説明

中性子検出器および中性子線量計

【課題】中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線によく近似させた中性子エネルギー−レスポンス特性を持つ検出感度を有する中性子検出器を提供する。また、この中性子検出器の検出感度の向上により減速材や吸収材を減少させ、軽量で使い勝手を良くした中性子線量計を提供する。
【解決手段】窒素ガスと有機化合物ガスとを所定混合比で混合してなる混合ガスを封入した比例計数管を備え、比例計数管の検出感度である中性子エネルギー−レスポンス特性を、放射線障害防止関係法令(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律等)に定める中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線に近似させた中性子検出器とした。また、この中性子検出器から出力される検出信号を処理して実用量である周辺線量当量を表示する中性子線量計とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力施設や加速器施設など中性子被ばくの恐れがある様々な漏洩中性子場で中性子エネルギーを検出する中性子検出器、および、この中性子検出器から出力される検出信号を処理して実用量である周辺線量当量(1cm線量当量)を表示する中性子線量計に関する。
【背景技術】
【0002】
中性子による被ばくが人体に与える影響の度合いを示す実効線量がICRP1990年勧告で導入されているが、この実効線量は直接には測定できない量であるため、その対応として実用量が考え出されている。周辺線量当量は、実効線量の実用量として測定が法令で定められている。
【0003】
このような測定に可搬型の中性子線量計(通称はレムカウンタである。)が用いられる。中性子線量計は、熱中性子や、この熱中性子よりもエネルギーが大きい中高速中性子の中性子を入射して検出信号を得て、この検出信号を信号処理して上記のような周辺線量当量に換算して直ちに表示器に表示し、周辺線量当量の直読を可能としている。この中性子線量計は、熱中性子検出器を備える。熱中性子検出器としてはBF比例計数管、He比例計数管、または、LiI(Eu)シンチレーション検出器などを用いる。
熱中性子検出器の中性子の検出原理は、入射した熱中性子と比例計数管内の封入気体との核反応によって生じた荷電粒子により封入気体(BFHe)が電離してパルス状の検出信号を得る、というものである。
【0004】
この熱中性子検出器の周りをポリエチレン減速材で取り囲んでいる。ポリエチレン減速材は中高速中性子を弾性散乱により熱中性子に変換するため、熱中性子検出器は、入射された中高速中性子の検出も可能としている。
さらに、ポリエチレン減速材の内部にカドミウム(Cd)やボロン(B)などの熱中性子吸収材を適当に配置することにより、熱中性子検出器の感度を表す感度特性(フルエンス当たりの計数率)である中性子エネルギー−レスポンス特性が、法令に定める中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線に近づくようにしている。この中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線は、ある中性子エネルギーに対して検出された中性子フルエンスを周辺線量当量(1cm線量当量)へ換算する換算係数を中性子エネルギー別にプロットした曲線であり、例えば図8で示すような太線による曲線である。なお、この中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線は、この図では、単位を併せて中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線として図示されている。
さて、検出信号はこのような中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線に基づいて近似することにより、フルエンス当たりの計数率を表す検出信号から周辺線量当量(1cm線量当量)を直読できるようにしている。このような中性子線量計は広く市販されており、中性子被ばくの恐れがある様々な環境中で用いられている。
【0005】
このような従来技術の中性子線量計について図を参照しつつ説明する。図7は従来技術の中性子線量計の説明図であり、図7(a)は従来技術の第1例の内部構造図、図7(b)は従来技術の第2例の内部構造図、図7(c)は従来技術の第3例の内部構造図、図7(d)は従来技術の第4例の内部構造図である。
【0006】
図7(a)に示す従来技術の第1例の中性子線量計100では、BF比例計数管101を用いる例であり、BF比例計数管101の周囲を減速材であるポリエチレン材102が覆い、さらに熱中性子吸収材であるホウ素プラスチック材103が覆い、最終的に減速材であるポリエチレン材104で覆う多層構造を有し、レートメータ105で検出信号を演算処理の後に周辺線量当量を表示器(図示せず)に表示する。
【0007】
図7(b)に示す従来技術の第2例の中性子線量計200では、LiI(Eu)シンチレーション検出器を用いる例であり、LiI(Eu)シンチレータ201と光電子増倍管202とによりLiI(Eu)シンチレーション検出器を構成する。そして、LiI(Eu)シンチレータ201は、ポリエチレンディスク203を介して周囲がポリエチレン減速材204で覆われ、さらに熱中性子吸収材のカドミウム205により覆われ、最後にポリエチレン減速材206により全体が覆われる。また光電子増倍管202は、ポリエチレン材207により覆われる。ポリエチレン減速材206は球体として形成され、保持リング208により、光電子増倍管202がポリエチレン減速材206に保持される。
