説明

中空品の成形用射出ノズル

【課題】本発明は、射出した成形材料と接触する部分の構造を改良し、中空部分の壁面の均一化及び成形サイクルの短縮化を実現できる中空品の成形用射出ノズルを提供するものである。
【解決手段】本発明の成形用射出ノズル1は、ノズル本体2の一端に設けた金属製のインジェクターノズル部4を構成する筒状の吐出端部4aと、ノズル本体2内に進退可能に配置したインジェクターピストン6の前進駆動により吐出端部4aに挿入されるノズル端部7aと、ノズル端部7aをインジェクターピストン6の後退駆動により吐出端部4aから退避させた状態で、吐出端部4a内を経てその突出端から前記キャビティ42内に吐出されている成形材料43内に高圧ガス、高圧水を圧送する高圧ガス流通孔13、高圧水流通孔15と、ノズル端部7aの成形材料43と接触する先端部分に装着した低熱伝導率チップ20とを有する構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形金型内に成形樹脂材料、ガス等と高圧流体を射出して中空品を成形するための成形用射出ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂製の管体等のような中空品の成形手段としては、押し出し成形、引き抜き成形、ガス吹き込み成形、水射出成形等、種々の手段が知られている。
【0003】
上記従来における中空品の成形手段のうち、水射出成形による成形手段について考察すると、例えば成形金型を使用し、成形金型のキャビティ内に成形材料を充填し、更に、充填された成形材料内に高圧のガスと高圧の水を注入して中空部分を形成して中空品を得るために好適な成形用射出ノズルが見当たらないのが現状である。
【0004】
従来のこの種の成形用射出ノズルの場合、成形金型のキャビティ内に充填された成形材料内に高圧のガスと高圧の水を注入して中空部分を形成して中空品を成形する場合、ノズル先端部は金属でできており、射出された成形材料の一部がノズル先端部を覆うため、その成形材料が直ぐに冷却され、ノズル先端部を覆って固化してしまうため、中空品を成形するためのガスと水を射出することが困難になる場合があった。
【0005】
すなわち、従来の中空品の成形用射出ノズルの場合、ノズル先端部に覆い被さった成形材料のため、ガス又は水がキャビティ外に漏れたり、キャビティ壁面の粗度が均一とならず粗面となったりして、高品質の中空品を成形することが難しいという問題を包含していた。
【0006】
添付する特許文献1には、金型のノズル受け部からキャビティに至る通路内の樹脂材料をヒーターによって溶融状態に保つとともにキャビティに連絡するゲートに近接したホットチップに、その先端からゲートを通してキャビティの溶融樹脂内に不活性ガスを圧入するガス吹出部を設けて、金型内で中空品を成形するように構成した射出成形装置が提案されている。
【0007】
この特許文献1の場合には、インジェクションノズルの他に、前記通路内にヒーターを組み込んだホットチップを配置する構造であることから、インジェクションノズル自体に溶融樹脂の固化抑制対策を講じたものではなく、射出成形装置全体として構造の複雑化を招いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−155524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題点は、ノズルにおける射出した成形材料と接触する部分の構造に改良を施し、成形材料を充填した後、その固化を抑制しつつガスと水とを中空品の中空部分形成に関与させて、中空部分の壁面の均一化及び成形サイクルの短縮化を実現できる簡略構成の中空品の成形用射出ノズルが存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、金型のキャビティ内に射出された成形材料内に対して、前記金型に装着する金属製のインジェクターノズル部の突出端から高圧流体を圧送し、内部が中空の中空品を成形する中空品の成形用射出ノズルであって、前記インジェクターノズル部の突出端領域の成形材料と接触する部分に低熱伝導率チップを装着したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、金型のキャビティ内に射出された成形材料内に対して、前記金型に装着する金属製のインジェクターノズル部の突出端から高圧流体を圧送し、内部が中空の中空品を成形する際に、インジェクターノズル部の突出端領域の成形材料と接触する部分に低熱伝導率チップを装着した構造としているので、インジェクターノズル部の突出端と接触する射出した成形材料の冷却固化が低熱伝導率チップにより抑制され、これにより、成形材料内に高圧流体を支障なく圧送して成形材料を内部を的確に膨らませることができ、成形した中空品における中空部分の壁面の均