説明

中和安定化された皮膚外用剤

【課題】 新たな、製剤の構造の形成に寄与する成分によって形成される構造の安定化手段を提供する。
【解決手段】 リシルグルタミン酸及び/又はその塩を、皮膚外用剤に含有させる。更に、電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分も含有させる。前記電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分は、次に挙げる成分の何れかであることが好ましい。(電離性を有する製剤の構造の形成に寄与する成分;脂肪酸石鹸、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アルキル基で変性されていても良いカルボキシビニルポリマー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、有機変性されていても良い粘土鉱物)リシルグルタミン酸及びその塩の含有量は、少なくとも10μMであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料などの皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料や皮膚外用医薬では、皮膚上に皮膚外用剤を塗布する行為が、その使用に於いて必然的に伴う。この様な塗布に於いて、特に重要なことは、皮膚外用剤が垂れて散逸したり、不必要な部位にまで広がらないように製剤的な工夫を加えることで、通常は、ゲル構造、乳化構造などの構造を製剤的に形成させて、使用に適した粘度を維持して使用性を保全している。この様な構造形成は、イオン架橋構造を利用する場合が多く、この為に種々の電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分が配合されている。この様な、電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分としては、脂肪酸石鹸、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アルキル基で変性されていても良いカルボキシビニルポリマー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、有機変性されていても良い粘土鉱物等が代表的な成分として知られている。
【0003】
これらの電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分によって形成される構造は比較的安定なものであるが、イオン架橋構造に依存しているため、電解質などの存在により不安定化することが少なからず存する。前記の構造に影響を与える電解質が、製剤に必須の有効成分である場合も少なくない。(例えば、特許文献1を参照)この様な見地から、電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分による構造を安定化する努力が為されている。この様な努力としては、例えば、電離性を有するムコ多糖類などを共存させる方法(例えば、特許文献2を参照)、エマルションに於いて油相をワックスなどのコンステンシーの高い成分で固める方法(例えば、特許文献3を参照)、電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分の複数の組合せ使用による構造の安定化(例えば、特許文献4を参照)等が例示できる。しかしながら、これらの方法に於いては粘度変化の程度を軽減できるものの、充分と言える効果は奏していない。即ち、新たな、製剤の構造の形成に寄与する成分によって形成される構造の安定化手段の開発が望まれていると言える。
【0004】
一方、リシルグルタミン酸は既知の化合物であるが、これを皮膚外用剤に含有せしめることは全く知られていない。近似化合物である、グルタミルリジン(イプシロン−N−(ガンマ−グルタミル)リジン)を保湿の目的で化粧料に含有せしめる技術は知られている(例えば、特許文献5、特許文献6を参照)が、リシルグルタミン酸を構造安定化の目的で皮膚外用剤に含有させることも、この様な化合物が構造の安定化作用を有することも全く知られていない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−12496号公報
【特許文献2】特開平11−180821号公報
【特許文献3】特表平11−505822号公報
【特許文献4】特開2000−143436号公報
【特許文献5】特開2001−2552号公報
【特許文献6】特開平5−301814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、新たな、製剤の構造の形成に寄与する成分によって形成される構造の安定化手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、新たな、製剤の構造の形成に寄与する成分によって形成される構造の安定化手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、リシルグルタミン酸を系に添加することにより、この様な構造の安定化が為しうることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)リシルグルタミン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(2)更に、電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分を含有することを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)前記電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分が、次に挙げる成分の何れかであることを特徴とする、(2)に記載の皮膚外用剤。
(電離性を有する製剤の構造の形成に寄与する成分)
脂肪酸石鹸、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アルキル基で変性されていても良いカルボキシビニルポリマー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、有機変性されていても良い粘土鉱物。
(4)リシルグルタミン酸及びその塩の含有量が、少なくとも10μMであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(5)更に、グリチルリチン酸ジカリウム及び/又はグリチルレチン酸ステアリルを含有することを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(6)抗炎症効果の訴求ある医薬部外品であることを特徴とする、(5)に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、新たな、製剤の構造の形成に寄与する成分によって形成される構造の安定化手段を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるリシルグルタミン酸
本発明の皮膚外用剤は、リシルグルタミン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする。このものの塩としては、生理的に許容されるものであれば特段の限定を受けず、アミノ基を塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの酸で塩としたり、カルボキシル基をアルカリ金属、アルカリ土類金属、有機アミン類などでアルカリ塩としたりすることができる。リシルグルタミン酸はリジンのカルボキシル基と、グルタミン酸のアミノ基とがアミド結合したジペプチドであり、前記リジン、グルタミン酸はL体でもD体でも取りうるが、リジン、グルタミン酸ともにL体であるものが特に好ましい。かかるペプチドは、常法に従って製造することが出来る。即ち、非反応性末端アミノ基、カルボキシル基を、所望により、FMOC(フルオレニルメトキシカルボニル)基やニトロベンジル基で保護した後、非保護のアミノ基とカルボキシル基とを、DCC等のペプチド合成試薬を用いて縮合させ、しかる後に脱保護することで本発明のペプチドは合成できる。
【0010】
(製造例)
L−リジン5gの2つのアミノ基をBOC基で保護し、1,4−ビス−(N−BOC)リジンとなし、別途5gのL−グルタミン酸の2つのカルボキシル基をベンジル基で保護した、1,5−ジベンジルグルタミン酸とを塩化メチレン200mlを溶媒として、DCC5gの存在下、室温で48時間攪拌し、不溶物を濾過で取り除き、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=100:0→70:30)で精製し、しかる後、ベンジル基とBOC基とを脱保護し、リシルグルタミン酸を0.9g得た。
【0011】
本発明の皮膚外用剤において、前記リシルグルタミン酸は、系の構造を安定化せしめる作用を有する。この様な作用を発現するためには、リシルグルタミン酸及びその塩は少なくとも10μM、皮膚外用剤に存在することが必要であり、より好ましくは0.0001〜1質量%の含有である。これは、少なすぎると系の構造の安定化作用が得られない場合が存し、多すぎると、析出などをおこすことが存するためである。
【0012】
(2)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、リシルグルタミン酸及び/又はその塩を必須成分として含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定はなく、例えば、医薬部外品を含む化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが例示できる。これらの内、特に好ましいものは、医薬部外品であり、取り分け、抗炎症効果の訴求ある医薬部外品に適用することが好ましい。これは、かかる作用の有効成分であるグリチルリチン酸ジカリウムが電解質による系の構造を壊しやすい成分であり、本発明の効果が、グリチルリチン酸ジカリウムの存在下特に顕著であるためである。前記グリチルリチン酸ジカリウムの含有量は0.01〜0.2質量%が好ましい。かかる成分の質量は、前記リシルグルタミン酸の少なくとも10倍量であることが好ましい。
【0013】
又、本発明の主旨が、電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分によって形成される構造の安定化であるため、本発明の皮膚外用剤には、電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分を含有することが好ましい。この様な成分としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、パルミチン酸トリエタノールアミンなどの脂肪酸石鹸、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン性界面活性剤、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸アルキル・アクリル酸コポリマー、メタクリル酸アルキル・メタクリル酸コポリマー、等のアルキル基で変性されていても良いカルボキシビニルポリマー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等の粘土鉱物や、これらをドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、アルキルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド等のカチオン性界面活性剤で変性させた有機変性粘土鉱物などの、有機変性されていても良い粘土鉱物等が例示できる。これらの好ましい含有量は、0.01〜10質量%であり、かかる含有量は前記リシルグルタミン酸及びその塩の質量の和の10〜10000倍であることが好ましい。
【0014】
本発明の皮膚外用剤には、前記の成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意の成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0015】
本発明の皮膚外用剤は、前記の必須成分、好ましい成分、任意成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。本発明の皮膚外用剤の製剤としては、前記医薬部外品を含む化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などで使用されている剤形であれば特段の限定はなく、例えば、ローション、乳液、クリーム、高粘度のエッセンス、洗浄剤などの剤形が好ましく例示できる。
【0016】
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0017】
下記に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料(抗炎症作用を訴求した医薬部外品)を作成した。即ち、イの成分を攪拌し、一様な分散状態にし、これに攪拌下ロを徐々に加えて希釈し、攪拌下ハを加えて中和し、高粘度ローションとして本発明の皮膚外用剤である化粧料1を得た。
【0018】