【0008】
図7(c)に示す従来技術の第3例の中性子線量計300では、He比例計数管301を用いる例であり、He比例計数管301の周囲は減速材のポリエチレン材302に覆われ、さらに熱中性子吸収材303に覆われ、最後に減速材のポリエチレン材304で覆われる多層構造を有し、信号処理部305で検出信号を演算処理の後に周辺線量当量を操作パネル306の表示器(図示せず)により表示する。最外のポリエチレン材304は、大部分が球体として形成される。
【0009】
図7(d)に示す従来技術の第4例の中性子線量計400では、He比例計数管401を用いる例であり、He比例計数管401は減速材のポリエチレン材402により覆われ、さらに熱中性子吸収材403により覆われ、最後に減速材のポリエチレン材404により覆われる多層構造を有し、信号処理部405で検出信号を演算処理の後に周辺線量当量を外部の表示器(図示せず)により表示する。最外のポリエチレン材404は、ほぼ球体として形成される。
【0010】
また、他の従来技術として、例えば、特許文献1(特開平5−134049号公報,発明の名称,中性子線量当量検出器)に記載された発明が知られている。
特許文献1には、熱中性子検出器を筒状に形成し、その中央に減速材を配置することで、飛来した熱中性子は直接熱中性子検出器に入射して検出され、また、熱中性子よりも中性子エネルギーが大きいエピサーマル中性子や速中性子は、熱中性子検出器に入射した後に中央の減速材で減速されて熱中性子化され、その後に再度熱中性子検出器に入射して検出される。熱中性子検出器の中央の減速材を通過させることで減速を行うものであり、熱中性子検出器の外周に配置する場合よりも減速材の減容を可能としている。
【0011】
【特許文献1】特開平5−134049号公報 (段落番号0019〜0027,図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術の中性子線量計は、多数の商品化がなされている。市販されている中性子線量計を次の表1,表2に示す。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】
なお、この表において(定置式)と書かれたもの以外は可搬型の中性子線量計である。また、この値はメーカーのカタログや仕様書から引用している。
【0016】
図7(a)で示した従来技術のBF比例計数管を用いる中性子線量計は、表1のNE社、S社、V社、HP社の中性子線量計で採用されているが、これらの中性子線量計のポリエチレン減速材はいずれも直径20cmを超える大径であり、各社の中性子線量計は大型で重いものであった。
【0017】
図7(b)で示した従来技術のLiI(Eu)シンチレーション検出器を用いる中性子線量計は、表1のB社の中性子線量計で採用されているが、これらの中性子線量計のポリエチレン減速材は、直径20cm,30cmと大径であり、中性子線量計は大型で重いものであった。
【0018】
図7(c),(d)で示した従来技術のHe比例計数管を用いる中性子線量計は、表1,表2のNE社、B社、H社、N社、AU社、F社、A社の中性子線量計で採用されているが、これらの中性子線量計のポリエチレン減速材は、いずれも直径20cmを超える大径であり、大型で重いものであった。
【0019】
以上説明したように、従来技術では大きさが約20cmほどのポリエチレン減速材を用いるため、重量が10kgを超え、最も軽いものでも約8kgの重さである。可搬型として持ち歩くための中性子線量計としては、重量が10kg近いというのは非常に使いにくいという問題があった。
【0020】
また、従来技術の中性子線量計では、中性子エネルギー−レスポンス特性が、法令に定める中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線と近似するようにしているが、実際には必ずしも近似したものではなかった。この点について図を参照しつつ説明する。図8は、中性子エネルギーに対する検出感度のレスポンス特性曲線およびICRP74 H(10)レスポンス曲線を説明する説明図である。図8からも明らかなように、熱中性子検出器の感度を表すエネルギー特性(計算値,実験値)は、1eV以下と100keV以上では、中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線(中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線)とよく一致しているが、1eVから100keVの間ではかなりの過大評価となっている。このように従来技術では、中性子エネルギー−レスポンス特性は、法令に定める中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線と傾向が相違する箇所があり、必ずしも良好に近似したものとはいえないという問題があった。
【0021】
また、特許文献1に記載の中性子線量当量検出器は、減速材を減容して約5kgの重量を実現しているが、更なる軽量化が望ましく、2kg程度かそれ以下の軽い線量計の要望が高かった。
【0022】
そこで、本発明者は鋭意研究を重ね、以下のような着想を得た。