一化と、成形サイクルの短縮化を図ることができる中空品の成形用射出ノズルを実現し提供することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、金型のキャビティ内に射出された成形材料内に対して、前記金型に装着する金属製のインジェクターノズル部の突出端から高圧流体を圧送し、内部が中空の中空品を成形する中空品の成形用射出ノズルであって、ノズル本体の一端に設けたインジェクターノズル部を構成する筒状の吐出端部と、ノズル本体内に進退可能に配置したピストンの前進駆動により前記吐出端部に挿入される金属製のノズル端部と、前記ノズル端部をピストンの後退駆動により前記吐出端部から退避させた状態で、前記吐出端部内を経てその突出端から前記キャビティ内に吐出された成形材料内に高圧流体を圧送する高圧流体圧送経路と、前記ノズル端部の成形材料と接触する先端部分に装着した低熱伝導率チップと、を有する構成の基に、請求項1記載の発明と同様、射出されている成形材料の冷却固化が低熱伝導率チップにより抑制され、これにより、成形材料内に高圧流体を支障なく圧送して成形材料を内部を的確に膨らませることができ、成形した中空品における中空部分の壁面の均一化と、成形サイクルの短縮化を図ることができる中空品の成形用射出ノズルを実現し提供することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、金型のキャビティ内に射出された成形材料内に対して、前記金型に装着する金属製のインジェクターノズル部の突出端から高圧流体を圧送し、内部が中空の中空品を成形する中空品の成形用射出ノズルであって、ノズル本体の一端に設けたインジェクターノズル部を構成する筒状の吐出端部と、ノズル本体内に進退可能に配置したピストンの前進駆動により前記吐出端部に挿入される金属製のノズル端部と、前記ノズル端部をピストンの後退駆動により前記吐出端部から退避させた状態で、前記吐出端部内を経てその突出端から前記キャビティ内に吐出された成形材料内に高圧ガス、高圧水を圧送する2系統構造の高圧流体圧送経路と、前記ノズル端部の成形材料と接触する先端部分に装着した樹脂材、木材又はゴムから選ばれる材料により形成した低熱伝導率チップと、を有する構成の基に、請求項2記載の発明と同様、射出されている成形材料の冷却固化が低熱伝導率チップにより抑制され、これにより、成形材料内に高圧ガス、高圧水からなる高圧流体を支障なく圧送して成形材料を内部を的確に膨らませることができ、成形した中空品における中空部分の壁面の均一化と、成形サイクルの短縮化を図ることができる中空品の成形用射出ノズルを実現し提供することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、金型のキャビティ内に射出された成形材料内に対して、前記金型に装着する金属製のインジェクターノズル部の突出端から高圧ガス、高圧水からなる高圧流体を圧送し、内部が中空の中空品を成形する中空品の成形用射出ノズルであって、ノズル本体の一端に設けたインジェクターノズル部を構成する筒状の吐出端部と、ノズル本体内に進退可能に配置したピストンの前進駆動により前記吐出端部に挿入される金属製のノズル端部と、前記ノズル端部をピストンの後退駆動により前記吐出端部から退避させた状態で、前記吐出端部内を経てその突出端から前記キャビティ内に吐出された成形材料内に高圧ガスを圧送する高圧ガス圧送経路、及び、前記キャビティ内に吐出された成形材料内に高圧水を圧送する高圧水圧送経路と、前記ノズル端部の成形材料と接触する先端部分に装着した樹脂材、木材又はゴムから選ばれる材料により形成した低熱伝導率チップと、を有する構成の基に、請求項3記載の発明と同様、射出されている成形材料の冷却固化が低熱伝導率チップにより抑制され、これにより、成形材料内に高圧ガス、高圧水からなる高圧流体を支障なく圧送して成形材料を内部を的確に膨らませることができ、成形した中空品における中空部分の壁面の均一化と、成形サイクルの短縮化を図ることができる中空品の成形用射出ノズルを実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施例に係る中空品の成形用射出ノズルの全体構造を透視図的に示す概略構成図である。
【図2】図2は本実施例に係る中空品の成形用射出ノズルにおいてピストン駆動されるノズル端部を吐出端部側に移動した状態の構造を透視図的に示す概略構成図である。
【図3】図3は本実施例に係る中空品の成形用射出ノズルにおいてピストン駆動されるノズル端部を吐出端部側に移動し成形材料内に入れた状態の構造を透視図的に示す概略構成図である。
【図4】図4は本実施例に係る中空品の成形用射出ノズルにおいてピストン駆動されるノズル端部を吐出端部側から後退させた状態の構造を透視図的に示す概略構成図である。
