯車14ならびにこのときに平行に位置決めされた両プラネタリキャリヤ19,20は、汎用の遊星歯車伝動装置におけるプラネタリピニオンと同様に、この場合に同軸的となる入力軸の軸線と出力軸の軸線とを中心にして公転してしまい、このことはこの場合、望ましくない。なぜならば、その場合にはトルク伝達が中断され、こうして伝動装置が、規定されていない状態に陥ってしまうからである。
【0051】
プラネタリ歯車14の位置のこのような運動学的な不足決定もしくは過剰自由度を取り除くために、図示の実施形態では、第1のプラネタリキャリヤ19にロックピン22が配置されている。ロックピン22は入力軸11の図示のバウンド中間位置の直接的な周辺範囲において、適当に加工成形されたロック溝内に係合する(図面を見易くするために図示しない)。その場合、たとえば伝動装置ハウジング18のハウジングカバーに配置され得るロック溝内にロックピン22が係合することにより、第1のプラネタリキャリヤ19が、入力軸11の図示の中間位置において、前で述べたように、瞬間軸線としてのプラネタリキャリヤ軸線21を中心にした旋回運動のみを実施し、入力軸11を中心にした旋回運動は実施しないことを確保することができる。したがって、ロックピン22および相応するロック溝内へのロックピン22の係合に基づき、入力軸11と出力軸16との図示の同軸的な位置におけるプラネタリ歯車14の位置の運動学的な不足決定もしくは過剰自由度を取り除くことができる。
【0052】
図4には、図1〜図3に示した伝動装置ユニットを備えたホイールハブ駆動装置が、ホイール軸16に沿った縦断面図で示されている。ホイール軸16はこの場合、それと同時に伝動装置ユニット5の出力軸16を形成していて、図3および図4に示した伝動装置位置において、伝動装置ユニット5の入力軸11と同軸的な位置に位置している。この入力軸11は同時に駆動モータ6のモータ軸11をも成している。さらに図4には、伝動装置ユニット5の伝動装置ハウジング18が示されている。この伝動装置ハウジング18は、同時にホイールキャリヤをも成していて、さらにリニアガイド7,8の軸受けハウジングもしくは軸受けブシュ8を形成しているか、もしくは軸受けハウジングもしくは軸受けブシュ8を有している。
【0053】
伝動装置ユニット5のハウジング壁18のすぐ下方には、リングギヤ15が見えている。リングギヤ15は、駆動される車両ホイール1のホイールハブ17もしくはホイール軸16に相対回動不能に結合されている。
【0054】
リングギヤ15の内側には、プラネタリ歯車14が断面されて図示されている。このプラネタリ歯車14は第1のプラネタリキャリヤ19によって入力ピニオン13と噛み合った状態に保持され、それと同時に第2のプラネタリキャリヤ20によってその旋回可能なプラネタリ位置(図5〜図7に示した角度セグメント26参照)においてリングギヤ15と噛み合った状態に保持される。さらに図4には、ディスクブレーキが図示されている。このディスクブレーキのブレーキディスク23はコンベンショナルな形式でホイールハブならびにリムに結合されており、ブレーキキャリパ24は伝動装置ハウジングもしくはホイールキャリヤ18に直接にフランジ締結されている。
【0055】
図5〜図7には、完全なリバウンド(図5)と、ニュートラル位置(図6)と、部分的なバウンド(図7)との間での、駆動される車両ホイール1のバウンド運動の経過が示されている。この場合、ガイドロッド7はそれぞれシャーシ固定である。車両シャーシは図5〜図7には、斜線で示したブロック25によって概略的に示されている。図面からまず判るように、ホイールキャリヤ18に結合された軸受けハウジングもしくは軸受けブシュ8はガイドロッド7に沿って、車両ホイール1のバウンド運動9に従動してスライド式に昇降運動することができる。
【0056】
さらに、図5〜図7には、入力ピニオン13とプラネタリ歯車14と出力歯車15とから成る本発明による伝動装置ユニット5の原理的な作用形式が示されている。この場合にも再びリングギヤ15として形成された出力歯車は、やはりホイール軸16に固く結合されており、それに対して入力ピニオン13は直接に駆動モータ6(図示しない)の入力軸11に装着されている(図3および図4参照)。特に破線で示した補助線Hにより、入力ピニオン13が、車両ホイール1のバウンド運動9とは無関係に、つまりバウンド運動9の影響を受けることなしに、常に車両シャーシ(斜線で示したブロック25)に対して固定の相対位置を維持しており、そして入力ピニオン13とリングギヤ15との間でのトルク伝達および噛合いが、ホイール軸16を中心とした旋回運動を実施するプラネタリ歯車14によって行われることが判る。プラネタリ歯車14の旋回運動の範囲は図5〜図7において、破線で示した角度セグメント26によって示されている。
【0057】
機構学につき、図5〜図7を見れば良く判るように、出力歯車15は、図示の実施形態におけるように、リングギヤとしてしか形成され得ないのではなく、リングギヤ15の代わりに出力ピニオンが直接にホイール軸16に配置されていてもよい。プラネタリ歯車14はこのような場合、その他の点では変えられていない両プラネタリキャリヤ19,20によって入力ピニオン13とも、「16」のところで中央の出力ピニオンとも永続的に噛み合っている(図3も参照)。また、図3に示した実施形態においても、リングギヤ15の代わりに、ホイール軸16の延長上に、プラネタリ歯車14と噛み合った出力ピニオン(図示しない)を配置することができる。出力ピニオンと入力ピニオン13との間の並進的な可動性9は不変に保証されており、この場合、プラネタリ歯車14(図示されているように)の幅寸法が、入力ピニオン13の幅と出力ピニオン(図示しない)の幅との総和に相当しているので、入力ピニオン13と出力ピニオンとはバウンド運動9時に端面側で互いの傍らを通って通過し得るようになる。
【0058】