1.新規な検出原理により、中性子の検出器が、熱中性子や中高速中性子に至る広範囲の中性子エネルギーを検出できるようにするとともに、法令に定める中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線によく一致した検出感度を持ち、特に1eVから100keVまでの間で既存の中性子検出器の検出感度よりもよい特性をもつようにする。
2.この中性子検出器が中高速中性子に対しても検出感度を有するようにして、従来技術のように中高速中性子を減速して熱中性子を生成するための減速材の使用を最小限に抑え、さらに中性子検出器の検出感度が中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線によく一致するようにして熱中性子吸収材の使用も最小限に抑えることで軽量化を図る。好ましくは重量を2kg程度かそれ以下の軽量可搬型のものとする。
【0023】
このように本発明の目的は、中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線(中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線)によく近似させた中性子エネルギー−レスポンス特性を持つ検出感度を有する中性子検出器を提供することにある。また、この中性子検出器の検出感度の向上により減速材や吸収材を減少させ、軽量で使い勝手を良くした中性子線量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明の中性子検出器は、
窒素ガスと、有機化合物ガスと、を所定混合比で混合してなる混合ガスを封入した比例計数管を備え、
比例計数管の検出感度である中性子エネルギー−レスポンス特性を、放射線障害防止関係法令(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律等)に定める中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線に近似させることを特徴とする。
【0025】
このような混合ガスが封止された比例計数管に中性子が入射すると、以下のような検出がなされる。
約100keVを下回る低エネルギー中性子は、主に窒素ガス分子との衝突でN(n,p)核反応により陽子pを生成する。
約100keVから約10MeVまでの中エネルギー中性子は、主に有機化合物ガス(メタン、エタン、プロパン、およびこれらの混合ガス)分子との衝突でH(n,n)p弾性散乱が起こって反跳陽子pを生成する。
約10MeVを上回る高エネルギー中性子の場合はH(n,n)p弾性散乱に加えてC(n,p),C(n,α)などの核反応が起こって、陽子pやα粒子を生成する。
これらの生成された荷電粒子が比例計数管中で電離作用によりイオン対を作り、それがガス増幅されることによって、電流パルスとして出力される。窒素ガスと有機化合物ガスとの混合比・封入気圧を適切に選ぶことによって、この比例計数管の中性子エネルギーに対する検出感度(フルエンス当たりの計数率)を表す中性子エネルギー−レスポンス特性を、中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線に良く近似させた特性を得て、中性子の周辺線量当量(1cm線量当量)を直読することができる。なお、低エネルギー中性子、中エネルギー中性子および高エネルギー中性子は本明細書中における便宜上の分類である。
【0026】
また、本発明の請求項2に係る発明の中性子検出器は、
請求項1に記載の中性子検出器において、
前記混合ガスは、窒素ガスの混合比αと有機化合物ガスの混合比βとの混合比の総和が1.0であるとき、窒素ガスの混合比αが0.05≦α≦0.5を、また、有機化合物ガスの混合比βが1.0−αを満たすことを特徴とする。
【0027】
窒素ガスをα%又は50%以下(5〜50%)、有機化合物ガスを(1−α)%、又は50%以上とすることで、検出感度である中性子エネルギー−レスポンス特性を、中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線に良く近似させることができる。特に約100keVを下回る低エネルギー中性子の検出に用いられる窒素ガスを有機化合物ガスに比べて少なくしているため、約100keVを下回る低エネルギー中性子の検出感度を低くしており、従来技術の過大評価を解消する。
【0028】
また、本発明の請求項3に係る発明の中性子検出器は、
請求項1または請求項2記載の中性子検出器において、
前記比例計数管の周囲に厚さ2.0cm以下となるように設けられたポリエチレン減速材を備えることを特徴とする。
【0029】
ポリエチレン減速材で覆うことによりさらに中性子エネルギー−レスポンス特性を、中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線に良く近似させるように調整することができる。この場合、窒素ガスと有機化合物ガスとの混合比はポリエチレン減速材の厚さに応じて上記範囲を満たしつつ調整が必要となる。なお、ポリエチレン減速材の厚さを薄くするように混合比を調整すれば軽量化に寄与する。さらに窒素ガスと有機化合物ガスとの混合比で検出感度曲線に近似できるならば、ポリエチレン減速材の厚さを0cmに近づけることができる。このようにポリエチレン減速材を2cmまでとすることができ、軽量化が可能となった。
【0030】