カルボキシビニルポリマー 0.1質量%
「カーボポール1382」 0.1質量%
(アルキル変性カルボキシビニルポリマー;グッドリッチ社製)
1,3−ブタンジオール 5 質量%
1,2−ペンタンジオール 3 質量%

0.1%リシルグルタミン酸水溶液 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
1%グリチルリチン酸ジカリウム水溶液 5 質量%
水 80 質量%

水酸化カリウム 0.1質量%
水 6.2質量%
【0019】
化粧料1を製造後20℃で1日保管し、粘度を測定した後、50℃で1週間保管し、20℃で1日保管して、恒量にした後再び粘度を計測し、安定性を試験した。化粧料1のリシルグルタミン酸を水に置換した比較例1も同様に安定性を試験した。結果を表1に示す。これより、リシルグルタミン酸の添加はカルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーの作る水性ゲルのゲル構造を安定化していることが判る。
【0020】
【表1】

【実施例2】
【0021】
下記の処方に従って、脂肪酸石鹸によって構造を形成させて安定化したファンデーションを作成した。即ち、イ、ロの成分はそれぞれ80℃に加熱し、イにハの成分をディスパーで分散させた後、これに攪拌下徐々にロを加えて乳化し、しかる後に攪拌冷却して、本発明の皮膚外用剤であるサンケアミルク(化粧料2;抗炎症作用を訴求した医薬部外品)を得た。
【0022】