これによってその結果、本発明を用いると、最小限の所要スペースにおいて、入力部と出力部との間の完全な並進的な分離を保証することのできる伝動装置ユニットが提供されることが判る。本発明によれば、特に、駆動されるホイールのバウンド運動に関してホイールハブモータをホイールサスペンションから完全に分離することが可能となり、これによりホイールサスペンションのばね支持されていない質量が著しく低減され得る。さらに、本発明によれば、極めてスペース節約的なホイールハブ駆動装置もしくはホイールサスペンションを実現することができる。
【0059】
これによって、本発明は、特に自動車駆動装置のコストおよび構成スペースの低減、使用可能性の拡張および、たとえばハイブリッド駆動装置の分野での使用時におけるホイールハブ駆動装置の乗り心地の改善のために指標的な貢献を果たす。
【符号の説明】
【0060】
1 車両ホイール
2 タイヤ
3 リム
4 ホイールハブ駆動装置
5 伝動装置ユニット
6 駆動モータ
7 ガイドロッド
8 軸受けハウジング
9 バウンド運動
10 エラストマベローズ
11 入力軸、モータ軸
12 長孔
13 入力ピニオン
14 プラネタリ歯車
15 出力歯車、リングギヤ
16 ホイール軸線、出力軸
17 ホイールハブ
18 伝動装置ハウジング、ホイールキャリヤ
19 第1のプラネタリキャリヤ
20 第2のプラネタリキャリヤ
21 プラネタリキャリヤ軸線
22 ロックピン
23 ブレーキディスク
24 ブレーキキャリパ
25 車両シャーシ
26 角度セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両ホイール(1)に用いられる伝動装置ユニット(5)であって、当該伝動装置ユニット(5)が、入力ピニオン(13)を備えた入力軸(11)と、出力歯車(15)を備えた出力軸(16)とを有しており、入力軸(11)の軸線と出力軸(16)の軸線とが平行に延びており、入力軸(11)と出力軸(16)とが、該入力軸(11)の回転軸線と該出力軸(16)の回転軸線とに対して直角の方向(9)で互いに対して並進的に運動可能であり、入力ピニオン(13)と出力歯車(15)とにプラネタリ歯車(14)が噛み合っており、該プラネタリ歯車(14)が、第1のプラネタリキャリヤ(19)と第2のプラネタリキャリヤ(20)とに共通である1つのプラネタリキャリヤ軸線(21)に支承されており、第1のプラネタリキャリヤ(19)が、入力軸(11)に対して同軸的に支承されており、第2のプラネタリキャリヤ(20)が、出力軸(16)に対して同軸的に支承されている形式のものにおいて、出力軸(16)が、並進的な運動(9)を描くようになっており、該並進的な運動時に入力軸(11)と出力軸(16)とが、端面側で互いの傍らを通って運動可能であり、所定の相対位置で入力軸(11)と出力軸(16)とが、互いに同軸的に位置決めされていることを特徴とする、並進的な自由度を有する伝動装置ユニット。
【請求項2】
出力歯車(15)がリングギヤである、請求項1記載の伝動装置ユニット。
【請求項3】
第1のプラネタリキャリヤ(19)が、直接に入力軸(11)に支承されており、第2のプラネタリキャリヤ(20)が、直接に出力軸(16)に支承されている、請求項1または2記載の伝動装置ユニット。
【請求項4】
第1のプラネタリキャリヤ(19)と第2のプラネタリキャリヤ(20)とが、同一の作用半径を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の伝動装置ユニット。
【請求項5】
両プラネタリキャリヤ(19,20)が、それぞれ2つの支承部を有する旋回レバーとして形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の伝動装置ユニット。
【請求項6】
入力軸(11)と出力軸(16)との並進的な相対可動性(9)のためのリニアガイド(7,8)が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の伝動装置ユニット。
【請求項7】
当該伝動装置ユニット(5)が、ホイール駆動装置として形成されていて、ホイールリムに組み込まれており、出力歯車が、直接にホイールハブに結合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の伝動装置ユニット。
【請求項8】
当該伝動装置ユニット(5)が、ホイールハブ駆動装置として形成されていて、直接に駆動モータ(6)に結合されている、請求項7記載の伝動装置ユニット。
【請求項9】
前記駆動モータ(6)が電気モータである、請求項8記載の伝動装置ユニット。
【請求項10】
モータ軸が、当該伝動装置ユニット(5)の入力軸(11)を形成しており、入力ピニオン(13)が、前記モータ軸に配置されている、請求項7または8記載の伝動装置ユニット。
【請求項11】
当該伝動装置ユニット(5)が、伝動装置ハウジングとして形成されたホイールキャリヤ(18)内に配置されている、請求項7から10までのいずれか1項記載の伝動装置ユニット。
【請求項12】
モータハウジング(6)とホイールキャリヤ(18)との間にベローズ(10)が配置されている、請求項7から11までのいずれか1項記載の伝動装置ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−7】
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【公表番号】特表2011−521823(P2011−521823A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508795(P2011−508795)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【国際出願番号】PCT/DE2009/050022
【国際公開番号】WO2009/138080
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(506054589)ツェットエフ フリードリヒスハーフェン アクチエンゲゼルシャフト (151)
【氏名又は名称原語表記】ZF Friedrichshafen AG
【住所又は居所原語表記】D−88038 Friedrichshafen,Germany
【Fターム(参考)】