本発明の請求項4に係る発明の中性子線量計は、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の中性子検出器と、
前記中性子検出器から出力される検出信号を所定の波高レベルまで増幅するアンプと、
アンプから出力される検出信号を所定範囲の波高レベル別に弁別する多段式波高弁別器と、
波高レベル別に弁別された検出信号を用いてそれぞれ計数して波高レベル別のカウント値を出力するカウンタと、
カウンタからそれぞれ出力された波高レベル別のカウント値に予め定められた係数を乗じて波高レベル別の補正カウント値を出力する倍率器と、
倍率器から出力された波高レベル別の補正カウント値を合算して周辺線量当量(1cm線量当量)を出力する加算器と、
周辺線量当量(1cm線量当量)を表示する表示器と、
を備え、
倍率器の係数は、波高レベル別の補正カウント値の傾向を中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線に近似させるような係数とすることを特徴とする。
【0031】
比例計数管の中性子エネルギー−レスポンス特性を中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線により近く近似するように信号処理を行うため、窒素ガスと有機化合物ガスとの混合比だけでは調整しきれないような場合でも近似することが可能となる。また、比例計数管と処理回路部とにより上記の近似が可能となるため、ポリエチレン減速材の厚さをさらに少なくしたり、もしくは0(減速材なし)とすることができ、この点でも軽量化に寄与する。
【発明の効果】
【0032】
以上のような本発明によれば、中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線(中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線)によく近似させた中性子エネルギー−レスポンス特性を持つ検出感度を有する中性子検出器を提供することができる。また、この中性子検出器の検出感度の向上により減速材や吸収材を減少させ、軽量で使い勝手を良くした中性子線量計を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
続いて、本発明を実施するための最良の形態(球型又は円筒型)について、図を参照しつつ説明する。図1は本形態の中性子検出器(円筒型)の説明図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は正面図、図1(c)は断面図である。
【0034】
中性子検出器10は、図1で示すように比例計数管11、ポリエチレン減速材12を備えている。
比例計数管11は、円管の両側に電極が形成されて後述する混合ガスが封止されており、高い電界を利用して多数の電子を発生させる放射線検出器である。比例計数管11では電界が十分に高いため、一次電離過程で生じた電子が加速される。加速された電子のエネルギーは、中性ガス分子との衝突時に電子イオン対を作ることが可能である。このため、電子が中性ガス分子と多数の衝突を行うことにより、イオン対がさらに作られる(二次電離過程)。これはガス増幅と呼ばれている。カウント当りの全電離量が最初の電離現象で生み出された電離量に比例するよう印加電圧が調整される。印加電圧を調整することにより、放射線が比例計数管11内の混合ガスと衝突することによって生じた電離量を、カウント当りの全電離量が最初の電離現象で生み出された電離量に比例させたものである。適切なガス増幅率(充分高い印加電圧)を選べば、後段のプリアンプや波形成形アンプの増幅率を下げることができ、S/N比が良くなる。比例計数管11の出力は一次電離量に比例するため、粒子の識別及びエネルギー測定が可能である。
【0035】
本形態では、比例計数管11に封止される混合ガスとして、窒素ガスと、有機化合物ガス(メタン、エタン、プロパン)と、が所定混合比で混合され、封入されている。
窒素ガスは、低エネルギー中性子(約100keV以下)との反応により中性子を検出する。
有機化合物ガス(メタン、エタン、プロパン)は、中エネルギー中性子(約100keV〜10MeV)および高エネルギー中性子(約10MeV以上)との反応により中性子を検出する。有機化合物ガスは、メタン、エタン、または、プロパンの何れかを封入したものである。または、メタン、エタン、または、プロパンの何れか二種を組み合わせて封入したものである。またはメタン、エタン、および、プロパンを全て封入したものである。
【0036】
約100keVを下回る低エネルギー中性子は、主に窒素ガス分子との衝突でN(n,p)核反応により陽子pという荷電粒子を生成する。
約100keVから約10MeVまでの中エネルギー中性子は、主に有機化合物ガス分子との衝突でH(n,n)p弾性散乱が起こって反跳陽子pという荷電粒子を生成する。
10MeVを上回る高エネルギー中性子の場合は有機化合物ガス分子との衝突でのH(n,n)p弾性散乱による反跳陽子pに加えて、C(n,p),C(n,α),N(n,α)などの核反応による陽子pやα粒子という荷電粒子も生成する。
これらの生成された荷電粒子が比例計数管11中で電離作用により、イオン対を作り、それがガス増幅されることによって、電流パルスとして出力される。
【0037】