スクワラン 2 質量%
ネオペンチルグリコールジイソステアレート 18 質量%
セタノール 1 質量%
ステアリン酸モノグリセリド 1.2質量%
POE(20)ソルビタンセスキステアレート 1.8質量%
POE(45)ステアレート 1 質量%
ステアリン酸 1 質量%

1,3−ブタンジオール 5 質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
1,2−ペンタンジオール 2.5質量%
トリエタノールアミン 1 質量%
0.1%リシルグルタミン酸水溶液 0.1質量%
1%グリチルリチン酸ジカリウム水溶液 5 質量%
水 39.9質量%

二酸化チタン 10 質量%
酸化亜鉛 4 質量%
タルク 6 質量%
【0023】
化粧料2を製造後20℃で1日保管し、粘度を測定した後、50℃で1週間保管し、20℃で1日保管して、恒量にした後再び粘度を計測し、安定性を試験した。化粧料2のリシルグルタミン酸を水に置換した比較例2も同様に安定性を試験した。結果を表2に示す。これより、リシルグルタミン酸は脂肪酸トリエタノールアミン石鹸の作る構造の安定性を向上せしめていることが判る。
【0024】
【表2】

【実施例3】
【0025】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料3(乳液;抗炎症作用を訴求した医薬部外品)を作成した。即ち、イ、ロ、ハの成分を80℃で加熱、溶解・分散し、イに攪拌下徐々にロを加え、しかる後に、強攪拌下、このものにハを徐々に加えて乳化し、攪拌冷却し、化粧料3を得た。
【0026】

アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 59 質量%
1%グリチルリチン酸ジカリウム水溶液 5 質量%
0.1%リシルグルタミン酸水溶液 0.1質量%

ベヘン酸 1 質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
ジメチコン 1 質量%
【0027】
化粧料3を製造後20℃で1日保管し、粘度を測定した後、50℃で1週間保管し、20℃で1日保管して、恒量にした後再び粘度を計測し、安定性を試験した。化粧料3のリシルグルタミン酸を水に置換した比較例3も同様に安定性を試験した。結果を表3に示す。これより、リシルグルタミン酸はアルギン酸ナトリウムの作る構造の安定性を向上せしめていることが判る。
【0028】
【表3】

【実施例4】
【0029】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、化粧料4(油中水乳化クリーム;抗炎症作用を訴求した医薬部外品)を作成した。即ち、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘの成分を80℃で加熱し、イを攪拌下徐々にロに加え、更にこれにハを加え中間乳液を作成した。ホにヘを加え、一様にし、これを攪拌下ニに加え、ゲルを生成させた。このゲルに攪拌下徐々に中間乳液を加え、攪拌冷却し、油中水中油乳化剤形の化粧料4を得た。
【0030】

ベヘン酸 0.4 質量%
ステアリン酸 0.15質量%
グリセリン 4.5 質量%
10%水酸化カリウム水溶液 0.45質量%
水 2.9 質量%

ベヘニルアルコール 0.5 質量%
ステアリルアルコール 0.3 質量%
スクワラン 4.5 質量%
フェノキシエタノール 0.15質量%

1,3−ブタンジオール 4.5 質量%
水 16.55質量%
1%グリチルリチン酸ジカリウム水溶液 5 質量%
0.1%リシルグルタミン酸水溶液 0.1 質量%

「ベントン38」 2.5 質量%
(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理モンモリナイト:ナショナルレッド社製)
ショ糖モノステアリン酸エステル 4 質量%
スクワラン 3.5 質量%
シクロメチコン 23 質量%
ラノリン 1 質量%

グリセリン 20 質量%
メチルシロキサン網状重合体 2 質量%
フェノキシエタノール 0.15質量%
ウンデシレン酸モノグリセリド 2 質量%

アルギン酸ナトリウム(高純度品) 0.2 質量%
水 1.65質量%
【0031】
化粧料4を製造後20℃で1日保管し、粘度を測定した後、50℃で1週間保管し、20℃で1日保管して、恒量にした後再び粘度を計測し、安定性を試験した。化粧料4のリシルグルタミン酸を水に置換した比較例4も同様に安定性を試験した。結果を表4に示す。これより、リシルグルタミン酸はアルギン酸ナトリウムと有機変性粘土鉱物の作る構造の安定性を向上せしめていることが判る。
【0032】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、医薬部外品に好適に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リシルグルタミン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
更に、電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分を含有することを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記電離性を有する、製剤の構造の形成に寄与する成分が、次に挙げる成分の何れかであることを特徴とする、請求項2に記載の皮膚外用剤。
(電離性を有する製剤の構造の形成に寄与する成分)
脂肪酸石鹸、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アルキル基で変性されていても良いカルボキシビニルポリマー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、有機変性されていても良い粘土鉱物。
【請求項4】
リシルグルタミン酸及びその塩の含有量が、少なくとも10μMであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
更に、グリチルリチン酸ジカリウム及び/又はグリチルレチン酸ステアリルを含有することを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
抗炎症効果の訴求ある医薬部外品であることを特徴とする、請求項5に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−45768(P2007−45768A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232816(P2005−232816)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】