【図5】図5は本実施例に係る中空品の成形用射出ノズルにおいて、ピストン駆動されるノズル端部を吐出端部側から後退させ、高圧ガス、高圧水を成形材料に圧送した状態の構造を透視図的に示す概略構成図である。
【図6】図6は本実施例に係る中空品の成形用射出ノズルにおいて、ノズル端部に装着した低熱伝導率チップによって成形材料が固化しない状態を示す説明図である。
【図7】図7は低熱伝導率チップをノズル端部に装着しない場合の成形材料の固化状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、金型のキャビティ内に射出された成形材料内に対して、前記金型に装着する金属製のインジェクターノズル部の突出端から高圧流体を圧送し、内部が中空の中空品を成形する中空品の成形用射出ノズルであって、ノズル本体の一端に設けたインジェクターノズル部を構成する筒状の吐出端部と、ノズル本体内に進退可能に配置したピストンの前進駆動により前記吐出端部に挿入される金属製のノズル端部と、前記ノズル端部をピストンの後退駆動により前記吐出端部から退避させた状態で、前記吐出端部内を経てその突出端から前記キャビティ内に吐出された成形材料内に高圧ガス、高圧水を圧送する2系統構造の高圧流体圧送経路と、前記ノズル端部の成形材料と接触する先端部分に装着した樹脂材、木材又はゴムから選ばれる材料により形成した低熱伝導率チップと、を有する構成により実現した。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例に係る中空品の成形用射出ノズルについて図1乃至図7を参照して詳細に説明する。
本実施例に係る中空品51の成形用射出ノズル1は、図1に示すように、全体として例えば略円筒状のノズル本体2を有している。
【0018】
前記ノズル本体2は、例えば円筒状のロッドカバー体3と、このロッドカバー体3の他端側に取り付けたヘッドカバー体21と、を具備し、また、ロッドカバー体3の一端側には、高圧ガス又は高圧水を射出するインジェクターノズル部4を配置している。
【0019】
前記ロッドカバー体3は、その他端側に位置する中空で、内装するインジェクターピストン6を図1に示す矢印a,b方向に往復移動可能に収容するシリンダー部5と、一端側からシリンダー部5に連通するように、かつ、ロッドカバー体3の長さ方向中心部を貫くように設けられ、前記インジェクターピストン6と一体のインジェクターピストンロッド7を挿通するロッド孔5aと、を有している。
【0020】
前記インジェクターノズル部4は、図1に概略的に示す中空品成形金型41のキャビティ42に向けて高圧ガス又は高圧水を射出する円筒状の吐出端部4aを、前記ロッドカバー体3の一端側の端面から外方に向けて突出させている。
また、前記インジェクターノズル部4は、前記ロッドカバー体3の一端側から内方に向けて、前記インジェクターピストンロッド7に設けたテーパー形状の弁座7bと当接させる前記弁座7b側を拡開させた凹面状の受面4bを備えている。
【0021】
更に、前記インジェクターノズル部4の吐出端部4a内には、前記インジェクターピストンロッド7と一体で、かつ、インジェクターピストンロッド7自体よりも小径の外径を有するノズル端部7aが挿脱するように構成している。
【0022】
上述したように、インジェクターピストンロッド7自体の一端側において、前記ノズル端部7aの基端となる位置に前記弁座7bを形成し、この弁座7bを図2に示すように前記受面4bに当接させることで、前記弁座7bよりも先方の吐出端部4a内にノズル端部7aを封止するように構成している。
【0023】
前記ヘッドカバー体21は、ロッドカバー体3の他端を閉塞するとともに、その外周部から内方を経て前記インジェクターピストン6のロッドカバー体3側のピストン面に予め設定した圧力を付与するための流体(液体又は気体)を注入させるためのAポート22を具備し、このAポート22に流体供給源31(油圧ポンプ、エアーコンプレッサー等)に連なる供給ホースを接続するように構成している。
【0024】
前記ロッドカバー体3は、その外周部から内方を経て前記インジェクターピストン6のインジェクターピストンロッド7側のピストン面に予め設定した圧力を付与するための流体(液体又は気体)を注入するためのBポート11を具備し、このBポート11に前記流体供給源31に連なる供給ホースを接続するように構成している。
【0025】
更に、前記ロッドカバー体3は、その外周部にCポート12、Dポート14を具備している。
【0026】
前記Cポート12は、高圧ガス供給源32にガスパイプを経て接続され、前記ロッドカバー体3内に設けたガス流通孔13を経て前記ノズル端部7aの回りを経て吐出端部4a内に予め設定した圧力の高圧ガス(例えば不活性ガス)を供給するように構成している。
【0027】