図8に示されるように、従来技術による熱中性子検出器による検出感度の中性子エネルギー−レスポンス特性(計算値,実験値)は1eV以下と100keV以上の領域では、中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線(中性子エネルギーICRP74 H(10)レスポンス曲線)とよく一致しているが、1eVから約100keVの間ではかなりの過大評価となっていた。また、10MeVを超えると過小評価となっていた。
【0038】
本発明では約100keVを下回る低エネルギー中性子は、主に窒素ガスとの核反応で生成する荷電粒子により検出するようにしたため、約100keVを下回る低エネルギー中性子による検出感度は窒素ガスの量により調整できることとなる。従来では過大評価となっていた約100keVを下回る低エネルギー中性子による検出感度は、後述するような実験結果から示されるように中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線(中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線)に近づけることができるようになり、過大評価の解消に寄与する。
【0039】
約100keVから約10MeVまでの中エネルギー中性子は、主に有機化合物ガス分子との弾性散乱で生成する荷電粒子により検出するようにしたため、この中エネルギー中性子による検出感度を、約100keVを下回る低エネルギー中性子によるものであって窒素に依拠する検出感度とは独立して調整できる。このような調整は窒素ガスをある量に固定した場合、有機化合物ガス分子の量を増減することで調整できることとなる。
【0040】
約10MeVを超える高エネルギー中性子は、主に有機化合物ガス分子との弾性散乱と核反応で生成する荷電粒子により検出するようにしたため、検出感度は増大するように作用し、従来では過小評価となっていた約10MeVを上回る高エネルギー中性子による検出器の検出感度は、中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線(中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線)に近づけることができるようになり、過小評価の解消に寄与する。
【0041】
このように本発明では、約100keVを下回る低エネルギー中性子に対する検出感度は窒素ガスの量に、また、約100keVを上回る中高エネルギー中性子に対する検出感度は有機化合物ガス分子の量に、それぞれ依存するため、これらの混合割合を調整することで、比例計数管の検出感度を表す中性子エネルギー−レスポンス特性を中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線(中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線)へ近づけることができる。
【0042】
具体的な混合比であるが、本発明者による研究の結果、窒素ガスと有機化合物ガスとの混合比の総和をα+β=1.0としたとき、好ましくは窒素ガスの混合比αが0.05≦α≦0.5であり、有機化合物ガスの混合比βが1.0−αであるようにすることで、検出感度である中性子エネルギー−レスポンス特性を中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線(中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線)へ近づけることが可能であると知見された。窒素ガスの混合比を50%以下と小さくしており、約100keVを下回る低エネルギー中性子による感度を低くしている。なお、混合比が範囲を持つのは比例計数管の形状など各種設計事項により最適値が異なるため、混合比を完全に特定できないためである。
ここで有機化合物ガスがメタン、エタン、または、プロパンの何れか二以上を組み合わせて封入した場合には、さらにこれらの混合比も調整される。例えば、水素原子が少ないメタン(CH)よりも水素原子が多いエタン(C)やプロパン(C)を封入した方がH(n,n)p弾性散乱が起こり易いと予想され、反跳陽子pによる荷電粒子が増えて、検出感度を増加させる調整ができると推定される。メタン、エタン、または、プロパンの混合比も調整に利用できる。このような範囲を満たすようにすれば、従来技術よりも良好な検出感度である中性子エネルギー−レスポンス特性を得ることができる。
【0043】
このような比例計数管11に対して、さらにポリエチレン減速材12を周りに巻く。厚さは0〜2cm程度である。中エネルギー中性子や高エネルギー中性子が減速されて低エネルギー中性子が増大するため検出感度の低い数100keV以下の中性子エネルギーに対する検出感度を上げる。このようにポリエチレン減速材12の厚みを調整することでも、検出感度の中性子エネルギー−レスポンス特性の調整を行うことができる。
なお、ポリエチレン減速材12がない場合でも混合比の調節で検出感度の中性子エネルギー−レスポンス特性が良好に近似される場合はポリエチレン減速材12の厚みを0cm(ポリエチレン減速材12なし)とする。このように構成することでポリエチレン減速材12は0cmから2cmまでに抑えられ、従来よりも厚みを少なくできる。中性子検出器10はこのように構成される。
【0044】
続いてこのような中性子検出器10を試作し、実験により確認された特性について説明する。図2は、中性子検出器の出力をマルチチャンネル波高分析器を用いて実測した波高分布の例を示す図である。
図1で示したような中性子検出器10(ポリエチレン減速材なし。つまり厚さ0cm)に対し、マルチチャンネル波高分析器を用いて、137Cs線源からの662keVのエネルギーを持つγ線を8mSv/hの強度で120秒間入射したときの波高分布(特性a)を得る。同じ図2には、252Cf線源から自発核分裂反応で放出される平均2.2MeVのエネルギーを持つ中性子を、検出器に入射したときの波高分布(特性b)を比較して示す。
中性子と検出ガスとの核反応により生成された荷電粒子による出力波高(特性b)は、ディスクリレベル(例えば500keV)より高い波高値に分布しており、本発明による中性子検出器10では、γ線と中性子が同時に入射しても、両者を分離して中性子だけを測定できることを示している。
このようにディスクリレベルを適切に選べば(ディスクリレベルは後述する周知の波高弁別技術によって任意の値に設定できる)、γ線による出力波高は当該ディスクリレベル以下にしか現れないから、これを完全に除去できることを示している。
【0045】
続いて単色中性子を用いた実験により求めた結果を以下に示す。図3は、d−T核融合反応で放出される15.0MeVのエネルギーを持つ単色中性子を中性子検出器に入射したときの波高分布を示す図である。15.0MeVのエネルギーを持つ単色中性子は、上記した10MeVを上回る高エネルギー中性子であり、H(n,n)p弾性散乱に加えてC(n,p),C(n,α),N(n,α)などの核反応が起こっている。なお、これらは同じような挙動をするため図中では埋もれている。このような核反応はポリエチレン減速材12(モデレータ)の厚さを0,1,2cmと変えた場合も確認できる。
【0046】
図4は、放射線障害防止関係法令に定める中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線を、中性子検出器の検出感度である中性子エネルギー−レスポンス特性と比較して示す図である。図4において中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線が、放射線障害防止関係法令に定める中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線を表す。
【0047】
図4においてNSPECGは、試作した中性子検出器10の検出感度である中性子エネルギー−レスポンス特性をモンテカルロ計算によりコンピュータを用いて求めた計算値である。この計算により求めた中性子エネルギー−レスポンス特性は、中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線と比較して多少のズレがあるが、図8で示した従来技術の1eV〜100keVの中性子エネルギー領域よりは過大評価が改善されており、優れた特性を持っていることが明らかである。また、同様に数MeV以上のエネルギー中性子に対する検出器感度の過小評価も抑えられており、この点でも優れた特性を持っていることが明らかである。
【0048】
図4において◇、□、○の各プロットは、平均エネルギー2.2MeVの252Cf中性子や250keVから15MeVに至る単色中性子、及び黒鉛減速場の熱中性子などを個別に試作検出器に入射して得た実験値である。◇、□、○の各プロットは、中性子検出器10のポリエチレン減速材12が0,1,2cmの各厚さに対して与えられている。この実験値はディスクリレベル以上の出力波高の総和である。先に説明した計算値と実験値は良く一致している。
【0049】
続いて中性子線量計1について説明する。図4で示された感度曲線(中性子エネルギーレスポンス特性)は中性子検出器10の検出感度を表す特性であるが、この感度特性に対し、後述するような信号処理により、さらに中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線(中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線)に近づける。このような信号処理を行うようにした中性子線量計1について説明する。まず、中性子線量計1の回路構成について説明する。図5は本形態の中性子線量計のブロック構成図、図6は係数の決定を説明する説明図である。中性子線量計1は、図5のブロック構成図に示すように、中性子検出器10に対して処理回路部20が接続される。処理回路部20は高圧電源21、プリアンプ22、波形成形アンプ23、多段式波高弁別器24、カウンタ25、倍率器26、加算器27、表示器28を備えている。図5において図1と同じ構成には同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。
【0050】
高圧電源21は、検出器の電極に対して1000V〜4000Vの高電圧を供給する。中性子検出器10の比例計数管11の電極から取り出された電流出力による検出信号は、プリアンプ22へ入力される。
プリアンプ22は、検出信号を波形成形アンプ22で利用できる波高とするまで増幅する。
波形成形アンプ23は、検出信号を多段式波高弁別器24で分別できる波高の波形となるように増幅した検出信号を出力する。これらプリアンプ22および波形成形アンプ23は本発明のアンプを構成するものである。
【0051】