また、前記Dポート14は、高圧水供給源33に水ホースを経て接続され、前記ロッドカバー体3内に設けた水流通孔15を経て前記ノズル端部7aの回りを経て吐出端部4a内に予め設定した圧力の高圧水を供給するように構成している。
また、前記成形材料43の中空部内のガス、高圧水は、吐出端部4aよりノズル端部7aの回りを経て水流通孔15を通過させ、さらに前記Dポート14より排出し、図示しないタンクへ回収するように構成している。
【0028】
前記ノズル端部7aの突出端には、例えば円環状でノズル端部7aの孔を塞がない形状の低熱伝導率チップ20を装着している。
【0029】
前記低熱伝導率チップ20の材質としては、例えば、樹脂材、木材、ゴム等を挙ることができる。
【0030】
次に、本実施例に係る成形用射出ノズル1による中空品51の成形動作について、図3乃至図6をも参照して詳述する。
【0031】
本実施例に係る成形用射出ノズル1において、まず、図1、図2に示すように、前記流体供給源31からAポート22を経てシリンダー部5に駆動用の流体を圧送し、前記インジェクターピストン6及びインジェクターピストンロッド7を矢印a方向に前進させ、前記吐出端部4a内に前記ノズル端部7aを進入させ、前記低熱伝導率チップ20を吐出端部4aの端面から先方に突出させるとともに、前記弁座7bを前記吐出端部4aの裏側の受面4bに当接させる。この状態を図2に示している。
【0032】
また、前記ノズル端部7aを中空品成形金型41のキャビティ42内の予め射出されている成形材料43内に臨ませる。この状態を図3に概略的に示している。
【0033】
次に、上述した場合と異なり、前記流体供給源31から前記Bポート22を経てシリンダー部5に駆動用の流体を圧送して、前記インジェクターピストン6及びインジェクターピストンロッド7を矢印b方向に後退させて、前記ノズル端部7aを前記吐出端部4aの裏側の受面4bよりも後方に退避させる。すなわち、前記吐出端部4a内は空洞状態となる。この状態を図4に概略的に示している。
【0034】
次に、ノズル端部7aが図4に示す位置になった後、直ちに、前記高圧ガス供給源32からCポート12、ガス流通孔13、前記吐出端部4a内を経てキャビティ42内の成形材料43内部に高圧ガスを、また、前記高圧水供給源33からDポート14、水流通孔15、前記吐出端部4a内を経てキャビティ42内の成形材料43内部に高圧水を、各々圧送し、キャビティ42内の成形材料43を恰も風船のように内部から膨らませるようにして中空品成形工程を実施する。この状態を図5に概略的に示している。
そして、中空品成形工程を実施、保圧、冷却工程が終了後、成形材料43の中空部内のガス、高圧水を吐出端部4aよりノズル端部7aの回りを経て水流通孔15を通過させ、前記Dポート14より排出し、図示しないタンクへ回収する。
【0035】
この後、ノズル本体2を中空品成形金型41から外し、キャビティ42内の成形品の冷却工程を実施した後、中空品成形金型41から成形品を取り出すことによって、図5に示すような内部に中空部分を有する中空品51を得るものである。
【0036】
上述した図3に示すようなノズル端部7aを、中空品成形金型41のキャビティ42内
成形材料43内に臨ませた段階について、更に詳述する。
【0037】
図6にも示すように、前記ノズル端部7aに装着した前記低熱伝導率チップ20が、吐出端部4aの端面から先方に突出しているので、前記低熱伝導率チップ20の低い熱伝導率による作用で前記ノズル端部7aの突出端部分と接触する射出した成形材料43の冷却固化が抑制され固まりにくくなって、これにより、次工程の高圧ガス、高圧水の注入工程を支障なく実行でき、この結果、成形した中空品51における中空部分の壁面の均一化と、成形サイクルの短縮化を図ることが可能となるものである。
【0038】
これに対して、前記ノズル端部7aに前記低熱伝導率チップ20を装着しない構造とした場合、金属製のノズル端部7aから中空品成形金型41のキャビティ42内に成形材料43を射出した直後から成形材料43の冷却固化が進行して、図7に比較例として示すように、ノズル端部7aの突出端領域に恰も「竹の節」のようなスキン層部43a(成形材料の冷却固化が進み溶融樹脂の粘度が高くなった部分)が生成されてしまい、次工程の高圧ガス、高圧水の注入工程に支障が生じ、結果的に成形品の品質劣化の要因となってしまう。
【0039】
上述したように、本実施例に係る中空品51の成形用射出ノズル1によれば、前記ノズル端部7aに低熱伝導率チップ20を装着するという極めて簡略な要素付加によって、接触する成形材料43が固化しにくくなり、スキン層部43aの生成を防止でき、高圧ガス、高圧水の成形材料43内への注入が容易となって、成形した中空品51における中空部分の壁面の均一化による品質向上と、単一の成形用射出ノズル1のみを用いることによる成形サイクルの短縮化を実現することができる。
【0040】