多段式波高弁別器24は、多段式のディスクリレベルを有しており、入力された検出信号に対して所定のディスクリレベル(下側の波高レベルから上側の波高レベルまで)のみの検出信号を出力する。例えば、第1波高弁別器24−1、第2波高弁別器24−2、・・・、第n波高弁別器24−nというn段の波高弁別器を備える。これら第1波高弁別器24−1、第2波高弁別器24−2、・・・、第n波高弁別器24−nには所定範囲のディスクリレベルのみ出力するようになされている。一例であるが、第1〜第6波高弁別器とし、中性子エネルギー(MeV)のディスクリレベルが10−9〜10−7、10−7〜10−5、10−5〜10−3、10−3〜10−1、10−1〜10+1、10+1 〜10+3 というディスクリレベルでそれぞれのカウント値を検出する。この多段式波高弁別器24によりあるレベル以下(先の例では10−9MeV以下)の不要成分(ノイズ信号とγ線による信号)を取り除いて、中性子による所望の検出信号だけを取り出すことができる。波高レベル別に分別された複数の検出信号が出力される。
【0052】
カウンタ25は、波高レベル別に分別された複数の検出信号を入力して波高レベル別のカウント値を出力する。検出信号はパルス状であるためパルスを計数してカウント値を出力する。カウンタ25は、例えば、第1カウンタ25−1、第2カウンタ25−2、・・・、第nカウンタ25−nというn段のカウンタを備える。これら第1カウンタ25−1、第2カウンタ25−2、・・・、第nカウンタ25−nはそれぞれ所定範囲のディスクリレベルのみカウントするようになされている。先の例であるが、例えば、第1〜第6カウンタとし、中性子エネルギー(MeV)のディスクリレベルが10−9〜10−7、10−7〜10−5、10−5〜10−3、10−3〜10−1、10−1〜10+1、10+1 〜10+3 というディスクリレベルのパルス状の検出信号に対してカウント値を出力する。
【0053】
倍率器26は、カウンタから出力されたそれぞれのカウント値に予め定められた係数を乗じて補正カウント値を出力する。倍率器26は、例えば、第1倍率器26−1、第2倍率器26−2、・・・、第n倍率器26−nというn段の倍率器を備える。これら第1倍率器26−1、第2倍率器26−2、・・・、第n倍率器26−nにはX1,X2,・・・,Xnという係数を乗じる。先の例であるが、例えば、第1〜第6倍率器とし、第1〜第6カウンタからのカウント値に対して倍率器でX1,X2,X3,X4,X5,X6という係数を乗ずることで、中性子エネルギー(MeV)のディスクリレベルが10−9〜10−7、10−7〜10−5、10−5〜10−3、10−3〜10−1、10−1〜10+1、10+1 〜10+3 というディスクリレベルで弁別されたそれぞれのカウント値に重みをつけた補正カウント値とする。このような補正がない場合は、図6で示すように、カウント値によるレスポンスは、中性子検出器10の本来の感度曲線である中性子エネルギー−レスポンス特性に追従するものとなるが、適正な重みをつける補正により、補正カウント値によるレスポンスは、中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線(中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線)により良く追従するようになる。上記倍率器26の倍数X1,X2,・・・,Xnは、このように決定される。
【0054】
加算器27は、倍率器26から出力されたそれぞれの補正カウント値を加算して周辺線量当量(1cm線量当量)を出力する。加算器27は、一例として、上記の第1倍率器26−1、第2倍率器26−2、・・・、第n倍率器26−nというn段の倍率器それぞれで重みをつけられた補正カウント値を全て合算したカウント値を生成する。カウント値は周辺線量当量(1cm線量当量)を表している。
【0055】
表示器28は、加算器27からのカウント値を周辺線量当量(1cm線量当量)として直読可能に表示される。以上説明した構成は、可搬型のケース内に収納される。このような表示器27は周辺線量当量(1cm線量当量)を精度よく直読できるようにした。
【0056】
なお、上記したnの値をさらに多くすることで、ディスクリレベルを狭くするとともに、補正カウント値によるレスポンスは、中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線(中性子エネルギー−ICRP74 H(10)レスポンス曲線)にさらに一層追従するようになる。nの値を増やすことで高精度化も可能となる。
【0057】
以上本発明の中性子線量計について説明した。まず、混合ガスを封入した中性子検出器は、先に説明したように、従来の中性子線量計で用いられる検出器と比べて遜色がないか、100keV以下の低エネルギー領域や10MeV以上の領域ではむしろより優れた特性を持っていることが明らかである。
【0058】
そして、広い範囲の中性子エネルギーに対して検出を行うようにしたため、熱中性子吸収材を不要とし、かつ減速材も不要もしくは使用するとしても少なくするため、従来の中性子線量計が8kgから15kg位の重量であるのに対し、本発明の中性子線量計ではわずか2kg程度と非常に軽く、持ち運びが非常に楽な点で可搬型の中性子線量計に最適である。なお、軽量化されているが可搬型に限定するものではなく定置式の中性子線量計として用いても良いことはいうまでもない。このような中性子線量計は、これまでに存在しなかった新しいタイプの中性子線量計であると言える。
【0059】
また、上記のような多段式波高弁別器を使用することによって、熱エネルギー中性子から10MeVを越える高エネルギー中性子まで、そのエネルギー特性を1cm線量当量換算係数と良く一致させることができる。図8に示した従来技術の感度曲線と比較しても、1eV〜100keV以下の低エネルギー領域ではむしろ、より優れた特性を持っていることが明らかである。このことから、本発明にかかる中性子線量計は、周辺線量当量(1cm線量当量)を精度よく直読できるものであることが理解されるであろう。
【0060】
以上説明したような本発明による中性子線量計によれば、軽量化を実現する。最近中性子を発生する施設が加速器施設を中心に急速に増え、また、近年半導体素子の宇宙線中性子によるソフトエラーの発生が半導体産業を中心に大きな問題となっている現状から、軽量型の中性子線量計への要望が高く、本発明による中性子線量計は大きな効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明を実施するための最良の形態の中性子検出器の説明図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は正面図、図1(c)は断面図である。
【図2】中性子検出器の出力をマルチチャンネル波高分析器を用いて実測した波高分布の例を示す図である。
【図3】d−T核融合反応で放出される15.0MeVのエネルギーを持つ単色中性子を中性子検出器に入射したときの波高分布を示す図である。
【図4】放射線障害防止関係法令に定める中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線を、中性子検出器の検出感度である中性子エネルギー−レスポンス特性と比較して示す図である。
【図5】本発明を実施するための最良の形態の中性子線量計のブロック構成図である。
【図6】係数の決定を説明する説明図である。
【図7】従来技術の中性子線量計の説明図であり、図7(a)は従来技術の第1例の内部構造図、図7(b)は従来技術の第2例の内部構造図、図7(c)は従来技術の第3例の内部構造図、図7(d)は従来技術の第4例の内部構造図である。
【図8】中性子エネルギーに対する検出感度のレスポンス曲線およびH(10)レスポンス曲線を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1:中性子線量計
10:中性子検出器
11:比例計数管
12:ポリエチレン減速材
20:処理回路部
21:高圧電源
22:プリアンプ
23:波形整形アンプ
24:多段式波高弁別器
24−1:第1波高弁別器
24−2:第2波高弁別器
24−n:第n波高弁別器
25:カウンタ
25−1:第1カウンタ
25−2:第2カウンタ
25−n:第nカウンタ
26:倍率器
26−1:第1倍率器
26−2:第2倍率器
26−n:第n倍率器
27:加算器
28:表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素ガスと、有機化合物ガスと、を所定混合比で混合してなる混合ガスを封入した比例計数管を備え、
比例計数管の検出感度である中性子エネルギー−レスポンス特性を、放射線障害防止関係法令(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律等)に定める中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線に近似させることを特徴とする中性子検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の中性子検出器において、
前記混合ガスは、窒素ガスの混合比αと有機化合物ガスの混合比βとの混合比の総和が1.0であるとき、窒素ガスの混合比αが0.05≦α≦0.5を、また、有機化合物ガスの混合比βが1.0−αを満たすことを特徴とする中性子検出器。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の中性子検出器において、
前記比例計数管の周囲に厚さ2.0cm以下となるように設けられたポリエチレン減速材を備えることを特徴とする中性子検出器。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の中性子検出器と、
前記中性子検出器から出力される検出信号を所定の波高レベルまで増幅するアンプと、
アンプから出力される検出信号を所定範囲の波高レベル別に弁別する多段式波高弁別器と、
波高レベル別に弁別された検出信号を用いてそれぞれ計数して波高レベル別のカウント値を出力するカウンタと、
カウンタからそれぞれ出力された波高レベル別のカウント値に予め定められた係数を乗じて波高レベル別の補正カウント値を出力する倍率器と、
倍率器から出力された波高レベル別の補正カウント値を合算して周辺線量当量(1cm線量当量)を出力する加算器と、
周辺線量当量(1cm線量当量)を表示する表示器と、
を備え、
倍率器の係数は、波高レベル別の補正カウント値の傾向を中性子フルエンス−周辺線量当量(1cm線量当量)換算係数曲線に近似させるような係数とすることを特徴とする中性子線量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−218657(P2007−218657A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37740(P2006−37740)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【出願人】(506054545)
【Fターム(参考)】