なお、上述した場合の他、前記ノズル端部7a内に電熱ヒーターを埋込み、成形材料の固化防止、固化抑制を図る構成とすることも勿論可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る成形用射出ノズルは、インジェクションノズル型で、樹脂材からなる丸管材、角管材、箱形材、建具材等、中空部分を有する各種の中空品又はそれに近似した部材等の成形を行う成形金型と組み合わせる成形用射出ノズルとして広範に適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 成形用射出ノズル
2 ノズル本体
3 ロッドカバー体
4 インジェクターノズル部
4a 吐出端部
4b 受面
5 インジェクターシリンダー部
5a ロッド孔
6 インジェクターピストン
7 インジェクターピストンロッド
7a ノズル端部
7b 弁座
11 Bポート
12 Cポート
13 高圧ガス流通孔
14 Dポート
15 高圧水流通孔
20 低熱伝導率チップ
21 ヘッドカバー体
22 Aポート
31 流体供給源
32 高圧ガス供給源
33 高圧水供給源
41 中空品成形金型
42 キャビティ
43 成形材料
43a スキン層部
51 中空品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型のキャビティ内に射出された成形材料内に対して、前記金型に装着する金属製のインジェクターノズル部の突出端から高圧流体を圧送し、内部が中空の中空品を成形する中空品の成形用射出ノズルであって、
前記インジェクターノズル部の突出端領域の成形材料と接触する部分に低熱伝導率チップを装着したことを特徴とする中空品の成形用射出ノズル。
【請求項2】
金型のキャビティ内に射出された成形材料内に対して、前記金型に装着する金属製のインジェクターノズル部の突出端から高圧流体を圧送し、内部が中空の中空品を成形する中空品の成形用射出ノズルであって、
ノズル本体の一端に設けたインジェクターノズル部を構成する筒状の吐出端部と、
ノズル本体内に進退可能に配置したピストンの前進駆動により前記吐出端部に挿入される金属製のノズル端部と、
前記ノズル端部をピストンの後退駆動により前記吐出端部から退避させた状態で、前記吐出端部内を経てその突出端から前記キャビティ内に射出された成形材料内に高圧流体を圧送する高圧流体圧送経路と、
前記ノズル端部の成形材料と接触する先端部分に装着した低熱伝導率チップと、
を有することを特徴とする中空品の成形用射出ノズル。
【請求項3】
金型のキャビティ内に射出された成形材料内に対して、前記金型に装着する金属製のインジェクターノズル部の突出端から高圧流体を圧送し、内部が中空の中空品を成形する中空品の成形用射出ノズルであって、
ノズル本体の一端に設けたインジェクターノズル部を構成する筒状の吐出端部と、
ノズル本体内に進退可能に配置したピストンの前進駆動により前記吐出端部に挿入される金属製のノズル端部と、
前記ノズル端部をピストンの後退駆動により前記吐出端部から退避させた状態で、前記吐出端部内を経てその突出端から前記キャビティ内に吐出された成形材料内に高圧ガス、高圧水を圧送する2系統構造の高圧流体圧送経路と、
前記ノズル端部の成形材料と接触する先端部分に装着した樹脂材、木材又はゴムから選ばれる材料により形成した低熱伝導率チップと、
を有することを特徴とする中空品の成形用射出ノズル。
【請求項4】
金型のキャビティ内に射出された成形材料内に対して、前記金型に装着する金属製のインジェクターノズル部の突出端から高圧ガス、高圧水からなる高圧流体を圧送し、内部が中空の中空品を成形する中空品の成形用射出ノズルであって、
ノズル本体の一端に設けたインジェクターノズル部を構成する筒状の吐出端部と、
ノズル本体内に進退可能に配置したピストンの前進駆動により前記吐出端部に挿入される金属製のノズル端部と、
前記ノズル端部をピストンの後退駆動により前記吐出端部から退避させた状態で、前記吐出端部内を経てその突出端から前記キャビティ内に吐出された成形材料内に高圧ガスを圧送する高圧ガス圧送経路、及び、前記キャビティ内に吐出された成形材料内に高圧水を圧送する高圧水圧送経路と、
前記ノズル端部の成形材料と接触する先端部分に装着した樹脂材、木材又はゴムから選ばれる材料により形成した低熱伝導率チップと、
を有することを特徴とする中空品の成形用射出ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−20426(P2012−20426A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158340(P2010−158340)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(501431350)株式会社シスコ (12)
【Fターム(参考)】